JP2838192B2 - 炭化水素分解用触媒及びそれを用いた水素製造方法 - Google Patents

炭化水素分解用触媒及びそれを用いた水素製造方法

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JP2838192B2 JP8043918A JP4391896A JP2838192B2 JP 2838192 B2 JP2838192 B2 JP 2838192B2 JP 8043918 A JP8043918 A JP 8043918A JP 4391896 A JP4391896 A JP 4391896A JP 2838192 B2 JP2838192 B2 JP 2838192B2
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和久 村田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な炭化水素分解
用触媒、及びそれを用いた水素製造方法に関するもので
ある。さらに詳しくいえば、本発明は、炭化水素類を効
率よく熱分解する触媒、及びこの触媒を用いて、メタン
などの炭化水素類を比較的穏和な条件で熱分解処理し、
二酸化炭素の副生及び触媒活性の低下を抑え、水素を効
率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、水素はアンモニアやメタノールな
どの原料などとして、化学工業において広く用いられて
おり、また、今後、エネルギー源として大量に使用され
る方向にある。この水素の製造方法としては、メタンな
どの炭化水素類を水蒸気改質したり、空気により部分酸
化したりする方法などが知られている。しかしながら、
これらの方法においては、地球温暖化の原因物質である
二酸化炭素を多量に副生するという欠点があり、したが
って、二酸化炭素の副生を極力抑えた炭化水素類から水
素を製造する方法の開発が望まれている。
【0003】炭化水素類から水素を製造する別の方法と
して、メタンなどを熱分解して、水素と固体状炭素を製
造する方法が知られており、例えばシリカ担持ニッケル
触媒を用い、メタンを分解する方法が報告されている
[「第72回触媒討論会予稿集」,第190ページ(1
993年)]。しかしながら、この方法においては、酸
性担体であるシリカなどを用いているため、触媒の活性
低下が著しく、また、活性低下を防ぐために水などの共
存下で反応を行うと、二酸化炭素の副生が多くなるとい
う欠点がある。
【0004】さらに、金属を含まない炭素のみの触媒を
用いる方法として、メタンの分解を行う方法が提案され
ているが(特願平6−310293号)、この場合、1
000℃前後に加熱する必要があり、金属を含む触媒を
用いる場合と比べて著しく不利になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、メタンのような炭化水素類を比較的穏和
な条件で熱分解することができ、二酸化炭素の副生及び
触媒活性の低下を伴わずに、水素を効率よく製造するた
めの触媒を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、炭化水素類
を分解するための触媒について鋭意研究を重ねた結果、
中性担体である炭素質物質に特定の金属化合物を担持さ
せた触媒が、意外にも、二酸化炭素の副生を伴うことな
く、比較的緩和な条件下で炭化水素を分解することがで
き、しかも長時間にわたって触媒活性を持続するという
ことを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至っ
た。
【0007】すなわち、本発明は、炭素質物質にニッケ
ル化合物及びアルカリ金属とアルカリ土類金属の中から
選ばれた少なくとも1種の金属の化合物を担持させたこ
とを特徴とする炭化水素分解用触媒、及びこれに200
〜1000℃の温度において、炭化水素類を接触させ、
熱分解することにより水素を製造する方法を提供するも
のである。
【0008】本発明においては、前記炭化水素分解用触
媒として、担体に酸処理された炭素質物質を用いたもの
が特に好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の炭化水素分解用触媒にお
いて担体として用いられる炭素質物質としては、その原
料や製造法については特に制限されず、例えば木材や石
油などの燃料を燃焼する際に発生する煤、木炭や活性炭
などの超微粉末、活性炭や炭素電極を用いる炭素のアー
ク放電処理物、特にカーボンナノチューブやC60、C
70などのフラーレン、有機化合物の熱分解生成物であ
るアモルファス炭素、それよりも若干結晶性の良いグラ
ファイトやダイヤモンド超微粒子などを用いることがで
きる。
【0010】これらの炭素質物質の中では、前記の炭素
のアーク放電処理物、特にフラーレン及び有機化合物の
熱分解生成物が好ましい。
【0011】この炭素質物質としては、特に、前記アモ
ルファス炭素などに代表されるように、その構造中に少
なくとも部分的にミクログラファイト構造を有する物質
が好適であり、このようなものとしては、例えば粉末X
線回折による炭素(002)のデータから計算される面
間隔d002が0.335〜0.365nmの範囲にあ
るものを挙げることができる。このような炭素質物質
は、ミクログラファイト構造とその周辺のアモルファス
構造の両方を有しているために、それらの間隙に活性成
分の金属化合物を相当量保持し、使用中に該活性成分が
凝集するのを防ぎ、活性低下を抑制する効果を有する。
なお、ミクロ構造によっては、粉末X線回折による炭素
(002)が明確に現れないこともあるが、この場合も
もちろん本発明に包含される。
【0012】このようなアモルファス炭素は、例えば、
有機化合物をアルゴンや窒素などの不活性ガス中又は減
圧下に、500〜2000℃程度、好ましくは800〜
1300℃で熱分解することにより製造することができ
る。そして、不活性ガス存在下で熱分解する場合は、不
活性ガスを、通常5〜1000cm3 /分、好ましく
は、10〜300cm3 /分の速度で流しながら、通常
0.5〜50時間、好ましくは1〜10時間程度熱分解
を行う。一方、減圧下で熱分解を行う場合は、通常1〜
50000Pa、好ましくは10〜5000Paの圧力
下に、所定温度で閉鎖系にて10分ないし2時間程度、
さらに同温度で開放系にて20分ないし1時間程度熱分
解するのが望ましい。
【0013】この熱分解に用いられる原料の有機化合物
は低分子化合物であってもよいし、高分子化合物であっ
てもよく、また窒素、酸素、リン、イオウ、ホウ素、セ
レン、金属などのヘテロ元素が含まれていてもよい。
【0014】このような有機化合物としては、低分子炭
化水素化合物として、例えばペンタン、オクタン、ドデ
カン、ジメチルプロパン、ジメチルブタン、シクロヘキ
サン、シクロドデカン、アダマンタン、ノルボルナン、
ベンゼン、トルエン、ナフタレンなどが、低分子塩化炭
化水素化合物として、例えばクロロプロパンやクロロシ
クロヘキサンなどが、含窒素低分子有機化合物として、
例えばエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミ
ン、n‐ブチルアミン、エチレンジアミン、プロパンジ
アミンなどの脂肪族アミン類、アニリンやトルイジンな
どの芳香族アミン類、1,4,8,11‐テトラアザウ
ンデカン、1,5,8,12‐テトラアザドデカン、
1,5,9,13‐テトラアザトリデカン、1,4,
8,11‐テトラアザシクロテトラデカン、1,4,
8,12‐テトラアザシクロペンタデカンなどのアザ化
合物類などが挙げられる。
【0015】また、含酸素低分子有機化合物として、例
えばエタノールやプロパノールなどの脂肪族アルコー
ル、シクロヘキサノールやシクロドデカノールなどの脂
肪族環状アルコール、アダマンタノールなどの架橋脂肪
族アルコール、フェノールやビスフェノールなどのフェ
ノール類、脂肪族及び芳香族ケトン類、脂肪族及び芳香
族アルデヒド類、脂肪族及び芳香族エステル類、脂肪族
及び芳香族エーテル類、脂肪族及び芳香族カルボン酸類
などが挙げられる。
【0016】さらに、含リン低分子有機化合物として、
例えばトリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ン、トリエトキシホスフィン、トリヒドロキシエチルホ
スフィン、トリクロロメチルホスフィン、トリアミノエ
チルホスフィン、1,2‐ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)エタンなどのホスフィン類が、含イオウ低分子有機
化合物として、例えばエチルメルカプタンやプロピルメ
ルカプタンなどのメルカプタン類、エチレンチオグリコ
ール、1,2‐プロパンジチオールなどのジチオール
類、ジプロピルスルフィドなどのジアルキルスルフィド
類、ジプロピルジスルフィドなどのジアルキルジスルフ
ィド類、チオフェンやジベンゾチオフェンなどのチオフ
ェン類などが、含ホウ素低分子有機化合物として、例え
ばトリエチルボラン、トリブチルボラン、トリ‐n‐ブ
チルボレート、クロロジエチルボランなどが、含セレン
低分子化合物として、例えばジメチルセレナイドやジエ
チルセレナイドなどが挙げられる。
【0017】一方、含金属有機化合物として、有機金属
錯体や配位錯体など、具体的にはフェロセンやコバルト
センなどの鉄やコバルトなどの有機金属錯体、ビスシク
ロペンタジエニルサマリウムやランタンなどの希土類有
機金属錯体、鉄アセチルアセトナート、ジルコニウムテ
トラエトキシドなどのアセチルアセトンやアルコキシ基
のような有機残基が配位した錯体などが挙げられる。
【0018】次に、高分子有機化合物としては、芳香族
化合物やα,β‐不飽和化合物の重合体又は共重合体、
あるいは無機化合物や有機化合物を含む前記高分子化合
物が好ましく挙げられる。このような高分子有機化合物
としては、芳香族化合物の重合体として、例えばヒドロ
キシベンズアルデヒド類、ヒドロキシフタルアルデヒド
類、ヒドロキシナフトアルデヒド類などの重合体が、共
重合体として、例えば芳香族アルデヒド類とフェノール
類、ナフタレン類、アントラセン類、フェナントレン
類、インドール類、カルバゾール類、チオフェン類など
との共重合体が挙げられる。これらの芳香族化合物を重
合させる際は、アルゴンや窒素などの不活性ガス気流中
において、50〜400℃程度、好ましくは、100〜
250℃で行えばよく、また、必要に応じ、無機や有機
の添加剤を存在させたり、溶媒の存在下に重合反応を行
ってもよい。ここで使用する溶媒は、重合反応温度以上
の沸点をもつものであればよく、特に制限されず、通常
の重合反応溶媒を使用することができる。また、無機又
は有機添加剤は、重合反応終了後の反応液中に添加して
もよいが、この添加時期については特に制限はない。
【0019】前記重合体や共重合体の原料として好適な
α,β‐不飽和化合物の例としては、α,β‐不飽和カ
ルボン酸類やハロゲン化ビニル類、カルボン酸ビニル
類、ビニル芳香族類、ビニルエーテル類、ビニル基を有
する窒素化合物などのα,β‐不飽和ビニル化合物類や
オレフィン類、アセチレン類のような不飽和炭化水素類
などが挙げられる。これらのα,β‐不飽和化合物の代
表的なものとしては、アクリロニトリル、ビニルアルコ
ール、アクリル酸、アクリル酸メチル、ブタジエン、塩
化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、メチルビニルエーテ
ル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、エチレン、プ
ロピレンなどがある。これらの不飽和化合物は公知の方
法によって単一重合又は共重合させて高分子化合物とす
ればよく、重合反応は任意の方法で行うことができる。
また、前記した芳香族化合物の重合体製造時と同様に、
重合反応中や重合反応終了後の反応液中に無機又は有機
の添加剤を加え、添加剤を含む重合体を製造することが
できる。
【0020】前記無機又は有機の添加剤としては、例え
ば活性炭、グラファイト、メソフェースピッチなどの炭
素系材料、ケイ素粉末、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリ
カなどのケイ素系材料、アルミニウム粉末、炭化アルミ
ニウム、窒化アルミニウム、アルミナなどのアルミニウ
ム系材料、炭化ホウ素や窒化ホウ素などのホウ素系材
料、チタン粉末やチタニアなどのチタン系材料、ポリメ
チルシラン、ケイ酸エチル、トリエチルシラン、トリフ
ェニルシランなどの有機ケイ素化合物、アルミニウムイ
ソプロポキシドやトリエチルアルミニウムなどの有機ア
ルミニウム化合物、ポリアクリロニトリル、ポリビニル
ピリジン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、フ
ェノール‐ホルムアルデヒド樹脂などの有機合成高分子
化合物、セルロース、デンプン、ゼラチン、ケラチン、
キチンなどの有機天然高分子化合物などが挙げられる。
【0021】これらの有機化合物を熱分解することによ
り、本発明触媒の担体として用いられる炭素質物質が得
られるが、この場合、前記有機化合物は単独でもよい
し、2種以上の混合物でもよく、例えば低分子化合物と
高分子化合物の混合物を用いることもできる。
【0022】本発明触媒において、担体として用いられ
る炭素質物質は、必要に応じ、酸化剤の存在下に高温処
理して表面を改質することができる。この場合、酸化剤
としては、硝酸などの無機酸類、一酸化炭素、二酸化炭
素及び水などの無機系ガスや液類が好ましい。無機酸類
を用いて処理する場合は、0〜100℃程度、好ましく
は、30〜80℃の温度で1〜10時間程度加熱処理す
るのがよい。一方、無機系ガス又は液類を用いて処理す
る場合は、アルゴンや窒素などの不活性ガス中におい
て、酸化剤濃度を、通常1〜100容量%、好ましくは
5〜50容量%とし、ガス流速5〜1000cm3 /分
程度、好ましくは50〜500cm3 /分、反応温度3
00〜1500℃程度、好ましくは600〜1100℃
の条件で処理するのが有利である。上記の無機酸類とし
ては、特に硝酸が好ましい。
【0023】本発明の炭化水素分解用触媒においては、
活性成分として、ニッケル化合物及びアルカリ金属やア
ルカリ土類金属の化合物が用いられる。ここで、ニッケ
ル化合物としては特に制限はないが、塩基性物質による
加水分解により、容易に水酸化ニッケルを生成するもの
が好ましい。このようなものとしては、例えば塩化ニッ
ケル、臭化ニッケルなどのハロゲン化ニッケル類、硝酸
ニッケル、硫酸ニッケルなどの無機酸ニッケル塩類、ギ
酸ニッケル、酢酸ニッケルなどの有機酸ニッケル塩類、
さらには炭酸ニッケルなどが挙げられる。これらのニッ
ケル化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。
【0024】一方、アルカリ金属やアルカリ土類金属の
化合物としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウ
ム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウムなどの無機酸塩、有機酸
塩、ハロゲン化物、酸化物などが好ましく挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせ
て用いてもよい。
【0025】本発明の炭化水素分解用触媒の調製は、例
えば(1)炭素質物質にニッケル化合物及びアルカリ金
属やアルカリ土類金属の化合物を含浸させる方法、
(2)炭素質物質にニッケル化合物及びアルカリ金属や
アルカリ土類金属の化合物を沈殿させる方法、(3)炭
素質物質にニッケル化合物及びアルカリ金属やアルカリ
土類金属の化合物の溶液を滴下する法(incipie
nt wetness法)、(4)炭素質物質、ニッケ
ル化合物及びアルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物
を混練りする方法などによって行うことができる。前記
(2)の方法においては、通常酸性のニッケル塩及びア
ルカリ金属やアルカリ土類金属の塩と塩基性の沈殿剤と
の組み合わせが好ましい。該沈殿剤としては、例えばア
ンモニア水、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げ
られる。
【0026】本発明触媒においては、前記炭素質物質
は、耐熱性物質との混合物の形で用いるのが好ましい。
この耐熱性物質としては、多孔性及び非多孔性のものが
使用可能であるが、非多孔性物質が好適である。このよ
うな耐熱性物質の例としては、石英砂、溶融シリカ、溶
融アルミナ、窒化ホウ素などが挙げられる。
【0027】この耐熱性物質は、該炭素質物質よりも大
きな粒径を有する粒子状のものが好ましく、その平均粒
径は、通常1〜5000μm、好ましくは50〜100
0μmの範囲である。この耐熱性物質は、炭素質物質1
重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましく
は1〜20重量部の割合で用いられる。
【0028】該炭素質物質をこの耐熱性物質との混合物
の形で使用する場合、例えば(1)炭化水素ガスを触媒
上に通す場合に、炭素質物質の飛散が防止される、
(2)触媒層の目詰りを防止することができる、(3)
熱を効率よく炭素質物質へ伝達することができる、など
の効果が得られる。
【0029】本発明触媒におけるニッケル化合物及びア
ルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物の担持量は、炭
素質物質に対するニッケル原子の量が、通常1〜100
重量%、好ましくは5〜50重量%、アルカリ金属やア
ルカリ土類金属原子の量が、通常0.1〜100重量
%、好ましくは1〜30重量%になるように選ばれる。
また、ニッケル化合物とアルカリ金属やアルカリ土類金
属の化合物との含有割合は、金属原子として、重量比
が、通常1000:1、ないし1:100、好ましくは
100:1ないし1:5になるように選ばれる。
【0030】次に、本発明方法に従って水素を製造する
には、例えば炭化水素類を前記炭化水素分解用触媒と接
触させ、熱分解する。原料として使用する炭化水素類
は、水素/炭素比の大きい常温気体状又は液体状のもの
が好ましい。このような炭化水素類の例としては、メタ
ン、エタン、エチレン、プロパンなどの脂肪族炭化水
素、シクロヘキサン、シクロペンタンなどの脂環式炭化
水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化
水素を好ましく挙げることができるが、パラフィンワッ
クスなどの常温固体状炭化水素を使用することもでき
る。これらの炭化水素類は単独で用いてもよいし、2種
以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】これらの炭化水素類は、熱力学的に有利に
効率よく熱分解させるために、アルゴン、窒素、ヘリウ
ムなどの不活性ガスで希釈して用いるのが好ましい。こ
の場合、反応ガス中の炭化水素類の濃度は0.1〜50
容量%程度、好ましくは1〜10容量%とするのが有利
である。また、反応温度は200〜1000℃、好まし
くは300〜700℃の範囲で選ばれる。さらに、触媒
表面と炭化水素ガスとの接触時間は0.01〜1000
秒程度、好ましくは0.1〜50秒とするのがよい。反
応系内の酸素濃度は0.1容量%以下が好ましく、特に
酸素不在下で熱分解反応を行うのが有利である。
【0032】また、この熱分解反応においては、必要に
応じ、水や二酸化炭素などの酸化剤を反応系に共存させ
てもよく、この共存により、触媒上に付着した炭素や反
応時に生成する炭素は除去される。この場合の反応式を
次に示す。 C+H2O → CO+H2 C+CO2 → 2CO 反応系に対するH2OやCO2の供給は、連続的に行って
もよいし、間欠的に行ってもよい。また、その添加量
は、反応により生成した触媒被毒となる炭素が実質除去
され、所望の触媒活性が維持される量が望ましく、一般
的には、原料炭化水素中に含まれる炭素1モルに対し、
通常0.01〜100モル、好ましくは0.1〜10モ
ルの範囲で選ばれる。
【0033】本発明方法は、バッチ方式、流通方式のい
ずれでも実施することができるが、流通方式で実施する
のが好ましい。また、流通方式で実施する場合には、固
定床方式、移動床方式、循環流動床方式[「ケミカルエ
ンジニアリング」,12月号,第27ページ(1994
年)]などを採用することができる。
【0034】本発明方法を固定床方式で実施する場合に
は、触媒を管状反応器に充てんして触媒充てん層を形成
する。この場合、触媒充てん層の上下端部には炭素質物
質の粒径より小さな細孔を有するフィルター層を設ける
のがよい。
【0035】
【発明の効果】本発明によると、中性担体である炭素質
物質に、特定の金属化合物を組み合わせて担持させた触
媒を用い、炭化水素類を比較的穏和な条件で熱分解する
ことにより、二酸化炭素の副生が抑制されるとともに、
触媒活性の低下も少なく、効率よく水素を製造すること
ができる。
【0036】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0037】実施例1 アーク放電法により得られたフラーレン(C60)10
重量%を含む煤1gを、真空中200℃で3時間排気乾
燥したのち、炭酸カリウム0.69g(5ミリモル)と
共に蒸留水200ml中に投入し、60℃にて1時間か
き混ぜた。別途、硝酸ニッケル0.485g(1.67
ミリモル)と硝酸カルシウム0.394g(1.67ミ
リモル)を蒸留水100mlに溶かし、これを上記煤含
有液にゆっくり滴下して一晩放置したのち、ろ過し、十
分に水洗後、100℃で一晩乾燥し、触媒1.31gを
得た。
【0038】次に、このようにして得られた触媒0.1
gと粒径100〜1000μmの石英砂2gを良く混合
し、これを内径12mmの石英製反応管中央に充てんし
て触媒層を形成した。この際、触媒層両端に石英ウール
を充てんして、反応中に触媒が移動しないようにした。
【0039】この反応管を電気炉内に装てんし、メタン
/窒素(容量比5/95)の混合ガスを20cm3/分
の速度で通しながら、反応管の内温を6℃/分の速度で
500℃まで昇温させて反応を開始した。30分間反応
を継続後、生成ガスをサンプリングしてガスクロマトグ
ラフィでガス組成を分析したところ、メタン転化率36
%、水素生成速度3.02×10-5モル/分が得られ
た。なお、メタン転化率(%)は、[(原料メタン)−
(未反応メタン)]×100/(原料メタン)で計算さ
れる。また、二酸化炭素、一酸化炭素、エタン、エチレ
ン、ベンゼンなどの水素以外のガス状生成物は全く認め
られず、原料メタンからの固体炭素生成率(炭化率)
は、ほぼ100%であった。
【0040】実施例2〜4 実施例1において、硝酸カルシウムの量を、それぞれ
0.0985g(0.418ミリモル)、0.197g
(0.835ミリモル)及び0.788g(3.34ミ
リモル)とした以外は、実施例1と同様にして触媒の調
製及び反応を行った。反応条件及びメタン転化率と水素
生成速度を表1、表2に示す。なお、炭化率はいずれも
ほぼ100%であった。
【0041】比較例1 実施例1において、硝酸カルシウムを用いなかったこと
以外は、実施例1と同様にして実施した。反応条件及び
結果を表1、表2に示す。なお、炭化率はほぼ100%
であった。
【0042】実施例5 実施例1において、触媒使用量を0.4gに代えた以外
は、実施例1と同様にして実施した。反応条件及び結果
を表1、表2に示す。なお、炭化率はほぼ100%であ
った。
【0043】実施例6 実施例1において、反応温度を600℃に代えた以外
は、実施例1と同様にして実施した。反応条件及び結果
を表1、表2に示す。なお、炭化率はほぼ100%であ
った。
【0044】実施例7〜10 実施例1において、炭素質物質をそれぞれ粒径1〜10
μmの活性炭(アルドリッチ社製、商品名Activa
ted Carbon Darco G−60)、グラ
ファイト(アルファ社製、商品名Carbon Gur
aphitePowder)、シクロドデカンを105
0℃で熱分解することにより合成した炭素(面間隔d0
02=0.35nm)及びフェロセンを900℃で熱分
解することにより合成した炭素に代えた以外は、実施例
1と同様に触媒を調製し、この触媒0.4gを用いて実
施例1と同様にして反応を行った。反応条件及び結果を
表1、表2に示す。なお、炭化率はいずれもほぼ100
%であった。
【0045】実施例11〜13 実施例1で用いたフラーレン(C60)10重量%を含
む煤、実施例8で用いたグラファイト及び実施例9で用
いたシクロドデカン熱分解物を、それぞれ12モル/リ
ットル濃度の濃硝酸(市販品)中に投入し、80℃で3
時間かき混ぜたのち、各炭素をろ過、洗浄後、100℃
で乾燥し、さらに真空中200℃で排気乾燥した。
【0046】このようにして表面処理した炭素質物質を
用い、実施例1と同様にして触媒を調製し、この触媒
0.4gを用いて実施例1と同様にして反応を行った。
反応条件及び結果を表1、表2に示す。なお、いずれも
炭化率はほぼ100%であった。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】[注]1)硝酸ニッケル使用量:0.48
5g 2)メタン転化率、水素生成速度:反応開始後30分後
のデータ 3)*:濃硝酸処理担体
【0050】実施例14〜17 実施例7で用いた活性炭、実施例8で用いたグラファイ
ト、実施例9で用いたシクロドデカン熱分解物及びポリ
塩化ビニル熱分解物(1050℃、3時間)をそれぞれ
用い、実施例1と同様にして調製した触媒0.4gを使
用し、実施例1と同様にして500℃で7時間反応さ
せ、活性低下率(7時間後の活性/30分後の活性)を
求めたところ、それぞれ58.9%、88.6%、9
3.1%及び89.5%であり、熱分解で得られた炭素
質物質が比較的優れていることが分かった。
【0051】比較例2 実施例1において、担体として、水熱合成法により合成
されたZSM−5(Si/Alモル比50)を用いた以
外は、実施例1と同様にして触媒を調製し、次いでこの
触媒を使用して実施例14と同様にして活性低下率を調
べたところ、わずかに1.5時間後に17.4%とな
り、固体酸性をもつ担体では活性低下が著しかった。
【0052】実施例18 実施例9の反応において、さらに水4.6kPaを共存
させて反応を行ったところ、30分後のメタン転化率は
63%、水素生成速度は6.13×10-5モル/分であ
った。また、この際副生する一酸化炭素/二酸化炭素モ
ル比は4.54で、一酸化炭素が多かった。
【0053】比較例3 比較例2の反応において、さらに水4.6kPaを共存
させて反応を行ったところ、30分後のメタン転化率は
53%、水素生成速度は5.5×10-5モル/分であっ
た。また、この際副生する一酸化炭素/二酸化炭素モル
比は1.2であり、かなりの二酸化炭素の生成が認めら
れ、水共存下の反応においても酸性担体は好ましくない
ことが分かった。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素質物質にニッケル化合物及びアルカ
    リ金属とアルカリ土類金属の中から選ばれた少なくとも
    1種の金属の化合物を担持させたことを特徴とする炭化
    水素分解用触媒。
  2. 【請求項2】 炭素質物質が酸処理されたものである請
    求項1記載の炭化水素分解用触媒。
  3. 【請求項3】 炭素質物質が有機化合物の熱分解生成物
    である請求項1又は2記載の炭化水素分解用触媒。
  4. 【請求項4】 炭素質物質が炭素のアーク放電処理生成
    物である請求項1又は2記載の炭化水素分解用触媒。
  5. 【請求項5】 炭素質物質がフラーレンである請求項1
    又は2記載の炭化水素分解用触媒。
  6. 【請求項6】 炭化水素類を、200〜1000℃の温
    度において請求項1又は2記載の炭化水素分解用触媒と
    接触させ、熱分解することを特徴とする水素製造方法。
  7. 【請求項7】 炭化水素類を不活性ガスで希釈して炭化
    水素分解用触媒と接触させる請求項6記載の水素製造方
    法。
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