JP2827383B2 - 窯炉内面のコーティング方法 - Google Patents

窯炉内面のコーティング方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、窯炉内面のコーティング方法、特に鉄鋼製
造プロセス等において使用する窯炉内張りのコーティン
グ方法に関するもので、内張耐火物を補強し、溶鋼清浄
度の維持向上に寄与する施工法に関する。
(従来の技術) 最近、鉄鋼製造プロセスでは連続鋳造の著しい普及や
鋼の高級化の要求が高まり、鋳込工程での取鍋やタンデ
ィッシュなど窯炉の使用条件が変化し、内張りの高性能
化が進んできた。
中でも窯炉の代表例であるタンディッシュにおいては
連々指数の増大による材質の高級化と共に、炉内に堰や
介在物吸着フィルターを設置するなど炉材、形態面での
変化も著しくなった。
また、省力化の観点から耐火物の不定形化や施工の機
械化が進み、高アルミナ質や塩基性質の耐火物の不定形
化が検討されるようになった。
現状のタンディッシュでは内張りの表面にMgO質のコ
ーティング材を塗布し、使用初期の剥離防止を図ってい
る。
(発明が解決しようとする課題) しかし、焼成煉瓦と異なって不定形耐火物では組織の
結合状態が無機系水溶性バインダーによる化学結合であ
り、結合したときの結合状態に劣り、熱的あるいは機械
的衝撃に弱く、剥離し易い。このため、鋼の清浄度を維
持向上させる上で好ましくない。また、不定形内張材に
対するコーティング法も湿式の塗布あるいは吹付では、
受鋼時の剥離は防止できず、効果は一過性で、バインダ
ーに起因するP汚染を伴う。
そこで、本発明者らは溶射によるコーティングに着目
した。
鉄鋼プロセスでの溶射の活用は、製鋼炉では転炉等で
の湿式吹付法の代替技術として進歩した。この溶射方法
は主に次のように区分できる。
コークス粉等の固型燃料、LPG、灯油等の気体あるい
は液体燃料を熱源とする火炎法、プラズマ炎を用いる
方法(プラズマ法)、siあるいはAl等の金属粉のテル
ミット反応熱を利用する方法(テルミット法)の三つで
ある。
これらの溶射方式は、従来の湿式方法に比べ壁面を過
冷却しないため、接着強度が優れ、耐用性が高まると考
えられている。
しかし、燃料燃焼方式をとる火炎法では火炎温度を高
くすることが困難で、2000℃を越える融点の高い耐火物
原料を使用することができず、耐久性の高いものになり
にくい。プラズマ炎によるプラズマ法では容易に一万度
を越える熱源が得られるものの、電源等付帯設備が膨大
で汎用性に欠ける面を有する。一方、従来のテルミット
反応熱を利用するテルミット法では、Siを多用するた
め、多量のSiO2を生成するので鋼質清浄化にもとるもの
である。
以上に述べるような観点で、すでに特開昭58−55384
号公報および特開昭58−85090号等で開示されるように
水プラズマ溶射による実験室的な検討がなされている。
テルミット法では特公昭49−46364号公報に易酸化性粒
子と耐火物粒子とを溶射する方法が開示されている。し
かし、これらの内容は種々の可能性を示唆するのみで、
最近の不定形化が先行したタンディッシュあるいは取鍋
に対する具体的な適用方法については全く記載がない。
特に、特公昭49−46364号公報開示の方法は施工対象がS
iO2質で塩基性、特にCaO質のライニングに対してはむし
ろ有害で、扱う金属粉の粒径(平均粒径50μm未満)で
は事前の処理なしに安全な施工を達成し得るものではあ
りえず上述の問題に対し、何ら解決手段を示唆するもの
ではない。
このように、鋳込工程におけるCC用タンディッシュ等
窯炉の内張り、特に不定形施工した内壁面に高融点で耐
火性に優れたコーティングを施すことは、溶鋼に接して
の耐食性、清浄度の向上に有効であるが、未だ適切な方
法が確立していないのが現状である。
ここに、本発明の一般的目的は、窯炉内面に高融点で
耐火性に優れたコーティング層を施す方法を抵抗するこ
とである。
そこで、本発明射等は既述の方法について問題点を明
らかにする中から、新たな溶射施工法について検討し
た。
CC用タンディッシュの内張りコーティング方法とし
て、高耐食性のCaO−MgO系材料を施工する上で、既述方
法では次のような問題があった。
従来の転炉等での溶射補修法の場合、材料の融点は20
00℃未満で耐火性が低く、多量にSiO2を含むため耐食性
が劣り転用できない。
一般に鋼質の清浄度を保持するものとして、Al2O3
よりCaO−MgO系が良好であるが、融点が2600℃のCaOを
効率よくコーティングさせる方法がない。
電気炉あるいは転炉など従来の溶射補修の対象炉と異
なり、熱放散型の炉であるタンディシュおよび取鍋では
壁面の温度が低下し易く、骨材や気孔等組織を勘案して
耐スポール性の良好なコーティング層を得る必要があ
る。
コーティング頻度と作業性を勘案すると、コーティン
グ層の効果を持続させる上でその厚さは少なくとも10mm
以上を要する。
金属Ca粉あるいはMg粉を主剤とした燃焼炎を得る場
合、安全面で粒度構成に注意を要すると共に、別に着火
源が必要となる。
したがって、本発明の具体的目的は、鉄鋼用窯炉、特
にCC用タンディッシュや一部の取鍋の内張り壁面に耐食
性に優れたコーティング層を設ける方法であって、溶射
によって内張りを補強し、あるいは補修して従来の溶鋼
の清浄度を向上せしめることのできる窯炉内面コーティ
ング方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するため、種々検討した結果、本発明
者らは装置構成のシンプルなテルミット法に着目し、既
存の吹付機の一部を逆火防止弁を付帯させるなど改造
し、容量2.5トンのダンディッシュ型の模型炉で溶射施
工実験を行った。その結果、以下の知見を得て本発明を
完成するに至った。
金属Ca粉、Mg粉もしくはMg−Ca粉とAl粉もしくはAl−
Mg粉を組合せた易酸化性粉体を熱源とし、Caクンリカ
ー、CaO−MgOクリンカーと混合したものを酸素ガス気流
中で例えば600℃以上に加熱した壁面に吹付けたとこ
ろ、良好な施工体が得られた。
特に、施工体を良好ならしめる上で、用いた粉体に次
のような適正な清浄範囲があることが判明した。
(i) 易酸化性粉体として金属粉は粒径100〜10μm
が適当で、これとは別に平均粒径10μm以下のAl合金粉
の添加が望ましい。
(ii)粒径2mm以下のクリンカーを粗粒と微粒に2分割
し、単位重量あたりの受熱面積を変えることにより完全
溶融液滴と半溶融粒の二つの状態で積層することがで
き、耐スポール性の良好なコーティング層が得られる。
施工時の安全性を図る上で、上記所要の金属粉を構成
する粒子を有機質膜で封入し、造粒後に粒径100〜500μ
mとした粒子を用いた。
ここに、本発明は、Ca、Mg、およびAlならびにそれら
の合金から成る群から選んだ一種もしくは二種以上の金
属粉と、CaO系酸化物粒子および/またはCaO−MgO系酸
化物粒子とをO2気流で吹付けて付着層を形成することを
特徴とする窯炉内面のコーティング方法である。
本発明の好適態様によれば、前記金属粉を構成する粒
子は、取り扱い中の爆発の危険を防止するために、フェ
ノール樹脂あるいはポリ塩化ビニルの有機質膜に封入し
てもよい。
なお、上記「窯炉」とは、主に製鉄用溶鋼受容の炉で
あって、例えば取鍋、タンディッシュを包含する。
(作用) 本発明の構成と作用について説明する。
本発明においてCa、MgおよびAlならびにそれらの合金
などの金属粉によるテルミット反応熱を利用する理由は
以下の如くである。
すなわち、発熱反応後の金属粉は特にCa、Mgの場合、
CaO−MgO系の液滴となって、溶射層のマトリックスを形
成する形態をとって凝固するため、層中の気孔量に比
し、強固な結合組織を形成する。特に、Ca金属は他の金
属、例えばSiに比し急激な酸化反応性に富み大量の発熱
能を有すると共に、酸化物粒子とのなじみも良い。溶射
中の飛行粒子速度は供給酸素ガス量で任意に調節でき
る。
材料としては純度が90%以上のCaOもしくはCaO−MgO
を用いる。具体的には、電融CaOクリンカー、電融CaO−
MgOクリンカーもしくは焼結CaO−MgOクリンカーを用い
る。コーティング層の耐食性を高めるために、特にSi
O2、Al2O3およびFe2O3の含有量は合計10%未満であるこ
とを要する。特に、SiO2は溶射後2CaO・SiO2を形成して
粉化し易く、1%未満が望ましい。
溶射の付着率を高める上で、カルシウム系化合物の添
加は有効である。具体的にはCaF2、CaCN2、CaCl2、Ca
(NO3が挙げられるが、これらの化合物は融点が140
0℃未満で未溶融粒子をコーティング層に多くとりこみ
付着量を増加させる。ガス発生を伴い多孔質化を促進す
るので添加量は合計で10%以下に限定される。
酸化物系材料中のCaO/MgO比は100/0〜60/40の範囲に
限定される。理想的には、CaO系ライニングが望ましい
が、ライニングコスト面での制約が大きい。CaO比率60
を大きく下まわると、MgO型組織構造のコーティング層
となり、鋼質浄化能が劣る。したがって、効率よくコー
ティング層を生成させて、上記浄化能を維持させるため
には、2〜0.5mmの粗粒域に富CaOクリンカーを配し、0.
2mm以下の微粒域に貧CaOクリンカーすなわち、低溶融耐
クリンカーを配することが望ましい。
なお、MgO−CaO系では相互に固溶体を形成するが、量
比によってMgO型組織構造あるいはCaO型組織構造をと
る。このとき過剰なCaOもしくはMgOは遊離の状態で固溶
体周囲に固定されるので、微粒でCaOに富むクリンカー
は吸湿性に富み、組織劣化し易い。
各成分の添加割合は特に制限されないが、発熱源とし
ての金属粉は上記酸化物系材料100重量部に対し、6〜2
0重量部の割合で配合するのが好ましい。金属粉として
は特にCa、Mg、Ca−Mg合金およびAlが適当する。これは
いずれも従来のSi、Zr、Ca−Si系粉末より着火発熱速度
に優れ、融点2400℃を超える上記酸化物粒子を極めて短
時間に溶融せしめる。
融点の低いAl粉は、溶射時の点火源として平均粒径10
μm以下のものを全金属粉の5%未満の範囲で添加す
る。添加量が多い場合、粒径が粗い場合、CaO−Al2O3
液滴がコーティング層中に粒を形成し、耐食性が劣る。
したがって、施工壁面が十分に温度が高い場合、Al粉添
加を要しない。上記金属粉は発熱量確保の点で好ましく
は粒径100〜10μm以内に限定される。10μm未満では
取扱いそのものが危険である。
安定した熱源すなわち、溶射時のフレーム形成を維持
し、安全施工する上で添加金属粉は、事前に無水系有機
質膜で封入し、粗大化したものを使用することが必要で
ある。ここに、「封入」とは、金属粉の実質上すべての
表面に皮膜を形成するとともに造粒することである。金
属粉表面を外気から遮断するために行う処理である。有
機質膜として融点が200℃以下の合成樹脂(フェノール
型、エポキシ型、塩化ビニル型等)を溶かし、これに前
記金属粉を混合し、粒径200〜100μmに成形し、風冷固
化したものを用いる。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明す
る。
実施例1 SiC抵抗体を熱源とする電気炉で650℃に予熱した500
×500(mm)の中アルミナれんがに、第1表に示す配合
構成の材料を厚さ10〜15mmまで溶射し、30分間熱間で保
持して4℃/minの速度で徐冷して30×70×180(mm)の
サンプルを切り出した。
これらのサンプルをルツボ状に張合わせ高周波誘導炉
で25kgの溶鋼を1650℃×2hr保持する侵食テストを行っ
た。結果の複数例を第2表に示す。
この結果、従来例に比し、本発明に係る溶射層では見
掛気孔率に比して、侵食量は極めて低く、優れた耐食性
を有することが判る。また各サンプルの稼動面近傍(〜
5mm)をエネルギー分散型X線アナライザーで微構造観
察したところ、骨材間のマトリックスにAl、Siの集積が
みられた。これに対し従来材ではSiO2の溶出が著しくAl
が多くなるがFeと共通した領域に分布してスピネルを形
成していた。
実施例2 容量が30トンのT字型ブルームCC用タンディッシュ
(2ストランド)の片側壁面に本発明のコーティング施
工を適用し、アルミキルド鋼を鋳込んだ。
タンディッシュのパーマは通常のシャモット系(Al2O
340%)を内張りし、さらに高アルミナ質流込み材(Al2
O375%)を内張りし、養生後300℃まで昇温乾燥させ
た。750℃で3hr昇温後、片側壁面に第1表A材を厚さ10
〜15mmまで溶射した。またもう一方の壁面にMgO−SiO2
系繊維を添加したコーティング材(MgO86%、SiO26%)
を吹付けし、1150℃まで昇温した。
鋳込回数は8回とし、侵食状況と介在物の析出状況を
比較した。結果を第3表に示す。なお侵食の比較につい
ては鋳込み終了後侵食深さ(mm)と鋳込溶鋼量(トン)
の比を求め、従来の結果を(mm/Ton)を100とした指数
で示した。また、鋼の清浄度については、異なる鋳込口
別の差を比較したが、JIS−G05555により非金属介在物
量で比較表示した。
(発明の効果) 以上の結果、本発明方法により、コーティング施工さ
れた窯炉は、従来に比較して耐食性において著しく優
れ、かつ耐スポール性も良好なことが判る。また、特に
これにより溶鋼の清浄度を向上させることができ産業上
益するところ極めて大である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ca、Mg、およびAlならびにそれらの合金か
    ら成る群から選んだ一種もしくは二種以上の金属粉と、
    CaO系酸化物粒子および/またはCaO−MgO系酸化物粒子
    とをO2気流で吹付けて付着層を形成することを特徴とす
    る窯炉内面のコーティング方法。
  2. 【請求項2】前記金属粉を構成する粒子を予めフェノー
    ル樹脂あるいはポリ塩化ビニルの有機質膜に封入した請
    求項1記載の方法。
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