JP2839425B2 - ドッグボーン型粗形鋼片の製造方法 - Google Patents

ドッグボーン型粗形鋼片の製造方法

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JP2839425B2
JP2839425B2 JP8734493A JP8734493A JP2839425B2 JP 2839425 B2 JP2839425 B2 JP 2839425B2 JP 8734493 A JP8734493 A JP 8734493A JP 8734493 A JP8734493 A JP 8734493A JP 2839425 B2 JP2839425 B2 JP 2839425B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は矩形断面の鋼片を素材と
してH形鋼、I形鋼等のウェブとフランジを有する形鋼
を製造するためのドッグボーン型粗形鋼片(以下、単に
「粗形鋼片」と称する)を造形する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば図9に示すH形鋼55を製
造する圧延工程は、粗形鋼片54を粗造形するための粗
2重孔型圧延機1、第1中間粗ユニバーサル圧延機2a
および該第1中間粗ユニバーサル圧延機に近接して設け
られたエッジング圧延機2b、第2中間粗ユニバーサル
圧延機3aおよびこの第2中間粗ユニバーサル圧延機に
近接して設けられたエッジング圧延機3b、および仕上
げユニバーサル圧延機4からなる圧延工程で行なわれて
いる。ここで、H形鋼用圧延素材としては、従来の鋼塊
から均熱・分塊圧延によって造形された粗形鋼片に代わ
り、近年は工程省略および品質向上のため、連続鋳造に
よる矩形断面鋼片が多用されるようになった。矩形断面
鋼片を素材とする粗形鋼片の粗造形技術は、特公昭58
−19361号公報、特公昭58−37042号公報ま
たは特開平2−169103号公報等に開示された技術
が周知である。図10は粗2重孔型圧延機1のロール孔
型配置の一例であり、上下ロール対11,12にはG
1,G2,G3,G4の4つの孔型が刻設されている。
図11はこのような孔型を有する粗2重孔型圧延機によ
り、矩形断面鋼片5を素材として粗形鋼片54を成形し
ていく過程を示す。図11において矩形断面鋼片5の寸
法は幅W0、厚みH0であり、孔型G1は矩形断面鋼片
のH0の短辺部にV状溝51aを形成するための孔型で
あり、孔底幅の中央部には頂部角度θ1の中央膨出部2
1aと該中央膨出部の両側に溝部21bが刻設されてい
る。該孔型G1の孔底幅S1は、矩形断面短辺部の中央
部に正確にV状溝を形成するために、矩形断面鋼片5の
厚みH0にほぼ等しくとるのが原則であるが、実際には
側壁部との接触による疵発生を防止するため、H0より
も若干大きくとるのが普通である。孔型G1ではV状溝
51aを形成することが目的であり、孔型G1の最終仕
上がり材の幅W1はほぼ矩形断面鋼片の幅W0に等し
い。孔型G1で矩形断面鋼片の短辺部に付与されたV状
溝により、被圧延材は孔型G2の中央部に正確に誘導さ
れ、かつエッジング圧延時の倒れやねじれを防止する。
孔型G2の孔底幅S2および中央膨出部22aの頂部角
度θ2は前記孔型G1の孔底幅S1および中央膨出部2
1aの頂部角度θ1よりも大きく設定されている。該孔
型G2において、幅がW2になるまでの矩形断面幅方向
エッジング圧延により、H形鋼フランジ相当側面42を
中央膨出部22aで割り広げ、フランジを生成かつフラ
ンジ幅・肉量を拡大し、フランジ幅を孔底幅S2にほぼ
等しい値あるいはその近傍の値B2に仕上げる。
【0003】次に、孔底幅S3が前記孔型G2の孔底幅
S2より大きく設定されている孔型G3での幅方向エッ
ジング圧延により、孔型G2で造形されたドッグボーン
材のフランジ幅・肉量をさらに拡大してフランジ幅を孔
底幅S3にほぼ等しい値あるいはその近傍の値B3に仕
上げる。同時に、孔型G2の中央膨出部22aの頂部角
度θ2よりも大きく形成された頂部角度θ3の中央膨出
部23aにより、孔型G2で形成されたV状溝52aの
傾斜を緩やかにして53aとし、次工程以降でフランジ
外側部の折れ込み疵が発生するのを未然に防止する。な
お、以上孔型G1から孔型G3に到るエッジング圧延の
際には、図11に示すように幅圧下の影響が被圧延材の
幅方向中央部までは及ばないため、被圧延材の、孔型G
1におけるウェブ厚みH1、孔型G2におけるウェブ厚
みH2、孔型G3におけるウェブ厚みH3はほとんど変
化せず、ほぼ矩形断面鋼片の厚みH0に等しい。
【0004】続いて、孔型G4により被圧延材のウェブ
部およびフランジ部を圧下し、ウェブ部を圧下するとと
もにフランジ部を整形して、ウェブ高さW×フランジ幅
B×ウェブ厚みHの粗形鋼片54の造形を完了する。
【0005】さて、以上のような従来の矩形断面鋼片を
素材とする粗形鋼片の粗造形法においては、例えば前述
の特願平2−169103号公報で説明されているよう
に素材の断面寸法は目標とする粗形鋼片の寸法から決め
られる。以下に、その考え方を示す。
【0006】まず、孔型G3でフランジ幅B3を得るま
でに必要な、孔型G1→孔型G2→孔型G3と順次エッ
ジング圧延していく際の累計エッジング量(=W0−W
3)に対して、フランジ幅生成効率αを次式で定義す
る。
【0007】 α=(B3−H3)/(W0−W3) …(1) すなわち、αは単位幅エッジング量(幅圧下量)に対す
るフランジ幅拡大量を示す指標である。
【0008】次に、孔型G4で成形されるべき粗形鋼片
のウェブ高さをW、フランジ幅をB、ウェブ厚みをH、
孔型G3の最終エッジング圧延後の被圧延材のウェブ高
さをW3、フランジ幅をB3、ウェブ厚みをH3とし
て、フランジ幅減少率βを次式で定義する。
【0009】 β=(B3−B)/(H3−H) …(2) 孔型G4での被圧延材のウェブ圧下によるウェブ厚み減
少に伴い、そのフランジ幅も同時に縮小するが、βは単
位ウェブ圧下量に対するフランジ幅減少量を示す指標で
ある。
【0010】(1)式と(2)式よりB3を消去する
と、矩形断面鋼片の幅W0は次式で与えられる。
【0011】 W0=W3+{β(H3−H)+B−H3}/α …(3) が得られる。さらに、ここで孔型G3仕上がりドッグボ
ーン材のウェブ高さW3が孔型G4仕上がり材のウェブ
高さWにほぼ等しいこと。ウェブ厚みH3が矩形断面鋼
片の厚みH0にほぼ等しいこと(すなわちW≒W3,H
0≒H3)を考慮すると、 W0=W+{β(H0−H)+B−H0}/α …(4) となる。すなわち、α,βを数値あるいは函数形として
明らかにすれば、目標とする粗形鋼片のウェブ高さW,
フランジ幅B,ウェブ厚みHに対して、矩形断面鋼片の
厚みH0を与えれば、その幅W0は(4)式に基づいて
決定される。さらに途中段階における被圧延材のフラン
ジ幅の値に基づいて孔型の孔底幅S2,S3も決定され
る。
【0012】ところが、(4)式より分かるように、矩
形断面鋼片5の断面寸法H0×W0は粗形鋼片54のサ
イズW×B×Hに1対1に対応しているため、矩形断面
鋼片の厚みH0が一定下で、その幅W0は粗形鋼片のサ
イズ(ウェブ高さW×フランジ幅B×ウェブ厚みH)毎
に、従ってH形鋼の各製品シリーズ毎に準備する必要が
生じていた。実際は、図9の中間圧延工程以降(2a,
2b,3a,3b,4)のパススケジュールの調整等に
よる断面寸法の造り分け機能により、極く近い製品シリ
ーズ間で矩形断面鋼片を結合して素材を集約することが
できていたが、その範囲は小さく、従って広い範囲の矩
形断面鋼片幅を統合して素材を集約するには限界があっ
た。
【0013】このため、素材幅の種類が多くなって素材
管理が繁雑になるだけでなく、素材が連続鋳造スラブで
あれば鋳造ロットと圧延ロットの差に起因する素材在庫
の増加を招き、素材管理ヤードの面積を増加させてい
た。さらに、狭幅の矩形断面スラブの連続鋳造では鋳造
能率の低下や連々鋳率の低下から、結果的に素材コスト
の増加を余儀なくされていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は矩形断面鋼片
を素材として粗形鋼片を2重孔型ロールで製造するに際
して素材断面寸法の集約を可能とする圧延手段、すなわ
ち同一矩形断面の素材から従来よりも広い範囲の大小製
品シリーズに対応する粗形鋼片の造り分けを可能とする
圧延手段を提供し、前記の従来の問題点を解決するもの
である。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、 孔底の幅方向中央部に中央膨出部と該中央膨出部の両
側に溝部を形成し、かつ孔底幅を順次広くした複数のエ
ッジング孔型を用いて、矩形断面鋼片を幅方向にエッジ
ング圧延し前記鋼片の短辺部を割り込み・拡幅圧延して
ドッグボーン型の粗形鋼片を圧延する方法において、前
記エッジング孔型のうちの第1孔型の側壁部により前記
素材の幅方向両端部の厚み増加を抑制しつつ幅方向圧下
を行ない、続いて第2孔型以降で順次、前記短辺部を割
り込み・拡幅圧延するドッグボーン型粗形鋼片の製造方
法および、 孔型の孔型底幅S1を素材厚みH0にほぼ等しく形成
するとともに、当該孔型における必要最大幅圧下量ΔS
に対して、孔底深さDおよび側壁部傾斜角度δを下記の
式によって与えられる条件で刻設した第1孔型により、
素材を幅方向に圧下する前記項に記載したドッグボー
ン型粗形鋼片の製造方法にある。
【0016】
【数2】
【0017】
【作用】孔底の幅方向中央部に中央膨出部と該中央膨出
部の両側に溝部を形成し、かつ孔底幅を順次広くした複
数のエッジング孔型を用いて、矩形断面鋼片を幅方向に
エッジング圧延することによりH形鋼フランジ相当面に
割り込み・拡幅圧延しドッグボーン型断面形状とする公
知の圧延法において、本発明の要旨は第1孔型に対して
V状溝の付与機能だけでなく、孔型深さおよび側壁部角
度を適切に選択することによりフランジ相当部の拡幅を
抑制しつつ、ほぼ矩形断面を保った状態で幅方向圧下す
る機能を付与し、孔型G2以降の累積エッジング量を制
御することにより、同一断面寸法の矩形鋼片素材から異
なる断面寸法の粗形鋼片を造形するところにある。以
下、更に本発明を詳細に説明する。
【0018】図1は本発明の製造手段を示すものである
が、これを図11に示す従来法と対比して説明する。従
来法の場合、(4)式から算定される幅W0、厚みH0
の矩形断面鋼片を孔型G1により、その側壁31で矩形
断面の長辺の端部を誘導しつつ、素材幅はほぼそのまま
(W1≒W0)の状態でV状溝を形成する。続いて、孔
型G2と孔型G3の幅方向エッジング圧延により、ウェ
ブ厚みH3(≒H0)、フランジ幅B3のドッグボーン
形状に仕上げ、孔型G4でウェブ圧下をしつつ、ウェブ
高さW×フランジ幅B×ウェブ厚みHの粗形鋼片を整形
する。これに対して、図1は上記と同一寸法のウェブ高
さW×フランジ幅B×ウェブ厚みHの粗形鋼片を(4)
式から算定される幅W0×厚みH0の矩形断面鋼片より
も広幅の幅V0(>W0)かつ同一の厚みH0の矩形断
面鋼片から造形する工程を示す。本法では、まず孔型G
1の孔底深さDおよび側壁部傾斜角度δを矩形断面鋼片
の断面寸法(幅V0×厚みH0)に対して、次の(5)
式を満足するように刻設する。但し、孔底幅S1および
中央膨出部21aの頂部角度θ1は従来のままとする。
【0019】
【数3】
【0020】まず、孔型G1の側壁31で矩形断面の長
辺の端部を誘導しつつ、中央膨出部によりV状溝51a
を形成する。ここまでの孔型G1の機能は従来と同じで
あるが、今回の発明による方法では、これに引き続い
て、孔型G1にて矩形断面鋼片の厚みH0を側壁31に
より拘束したまま幅圧下を行ない、矩形断面鋼片を長さ
方向(紙面に垂直な方向)へ延伸させることにより、フ
ランジ部の生成を抑制したまま(すなわち、厚みをH0
に保持したまま)、幅をW1(≒W0)まで縮小する。
この間、幅方向中央部の厚みの増加がほとんどなく、ほ
ぼ素材厚みH0を維持したまま(H1≒H0)幅圧下が
行なわれるとともに、厚みH0が孔型G1の側壁部31
で拘束されているため、被圧延材の幅方向端部厚みの増
加も抑制される。この結果、厚み方向の幅拡がりが断面
全体にわたって抑制され、断面の垂直方向すなわち被圧
延材の長さ方向に延伸が優勢となり、矩形断面をほぼ保
ったまま幅圧下が行なわれるのである。すなわち、孔型
G1の幅圧下終了段階で被圧延材はほぼ矩形断面であ
り、断面寸法は従来法での孔型G1仕上がり段階とほぼ
同じ(幅W0×厚みH0)であるから、引き続いて、従
来と同様に孔型G2→孔型G3→孔型G4の順に整形を
行なえば、従来と同一寸法のウェブ高さW×フランジ幅
B×ウェブ厚みHの粗形鋼片54を整形できる。この矩
形断面鋼片の幅方向サイジング法が可能となった理由を
以下に述べる。
【0021】まず、孔型G1による矩形断面鋼片の圧下
状況を図2〜図4に示す。図2は孔型G1で正常に矩形
断面鋼片の幅圧下が行なわれている状態を示す。孔底幅
S1は従来法と同様に矩形断面鋼片の厚みH0にほぼ等
しくとってあり、孔底部61aには公知の頂部角度θ1
の中央膨出部21aが刻設されている。本発明の新規性
は、孔型G1での矩形断面鋼片の幅圧下(幅圧下量V0
−W0)を可能とするための、孔型深さD、側壁部傾斜
角度δの条件を見出し、矩形断面鋼片の断面寸法集約を
実現したところにある。
【0022】すなわち、側壁部傾斜角度δについては、
矩形断面鋼片をその厚みを拘束した状態で幅圧下をする
ためには、出来るだけこれを小さくすることが望ましい
が、これが小さすぎると図3に示す如く、所定の幅圧下
量に至る前に孔型から、メタル71が噛み出したり(図
3(a))、厚み拘束度が強くなり過ぎて、ロール孔型
破損72(図3(b))あるいは素材側面部への擦り下
げ疵73(図3(c))やロール焼付を誘発しやすい。
噛み出しを防止するためには、孔型深さDを大きくとれ
ば良いが、あまり大きくすると孔底のロール径DS(図
2)が小さくなってロール強度の点で問題が発生する。
【0023】一方、これとは逆に図4の如く、側壁部傾
斜角度δを大きくとると、孔型G1での幅圧下の際にフ
ランジ部74が生成してしまうため、孔型G3仕上がり
段階では、被圧延材のフランジ肉量が過剰になってしま
う。
【0024】発明者等は矩形断面鋼片の孔型G1での幅
圧下を可能とする条件について研究を行なった結果、以
下のようにしてこれを見出した。
【0025】まず、孔型深さDであるが、これは幅圧下
圧延の際、図2のように孔型G1内でフランジが隆起し
てくるが、この場合の体積一定の条件から、 2・d(Tf・F)=φ・dE/2・H0 …(6) が成り立つ。但し、Tfはフランジ隆起部の高さFの半
分の位置1/2Fの位置でのフランジ部の被圧延材幅方
向の大きさ(以下、「フランジ平均厚み」と呼ぶ)であ
り、d(Tf・F)はTf・Fの微分、Eは被圧延材の
幅圧下量、dEは幅圧下量の微分である。また、φは幅
圧下圧延による被圧延材の長さ方向延伸による補正係数
であり、幅圧下に伴って被圧延材の長さ方向に延伸が全
く無い場合はφ=1、幅圧下によって排除した断面積が
全て被圧延材の長さ方向延伸に現れた場合は、φ=0で
ある。(6)を積分すると、C1を積分定数として、 Tf・F=1/4・φ・H0・E+C1 …(7) となる。また、幅圧下量Eは矩形断面鋼片の幅をV0、
孔型G1での幅をV1とすると、 E=V0−V1 …(8) である。積分定数C1は、幅圧下量E=0時点でのTf
・Fの初期値であり、この場合は孔型G1の中央膨出部
21aにより矩形断面の短辺部にV状溝51aを刻設し
た時点の値に相当する。
【0026】一方、幾何学的関係から、孔型側壁部によ
る拘束長さTuとして、 F=Tu・tanδ …(9) が成立する。ここで、孔型側壁部による拘束長さTuが
ほぼフランジ平均厚みTfに比例する関係(Tu≒C2
・Tf)にあり、(7)式と(9)式より、 Tu={C2・(1/4・φ・H0・E+C1)/tanδ}1/2 …(10) が導き出されるが、今回想定している幅圧下量が極めて
大きい場合には、(10)式の右辺( )内において第
2項は第1項に比べて微小のため結局は、 Tu=1/2・φ1/2 ・C21/2 ・(H0・E/tanδ)1/2 +Tu0 =k{H0・(V0−V1)/tanδ)1/2 +Tu0 …(11) 但し、k=1/2・φ1/2 ・C21/2 であり、Tu0は
最初に孔型G1の中央膨出部により矩形断面の短辺部に
V状溝を刻設した時点のTuの値に相当する。
【0027】(11)式に基づいて、係数kとTu0を
決定するために、実験を行なった。実験条件を図5およ
び表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】矩形断面鋼片は幅V0=1750mm、厚
みH0=250mm、一方、孔型G1は孔底深さD=2
45mm、孔底幅S1=252mm、側壁部傾斜角度δ
=10.5°、中央膨出部の角度θ1=90°、高さh
=50mm、底辺幅W=65mmである。結果を図6に
示す。横軸に孔型G1での幅圧下量の平方根(すなわ
ち、(11)式右辺の(V0−V1)1/2 に相当)、縦
軸には拘束長さTuを取っている。この結果から、(1
1)式から予測される通り、両者は直線関係にあり、一
次回帰結果から、直線の傾きは5.72、縦軸切片は9
3が得られた。すなわち、これと(11)式との比較か
ら、k=0.15、Tu0=93となる。但し、Tu0
は中央膨出部の形状に影響され、突起の大きさが小さい
程、その値は小さくなる。
【0030】孔型G1の孔型深さDを拘束長さTuより
大きく取っておけば、図3(a)のようなメタルの噛み
出し71は発生しない。
【0031】すなわち、 D≧Tu=k{H0・(V0−W1)/tanδ}1/2 +Tu0 =0.15{H0・(V0−W1)/tanδ}1/2 +Tu0 ≧0.15{H0・(V0−W1)/tanδ}1/2 …(12) とすれば良い。ここで、被圧延材の孔型G1仕上がり幅
W1は必要な粗形鋼片の寸法によって変化するが、当該
孔型G1で要求される幅圧下量(V0−W1)最大量を
ΔSとすると、
【0032】
【数4】
【0033】となるように、孔型G1の孔型深さD、側
壁部傾斜角度δを決めれば良い。
【0034】実施に当たって、側壁部傾斜角度δは(孔
型G1での幅圧下の際に出来るだけ矩形断面を保つため
に)小さい方が望ましいが、図3の様な不具合が発生し
ない限界で決定すれば良い。側壁部傾斜角度δの最適値
は孔型側壁と被圧延材間の摩擦係数、圧延潤滑の有無、
被圧延材温度等によって変わり、その時の条件に応じて
決定する。但し、(13)式から分かるように、側壁部
傾斜角度δを小さくとって大きな幅圧下量ΔSを得よう
とすると、孔型深さDを大きく取らざるを得なくなり、
孔型底径DSの減少を招き、ロール強度の低下につなが
る。従って、側壁部傾斜角度δ、孔型深さDは(13)
式を満足する条件下で、設備条件、操業条件に応じて決
定されるべきである。
【0035】また、本発明のように孔型G1での側壁部
拘束による素材幅縮小の代わりに、孔型G2の孔型深さ
を大きくしてその側壁拘束による幅縮小、あるいは両者
の組み合わせも考えられるが、孔型G2での側壁拘束で
は、被圧延材フランジ部の拘束度が弱く、図7のように
被圧延材のフランジ幅拡がりに伴ってフランジ先端部が
内側に向けて巻き込みやすいので、幅圧下量は孔型G1
ほどは大きく取れない。
【0036】
【実施例】孔型G1の寸法を図8に示す。目的は、従来
孔型G4仕上がりの粗形鋼片のサイズに応じて、厚みH
0=250mmの矩形断面鋼片の4種類の幅(1150
mm、1200mm、1230mm、1280mm)を
1種類(1280mm)に集約することであった。この
目的を達成するために、孔型G1で最大幅圧下量 ΔS=1280−1150=130mm を可能にすべく、孔型G1は孔底深さD=190mm、
孔底幅S1=252mm、側壁部傾斜角度δ=4°とし
た。ここで、4°の側壁部傾斜角度は、素材への引っ掻
き疵防止のための最低の角度であり、孔底深さD=19
0mmは、(13)式に従って、 D≧0.15×(H0・ΔS/tanδ)1/2 =0.15×(250×130/tan4°)1/2 ≒100mm さらに、孔型G1の初期パスのV状溝付与に伴う、拘束
長さTu0=90mmを考慮して孔型深さD=190m
mとした。この結果、従来は4種類の素材幅の鋼片が必
要であったものが1種類の鋼片に集約可能となり、素材
コスト、素材の在庫削減等、多大な効果を得た。
【0037】
【発明の効果】本発明により、従来はH形鋼、I形鋼等
の製品のサイズに対応して異断面寸法を準備することを
余儀なくされていた矩形断面素材に対して、その断面寸
法を集約することにより、素材管理の簡素化、素材在庫
の減少、素材コストの削減を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧延状況説明図。
【図2】孔型G1における矩形断面鋼片の幅圧下状況説
明図。
【図3】(a),(b),(c)は孔型G1の側壁部傾
斜角度の小さすぎる場合の圧延状況説明図。
【図4】逆に孔型G1の側壁部傾斜角度の大きすぎる場
合の圧延状況説明図。
【図5】孔型G1の孔型深さと側壁部傾斜角度を決定す
る実験に使用した孔型の説明図。
【図6】孔型G1での素材幅圧下量と拘束長さの関係の
実験データを示すグラフ。
【図7】孔型G2での素材幅の過度な圧下時の状況を示
す状況図。
【図8】実施例の孔型G1を示す説明図。
【図9】H形鋼、I形鋼等ウェブとフランジを有する形
鋼の圧延設備を示す説明図。
【図10】粗2重孔型圧延機のロール孔型配置の一例を
示す説明図。
【図11】従来の粗2重孔型圧延機での矩形断面鋼片か
ら粗形鋼片の製造方法を示す説明図。
【符号の説明】
1…粗2重孔型圧延機 2a…第1中間
粗ユニバーサル圧延機 2b…第1エッジング圧延機 3a…第1中間
粗ユニバーサル圧延機 3b…第1エッジング圧延機 4…仕上げユニ
バーサル圧延機 5…矩形断面鋼片 54…孔型G4
仕上がりの粗形鋼片 55…H形鋼製品 11,12…それぞれ粗2重孔型圧延機の上下ロール 21a,22a,23a…それぞれ孔型G1,孔型G
2,孔型G3の中央膨出部 21b,22b,23b…中央膨出部の両側の溝部 31,32,33…それぞれ孔型G1,孔型G2,孔型
G3の側壁部 41,42,43…それぞれ孔型G1,孔型G2,孔型
G3のフランジ相当側面 51a,52a,53a…それぞれ孔型G1,孔型G
2,孔型G3における被圧延材のV状溝 61a…孔型G1の孔底部 71…孔型G1の側壁部傾斜角度が小さ過ぎる場合に発
生するメタルの噛み出し部 72…孔型G1の側壁部傾斜角度が小さ過ぎる場合に発
生するロール孔型破損部 73…孔型G1の側壁部傾斜角度が小さ過ぎる場合に発
生する擦り下げ疵部 74…孔型G1の側壁部傾斜角度が大き過ぎる場合に発
生する不要フランジ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田和夫 堺市築港八幡町1番地 新日本製鐵株式 会社堺製鐵所内 (56)参考文献 特公 昭59−18124(JP,B2) 特公 昭64−1201(JP,B2) 特公 平2−14121(JP,B2) 特公 平1−30561(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 1/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 孔底の幅方向中央部に中央膨出部と該中
    央膨出部の両側に溝部を形成し、かつ孔底幅を順次広く
    した複数のエッジング孔型を用いて、矩形断面鋼片を幅
    方向にエッジング圧延し前記鋼片の短辺部を割り込み・
    拡幅圧延してドッグボーン型の粗形鋼片を圧延する方法
    において、前記エッジング孔型のうちの第1孔型の側壁
    部により前記素材の幅方向両端部の厚み増加を抑制しつ
    つ幅方向圧下を行ない、続いて第2孔型以降で順次、前
    記短辺部を割り込み・拡幅圧延することを特徴とするド
    ッグボーン型粗形鋼片の製造方法。
  2. 【請求項2】 孔型の孔型底幅S1を素材厚みH0にほ
    ぼ等しく形成するとともに、当該孔型における必要最大
    幅圧下量ΔSに対して、孔底深さDおよび側壁部傾斜角
    度δを下記の式によって与えられる条件で刻設した第1
    孔型により、素材を幅方向に圧下することを特徴とする
    請求項1記載のドッグボーン型粗形鋼片の製造方法 【数1】
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