JP4075967B2 - セメント混和材及びセメント組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はセメント混和材及びセメント組成物に関し、詳しくは、蒸気養生などの加熱養生を行い、モルタル又はコンクリート二次製品を製造する際の、前置き時間を短縮し、かつ、加熱養生における強度発現を促進するものであり、早期脱型に使用される。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、モルタル又はコンクリート(以下、単にコンクリートと略す)二次製品は多品種及び多種類であり、かつ、一括大量販売である。これに対応するためには、コンクリート二次製品工場では多種類の型枠を多数常備する必要があり、かつ、広大な製品ヤード(敷地)も必要となっている。
従って、なるべく少ない型枠数で生産効率を上げるために種々の早期脱型方法が検討されている。
【0003】
早期脱型方法として考えられる通常の手段としては、養生温度を高くしたり、水硬性の高いセメントの使用や、コンクリートの凝結硬化を促進させる塩化物や硝酸塩、ロダン酸塩などの強力な凝結促進剤の使用がある。
【0004】
しかしながら、このようなセメントの水和反応を促進する方法で短時間に脱型強度(二次製品の形状と重量によって異なるが、概ね、4N/mm2 〜15N/mm2 である)を得ることができても、その後の強度発現が押さえられる結果となる場合が多く、設計強度を確保するためには単位セメント量を多くしたり、又は水セメント比を下げる必要が生ずるなどの課題があった。
【0005】
本発明者は、以上のような従来の凝結促進方法による欠点をカバーするために、石膏と硫酸バンド又はミョウバン石と亜−、重亜−、又はピロ亜−硫酸塩とを含有するエトリンガイトの生成を利用した混和材(特開平4-160042号)を提案した。
【0006】
しかしながら、この提案では、比較的短時間の加熱養生で脱型強度が得られ、長期強度の低下も防止するが、亜硫酸塩などによって硫酸アルミニウムなどの急激な水和反応が抑制されているために、もっと製造サイクルを上げる目的で、前置き養生時間(加熱までの時間、打設時間と仕上げ時間が含まれる)をより短縮し、かつ、短時間強度をより高める効果が不十分であるという課題があった。
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、より合理的に凝結を促進して前置き養生時間を短縮し、加熱速度を速くしても熱膨張の少ない、短時間強度の発現性に優れた早期脱型方法を知見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、石膏類と、ミョウバンと、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石と、活性シリカ及び/又はポゾラン物質とを含有してなる蒸気養生用セメント混和材であり、セメント 100 重量部に対して、石膏類が CaSO 4 換算で 0.2 〜6重量部、ミョウバンが無水物換算で 0.1 〜 2.5 重量部、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石がミョウバンと硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石の合計量の無水物換算で 0.1 〜 2.5 重量部、活性シリカ及び/又はポゾラン物質が 0.1 〜 2.0 重量部となるように配合してなる該蒸気養生用セメント混和材であり、さらに、アルカリ金属のアルミン酸塩及び/又はアルカリ金属のケイ酸塩を含有してなる該蒸気養生用セメント混和材であり、セメント 100 重量部対して、アルカリ金属のアルミン酸塩及び/又はアルカリ金属のケイ酸塩が、 0.04 〜 1.0 重量部となるように配合してなる該蒸気養生用セメント混和材であり、セメントと該蒸気養生用セメント混和材とを含有してなる蒸気養生用セメント組成物であり、セメントと、石膏類と、ミョウバンと、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石と、活性シリカ及び/又はポゾラン物質とを、また、必要に応じて、アルカリ金属のアルミン酸塩及び/又はアルカリ金属のケイ酸塩を有してなる蒸気養生用セメント組成物である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明で使用される石膏類の例には、不溶性又は難溶性と呼ばれるII型無水石膏のほか、二水石膏、半水石膏、可溶性のIII 型無水石膏があり、不溶性又は難溶性のII型無水石膏、半水石膏がより好ましい。
また、石膏類のブレーン法による比表面積は、特に制限されなく、2500cm2/g 程度以上で良いものである。
【0010】
石膏類は、その添加量を多くして行くとコンクリートの凝結は遅延させるが長期強度の発現が優れるようになり、その配合量はセメント100重量部に対して、CaSO4 換算で多くても6重量部添加されるように配合され、より好ましくは5重量部以下であり、短時間強度と長期強度のバランスから、最も好ましい範囲は0.2〜4.0重量部である。そして0.2重量部未満では長期強度の伸びが小さくなり、6重量部を越えるようになると長期強度の発現性は良いが、凝結の遅延性が大きくなり、前置き養生時間の短縮や短時間強度の発現効果が小さくなるので好ましくない。
【0011】
本発明で使用されるミョウバンは、加熱養生中の強度発現効果は硫酸アルミニウムなどよりは劣るが、凝結を促進し、前置き養生時間を短縮する効果が優れているものである。
そして、ミョウバンは、MI[MIII(H2 O)6]( SO4 )2 ・6H2 Oの一般式で表され、正八面体に結晶化し、MIはNa、K、NH3 、MIII はAl、Fe、Mn、Tiその他が挙げられる。この中で、実用的にはMIはK、Na、MIII はAl、Feであり、それぞれカリウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、鉄ミョウバンと一般的に呼ばれている。そして結晶水を含むものも、熱処理して6水塩としたもの、無水塩としたもの、いずれも使用可能である。
【0012】
これらは、無水物換算でセメント100重量部に対して多くても2.5重量部配合されるのが好ましく、より好ましくは2.0重量部以下であり、短時間強度と長期強度のバランスから、最も好ましい範囲は0.1〜1.5重量部である。
0.1重量部未満では前置き時間の短縮や短時間強度の発現効果は小さく、2.5重量部を越えるようになると成形に必要な作業性の確保ができない又は、セメントの銘柄やその他の条件によっては急結したりする場合もあるので好ましくない。
また、これらの粉末度は特に限定されず、顆粒状やザラメ状でも充分効果を発揮する。
【0013】
さらに、本発明において併用添加される硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石は、ミョウバンの凝結促進効果と加熱養生における短時間強度の発現効果を助長する。
ミョウバンと、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石との配合割合によっては凝結をより促進し、短時間強度を顕著に高め、相乗的効果が得られるものである。
【0014】
硫酸アルミニウムは18水塩が安定であるが、熱処理して結晶水を16水塩、10水塩、6水塩としたもの、無水塩としたものも使用される。
また、ミョウバン石は化学式がKAl3(OH)6( SO4)2 であり、前記ミョウバンとは異なる。また、結晶形態も六方晶に属し、天然に産する。
そして結晶水を含むものを生ミョウバン石、仮焼したものを焼きミョウバン石として市販されている。
【0015】
硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石は、ミョウバンとの合計量で添加量が規定されるもので、それぞれの無水物換算の合計量でセメント100重量部に対して多くても2.5重量部配合されるのが好ましく、より好ましくは2.0重量部以下であり、短時間強度と長期強度のバランスから、最も好ましい範囲は0.1〜1.5重量部である。
そして合計量が0.1重量部未満では凝結の促進効果や短時間強度の発現効果は小さく、2.5重量部を越えるようになると長期強度の低下が大きくなり、また、成形に必要な作業時間の確保ができないか、場合によっては急結したりする場合もあるので好ましくない。
【0016】
また、ミョウバンと、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石とは任意の割合で配合しても良いが、好ましくは、ミョウバンが全体の中の10〜80重量%、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石が90〜20重量%の割合に配合するのが良く、前置き時間の短縮及び短時間強度を相乗的に改善するものである。
【0017】
尚、硫酸アルミニウムなどは反応性が大きいことから、粉末度や粒度は特に限定されず、顆粒状やザラメ状のものをそのまま使用しても良く、さらにそれを任意の粉末度に粉砕して使用しても良いものである。
【0018】
さらに、本発明で使用される活性シリカの微粉の例には、シリカフューム、ケイ化木の焼却灰やアエロジルなどが挙げられ、ポゾラン物質の微粉の例には、フライアッシュフュームや、カオリナイト、パイロフィライト、ベントナイト(酸性白土含む)、ゼオライト等の焼成物などが挙げられる。
そしてこれらは一種又は二種以上を極少量を配合することにより、より短時間強度の発現を促進するものである。
【0019】
これらは、単独又は合量でセメント100重量部に対して多くても2.0重量部配合されるのが好ましく、1.5重量部以下がより好ましく、最も好ましい範囲は0.1〜1.0重量部である。0.1重量部未満では短時間強度の発現効果は小さくなり、2.0重量部を越えて添加しても短時間強度の延びは大きく改善されないものである。
また、活性シリカとポゾラン物質を併用する場合の配合割合は、特に限定されないものである。
【0020】
本発明では、凝結を促進し、前置き養生時間を短縮するためにアルカリ金属のアルミン酸塩又はアルカリ金属のケイ酸塩が併用される。
尚、アルカリ金属とはナトリウム、カリウム、及びリチウムを示す。
特に、活性シリカやポゾラン物質の微粉と併用すると凝結を相乗的に促進する作用を有する。
【0021】
これらの配合量はセメント100重量部に対して、多くても1.0重量部が好ましく、より好ましくは0.8重量部以下であり、最も好ましくは0.04〜0.6重量部である。0.04重量部未満では凝結の促進効果が小さく、1.0重量部を越えるようになると長期強度の低下が大きくなり、セメントのロットや種類によっては急結する場合もあり好ましくないものである。
【0022】
本発明の混和材を添加して練混ぜられたコンクリートは、型枠に成形されて加熱養生を行う。
加熱養生方法は、その手段は問わないものであり、蒸気、電熱、及び熱湯などの直接又は間接による方法が採用される。
既にコンクリート二次製品工場には蒸気養生設備があるために、蒸気による直接養生方法や伝熱を介した間接養生方法が好ましい。
加熱温度はコンクリート製品の寸法が厚い場合は水和熱が加わるので比較的低い温度でも良いが、40℃以上は必要であり、養生温度が高くなるほど短時間で得られる強度は大きくなるが、反対に高すぎると脱型時に熱応力によるひびわれが入り易くなる。
好ましくは45℃以上であり、50〜90℃がより好ましい。40℃未満では早期脱型の目的にそぐわなくなり、90℃を越えるようになると実部材の脱型時に熱応力によるひびわれがより発生し易くなるので好ましくない。
【0023】
本発明で使用されるセメントの種類は、各種ポルトランドセメント、ビーライトセメント及び各種ポルトランドセメントにスラグ、フライアッシュ、又はシリカ等を混合した混合セメントであり、急硬性のセメントでは作業時間が短縮されるだけであり強度的効果は期待できないことから使用は好ましくない。
【0024】
更に、本発明のセメント混和材のコンクリートへの添加方法や練混ぜ方法は常法でよく、特に、制限は受けないが、セメント混和材の添加方法は、予め、それぞれの粉末成分を混合しておいて、あるいは、その混合物を懸濁液として、モルタルやコンクリートの練り混ぜ時にミキサーに添加しても良いし、それぞれの成分を別々に添加して練混ぜても良いものである。
また、コンクリート配合も、特に、限定されなく、製品の種類毎に現在使用している配合に対して添加するものである。
【0025】
更に本発明の混和材はコンクリートの単位水量を増加させるので、市販の高性能減水剤や高性能AE減水剤が適宜使用される。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
水400g、セメント1000g、砂2000g、及び高性能減水剤からなるモルタル配合を用いて、石膏とミョウバンの種類と配合量を変えて、練上がり直後のフロー値が200±5mmの範囲に入るように減水剤を後添加して調整して練混ぜて成形し、注水から60分後の凝結と、60分後に65℃に設定した蒸気養生箱で2.5時間養生して取り出し、直ちに脱型して圧縮強度を測定した。
その結果を表1に示す。
尚、減水剤量は結果的に5〜20gの範囲でフローを調節したがミョウバンの配合量が多い程減水剤量は増加した。
また、モルタルの練混ぜ方法はJIS R 5201の機械練りとし、練り鉢に水を入れ、低速で撹拌しながら、各々混和材成分とセメントを混合したものを投入して30秒間撹拌し、次いで、砂を投入して低速で30秒間撹拌し、さらに、60秒間高速回転で練混ぜた。
凝結測定は、ASTMC403によるプロクター貫入試験機を用いて、6W ×6L ×7Hcm の容器にモルタルを成形し、φ1.6cmの貫入針が1cm貫入した時の圧力ゲージの数値を測定した。
圧縮強度試験用供試体は4×4×16cmの3連型枠に突き棒を用いて成形し、蒸気養生後、JIS R 5201に準じて強度を測定した。
尚、モルタルの練混ぜと凝結試験、圧縮強度試験用供試体の成形は20±3℃、RH80%以上の室内で行った。
また、脱型した圧縮強度試験用供試体を20℃、RH60%の室内で気乾養生して材齢28日の強度も測定した。
【0027】
<使用材料>
(1) セメント:普通ポルトランドセメント
(2) 細骨材 :天然川砂(比重2.62)
(3) 粗骨材 :砕石(比重2.64)
(4) 高性能減水剤:主成分ナフタリンスルホン酸塩系(液体)
A.石膏類
A-1:II型無水石膏(フッ酸発生副成石膏、ブレーン比表面積4000cm2/g)
A-2:二水石膏(試薬、比表面積3800cm2/g)
A-3:半水石膏(二水を150 ℃で熱処理、ブレーン比表面積8000cm2/g)
A-4:可溶性無水石膏(半水を200 ℃で熱処理、ブレーン比表面積12000cm2/g)
B.ミョウバン
B-1:Kミョウバン(工業用)
B-2:Naミョウバン(試薬)
B-3:Feミョウバン(試薬)
【0028】
石膏類の配合量を変化させた場合では、その種類に拘らず0.2重量部から長期強度(材齢28日)の改善が認められ、4重量部までは凝結や4時間強度に大きな影響を与えないで長期強度を増加させる。そしてそれ以上になると、急に凝結が遅延され、短時間(脱型)強度が低下する傾向が示される(実験No.1−4〜1−12参照)。
ミョウバンは、その種類に拘らず、0.1重量部より凝結の促進と短時間強度の増加が示され、配合量が多くなるほどより顕著となるが、1.5重量部を越えるようになると長期強度の延びが抑制される傾向が示され、短時間強度と長期強度のバランスから好ましい範囲は2.5重量部以下、より好ましい範囲は2.0重量部以下、最も好ましい範囲は0.1〜1.5重量部である(実験No.1−13〜1−18、1−28〜1−39参照)。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例2
石膏類をセメント100重量部に対して2重量部配合して、ミョウバンと、硫酸アルミニウム及びミョウバン石の配合量を変え、かつ、その中のミョウバンと、硫酸アルミニウム及びミョウバン石の配合割合を変えて、実施例1と同様の試験を行った。その結果を表2に示めす。
【0031】
<使用材料>
C.硫酸アルミニュウム等
C-1:硫酸アルミニウム18水塩(工業用)
C-2:広島県勝光山のミョウバン石を650 ℃で仮焼(ブレーン比表面積6800cm2/
g に粉砕、純度90%)
【0032】
表2より、ミョウバンと、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石の配合量を合量で一定として、その配合割合を変えることによって相乗的に凝結が促進され、短時間強度が増大することが認められ、ミョウバンと、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石との配合割合は10〜80、90〜20重量部が好ましいことが示される(実験No.2−1〜2−12、2−19〜2−28参照)。
また、その配合割合を一定として添加量を変えた場合は、0.1重量部から凝結の促進及び短時間強度の向上が認められ、配合量を増加させるほど、その効果も顕著になるが、長期強度が低下する傾向が示される。短時間強度と長期強度のバランスから2.5重量部以下が好ましく、2.0重量部以下がより好ましく、最も好ましくは0.1〜1.5重量部であることが示される(実験No.2−13〜2−17参照)。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例3
表1、2の実験No.1−8、No.2−8のモルタルを使用して、活性シリカとポゾラン物質の微粉の配合量を変えて実施例1同様の試験をした。その結果を表3に示めす。
【0035】
<使用材料>
D.活性シリカ等
D-1:シリカフューム(BET法比表面積25m2/g)
D-2:フライアッシュフューム(BET法比表面積30m2/g)
D-3:アエロジル( BET法比表面積160m2/g)
D-4:籾殻の焼却灰( BET法比表面積1.5m2/g)
D-5:カオリナイト( 800 ℃焼成品,BET法比表面積1.4m2/g)
D-6:酸性白土(1000℃焼成、粉砕品、8000cm2/g)
D-7:Na- ベントナイト(1200℃焼成、粉砕品、3600cm2/g)
D-8:ゼオライト(800 ℃焼成、粉砕品、6000cm2/g)
【0036】
活性シリカ等の微粉は0.1重量部より凝結の促進と短時間強度を向上させ、その配合量が多くなるほどる配合効果も僅かづつ大きくなる傾向を示すが、1.0重量部で頭打ちとなり、好ましくは2.0重量部以下、より好ましくは1.5重量部以下、最も好ましくは0.1〜1.0重量部であることが示される。
【0037】
【表3】
【0038】
実施例4
表1〜表3の実験No.1−8、No.2−8、No.3−4のモルタルを使用して、アルカリ金属のアルミン酸塩又はアルカリ金属のケイ酸塩の種類と配合量を変えて実施例1同様の試験をした。その結果を表4に示めす。
【0039】
<使用材料>
E-1: アルミン酸ナトリウム無水塩(試薬)
E-2: アルミン酸カリウム 無水塩(試薬)
E-3: ケイ酸ソーダ 無水塩(試薬)
【0040】
【表4】
【0041】
表4より、本発明において、アルカリ金属のアルミン酸塩又はアルカリ金属のケイ酸塩は0.04重量部より凝結を促進して短時間強度を向上させる。そして配合量が多くなるほど配合効果も大きくなる傾向を示すが、長期強度も抑制するようになり、1.0重量部以下が好ましく、より好ましくは0.8重量部以下、短時間強度と長期強度のバランスより最も好ましくは0.1〜0.6重量部であることが示される。
【0042】
実施例5
表5に示すコンクリート配合を用い、本発明の混和材を実験No.1−1、No.1−8、No.2−8、No.3−4、No.4−13の配合割合および配合量としてコンクリートを練混ぜて、φ10×20cmの型枠に成形し、前置き養生時間(練混ぜ後から加熱養生開始までの時間とした)を変えて、加熱養生を行なった場合の圧縮強度を測定した。また、供試体の熱膨張によるひびわれの観察も行った。その試験結果を表6に示す。
尚、加熱養生は蒸気養生とし、予め、75℃に設定しておき、注水開始から蒸気養生終了までの時間を2.5時間とし、脱型強度を測定した。
コンクリートは容量100リットルの遊星型の強制練りミキサーを使用して30リットル分のコンクリートを20±3℃の室内で練混ぜた。この時、混和材はセメントに予め混合しておき、砕石や砂と空練りしながら練混ぜ水を投入し、スランプが規定の範囲に入るように実施例1で使用した高性能減水剤を後添加して調節し、練混ぜ水を投入(注水)してから120秒間で練り上げた。
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
表6より、前置き時間60分のコンクリートは養生条件、その他の調節によりモルタルの場合は同様の強度が示されるが、本願発明では前置き養生時間を短縮しても熱膨張などによるひびわれは入り難いことが示される。
【0046】
【発明の効果】
石膏類とミョウバンを主成分とする本願発明のセメント混和材を配合することによりモルタルやコンクリートの凝結を速め、前置き養生時間をより短縮させることができる。また、短時間強度を高めて加熱養生における熱膨張によるひびわれを低減し、長期強度の低下のないモルタルやコンクリートを製造することができる。 更に、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石、更には活性シリカ、ポゾラン物質、アルカリ金属のアルミン酸塩、及びアルカリ金属のケイ酸塩等の一種又は二種以上を併用添加することにより前記効果を増大させることができる。
特に、ミョウバンと、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石との併用、そして、活性シリカやポゾラン物質の微粉と、アルカリ金属のアルミン酸塩又はアルカリ金属のケイ酸塩とを併用することにより相乗的効果を発揮する。
従って、コンクリート二次製品工場においては、モルタル、コンクリートの練混ぜから脱型までの製造サイクルを短縮でき、更に生産効率を高めることが可能である。
Claims (7)
- 石膏類と、ミョウバンと、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石と、活性シリカ及び/又はポゾラン物質とを含有してなる蒸気養生用セメント混和材。
- セメント 100 重量部に対して、石膏類が CaSO 4 換算で 0.2 〜6重量部、ミョウバンが無水物換算で 0.1 〜 2.5 重量部、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石がミョウバンと硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石の合計量の無水物換算で 0.1 〜 2.5 重量部、活性シリカ及び/又はポゾラン物質が 0.1 〜 2.0 重量部となるように配合してなる請求項1に記載の蒸気養生用セメント混和材。
- さらに、アルカリ金属のアルミン酸塩及び/又はアルカリ金属のケイ酸塩を含有してなる請求項1又は請求項2に記載の蒸気養生用セメント混和材。
- セメント 100 重量部に対して、アルカリ金属のアルミン酸塩及び/又はアルカリ金属のケイ酸塩が 0.04 〜 1.0 重量部となるように配合してなる請求項3に記載の蒸気養生用セメント混和材。
- セメントと、請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項に記載の蒸気養生用セメント混和材とを含有してなる蒸気養生用セメント組成物。
- セメントと、石膏類と、ミョウバンと、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石と、活性シリカ及び/又はポゾラン物質とを含有してなる蒸気養生用セメント組成物。
- セメントと、石膏類と、ミョウバンと、硫酸アルミニウム及び/又はミョウバン石と、活性シリカ及び/又はポゾラン物質と、アルカリ金属のアルミン酸塩及び/又はアルカリ金属のケイ酸塩とを含有してなる蒸気養生用セメント組成物。
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