JP2839989B2 - インク容器 - Google Patents

インク容器

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録装
置など液体インクを用いた記録装置に用いられるインク
容器に関する。
【0002】
【従来の技術】現在までに、インクジェット記録装置に
用いられるインク容器としてはインク吐出記録部とイン
ク容器部とが一体であるカートリッジ方式のものが主流
となりつつある。
【0003】これらのインクジェットカートリッジは、
メンテナンスフリーのユーザー交換型であるという利点
を有し、また、インク吐出記録部とインク容器部とが一
体であるので、インクジェットカートリッジを用いるイ
ンクジェット記録装置の小型化も容易に可能としてい
る。
【0004】ところで、これらのカートリッジにはユー
ザー交換型であるために高度な信頼性が必要とされる。
特に要求される信頼性としてはインク容器からのインク
漏れに関することがあげられる。このインク漏れ防止の
要求を容易に満たすインク容器として、容器内にスポン
ジ等の吸収体を収容し、これで液体インクを保持するよ
うにしたインクジェットカートリッジが考案されてい
る。
【0005】しかし、近年エコロジーの観点から、ユー
ザー交換型のインク吐出記録部とインク容器部とが一体
の使い捨てインクジェットカートリッジに代わり、イン
クを使い終わったらインク容器部だけを交換するよう
に、インク吐出記録部とインク容器部とを容易に分離で
きる、いわゆるユーザー分離交換型のインクジェットカ
ートリッジが考案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記ユーザー分離交換
型のインクジェットカートリッジは、結合時のインク漏
れは当然のことながら結合解除時のインク漏れに対する
信頼性も具備していなければならない。ユーザー分離交
換型のインクジェットカートリッジを実現する際には、
インク吐出記録部とインク容器部とが一体のインクジェ
ットカートリッジを単純に分離したようなインクジェッ
トカートリッジでは、両者の結合解除時に、インク吐出
記録部と結合するインク容器部の開口部付近に液体イン
クが溜まり、これが衝撃などによりインク容器外に漏れ
てしまうという懸念があった。
【0007】上記インク漏れを防ぐために、インク吐出
記録部と結合するインク容器部の開口部に結合解除時に
は密閉し、結合時には開放する機能を具備する弁を設け
ることも考えられるが、そのような弁は非常に複雑な構
成を持ち、交換されるインク容器のコストを上昇させる
という問題がある。
【0008】本発明の目的は、上記問題を解消し、簡単
かつ低コストでさらなる小型化を実現することのできる
インク容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、インク吐出装置部と結合する第1の開口部
と、インク吐出装置部との結合時に大気と連通する第2
の開口部とが形成された筐体の内部にインクを保持する
吸収体を有するインク容器において、前記吸収体のイン
ク吐出装置部との結合部分の毛管力Kaと、該結合部分
に隣接する部分の毛管力Kbとが、結合時には、Ka
(結合時)≧Kbの関係をもち、結合解除直後には、前
記結合部分の毛管力Kaが、結合時に比べて、Ka(結
合時)≧Ka(結合解除時)であって、さらに結合部分
の毛管力Kaと結合部分に隣接する部分の毛管力Kbと
が、Ka(結合解除時)≦Kbとなるように構成したこ
とを特徴とする。
【0010】
【作用】一般に発泡樹脂等を用いた吸収体の毛管力は、
そのポアサイズ、インクに及ぼす表面張力、接触角で決
まる。またその吸収体のポアサイズが圧縮されて小さく
なればなるほどその毛管力は増加する。毛管力が増加す
ればそのインク保持力も増加する。
【0011】本発明によれば、このインク容器は、イン
ク吐出装置部との結合時にはインク容器内部の吸収体の
毛管力分布が、インク吐出装置部との結合部分の吸収体
の毛管力Kaと、結合部に隣接する部分の吸収体の毛管
力Kbにおいて、 Ka(結合時)≧Kb の関係を持つことにより、インク容器内では、インク吐
出によるインクの消費にともない、毛管力Kaの大きい
結合部分の吸収体に保持されたインクの方が毛管力Kb
の結合部に隣接する部分の吸収体に保持されたインクよ
りも先に消費されるが、保持力の大きい方にインクは順
次移動するのでインク消費途中での毛管力Kaのインク
吐出装置部との結合部分の吸収体でのインク切れが防止
される。
【0012】また、このインク容器は結合解除直後には
インク吐出装置部との結合部分の吸収体の毛管力Ka
が、結合時に比べ Ka(結合時)≧Ka(結合解除時) また、結合部分に隣接する部分の毛管力Kbに対し Ka(結合解除時)≦Kb の関係をもち、つまり結合解除時に結合部分の吸収体の
毛管力Kaが減少するため、結合部分の吸収体の表面お
よび内部の余剰インクは結合部分に隣接する部分の吸収
体に吸収されインクは内部に封じ込められる。
【0013】この結果、結合解除時以後の第1の開口部
分からのインク漏れを防ぐことができる。
【0014】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例を
詳細に説明する。
【0015】(実施例1)図1は、本発明の一実施例を
示す分解斜視図であり、図2および図3はその結合解除
時および結合時を示す断面図である。
【0016】図において、1はインク容器筐体であり、
本実施例にあっては略々直方体状の有底角筒体1Aと、
その開放部を閉塞する蓋体1Bとから構成されている。
蓋体1Bの中央には、第1開口部を形成する筒状体1C
が内方に突出して一体に成形され、該第1開口部には後
述のインク吐出装置部に形成された突出部が嵌装され
る。有底角筒体1Aの底部には、大気と連通するための
第2開口部1Dが形成され、第2開口部1Dには別部品
でT字状連通路を有するプラグ2が圧入されており、落
下時などにインク容器筐体1内のインクが直接外部に飛
び出さないように工夫してある。インク容器筐体1はそ
の内部にスポンジ状の吸収体3を収容し、その吸収体3
により液体インクを保持している。ここで、吸収体3と
してはウレタン系の発泡体やメラミン樹脂系やポリエチ
レン系の吸収体を用いることができる。
【0017】吸収体3はほぼ直方体状の本体部(以下本
体部吸収体と称す)3Aと該本体部3Aから突出する円
柱状の結合部(以下結合部吸収体と称す)3Bとからな
り、図2中の点線部付近を境界として、毛管力が別の特
性を示すように設定されている。すなわち、吸収体3は
インク容器筐体1に収納される前は無圧縮吸収体であっ
ても、既圧縮吸収体であってもよいが、本体部吸収体3
Aはインク容器筐体1に収納されたときは最終的に図1
に図示した矢印方向(インク取り出し口方向、ここでは
筒状体1Cの軸線方向に対して垂直)に圧縮され毛管力
Kbを発生し、一方、結合部吸収体3Bは筒状体1C内
に収納されたとき圧縮または無圧縮で毛管力Kaが発生
するように設定されている。
【0018】例えば、吸収体3として全体に同材質でポ
アサイズが一様の吸収体を用いた場合、インク容器筐体
1への収納前のその体積は、本体部吸収体3Aではイン
ク容器筐体1に収納後に70%に圧縮されるような大き
さを持たせ、結合部吸収体3Bでは筒状体1Cに収納後
に95%に圧縮されるような大きさを持たせる。
【0019】4はインク吐出装置部であり、側面に前述
の第1開口部を形成する筒状体1Cに嵌装される筒状の
突出部4Aが設けられている。インク吐出装置部4の内
部には突出部4Aと連通されたインク室4Bが形成さ
れ、インク室4Bは先端にインク吐出口4Dを具える複
数個のインク通路4Cと連通されている。
【0020】なお、インク通路4Cには吐出手段として
不図示の電気熱変換体が設けられている。なお、インク
吐出装置部4としては種々の形式のものが存在し、その
形態は問わない。
【0021】5はインク吐出装置部4とインク容器筐体
1との結合時に、両者を密封するゴム材等からなるOリ
ングである。
【0022】インク消費時、つまりインク容器筐体1と
インク吐出装置部4とが、図3に示すように、結合され
ている場合、突出部4Aが結合部吸収体3Bを圧縮する
ため結合部吸収体3Bの毛管力は増加する。インク容器
筐体1とインク吐出装置部4とは、Oリング5によりそ
の間の密閉は保たれている。このとき結合部吸収体3B
の毛管力Kaと本体部吸収体3Aの毛管力Kbは、 Ka(結合時)≧Kb になるように設定されている。例えば、突出部4Aの長
さおよび筒状体1Cへの嵌装ストロークを調節すること
により、結合部吸収体3Bの体積が収納前の体積に比べ
50%に圧縮されるようにする。実際には結合部吸収体
3Bに隣接する本体吸収体3Aの一部も結合時に圧縮力
を受けるが、その範囲は小範囲にとどまり特にこの発明
の作用に悪影響を及ぼすものではなく、逆に第1開口部
付近へのインクの集まりを促進する効果をもたらす。
【0023】図示しない吐出手段により吐出口4Dより
インク滴が吐出されると、その後吐出口4Dに付属する
インク通路4Cの毛管力によって、新たなインクがイン
ク容器筐体1内部からインク室4Bを通りインク通路4
Cに供給され、吐出口4Dの前面までインクが満たされ
る。このインク吐出時には、インク容器筐体1内の液体
インクは、本体部吸収体3Aのうち第2開口部1D側に
保持されている液体インクの方が結合部吸収体3Bより
も先に第2開口部1Dから流入した大気と置換され、毛
管力の大きい方にスムーズに移動するので、インク消費
途中での結合部吸収体3Bでのインク切れは使い切りま
で起こらない。
【0024】インク使い切り時、またはその他インク容
器筐体1とインク吐出装置部4との結合を解除した場
合、突出部4Aの圧接から結合部吸収体3Bが解放され
るため、結合部吸収体3Bの毛管力は瞬時に減少する
(Ka(結合時)≧Ka(結合解除時))。このときさ
らに、結合部吸収体3Bの毛管力Kaと結合部に隣接す
る本体部吸収体3Aの毛管力Kbにおいて、 Ka(結合解除直後)≦Kb になるように毛管力が設定されているので、上記結合部
付近の余剰インクの取り込みは結合部吸収体3Bでスム
ーズに行われ、また余剰インクを吸収しても結合部吸収
体3Bのインク保持量に余裕がある場合は結合部に隣接
する部分の本体部吸収体3Aからインクを吸い出し(イ
ンク使い切り前に途中で結合を解除した場合)、それを
保持するので、大気を取り込んだりすることがない。よ
って、その後再結合したときに、大気泡を取り込んだこ
とによる印字への不都合や、インク使い切り途中でのイ
ンク切れが防止される。
【0025】また、本実施例のような構成をとることに
より、インク吐出装置4の吐出部4Aの突出量を少なく
することができ、その結果、インク容器筐体1とインク
吐出装置4との結合時の移動量を小さくでき、このイン
クジェットカートリッジを搭載するプリンタのコンパク
ト化も実現できる。
【0026】(実施例2)本発明の第2の実施例を図4
に示す。本実施例は結合部吸収体3B′と結合部に隣接
する本体部吸収体3A′とを別体の吸収体で構成してい
る。そして、結合部吸収体3Bの毛管力Kaと結合部に
隣接する本体部吸収体3Aの毛管力Kbとは前実施例と
同様に Ka(結合時)≧Kb Ka(結合時)≧Ka(結合解除直後) Ka(結合解除直後)≦Kb の関係を示すように各吸収体3A′,3B′およびイン
ク容量筐体1の寸法関係が設定されている。
【0027】結合部吸収体3B′と結合部に隣接する本
体部吸収体3A′とを別部品の吸収体で構成することに
より、一体にするよりもそれぞれの吸収体の成形が単純
になり、またそれぞれの圧縮率の設定も容易に調整でき
る。吸収体をインク容器筐体1に挿入する際にも一体の
ものに比べて容易になる。例えば、まず有底角筒体1A
内に本体部吸収体3A′だけを挿入し、この状態で有底
角筒体1Aと蓋部材1Bを溶着する。そして最後に結合
部吸収体3B′を筒状体1C内に挿入すれば良い。また
別部品にしたことで両者を別々の材質で成形することも
できる。
【0028】(実施例3)本実施例の第3の実施例を図
5に示す。本実施例は結合部吸収体3B′と結合部に隣
接する本体部吸収体3A′とを別部品の吸収体で構成し
ている。また、結合部吸収体3B′の毛管力Kaと、結
合部に隣接する本体部吸収体3A′の毛管力Kbとの関
係は前実施例と同じである。
【0029】さらに本実施例では、本体部吸収体3A′
と結合部吸収体3B′との間に両者を分離するように配
した、例えばフィルタ部材6が設けられている。このフ
ィルタ部材6を設けることにより、本体部吸収体3A′
内の不純物がインク吐出装置部4内に入り込み、吐出口
4Dに不純物がつまりインクの吐出不良が起きるのを防
ぐ。
【0030】さらに、本実施例にあっては、本体部吸収
体3A′は、インクが筒状部1C付近に集まり易くする
ために、筒状部1Cの端面によって、収納前後の体積比
が本体部吸収体3A′の他部分の70%よりも若干小さ
く、部分的に60〜65%程度にさらに圧縮されている
ことが望ましい。このことは、吸収体3A′,3B′を
別材質、別特性のものを用いた場合も、本体部吸収体3
A′の第1開口部に隣接する部分の毛管力が別部分の毛
管力よりも若干高めになるように筒状部1Cの端面で圧
接しておくとよい。
【0031】なお、上述した実施例では本体部吸収体の
毛管力Kbは、その全体に亘り略々同一となるように設
定したが、第2開口部から第1開口部に向かい毛管力K
bが徐々に大きくなるように勾配をもたせるようにして
もよい。このためには、例えば本体部吸収体のインク容
器筐体への収納前の形状を角錐台状となし、収納時にお
いて第1開口部に近い側の圧縮率を大きくするようにす
ればよい。このようにすれば、第1開口部へのインクの
移動がさらにスムーズに行われる。
【0032】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0033】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0034】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0035】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0036】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0037】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0038】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0039】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0040】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0041】
【発明の効果】本発明のインク容器によれば、簡単な構
成で、ユーザー交換分離型のインクジェットカートリッ
ジに必要とされる結合解除直後のインクだれを防ぐこと
ができる。また結合時のインク消費も途中でインク切れ
を起こすことなくスムーズにインクを使い切ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例の断面図であり非結合状態
を示す。
【図3】本発明の第1実施例の断面図であり結合状態を
示す。
【図4】本発明の第2実施例を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 インク容器筐体 1C 筒状部(第1の開口部) 1D 第2開口部 3 吸収体 3A,3A′ 本体部吸収体 3B,3B′ 結合部吸収体 4 インク吐出装置 4A 突出部 4D 吐出口 6 フィルタ部材

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク吐出装置部と結合する第1の開口
    部と、インク吐出装置部との結合時に大気と連通する第
    2の開口部とが形成された筐体の内部にインクを保持す
    る吸収体を有するインク容器において、 前記吸収体のインク吐出装置部との結合部分の毛管力K
    aと、該結合部分に隣接する部分の毛管力Kbとが、 結合時には、 Ka(結合時)≧Kb の関係をもち、 結合解除直後には、前記結合部分の毛管力Kaが、結合
    時に比べて、 Ka(結合時)≧Ka(結合解除時) であって、さらに結合部分の毛管力Kaと結合部分に隣
    接する部分の毛管力Kbとが、Ka(結合解除時)≦K
    bとなるように構成したことを特徴とするインク容器。
  2. 【請求項2】 前記インク吐出装置部と前記インク容器
    とが、ユーザーにより分離、結合可能なことを特徴とす
    る請求項1記載のインク容器。
  3. 【請求項3】 前記インク容器の吸収体は、インク吐出
    装置部との結合部分の吸収体と、他部分の吸収体とが別
    体であることを特徴とする請求項1または2記載のイン
    ク容器。
  4. 【請求項4】 前記結合部分の吸収体と前記他部分の吸
    収体との間に、両者を分離する部材を設けたことを特徴
    とする請求項3記載のインク容器。
  5. 【請求項5】 前記分離する部材がフィルタであること
    を特徴とする請求項4記載のインク容器。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載のイ
    ンク容器を装着したことを特徴とするインクジェット記
    録装置。
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