JP2834947B2 - 空気調和機 - Google Patents

空気調和機

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JP2834947B2
JP2834947B2 JP4231022A JP23102292A JP2834947B2 JP 2834947 B2 JP2834947 B2 JP 2834947B2 JP 4231022 A JP4231022 A JP 4231022A JP 23102292 A JP23102292 A JP 23102292A JP 2834947 B2 JP2834947 B2 JP 2834947B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,室内ユニットにより空
気調和処理されて室内に吹出される空気の吹出し風速を
自然現象と同様に変化させることにより快適制御を行う
空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記したような従来の空気調和機として
は,例えば特開平2−203147号公報に示すよう
に,冷房運転時に室内ユニットから吹出される空気の吹
出し風速の変化に関するゆらぎ周波数fの採り得る領域
を予め複数の周波数帯域に区分し,上記ゆらぎ周波数f
と上記吹出し風速のパワースペクトルの変化量との関係
を上記区分された周波数帯域毎に設定し,上記ゆらぎ周
波数fと上記パワースペクトルの変化量との関係を「1
/f則」に関連づけて上記区分された周波数帯域毎に設
定し,各周波数帯域毎の「1/f則」の関係を用いて上
記吹出し風速をゆらぎ制御することにより自然現象と同
様に吹出し風速が変化するように冷房運転を行って快適
制御の向上を図ろうとするものがある。又,例えば,特
開平3−134429号公報に示すように,就寝時のタ
イマ運転を行う際に,圧縮機の回転数を段階的に減少さ
せると共に,室内への空気の吹出し風速を上記「1/f
則」に従ってゆらぎ送風状態で段階的に減少させること
により,快適制御を図ろうとする空気調和機がある。こ
れらに開示された空気調和機は,いずれも「1/fゆら
ぎ」を自然現象に於ける風速変化のゆらぎパターンとし
てとらえ,「1/fゆらぎ」パターンに従って吹出し風
速を制御することにより,例えばそよ風のような自然現
象に近い快適な空気調和運転を実現しようとするもので
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで,自然界にお
ける風の強さや向きは一定ではなくたえず変化してお
り,その変化に関するゆらぎ周波数と強さの変化量に関
するパワースペクトルとの関係によりいくつもの種類の
「ゆらぎ」現象に分類される。例えば,図13の(イ)
に示す「1/f0 ゆらぎ」の関係はパワースペクトルは
一定であるがその変化周期の幅が広いケースであり,
(ロ)に示す「1/f∞ゆらぎ」の関係はゆらぎの周期
が長い状態のまま変化せず,この周期が固定的なケース
である。また,(ハ)に示す「1/f2 ゆらぎ」の関係
はパワースペクトルの変動に対してゆらぎ周期が小さく
変化する関係である。更に(ニ)に示す「1/fゆら
ぎ」の関係は,上記した「1/f0 ゆらぎ」と「1/f
2 ゆらぎ」のそれぞれの関係の中間的な刺激を表す関係
であって,変化周期の変動に応じてパワースペクトルが
変化する関係である。言い換えれば,緩慢に変化する現
象のパワースペクトルは大きく,急激に変化する現象の
パワースペクトルは小さいといった関係である。一般
に,外部から与えられる「1/fゆらぎ」の刺激に対し
て人は快適感を感じるといわれる。より詳しく言えばそ
の人の現在の情緒状態と同質の刺激に対して快適と感じ
ることが良く知られている。例えば,完全に目覚めた状
態でリラックスしようとしている情緒状態の人にとって
は,「1/fゆらぎ」の刺激が快適と感じられる反面,
「1/f0 ゆらぎ」や「1/f2 ゆらぎ」の刺激は快適
と感じられない。又,活発に活動しようとしている情緒
状態の人にとっては「1/fゆらぎ」の刺激は退屈に感
じられ,それよりもむしろ「1/f0 ゆらぎ」の刺激の
方が快適に感じられる。更に,これから休眠しようとし
ている情緒状態の人にとっては「1/f2 ゆらぎ」から
「1/f∞ゆらぎ」の刺激の方が休眠の邪魔にならず一
層快適に感じられるのである。しかしながら従来装置に
よれば,「1/fゆらぎ」かあるいは単一周期に吹出し
風速が変化する送風制御を行っているだけであるので,
上記したように例えば「1/f0 ゆらぎ」や「1/f2
ゆらぎ」の刺激を欲する情緒状態の人に対しては,必ず
しも快適感を与える装置であるとは言い難い。又,上記
特開平2−203147号公報の空気調和機では,「1
/fゆらぎ」の関係を採用しているので,低周波の周波
数帯域においてゆらぎの出力変動,即ちパワースペクト
ルが大きく,高周波の周波数帯域になるほどパワースペ
クトルが小さくなる関係に設定されている。しかしなが
ら,就寝時における空気調和運転を行う場合,吹出し風
速の変化周期は頻繁でなく且つ吹出し風速も小さな方が
好ましい。逆に,起床の為の空気調和運転に際しては,
吹出し風速の変化周期を頻繁にしてこの変化による刺激
を強くすると共に吹出し風速を大きくすることが好まし
い。しかしながら上記従来の空気調和機によっては,そ
のような人の状態に応じてゆらぎ周期を変化させる空気
調和運転を実現することができなかった。そこで,本発
明の第1の目的は,人の情緒状態に応じて,その情緒状
態にある人に快適感を与えることのできる空気調和機の
提供することである。又,本発明の第2の目的は,起床
時の情緒状態にある人や就寝時の情緒状態にある人に快
適感を与えることのできる空気調和機を提供することで
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
る為に,第1の発明が採用する主たる手段は,その要旨
とするところが,室内ユニットにより空気調和処理され
て室内に吹出される空気の吹出し風速に係る被制御対象
を備え,上記被制御対象の出力量の変化に関するゆらぎ
周波数fの採り得る領域を予め複数の周波数帯域に区分
し,上記ゆらぎ周波数fと上記被制御対象の出力量の変
化量との関係を上記区分された周波数帯域毎に設定し,
各周波数帯域の関係を切換えて,上記被制御対象の出力
量を上記切換えられた関係から上記出力量に対応するゆ
らぎ周波数fで制御する空気調和機において,上記各周
波数帯域の関係を,低周波の周波数帯域になるほど値が
大きくされる係数kを用いて規定されるゆらぎ周波数f
の1/fk 則に従ってそれぞれ設定したことを特徴とす
る空気調和機として構成されている に,上記第1の
目的及び第2の目的を達成する為に,第の発明が採用
する主たる手段は,その要旨とするところが,室内ユニ
ットにより空気調和処理されて室内に吹出される空気の
吹出し風速に係る被制御対象を備え,上記被制御対象の
出力量の変化に関するゆらぎ周波数fの採り得る領域を
予め複数の周波数帯域に区分し,上記ゆらぎ周波数fと
上記被制御対象の出力量の変化量との関係を上記区分さ
れた周波数帯域毎に設定し,各周波数帯域の関係を切換
えて,上記被制御対象の出力量を上記切換えられた関係
から上記出力量に対応するゆらぎ周波数fで制御する空
気調和機において,上記各周波数帯域の関係を,低周波
の周波数帯域になるほど,値が大きくされる係数kを用
いて規定されるゆらぎ周波数fの1/fk 則に従う関係
で且つ上記被制御対象の出力量の変化量のレベルが小さ
くなる関係にそれぞれ設定したことを特徴とする空気調
和機として構成されている。
【0005】尚,上記第の発明に係る構成の各周波数
帯域の関係が,起床時の運転に際して予め設定された起
床時刻で,上記係数kの値が最小になり且つ上記被制御
対象の出力量が最大となるように切換られる構成とする
こともできる。そして,上記第の発明に係る構成の各
周波数帯域の関係が,就寝時の運転開始から上記係数k
が小さな値の関係から大きな値の関係に順次切換られる
と共に,上記被制御対象の出力量が大きな関係から小さ
な関係に順次切換られる構成とすることも可能である。
さらに,上記第1の発明及びの発明における吹出し
風速に係る被制御対象の出力量として上記室内ユニット
に配備された室内送風機の回転数もしくは上記室内ユニ
ットの空気吹出口に配備された風向板の揺動角度を用い
ることもできる。
【0006】
【作用】上記第1の発明に係る空気調和機においては,
吹出し風速に係る被制御対象が出力の変化に関するゆら
ぎ周波数fについて区分された各周波数帯域の,上記ゆ
らぎ周波数fと上記被制御対象の出力量のゆらぎによる
変化量との関係が,全て一定の関係ではなく,低周波の
周波数帯域になるほど値が大きくされる係数kを用いて
規定されるゆらぎ周波数fの1/fk 則に従ってそれぞ
れ設定されるので,例えば低周波の周波数帯域において
はゆらぎ周波数がわずかに変わっても出力量が大きく変
動するという運転状態の制御を行うことができる。逆に
高周波の周波数帯域においては値の小さな係数kを用い
て規定される1/fk 則に従って,例えば上記出力量の
変化周期が大きく変化してもパワースペクトルはほとん
ど変化しない。従って,上記のように設定されたゆらぎ
周波数とその出力変化量の関係を維持しつつ,周波数帯
域毎に出力変化量のレベルを適当に設定することによ
り,吹出し風速の変化周期とその変化量のレベルとを関
連づけて上記吹出し風速の変化による快適な刺激を人の
情緒状態に応じて与えることができる。又,上記第2の
発明に係る空気調和機においては,上記第1の発明の構
成に加えて,低周波の周波数帯域における制御状態で
は,上記被制御対象の出力変動量のレベルが小さくされ
ので,低周波の周波数帯域になるほど人に与える刺激
の小さい,例えば就寝時の運転に適した緩やかな制御を
行うことができる。逆に,高周波の周波数帯域の関係を
空気調和制御に用いると,空気の吹出し風速の変動が大
きく且つ上記吹出し風速の変動周期が短い刺激の大きな
制御が行われるので,高周波の周波数帯域になるほど人
に与える刺激が比較的大きくなり,例えば起床時の空気
調和運転に適した制御を行うことができる。
【0007】
【実施例】以下添付図面を参照して,本発明を具体化し
た実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以
下の実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発
明の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここ
に,図1は本発明の一実施例に係る冷暖房運転切換可能
の空気調和機を示す概略構成図,図2は上記空気調和機
の室内制御装置に設定されている複数に区分された周波
数帯域毎のゆらぎ特性を示すグラフ図,図3は本発明の
別の実施例に係る空気調和機の室内制御装置に設定され
る複数に区分された周波数帯域毎のゆらぎ特性を示すグ
ラフ図,図4は上記空気調和機によるおはようタイマ運
転の処理手順を示すフローチャート,図5は上記おはよ
うタイマ運転を実行した時の制御目標温度と吹出し風速
に関するパワースペクトルの平均値とのそれぞれの経時
変化を示すグラフ図,図6は上記おはようタイマ運転を
実行する際に被制御対象として室内送風機を用いた時の
上記室内送風機のパワースペクトルに係るゆらぎ特性を
示すグラフ図,図7は上記おはようタイマ運転を実行す
る際に被制御対象としてルーバの揺動角度のパワースペ
クトルを用いた場合のゆらぎ特性を示すグラフ図,図8
は上記ルーバの基準角度及び揺動角度を説明する説明
図,図9は上記空気調和機によるおやすみタイマ運転の
処理手順を示すフローチャート,図10は上記おやすみ
タイマ運転を実行した時の制御目標温度と吹出し風速に
係るパワースペクトルの平均値とのそれぞれの経時変化
を示すグラフ図,図11は上記おやすみタイマ運転を実
行する際の被制御対象として室内送風機に関するパワー
スペクトルを用いた場合のゆらぎ特性を示すグラフ図,
図12は上記おやすみタイマ運転を実行する際の被制御
対象としてルーバの揺動角度に係るパワースペクトルを
用いた場合のゆらぎ特性を示すグラフ図である。
【0008】本実施例に係る空気調和機20では,図1
に示すように,室外ユニットA側に圧縮機1,四方弁
2,室外熱交換器3及び減圧装置4が配備される一方,
室内ユニットB側に室内熱交換器5が設けられ,これら
の機器が冷媒管18を介してそれぞれ順に配管接続され
て冷凍サイクルを構成している。そして,室外熱交換器
3の近傍には室外送風機6が配備される一方,室内熱交
換器5の近傍には室内送風機7が配備され,それぞれ冷
媒と室外空気又は室内空気とを熱交換させるようになっ
ている。そして,室内制御装置13及び室外制御装置1
5は,CPU,ROM及びRAMを中心として構成され
るマイクロコンピュータによりそれぞれなっている。上
記室内制御装置13には,室内熱交換器5出側の冷房時
における冷媒の凝縮温度あるいは暖房時における冷媒の
蒸発温度(それぞれTe)を検出する熱交温度センサ1
6と,室内温度Taを検出する室内温度センサ12とが
接続されている。また,上記室内制御装置13は,リモ
コン14からのスイッチ入力と,熱交温度センサ16及
び室内温度サンサ12からの各入力信号とに基づき,室
内送風機7の回転速度の制御,上記室内ユニットBのケ
ーシングの吹出し口に配備されたルーバ10(風向板の
一例であって,被制御対象に相当)の俯仰角度(揺動角
度の一例であって,出力量に相当)の制御,圧縮機1の
運転周波数の制御及び空気調和機20全体の制御を行う
機能を有している。上記室内送風機7を駆動するモータ
9は,このモータ9の回転数を操作するインバータ(可
変周波数装置,被制御対象に相当)8と接続され,この
インバータ8の出力周波数は上記室内制御装置13によ
り制御される。又,上記室内制御装置13がルーバ10
駆動用のモータ11を回転駆動制御することにより,
上記ルーバ10の俯仰角度が制御される。一方,上記室
外制御装置15は,室内制御装置13から送信されたシ
リアル信号を基に運転指令内容を識別すると共に,この
運転指令内容と,図示せぬ電流センサ及び図示せぬ室外
熱交温度センサからの出力信号とを基に,圧縮機1のイ
ンバータ(可変周波数装置)17の出力周波数を制御
し,上記圧縮機1の回転数を30〜120Hzで可変速
運転し,冷暖房の空気調和能力を制御するようになって
いる。
【0009】そして,本実施例の空気調和機20では,
上記室内制御装置13のRAMまたはROMに,室内ユ
ニットBにより冷房処理又は暖房処理されて室内に吹出
される空気の吹出し風速と関連する被制御対象(インバ
ータ,ルーバ等)の出力量(回転数,俯仰角度等)の変
(パワースペクトル等)に関するゆらぎ周波数fと上
記被制御対象の出力量の変化量との関係を表すゆらぎパ
ターンデータ(ゆらぎ特性)が,予め区分されたゆらぎ
周波数fの複数の周波数帯域毎に設定され記憶されてい
る。すなわち,図2に示す2点鎖点で表す従来装置に設
定されたゆらぎパターンデータはいずれの周波数帯域に
おいても同一の「1/fゆらぎ」の関係にあるが,本実
施例装置では,被制御対象の出力量の変化に関するゆら
ぎ周波数fの採り得る領域をn個に区分し「1/fk
らぎ」の関係を表すゆらぎパターンデータに対して,高
周波の周波数帯域ほど係数kに小さな値を設定し,低周
波の周波数帯域になるほど係数kに大きな値を当てはめ
て規定するゆらぎ周波数fの「1/fk 則」に従って各
周波数帯域毎のゆらぎパターンデータが設定される。上
記「1/fi ゆらぎ(i=任意の正の数)」の関係を有
するゆらぎパターンデータを求める方法の一例として汎
用のフーリエ変換手法を用いたランダム関数によるラン
ダム数列データを積分する方法がある。それによると,
ある時系列データをn回微分すると,これにより得られ
たパワースペクトルはf2nに比例する。この場合,nが
負(積分処理を意味する)であっても成立する。従っ
て,ランダム数列データの時系列データをn回積分する
ことにより,パワースペクトルが1/f2nに比例する
「1/f2nゆらぎ」のパターンデータを得ることができ
る。そこで,離散化された時間間隔tにおけるデータ列
Xをn回微分する場合を考え,これを形式的に積分に対
応する式に変換したのが次の(1)式である。ただし,
r=0の時のデータ列Xmの係数は1とする。
【数1】 ここで,m:時系列データの先頭から数えたデータの位置を表わす値 r:nの変数であって0からNまでの値 N:周波数帯域の区分数 上記データ列Xとしてランダム数列を用いることによっ
て,(1)式により表されるYmは「1/f2nゆらぎ」
の関係を有する時系列データとなる。そこで,N及びn
として適当な値を設定することにより「1/fi ゆら
ぎ」(i=任意の正の数)の関係を有するゆらぎパター
ンデータを求めることができる。例えばn=0として
(1)式を解くとYmは「1/f0 ゆらぎ」の時系列デ
ータとなり,n=0.5として計算すると,Ymは「1
/fゆらぎ」の時系列データとなる。さらに,n=1と
して計算すると,Ymは「1/f2 ゆらぎ」の時系列デ
ータとして得ることができる。
【0010】このように求めた任意の「1/fi ゆら
ぎ」の関係を有するゆらぎパターンデータを基にして,
本発明の特徴的構成となる,被制御対象のパワースペク
トルと上記区分された周波数帯域ごとのゆらぎ周波数f
との関係を示すゆらぎパターンデータを得ることができ
る。例えば,図2の実線に示すように,ゆらぎ周波数f
1〜f2の間の周波数帯域には,「1/f5 ゆらぎ」の
関係が適用され,ゆらぎ周波数f5〜f6間の周波数帯
域には「1/fゆらぎ」の関係が設定され,さらにゆら
ぎ周波数fn-1 〜fn の周波数帯域には「1/f0.125
ゆらぎ」の関係が適用される。従って,従来装置のよう
にいずれの周波数帯域においても均一の「1/fゆら
ぎ」の関係が設定される構成と異なり,この実施例の構
成によれば,低周波の周波数帯域になるほどゆらぎ周波
数の変化に対する上記被制御対象の出力量のパワースペ
クトル(変化量に相当する)の変化度合が大きな関係に
より,逆に高周波の周波数帯域になるほどゆらぎ周波数
の変化に対する上記パワースペクトルの変化度合が小さ
な関係により空気調和制御が行われる。一方,図3は上
記関係の別例を示すもので,この別の実施例の場合,各
周波数帯域毎に設定されたゆらぎパターンデータは,高
周波から低周波の周波数帯域に移行するに伴って,各周
波数帯域のゆらぎ周波数f方向の幅が順次狭く設定され
ている。これによって,低周波の周波数帯域になる程上
記被制御対象の出力量のパワースペクトル(変化量に相
当する)の平均値(レベル)が順次小さくなると共に,
ゆらぎ周波数の変化に対するパワースペクトルの変化が
急激となるゆらぎパターンデータに設定されている。
尚,各周波数帯域に設定されるゆらぎパターンデータ
は,パワースクトルの平均値のレベルが異なるだけ
で,周波数帯域毎に先の実施例と同じ特性の「1/fk
則」に従って設定されている。例えば,ゆらぎ周波数f
1〜f2間の周波数帯域には,「1/f5 ゆらぎ」の関
係が設定される。これにより,ゆらぎ周波数fが低周波
の時,即ち吹出し風速の変化周期が緩やかになるほど室
内に吹出される空気の吹出し風速の変化量のレベルが小
さくされ,逆に,高周波時のように,空気の吹出し風速
の変化周期が短かくなるほど上記吹出し風速の変化量の
レベルが大きくされる。その結果,起床時の情緒状態に
ある人や就寝時の情緒状態にある人に適した大きさの変
化量のレベルと変化周期による刺激を与えることができ
る。
【0011】次に,図3の「1/fk ゆらぎ」の関係が
設定された構成の空気調和機20を用いた「おはようタ
イマ運転」及び「おやすみタイマ運転」の制御動作につ
き順次説明する。尚,上記空気調和機20において冷房
運転モードと暖房運転モードとの制御上の差異は,設定
温度に対して後述する制御目標温度を高目に設定するか
あるいは低目に設定するかの点だけである。そこで,説
明を容易にする為に,以下の実施例では,冷房運転モー
ドについてのみ説明する。先ず冷房運転モードにおける
「おはようタイマ運転」の制御例につき図4のフローチ
ャートに従って説明する。尚,図4及び図9に示したS
1,S2,S3,・・・及びS21,S22,S23・
・・はそれぞれ制御の動作ステップを示す。ここでは,
予め設定された起床時刻である設定時刻の30分前から
上記空気調和機20の制御が開始され(S1,YE
S)。そして,予め設定された設定温度Tsよりも1.
5℃高目にその時の制御目標温度Tmが設定され(S
2),且つ「1/fゆらぎ」のゆらぎパターンデータが
選択されて冷房運転が開始される(S3,S4)。続い
て,5分間経過する毎に,上記制御目標温度Tmを0.
3°Cずつ低下させると共に係数kを1/6づつ減少さ
せるように周波数帯域のゆらぎパターンデータを切換て
空気調和機20の制御を実行する(S5〜S9)。この
時吹出し風速の変化量に関するパワースペクトルの平均
値も当然ながら段階的に増加する。このような制御目標
温度Tmと吹出し風速の変化量に関するパワースペクト
ルの平均値の経時変化を図5に示す。ここでは,上記設
定時刻の5分前から上記制御目標温度Tmが設定温度T
sに等しくなり,上記設定時刻において「1/f0 ゆら
ぎ」のゆらぎパターンデータにより制御されている(S
10)。続いて,上記設定時刻に達した後は(S7,Y
ES,S10),運転モードが設定変更されなければ
(S11,NO),5分経過毎に上記係数kが1/6づ
つ増加されたゆらぎパターンデータに順次切換られて制
御され且つ上記吹出し風速の変化量に関するパワースペ
クトルの平均値が段階的に減少される(S11〜S1
5)。こうして,上記設定時刻から30分後には,運転
当初の「1/fゆらぎ」のゆらぎパターンデータに戻し
てこのゆらぎパターンデータに基づいて冷房運転モード
の制御が続行される。
【0012】尚,上記空気の吹出し風速の変化量に係る
被制御対象として室内送風機7の回転数のパワースペク
トルを選択する場合には,図6に示すような7つの周波
数帯域に区分された,「1/f,f5/6 ,1/f2/3
1/f1/2 ,1/f1/3 ,1/f1/6 ,1/f0 」の各
則に従い,且つそのパワースペクトルの平均値が低周波
の周波数帯域になるほど順次小さくなるような各ゆらぎ
パターンデータによって,上記インバータ8の出力周波
数がゆらぎ制御される。この時,上記ルーバ10の俯仰
角度は一定に保持される。他方,上記被制御対象の出力
量の変化量として,上記ルーバ10の俯仰角度のパワー
スペクトルを選択した場合は,図7に示す7つのゆらぎ
パターンデータによって上記ルーバ10を駆動するモー
タ11の回転位置がゆらぎ制御される。この場合には逆
に,上記室内送風機7の回転数が一定に保持される。
尚,上記ルーバ10の俯仰角度とは,図8に示すよう
に,室内ユニットBの空気吹出し口(不図示)に設けら
れたルーバ10の軸19を中心とする回転角度を示す。
同図においては,ルーバ10の基準角度θ=90°の位
置(10A)を実線を用いて示し,上記基準角度θから
変位角度Δθ(=θ−θ1 )だけ回転変位した位置(1
0B)を破線で示す。即ち,図7の縦軸には上記ルーバ
10の変位角度(俯仰角度)のパワースペクトル(d
B)を(2)式に従って座標付けしている。 変位角度のパワースペクトル(dB)=log10Δθ/θ・・・(2) 以上のように,本実施例の空気調和機20によれば,起
床時刻である設定時刻の30分前から弱いパワースペク
トルの平均値により,加えて長い変動周期で且つゆらぎ
周波数の変化に対して変化度合の大きな吹出し風速のゆ
らぎ刺激を与え始め,更に徐々に刺激を強めつつ室温も
次第に設定温度に近づけることにより,使用者の目覚め
をゆるやかに且つ確実に起こさせることができる。そし
て,起床時刻に最も強いレベルのパワースペクトルによ
り,加えて最も短い変動周期で且つゆらぎ周波数の変化
に対して変化度合の少ない,吹出し風速に係る強いゆら
ぎ刺激により使用者を目覚めさせる。その後,段階的に
パワースペクトルの平均値を減少させると共にゆらぎパ
ターンデータを元の「1/fゆらぎ」の関係に戻すこと
により,目覚めた後に強いゆらぎ刺激が長時間継続する
という不快感を使用者に与えることを防止している。
【0013】引続き,冷房運転モードにおける「おやす
みタイマ運転」の制御例につき図9のフローチャート及
び図10のグラフを用いて以下説明する。先ず,「おや
すみタイマ運転」がスタートすると,制御目標温度Tm
は設定温度Tsと等しくされ(S21),且つ「1/f
ゆらぎ」(k=1)のゆらぎパターンデータが選択され
て(S22),冷房運転が制御目標温度Tmを目標とし
て開始される(S23)。そして,10分経過毎に上記
制御目標温度Tmが0.5℃つづ段階的に高められ,上
記係数kが0.5づつ段階的に増加される「1/f k
らぎ」のゆらぎパターンデータに順次切換られ,その結
果上記吹出し風速の変化量に係るパワースペクトルの平
均値も順次減少される(S24〜S28)。尚,上記
「おやすみタイマ運転」の場合,図外のタイマにより設
定された運転時間は1時間であって,この実施例の場
合,運転開始から1時間後よりも10分前から,上記制
御目標温度Tmは上記設定温度Tsよりも2.5℃高い
温度まで引き上げられ且つゆらぎパターンデータとして
「1/f3.5 ゆらぎ」の関係で制御される。そして,上
記設定された運転時間(1時間)が経過すると(S2
6,YES),上記冷凍サイクルと室内送風機7とが停
止されるようになっている(S29)。尚,上記吹出し
風速に係る被制御対象の出力量の変化量として室内送風
機7の回転数のパワースペクトルを用いる場合は,図1
1に示す6つに区分された周波数帯域毎の関係(1/
f,1/f1.5 ,1/f2 ,1/f2.5 ,1・f3 ,1
/f3.5 )が設定され且つそれぞれのパワースペクトル
の平均値が低周波の周波数帯域になるほど順次小さくな
る関係によって上記インバータ8の出力周波数がゆらぎ
制御される。但し,この時上記と同様にルーバ10の俯
仰角度は一定に保持される。
【0014】一方,上記被制御対象の出力量の変化量と
してルーバ10の俯仰角度のパワースペクトルを用いる
場合は,図12に示す6つの関係のゆらぎパターンデー
タを用いてルーバ10駆動用のモータ11の回転位置が
ゆらぎ制御される。この場合は,室内送風機7の回転数
が一定に保持される。上記したように,本実施例の空気
調和機20による「おやすみタイマ運転」によれば,タ
イマ時間の経過と共に段階的に室温が高められるので,
使用者の寝冷えが防止される。同時に,吹出し風速の変
化量に係るパワースペクトルの平均値を減少させつつこ
のパワースペクトルの変動周期を長くし且つゆらぎ周波
数の変化に対する変化度合を大きくすることにより,上
記吹出し風速の変化による刺激が緩やかになるので,使
用者の皮膚感覚を強く刺激することなく,加えて送風音
も減少する。その結果,使用者が穏やかに睡眠状態に入
ることのできる制御を行うことができる。尚,上記した
各実施例では,上記吹出し風速に係る被制御対象の出力
量として,上記室内送風機7の回転数や上記室内ユニッ
トBの空気吹出口(不図示)に配備されたルーバ10の
俯仰角度を適用したが,これに限定されるものではな
い。上記したように「おはようタイマ運転」及び「おや
すみタイマ運転」を行う空気調和機20によれば,高周
波の周波数帯域では,上記空気の吹出し風速の変化量の
レベルが大きく且つ変化周期の短い,人にとって刺激の
強い,例えば起床時の情緒状態の人に適したゆらぎパタ
ーンデータが設定される。また,中間の周波数帯域で
は,吹出し風速の変化量のレベルが中くらいで且つ中く
らいの変化周期のゆらぎパターンデータが設定される。
さらに,低周波の周波数帯域には,吹出し風速の変化量
のレベルが小さく且つ変化周期の長い,人にとって刺激
の弱い,例えば休眠しようとする情緒状態の人に快適な
ゆらぎパターンデータが設定される。従って,上記した
ように各周波数帯域毎に設定されたそれぞれのゆらぎパ
ターンデータを用いて空気調和制御を行うことにより,
それぞれのゆらぎパターンデータが有する吹出し風速の
変化量のレベル及び変化周期によって,その時の人の情
緒状態に応じてその人が欲する刺激を反映した空気調和
制御を行うことができる。
【0015】
【発明の効果】第1の発明は上記したように構成されて
いる。それにより,人の情緒状態に応じて,その情緒状
態にある人に快適感を与えることができる。又,第2の
発明は上記したように構成されている。従って,例えば
起床時の情緒状態にある人や就寝時の情緒状態にある人
等のそれぞれの人にとって適した被制御対象の出力量の
変化量のレベルによる刺激を与え,しかも人の情緒状態
に応じて,その情緒状態にある人に快適感を与えること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る冷暖房運転切換可能
の空気調和機を示す概略構成図。
【図2】 上記空気調和機の室内制御装置に設定されて
いる複数に区分された周波数帯域毎のゆらぎ特性を示す
グラフ図。
【図3】 本発明の別の実施例に係る空気調和機の室内
制御装置に設定される複数の区分された周波数帯域毎の
ゆらぎ特性を示すグラフ図。
【図4】 上記空気調和機によるおはようタイマ運転の
処理手順を示すフローチャート。
【図5】 上記おはようタイマ運転を実行した時の制御
目標温度と吹出し風速に関するパワースペクトルの平均
値とのそれぞれの経時変化を示すグラフ図。
【図6】 上記おはようタイマ運転を実行する際に被制
御対象として室内送風機を用いた時の上記室内送風機の
パワースペクトルに係るゆらぎ特性を示すグラフ図。
【図7】 上記おはようタイマ運転を実行する際に被制
御対象としてルーバの揺動角度のパワースペクトルを用
いた場合のゆらぎ特性を示すグラフ図。
【図8】 上記ルーバの基準角度及び揺動角度を説明す
る説明図。
【図9】 上記空気調和機によるおやすみタイマ運転の
処理手順を示すフローチャート。
【図10】 上記おやすみタイマ運転を実行した時の制
御目標温度と吹出し風速に係るパワースペクトルの平均
値とのそれぞれの経時変化を示すグラフ図。
【図11】 上記おやすみタイマ運転を実行する際の被
制御対象として室内送風機に関するパワースペクトルを
用いた場合のゆらぎ特性を示すグラフ図。
【図12】 上記おやすみタイマ運転を実行する際の被
制御対象としてルーバの揺動角度に係るパワースペクト
ルを用いた場合のゆらぎ特性を示すグラフ図。
【図13】 種々の典型的なゆらぎ特性を説明する為の
グラフ図。
【符号の説明】
7…室内送風機 8…インバータ 9…モータ 10…ルーバ 11…モータ 13…室内制御装置 20…空気調和機 B…室内ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F24F 11/04 F24F 11/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室内ユニットにより空気調和処理されて
    室内に吹出される空気の吹出し風速に係る被制御対象を
    備え,上記被制御対象の出力量の変化に関するゆらぎ周
    波数fの採り得る領域を予め複数の周波数帯域に区分
    し,上記ゆらぎ周波数fと上記被制御対象の出力量の変
    化量との関係を上記区分された周波数帯域毎に設定し,
    各周波数帯域の関係を切換えて,上記被制御対象の出力
    量を上記切換えられた関係から上記出力量に対応するゆ
    らぎ周波数fで制御する空気調和機において, 上記各周波数帯域の関係を,低周波の周波数帯域になる
    ほど値が大きくされる係数kを用いて規定されるゆらぎ
    周波数fの1/fk 則に従ってそれぞれ設定したことを
    特徴とする空気調和機。
  2. 【請求項2】 室内ユニットにより空気調和処理されて
    室内に吹出される空気の吹出し風速に係る被制御対象を
    備え,上記被制御対象の出力量の変化に関するゆらぎ周
    波数fの採り得る領域を予め複数の周波数帯域に区分
    し,上記ゆらぎ周波数fと上記被制御対象の出力量の変
    化量との関係を上記区分された周波数帯域毎に設定し,
    各周波数帯域の関係を切換えて,上記被制御対象の出力
    量を上記切換えられた関係から上記出力量に対応するゆ
    らぎ周波数fで制御する空気調和機において, 上記各周波数帯域の関係を,低周波の周波数帯域になる
    ほど,値が大きくされる係数kを用いて規定されるゆら
    ぎ周波数fの1/fk 則に従う関係で且つ上記被制御対
    象の出力量の変化量のレベルが小さくなる関係にそれぞ
    れ設定したことを特徴とする空気調和機。
  3. 【請求項3】 上記各周波数帯域の関係が,起床時の運
    転に際して予め設定された起床時刻で,上記係数kの値
    が最小になり且つ上記被制御対象の出力量が最大となる
    ように切換えられる請求項に記載の空気調和機。
  4. 【請求項4】 上記各周波数帯域の関係が,就寝時の運
    転開始から,上記係数kが小さな値の関係から大きな値
    の関係に順次切換えられると共に上記被制御対象の出力
    量が大きな関係から小さな関係に順次切換えられる請求
    に記載の空気調和機。
  5. 【請求項5】 上記吹出し風速に係る被制御対象の出力
    量が,上記室内ユニットに配備された室内送風機の回転
    数若しくは上記室内ユニットの空気吹出口に配備された
    風向板の揺動角度である請求項1乃至のいずれかに記
    載の空気調和機。
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