JP2834606B2 - クロラニルの製造方法 - Google Patents

クロラニルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハイドロキノンを温和
な条件でかつ簡便な操作方法で塩素化して、取扱いが容
易なかさ比重の高い高純度のクロラニルを製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】クロラニルは、農薬、顔料などの中間体
として工業的に重要な化合物である。従来、塩素ガスを
塩素化剤及び酸化剤として用いるクロラニルの合成法と
しては、塩酸中で、加圧下且つ高温でキノンまたはハイ
ドロキノンに塩素を導入して反応させる方法(特開昭6
2−99339号公報)、塩酸中で界面活性剤の存在下
にハイドロキノンを3段階に条件を変えて塩素化反応さ
せる方法(特開昭63−196540号公報)、塩酸ま
たは水と混合できる溶媒と塩酸の均一反応媒体中でキノ
ンまたはハイドロキノンを塩素化する方法(特開平1−
197455号公報)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
技術には各々次のような問題がある。
【0004】塩酸中で、加圧下且つ高温でキノンまたは
ハイドロキノンに塩素を導入して反応させる方法は、3
〜40バールの高圧下で反応液に高圧の塩素を供給する
ための特殊な装置と高圧容器を必要とする。
【0005】塩酸中で界面活性剤の存在下にハイドロキ
ノンを3段階に条件を変えて塩素化反応させる方法は、
反応の進行と共に反応条件を変える必要があり、操作上
非常に繁雑である上に、第3成分として界面活性剤を添
加しなければならない。
【0006】塩酸または水と混合できる溶媒と塩酸の均
一反応媒体中でキノンまたはハイドロキノンを塩素化す
る方法は、生成してくるクロラニルが微粉末の結晶とな
り、取扱いが困難な上に作業環境を悪化させる要因とな
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、温和な条
件及び簡便な操作で、取扱いの容易なかさ比重の高い高
純度のクロラニルを製造する条件を鋭意検討した結果、
塩酸とそれに相溶しない有機溶媒との不均一混合溶媒中
で塩素ガスによってハイドロキノンを塩素化する際に、
クロラニルの前駆体であるトリクロロハイドロキノン、
トリクロロベンゾキノン、テトラクロロハイドロキノ
ン、またはこれらの2種以上の混合物が反応系中の主生
成物となっている時に、言い換えれば、ハイドロキノン
1モルに対して3.5〜4.5倍モルの塩素ガスを供給
する間において、塩素ガスをゆっくりと供給することに
より、上記の目的を達成できることを見いだし、本発明
を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、塩酸及びこれと相溶しな
い有機溶媒の不均一混合溶媒中で、ハイドロキノンを塩
素ガスで塩素化してクロラニルを製造する方法におい
て、ハイドロキノン1モルに対して塩素ガスを3.5〜
4.5倍モル供給する間における塩素ガスの供給速度
を、ハイドロキノン1モルに対し400ml/分以下と
することを特徴とするクロラニルの製造方法である。
【0009】本発明に使用される塩酸に相溶しない有機
溶媒とは、塩酸と任意の割合で均一相を形成せず、二相
に分離する有機溶媒である。このような有機溶媒を具体
的に例示すると、例えば、クロロベンゼン、o−ジクロ
ロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベン
ゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−
トリクロロベンゼン、フルオロベンゼン、o−ジフルオ
ロベンゼン、m−ジフルオロベンゼン、p−ジフルオロ
ベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,
2,4−トリフルオロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭
化水素;ニトロベンゼン等のニトロ基置換芳香族炭化水
素;メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、
1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタ
ン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−
テトラクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素等を
挙げることができる。
【0010】特に、これらの有機溶媒の中でも、クロラ
ニルが高純度で得られるという理由から、クロロベンゼ
ン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン,p
−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼ
ン、1,2,4−トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳
香族炭化水素が好適に用いられる。これらの溶媒は、単
一で使用しても2種以上を混合して使用しても全く支障
ない。
【0011】本発明におけるもう一つの溶媒である塩酸
の濃度については特に限定されず、37重量%迄の塩酸
が使用できるが、あまり濃度の薄い塩酸を用いた場合は
生成物であるクロラニルが着色することがあるため、通
常、5重量%以上であることが好ましい。
【0012】有機溶媒と塩酸の混合比は特に制限されな
いが、得られるクロラニルを高かさ比重とするために
は、有機溶媒/塩酸(容積比)が0.1〜10の範囲、
さらに0.5〜5の範囲であることがより好適である。
【0013】ハイドロキノンの不均一混合溶媒中の濃度
は、不均一混合溶媒の組成、有機溶媒の種類、撹拌効果
によって変わるが、一般には0.5〜40重量%の範囲
から選ぶことが好ましい。
【0014】ハイドロキノンの塩素化反応は、ハイドロ
キノンを不均一混合溶媒中に溶解した後、塩素ガスを吹
き込むことによって行われる。反応温度は、通常、25
℃から不均一混合溶媒の沸点の範囲で選択すれば良い
が、50〜100℃が好適である。
【0015】本発明においては、ハイドロキノン1モル
に対して3.5〜4.5倍モルの塩素ガスを供給する間
における塩素ガスの供給速度を、ハイドロキノン1モル
に対し400ml/分以下というゆっくりした速度とす
ることが重要である。即ち、クロラニルの前駆体である
トリクロロハイドロキノン、トリクロロベンゾキノン、
テトラクロロハイドロキノンまたはこれらの2種以上の
混合物が反応系中の主生成物である時に、塩素ガスの供
給速度を上記の範囲とし、それによってクロラニルのか
さ比重を大きくすることができる。
【0016】塩素ガスの供給速度とクロラニルのかさ比
重の間には密接な関係があり、塩素ガスの供給速度が遅
いほどかさ比重の大きい結晶が生成する。その詳細な理
由は不明であるが、クロラニルの前駆体であるテトラク
ロロハイドロキノンの粒径と反応系中の濃度がクロラニ
ルの結晶粒径に影響を及ぼしていると考えられる。
【0017】塩素ガスの供給速度を上記した値以下とし
て反応を行う期間は、少なくともハイドロキノン1モル
に対して3.5〜4.5倍モルの塩素ガスを供給する間
であればよい。好ましくは、ハイドロキノン1モルに対
して2.5〜5倍モルの塩素ガスを供給する間であるこ
とが好適である。
【0018】クロラニルのかさ比重を十分高い値とする
ためには、ハイドロキノン1モルに対して塩素ガスを4
00ml/分以下の速度で供給する必要がある。塩素ガ
スの供給速度を遅くすればするほどクロラニルのかさ比
重が高くなるが、一方、反応時間が長くなるため、塩素
ガスの供給速度の下限は反応時間との総合的な判断で決
める必要がある。塩素ガスの供給速度は、クロラニルの
かさ比重を十分に高く、且つ反応に要する時間をあまり
長くしないために、一般にはハイドロキノン1モルに対
して30〜400ml/分の範囲から選ぶことが好まし
い。
【0019】ハイドロキノン1モルに対しての塩素ガス
の供給量が2.5倍モル迄及び5倍モルを越える範囲に
おける塩素ガスの供給速度については特に限定されない
が、あまり遅いと反応時間が長くなり、速すぎると前段
においては激しい発熱反応であるため反応系の除熱が困
難となり、後段においては未反応の塩素を大量に放出す
る結果となるため、ハイドロキノン1モルあたり50〜
1000ml/分の範囲から選ぶのが好ましい。
【0020】塩素ガスの全使用量は、通常、ハイドロキ
ノン1モルに対して6〜9モルとなる。この塩素ガスの
量は、理論量よりも20%程度以上過剰となるが、実際
の製造にあたっては反応生成物の組成分析で決めればよ
い。
【0021】
【効果】本発明によれば、温和な反応条件下且つ簡便な
操作条件で、作業操作上、環境上取扱いやすいかさ比重
の高い高純度のクロラニルを製造することができる。具
体的には、かさ比重が0.9g/ml以上のクロラニル
を99.5%以上の純度で得ることができる。
【0022】
【実施例】以下に実施例を掲げるが、本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。
【0023】実施例1 羽根付き中央撹拌機、冷却器、温度計及び塩素ガス導入
管を備えた四つ口フラスコ内に、o−ジクロロベンゼン
400ml、25%塩酸400ml、ハイドロキノン8
1.6g(0.74mol)を投入し、この混合物を8
0℃に加熱し、まずハイドロキノン1モルに対して50
0ml/分の供給速度で塩素ガスを1.85mol供給
した。
【0024】その後、ハイドロキノン1モルに対して塩
素ガスの供給速度を200ml/分まで落とし、さらに
4.07molの塩素ガスを供給した。
【0025】室温まで冷却後、ガラスフイルターで結晶
を瀘別した後、結晶を200mlの水で3回、200m
lのメタノールで3回洗浄を繰り返し乾燥した。
【0026】得られたクロラニルは178.0g(収率
97.8%)であり、ガスクロマトグラフィーによる分
析では、99.88%(トリクロロベンゾキノン0.1
2%)かさ比重は0.95g/mlであった。
【0027】実施例2 実施例1と同様な操作で塩素ガスを1.85mol供給
した後、ハイドロキノン1モルに対して塩素ガスの供給
速度を200ml/分に落とし、さらに1.85mol
の塩素ガスを供給し、もう一度塩素ガス供給速度を50
0ml/分にもどしてさらに2.22molの塩素ガス
を供給した。
【0028】塩素ガス供給後、実施例1と同様な後処理
を行ったところ、177.0g(収率97.1%)のク
ロラニルが得られた。
【0029】ガスクロマトグラフィー分析によるクロラ
ニルの純度は99.85%(トリクロロベンゾキノン
0.15%)であり、かさ比重は0.94g/mlであ
った。
【0030】実施例3〜5 実施例1と同様な操作で塩素ガスを1.85mol供給
した後、ハイドロキノン1モルに対して塩素ガスの供給
速度を表1に示す値としたこと以外は実施例1と同様に
した。その結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】(但し、表中、CNはクロラニル、TCB
Qはトリクロロベンゾキノンである。) 実施例6〜8 実施例1において有機溶媒を下記の溶媒に変更した以外
は実施例1と同様な操作を行った。結果を表2に示し
た。
【0033】
【表2】
【0034】(但し、表中、CNはクロラニル、TCB
Qはトリクロロベンゾキノンである。) 比較例1 実施例1と同様な仕込み条件で原料を仕込んだ後、温度
を80℃まで昇温した。昇温後、塩素ガスをハイドロキ
ノン1モルに対して500ml/分の供給速度で3.7
mol供給した後、供給速度を200ml/分に落とし
てさらに2.22molの塩素ガスを供給した。
【0035】供給後、実施例1と同様の後処理を行った
ところ、取得したクロラニルは176.8g(収率9
6.6%)であった。
【0036】ガスクロマトグラフィー分析によるクロラ
ニルの純度は99.96%(トリクロロベンゾキノン
0.04%)であったが、かさ比重は0.80g/ml
にすぎなかった。
【0037】比較例2 羽根付き中央撹拌機、冷却管、塩素ガス導入管、温度計
を備え付けた四つ口フラスコにハイドロキノン81.6
g(0.74mol),25%塩酸400ml、酢酸4
00mlを加え80℃に昇温した。昇温後、塩素ガスを
ハイドロキノン1molあたり500ml/分の速度で
3.7mol供給した後、供給速度を200ml/分に
落としてさらに2.22molの塩素ガスを供給した。
【0038】供給後、実施例1と同様の後処理を行った
ところ、取得したクロラニルは173.8g(収率9
5.4%)であった。
【0039】ガスクロマトスラフィー分析によるクロラ
ニルの純度は99.71%(トリクロロベンゾキノン
0.22%)であり、かさ比重は0.67g/mlであ
った。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩酸及びこれと相溶しない有機溶媒の不均
    一混合溶媒中で、ハイドロキノンを塩素ガスで塩素化し
    てクロラニルを製造する方法において、ハイドロキノン
    1モルに対して塩素ガスを3.5〜4.5倍モル供給す
    る間における塩素ガスの供給速度を、ハイドロキノン1
    モルに対し400ml/分以下とすることを特徴とする
    クロラニルの製造方法。
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