JP2827336B2 - ガラスレンズの成形方法およびその装置 - Google Patents

ガラスレンズの成形方法およびその装置

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は改良された無研摩ガラスレンズの成形方法お
よびその方法に用いる金型に関する。
従来技術 無研摩ガラスの製造方法としては、ノズル先端から溶
融ガラスを滴下し、落下ガラス滴を下金型で受けて、プ
レス成形する液滴法が、レンズの表面に傷、砂目、シャ
ーマークなどの欠陥のないレンズを得る優れた方法とし
て、本発明者らにより開発され既に出願済みである(特
願昭59−267058号)。
液滴法は、無研摩ガラスの製造法として優れた方法で
あるが、何点かの改良すべき点が見い出されてきた。か
かる改良を必要とする問題点をより明瞭にするために、
第11図を用いてさらに詳しく液滴法を説明する。
液滴法は、まずルツボ(1)中で溶融したガラス
(2)をノズル(4)の先端である一定の大きさの液体
状の滴にする。ルツボ(1)からノズル(4)の先端ま
ではヒーター(5a)〜(5d)により、溶融したガラスが
冷えて固体状にならないように、加熱されている。次に
所定の大きさと温度に制御されたガラス滴(6)をノズ
ル(4)の先端から自然落下させた状態で、そのガラス
滴の落下地点に設置した適当な金型(12)に捕集し、捕
集後すぐにガラス液滴の落下点より移動し、上金型(1
3)でプレスして、無研摩ガラスレンズ(14)を得る。
しかし、上記方法によっては、ガラス滴を捕集する金
型(12)の材質によっては、いわゆる「ひけ」が生じる
ことがある。ひけとは、第12−d図に示したようにレン
ズ中央部付近に生じるくぼみのことと考えればよい。こ
のひけは、第12−a図〜第12−d図に示した機構によっ
て生じるものと考えられている。第12−a図は、滴下ガ
ラス滴を金型に捕集した時の状態を示す。図中、ガラス
滴が金型に接触している周辺部を示す斜線部は、他のど
の部分よりも早く固化する所であり、その部分は滴下
後、金型の形状にそって固定化される。しかし、ガラス
ゴブが金型に接している中央部(斜線部の間の部分)
は、ガラス滴中まだ冷えないで残っている高温部からの
熱で固化しきらないで軟化状態になっていると考えら
れ、その部分は金型を移動中にガラス滴全体の冷却にと
もなう収縮により、上部に引き上げられる。その結果、
第12−b図に示したようにガラスゴブ中央部に空気だま
り部が形成され、その状態で第12−c図に示したように
上金型で成形を行なうので、得られるガラスレンズには
ひけが形成されることとなる。
また、別の問題として、従来はガラス滴(6)は、そ
の表面温度がガラスの軟化温度より低い温度になるまで
落下させる必要から、ガラス滴の落下距離(l)は室温
自然落下の場合、一般に150cm〜200cm以上が必要であっ
た。このように落下距離が長いと、金型(12)上に落ち
る位置も微妙に異なり、得られるレンズの型形状等の品
質も同一でない(このように型形状が忠実に転写されな
いこを「転写性」が悪いと表現する)。転写性の悪さを
なくするため、落下距離を短くすれば、上記したひけの
問題がより顕著になる。
発明が解決しようとする課題 本発明は、上記した従来の問題点を解消し、金型の種
類によらず、ひけの発生が防止され、またガラス滴の落
下距離が短くても転写性の劣化が防止されたガラスレン
ズの成形方法およびその方法に用いる金型を提供するこ
とを目的とする。
課題を解決するための手段 すなわち、本発明は下金型にガラス滴を滴下した後、
プレス成形してガラスレンズを成形する方法において、
ガラス滴を、ガラス滴落下部の中央部分が上下可動なコ
ア部を有する下金型上に落下させ、ガラス滴の粘性が大
きくなり始めたときコア部をガラス滴から離れるまで一
旦引き下げ、次にガラス滴が内部まで完全に固化する前
に、上金型および下金型により圧縮成形するガラスレン
ズの成形方法に関する。さらに本発明は下金型にガラス
滴を滴下した後、プレス成形してガラスレンズを成形す
るに際して、ガラス滴を、ガラス滴落下部の中央部分が
上下可動なコア部を有する下金型上に落下させ、ガラス
滴の粘性が大きくなり始めたときコア部をガラス滴から
離れるまで一旦引き下げ、次にガラス滴が内部まで完全
に固化する前に、上金型および下金型により圧縮成形す
るガラスレンズの成形方法に使用される上記下金型であ
って、上下可動なコア部が滴下ガラス滴の下部直径より
小さい直径を有する下金型に関する。
本発明の特徴は、ルツボ内でガラス(例えばSF11)を
溶融撹拌して均一にしたのち、炉およびノズル(4)の
温度を適当に制御して形成されるガラス滴(6)を、中
央部が上下可動の機構をもつ下金型で受けてガラス滴を
成形することにある(下金型中央部)の上下可動部を
「コア部」という)。そうすることにより下金型を構成
する金属の種類によらず、ひけのないガラスレンズを形
成することができ、さらに、ガラス滴の表面温度が軟化
点以上状態で下金型に受けることが可能となり、そのた
めガラス滴落下距離を短かくすることができ、転写性の
よいガラスレンズを再現性よく製造することができる。
以下、本発明を第1図を用いて説明する。
従来法と同様に厳密に温度制御されたガラス滴(6)
を捕集する下金型(11)はノズル(4)の直下に配置
し、ノズル(4)の先端から滴下するガラス滴を受け、
ガラス滴滴下後、コア部(21)のみ一担下降して、これ
と同時、または順次に成形位置へ移動し、上金型(13)
で成形する。その際、滴下したガラス得は、下金型(1
1)上で、所要のレンズを得るに十分な厚みのある状態
で保持できていればよい。
下金型(11)は、ステンレス等の金属、Sic、AlN等の
セラミックなど耐熱性の良い材質で構成されるコア部
(21)とコア部(21)と同様の材質で構成されるスリー
ブからなる。尚、熱膨張係数の差によるコア部(21)と
スリーブ間のクリアランスが十分考慮されているのな
ら、コア部(21)とスリーブに熱膨張係数の異なる材料
を採用してもよい。コア部(21)上、ガラス滴が落下す
る表面は、所望のガラスレンズの形状に成形できるよう
に加工されている。
上金型は、無研摩ガラスの成形方法において通常使用
される金型を使用すればよく、特に制限されるものでな
く、下金型(11)と同様材料で構成されていても良い
し、異なった材料で構成されていても良い。
さらに上下金型(11)を第2図を用いて説明する。
下金型はコア(21)がスリーブ(20)内に上下に可動
にセットされ、熱盤(30)に取付られている。これらは
ヒーター(図示せず)、熱電対(29)、コントローラー
(図示せず)等により、適当な温度に加熱保持されてい
る。これらは左右に可動の下金型ベース(22)に取付ら
れており、下金型ベース(22)はサーボモータ(26)お
よびボールネジ(25)によって移動する。コアは下押シ
リンダー(23)により上下し、レンズを成形する。
上金型はコア(13)、熱盤(30)、熱電対(29)、上
金型ベース(27)などにより構成され、上押シリンダー
(図示せず)により上下し、レンズを成形する。
第2図中、破線で描いた下金型(A)は、ノズル下方
でガラス滴(10)が滴下直後の状態を示す。
ガラス滴の下部の直径は、コア(21)の直径よりわず
かに大きくなるようにして、ガラス滴(10)が、スリー
ブ(20)に若干かかるように滴下させる。具体的なコア
部(21)の直径はガラス滴の種類、重量、温度、表面張
力等により適宜選択調整すべきものであるが、滴下ガラ
ス滴の下部直径より0.1mm以上小さくする。コア(21)
径がそれより大きいとコア部(21)を降下させたときガ
ラス滴がコア部(21)とともにスリーブ内に落下してし
まう。
ガラス滴を滴下後、ガラス内部の温度が降下してガラ
ス粘性が大きくなりはじめた時、コア(21)を下降さ
せ、コア(21)とガラス滴(10)間に空間を設ける。
この間に、コア(21)の下降するタイミングとは独立
に下金型ユニットをノズル下方位置Aから成形位置Bに
移動する。
コアの下降に従いガラス滴(10)は自重による下降と
表面張力により変形する。この変形は、コア(21)を降
下させたとき、ガラス滴が垂れ下がり、下降させたコア
上面に接触しない程度までの範囲で許される。従ってコ
ア部(21)の下降距離はガラス滴の半径程度で十分であ
る。この変形の度合は、上記したコア(21)の下降タイ
ミングと密接に関係し、従って、コア(21)の下降タイ
ミングである「滴下ガラス滴のガラス粘性が大きくなり
はじめたとき」とは、ガラス滴を滴下後、主にガラス滴
からコア部(21)への熱伝導によりガラス滴の温度が低
下しはじめた時ということになる。このコア下降タイミ
ングは、ガラスの種類、ガラス滴の温度、粘度、重量、
大きさ等を総合的に判断し、個々のケースごとに適宜決
定される。
第3図〜第6図は、様々な条件におけるコア下降およ
び成形状態を示す。各図中(a)は、ガラス滴が下金型
に滴下直後の状態を示す。(b)はコアを下降したとき
のガラス滴の状態を示す。(c)は、上金型と下金型で
ガラス滴を成形するときの状態を示す。
第3図は、適正なガラス滴寸法における滴下状態(第
3図(a))、適正なタイミングによるコア下降状態
(第3図(b))および成形状態(第3図(c))を示
す。
第4図は、コア下降のタイミングが早すぎた場合で、
コアを下降した時、第4図(b)に示したように、ガラ
ス滴の下降変形が大きい。下降変形したガラス滴は、コ
ア上面に接し、コアーとスリーブおよびガラス滴に囲ま
れた空間が形成され、下面の転写性が悪くなるととも
に、ガラス滴上部には、ガラス滴下降に伴う空気だまり
が形成され、それがそのまま成形後も残ることがある。
第5図はコア下降タイミングが遅すぎる場合で、ガラ
ス滴下面が変形せず、ひけがそのまま残り、従来と同様
の問題が生じる。
第6図は、コア径に対してガラス滴が小さすぎる場合
で、コア下降に伴なってガラスがコア内へ落下してしま
うため、ひけが生じたり、形状不良の問題が生じたりす
る。
以上述べたように本発明においては、第4図〜第6図
で説明したような問題が生じないような適正な条件、た
とえばガラス滴寸法、コア下降タイミング、コア下降距
離等を選択する必要がある。
次に、ガラス滴を形成するに際しては、ガラス滴内部
が完全に固化する前に、下降させた下金型コアをガラス
滴を滴下する前の位置まで戻し、同時に上金型により押
圧して成形してガラスレンズを得る。
下金型(15)は、使用するガラスの軟化温度より10〜
150℃、好ましくは30〜100℃低い温度に加熱した状態に
しておくことが好ましい。通常SF11ガラスを使用する場
合、約400℃に設定される。そうすることにより面精度
の高いレンズが成形できるとともに、金型とガラスとの
融着を防ぐ効果がある。
上金型(18)は、使用するガラスの軟化温度より10〜
150℃、好ましくは30〜100℃低い温度に加熱した状態に
しておくことが好ましい。そうすることにより下金型と
同様の効果がある。
さらに本発明においては、第7図〜第10図に示したよ
うに下金型を構成するコア、スリーブを面取りしたり、
突起部を設けてもよい。
第7図は、コア上面周囲を削り、面取りした下金型の
概略構成を示しコアとスリーブ境界に、溝が形成され
る。このような構成とすることによりレンズに転写され
た溝をレンズ保持枠等への組込時の基準として利用でき
るという効果がある。第8図は、コアは面取りしない
で、スリーブ上部の内周囲を面取りした下金型の概略構
成を示す図である。このような構成とすることによりエ
ッジ部の転写性の向上に効果がある。
第9図は、スリーブ上部の内周囲に突起部を設けた下
金型の概略構成を示す図である。このような構成とする
ことによりレンズに転写された突起部をレンズ保持枠等
への組込時の基準として利用できるという効果がある。
第10図は、コア上部の外周囲に突起部を設けた下金型
の概略構成を示す図である。このような構成とすること
によりレンズに転写された突起部をレンズ保持枠等への
組込時の基準として利用できるという効果がある。
また、本発明においては、上金型、下金型を選択する
ことにより、両凸、両凹、平凸、平凹、メニスカス等の
各種レンズを精度よく、効率よく製造することができ
る。もちろん、いずれの面に非球面があってもよい。
尚、コア部(21)の形状は必ずしも円形である必要は
ない。
発明の効果 本発明により、下金型の種類に関係なく、かつ短いガ
ラス滴落下距離により、ひけのない形状転写性のよい無
研摩ガラスレンズの製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の液滴法を実施するための装置の概略構
成例を示す図である。 第2図は、本発明装置の下金型の概略構成例を示す図で
ある。 第3図〜第6図はガラス滴の成形状態を説明するための
図である。 第7図〜第10図は、下金型の種々の構成例を示す概略図
である。 第11図は、従来法の液滴法を説明するための装置の概略
構成例を示す図である。 第12図は、ひけの生じる機構を説明するための図であ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−95129(JP,A) 特開 昭62−270427(JP,A) 特開 昭61−146721(JP,A) 特開 平1−148716(JP,A) 実開 昭62−129032(JP,U) 実公 昭55−28740(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C03B 11/00,11/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下金型にガラス滴を滴下した後、プレス成
    形してガラスレンズを成形する方法において、 ガラス滴を、ガラス滴落下部の中央部分が上下可動なコ
    ア部を有する下金型上に落下させ、ガラス滴の粘性が大
    きくなり始めたときコア部をガラス滴から離れるまで一
    旦引き下げ、次にガラス滴が内部まで完全に固化する前
    に、上金型および下金型により圧縮成形するガラスレン
    ズの成形方法。
  2. 【請求項2】下金型にガラス滴を滴下した後、プレス成
    形してガラスレンズを成形するに際して、ガラス滴を、
    ガラス滴落下部の中央部分が上下可動なコア部を有する
    下金型上に落下させ、ガラス滴の粘性が大きくなり始め
    たときコア部をガラス滴から離れるまで一旦引き下げ、
    次にガラス滴が内部まで完全に固化する前に、上金型お
    よび下金型により圧縮成形するガラスレンズの成形方法
    に使用される上記下金型であって、上下可動なコア部が
    滴下ガラス滴の下部直径より小さい直径を有する下金
    型。
  3. 【請求項3】請求項1のガラスレンズの成形方法に使用
    され、コア部が滴下ガラス滴の下部直径より小さい直径
    を有する下金型。
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