JP2835960B2 - 重合カラートナー及びその製造方法 - Google Patents

重合カラートナー及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は電子写真法、静電写真法などにおいて、電気
的潜像を顕像化するために用いられる重合カラートナー
及びその製造方法に関する。
[従来の技術] 従来、トナーとしては、一般に熱可塑性樹脂中に着色
剤を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置・分級
機により所望の粒径を有するトナーを製造してきた。
この製造方法はかなり優れたトナーを製造し得るが、
例えば、樹脂着色剤分散体が充分に脆く、経済的に可能
な製造装置で微粉砕し得るものではなくてはならない等
のために、トナー用材料の選択範囲に制限がある。
一方、これら粉砕法によるトナーの問題点を克服する
為、特公昭39−10231号、同43−10799号及び同51−1489
5号公報等により懸濁重合法によるトナーの製造方法が
提案されている。懸濁重合法においては、重合性単量
体、着色剤、重合開始剤さらに必要に応じて架橋剤、荷
電制御剤、その他添加剤から成る単量体組成物を、分散
安定剤を含有する連続相、例えば水相中に、適当な攪拌
機を用いて分散し、同時に重合反応を行なわせ、所望の
粒径を有するトナー粒子が得られる。この懸濁重合法で
は機械的粉砕工程を含まない為、粉砕法に見られるよう
な粉砕時に起因する不都合は生じず、また得られたトナ
ーの形状も球形であり、流動性に優れ、摩擦帯電性も均
一である等の各種の利点を有する。
しかしながら、このように優れた性質を有する重合法
トナーにおいても解決すべき問題点が存在する。即ち、
懸濁重合法トナーは、水中で重合性単量体径を造粒し、
重合反応を行なわせることによりトナーを製造する為、
単量体系中で分散安定性の悪い材料や親水性の材料、さ
らにラジカル反応を阻害する材料は使用できない。この
為、カラートナーとして必須成分である着色剤において
は、材料選択にかなりの制限がある。
例えば着色剤として染料を用いた場合、単量体に可溶
なものが多いので分散安定性については問題はないが、
殆んどの染料において重合阻害性を有する為、硬化物が
得られないという結果になる。また、着色剤として顔料
を用いた場合、重合阻害性については問題ないが、単量
体系における分散安定性に難があり、造粒中に顔料の凝
集がおこりやすい。その結果、造粒安定性が悪くなり、
得られたトナーは粒度分布がブロードで、また、均質性
に欠けたものになることが多い。このように着色剤とし
ては染料、顔料共に一長一短があるが、材料コストを考
えると、顔料の使用が好ましい。
また、近年、複写機においてトナー消費量の低減が求
められているが、その手段の一つとしてトナーの着色力
の向上があげられる。この着色力向上の方法としては、
着色剤の分散性を向上させ、凝集体をなくし、均一に分
散させる方法があげられる。
以上のように、重合法トナーにおいては、着色剤、特
に顔料の単量体系への分散性の向上が重要な課題となっ
ている。このような重合性単量体系中の分散を良くし、
且つ水相移行を防止する手段として、顔料の表面を親油
化処理する方法がある。
顔料の親油化処理方法については、従来より検討がな
されており、顔料の誘導体化、レジンによるコーティン
グ、カップリング剤による処理等が提案されている。
例えば、顔料の誘導体化では、特開昭48−15930号公
報による銅フタロシアニン顔料のアミノアルキル化処
理、特開昭61−168666号公報、U.S.P.3275637号公報に
よるキナクリドン系顔料への置換基導入、特開昭57−28
162号公報によるナフトール系顔料の分子間カップリン
グによる方法があげられる。これらは顔料に対し、化学
的結合をもって処理されているので好ましい方法ではあ
るが、顔料毎に処理方法が異なり、又、その処理された
顔料の性質が顔料により異なることから、コスト面、重
合法における処方の統一化といった点では不利である。
また、特開昭58−7648号公報ではチタンカップリング剤
による処理顔料を用いたトナーが開示されているが、該
公報における顔料が、実質的に磁性体、カーボンブラッ
クであり、表面に反応活性点を有しない有機顔料に対し
ては処理効果は無い。
一方、顔料種を選ばない表面処理方法としてレジンコ
ートがあげられる。例えば、特開昭58−215461号公報に
おけるアクリル酸アミノアルキレート系ポリマーによる
顔料コート、特公昭47−14273号公報における尿素系樹
脂による顔料コート等があげられるが、重合法の如き、
単量体系に分散させた場合、単量体が溶剤として機能
し、コート剤が溶解、脱離してしまい所望の分散性が得
られなくなるばかりではなく、脱離したポリマーが造粒
性やトナー物性に悪影響を及ぼすなど好ましくない結果
を与えてしまう。
以上のように、重合法に適した顔料の親油化処理はい
まだ充分なものではなく、その結果、カラートナー、特
にフルカラー用の重合トナーとしてコスト的、性能的に
充分なものは得られていないのが現状である。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は前述した現況に鑑みてなされたものであり、
その主たる目的は、良好な分光反射特性、混色性及び透
明性を有し、且つ、優れた現像性を有する重合カラート
ナー及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は重合性単量体系の重合時に安定で
あって、荷電特性が安定ですぐれた現像性を有する重合
カラートナー及びその製造方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段及び作用] 上記目的は、以下の本発明によって達成される。
すなわち、本発明は、少なくとも着色剤を含有する単
量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合カラー
トナーにおいて、該着色剤が、OH基を有する有機顔料を
一般式 R−N=C=O (1) (式中、Rは活性水素を含まない炭素数1〜20のアルキ
ル基、活性水素を含まない炭素数6〜20のアリール基、
又はN,S,O,ハロゲン原子のうち少なくとも1種を含み、
活性水素を含まない炭素数6〜20のアリール基を示
す。) で表わされるイソシアン酸エステルによって処理してな
ることを特徴とする重合カラートナーに関する。
また、本発明は、少なくとも着色剤を含有する単量体
系を水系媒体中で懸濁重合して重合カラートナーを製造
する方法において、 OH基を有する有機顔料を、上記一般式(1)で表わさ
れるイソシアン酸エステルで処理して上記着色剤として
用いることを特徴とする重合カラートナーの製造方法に
関する。
以下、本発明を詳細に述べる。
本発明者等は鋭意検討の結果、OH基を有する有機顔料
をイソシアン酸エステルで処理することで、該有機顔料
表面にかさ高い基を導入し、その立体障害効果により該
有機顔料の分散性が著しく向上することを見い出した。
すなわち、重合トナーの場合、その製法上、単量体系
の調製を行なう段階で高剪断力を加えるため、粉砕法ト
ナー製造時の混練の場合と比較して顔料の分散性は良好
である。しかしなが、前者の場合、後者と比較して一度
分散した顔料が重合完了時まで粘性の低い重合性単量体
系中に存在するため、再凝集の問題が生じてくる。すな
わち、分散した顔料の分散安定性を保つことが顔料分散
性の更なる向上につながる。そこで、顔料粒子表面にか
さ高い基を導入し、その立体障害効果を利用して、分散
した顔料粒子の再凝集を防ぐことにより顔料の分散性は
著しく向上する。
イソシアン酸エステルとしては高分子鎖、側鎖にイソ
シアネート基を有するもので良く、反応機構としては例
えば次のようになる。
顔料を処理するために多種のイソシアン酸エステルの任
意のものが用いられる。このイソシアン酸エステルは液
体で或いは気体で或いは非水性溶液として用いることが
できる。
一般にイソシアン酸エステルと顔料を接触させ顔料の
表面の水酸基と式(2)の如く、付加反応により化学結
合を形成せしめる。
この処理を気体のイソシアネート化合物により行なう
場合、乾燥状態の顔料粒子を、飽和状態のイソシアネー
ト化合物雰囲気内で100〜200℃の高温で約1時間処理す
る。または、15〜30℃に保たれたイソシアネート化合物
の非水性溶液中で1〜4時間ミリングする等の方法があ
る。一般に溶液の温度を上げる程、反応速度は速くな
る。しかし、反応を速くし過ぎると、顔料粒子が集塊し
てしまう。集塊せずに一様な分散を成すためには、適度
の温度と、ミリングによって集塊を滅ずることが重要で
あり、このためにも、処理が終るまで絶えずミリングす
ることが望ましい。
イソシアネート基を含む化合物としては、イソシアン
酸n−プロピル、イソシアン酸ブチル、イソシアン酸ヘ
キサデシル、イソシアン酸オクタデシル、イソシアン酸
フェニル、イソシアン酸トリル、イソシアン酸3,4−ジ
クロロフェニル、イソシアン酸m−ニトロフェニル、イ
ソシアン酸トシル等の芳香族並びに志望族のイソシアネ
ート化合物から選択される。
処理される顔料としては一般公知のすべての顔料が使
用できるが、水酸基を有さないもの、或いは有している
が少数のものについては、以下に述べるプラズマ或いは
酸化剤による、酸化処理を行なうと良い。
(1)プラズマ酸化処理 プラズマ酸化処理は、一般にプラズマ処理を行なう装
置で行なえる。第1図に代表的な装置の概略を示す。図
中、1はモーター、2は高周波電源、3は高周波供給電
極、4は磁気攪拌装置、5は磁気攪拌子を示す。以下、
この装置を用いた場合のプラズマ酸化処理について説明
する。
反応容器に顔料をとり、反応容器内を減圧し、顔料を
充分に乾燥させる。顔料の処理量、減圧度、乾燥時間に
ついては顔料の状態によって異なるが目安として処理量
20g、減圧度0.2Torr以下、乾燥時間1時間程度が適当で
ある。
顔料乾燥後所定の減圧度を維持しつつ、酸素を供給
し、磁気攪拌装置4を作動させ、高周波をかけて酸化処
理を行なう。各条件は、顔料種によって様々であるが、
高周波の出力は、20〜100Wが適当であり、出力が20Wよ
り小さいと顔料の処理が充分に行なわれず、逆に100Wよ
り大きいと顔料表面の燃焼による灰化が進行してしま
う。減圧度は0.5〜5Torrが適当であり、0.5Torr以下で
あると容器内酸素濃度が低く処理時間が長くなるし、5T
orrより大きくなると、充分な処理を行なうためには高
周波の出力を上げなければならなくなり不適当である。
処理時間としては1〜60分が適当である。
(2)酸化剤による酸化処理 本発明で使用しうる酸化剤としては、酸化反応により
有機顔料の表面に酸素を結合させ、そこに極性化合物を
形成するものが一般に使用できるが、特に好ましくは、
例えばオゾン、過酸化水素、過酸化二硫酸アンモニウム
等の過酸化物やその誘導体、または硝酸およびその塩、
過塩素酸やその塩、次亜塩素酸やその塩、過マンガン酸
やその塩、クロム酸やその塩などのオキソ酸およびその
塩である。
なお、必要とあれば、上記酸化剤に酸もしくはアルカ
リ、または酸化触媒を組み合わせて使用するなど、酸化
剤の活性を高める手段を講ずることもできる。
かかる酸化処理で附与される極性は表面のどのような
構造に基づき発現されるのであるかは明確でないが、酸
化剤を有機顔料に作用させることにより、有機顔料の表
面が酸化分解されて、OH基が表面に形成され、これによ
って極性が発現されるものと思われる。
酸化剤を有機顔料に作用させる方法としては、顔料に
酸化性のガスまたは蒸気を接触させる乾式法と、水中に
有機顔料を懸濁させてなる水性懸濁液に酸化剤を加える
か又は酸化剤を含んだ水中に有機顔料を懸濁させて酸化
剤を作用させる湿式法とがあるが、湿式法が特に便利に
利用できる。なお、湿式法で処理する際、必要があれば
アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性の界面
活性剤を用いて顔料を懸濁させても良い。
酸化処理の効果を最大限に発揮させるためには、顔料
の表面を均一に酸化することが望ましい。その方法とし
ては、酸化処理を行なう際、顔料の水性懸濁液を攪拌す
ることが好ましく、更に、剪断を加えて顔料を均一微細
に磨砕しながら、酸化処理を受ける表面を充分広げて処
理を行なうことがより好ましい。
剪断力は水性懸濁液中で磨砕補助体たとえば、ガラ
ス、窯業製品、金属の球状体または砂を高速回転攪拌機
により運動させることにより発生させる。装置として
は、たとえばサンドミル、ボールミル、アトライター
等、一般に顔料分散に用いられている装置が適する。剪
断力を効果的に発生させるため、および酸化をうける顔
料表面を充分広げるために、顔料分は水性懸濁液中に全
体の1〜40重量%含まれていることが好ましく、5〜30
重量%含まれていることがより好ましい。磨砕補助体は
一般に水性懸濁液の体積の0.3〜1.5倍の体積量用いられ
る。
処理された有機顔料は通常の方法で過、洗浄され乾
燥後、粉砕して使用に供される。
酸化剤を作用させる際の酸化剤濃度、酸化処理時間及
び温度は酸化剤の種類によって決める必要があるが酸化
の程度があまり大きくなりすぎると、色相の変化等も大
きくなるので有利でない。酸化条件をコントロールする
ことにより色相、耐候性、堅ろう性等に実質的な悪影響
をおよぼすことなく、有機顔料の酸化が可能となる。酸
化剤を作用させる際の温度は60℃以下が好ましい。60℃
を超えると色相変化が大きくなり、かつ、酸化条件のコ
ントロールも難しくなるからである。もっとも、顔料や
酸化剤の種類によっては、60℃を超えて処理した方が良
いこともある。
上述のようにプラズマ或いは酸化剤により、酸化処理
された顔料はイソシアン酸エステルによって処理された
カラートナーの着色剤として使用される。
本発明で用いられる重合カラートナーは以下の如き方
法にて得られる。すなわち、重合性単量体中にワック
ス、着色剤、重合開始剤等その他の添加剤を加え超音波
分散機、ホモジナイザーなどによって均一に溶解または
分散せしめた単量体系を、懸濁安定剤を含有する水相
(すなわち連続相)中に通常の攪拌機またはホモミキサ
ー、ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは
単量体液滴が所望のトナー粒子のサイズ、一般に30μm
以下の大きさを有する様に攪拌速度、時間を調整し、そ
の後は分散安定剤の作用によりほぼその状態が維持され
る様攪拌を粒子の沈降が防止される程度に行なえば良
い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に
設定して重合を行なう。反応終了後、生成したトナー粒
子を洗浄、過により回収して乾燥する。懸濁重合法に
おいては、通常モノマー100重量部に対して水300〜3000
重量部を分散媒として使用するのが好ましい。
上記重合トナーに適用できる重合性単量体としては、
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチ
ルスチレン等のスチレンおよびその誘導体;メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸
ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメ
チルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル
などのメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イ
ソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチ
ル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチ
ル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミ
ドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体などの
ビニル系単量体がある。
これらのモノマーは単独ないし混合して使用しうる。
上述したモノマーの中でも、スチレンまたはスチレン誘
導体を単独で、または他のモノマーと混合して重合性単
量体として使用することがトナーの現像特性および耐久
性の点で好ましい。
また、単量体の重合時に、添加剤として極性基を有す
る重合体共重合体を添加して単量体を重合することがよ
り好ましい。本発明においては、重合時に極性基を有す
る重合体、共重合体または環化ゴムを加えた重合性単量
体系を該極性重合体と逆荷電性の分散剤を分散せしめた
水相中に懸濁させ重合させることが好ましい。すなわ
ち、重合性単量体系中に含まれるカチオン性又はアニオ
ン性重合体、共重合体または環化ゴムは水相中に分散し
ている逆荷電性のアニオン性又はカチオン性分散剤と重
合進行中のトナーとなる粒子表面で静電気的に引き合
い、粒子表面を分散剤が覆うことにより粒子同士の合一
を防ぎ安定化せしめると共に、重合時に添加した極性重
合体がトナーとなる粒子表層部に集まるため、一種の殻
のような形態となり、得られた粒子は疑似的なカプセル
となる。比較的高分子量の極性重合体、共重合体または
環化ゴムを用い、トナー粒子にブロッキング性、現像耐
摩耗性の優れた性質を付与する一方で、内部では比較的
低分子量で定着特性向上に寄与する様に重合を行なう事
により、定着性とブロッキング性という相反する要求を
満足するトナーを得ることができる。本発明に使用し得
る極性重合体(極性共重合体を包含する)及び逆荷電性
分散剤を以下に例示する。
(i)カチオン性重合体としては、ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート、、ジエチルアミノエチルアクリレー
ト等含窒素単量体の重合体もしくはスチレン、不飽和カ
ルボン酸エステル等と該含窒素単量体との共重合体があ
る。
(ii)アニオン性重合体としてはアクリロニトリル等の
ニトリル系単量体、塩化ビニル等の含ハロゲン系単量
体、アクリル酸等の不飽和カルボン酸、不飽和二塩基
酸、不飽和二塩基酸の無水物、ニトロ系単量体の重合体
がある。
(iii)アニオン性分散剤としては、アエロジル#200,
#300,#380(日本アエロジル社製)等のコロイダルシ
リカがある。
(iv)カチオン製分散剤としては酸化アルミニウム、ア
ミノアルキル変性コロイダルシリカ等の親水性正帯電性
シリカ微粉末等がある。極性重合体のかわりに環化ゴム
を使用しても良い。
このような分散剤は重合性単量体100重量部に対して
0.2〜20重量部が好ましい。さらに好ましくは0.3〜15重
量部である。
一方、必要に応じて添加される荷電制御性物質として
は、一般公知のものが用いられる。例えばニグロシン、
炭素数2〜16のアルキル基を含むアジン系染料、モノア
ゾ染料の金属錯塩、サリチル酸、ジアルキルサリチル酸
の金属錯塩等が用いられる。
重合開始剤としては、いずれか適当な重合開始剤、例
えば、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−ア
ゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,
2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニ
トリル、その他のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
の如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパ
ーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イ
ソプロピルパーオキシカーボネート、キュメンハイドロ
パーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパーオキ
サイド、ラウロイルパーオキサイドの如き過酸化物系重
合開始剤が挙げられる。これら重合開始剤は、一般に
は、重合性単量体の重量の約0.5〜10%の開始剤で十分
である。
また流動性改質剤をトナー粒子と混合(外添)して用
いても良い。流動性改質剤としてはコロイダルシリカ、
脂肪酸金属塩、テフロン微粉末などがある。また増量の
目的で炭酸カルシウム、微粉末状シリカ等の充填剤を0.
5〜20重量%の範囲でトナー中に配合しても良い。
本発明で得られた重合トナーは、公知の乾式静電荷像
現像法に特に制限なく適用できる。例えば、カスケード
法、磁気ブラシ法、マイクロトーニング法、二成分ACバ
イアス現像法などの二成分現像法;粉末雲法およびファ
ーブラシ法;トナー担持体上に静電気的力によって保持
されることによってトナーが現像部へ搬送され、現像に
供される非磁性−成分現像法;電界カーテン法によりト
ナーが現像部へ搬送され現像される電界カーテン現像法
などに適用可能である。
[実施例] 以下実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明す
る。
〈顔料の酸化処理〉 (1)銅フタロシアニンブルー(C.I.ピグメントブルー
15:3)のプラズマ酸化処理 第1図に示してあるプラズマ酸化処理装置の反応容器
内に銅フタロシアニンブルー20gを加え、容器内を0.2to
rrまで減圧し約2時間かけて銅フタロシアニンブルーの
乾燥を行なった。
乾燥後、容器内に酸素を100ml/minで供給し減圧度が
1.2torrになるよう調整した。銅フタロシアニンブルー
が充分攪拌されるよう反応容器及び磁気攪拌装置の回転
数を調整した後、高周波(13.56MHz,30W)を40分間かけ
て酸化処理を行ない、処理顔料を得た。
(2)キナクリドンマゼンタ(C.I.ピグメントレッド12
2)のプラズマ酸化処理 高周波出力を100W、処理時間を15分とした以外は銅フ
タロシアニンブルーの場合と同様の操作を行ない処理顔
料を得た。
(3)酸化剤(次亜塩素酸ナトリウム)によるキナクリ
ドンマゼンタ(C.I.ピグメントレッド122)の酸化処理 キナクリドンマゼンタ25gを次亜塩素酸ナトリウム水
溶液(有効塩素濃度5%)200gに加え、磁製ボール(直
径1.5cm)400gとともに、ボールミル中で常温(約20
℃)で48時間処理を行なった。過・洗浄後乾燥させ、
粉砕して処理顔料を得た。表1に各処理顔料の物性値を
示す。
実施例1 スチレン170g、2−エチルヘキシルアクリレート30g
の溶液にプラズマ処理顔料銅フタロシアニンブルー(C.
I.ピグメントブルー15:3)7gを加え、充分に分散させ
た。これにイソシアン酸オクタデシル10gを加え60℃、
4時間反応させた。更に、 上記処方を加え、60℃に保ちつつ溶解又は分散し単量
体系を調製した。
別途イオン交換水1200mlにアミノアルキル変性コロイ
ダルシリカを10g加え、塩酸でpH6に調整した分散媒系に
上記単量体組成物を投入し、窒素雰囲気下60℃でT.K.ホ
モミキサーを用いて8,000r.p.mで60分間攪拌し、単量体
組成物を造粒した。その後、パドル攪拌翼で60℃、加熱
攪拌し20時間で重合を完了した。重合完了後、反応生成
物を冷却し水酸化ナトリウムを加え、分散剤を溶解し
過、水洗、乾燥することにより重合トナーを得た。
得られたトナーは、コールターカウンターによる体積
平均粒径10.5μm(アパーチャー径100μm)で、鉄粉
(200/300メッシュ)に対するブローオフ法によるトリ
ボ値は−20μc/gであった。また、顕微鏡による目視で
は、顔料がトナー粒子1個1個に充分分散されているこ
とが確認された。上記で得られたトナー100gに対し、ア
ミノ変性シリコンオイルで処理された疎水性シリカ0.5g
を混合して現像剤を調製した。この現像剤をキヤノン製
複写機NP−3525反転機で画出しを行なったところ、得ら
れた画像は高品位でカブリもなく画像濃度は1.4以上で
安定した。またトラペンへの画出しでは、透明性の優れ
た画像が得られた。
実施例2 顔料として、プラズマ処理キナクリドンマゼンタ(C.
I.ピグメントレッド122)を用いた以外は実施例1と同
様にして重合トナーを得た。
得られたトナーは、コールターカウンターによる体積
平均粒径10.8μm(アパーチャー径100μm)で鉄粉(2
00/300メッシュ)に対するブローオフ法によるトリボ値
は−19μc/gであった。また、顕微鏡による目視では、
顔料がトナー粒子1個1個に充分分散されていることが
確認された。
上記で得られたトナー100gに対し、アミノ変性シリコ
ンオイルで処理された疎水性シリカ0.5gを混合して現像
剤を調製した。この現像剤をキヤノン製複写機NP−3525
反転機で画出しを行なったところ、得られた画像は高品
位でカブリもなく画像濃度は1.4以上で安定した。また
トラペンへの画出しでは、透明性の優れた画像が得られ
た。
実施例3 顔料として酸化剤処理キナクリドンマゼンタ(C.I.ピ
グメントレッド122)を、環化ゴムのかわりにスチレ
ン、ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(共
重合比9:1mol/mol,n=20,000)10gを用いた以外は実
施例1と同様にして重合トナーを得た。
得られたトナーは、コールターカウンターによる体積
平均粒径11.0μm(アパーチャー径100μm)で鉄粉(2
00/300メッシュ)に対するブローオフ法によるトリボ値
は+20μc/gであった。また、顕微鏡による目視では、
顔料がトナー粒子1個1個に充分分散されていることが
確認された。
上記で得られたトナー100gに対し、アミノ変性シリコ
ンオイルで処理された疎水性シリカ0.5gを混合して現像
剤を調製した。この現像剤をキヤノン製複写機NP−3525
で画出しを行なったところ、得られた画像は高品位でカ
ブリもなく画像濃度は1.4以上で安定した。またトラペ
ンへの画出しでは透明性の優れた画像が得られた。
比較例1 顔料として未処理銅フタロシアニンブルー(C.I.ピグ
メントブルー15:3)を用いた以外は実施例1と同様にし
て重合トナーを得た。
得られたトナーは、コールターカウンターによる体積
平均粒径10.9μm(アパーチャー径100μm)で鉄粉(2
00/300メッシュ)に対するブローオフ法によるトリボ値
は−19μc/gであった。また、顕微鏡による目視では、
顔料がトナー粒子1個1個に分散はされているが、粒子
中に一部顔料の凝集体が確認された。
比較例2 顔料として未処理処理キナクリドンマゼンタ(C.I.ピ
グメントレッド122)を用いた以外は実施例1と同様に
して重合トナーを得た。
得られたトナーは、コールターカウンターによる体積
平均粒径11.2μm(アパーチャー径100μm)で鉄粉(2
00/300メッシュ)に対するブローオフ法によるトリボ値
は−18μc/gであった。また、顕微鏡による目視では、
顔料がトナー粒子1個1個に分散はされているが、粒子
中に一部顔料の凝集体が確認された。
[発明の効果] 上述のように本発明によれば、着色剤の分散性が著し
く良好なことから、分光反射特性、混色性及び透明性の
優れた重合カラートナーが得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図はプラズマ処理を行う装置の概略図を示す。 1…モーター、2…高周波電源 3…高周波供給電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田川 玲子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−107040(JP,A) 特開 昭58−7648(JP,A) 特開 昭61−277966(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 9/09

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも着色剤を含有する単量体系を水
    系媒体中で懸濁重合して得られる重合カラートナーにお
    いて、該着色剤が、OH基を有する有機顔料を一般式 R−N=C=O (1) (式中、Rは活性水素を含まない炭素数1〜20のアルキ
    ル基、活性水素を含まない炭素数6〜20のアリール基、
    又はN,S,O,ハロゲン原子のうち少なくとも1種を含み、
    活性水素を含まない炭素数6〜20のアリール基を示
    す。) で表わされるイソシアン酸エステルによって処理してな
    ることを特徴とする重合カラートナー。
  2. 【請求項2】該OH基を有する有機顔料が、有機顔料にOH
    基を導入する酸化処理を行なったものであることを特徴
    とする請求項1に記載の重合カラートナー。
  3. 【請求項3】少なくとも着色剤を含有する単量体系を水
    系媒体中で懸濁重合して重合カラートナーを製造する方
    法において、 OH基を有する有機顔料を、一般式 R−N=C=O (1) (式中、Rは活性水素を含まない炭素数1〜20のアルキ
    ル基、活性水素を含まない炭素数6〜20のアリール基、
    又はN,S,O,ハロゲン原子のうち少なくとも1種を含み、
    活性水素を含まない炭素数6〜20のアリール基を示
    す。) で表わされるイソシアン酸エステルで処理して上記着色
    剤として用いることを特徴とする重合カラートナーの製
    造方法。
  4. 【請求項4】該OH基を有する有機顔料が、イソシアン酸
    エステルで処理を行なう前に、有機顔料にOH基を導入す
    る処理を行なうことを特徴とする請求項3に記載の重合
    カラートナーの製造方法。
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