JP2827226B2 - 透明導電膜の形成方法 - Google Patents

透明導電膜の形成方法

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は液晶表示素子、透明メンブレンスイッチなど
に用いられる透明導電膜の形成方法に関するものであ
る。
従来の技術 従来より、透明導電膜は液晶表示素子、電気的透明遮
蔽材、赤外線反射膜、透明メンブレンスイッチなどに広
く利用されている。
透明導電膜の形成方法としてはスパッタ法、蒸着法
や、焼成法等が知られている。この中で焼成法は有機金
属化合物や無機金属化合物を基板上に印刷法や回転塗布
法等の塗布法によって形成し、さらに熱分解することに
よって、透明導電膜を形成する方法である。そのため、
スパッタ法や蒸着法に比べ大面積の形成が容易で、コス
トも安価である等の特徴を持っている。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、上記透明導電膜の形成方法である焼成
法は、スパッタ法や蒸着法に比べ体積固有抵抗が高いた
めスパッタ法や蒸着法と同等の面積抵抗を得るためには
膜の厚みを大きくしなくてはならない。しかしながら、
膜厚が5000Å以上になると1回の熱分解では膜に亀裂が
入ってしまうため膜が形成できず、膜厚の大きな膜を得
るためには塗布、熱分解という過程を何度か繰り返さな
くてはならないという問題点があった。さらに、焼成法
ではスパッタ法や蒸着法に比べ膜厚が1000Å以上になる
と光の干渉によって特定の波長の光を反射するため色が
ついて見えやすいという問題点があった。
課題を解決するための手段 本発明は、有機インジウム化合物と有機スズ化合物の
混合物を溶媒に溶解または分散して塗布液とし、基板上
に塗布して形成し、酸素を含有しない雰囲気中で熱分解
し、さらに熱処理することによって透明導電膜を形成す
る方法としたものである。
作用 上記本発明の手段を用いることにより、従来の方法の
問題となっている、膜の色付きや割れを発生させること
なく低抵抗の透明導電膜を形成することができたもので
ある。
実施例 まず、本発明の概要について説明する。
本発明の基本は、有機インジウム化合物と有機スズ化
合物との混合物の熱分解を酸素を含有しない雰囲気中で
行うことによって色付きの少なく膜厚の厚い透明導電膜
を得ることを特徴とする。さらに、有機インジウム化合
物と有機スズ化合物の混合物を溶媒に溶解または分散す
ることによって、基板上に印刷法や回転塗布法等の塗布
法によって透明導電膜を形成することができるという特
徴を持っている。又、熱分解の後、熱処理を水蒸気を含
有する雰囲気中で行うことによって強固な透明導電膜を
形成することができるという特徴を持っている。
本発明に使用できる有機インジウム化合物としては、
インジウムのアルコキシド、ナフテン酸塩、オクチル酸
塩などの各種カルボン酸塩、アセチルアセトナート、ク
ラウンエーテル、サイクラム錯体等の各種錯体、インジ
ウムと炭素との直接結合を有する有機金属化合物等をあ
げることができる。さらに上記化合物の混合物を用いて
もよい。
有機スズ化合物としては、スズのアルコキシド、ナフ
テン酸塩、オクチル酸塩などの各種カルボン酸塩、アセ
チルアセトナート、クラウンエーテル、サイクラム錯体
等の各種錯体、スズと炭素との直接結合を有する有機金
属化合物等をあげることができる。さらに上記化合物の
混合物を用いてもよい。
基板としては、有機インジウム化合物と有機スズ化合
物の熱分解温度及び熱処理温度に耐えるものであれば任
意に選択できる。一般に有機金属化合物の熱分解温度は
550℃以下であるため安価なソーダ石灰ガラス等が十分
使用できる。
熱分解の雰囲気としては、酸素を含有しない雰囲気で
あれば任意に選択できる。例えば、窒素雰囲気、二酸化
炭素雰囲気等の不活性雰囲気、水素雰囲気や一酸化炭素
雰囲気等の還元性雰囲気等をあげることができる。
溶媒としては、有機インジウム化合物、有機スズ化合
物の両方の化合物を同時に溶解または分散するものであ
れば任意に選択できる。例えば、インジウムのオクチル
酸塩とスズのオクチル酸塩の組合せの場合は、溶媒とし
てキシレンやケロシン、デカリン等をあげることがで
き、用いられる塗布法によって適当な溶媒を選択し、溶
媒を幾種類か混合することにより塗布性を向上させるこ
とができる。
塗布法としては、ディップ法、回転塗布法、スクリー
ン印刷法、オフセット印刷法などの方法を任意に選択で
きる。
熱処理の雰囲気としては、熱分解の雰囲気と同様な雰
囲気に加えて酸素を含有する酸化性雰囲気などから任意
に選択できる。しかしながら形成される透明導電膜の抵
抗値をより低くするためには酸化性雰囲気よりも不活性
雰囲気、不活性雰囲気よりも還元性雰囲気の方が適当で
ある。さらに、形成される透明導電膜の耐酸性や耐湿性
等を向上するためには上記雰囲気に0.6体積%以上の水
蒸気を加えたほうがよい。0.6体積%未満であると水蒸
気の添加効果が減少するためである。又、水蒸気の添加
量はより多い方が効果が大きい。
以下、具体的実施例について説明する。
〔実施例1〕 有機インジウム化合物としてオクチル酸インジウム、
有機スズ化合物としてオクチル酸スズを用い、インジウ
ムに対してスズが5.5atm%になるように混合し、ケロシ
ンとシクロヘキサノンを混合した溶媒に混合溶解して塗
布液を作る。得られた塗布液を市販のソーダ石灰ガラス
基板上にスピンナーで回転塗布し、乾燥して溶媒を揮散
させる。以上のようにしてソーダ石灰ガラス基板上にオ
クチル酸インジウムとオクチル酸スズの混合物の膜を形
成する。さらに、各種雰囲気中で530℃に昇温して熱分
解する。熱分解したものを各種雰囲気中で530℃で60分
熱処理する。以上のようにして透明導電膜を形成する。
得られた膜の特性を表1に示す。
比較のため、大気中で熱分解した例についても表1に
示す。
発明の効果 以上、実施例から明らかなように、本発明にかかる透
明導電膜の形成方法は従来の焼成法に比して、膜の割れ
のない膜厚の大きな透明導電膜が得られ、かつ、透明性
の良い透明導電膜を形成することができ、その産業上の
効果は大なるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−76212(JP,A) 特開 昭57−67674(JP,A) 特開 昭59−213623(JP,A) 特開 昭60−243280(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01B 13/00 H01B 5/14 C23C 18/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機インジウム化合物と有機スズ化合物と
    の混合物を基板上に形成し、酸素を含有しない雰囲気中
    で熱分解し、さらに熱処理することを特徴とする透明導
    電膜の形成方法。
  2. 【請求項2】有機インジウム化合物と有機スズ化合物の
    混合物を溶媒に溶解または分散させた塗布液を塗布する
    ことによって基板上に形成することを特徴とする請求項
    1記載の透明導電膜の形成方法。
  3. 【請求項3】熱処理雰囲気中に水蒸気を0.6体積%以上
    含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載
    の透明導電膜の形成方法。
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