JP2834252B2 - 軟質眼用レンズ - Google Patents

軟質眼用レンズ

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JP2834252B2
JP2834252B2 JP2024333A JP2433390A JP2834252B2 JP 2834252 B2 JP2834252 B2 JP 2834252B2 JP 2024333 A JP2024333 A JP 2024333A JP 2433390 A JP2433390 A JP 2433390A JP 2834252 B2 JP2834252 B2 JP 2834252B2
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典子 岩田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は軟質眼用レンズに関する。さらに詳しくは、
コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの軟質眼
用レンズに関する。
[従来の技術] 従来よりコンタクトレンズ用材料、眼内レンズ用材料
などとして、種々の眼用レンズ材料が提案されている。
かかる眼用レンズ材料には大別して軟質材料と硬質材料
があるが、装用感のよいコンタクトレンズ用材料や眼組
織に傷をつけずに眼球を小さく切開するだけで変形して
挿入することができる眼内レンズ用材料には、一般に軟
質材料が好ましいことはよく知られている。
軟質材料は、水を吸収し膨潤して軟質化する含水性の
材料と実質的に非含水性の材料とに分けられる。
含水性の材料は、素材中に含水して素材自体が占める
比率が相対的に小さいため、機械的強度に劣るという欠
点がある。また、含水している素材中には細菌やかびな
どが繁殖しやすく、コンタクトレンズとして使用するば
あいには、煮沸消毒などの煩雑な操作を定期的に必要と
する。
実質的に非含水性の材料としては、たとえばシリコー
ンラバー製の材料、アルキルアクリル酸エステルもしく
は長鎖アルキルメタクリル酸エステルの共重合体または
アクリル酸の共重合体をエステル化処理したもの(以
下、(メタ)アクリル酸エステル系軟質材料という)な
どがある。
前記シリコーンラバー製の材料は、酸素透過性が非常
に高いという利点があるものの、えられる素材の表面が
極めて強い撥水性を呈するものであり、角膜やその他の
眼組織となじみがわるく、その素材をコンタクトレンズ
用の材料として応用したもののなかには、眼組織に重篤
な障害を起こしたという報告もなされている。
また、特開昭59−102914号公報や特開昭63−297411号
公報には、重合基がウレタン結合などを介してポリシロ
キサンに結合したポリシロキサンマクロモノマーと疎水
性モノマーなどとの架橋共重合生成物よりなるポリマー
がコンタクトレンズ材料として提案されている。しかし
ながら、かかる材料は、強度的にある程度良好なもので
はないが、前記ポリシロキサンの使用量が少ないばあい
には、充分に満足しうる程度の酸素透過性を有するもの
がえられにくく、また、酸素透過性を高めようとして前
記ポリシロキサン中のシクロサン鎖を長くすると他の共
重合成分との相溶性がわるくなり、均一で透明でかつ、
機械的強度の良好な材料がえられなくなり、またポリシ
ロキサンを多く使用すると、脂肪などにより汚れやすく
なってしまう。一方、樹脂などの汚れによって汚染され
にくくするためにフッ素系のモノマーを共重合しようと
しても、前記ポリシロキサンとフッ素系のモノマーとの
相溶性がわるく、均一で透明な重合体がえられず、また
かかる重合体の機械的強度も低く、酸素透過性もさほど
高くはならないという欠点がある。さらに該公報には、
ウレタン結合を含まないシロキサンマクロモノマーを使
用する旨の開示は勿論のこと、かかる示唆すらもない。
また、特開昭59−229524号公報には、オルガノポリシ
ロキサンウレタンアクリレートとエチレン状不飽和コモ
ノマーからなる組成物の反応生成物を、コンタクトレン
ズの材料として提案している。しかしながら、前記反応
生成物を使用するコンタクトレンズ材料もやはり、前記
特開昭59−102914号公報に開示されたコンタクトレンズ
材料と同様に前記欠点は解消されていない。また、該公
報にはウレタン結合を含まないシロキサンマクロモノマ
ーを使用する旨の開示は勿論のこと、かかる示唆すらも
ない。
前記公報以外にも、たとえば特公昭60−28329号公報
にはポリ有機シロキサン単量体をコモノマーと重合した
ポリシロキサンをコンタクトレンズ材料として提案して
いる。しかしながら、前記ポリシロキサンを使用した材
料は、酸素透過性が良好なものの、機械的強度が充分に
良好とはいえず、脆いという欠点がある。また、該公報
には、ウレタン結合を含むポリシロキサンに関する開示
は勿論のこと、かかる示唆すらもない。
前記(メタ)アクリル酸エステル系軟質材料のなかで
は、とくにブチルアクリレートを主成分とする共重合体
を素材とするものがコンタクトレンズとして実用化され
ている。しかしながら、かかる素材からなるコンタクト
レンズは表面がべとつき、脂質などの汚れが付着しやす
いため、白濁化しやすく、また酸素透過性がさほど高く
なく、機械的強度も満足しうるものではなく、なお改良
すべき点が多々あった。
前記(メタ)アクリル酸エステル系軟質材料として
は、前記のほかにもアクリル酸エステル、メタクリル酸
エステルならびに分子中に環状構造および2個以上の官
能基を有し、かつ、環状構造と官能基間の原子数が2以
上である架橋性モノマーを用いた共重合体からなる非含
水性ソフトコンタクトレンズが提案されている(特開昭
62−127823号公報)。かかる非含水性ソフトコンタクト
レンズは機械的強度が改善され、柔軟性があるものの、
脂質などの汚れにより汚染されやすく、酸素透過性に関
してもコンタクトレンズとして連続装用しうるほど充分
ではない。
また、前記以外にも含フッ素メタクリル酸エステル、
前記以外のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル
および架橋性モノマーの共重合体からなる非含水性ソフ
トコンタクトレンズ(特開昭62−127824号公報)、アク
リル酸および/またはメタクリル酸ならびに架橋性モノ
マーを含有するモノマー混合物を共重合してなる硬質共
重合体を含フッ素アルコールを用いてエステル化処理し
た非含水酸素透過性ソフトコンタクトレンズの製造方法
(特開昭62−127825号公報)が提案されている。しか
し、これらの公報に記載されているコンタクトレンズは
いずれも機械的強度はある程度改善され、酸素透過性も
多少良好なものの、さらに機械的強度を向上させるため
に架橋性モノマーを多量に使用すると、酸素透過性が低
下したり、柔軟性が低下し、さらには脆くなるという欠
点がある。
[発明が解決しようとする課題] そこで本発明らは、前記従来技術に鑑みて、透明性
にすぐれることは勿論のこと、実質的に非含水性また
は低含水性を呈し、脂質などの汚れが付着しにくく、
酸素透過性にすぐれ、しかも実用上満足しうる機械
的強度を有する軟質眼用レンズをうるべく鋭意研究を重
ねた結果、かかる諸物性をすべて満足する眼用レンズ材
料を見出し、本出願人らは、先に特許出願をしている
(特願平1−8845号明細書、特願平1−35218号明細
書、特願平1−178500号明細書)。
しかしながら、かかる軟質眼用レンズ材料には、若干
表面にべとつきが生じることがあった。
眼用レンズの表面がべとつくことの問題点としては、
角膜など生体組織に眼用レンズが癒着しやすく眼組織の
障害を惹起しやすい、その眼用レンズの取り扱いが困難
となりやすい、表面にゴミなどが付着しやすいといった
ことなどがあげられる。したがって、こうした眼用レン
ズの表面のべとつきを極力解消することが望まれてい
る。
本発明者らは、さらに鋭意研究を重ねたところ、えら
れた軟質眼用レンズ材料にアルカリ処理を施したばあい
には、材料の表面が親水性化合物し、表面の親水性のよ
り一層の向上および材料表面のべとつきのより一層の低
減が達成されることを見出し、本発明を完成するにいた
った。
なお、本明細書でいう実質的に非含水性または低含水
性とは、材料の吸水率が5%以下であることをいう。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明は(A)フッ素含有(メタ)アクリ
ル酸エステル、(B)アルキル(メタ)アクリル酸エス
テル、(C)一般式(I): (式中、Y11およびY12はそれぞれ独立してアクリロイル
基、メタクリロイル基、ビニル基またはアリル基;X11
よびX12はそれぞれ独立して共有結合、酸素原子または
アルキレングリコール基;R11およびR12はそれぞれ独立
して炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレ
ン基;R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ独
立して炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基、i
は1〜1500の整数、jは0〜1499の整数(ただしi+j
は1500以下である)を示す)で表わされる両末端に重合
性基を有するポリシロキサンマクロモノマーおよび (D)一般式(II): [式中、Y21およびY22はそれぞれ独立してアクリロイル
オキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基およびア
リル基から選ばれた基;R31およびR34はそれぞれ独立し
て炭素数2〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン
基;X21およびX22はそれぞれ独立して共有結合、酸素原
子またはアルキレングリコール基;R32およびR33はそれ
ぞれ独立して炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖を有する
アルキレン基;R23、R24、R25、R26、R27およびR28はそ
れぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基またはフェニ
ル基;E21およびE22はそれぞれ独立して−NHCO−(ただ
しこのばあい、X21およびX22は共有結合であり、E21はX
25と、またE22はX26とウレタン結合を形成している)ま
たは飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系から選ばれ
たジイソシアネート由来の2価の基(ただしこのばあ
い、X21およびX22はそれぞれ独立して酸素原子またはア
ルキレングリコール基であり、E21はX21およびX25と、
またE22はX22およびX26とそれぞれウレタン結合を形成
している);X25およびX26はそれぞれ独立して酸素原
子、アルキレングリコール基または一般式(V): (式中、R41は炭素数1〜6の3価の炭化水素基;Y23
アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニ
ル基およびアリル基から選ばれた基;R36は炭素数2〜6
の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基;X23は共有結
合、酸素原子またはアルキレングリコール基;E23は−NH
CO−(ただしこのばあい、X23は共有結合である)また
は飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系から選ばれた
ジイソシアネート由来の2価の基(ただしこのばあい、
X23は酸素原子またはアルキレングリコール基であ
る))で示される基であり、隣接するR41に結合した酸
素原子およびX23とウレタン結合を形成している;mは1
〜1500の整数、nは0〜1499の整数、ただしm+n≦15
00を示す]で表わされる重合性基が1個または2個のウ
レタン結合を介してシクロキサン主鎖に結合しているポ
リシロキサンマクロモノマーを必須重合成分とする共重
合体よりなる軟質眼用レンズ材料を所望の眼用レンズ形
状に成形したのち、アルカリ処理を施してなる軟質眼用
レンズに関する。
[作用および実施例] 本発明の軟質眼用レンズ材料は、前記したごとく、
(A)フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル(以下、
モノマー(A)という)、(B)アルキル(メタ)アク
リル酸エステル(以下、モノマー(B)という)、
(C)一般式(I): (式中、Y11およびY12はそれぞれ独立してアクリロイル
基、メタクリロイル基、ビニル基またはアリル基;X11
よびX12はそれぞれ独立して共有結合、酸素原子または
アルキレングリコール基;R11およびR12はそれぞれ独立
して炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレ
ン基;R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ独
立して炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基、i
は1〜1500の整数、jは0〜1499の整数(ただしi+j
は1500以下である)を示す)で表わされる両末端に重合
性基を有するポリシロキサンマクロモノマー(以下、マ
クロモノマー(C)という)および(D)一般式(I
I): [式中、Y21およびY22はそれぞれ独立してアクリロイル
オキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基およびア
リル基から選ばれた基;R31およびR34はそれぞれ独立し
て炭素数2〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン
基;X21およびX22はそれぞれ独立して共有結合、酸素原
子またはアルキレングリコール基;R32およびR33はそれ
ぞれ独立して炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖を有する
アルキレン基;R23、R24、R25、R26、R27およびR28はそ
れぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基またはフェニ
ル基;E21およびE22はそれぞれ独立して−NHCO−(ただ
しこのばあい、X21およびX22は共有結合であり、E21はX
25と、またE22はX26とウレタン結合を形成している)ま
たは飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系から選ばれ
たジイソシアネート由来の2価の基(ただしこのばあ
い、X21およびX22はそれぞれ独立して酸素原子またはア
ルキレングリコール基であり、E21はX21およびX25と、
またE22はX22およびX26とそれぞれウレタン結合を形成
している);X25およびX26はそれぞれ独立して酸素原
子、アルキレングリコール基または一般式(V): (式中、R41は炭素数1〜6の3価の炭化水素基;Y23
アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニ
ル基およびアリル基から選ばれた基;R36は炭素数2〜6
の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基;X23は共有結
合、酸素原子またはアルキレングリコール基;E23は−NH
CO−(ただしこのばあい、X23は共有結合である)また
は飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系から選ばれた
ジイソシアネート由来の2価の基(ただしこのばあい、
X23は酸素原子またはアルキレングリコール基であ
る))で示される基であり、隣接するR41に結合した酸
素原子およびX23とウレタン結合を形成している;mは1
〜1500の整数、nは0〜1499の整数、ただしm+n≦15
00を示す]で表わされる重合性基が1個または2個のウ
レタン結合を介してシクロキサン主鎖に結合しているポ
リシロキサンマクロモノマー(以下、マクロモノマー
(D)という)を必須共重合成分とする共重合体からな
るものである。
前記モノマー(A)は、材料の酸素透過性を低下させ
ずに脂質などの汚れが材料に付着しにくくする作用を呈
する成分である。かかるモノマー(A)の代表例として
は、たとえば一般式(III): CH2=CR7COOCpH(2p-q-r+1)Fq(OH) (III) (式中、R7は水素原子またはCH3、pは1〜15の整数、
qは1〜(2p+1)の整数、rは0〜2の整数を示す)
で表わされるモノマーがあげられる。かかるモノマーの
具体例としては、たとえば2,2,2−トリフルオロエチル
(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロ
ピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ
−t−ペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−
ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,
4,4−ヘキサフルオロ−t−ヘキシル(メタ)アクリレ
ート、2,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ビス(トリ
フルオロメチル)ペンチル(メタ)アクリレート、2,2,
3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレー
ト、2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピル
(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオ
ロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オ
クタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,
4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル(メタ)アクリレー
ト、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチ
ル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−
ドデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、3,3,4,
4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル(メ
タ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリ
デカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロデシ
ル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,
9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリ
レート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−
オクタデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ノナデ
カフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12−エイコサフ
ルオロドデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
−4,4,5,5,6,7,7,7−オクタフルオロ−6−トリフルオ
ロメチルヘプチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,9,9,9−ドデカフルオロ−8−
トリフルオロメチルノニル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,78,8,9,9,10,11,11,11−ヘ
キサデカフルオロ−10−トリフルオロメチルウンデシル
(メタ)アクリレートなどがあげられる。
前記モノマー(A)の配合量は、前記必須共重合成分
100部(重量部、以下同様)に対して5〜70部、好まし
くは10〜60部、さらに好ましくは25〜55部、とくに好ま
しくは30〜50部である。かかるモノマー(A)の配合量
は前記下限値よりも少なすぎると該モノマー(A)を配
合する効果が充分に発揮されなくなり、えられるレンズ
材料が脂質などの汚れにより汚染されやすくなるばかり
でなく、機械的強度が低下する傾向にあり、また前記上
限値よりも多すぎると相対的に他の必須共重合成分(モ
ノマー(B)、マクロモノマー(C)およびマクロモノ
マー(D))の使用量が少なくなることにより、えられ
る材料は、柔軟性に欠け、伸びが小さくなり、脆くなる
傾向がある。さらにこのばあい、えられる材料の酸素透
過性が充分ではなくなったり、モノマー(A)と他の共
重合成分との相溶性がわるくなることにより、均一で透
明でかつ機械的強度の良好な材料がえられにくくなる傾
向がある。
前記モノマー(B)は、適度な柔軟性を眼用レンズ材
料に付与し、さらに他の必須重合成分相互間の相溶性を
改善するという作用を呈する成分である。かかるモノマ
ー(B)の具体例としては、たとえばメチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレ
ート、ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
ペンチル(メタ)アクリレート、tert−ペンチル(メ
タ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘ
プチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリ
レート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノ
ニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレー
ト、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メ
タ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの直鎖
状、分岐鎖状、環状のアルキル(メタ)アクリレート類
などがあげられ、これらのなかから1種または2種以上
が選択して使用される。
前記モノマー(B)のなかでは、ホモポリマーとした
ばあいにガラス転移点(以下、Tgという)が40℃以下と
なるアルキル(メタ)アクリル酸エステルは、えられる
眼用レンズ材料の柔軟性を適度に調整しうるという利点
があるので、本発明ではとくに好ましく使用される。
ここでいうホモポリマーの分子量は、およそ10,000以
上であることが好ましい。なぜなら、ホモポリマーの分
子量が10,000以上であれば、ホモポリマーのTgはかかる
分子量に依存せず、あまり変わらないからである。
前記モノマー(B)の配合量は前記必須共重合成分10
0部に対して5〜60部、好ましくは10〜50部、とくに好
ましくは20〜40部である。かかる配合量は、前記下限値
よりも少なすぎるばあい、該モノマー(B)を配合した
効果が充分に発揮されず、えられる材料の柔軟性が低下
するだけでなく、必要共重合成分相互間の相溶性がわる
くなることにより、均一で透明でかつ機械的強度の良好
な材料がえられにくくなる傾向があり、また前記上限値
よりも多すぎると相対的に他の必須共重合成分の使用量
が少なくなることにより、他の必須共重合成分を使用す
ることにより効果が奏されにくくなったり、えられる材
料の酸素透過性が低下したり、脂質などの汚れにより汚
染されやすくなり、表面のべとつきが顕著になるなどの
傾向がある。
前記マクロモノマー(C)は、すぐれた酸素透過性を
眼用レンズ材料に付与する成分であり、分子の両末端に
重合性基を有している。かかる重合性基は、他のレンズ
成分(共重合成分)と共重合するため、該マクロモノマ
ー(C)が材料より溶出するおそれがない。
前記マクロモノマー(C)としては、前記したごとく
一般式(I)で表わされるものが用いられる。一般式
(I)において、Y11およびY12は前記したごとく、それ
ぞれ独立してアクリルロイル基、メタクリロイル基、ビ
ニル基またはアリル基を示す。またX11およびX12はそれ
ぞれ独立して共有結合、酸素原子またはアルキレングリ
コール基を示し、かかるアルキレングリコール基として
は、たとえば一般式(IV): −OCkH2k−O (IV) (式中、kは2〜4の整数、lは1〜5の整数を示す)
で表わされる基などがあげられる。なお、かかる一般式
においてlは6以上の整数であるばあい、酸素透過性が
低下したり、機械的強度が低下する傾向にあるため、本
発明においてはlは1〜5の整数、とくに1〜3の整数
であることが好ましい。R11およびR12はそれぞれ独立し
て炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン
基であり、かかるアルキレン基の炭素数は7以上である
ばあいには、酸素透過性が低下する傾向にあり、とくに
好ましいアルキレン基の炭素数は1〜3である。R13、R
14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ独立して炭素数
1〜3のアルキル基またはフェニル基を示す。iは1〜
1500の整数、jは0〜1499の整数を示すが、i+jは15
00よりも大きいばあいにはマクロモノマー(C)の分子
量が大きくなりすぎ、他の共重合成分との相溶性がわる
くなり、配合時に充分溶解しなかったり、重合時に白濁
し、均一で透明な材料がえられなくなる傾向があり、ま
たi+jが0であるばあい、えられる材料の酸素透過性
が低くなるばかりでなく、柔軟性も低下する傾向がある
ため、i+jは1〜1500、好ましくは3〜500、とくに
好ましくは5〜100であることが望ましい。
前記マクロモノマー(C)の配合量は、必須重合成分
100部に対して、3〜45部、好ましくは5〜35部、さら
に好ましくは5〜25部、とくに好ましくは10〜15部の範
囲内である。かかるマクロモノマー(C)の配合量は、
前記下限値よりも少なすぎると該マクロモノマー(C)
を使用する効果が充分に発揮されず、えられる材料に酸
素透過性が充分に付与されえなくなってしまうばかりで
なく、反発性が不足する傾向にあり、また前記上限値よ
りも多すぎると、相対的に他の成分の使用量が少なくな
り、えられる材料に伸びが少なくなって脆さが生じた
り、脂質などの汚れが付着しやすくなったり、他の必須
共重合成分との相溶性がわるくなり、均一で透明な材料
がえられにくくなる傾向がある。
前記マクロモノマー(D)は、ウレタン結合という弾
力性のある結合を有し、シロキサン部分により材料の柔
軟性や酸素透過性を損なうことなく補強し、材料として
弾力的反発性(粘り強さまたは腰のある弾力性)を付与
し、脆さをなくす、すなわち機械的強度を向上させる成
分である。
前記マクロモノマー(D)は、分子の両末端に重合性
基を有し、かかる重合性基により他のレンズ成分(共重
合成分)と共重合するため、えられる軟質眼用レンズ材
料より溶出することがなく、しかもえられる軟質眼用レ
ンズ材料に分子の絡み合いによる物理的な補強効果だけ
でなく、化学的結合による補強効果を付与するというす
ぐれた性質を有するものである。
前記マクロモノマー(D)としては、前記したごとく
一般式(II)で表わされるものが用いられる。一般式
(II)において、Y21およびY22は前記したごとく、それ
ぞれ独立してアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオ
キシ基、ビニル基およびアリル基から選ばれた基を示
す。R31およびR34は前記したごとく、それぞれ独立して
炭素数2〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基
を示す。R32およびR33は前記したごとく、それぞれ独立
して炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレ
ン基を示す。R23、R24、R25、R26、R27およびR28は前記
したごとく、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル
基またはフェニル基を示す。E21およびE22はそれぞれ独
立して−NHCO−(ただしこのばあい、X21およびX22は共
重合結合であり、E21はX25と、またE22はX26とウレタン
結合を形成している)または飽和脂肪族系、脂環式系お
よび芳香族系から選ばれたジイソシアネート由来の2価
の基(ただしこのばあい、X21およびX22はそれぞれ独立
して酸素原子またはアルキレングリコール基であり、E
21はX21およびX25と、またE22はX22およびX26とそれぞ
れウレタン結合を形成している)を示す。またX21およ
びX22はそれぞれ独立して共有結合、酸素原子またはア
ルキレングリコール基を示すが、かかるアルキレングリ
コール基としては、たとえば前記一般式(IV)で表わさ
れる基などがあげられる。
X25およびX26はそれぞれ独立して酸素原子、アルキレ
ングリコール基または一般式(V): (式中、R41は炭素数1〜6の3価の炭化水素基;Y23
アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニ
ル基およびアリル基から選ばれた基;R36は炭素数2〜6
の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基;X23は共有結
合、酸素原子またはアルキレングリコール基;E23は−NH
CO−(ただしこのばあい、X23は共有結合である)また
は飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系から選ばれた
ジイソシアネート由来の2価の基(ただしこのばあい、
X23は酸素原子またはアルキレングリコール基であ
る))で示される基を示し、隣接するR41に結合した酸
素原子およびX23とウレタン結合を形成している。な
お、アルキレングリコール基としては、たとえば前記一
般式(IV)で表される基などがあげられる。
なお、前記R41については、3価の炭化水素基の炭素
数が7以上であるばあい、酸素透過性が低下する傾向に
あるためあまり好ましくなく、合成がしやすくてえられ
やすいという点を考慮すれば、炭素数が2〜4、とくに
3であることが好ましい。前記R41の代表例としては、
たとえば一般式(VI): (式中、sは0〜5の整数、tは0〜5の整数、uは0
〜5の整数、ただしs+t+uは0〜5のの整数を示
す)で表わされる3価の炭化水素基があげられる。
前記mは1〜1500の整数、nは0〜1499の整数を示す
が、m+nは1500よりも大きいばあいにはマイクロモノ
マー(D)の分子量が大きくなりすぎ、他の共重合成分
との相溶性がわるくなり、配合時に充分に溶解しなかっ
たり、重合時に白濁し、均一で透明な材料がえられなく
なる傾向があり、また0であるばあいには、えられる材
料の酸素透過性が低くなるばかりでなく、柔軟性も低下
する傾向があるため、m+nは1〜1500、好ましくは2
〜500、とくに好ましくは5〜100の整数であることが望
ましい。
前記マクロモノマー(D)の配合量は、必須共重合成
分100部に対して3〜40部、好ましくは5〜30部、さら
に好ましくは10〜25部、とくに好ましくは15〜25部であ
る。かかる配合量は前記下限値よりも少ないばあい、該
マクロモノマー(D)を使用する効果が充分に発揮され
ないので、えられる材料に弾力的反発性(粘り強さまた
は腰のある弾力性)が付与されにくくなり、該材料が脆
くなる傾向がある。しかも、このばあいには、充分な機
械的強度が付与されにくくなる傾向もある。また、前記
配合量が前記上限値よりも多いばあい、相対的に他の必
須共重合成分の使用量が少なくなり、えられる材料の柔
軟性が乏しくなるばかりでなく、他の必須共重合成分と
の相溶性がわるくなり、均一で透明な材料がえられにく
くなる傾向がある。
なお、本発明の材料の形状安定性および耐薬品性、耐
熱性、耐溶媒性、形状安定性などの耐久性をさらに向上
させ、溶出物を少なくするために、架橋剤を用いるのが
好ましい。また、分子内に少なくとも2個の重合性基を
有するマクロモノマーを架橋剤として用いてもよい。
前記架橋剤の具体例としては、たとえばエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)
アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシエチルア
クリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、
アジピン酸ジアリル、トリアリルイソシアヌレート、α
−メチレン−N−ビニルピロリドン、4−ビニルベンジ
ル(メタ)アクリレート、3−ビニルベンジル(メタ)
アクリレート、2,2−ビス(p−(メタ)アクリロイル
オキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス
(m−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)ヘキサフ
ルオロプロパン、2,2−ビス(o−(メタ)アクリロイ
ルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビ
ス(p−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(m−(メタ)アクリロイルオキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(o−(メタ)アクリロイ
ルオキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−(メ
タ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)
ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキ
シヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス
(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソ
プロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリ
ロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2
−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼ
ン、1,2−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソ
プロピル)ベンゼンなどがあげられ、これらの架橋剤は
単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
前記架橋剤の配合量は必須共重合成分100部に対して
0.01〜10部、好ましくは0.05〜8部、さらに好ましくは
0.1〜5部である。かかる架橋剤の配合量は前記下限値
よりも少ないばあい、該架橋剤を配合した効果が充分に
発揮されず、また前記上限値をこえるばあい、材料が脆
くなる傾向がある。
なお、えられる材料の機械的強度を適度に調整する目
的で、前記必須共重合成分に加えて、補強性モノマーを
さらに配合してもよい。かかる補強性モノマーの具体例
としては、たとえば(メタ)アクリル酸;スチレン、メ
チルスチレン、ジメチルアミノスチレンなどのスチレン
類;ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環含有
(メタ)アクリレート類;アルキル基などで置換された
イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などの
アルキルエステル類などがあげられる。これらの補強性
モノマーは単独でまたは2種以上を混合して用いられ
る。
また親水性を付与するなどの目的で、前記必須重合成
分に加えて親水性モノマーをさらに配合してもよい。か
かる親水性モノマーの具体例としては、たとえばヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレン
グリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基含有
(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸;N−ビニ
ルピロリドン、α−メチレン−N−メチルピロリドン、
N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイル
ピロリドンなどのビニルラクタム類;(メタ)アクリル
アミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチ
ル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリル
アミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−
エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メ
タ)アクリルアミド類;アミノエチル(メタ)アクリレ
ート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど
のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエ
チル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)ア
クリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)ア
クリレートなどのアルコキシ基含有(メタ)アクリレー
ト類などがあげられる。これら親水性モノマーは単独で
または2種以上を混合して用いられる。
酸素透過性を補助的に向上させる目的で、前記必要共
重合成分に加えて、良好な酸素透過性を付与するモノマ
ーをさらに配合してもよい。かかるモノマーの具体例と
しては、たとえばペンタメチルジシロキサニルメチル
(メタ)アクリレート、ペンタメチルジシロキサニルプ
ロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチル
シロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリ
ス(トリメチルシロキシ)シリルプロル(メタ)アクリ
レート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロ
キシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メ
タ)アクリレート、トリス[メチルビス(トリメチルシ
ロキシ)シロキシ]シリルプロピル(メタ)アクリレー
ト、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル
グリセリル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチル
シロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレ
ート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキ
シ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセ
リル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルエチルテ
トラメチルジシロキサニルプロピルグリセリル(メタ)
アクリレート、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリ
レート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレー
ト、トリメチルシリルプロピルグリセリル(メタ)アク
リレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピルグリセ
リル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシ
ロキシ)シリルエチルテトラメチルジシロキサニルメチ
ル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピ
ルシクロテトラシロキサニルプロピル(メタ)アクリレ
ート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロ
キシビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メ
タ)アクリレートなどのシリコン含有(メタ)アクリレ
ート類;ペンタフルオロスチレン、トリメチルスチレ
ン、トリフルオロメチルスチレン、(ペンタメチル−3,
3−ビス(トリメチルシロキシ)トリシロキサニル)ス
チレン、(ヘキサメチル−3−トリメチルシロキシトリ
シロキサニル)スチレンなどのフッ素またはシリコン含
有スチレン類;イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、
フマル酸などのフッ素含有アルキル基および/またはシ
ロキサニルアルキル基などで置換されていてもよいアル
キルエステル類などがあげられる。これらのモノマーは
単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
前記補強性モノマー、親水性モノマーおよび酸素透過
性を付与するモノマーの配合量は、えられる材料の用途
に応じて適宜調整することが望ましく任意であるが、前
記必須共重合成分100部に対して30部以下、なかんづく2
0部以下であることが好ましい。これらのモノマーの配
合量は前記上限値よりも多いばあいには、前記必須共重
合成分の配合量が相対的に少なくなり、かかる共重合成
分による作用が充分に発揮されなくなる傾向がある。
なお、前記親水性モノマーを配合するばあいには、か
かる親水性モノマーの配合量はとくに前記必須共重合成
分100部に対して15部以下であるのが、材料を実質的に
非含水性または低含水性とするうえで好ましい。たとえ
ば、本発明の材料をコンタクトレンズとして使用するば
あいには、かかる材料は実質的に非含水性または極めて
低含水性であるのが好ましい。かかる材料は実質的に非
含水性であれば、レンズ中に細菌などの微生物が侵入し
たり、繁殖したりすることがないので、消毒などの煩雑
なレンズケアを定期的にしなくてもよく、また含水率の
上昇による機械的強度の低下が小さくなる。また、眼内
レンズとして使用するばあいにも実質的に非含水性であ
れば、含水率の上昇による機械的強度の低下が小さく、
レンズとしての形状保持性などが損なわれるようなこと
がなくなる。
また、前記共重合成分には、レンズに紫外線の吸収性
を付与する目的やレンズを着色したり、可視光線の一部
の波長領域の光線をカットしたりする目的で、前記必須
共重合成分に加えてそれぞれ重合性紫外線吸収剤、重合
性色素や重合性紫外線吸収性色素を配合してもよい。
前記重合性紫外線吸収剤の具体例としては、たとえば
2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイ
ルオキシ−5−tert−ブチルベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2′,4′−
ジクロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2′
−ヒドロキシ−3′−(メタ)アクリロイルオキシプロ
ポキシ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系重合性
紫外線吸収剤;2−(2′−ヒドロキシ−5′−(メタ)
アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリ
アゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−(メタ)ア
クリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−
ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−
(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル)−2H−
ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−
(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3′−tert−ブ
チルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール
などのベンゾトリアゾール系重合性紫外線吸収剤;2−ヒ
ドロキシ−4−メタクリロイルオキシメチル安息香酸フ
ェニルなどのサリチル酸誘導体系重合性紫外線吸収剤;
その他2−シアノ−3−フェニル−3−(3′−(メ
タ)アクリロイルオキシフェニル)プロペニル酸メチル
エステルのような重合性紫外線吸収剤などがあげられ、
これらの重合性紫外線吸収剤は単独でまたは2種以上を
混合して用いられる。
前記重合性色素の具体例としては、たとえば1−フェ
ニルアゾ−4−(メタ)アクリロイルオキシナフタレ
ン、1−フェニルアゾ−2−ヒドロキシ−3−(メタ)
アクリロイルオキシナフタレン、1−ナフチルアゾ−2
−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシナフタ
レン、1−(α−アントリルアゾ)−2−ヒドロキシ−
3−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、1−
((4′−(フェニルアゾ)−フェニル)アゾ)−2−
ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシナフタレ
ン、1−(2′,4′−キシリルアゾ)−2−(メタ)ア
クリロイルオキシナフタレン、1−(o−トリルアゾ)
−2−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、2−
(m−(メタ)アクリロイルアミド−アニリノ)−4,6
−ビス(1′−(o−トリルアゾ)−2′−ナフチルア
ミノ)−1,3,5−トリアジン、2−(m−ビニルアニリ
ノ)−4−(4′−ニトロフェニルアゾ)−アニリノ)
−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、2−(1′−(o
−トリルアゾ)−2′−ナフチルオキシ)−4−(m−
ビニルアニリノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、
2−(p−ビニルアニリノ)−4−(1′−(o−トリ
ルアゾ)−2′−ナフチルアミノ)−6−クロロ−1,3,
5−トリアジン、N−(1′−(o−トリルアゾ)−
2′−ナフチル)−3−ビニルフタル酸モノアミド、N
−(1′−(o−トリルアゾ)−2′−ナフチル)−6
−ビニルフタル酸モノアミド、3−ビニルフタル酸−
(4′−(p−スルホフェニルアゾ)−1′−ナフチ
ル)モノエステル、6−ビニルフタル酸−(4′−(p
−スルホフェニルアゾ)−1′−ナフチル)モノエステ
ル、3−(メタ)アクリロイルアミド−4−フェニルア
ゾフェノール、3−(メタ)アクリロイルアミド−4−
(8′−ヒドロキシ−3′,6′−ジスルホ−1′−ナフ
チルアゾ)−フェノール、3−(メタ)アクリロイルア
ミド−4−(1′−フェニルアゾ−2′−ナフチルア
ゾ)−フェノール、3−(メタ)アクリロイルアミド−
4−(p−トリルアゾ)フェノール、2−アミノ−4−
(m−(2′−ヒドロキシ−1′−ナフチルアゾ)アニ
リノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2
−アミノ−4−(N−メチル−p−(2′−ヒドロキシ
−1′−ナフチルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニ
ル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−(m−
(4′−ヒドロキシ−1′−フェニルアゾ)アニリノ)
−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジン、2−アミ
ノ−4−(N−メチル−p−(4′−ヒドロキシフェニ
ルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−ト
リアジン、2−アミノ−4−(m−(3′−メチル−
1′−フェニル−5′−ヒドロキシ−4′−ピラゾリル
アゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリ
アジン、2−アミノ−4−(N−メチル−p−(3′−
メチル−1′−フェニル−5′−ヒドロキシ−4′−ピ
ラゾリルアゾ)アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,
5−トリアジン、2−アミノ−4−(p−フェニルアゾ
アニリノ)−6−イソプロペニル−1,3,5−トリアジ
ン、4−フェニルアゾ−7−(メタ)アクリロイルアミ
ド−1−ナフトールなどのアゾ系重合性色素;1,5−ビス
((メタ)アクリロイルアミノ)−9,10−アントラキノ
ン、1−(4′−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−ア
ントラキノン、4−アミノ−1−(4′−ビニルベンゾ
イルアミド)−9,10−アントラキノン、5−アミノ−1
−(4′−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラ
キノン、8−アミノ−1−(4′−ビニルベンゾイルア
ミド)−9,10−アントラキノン、4−ニトロ−1−
(4′−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキ
ノン、4−ヒドロキシ−1−(4′−ビニルベンゾイル
アミド)−9,10−アントラキノン、1−(3′−ビニル
ベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1−
(2′−ビニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキ
ノン、1−(4′−イソプロペニルベンゾイルアミド)
−9,10−アントラキノン、1−(3′−イソプロペニル
ベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノン、1−
(2′−イソプロペニルベンゾイルアミド)−9,10−ア
ントラキノン、1,4−ビス−(4′−ビニルベンゾイル
アミド)−9,10−アントラキノン、1,4−ビス−(4′
−イソプロペニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラ
キノン、1,5−ビス−(4′−ビニルベンゾイルアミ
ド)−9,10−アントラキノン、1,5−ビス−(4′−イ
ソプロペニルベンゾイルアミド)−9,10−アントラキノ
ン、1−メチルアミノ−4−(3′−ビニルベンゾイル
アミド)−9,10−アントラキノン、1−メチルアミノ−
4−(4′−ビニルベンゾイルオキシエチルアミノ)−
9,10−アントラキノン、1−アミノ−4−(3′−ビニ
ルフェニルアミノ)−9,10−アントラキノン−2−スル
ホン酸、1−アミノ−4−(4′−ビニルフェニルアミ
ノ)−9,10−アントラキノン−2−スルホン酸、1−ア
ミノ−4−(2′−ビニルベンジルアミノ)−9,10−ア
ントラキノン−2−スルホン酸、1−アミノ−4−
(3′−(メタ)アクリロイルアミノフェニルアミノ)
−9,10−アントラキノン−2−スルホン酸、1−アミノ
−4−(3′−(メタ)アクリロイルアミノベンジルア
ミノ)−9,10−アントラキノン−2−スルホン酸、1−
(β−エトキシカルボニルアリルアミノ)−9,10−アン
トラキノン、1−(β−カルボキシアリルアミノ)−9,
10−アントラキノン、1,5−ジ−(β−カルボキシアリ
ルアミノ)−9,10−アントラキノン、1−(β−イソプ
ロポキシカルボニルアリルアミノ)−5−ベンゾイルア
ミド−9,10−アントラキノン、2−(3′−(メタ)ア
クリロイルアミド−アニリノ)−4−(3′−(3″−
スルホ−4″−アミノアントラキノン−1″−イル)−
アミノ−アニリノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジ
ン、2−(3′−(メタ)アクリロイルアミド−アニリ
ノ)−4−(3′−(3″−スルホ−4″−アミノアン
トラキノン−1″−イル)−アミノ−アニリノ)−6−
ヒドラジノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−((4″
−メトキシアントラキノン−1″−イル)−アミノ)−
6−(3′−ビニルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、
2−(2′−ビニルフェノキシ)−4−(4′−(3″
−スルホ−4″−アミノアントラキノン−1″−イル−
アミノ)−アニリノ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジ
ンなどのアントラキノン系重合性色素;o−ニトロアニリ
ノメチル(メタ)アクリレートなどのニトロ系重合性色
素;(メタ)アクリロイル化テトラアミノ銅フタロシア
ニン、(メタ)アクリロイル化(ドデカノイル化テトラ
アミノ銅フタロシアニン)などのフタロシアニン系重合
性色素などがあげられ、これらの重合性色素は単独でま
たは2種以上を混合して用いられる。
前記重合性紫外線吸収性色素の具体例としては、たと
えば2,4−ジヒドロキシ−3−(p−スチレノアゾ)ベ
ンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(p−スチレ
ノアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−
(p−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニルア
ゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(p−
(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニルアゾ)ベン
ゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(p−(メタ)
アクリロイルオキシエチルフェニルアゾ)ベンゾフェノ
ン、2,4−ジヒドロキシ−5−(p−(メタ)アクリロ
イルオキシエチルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4
−ジヒドロキシ−3−(p−(メタ)アクリロイルオキ
シプロピルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒ
ドロキシ−5−(p−(メタ)アクリロイルオキシプロ
ピルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキ
シ−3−(o−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェ
ニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−
(o−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニルア
ゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(o−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアゾ)ベン
ゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(o−(メタ)
アクリロイルオキシエチルフェニルアゾ)ベンゾフェノ
ン、2,4−ジヒドロキシ−3−(o−(メタ)アクリロ
イルオキシプロピルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,
4−ジヒドロキシ−5−(o−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピルフェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジ
ヒドロキシ−3−(p−(N,N−ジ(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノ
ン、2,4−ジヒドロキシ−5−(p−(N,N−ジ(メタ)
アクリロイルオキシエチルアミノ)フェニルアゾ)ベン
ゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(o−(N,N−ジ
(メタ)アクリロイルオキシエチルアミノ)フェニルア
ゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(o−
(N,N−ジ(メタ)アクリロイルエチルアミノ)フェニ
ルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−
(p−(N−エチル−N−(メタ)アクリロイルオキシ
エチルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−
ジヒドロキシ−5−(p−(N−エチル−N−(メタ)
アクリロイルオキシエチルアミノ)フェニルアゾ)ベン
ゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(o−(N−エ
チル−N−(メタ)アクリロイルオキシエチルアミノ)
フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−
5−(o−(N−エチル−N−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノン、2,
4−ジヒドロキシ−3−(p−(N−エチル−N−(メ
タ)アクリロイルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾフェノ
ン、2,4−ジヒドロキシ−5−(p−(N−エチル−N
−(メタ)アクリロイルアミノ)フェニルアゾ)ベンゾ
フェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−(o−(N−エチ
ル−N−(メタ)アクリロイルアミノ)フェニルアゾ)
ベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシ−5−(o−(N
−エチル−N−(メタ)アクリロイルアミノ)フェニル
アゾ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系重合性紫
外線吸収性色素や、2−ヒドロキシ−4−(p−スチレ
ノアゾ)安息香酸フェニルなどの安息香酸系重合性紫外
線吸収性色素などがあげられ、これらの重合性紫外線吸
収性色素は単独でまたは2種以上を混合して用いられ
る。
前記重合性紫外線吸収剤、重合性色素および重合性紫
外線吸収性色素の配合量は、レンズの厚さに大きく影響
されるため、前記必須共重合成分100部に対して3部以
下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.1〜2部で
ある。かかる配合量は3部よりも多すぎるとレンズの物
性、たとえば強度などが低下する傾向があり、また紫外
線吸収剤や色素の毒性も考慮すれば、生体組織に直接接
触するコンタクトレンズや生体中に埋め込む眼内レンズ
などのような眼用レンズの材料としては適さなくなる傾
向がある。この他とくに色素のばあいは、その配合量が
多すぎるとレンズの色が濃くなりすぎて透明性が低下し
てレンズが可視光線を透過しにくくなる傾向がある。
なお、本発明においては、必須共重合成分以外のレン
ズ成分であるたとえば補強性モノマー、親水性モノマ
ー、酸素透過性を付与するモノマー、重合性紫外線吸収
剤、重合性色素や重合性紫外線吸収性色素などは、1種
または2種以上を選択してマクロモノマーとなし、これ
を必須重合成分以外のレンズ成分の1つとして前記必須
共重合成分にさらに配合してもよい。
前記必須共重合成分をはじめとする前記したレンズ成
分は、たとえばコンタクトレンズや眼内レンズなどの目
的とする眼用レンズの用途に応じて適宜調整して共重合
に供せられる。
本発明に用いられる眼用レンズ材料をうる方法として
は、たとえばモノマー(A)、モノマー(B)、マクロ
モノマー(C)、マクロモノマー(D)および所望によ
り添加されるその他の成分を配合し、これにラジカル重
合開始剤を添加し、通常の方法によって重合する方法が
あげられる。
前記通常の方法とは、たとえばラジカル重合開始剤を
配合したのち、室温〜約130℃の温度範囲で徐々に加熱
するか、マイクロ波、紫外線、放射線(γ線)などの電
磁波を照射して行なう方法である。加熱重合させるばあ
いには、段階的に昇温させてもよい。重合は塊状重合法
によってなされてもよいし、溶媒などを用いた溶媒重合
法によってなされてもよく、またその他の方法によって
なされてもよい。
前記ラジカル重合開始剤の具体例としては、たとえば
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロ
ニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハ
イドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド
などがあげられ、これらラジカル重合開始剤は単独でま
たは2種以上を併用して用いられる。なお、光線などを
利用して重合させるばあいには、光重合開始剤や増感剤
をさらに添加するのがよい。前記重合開始剤や増感剤の
配合量は、重合に供せられるレンズ成分100部に対して
約0.001〜2部、好ましくは0.01〜1部であるのが適切
である。
コンタクトレンズや眼内レンズなどの眼用レンズとし
て成形するばあいには、当業者が通常行なっている成形
方法が採用される。かかる成形方法としては、たとえば
切削加工法や鋳型(モールド)法などがある。切削加工
法は、重合を適当な型または容器中で行ない、棒状、ブ
ロック状、板状の素材(重合体)をえたのち、切削加
工、研磨加工などの機械的加工により所望の形状に加工
する方法である。また鋳型法は、所望の眼用レンズの形
状に対応した型を用意し、この型のなかで前記レンズ成
分の重合を行なって成形物をえ、必要に応じて機械的に
仕上げ加工を施す方法である。
本発明に用いられる眼用レンズ材料は、室温付近の温
度で軟質な材料であるので、眼用レンズを成形する際に
は一般に鋳型法による成形方法が適している。鋳型法と
しては、スピンキャスト法やスタティックキャスト法な
どが知られている。
さらに、眼内レンズをうるばあいには、レンズの支持
部をレンズとは別に作製し、あとでレンズに取付けても
よいし、レンズと同時に(一体的に)成形してもよい。
本発明では、軟質眼用レンズ材料を所望の眼用レンズ
形状に成形したのちに、アルカリ処理を施すことにより
材料の表面が親水性化される。そして、表面の親水性が
より一層向上し、かつ材料表面のべとつきがより一層低
減されるのである。
とりわけ、表面のべとつきの問題が解消されることに
よって、えられる眼用レンズは、角膜などの生体組織へ
の癒着が起こりにくくなり、それだけ眼組織に対して傷
害を与えることもなくなり、取り扱いが容易になり、表
面にゴミなどが付着しにくくなる。
なお、本発明の目的とする眼用レンズをうるために行
なうアルカリ処理は、液滴法により測定した水に対する
接触角が、処理前と比べて約10度以上低下するように条
件を設定して行なわれるのが好ましい。
アルカリ処理に使用されるアルカリとしては、たとえ
ば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニ
ウムなどがあげられ、これらは通常水溶液にして用いら
れる。かかるアルカリ処理の条件は、水溶液のアルカリ
濃度がおよそ0.3〜50重量%、処理温度がおよそ20〜100
℃、処理時間がおよそ0.5〜200時間の範囲であり、アル
カリの強さを考慮して適宜調整される。なお、アルカリ
濃度が低すぎたり処理温度が低すぎるばあいには、材料
の表面に一定の親水化層を形成するのに時間がかかりす
ぎて実用的ではなくなり、アルカリ濃度が高すぎたり処
理温度が高すぎるばあいには、短時間のうちに材料内部
深くまで親水化層が形成され、それが吸水率の増加をも
たらし、かつ水により膨潤した親水化層と未処理のまま
残っている材料内部との間で応力差を生じ、変形などが
生起するので、アルカリ濃度および処理温度は、いずれ
も前記範囲内にあるように調整することが好ましい。
また、処理時間については、前記範囲よりも短すぎる
と一定の厚さの安定した親水化層が形成されないので、
極めて親水化層の薄いものしかえられず、親水性の耐久
性が低くなってしまい、一方、前記範囲よりも長すぎる
と材料内部深くまで親水化層が形成され、それが吸水率
の増加をもたらし、かつ水により膨潤した親水化層と未
処理のまま残っている材料内部との間で応力差を生じ、
変形などが生起する傾向がある。
このようにアルカリ処理を施すことにより、表面の水
濡れ性がすぐれ、かつべとつきがきわめて低減された軟
質眼用レンズがえられる。
えられた眼用レンズは、使用する保存液、洗浄剤に含
まれる塩の濃度、pHなどにより多少表面性状が変化する
ばあいも考えられる。こうした変化を安定化させるため
にアルカリ処理を施した眼用レンズには、さらに酸処理
を施してもよい。
かかる酸処理に用いる酸としては、塩酸、硫酸、酢
酸、クエン酸などの鉱酸や有機酸などがあげられる。酸
処理の処理条件にはとくに限定はなく、たとえば、処理
濃度が水溶液の状態で0.1〜30重量%、処理温度が20〜1
00℃、処理時間が5秒〜〜48時間の範囲で処理を行なう
ことが適当である。
かくしてえられる本発明の眼用レンズは、(イ)軟質
であるので、コンタクトレンズとしたときには装用感が
よく、また眼内レンズにしたときには、眼組織に傷をつ
けず、小切開を通じて変形して挿入することができ、
(ロ)実質的に非含水性または低含水性であるので、含
水率の上昇による機械的強度の低下もなく、レンズとし
て形状保持性が損なわれることがなく、また材質中に細
菌などが繁殖しにくいので、コンタクトレンズとしたと
きには煮沸消毒などの煩雑な処理をしなくてもよく、
(ハ)酸素透過性にすぐれているので、コンタクトレン
ズとしたときに、角膜の代謝機能を損なうことがなく、
(ニ)機械的強度にすぐれているので、レンズとして形
状が安定し、種々の物理的処理に対しても破損すること
がなく、(ホ)脂質などの汚れが付着しにくいので、そ
の汚れによるレンズの白濁がなく、また眼組織に悪影響
を及ぼすことがなく、(ヘ)表面が良好な親水性を有
し、べとつきがないので、眼組織への癒着などの障害が
起こりにくいという作用を呈するものである。
つぎに本発明の軟質眼用レンズを参考例および実施例
に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる各
例によって限定されるものではない。
参考例1[マクロモノマー(C)の合成] 300ml容の三角フラスコに1,3−ビス(メタクリロイル
オキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン
0.0625mol(20.63g)、オクタメチルシクロテトラシロ
キサン0.5mol(148g)および濃硫酸5gを入れ、栓をして
室温(約24℃)で24時間撹拌した。反応液をn−ヘキサ
ン600mlが入った1容の三角フラスコに入れ、よく混
合した。これを、10%炭酸ナトリウム水溶液300mlで2
回洗浄した。さらにこれを水300mlで洗浄し、無水硫酸
マグネシウムで乾燥し、溶媒を完全に除去した。えられ
た粘調液体を吸引濾過し、反応生成物をえた。収量は15
3.45g、収率は91.0%であった。この反応生成物の赤外
線吸収スペクトルおよびプロトン核磁気共鳴スペクトル
を測定して分析した結果、式: で表わされる化合物(マクロモノマー(C)の1種)で
あることを確認した。
参考例2[マクロモノマー(C)の合成] 300ml容の三角フラスコに1,3−ビス(メタクリロイル
オキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン1
2.7g、オクタメチルシクロテトラシロキサン148gおよび
濃硫酸5gを入れ、栓をして室温(約24℃)で24時間撹拌
した。反応液をn−ヘキサン600mlが入った1容の三
角フラスコに入れ、よく混合した。これを10%炭酸ナト
リウム水溶液300mlで2回洗浄した。さらにこれを水300
mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を完
全に除去した。えられた粘調液体を吸引濾過し、反応生
成物をえた。この反応生成物の赤外線吸収スペクトルお
よびプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結
果、式: で表わされる化合物(マクロモノマー(C)の1種)で
あることを確認した。
参考例3[マクロモノマー(C)の合成] 300ml容の三角フラスコにビス−1,3−メタクリロイル
オキシメチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン6.6
g、オクタメチルシクロテトラシロキサン148gおよび濃
硫酸5gを入れ、栓をして室温(約24℃)で24時間撹拌し
た。反応液をn−ヘキサン600mlが入った1の三角フ
ラスコに入れ、よく混合した。これを10%炭酸ナトリウ
ム水溶液300mlで2回洗浄した。さらにこれを水300mlで
洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を完全に
除去した。えられた粘調液体を吸引濾過し、反応生成物
をえた。この反応生成物の赤外線吸収スペクトルおよび
プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定して分析した結
果、式: で表わされる化合物(マクロモノマー(C)の1種)で
あることを確認した。
参考例4[マクロモノマー(D)の合成] ジムロートを取り付けた200ml容の三つ口丸底フラス
コに両末端に水酸基を有する式: で表わされるポリジメチルシロキサン(分子量:約100
0)53.0g(水酸基含有量:0.106当量)とイソホロンジイ
ソシアネート25ml(0.106mol)を入れ、室温(約24℃)
にて5時間撹拌した。
つぎに2−ヒドロキシエチルアクリレート13.0g(0.1
12mol)を加えて撹拌し、ジブチルスズジラウレートを
1滴加え、さらに撹拌することにより高粘度の粗製物を
えた。これを塩化メチレンに溶解したのち、大量の水で
洗浄し、脱水後、溶媒を留去し、反応生成物をえた。こ
の反応生成物の赤外線吸収スペクトルおよびプロトン核
磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、式: を示す)で表わされる化合物(マクロモノマー(D)の
1種)であることを確認した。
参考例5[マクロモノマー(D)の合成] 参考例4で使用したポリジメチルシロキサンのかわり
に、式: で表わされるポリジメチルシロキサンを使用した以外
は、参考例4と同様の操作を行なうことにより、反応生
成物をえた。この反応生成物の赤外線吸収スペクトルお
よびプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結
果、式: を示す)で表わされる化合物(マクロモノマー(D)の
1種)であることを確認した。
参考例6[マクロモノマー(D)の合成] 200ml容の褐色四つ口フラスコに、式: で表わされる両末端に水酸基を有するポリジメチルシロ
キサン20g(0.02mol)とシクロヘキサン5g、ジブチルス
ズジラウレート0.01gを入れ、この四つ口フラスコに温
度計、冷却管および100ml容の滴下ロートを取り付け、
撹拌シールを備えた撹拌装置を用いて撹拌して混合し
た。滴下ロートに2−イソシアナートエチルメタクリレ
ート6.2g(0.04mol)、シクロヘキサン5gを入れ、四つ
口フラスコ中の混合物を80℃に加熱し、滴下ロート中の
2−イソシアナートエチルメタクリレートとシクロヘキ
サンを30分間かけて温度を80〜85℃に保ちながら滴下し
た。この後、80℃で1時間撹拌した。反応終了後、四つ
口フラスコを冷却し、n−ヘキサン300mlを加えた。こ
れを1000ml容の分液ロートに移し、20%食塩水200mlを
加えてn−ヘキサン層を洗浄した。この洗浄を4回行な
った。n−ヘキサン層を500ml容の三角フラスコに移
し、無水硫酸マグネシウムを加えて一晩放置して乾燥さ
せたのち、濾過し、500ml容のナスフラスコに移した。
エバポレートを用いてn−ヘキサンを除去し、残った内
容物を100ml容のナスフラスコに移した。キャピラリー
を用いて、50℃、0.12mmHgで20分間吸引して低沸点物を
除去し、残った内容物を吸引濾過して反応生成物をえ
た。この反応生成物の赤外線吸収スペクトルおよびプロ
トン核磁気共鳴スペクトルを測定して分析した結果、
式: (ただし、Aは を示す)で表わされる重合性基が1個のウレタン結合を
介してシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサンマ
クロモノマー(マクロモノマー(D)の1種)であるこ
とを確認した。
参考例7[マクロモノマー(D)の合成] 参考例6で用いたポリジメチルシロキサンのかわり
に、式: で表わされる両末端に水酸基を有するポリジメチルシロ
キサンを使用した以外は参考例6と同様の操作を行な
い、反応生成物をえた。この反応生成物の赤外線吸収ス
ペクトルおよびプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し
分析した結果、式: (ただし、Aは を示す)で表わされる重合性基が1個のウレタン結合を
介してシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサンマ
クロモノマー(マクロモノマー(D)の1種)であるこ
とを確認した。
参考例9[マクロモノマー(D)の合成] 参考例6で用いたポリジメチルシロキサンのかわり
に、式: で表わされる両末端に水酸基を有するポリジメチルシロ
キサンを使用した以外は参考例6と同様の操作を行な
い、反応生成物をえた。この反応生成物の赤外線吸収ス
ペクトルおよびプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し
て分析した結果、式: (ただし、Aは を示す)で表わされる重合性基が1個のウレタン結合を
介してシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサンマ
クロモノマー(マクロモノマー(D)の1種)であるこ
とを確認した。
参考例8[マクロモノマー(D)の合成] 撹拌翼、温度計、冷却管および滴下ロートを取り付け
た1容の四つ口フラスコに式: で表わされる両末端に2個ずつ水酸基を有するポリジメ
チルシロキサン140.7g(0.03mol)、酢酸ブチル180.0
g、ビス−tert−ブチルヒドロキシトルエン(以下、BHT
という)0.2gとジブチルスズジラウレート0.3gを入れて
混合撹拌した。フラスコ内の混合物を70℃に加熱し、滴
下ロートを用いて2−イソシアネートエチルメタクリレ
ート18.6g(0.12mol)と酢酸ブチル18.6gとの混合物
を、30分間かけて温度を70〜80℃に保ちながら滴下し
た。この後80℃で3時間撹拌を続けた。この反応液をサ
ンプリングし、所定量のジ−n−ブチルアミンを添加、
混合したのち、塩酸を用いた電位差滴定法による残存イ
ソシアネート定量を行ない反応率を求めたところ、100
%であった。前記反応液にエタノール20gを添加して70
℃で1時間撹拌させたあとに、活性炭処理を行ない、80
℃減圧下で溶媒および低沸点物を除去して148.2gの反応
生成物をえた。反応生成物の粘度(25℃)は1009cSt、
比重(25℃)は1.002、屈折率(25℃)は1.4161であっ
た。
つぎに赤外線吸収スペクトルおよびプロトン核磁気共
鳴スペクトルを測定し、分析した結果、式: (ただし、Aは を示す)で表わされる重合性基が1個のウレタン結合を
介してシロキサン主鎖に結合しているポリシロキサンマ
クロモノマー(マクロモノマー(D)の1種)であるこ
とを確認した。
実施例1[眼用レンズ材料の作製] フッ素樹脂製のガスケットをポリエステルフィルムで
両側から挟み、さらにその外側をガラス板で挟んで作製
した型を用意した。
2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピルア
クリレート30部、ブチルアクリレート35部、参考例1で
えられたマクロモノマー(C)10部、参考例4でえられ
たマクロモノマー(D)25部およびエチレングリコール
ジメタクリレート0.5部を均一に配合し、アゾビスジメ
チルバレロニトリル0.3部を加えて配合液を調製し、前
記型中に配合液を注入した。
循環乾燥機内に型を移し、50℃で12時間、そのあと2
時間あたり10℃の割合で温度を上昇させ、配合液を重合
させ、フィルム状の共重合体をえた。
えられた共重合体を2つ折りにして放しても、すぐに
もとの状態に復元するなど反発性も良好であったことか
ら、この共重合体は軟質眼用レンズ材料として好ましい
柔軟性を有していることがわかった。また、水中での試
験片を肉眼で観察した結果、外観は透明であり、まった
く問題がなかった。
つぎに、えられたフィルム状の共重合体をポンチで直
径約14mmに打ち抜き、これらを試験片とし、各種物性を
測定した。なお、物性の測定は後述する方法にしたがっ
て行なった。その結果を第1表に示す。
さらに、水酸化ナトリウムを0.5重量%含有した水溶
液の中に70℃で3時間試験片を浸漬するというアルカリ
処理を行なった。そして、アルカリの水溶液から試験片
を取り出し、流水ですすぎ、コンタクトレンズ洗浄剤
((株)メニコン製、商品名:メニクリーン)で洗浄
し、再び流水ですすぎ、ついで蒸留水ですすいだ。
このアルカリ処理をする前の接触角と処理後の接触角
とを比較することにより、どの程度材料の表面が親水性
化されたかを評価した。接触角の測定方法は、後述する
とおりである。
[突抜強度] (イ)突抜荷重 インストロン型の圧縮試験機を用いて試験片の中央部
へ直径1/16インチの押圧針をあて、試験片の破断時の荷
重(g)を測定した。ただし、表中に載せた値は、試験
片の厚さを0.2mmとして換算した値である。
(ロ)伸び率 上記突抜荷重(g)の測定時において、試験片の破断
時の伸び率(%)を測定した。
(ハ)強度指数 材料の強度は伸び率(%)と突抜荷重(g)との両方
に依存する。そこで、相対的強度の目安として、次式に
より強度指数を算出した。
[平均厚さ] 下記方法により酸素透過係数を測定したときの試験片
の平均厚さ(mm)を測定した。
[酸素透過係数] 理科精機工業(株)製の製科研式フィルム酸素透過率
計を用いて35℃の生理食塩水中にて試験片の酸素透過係
数を測定した。なお、酸素透過係数の単位は であり、表中の酸素透過係数は、本来の酸素透過係数の
値に1011を乗じた数値である。
[オレイン酸膨潤係数] オレイン酸は、眼脂の一成分である。材料がオレイン
酸中で膨潤するということは、オレイン酸と親和性がよ
いということである。したがって、材料のオレイン酸中
の膨潤係数を測定することにより、材料に脂質が付着し
やすいか否かの目安とすることができる。
オレイン酸膨潤係数は、35℃における試験片のオレイ
ン酸中のサイズを生理食塩水中のサイズで除した値(単
位なし)とした。
[吸水率] ヘキサンを用いた還流抽出により試験片中の残存モノ
マーなどを抽出したのち、次式にしたがって試験片の吸
水率を測定した。
ただし、Wは平衡含水状態での試験片の重量(g)、
Woは乾燥状態での試験片の重量(g)を表わす。
[接触角] 接触角は、接触角測定装置CA−A(協和界面科学
(株)製)を用いて、室温にて液滴法により測定した。
実施例2〜11 実施例1と同様にして第1表に示す組成となるように
各種成分を配合して重合し、フィルム状の共重合体をえ
たのち、これに加工を施して試験片をえた。つぎにえら
れた試験片について、実施例1と同様にして各種物性を
測定した。その結果を第1表に併せて示す。
つぎに共重合体を2つ折りにして放したが、すぐにも
との状態に復元するなど反撥性も良好であったことか
ら、これら共重合体は軟質眼用レンズ材料として好まし
い柔軟性を有していることがわかった。また、水中での
試験片を肉眼で観察した結果、透明であり、透明性につ
いてもまったく問題がなかった。
さらに、実施例1と同様にして、第1表に示すような
処理条件でアルカリ処理を行なった。
このアルカリ処理前の接触角と処理後の接触角とを比
較することにより、どの程度材料の表面が親水性化され
たかを評価した。
なお、表中の処理条件の酸処理の有無の欄で、「無」
とは、試験片をアルカリの水溶液に浸漬したのち、試験
片を取り出し、流水ですすぎ、コンタクトレンズ洗浄剤
((株)メニコン製、商品名:メニクリーン)で洗浄
し、再び流水ですすぎ、ついで蒸留水ですすぐという操
作をしたものであり、「有」とは、試験片をアルカリの
水溶液に浸漬したのち、試験片を取り出し、流水ですす
ぎ、2重量%の塩酸水溶液中に試験片を1分間浸漬した
のち、試験片を取り出して流水ですすぎ、コンタクトレ
ンズ洗浄剤((株)メニコン製、商品名:メニクリー
ン)で洗浄し、再び流水ですすぎ、ついで蒸留水ですす
ぐという操作をしたものである。
なお、表中の各略号は以下の成分を意味する。
6FA :2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプ
ロピルアクリレート BuA :ブチルアクリレート EDMA :エチレングリコールジメタクリレート V−65:アゾビスジメチルバレロニトリル また、表中の配合成分の配合量の単位は、いずれも重
量部である。
実施例1〜11の結果から明らかなように、アルカリ処
理によって本発明の軟質眼用レンズレンズの表面が親水
性化されていることがわかる。
実施例12 実施例6でえられた柔軟で透明なフィルム状の共重合
体から0.5cm×7cm、厚さ0.3mmの試験片をえた。つぎに
実施例1と同様にして、これに第3表に示すような処理
条件でアルカリ処理を施した。
このアルカリ処理をする前と後の剥離力および粘着傾
斜角を比較することにより、どの程度材料の表面のべと
つきの度合いが低下したかを評価した。なお、剥離力お
よび粘着傾斜角はつぎのようにして測定した。
[剥離力] フィルム状の試験片を0.8cm×3cmの大きさに2枚切り
取り、これらの試験片を重ね合わせて200gの荷重を30秒
間負荷した。試験片の端から約0.5mmの部分を挟みしろ
とし、各試験片の端を各々のチャックで挟んだ。一方の
チャックを台に固定し、他方のチャックをインストロン
型の引張試験機で引っ張り、試験片を剥し、このときに
記録される力(g)を剥離力とした。剥離力の小さいも
のほど、べとつきの少ないものである。
[粘着傾斜角] 自由に角度調節可能な傾斜板上にフィルム状の試験片
を貼り、試験片の上方10cmの位置から直径1/16インチ
(約1.6mm)の高炭素クロム鋼製のベアリング球を試験
片上に転がした。球が試験片に粘着し、静止したときの
傾斜板の角度を粘着傾斜角とした。かかる角度が大きい
ものほど、べとつきが大きいものである。
実施例13および14 実施例1と同様にして第2表に示す組成となるように
各種成分を配合して重合し、えられた共重合体を基にし
て1.5cm×7cm、厚さ0.3mmの柔軟で透明なフィルム状の
試験片をえた。つぎにえられた試験片について実施例1
と同様にして各種物性を測定した。その結果を第2表に
併せて示す。
えられた共重合体は、2つ折りにして放してもすぐに
もとの状態に復元するなど反撥性が良好なものであった
ことから、この共重合体は軟質眼用レンズ材料として好
ましい柔軟性を有していることがわかった。また、水中
での試験片を肉眼で観察した結果、外観は透明であり、
透明性についてもまったく問題がなかった。
さらに、実施例1と同様にして、これに第3表に示す
ような処理条件でアルカリ処理を行なった。
また、実施例12と同様にして、このアルカリ処理前と
処理後の剥離力および粘着傾斜角を比較することによ
り、どの程度材料の表面のべとつきの度合が低下したか
を評価した。その結果を第3表に示す。
第3表に示した実施例12〜14の結果から明らかなよう
に、アルカリ処理によって本発明の軟質眼用レンズレン
ズ材料の表面のべとつきが非常に低減されていることが
わかる。
このようなことから、本発明の眼用レンズ材料は、モ
ノマー(A)の効果により脂質に汚染されにくくなって
おり、マクロモノマー(C)およびマクロモノマー
(D)との相乗効果により、従来より提案されている非
含水性軟質眼用レンズ材料よりもさらに充分に補強され
て機械的強度が向上し、かつ酸素透過性が大幅に改善さ
れていることがわかる。
そして、アルカリ処理により、眼用レンズとして極め
て好ましい表面の親水性およびべとつきがより一層改善
されることがわかる。
すなわち、従来においては、本発明の目的とする諸物
性をすべて満足する眼用レンズ材料はなかったことがわ
かる。
[発明の効果] 本発明の眼用レンズは、とくに軟質であって、実質的
に非含水性または低含水性であり、脂質などの汚れが付
着しにくく、表面のべとつきがなく、酸素透過性および
機械的強度にすぐれ、しかも表面親水性が向上した透明
な眼用レンズである。
したがって、本発明の眼用レンズは、軟質であるの
で、装用感のよい柔軟なコンタクトレンズや、眼組織に
傷をつけず小切開を通じて変形して挿入しうる眼内レン
ズなどとして好適に使用しうるものである。
また、本発明の眼用レンズは実質的に非含水性または
低含水性であるので、含水率の上昇による機械的強度の
低下もなく、レンズに要求される形状保持性が損なわれ
ることがなく、また材質中に細菌などが繁殖しにくいの
で、たとえばコンタクトレンズに用いたばあいには、煮
沸消毒などの煩雑な処理をしなくてもよいという効果を
奏する。
また本発明の眼用レンズは酸素透過性にもすぐれたも
のであるので、たとえばコンタクトレンズとしたばあい
には、角膜の代謝機能を損なわないという効果を奏す
る。
また本発明の眼用レンズは機械的強度にすぐれたもの
であるので、形状が安定したレンズをうることができ、
種々の物理的処理に対して破損することがないという効
果を奏する。
さらに、本発明の眼用レンズは、脂質などの汚れが付
着しにくいので、その汚れによるレンズの白濁がなく、
またアルカリ処理により表面の親水性がより一層良好と
なったものであり、かつ表面のべとつきが解消されたも
のであるので、角膜など生体組織への癒着が起こりにく
く、それだけ眼組織に対して傷害を与えることもなく、
取り扱いが容易なものであり、表面にゴミなどが付着し
にくいものである。
したがって、本発明の眼用レンズは、コンタクトレン
ズや眼内レンズなどの種々の眼用レンズとして好適に使
用しうるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉岡 博 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社シリコーン電子材料技 術研究所内 (72)発明者 山崎 敏夫 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越 化学工業株式会社シリコーン電子材料技 術研究所内 (56)参考文献 特開 平2−213820(JP,A) 特開 平2−188717(JP,A) 特開 平3−43711(JP,A) 特開 平2−269106(JP,A) 特開 昭62−54220(JP,A) 特開 昭63−258917(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02C 7/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)フッ素含有(メタ)アクリル酸エス
    テル、(B)アルキル(メタ)アクリル酸エステル、
    (C)一般式(I): (式中、Y11およびY12はそれぞれ独立してアクリロイル
    基、メタクリロイル基、ビニル基またはアリル基;X11
    よびX12はそれぞれ独立して共有結合、酸素原子または
    アルキレングリコール基;R11およびR12はそれぞれ独立
    して炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレ
    ン基;R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ独
    立して炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基、i
    は1〜1500の整数、jは0〜1499の整数(ただしi+j
    は1500以下である)を示す)で表わされる両末端に重合
    性基を有するポリシロキサンマクロモノマーおよび (D)一般式(II): [式中、Y21およびY22はそれぞれ独立してアクリロイル
    オキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基およびア
    リル基から選ばれた基;R31およびR34はそれぞれ独立し
    て炭素数2〜6の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン
    基;X21およびX22はそれぞれ独立して共有結合、酸素原
    子またはアルキレングリコール基;R32およびR33はそれ
    ぞれ独立して炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖を有する
    アルキレン基;R23、R24、R25、R26、R27およびR28はそ
    れぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基またはフェニ
    ル基、E21およびE22はそれぞれ独立して−NHCO−(ただ
    しこのばあい、X21およびX22は共有結合であり、E21はX
    25と、またE22はX26とウレタン結合を形成している)ま
    たは飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系から選ばれ
    たジイソシアネート由来の2価の基(ただしこのばあ
    い、X21およびX22はそれぞれ独立して酸素原子またはア
    ルキレングリコール基であり、E21はX21およびX25と、
    またE22はX22およびX26とそれぞれウレタン結合を形成
    している);X25およびX26はそれぞれ独立して酸素原
    子、アルキレングリコール基または一般式(V): (式中、R41は炭素数1〜6の3価の炭化水素基;Y23
    アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニ
    ル基およびアリル基から選ばれた基;R36は炭素数2〜6
    の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基;X23は共有結
    合、酸素原子またはアルキレングリコール基;E23は−NH
    CO−(ただしこのばあい、X23は共有結合である)また
    は飽和脂肪族系、脂環式系および芳香族系から選ばれた
    ジイソシアネート由来の2価の基(ただしこのばあい、
    X23は酸素原子またはアルキレングリコール基であ
    る))で示される基であり、隣接するR41に結合した酸
    素原子およびX23とウレタン結合を形成している;mは1
    〜1500の整数、nは0〜1499の整数、ただしm+n≦15
    00を示す]で表わされる重合性基が1個または2個のウ
    レタン結合を介してシクロキサン主鎖に結合しているポ
    リシロキサンマクロモノマーを必須重合成分とする共重
    合体よりなる軟質眼用レンズ材料を所望の眼用レンズ形
    状に成形したのち、アルカリ処理を施してなる軟質眼用
    レンズ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の軟質眼用レンズにさらに
    酸処理を施してなる軟質眼用レンズ。
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