JP2829668B2 - セメント組成物 - Google Patents

セメント組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、水を添加して水和活性を低下させ、一定の
水和熱以下に調整したセメント粉末と遅延剤とからな
り、所定のスランプが維持される時間を延長したセメン
ト組成物に関する。
〔従来の技術〕
従来、モルタルやコンクリート(以下、総称して単に
「コンクリート」という)の多くは、その混練物を工場
で製造し、アジテータ車などによって施工現場へ輸送
し、施工される。
その場合、JIS A 5308「レディミックストコンクリー
ト」によれば、コンクリート混練物のスランプは時間と
ともに小さくなるという経験に基づき、許容できるスラ
ンプを考慮して前記輸送時間にかかる時間を1.5時間以
内と規定している。
ところが、現実には、特に都会にあってはアジテータ
車が交通渋滞に頻繁に遭遇し、現場に到着するのに数時
間にも及び場合がしばしば生じる。これに対し、工場で
コンクリート原料を混練する際に予めスランプの経時変
化を見込んでスランプを設計値より大きくしたり、ある
いは、現場で施工する際に流動化剤を添加して、小さく
なったスランプの回復を計るようなことも行われてい
る。
しかし、前記方法は、本質的には、スランプの経時変
化を小さくするものではないため、打設時でのスランプ
が設計値と食い違ったり、あるいはスランプを回復する
といっても一時的であり、その後は急速にスランプが低
下する等の欠点を有していた。
そのため、スランプを長時間維持するための解決策と
して、種々の添加材が提案された。たとえば、その第1
は、クエン酸、酒石酸などのオキシカルボン酸、炭酸カ
ルシウム及び高性能減水剤からなる添加材(特公平1−
54292)が、その第2は、高性能減水剤を併用すること
を条件とした該オキシカルボン酸、アルカリ金属の炭酸
塩及びII型無水石膏からなる添加材(特公平1−5322
4)が、その第3は、前記第2の方法に、さらにシリカ
質粉末を加えた添加材(特公平1−53225)が提案され
た。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記各種添加材を用いたコンクリートの混練物は、ス
ランプの維持時間が3〜4時間に延長され、この点につ
いて一応目的は達成された。
しかし、これら添加材は、特殊な化合物を使用しなけ
ればならないうえに、多数の素材を、しかも厳格な配合
比率に従って混合しなければならないという、製造上の
煩雑さから実用的でないという欠点を有していた。
〔課題を解決するための手段〕
そこで本発明者らは、通常のコンクリートを製造する
際に用いる入手容易な材料を利用し、かつ簡便な手段で
スランプ維持時間の長いコンクリート混練物の製造がで
きるか否かについて研究したところ、意外にも、水を添
加して僅かに水和活性を低下させたセメントと慣用の遅
延剤とを併用するだけで、所定のスランプを維持する時
間の長い、つまり、2時間以上に延長されたコンクリー
ト混練物ができるとの知見を得て、本発明を完成するに
至った。
すなわち、本発明の要旨は、水を添加して水和活性を
低下させ、水和熱を1Cal/g以下に調整したセメント粉末
及び遅延剤からなるスランプ維持時間の長いセメント組
成物にある。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の説明におい
て、スランプとはモルタル・コンクリート混練物のフロ
ー及びスランプを総称するものとする。
本発明で使用するセメント粉末は、水和活性を低下さ
せるために、常用のポルトランド系セメントに少量の水
を散布し、均一に混合されたものであって、そのセメン
ト粉末の水和熱が1Cal/g以下に調整されたものである。
上記のように調整されたセメント粉末は、水和活性を
低下させたものであるが、そのセメント粉末を単独で用
いてコンクリート混練物を製造しても、スランプ維持時
間の延長は期待できず、遅延剤と併用したとき、初めて
延長できる。該セメント粉末と遅延剤の両者は、相乗し
てスランプに寄与し、その何れを欠いてもスランプ維持
時間の延長は不可能である。
ポルトランド系セメントとは、慣用の普通、早強、中
庸熱ポルトランドセメント及びフライアッシュセメン
ト、高炉セメントのどの混合セメントである。
上記ポルトランド系セメントに水を散布する方法は、
慣用の混合機内で該セメントに水を噴霧するか、あるい
は水蒸気を吹きつけ、十分に撹拌混合すれば、水和活性
が低下した均一なセメント粉末が得られる。この場合、
その水に、混合予定の遅延剤を溶解させて撹拌混合する
ことが考えられるが、そうするとスランプ維持時間の延
長効果が得られないので、好ましくない。なお、セメン
ト粉末は、撹拌混合後、1〜2時間放置し、十分水和さ
せたものを用いるのが好ましい。
次いで、セメント粉末の水和熱について説明する。本
発明でいう水和熱とは、20℃における、水/セメント粉
末=0.5(重量比)のペーストについて、伝導度型熱量
計によって測定され、水と混練してから1時間経過する
までに発生した水和反応熱の総和を意味する。その水和
熱は、例えば普通ポルトランドセメントでは3〜3.5Cal
/g、フライアッシュセメントC種では2〜2.5Cal/g程度
である。
本発明におけるセメント粉末の水和熱は1Cal/g以下で
あることが肝要である。この水和熱の限界値に達するま
で、ポルトランド系セメントに水を散布して水和熱を下
げる必要がある。しかし、セメント粉末の水和熱を1Cal
/g以下とするのに必要な水の量は、使用するポルトラン
ド系セメントの種類や製造後の履歴によって異なるた
め、用いるセメントによって増減し、一定しない。要
は、該セメント粉末の水和熱が1Cal/g以下となるよう
に、使用するポルトランド系セメントに応じて水量を決
めれば良い。なお、過剰に水を混合すると、固結が生じ
たり、コンクリートとしたときの強度が低下するので、
該セメント粉末の水和熱が1Cal/g以下となる必要最小限
の水量とすることが好ましい。該セメント粉末の水和熱
が1Cal/gを超える場合、遅延剤を併用してもスランプ維
持時間が延長されないので、本発明の目的は達成されな
い。
次に、遅延剤について説明する。本発明で用いる遅延
剤は、コンクリートを製造する際に常用する凝結遅延剤
が利用でき、珪弗化物、リン酸塩、ホウ酸塩などの無機
物、リグニンスルホン酸塩、オキシカルボン酸塩などの
有機物等が例示される。中でも、好ましいのは、ホウ酸
塩である。
遅延剤の添加量は、使用する遅延剤によって、また、
スランプの所望延長時間によって、相違するので一概に
は決められないが、例えばホウ酸塩はセメント粉末に対
し、0.1〜0.5重量%程度である。
遅延剤を用いることにより、スランプ維持時間が1.5
〜2時間であったものが、3〜5時間に延長され、その
後に凝結が開始される。この場合でも、コンクリート硬
化体の初期強度への影響はほとんど見られない。
なお、遅延剤をポルトランド系セメントに添加して、
混練することが一般的に行われているが、その場合、凝
結を遅延することはできても、練り上がり時のスランプ
を長時間維持することはない。
セメント粉末と遅延剤の混合方法は、特に限定するも
のではないが、遅延剤が粉末の場合には、セメント粉末
と慣用の混合機で十分混合すれば、該セメント組成物が
得られる。もちろん、この場合、散布された水が十分水
和した後のセメント粉末を用いるのが好ましいことは、
前述したとおりである。遅延剤が液体の場合には、所定
の配合設計にしたがって、コンクリートの原料を混練す
る際添加するようにしても、前述の粉体の場合と効果は
同じであり、この方法による場合も本発明に含まれる。
要は、混練物とするさいに、本発明で規定するセメント
組成物の構成を具備すれば、スランプ維持時間は延長さ
れる。
なお、以上は主にコンクリートを対象に説明したが、
モルタル混練物についても同じ効果が得られる。
本発明のセメント組成物を用いて混練物を作る際、遅
延剤を除く他のセメント用混和剤、たとえば発泡剤、硬
化促進剤、増粘剤、減水剤等を適当に配合することは差
し支えない。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
〔実施例〕
実施例1〜6、比較例1〜4 普通ポルトランドセメント(日本セメント(株)社
製)に対し、0.20,0.29,0.41,0.57,0.73%の水を混合し
たセメント粉末を製造した。混合には宝工機(株)社製
「マイクロスピードミキサー」を使用し、普通ポルトラ
ンドセメントを撹拌しつつ、上部の蓋に取り付けた噴霧
口より所定量の水を噴霧し、更に3分間混合した。
伝導度型熱量計(東京理工(株)社製「マルチパーパ
スカロリメータ」)を使用し、水/セメント粉末比0.
5、測定温度20℃で、セメント粉末の混練直後から1時
間迄の水和熱を測定し、得た結果を第1表に示した。
前記セメント粉末と、粗骨材として最大粒径20mmの青
梅産砕石を、細骨材として粗粒率2.86の富士川産川砂
を、遅延剤としてA:無水ホウ酸、B:クエン酸ナトリウ
ム、C:オキシカルボン酸系市販遅延剤(藤沢薬品工業
(株)社製「パリックT」)を使用してコンクリートを
混練した。コンクリートの配合は、第1表中に示すよう
に、細骨材率を51%、単位セメント量を300kg/m3とし、
水/セメント比を調節して、練上がり直後のスランプが
18±1cmとなるようにした。
混練直後から1時間間隔で6時間迄のスランプを測定
し、その結果を第1表に示した。この場合、コンクリー
トは所定時間静置後、人力で練り返してからJIS A 1101
「コンクリートのスランプ試験方法」に準じてスランプ
を測定した。さらに前記混練直後のコンクリートを10φ
×20Hcmの型枠を用いて成形し、20℃で1日間気中養生
後に脱型し、20℃の水中養生を2日間行った試験体の圧
縮強度をJIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方
法」に従って測定し、得られた結果を第1表に併記し
た。
〔発明の効果〕 本発明は、水を散布して一定の水和熱以下に調整した
セメント粉末と遅延剤とを組み合わせたセメント組成物
に係り、該組成物を用いたコンクリート混練物のスラン
プは2〜5時間程度維持でき、交通渋滞による輸送時間
の延長がある場合に利用できる。
しかも、本発明は、コンクリート製造業者が日常使用
するありふれた材料のみを用いる簡便な方法で、上記ス
ランプ維持時間を改良できるセメント組成物であって、
従来法が特殊な素材を多数使用し厳密な品質管理のもと
に製造しなければならない添加物であったのに比し、産
業上の実用性が格段に高い特徴がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C04B 103:12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水を添加して水和活性を低下させ、水和熱
    を1Cal/g以下に調整したセメント粉末及び遅延剤からな
    るセメント組成物。
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