JP2831799B2 - 衝撃緩衝体とその製造方法 - Google Patents

衝撃緩衝体とその製造方法

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JP2831799B2
JP2831799B2 JP2092598A JP9259890A JP2831799B2 JP 2831799 B2 JP2831799 B2 JP 2831799B2 JP 2092598 A JP2092598 A JP 2092598A JP 9259890 A JP9259890 A JP 9259890A JP 2831799 B2 JP2831799 B2 JP 2831799B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、特に、集合住宅用防音床の下部の衝撃緩
衝体として重点的に使用される衝撃緩衝体で、別の用途
として精密機械等の制振材、運動施設等に利用される保
護材(安全壁など)等に好適に使用されうる特性を有
し、衝撃による底着き現象が防止され極めて好適な支持
性とすぐれた緩衝性を兼ね備えた衝撃緩衝体とその製造
方法に関するものである。
[従来の技術] 従来のゴム状緩衝体は、各種のエラストマーのソリッ
ドまたは発泡体のシートの下部に溝状や波形状等の凹凸
模様や各種の突起を形成したものが考出されている。
特に、集合住宅用防音床の下部の衝撃緩衝材として多
くの緩衝体が開示され使用されているが、これらの良好
な緩衝性を有するものは、すべて単一配合ゴムの単一緩
衝性構造体であり、これらの多くは、支持性の低い単純
な波形的凹凸模様が多く、これらの防音効果の高い床
は、好適な歩行感および適切な緩衝的沈み性が得られ
ず、逆に歩行感の良い床は防音効果が悪い構造体を形成
するものである。
上記の従来の開示技術としては、単一配合ゴムの単一
緩衝性構造体のうち、比較的支持性とクッション性を有
する一例としては、実開昭55−144029号公報のじゅうた
ん用下敷マットが開示されている。この下敷マットの厚
構成は、要約すると、なまこ形突条を斜め方向に平行に
並列し、一列ごとに逆向きとし、且つ互いに、左右に位
置する両なまこ形突条の先端間に進入せしめ先端補強部
を構成し、前記なまこ形突条上に目の荒い網織布を接着
したものであり、波形の横方向へ展伸を調整しうる構造
である。また、防音性には不充分であるが、支持性の大
なる一例としては、実開昭63−86248号公報の床の構造
が開示されている。この床の構造の下部の柔軟性下地材
の構成は、要約すると、柔軟性の下向き突出部を有する
凹溝部内に、多数の粒状物を充填した構成が開示されて
いる。
[発明が解決しようとする課題] 上記従来の技術に言及のとおり、従来の衝撃緩衝体と
しては、防音効果の高い緩衝体は、単一配合ゴムの単一
緩衝性構造体を基体とする構成であり、防音床の下層材
として用いられている防音性の高いクッション材は、柔
らか過ぎて歩行感が非常に悪いものである。従来技術で
は、歩行感を良くした床で、JISで定めるL45等級を得る
ことは非常に困難である。
因って、本発明は、防音床のクッション材として必要
な、防音性能、制振性能、良歩行感(床として柔
らか過ぎない)、耐へたり性能などの性能すべてにつ
いて満足できる構造体を探求し、その衝撃緩衝体とその
製造方法を提供することを目指すものである。
[課題を解決するための手段] 上記の目的を達成するために、従来の単一配合ゴムの
単一緩衝性構造体の構想では、多くの性能を兼備するこ
との不可能性を、試行錯誤の結果の知見に基づき、エラ
ストマーの複合突出構造による解決方法を探求したもの
である。
その結果、特性の異なる3種類の発泡エラストマーを
用いた3層構造とし、同時に、特殊な形状を付与して、
防音性能、制振性能、良歩行感、耐へたり性能等の4性
能兼備の可能性を有効なものとしたものである。
この特殊な形状は、突出部を中空部と2重の重積構造
と使用素材の選定により、エアクッションと発泡エラス
トマーのクッションが容易に調整され且つ大きな支持性
とすぐれた緩衝能力が得られる様に考慮したものであ
る。
すなわち、上部は、3層構造の発泡エラストマー積層
体から構成し、下層は下面の接触面を曲面とした中空部
を有する円柱状突出部とし、中間層は上記中空部の内側
に、中空部を有する中間的な突出部を形成して、上記下
層と2重突出部の重積構造の一体構造を設定するもので
あり、その方法については、上層には、あらかじめ設定
した、加硫発泡済エラストマーからなる平面状発泡シー
トを使用し、該平面状発泡シートの下部に、発泡性の未
加硫のエラストマーシートの発泡により、上記の中空部
を有する2重突出部の一体構造を設定した3段階構造を
形成したものであり、この3段階構造によって、前記の
4性能兼備の性能が解決されうるものである。
なお、要望条件によっては、上記加硫発泡済の平面状
発泡シートに代えてソリッド方向への近似範囲の低発泡
性の低加硫状態のエラストマーからなる低加硫の平面状
発泡シートを使用する。この様な複合構造を得るエラス
トマーは、それぞれ異なる性質を有するものから組み立
てられる必要性を有するもので、それぞれの性質によっ
て、2重突部の重積度の大小、硬度の大小、ばね定数の
変化等、要望によって、色々な範囲の性能が得られるも
のである。従って、エラストマーとしては、天然ゴム、
合成ゴム、その他ゴム状弾性を有する弾性高分子物質等
から適宜に選定されうるものであり、また、配合、比重
等の変化素材を使用するものである。
たとえば、上層(A層)にはSBR系合成ゴム配合で、
見掛比重が0.65になる素材を使用、中間層(B層)には
SBR系合成ゴム配合で、見掛比重が0.60になる素材を使
用、下層(C層)にはCR系合成ゴムで、見掛比重が0.30
になる素材を使用する等、各種の異なる素材によって形
成される。従って、配合量の大小、異なるポリマー、加
硫速度の変化、発泡剤の変化等、色々な変化要因によっ
て、3層構造の変化範囲が構成される。
すなわち、下層(C層)素材と中間層(B層)素材お
よび上層(A層)のあらかじめ加熱成形された平面状発
泡シートとを同時加硫を行なうと、加熱成形された平面
状発泡シートが、C層とB層の発泡時の発泡ガスのシー
ル材として働き、発泡度の異なるC層とB層は、平面状
発泡シートのA層の下部に、C層とB層の異なる突出部
からなる、中空部を有する2重突出部の重積体が一体構
成されA、B、C層の3段階構造の衝撃緩衝体を得るも
のである。
なお、特に、耐へたり性能が重視され、高さの低い発
泡突出部が要求される場合は、上層の平面状発泡シート
に代えて、製造工程の圧接成形において発泡体の発泡ガ
スが一部排出されやすい不織布を使用して、自由発泡が
コントロールできるような平面状不織布シートの上層構
造とする。また、長繊維不織布を使用すると強度を増大
することができる。また、不織布は、短繊維、長繊維不
織布、各種の厚みおよび強度等の異なる各種の不織布か
ら適宜に要望に対応して選定使用される。
次に、上記の衝撃緩衝体の製造方法について説明す
る。
下層の凹凸模様の配列は、要望の特性に対応して円柱
状の径および配列密度の変化の選定をして、各種の所要
の規則的配置が選定されるものであり、本発明の衝撃緩
衝体の製造方法は、下層用の発泡性の未加硫エラストマ
ーシートと下層より発泡性の小なる中間層用の未加硫エ
ラストマーシートを重ね、更にその上に、上層用の加硫
発泡済エラストマーからなる加硫済エラストマーの平面
状発泡シート又は低発泡性の低加硫状態に留めた低発泡
性の低加硫エラストマーの平面状発泡シートなどのエラ
ストマーのあらかじめ加熱成形された上層の平面状発泡
シートを積層した3層積層シートを、要望に対応して所
要の規則的配置状に円柱状の貫通孔を設けた平板状の金
型状に載置し、金型上の厚みの調整には、所要の厚みの
スペーサーを金型周辺に載置し、平板状の金型を上下よ
り加熱板にて圧接して加硫し、金型の円柱状貫通孔内部
に、下層用および中間層用の2つの発泡度の異なる未加
硫エラストマーシートを自由発泡させて中空部を有する
2重突出部を形成し、エラストマーのあらかじめ加熱成
形された上層の平面状発泡シートとの一体加硫状態を形
成するものである。
なお、上記の衝撃緩衝体にて言及したように、エラス
トマーのあらかじめ加熱成形された上層の平面状発泡シ
ートに代えて、不織布シートを使用して、上層の不織布
シートとの一体加硫状態を形成する場合もある。
[作用] この発明の衝撃緩衝体は、上記のように構成されてい
るため、エラストマーのあらかじめ加熱成形されたA層
の平面状発泡シートが、B層、C層の発泡性の未加硫エ
ラストマーシートの発泡ガスのシール材として働き、B
層、C層から発生する発泡ガスの上方向への漏れを完全
に封止し、容易に、良好な中空部を有する2重突出部の
重積状態の形成能を発揮する。下層の中空部を有する円
柱状発泡突出部の下面の接触曲面にてすぐれた防音性能
が得られ、中間層により、中空部を有する下層の円柱状
発泡突出部の内側に中間的発泡突出部として重積した2
重突出部の形成で、適切な制振性能が得られ、更に、エ
ラストマーのあらかじめ加熱整形されたA層の平面状発
泡シートとB層、C層の3層構造と2重突出部の構成に
より、従来の単層構造に比して、多段階支持性により急
激な底着き現象がなく、良好な歩行感性能が得られると
共に、極めてすぐれた耐へたり性能作用を発揮するもの
である。また、上層に不織布シートを使用すると円柱状
発泡突出部の高さがコントロールされ、本発明の4性能
のバランスにおいて、比較的高い耐へたり性能の特性が
得られる。
[実施例] 次に本発明を例示の図面に基づいて説明する。
第1図は、衝撃緩衝体の一例を示す部分縦断面図であ
る。
図において、1はエラストマーのあらかじめ加硫成形
された上層(A層)の平面状発泡シート、2はエラスト
マーの中間層(B層)の発泡シートで、2aは下層の中空
部を有する円柱状発泡突出部の内側に形成される中間層
の中空部を有する中間的発泡突出部、3はエラストマー
の下層(C層)の発泡シートで、3aは部分的に下方へ突
出し、下面の接触面を曲面とした下層の中空部を有する
円柱状発泡突出部である。
すなわち、図示のとおり、上層(A層)の平面状発泡
シート1の下部に、要望に対応して、所要の規則的な配
列状に下方へ突出し、下面を曲面とした下層の中空部を
有する円柱状発泡突出部3aの内側に、中間層の中空部を
有する中間的発泡突出部2aを重積状態に2重突出部を構
成した衝撃緩衝体である。
第2図は、本発明の衝撃緩衝体の製造方法の説明図で
ある。
図において、は平板状の金型で、斜視図で示したも
のであり、4aは金型上の3層(A、B、C)の厚み調整
用のスペーサーである。4bは所要条件に対応して、平板
状の金型の全面に、所要の規則的配置に貫通される貫通
孔である。5は圧接加硫するための加熱板であり、平板
状の金型の上下に設けられて挟持加熱されるものであ
り、下部の加熱板は図を省略したものである。6は発泡
性のエラストマーをあらかじめ加熱成形した上層の平面
状発泡シート、7は下層より発泡性の小なる中間層用の
発泡性未加硫エラストマーシート、8は下層用の発泡性
未加硫エラストマーシートで、これらの金型充填用3層
積層シート(6、7、8)を平板状の金型上のスペー
サー4aの内側に載置し、加熱板5をスペーサー4a上に圧
接し、発泡性の未加硫エラストマーシートを発泡させる
ことによって、平板状の金型上には、所要の発泡厚みに
調整するスペーサーによって所定の厚みの3層発泡積層
シート状態が形成され、一方、貫通孔内へは自由発泡に
よって、図示のような中空部を有する2重突出部を形成
するものである。別の方法として上層に平面状の不織布
シートを使用する場合は、6の平面状発泡シートの代わ
りに、平面状不織布シートを用いる。
第3図は、本例の方法によって得られた一例を示す部
分拡大断面図である。
なお、金型充填用の3層積層シート(6、7、8)
は、素材の選定によって発泡度も適宜に選定されるもの
であるが、本実施例の一例では、上層の平面状発泡シー
ト6の厚みは1mm、中間層用の発泡性の未加硫エラスト
マーシート7の厚みは0.5mm、下層用の発泡性の未加硫
エラストマーシート8の厚みは0.5mmを使用、加熱発泡
によって、未発泡の中間層の平板状の厚み(0.5mm)
は、1mmの中間層の発泡シート2に形成され、未発泡の
下層の平板状の厚み(0.5mm)は、1.5mmの下層の発泡シ
ート3に成形された。従って、加熱前の充填用の3層積
層シートの合計厚みは2.0mm、加熱発泡後の3層発泡積
層シートの厚みの合計は3.5mmである。
また、貫通孔への2重突出部の状態は、第3図の部分
拡大断面図に示すとおり、上層の平面状発泡シート1の
下部に突出した中間層の中空部を有する中間的発泡突出
部2aの高さは約4.5mm、下層の中空部を有する円柱状発
泡突出部3aの上層の平面状発泡シートの下部からの高さ
は7.0mm、下層の円柱径は6.2mm、円柱間は4.0mmに形成
された一例を示すものである。
[発明の効果] 本発明は、上記作用項にて言及したとおり、多段階で
衝撃吸収する作用機能を有する構造体のため、柔軟であ
って好適な防音性が発揮される反面、応力の緩急な変動
等の各種の衝撃に対し、好適な速応性吸収が発揮され、
従来のような底着き現象のような緩衝機能を喪失するこ
となく、また、要望に対応して、本発明の4性能兼備の
バランス特性の割合も容易に変動することができ、所望
の衝撃緩衝体が自由に容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の衝撃緩衝体の一例を示す部分縦断面
図、 第2図は、本発明の衝撃緩衝体の一実施例を示す製造方
法の説明図(平板状の金型の下部の加熱板5は、図示省
略)、 第3図は、本実施の一例によって得られた衝撃緩衝体の
部分拡大断面図である。 A……上層、B……中間層、C……下層 1……上層の平面状発泡シート 2……中間層の発泡シート 2a……中間層の中空部を有する中間的発泡突出部 3……下層の発泡シート 3a……下層の中空部を有する円柱状発泡突出部 ……平板状の金型、4a……スペーサー 4b……貫通孔(金型の全面に所要の規則的配置状に貫通
される) 5……加熱板(平板状の金型の下部にも同様の加熱板が
設定される) 6……発泡性のエラストマーをあらかじめ加熱成形した
上層の平面状発泡シート 7……下層より発泡性の小なる中間層用の発泡性未加硫
エラストマーシート 8……下層用の発泡性未加硫エラストマーシート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16F 7/00 - 7/14 E04F 15/00 - 15/20 B32B 1/00 - 35/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上層、中間層、下層の3層よりなる積層シ
    ートにおいて、下層が部分的に下方へ突出し、下面の接
    触面を曲面とした中空部を有する円柱状発泡突出部を形
    成し、中間層が、下層の円柱状発泡突出部の内側に中空
    部を有する中間的発泡突出部として重積され、上層の突
    出部を持たない平面状発泡シートの下部に、上記の中空
    部を有する2重突出部を設定したことを特徴とする衝撃
    緩衝体。
  2. 【請求項2】上層の突出部を持たない平面状発泡シート
    が、上層の突出部を持たない平面状不織布シートであ
    る、請求項1記載の衝撃緩衝体。
  3. 【請求項3】下層用の発泡性の未加硫エラストマーシー
    トと下層より発泡性の小なる中間層用の未加硫エラスト
    マーシートを重ね、更にその上にエラストマーのあらか
    じめ加熱成形された上層の平面状の発泡シートを積層し
    て3層積層シートを形成し、要望に応じて所要の規則的
    配置状に円柱状の貫通孔を設けた平板状の金型上に、上
    記の3層積層シートを載置し、金型上の発泡厚みの調整
    は、所要の厚みのスペーサーを金型周辺に載置し、上下
    より加熱板にて圧接して加硫し、金型の円柱状貫通孔内
    部に、下層用および中間層用の2つの発泡度の異なる未
    加硫エラストマーシートを自由発泡させて、下層の中空
    部を有する円柱状発泡突出部の内側に中空部を有する2
    重突出部を形成し、上層の平面状の発泡シートと一体加
    硫状態を形成することを特徴とする衝撃緩衝体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】エラストマーのあらかじめ加熱成形された
    上層の平面状の発泡シートが、不織布シートである請求
    項3記載の衝撃緩衝体の製造方法。
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