JP2826750B2 - 片面絶縁箔状電線の製造方法 - Google Patents
片面絶縁箔状電線の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は片面絶縁箔状電線の製造法に関するものであ
る。
る。
(従来の技術と発明が解決しようとする課題) コアレスフラットモータのコイル等に用いる箔状絶縁
電線としては、従来は専ら、箔状導体の外周全体に絶縁
層を有するものが用いられているが、コイルの導体占積
率を高めるために、第1図に断面図を示すように箔状導
体1の片面2の絶縁層を廃止し、他の片面3と両側面4
および5とに絶縁層6を設けた片面絶縁箔状電線が最近
要望されている。
電線としては、従来は専ら、箔状導体の外周全体に絶縁
層を有するものが用いられているが、コイルの導体占積
率を高めるために、第1図に断面図を示すように箔状導
体1の片面2の絶縁層を廃止し、他の片面3と両側面4
および5とに絶縁層6を設けた片面絶縁箔状電線が最近
要望されている。
箔状導体の片面に絶縁層或は接着剤層を塗装する方法
としては、混成集積回路用の基板、プリント回路用の基
板等を製造するのに用いられているロールコーター法が
よく知られているが、ロールコーター法は巾が100cmと
いった広巾の導体箔に絶縁層或は接着剤層を塗装するの
に適したものであり、コアレスフラットモータのコイル
構成用の箔状絶縁電線のように箔状導体の断面寸法が、
通常、巾が200〜1500μm、厚さが30〜700μmという程
度の小サイズであり、しかも長尺である箔状導体の片面
にロールコーターにより絶縁層を塗装することは全く非
実際的であるだけでなく、箔状導体の両側面への塗装が
保障されず、上記したような小サイズの片面絶縁箔状電
線の製造にはロールコーター法は利用できない。
としては、混成集積回路用の基板、プリント回路用の基
板等を製造するのに用いられているロールコーター法が
よく知られているが、ロールコーター法は巾が100cmと
いった広巾の導体箔に絶縁層或は接着剤層を塗装するの
に適したものであり、コアレスフラットモータのコイル
構成用の箔状絶縁電線のように箔状導体の断面寸法が、
通常、巾が200〜1500μm、厚さが30〜700μmという程
度の小サイズであり、しかも長尺である箔状導体の片面
にロールコーターにより絶縁層を塗装することは全く非
実際的であるだけでなく、箔状導体の両側面への塗装が
保障されず、上記したような小サイズの片面絶縁箔状電
線の製造にはロールコーター法は利用できない。
また、箔状導体の片面にマスキングテープを貼着した
後、静電塗装法によりマスキングテープを貼着していな
い片面と両側面とに絶縁塗料もしくは絶縁樹脂組成物の
粉末を塗装し、予備焼付した後にマスキングテープを剥
離、除去し、次いで本焼付を行うという方法の提案があ
るが、上記のような小サイズの箔状導体の片面にマスキ
ングテープを貼着することは必ずしも容易なものではな
く、またマスキングテープの貼着、除去のための手数、
マスキングテープの資材ロスを考えれば、到底経済的、
効率的な製造法とは言えない。
後、静電塗装法によりマスキングテープを貼着していな
い片面と両側面とに絶縁塗料もしくは絶縁樹脂組成物の
粉末を塗装し、予備焼付した後にマスキングテープを剥
離、除去し、次いで本焼付を行うという方法の提案があ
るが、上記のような小サイズの箔状導体の片面にマスキ
ングテープを貼着することは必ずしも容易なものではな
く、またマスキングテープの貼着、除去のための手数、
マスキングテープの資材ロスを考えれば、到底経済的、
効率的な製造法とは言えない。
コアレスフラットモータのコイルに用いるような小サ
イズ、長尺の片面絶縁箔状電線を経済的、効率的に製造
する方法は、これ迄知られていなかったのである。
イズ、長尺の片面絶縁箔状電線を経済的、効率的に製造
する方法は、これ迄知られていなかったのである。
更に、このような片面絶縁箔状電線を製造するに当
り、箔状導体二条を合体し、合体した箔状導体二条に同
時に絶縁層の塗装、焼付けを行ない、箔状導体一条づつ
に絶縁層の塗装、焼付けを行う場合に較べて生産性を倍
増させるということも、従来全く提案されていない。
り、箔状導体二条を合体し、合体した箔状導体二条に同
時に絶縁層の塗装、焼付けを行ない、箔状導体一条づつ
に絶縁層の塗装、焼付けを行う場合に較べて生産性を倍
増させるということも、従来全く提案されていない。
本発明の目的は、上記の点に鑑み、小サイズ長尺の片
面絶縁箔状電線を経済的、効率的に製造することを可能
とする製造方法を提案することにあり、本発明の他の目
的は、夫々別個の絶縁電線を構成する箔状導体二条を合
体して、二条同時に絶縁層の塗装、焼付けを行う、生産
性の高い片面絶縁箔状電線の製造法を提案することにあ
る。
面絶縁箔状電線を経済的、効率的に製造することを可能
とする製造方法を提案することにあり、本発明の他の目
的は、夫々別個の絶縁電線を構成する箔状導体二条を合
体して、二条同時に絶縁層の塗装、焼付けを行う、生産
性の高い片面絶縁箔状電線の製造法を提案することにあ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明は、二条の箔状導体を液体を介在させて重ね合
わせ、重ね合わされた二条の箔状導体の外周全体に絶縁
樹脂組成物を塗装し、焼付け硬化させ、焼付け硬化中も
しくは焼付け硬化後に、二条の片面絶縁箔状電線に分離
する製造方法であって、二条の箔状導体の重ね合わせ面
に介在させられる液体が、絶縁樹脂組成物の良溶媒であ
る液体、絶縁樹脂組成物を溶解もしくは分散させている
溶媒、分散媒と同じ液体、該溶媒、分散媒と親和性のあ
る液体および絶縁樹脂組成物を溶解している液体の中の
一種又はそれ以上の種類の液体であることを特徴とする
ものである。
わせ、重ね合わされた二条の箔状導体の外周全体に絶縁
樹脂組成物を塗装し、焼付け硬化させ、焼付け硬化中も
しくは焼付け硬化後に、二条の片面絶縁箔状電線に分離
する製造方法であって、二条の箔状導体の重ね合わせ面
に介在させられる液体が、絶縁樹脂組成物の良溶媒であ
る液体、絶縁樹脂組成物を溶解もしくは分散させている
溶媒、分散媒と同じ液体、該溶媒、分散媒と親和性のあ
る液体および絶縁樹脂組成物を溶解している液体の中の
一種又はそれ以上の種類の液体であることを特徴とする
ものである。
本発明は、第1図に示すように箔状導体1の片面3と
両側面4および5だけに絶縁層6を有する片面絶縁箔状
電線を製造する方法に関するものであるが、本発明によ
り製造された片面絶縁箔状電線は第2図(イ)および
(ロ)に断面図を示すように、コイル製造の便のため
に、片面絶縁箔状電線の全周面に、或は絶縁層6の外周
に自己融着性層7を設けることが多い。従って本発明の
製造方法の対象とする片面絶縁電線はこのような自己融
着性層を備えた電線をも含むものである。
両側面4および5だけに絶縁層6を有する片面絶縁箔状
電線を製造する方法に関するものであるが、本発明によ
り製造された片面絶縁箔状電線は第2図(イ)および
(ロ)に断面図を示すように、コイル製造の便のため
に、片面絶縁箔状電線の全周面に、或は絶縁層6の外周
に自己融着性層7を設けることが多い。従って本発明の
製造方法の対象とする片面絶縁電線はこのような自己融
着性層を備えた電線をも含むものである。
本発明における箔状導体は、通常、銅或はアルミより
成り、またその断面寸法は巾が200〜1500μm、厚さが3
0〜700μm程度、厚さと巾との比は1対2〜1対30程度
が通常であるが、本発明における箔状導体は勿論これら
に限られるものではない。箔状導体の中には箔状導体と
言うよりも寧ろ平角導体と呼ぶ方が適当な寸法のものも
含まれているが、本明細書ではこれをも含めて箔状導体
と称している。また箔状導体の製造は任意の適切な方法
により行えばよいが、後記実施例に示すように丸銅線、
丸アルミニウム線を圧延ロールにより圧延して箔状導体
を得る方法は、上記のような小サイズの箔状導体を製造
するのに簡便かつ有利な製造方法である。また、この製
造法による場合には、実施例に示すように、圧延による
箔状導体の製造工程と、本発明による箔状導体の重ね合
わせ塗装、焼付けおよび分離の工程とを連続した工程と
することができる。
成り、またその断面寸法は巾が200〜1500μm、厚さが3
0〜700μm程度、厚さと巾との比は1対2〜1対30程度
が通常であるが、本発明における箔状導体は勿論これら
に限られるものではない。箔状導体の中には箔状導体と
言うよりも寧ろ平角導体と呼ぶ方が適当な寸法のものも
含まれているが、本明細書ではこれをも含めて箔状導体
と称している。また箔状導体の製造は任意の適切な方法
により行えばよいが、後記実施例に示すように丸銅線、
丸アルミニウム線を圧延ロールにより圧延して箔状導体
を得る方法は、上記のような小サイズの箔状導体を製造
するのに簡便かつ有利な製造方法である。また、この製
造法による場合には、実施例に示すように、圧延による
箔状導体の製造工程と、本発明による箔状導体の重ね合
わせ塗装、焼付けおよび分離の工程とを連続した工程と
することができる。
上記の箔状導体に塗装され、焼付け硬化されて絶縁層
を形成する絶縁樹脂組成物は、一種又はそれ以上の絶縁
性樹脂単独、或はこれに一種又はそれ以上の添加樹脂、
硬化剤、架橋剤、硬化、架橋促進剤等を混合したもので
あり、液状の反応性モノマーの一種又はそれ以上に架橋
剤、架橋促進剤、添加樹脂等を混合したものも含まれ
る。これらの樹脂組成物は、液状のものはそのまま或は
粘度が高い場合には適当な溶剤に溶解或は分散させて用
い、また固体状のものは適当な溶剤に溶解或は分散させ
て用いる。塗装が静電塗装法により行われるときは、粉
末状のものを用いることもできる。
を形成する絶縁樹脂組成物は、一種又はそれ以上の絶縁
性樹脂単独、或はこれに一種又はそれ以上の添加樹脂、
硬化剤、架橋剤、硬化、架橋促進剤等を混合したもので
あり、液状の反応性モノマーの一種又はそれ以上に架橋
剤、架橋促進剤、添加樹脂等を混合したものも含まれ
る。これらの樹脂組成物は、液状のものはそのまま或は
粘度が高い場合には適当な溶剤に溶解或は分散させて用
い、また固体状のものは適当な溶剤に溶解或は分散させ
て用いる。塗装が静電塗装法により行われるときは、粉
末状のものを用いることもできる。
このような絶縁樹脂組成物の主成分となる樹脂として
は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルホルマー
ル樹脂、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリ
イミド、エポキシ樹脂、エポキシ−アクリル樹脂等が好
ましい例であるが、これらに限られるものではない。
は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルホルマー
ル樹脂、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリ
イミド、エポキシ樹脂、エポキシ−アクリル樹脂等が好
ましい例であるが、これらに限られるものではない。
本発明の製造方法は、二条の箔状導体を上記した液体
の一種又はそれ以上の液体を介在させて重ね合わせ、重
ね合わされた状態を保ったままで重ね合わされた二条の
箔状導体の外周全体に絶縁樹脂組成物を塗装し、焼付け
硬化させ、焼付け硬化中もしくは焼付け硬化後に、二条
の片面絶縁箔状電線に分離することを特徴とするもの
で、以下に本発明の製造方法の詳細を、二つの方法につ
き工程説明図に基づき説明する。その第一の方法は、箔
状導体の重ね合わせ面間に水を介在させ、絶縁樹脂組成
物の水分散性塗料或は水溶性塗料を電着塗装する方法で
あり、その第二の方法は箔状導体の重ね合わせ面間に溶
剤を介在させ、絶縁樹脂組成物を溶剤に溶解した絶縁塗
料或は液状の絶縁樹脂組成物より成る絶縁塗料をデイッ
プコート方式で塗装する方法である。
の一種又はそれ以上の液体を介在させて重ね合わせ、重
ね合わされた状態を保ったままで重ね合わされた二条の
箔状導体の外周全体に絶縁樹脂組成物を塗装し、焼付け
硬化させ、焼付け硬化中もしくは焼付け硬化後に、二条
の片面絶縁箔状電線に分離することを特徴とするもの
で、以下に本発明の製造方法の詳細を、二つの方法につ
き工程説明図に基づき説明する。その第一の方法は、箔
状導体の重ね合わせ面間に水を介在させ、絶縁樹脂組成
物の水分散性塗料或は水溶性塗料を電着塗装する方法で
あり、その第二の方法は箔状導体の重ね合わせ面間に溶
剤を介在させ、絶縁樹脂組成物を溶剤に溶解した絶縁塗
料或は液状の絶縁樹脂組成物より成る絶縁塗料をデイッ
プコート方式で塗装する方法である。
第3図は上記の第一の方法の工程説明図である。送出
しリール10および10′から送出された二条の箔状導体1
および1′は必要に応じ、アニール装置11によりアニー
ルされた後、前処理槽12に入り、前処理槽中の酸或はア
ルカリにより箔状導体の表面洗浄を行い、箔状導体表面
の油脂、汚れおよび酸化物を除去する。次いで水洗槽13
において水洗される。水洗され、水が付着した状態の二
条の箔状導体をそれらの広巾面が互に重ね合わされるよ
うにガイドリール14で導いてやれば、二条の箔状導体は
重ね合わせ面間に介在する水の膜の表面張力により密着
する。この場合、ロール(図示せず)で軽く両箔状導体
を押さえ、両導体の密着を助けるようにしてもよい。ま
た、重ね合わされ、合体された二条の箔状導体が、その
進行中にガイドリール、ガイドシーブ等により屈曲され
る場合には、その屈曲により受ける応力が二条の箔状導
体の密着維持を助けるように働く。
しリール10および10′から送出された二条の箔状導体1
および1′は必要に応じ、アニール装置11によりアニー
ルされた後、前処理槽12に入り、前処理槽中の酸或はア
ルカリにより箔状導体の表面洗浄を行い、箔状導体表面
の油脂、汚れおよび酸化物を除去する。次いで水洗槽13
において水洗される。水洗され、水が付着した状態の二
条の箔状導体をそれらの広巾面が互に重ね合わされるよ
うにガイドリール14で導いてやれば、二条の箔状導体は
重ね合わせ面間に介在する水の膜の表面張力により密着
する。この場合、ロール(図示せず)で軽く両箔状導体
を押さえ、両導体の密着を助けるようにしてもよい。ま
た、重ね合わされ、合体された二条の箔状導体が、その
進行中にガイドリール、ガイドシーブ等により屈曲され
る場合には、その屈曲により受ける応力が二条の箔状導
体の密着維持を助けるように働く。
重ね合わされた二条の箔状導体は、密着重ね合わされ
た状態を維持したまま電着槽15に入り、重ね合わされた
箔状導体の外周全体に絶縁樹脂組成物が電着塗装され
る。すなわち直流電源150の正極側に接続された、重ね
合わされた箔状導体が、水溶解型或は水分散型の電着塗
料152を満たした電着槽中の円筒状の負電極151の中を通
過する間に電位差により電着塗料中の絶縁樹脂組成物が
重ね合わされた箔状導体外周に均一に析出する。このよ
うに電着塗装により絶縁層を形成するのに好ましい電着
塗料の例としては、ポリアクリル樹脂、ポリイミド樹
脂、ポリウレタン樹脂等を水に溶解したポリマー濃度が
5〜50%の水溶性塗料、粒径0.01μm〜1μmのポリア
クリル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−アクリル樹脂、
ポリエステル樹脂、を界面活性剤と共に水中に分散させ
た、ポリマー濃度5〜50%の水分散型塗料があるが、勿
論これらに限られるものではない。導体と電着槽内の負
極との間の課電電圧は、通常、水溶解型塗料の場合は10
〜200V、水分散型塗料の場合は1〜50Vである。
た状態を維持したまま電着槽15に入り、重ね合わされた
箔状導体の外周全体に絶縁樹脂組成物が電着塗装され
る。すなわち直流電源150の正極側に接続された、重ね
合わされた箔状導体が、水溶解型或は水分散型の電着塗
料152を満たした電着槽中の円筒状の負電極151の中を通
過する間に電位差により電着塗料中の絶縁樹脂組成物が
重ね合わされた箔状導体外周に均一に析出する。このよ
うに電着塗装により絶縁層を形成するのに好ましい電着
塗料の例としては、ポリアクリル樹脂、ポリイミド樹
脂、ポリウレタン樹脂等を水に溶解したポリマー濃度が
5〜50%の水溶性塗料、粒径0.01μm〜1μmのポリア
クリル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−アクリル樹脂、
ポリエステル樹脂、を界面活性剤と共に水中に分散させ
た、ポリマー濃度5〜50%の水分散型塗料があるが、勿
論これらに限られるものではない。導体と電着槽内の負
極との間の課電電圧は、通常、水溶解型塗料の場合は10
〜200V、水分散型塗料の場合は1〜50Vである。
このようにして重ね合わされた箔状導体の外周全体に
絶縁樹脂組成物の電着塗膜が形成されると、重ね合わさ
れた箔状導体の密着はこの電着塗膜により維持されるよ
うになる。
絶縁樹脂組成物の電着塗膜が形成されると、重ね合わさ
れた箔状導体の密着はこの電着塗膜により維持されるよ
うになる。
絶縁樹脂組成物を電着塗装された合体箔状導体は、乾
燥し、焼付け硬化されるが、水分散型塗料を用いて電着
塗装した場合には、その前に、水を溶解し、電着された
絶縁樹脂組成物を膨潤もしくは溶解させる有機溶剤、或
はその蒸気、もしくはそのスプレー噴霧を満たした後処
理槽16を通過させることが望ましい。有機溶剤層中を通
過している間に、合体箔状導体上に析出した絶縁樹脂組
成物層中に含まれた水分が有機溶媒中に溶出され、同時
に絶縁樹脂組成物層中に有機溶剤が浸透する。浸透した
有機溶剤は次の乾燥工程で蒸発除去される迄、樹脂を膨
潤、溶解し、よりピンホールの少ない均一な皮膜が形成
される。このような有機溶剤としては、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、Nメチル2ピロリド
ン、ジメチルスルホキシド等が好ましい例であることは
既によく知られている通りである。
燥し、焼付け硬化されるが、水分散型塗料を用いて電着
塗装した場合には、その前に、水を溶解し、電着された
絶縁樹脂組成物を膨潤もしくは溶解させる有機溶剤、或
はその蒸気、もしくはそのスプレー噴霧を満たした後処
理槽16を通過させることが望ましい。有機溶剤層中を通
過している間に、合体箔状導体上に析出した絶縁樹脂組
成物層中に含まれた水分が有機溶媒中に溶出され、同時
に絶縁樹脂組成物層中に有機溶剤が浸透する。浸透した
有機溶剤は次の乾燥工程で蒸発除去される迄、樹脂を膨
潤、溶解し、よりピンホールの少ない均一な皮膜が形成
される。このような有機溶剤としては、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミド、Nメチル2ピロリド
ン、ジメチルスルホキシド等が好ましい例であることは
既によく知られている通りである。
電着塗装された合体箔状導体は乾燥装置17に入り、電
着された絶縁樹脂組成物中の水分および上記の有機溶剤
並びに二条の箔状導体の重ね合わせ面に介在する水分が
除去される。箔状導体の重ね合わせ面に介在させられて
いた水には、上記の電着塗装および有機溶剤による処理
の工程中に、有機溶剤による処理を直流電圧課電下で行
う場合には特に、水を箔状導体の重ね合わせ面から抽出
する力が働くが、重ね合わせ面間になお水分が残存して
いても、この乾燥工程において充分に除去される。乾燥
温度は100℃〜400℃が適当である。焼付け硬化に先立っ
て充分な乾燥を行うことは、焼付け硬化時に電着された
絶縁樹脂組成物層の中の水分、有機溶剤或は箔状導体の
重ね合わせ面間の水分が急速に蒸発することによって生
じる発泡を防止するために望ましいことである。
着された絶縁樹脂組成物中の水分および上記の有機溶剤
並びに二条の箔状導体の重ね合わせ面に介在する水分が
除去される。箔状導体の重ね合わせ面に介在させられて
いた水には、上記の電着塗装および有機溶剤による処理
の工程中に、有機溶剤による処理を直流電圧課電下で行
う場合には特に、水を箔状導体の重ね合わせ面から抽出
する力が働くが、重ね合わせ面間になお水分が残存して
いても、この乾燥工程において充分に除去される。乾燥
温度は100℃〜400℃が適当である。焼付け硬化に先立っ
て充分な乾燥を行うことは、焼付け硬化時に電着された
絶縁樹脂組成物層の中の水分、有機溶剤或は箔状導体の
重ね合わせ面間の水分が急速に蒸発することによって生
じる発泡を防止するために望ましいことである。
次いで、絶縁樹脂組成物の焼付け硬化のために、焼付
け硬化炉18に入る。図では、硬化炉18のみを示している
が、焼付硬化は一次キュア(半硬化)炉と二次キュア
(完全硬化)炉と二段階に分けて行うことが多い。ま
た、一次キュアを行う場合には、上述の乾燥装置17を廃
止し、一次キュア装置において乾燥と一次キュアの双方
を行うことが多い。特に一次キュア装置が竪型炉である
場合には、下から空気が入るため炉の下部の温度が低く
なるので、炉の温度が低い下部領域で乾燥し、高温の上
部領域で一次キュアを行うようにすると有利である。一
次キュアの温度は、通常、100℃〜400℃である。二次キ
ュアの温度は、通常、250℃〜600℃である。
け硬化炉18に入る。図では、硬化炉18のみを示している
が、焼付硬化は一次キュア(半硬化)炉と二次キュア
(完全硬化)炉と二段階に分けて行うことが多い。ま
た、一次キュアを行う場合には、上述の乾燥装置17を廃
止し、一次キュア装置において乾燥と一次キュアの双方
を行うことが多い。特に一次キュア装置が竪型炉である
場合には、下から空気が入るため炉の下部の温度が低く
なるので、炉の温度が低い下部領域で乾燥し、高温の上
部領域で一次キュアを行うようにすると有利である。一
次キュアの温度は、通常、100℃〜400℃である。二次キ
ュアの温度は、通常、250℃〜600℃である。
絶縁樹脂組成物が塗装され、焼付硬化された合体箔状
導体は、次いで、分離装置19により二条の片側絶縁箔状
電線に分離され、夫々巻取りリール20および20′に巻取
られる。分離は、例えば、第4図に示す様に、分離刃も
しくは分離くさび190と、分離ガイドリールないしは分
離引取車191および191′とを用いて比較的容易に行うこ
とができる。すなわち分離面(二条の箔状導体の重ね合
わせ面)に分離刃もしくは分離くさび190を当てて二条
の片側絶縁箔状電線に切り離すと同時に、切り離された
電線を共軸同期回転する分離ガイドリールもしくは分離
引取車191、191′により分離面を引き離すように導くこ
とにより、容易にかつ連続的に分離することができる。
この分離は必ずしも絶縁樹脂組成物の硬化完了後に行う
必要はなく、一次キュア終了後二次キュア前に行っても
よい。二次キュア前に分離する方が樹脂組成物絶縁層が
柔らかいので分離がより容易である一方、既に樹脂組成
物の絶縁層は既に一次キュアにより半硬化の状態にある
ので、分離後別々に硬化するのに何ら支障はない。また
分離した各々の片面絶縁箔状電線に別々に自己融着性層
を形成する塗料を塗装し、焼付け硬化して全周面に自己
融着性層を設けることもできる。
導体は、次いで、分離装置19により二条の片側絶縁箔状
電線に分離され、夫々巻取りリール20および20′に巻取
られる。分離は、例えば、第4図に示す様に、分離刃も
しくは分離くさび190と、分離ガイドリールないしは分
離引取車191および191′とを用いて比較的容易に行うこ
とができる。すなわち分離面(二条の箔状導体の重ね合
わせ面)に分離刃もしくは分離くさび190を当てて二条
の片側絶縁箔状電線に切り離すと同時に、切り離された
電線を共軸同期回転する分離ガイドリールもしくは分離
引取車191、191′により分離面を引き離すように導くこ
とにより、容易にかつ連続的に分離することができる。
この分離は必ずしも絶縁樹脂組成物の硬化完了後に行う
必要はなく、一次キュア終了後二次キュア前に行っても
よい。二次キュア前に分離する方が樹脂組成物絶縁層が
柔らかいので分離がより容易である一方、既に樹脂組成
物の絶縁層は既に一次キュアにより半硬化の状態にある
ので、分離後別々に硬化するのに何ら支障はない。また
分離した各々の片面絶縁箔状電線に別々に自己融着性層
を形成する塗料を塗装し、焼付け硬化して全周面に自己
融着性層を設けることもできる。
なお、以上説明した第一の方法のように絶縁樹脂組成
物の塗装が電着法により行われる場合には、電界集中に
よりコーナー部(第1図の片面3と側面4或は5との間
のコーナー部)の被覆が厚くなるという利点がある。
物の塗装が電着法により行われる場合には、電界集中に
よりコーナー部(第1図の片面3と側面4或は5との間
のコーナー部)の被覆が厚くなるという利点がある。
次に、第5図に基づき前記した第2の方法すなわち箔
状導体の重ね合わせ面間に溶剤を介在させ、絶縁樹脂組
成物を溶剤に溶解した絶縁塗料或は液状の絶縁樹脂組成
物より成る絶縁塗料を塗装する方法について詳細説明す
る。第5図において送出しリール10および10′から送出
された二条の箔状導体1および1′はアニール装置11に
よりアニールされた後、溶剤付与装置21により溶剤を付
着され、上記した第一法の場合と同様に箔状導体の重ね
合せ面に溶剤を介在させて重ね合わされるようにガイド
リール14により導かれる。介在する溶剤はその表面張力
により二条の箔状導体の密着を維持する。箔状導体の重
ね合わせ面に介在させられる溶剤は、次工程の絶縁樹脂
組成物の塗装に用いる絶縁塗料の成分として用いられて
いる溶剤自身であってもよく、或は該溶剤と親和性のあ
る他の溶剤であってもよい。絶縁塗料が液状の絶縁樹脂
組成物より成り、溶剤を含んでいない場合には、該絶縁
樹脂組成物の良溶媒である溶剤を用いることができる。
本明細書において或る溶剤もしくは溶媒と親和性のある
溶剤もしくは液体と称するのは、或る溶剤もしくは溶剤
に10重量%以上溶解するような溶剤を意味する。同じく
絶縁樹脂組成物の良溶媒である溶剤もしくは液体と称す
るのは、絶縁樹脂組成物を10重量%以上溶解することが
できる溶剤を意味する。例えば、ポリエステル樹脂、ポ
リビニルホルマール樹脂、エポキシ樹脂等に対してクレ
ゾールは良溶媒であり、溶剤クレゾールに対して溶剤ナ
フサ、キシレン等は親和性のある溶剤である。
状導体の重ね合わせ面間に溶剤を介在させ、絶縁樹脂組
成物を溶剤に溶解した絶縁塗料或は液状の絶縁樹脂組成
物より成る絶縁塗料を塗装する方法について詳細説明す
る。第5図において送出しリール10および10′から送出
された二条の箔状導体1および1′はアニール装置11に
よりアニールされた後、溶剤付与装置21により溶剤を付
着され、上記した第一法の場合と同様に箔状導体の重ね
合せ面に溶剤を介在させて重ね合わされるようにガイド
リール14により導かれる。介在する溶剤はその表面張力
により二条の箔状導体の密着を維持する。箔状導体の重
ね合わせ面に介在させられる溶剤は、次工程の絶縁樹脂
組成物の塗装に用いる絶縁塗料の成分として用いられて
いる溶剤自身であってもよく、或は該溶剤と親和性のあ
る他の溶剤であってもよい。絶縁塗料が液状の絶縁樹脂
組成物より成り、溶剤を含んでいない場合には、該絶縁
樹脂組成物の良溶媒である溶剤を用いることができる。
本明細書において或る溶剤もしくは溶媒と親和性のある
溶剤もしくは液体と称するのは、或る溶剤もしくは溶剤
に10重量%以上溶解するような溶剤を意味する。同じく
絶縁樹脂組成物の良溶媒である溶剤もしくは液体と称す
るのは、絶縁樹脂組成物を10重量%以上溶解することが
できる溶剤を意味する。例えば、ポリエステル樹脂、ポ
リビニルホルマール樹脂、エポキシ樹脂等に対してクレ
ゾールは良溶媒であり、溶剤クレゾールに対して溶剤ナ
フサ、キシレン等は親和性のある溶剤である。
上記のような溶剤は、次工程における絶縁樹脂組成物
の塗装、焼付け硬化を阻害することはないし、また形成
された樹脂組成物絶縁層の特性を劣化させることもない
ので、重ね合わされた箔状導体同志を結着させる介在液
体として有利に使用できる。かかる溶剤の具体例として
は、クレゾール、ナフサ、トルエン、キシレン、Nメチ
ル2ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミドおよびセルゾルブ等があるが、塗装される絶縁
樹脂組成物の絶縁塗料との関係において上記の通り選択
使用される。
の塗装、焼付け硬化を阻害することはないし、また形成
された樹脂組成物絶縁層の特性を劣化させることもない
ので、重ね合わされた箔状導体同志を結着させる介在液
体として有利に使用できる。かかる溶剤の具体例として
は、クレゾール、ナフサ、トルエン、キシレン、Nメチ
ル2ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミドおよびセルゾルブ等があるが、塗装される絶縁
樹脂組成物の絶縁塗料との関係において上記の通り選択
使用される。
また、今説明している第二の方法の変形として、箔状
導体間に介在させる液体に、次工程で塗装され、焼付け
硬化される絶縁樹脂組成物の絶縁塗料の濃度を稀釈した
絶縁塗料を用いることもできる。この場合には絶縁塗料
中に含有されている絶縁樹脂組成物が粘着剤として機能
し、箔状導体の重ね合わせ、密着をより良く維持する。
ただ、この場合は焼付け硬化後に箔状導体の重ね合わせ
面である非絶縁面に薄い皮膜が形成されるが、このよう
な薄い皮膜の存在は、導体占積率の向上を目的として片
側絶縁箔状電線とする場合には許容できるものである。
導体間に介在させる液体に、次工程で塗装され、焼付け
硬化される絶縁樹脂組成物の絶縁塗料の濃度を稀釈した
絶縁塗料を用いることもできる。この場合には絶縁塗料
中に含有されている絶縁樹脂組成物が粘着剤として機能
し、箔状導体の重ね合わせ、密着をより良く維持する。
ただ、この場合は焼付け硬化後に箔状導体の重ね合わせ
面である非絶縁面に薄い皮膜が形成されるが、このよう
な薄い皮膜の存在は、導体占積率の向上を目的として片
側絶縁箔状電線とする場合には許容できるものである。
重ね合わせ面に上記のような溶剤もしくは液体を介在
させて重ね合わされた二条の箔状導体は、重ね合わせ状
態を維持したまま次の工程の絶縁樹脂組成物の塗装、焼
付け硬化装置22に入る。塗装、焼付け硬化工程は通常の
エナメル焼付線の塗装、焼付け工程と本質的に同じであ
る。絶縁塗料バス220を通過し絶縁塗料が全周にコート
された合体箔状導体は、絞り221により過剰な絶縁塗料
を除去し、焼付炉222に入り、焼付け硬化される。この
ような塗装、焼付けの操作が数回繰り返されて所定の厚
さの絶縁層が得られる。
させて重ね合わされた二条の箔状導体は、重ね合わせ状
態を維持したまま次の工程の絶縁樹脂組成物の塗装、焼
付け硬化装置22に入る。塗装、焼付け硬化工程は通常の
エナメル焼付線の塗装、焼付け工程と本質的に同じであ
る。絶縁塗料バス220を通過し絶縁塗料が全周にコート
された合体箔状導体は、絞り221により過剰な絶縁塗料
を除去し、焼付炉222に入り、焼付け硬化される。この
ような塗装、焼付けの操作が数回繰り返されて所定の厚
さの絶縁層が得られる。
箔状導体間に介在された溶剤は、塗装された絶縁塗料
中に溶解される、或は浸透して抽出され、また焼付時の
初期に蒸発させられて消失する一方、塗装された絶縁塗
料の被覆が箔状導体の重ね合わせ、密着を維持するよう
になる。
中に溶解される、或は浸透して抽出され、また焼付時の
初期に蒸発させられて消失する一方、塗装された絶縁塗
料の被覆が箔状導体の重ね合わせ、密着を維持するよう
になる。
絶縁樹脂組成物が塗装、焼付け硬化された後、前記し
た第一法の場合と同じくして二条の片側絶縁箔状電線に
分離される。
た第一法の場合と同じくして二条の片側絶縁箔状電線に
分離される。
以上詳説した第一法、第二法およびその変形のほか
に、本発明においては絶縁樹脂組成物の塗料或は粉末を
静電塗装法により塗装することもできる。絶縁樹脂組成
物の粉末を静電塗装する場合には箔状導体間に介在させ
る液体としては、該絶縁樹脂組成物の良溶媒である溶剤
を用いる。
に、本発明においては絶縁樹脂組成物の塗料或は粉末を
静電塗装法により塗装することもできる。絶縁樹脂組成
物の粉末を静電塗装する場合には箔状導体間に介在させ
る液体としては、該絶縁樹脂組成物の良溶媒である溶剤
を用いる。
(実施例) (実施例1) 0.15mm径の丸銅線を圧延ロールにより圧延し、厚さ30
μm、巾590μmの箔状導体を得た。送出し装置により
この箔状導体の二条を平行させて送出し、5%濃度の常
温の硫酸を満たした前処理槽を通過させて前処理を行
い、次いで水洗し、水が付着した状態のままで二条の箔
状導体を重ね合わせた。この重ね合わされた箔状導体を
重ね合わせ状態を維持したまま、エポキシ−アクリル水
分散塗料(菱電化成株式会社のV551−20)の10%濃度の
塗料を満たした電着槽の中に導入し、重ね合わされた箔
状導体の外周全面にエポキシ−アクリル樹脂を均一に析
出させた。電極槽の負極電極長は30cmで、直流電源の正
極に接続された箔状導体と電着槽の電極との間に課電し
た直流電圧は5Vであった。重ね合わされた箔状導体の移
動線速は20m/分であった。次に100℃のジメチルフオル
ムアミドのスプレー噴霧中を通して後処理を行った後、
加熱長4mの竪型炉内を下方から上方へ通し、乾燥および
一次キュアを行った。一次キュア炉の最高温度部分の温
度は220℃であった。次にフェノキシ樹脂をクレゾール
に溶解した濃度20%のフェノキシ樹脂塗料を満たした自
己融着性層塗料バスを通し、フェルトで絞った後、加熱
長4mの竪形炉を通し二次キュアを行った。二次キュア炉
の温度は350℃であった。次に第4図に示したような分
離装置により二条の片側絶縁箔状電線に分離し、巻取装
置に巻取った。
μm、巾590μmの箔状導体を得た。送出し装置により
この箔状導体の二条を平行させて送出し、5%濃度の常
温の硫酸を満たした前処理槽を通過させて前処理を行
い、次いで水洗し、水が付着した状態のままで二条の箔
状導体を重ね合わせた。この重ね合わされた箔状導体を
重ね合わせ状態を維持したまま、エポキシ−アクリル水
分散塗料(菱電化成株式会社のV551−20)の10%濃度の
塗料を満たした電着槽の中に導入し、重ね合わされた箔
状導体の外周全面にエポキシ−アクリル樹脂を均一に析
出させた。電極槽の負極電極長は30cmで、直流電源の正
極に接続された箔状導体と電着槽の電極との間に課電し
た直流電圧は5Vであった。重ね合わされた箔状導体の移
動線速は20m/分であった。次に100℃のジメチルフオル
ムアミドのスプレー噴霧中を通して後処理を行った後、
加熱長4mの竪型炉内を下方から上方へ通し、乾燥および
一次キュアを行った。一次キュア炉の最高温度部分の温
度は220℃であった。次にフェノキシ樹脂をクレゾール
に溶解した濃度20%のフェノキシ樹脂塗料を満たした自
己融着性層塗料バスを通し、フェルトで絞った後、加熱
長4mの竪形炉を通し二次キュアを行った。二次キュア炉
の温度は350℃であった。次に第4図に示したような分
離装置により二条の片側絶縁箔状電線に分離し、巻取装
置に巻取った。
以上の加工は、圧延を除き、全て連続工程で行った。
得られた片側絶縁箔状電線は、絶縁層の厚さが10μm、
自己融着性層の厚さが4μmで、絶縁層に発泡のない外
観良好なものであった。
得られた片側絶縁箔状電線は、絶縁層の厚さが10μm、
自己融着性層の厚さが4μmで、絶縁層に発泡のない外
観良好なものであった。
(実施例2) 0.4mm径の丸銅線を圧延ロールにより圧延し、厚さ0.1
5mm、巾0.84mmの箔状導体を得た。送出し装置によりこ
の箔状導体の二条を平行させて送出し、400℃、加熱長4
mのアニール装置を15m/分の線速で通して焼鈍したの
ち、溶剤塗布装置を通してクレゾールを塗布し、二条の
箔状導体をその重ね合わせ面間にクレゾールを介在させ
るようにして重ね合わせた。次いで、この重ね合わされ
た箔状導体を重ね合わされた状態のままで、ポリエステ
ル樹脂(日東電工株式会社のNSPE−2001)をクレゾール
中に40%濃度に溶解した絶縁塗料を満たした塗料バス中
を下方から上方へ通し、フェルト絞りで絞り、400℃、
加熱長4mの竪型焼付炉を通して焼付を行った。この塗
装、焼付けを5回繰り返した。次に分離装置により二条
の片側絶縁箔状電線に分離し、巻取装置に巻取った。得
られた片側絶縁箔状電線は絶縁層に発泡のない外観良好
なもので、絶縁層の厚さは20μmであった。
5mm、巾0.84mmの箔状導体を得た。送出し装置によりこ
の箔状導体の二条を平行させて送出し、400℃、加熱長4
mのアニール装置を15m/分の線速で通して焼鈍したの
ち、溶剤塗布装置を通してクレゾールを塗布し、二条の
箔状導体をその重ね合わせ面間にクレゾールを介在させ
るようにして重ね合わせた。次いで、この重ね合わされ
た箔状導体を重ね合わされた状態のままで、ポリエステ
ル樹脂(日東電工株式会社のNSPE−2001)をクレゾール
中に40%濃度に溶解した絶縁塗料を満たした塗料バス中
を下方から上方へ通し、フェルト絞りで絞り、400℃、
加熱長4mの竪型焼付炉を通して焼付を行った。この塗
装、焼付けを5回繰り返した。次に分離装置により二条
の片側絶縁箔状電線に分離し、巻取装置に巻取った。得
られた片側絶縁箔状電線は絶縁層に発泡のない外観良好
なもので、絶縁層の厚さは20μmであった。
(実施例3) 箔状導体が0.4mm径のアルミニウム丸線を圧延ロール
で圧延して得た厚さ0.15mm、巾0.84mmの箔状導体であ
り、箔状導体のアニール温度が350℃であることと、二
条の箔状導体の間に介在させる溶剤をキシレンとし、塗
装する絶縁塗料がポリアミドイミドをNメチル2ピロリ
ドン中に濃度30%に溶解した情絶塗料である点以外は、
実施例2と全く同様にして厚さ20μmの絶縁層を有する
片側絶縁箔状電線を得た。本実施例においては更にポリ
アミド樹脂を溶剤クレゾール中に14%濃度に溶解した塗
料バス中を通し、350℃で焼付け、上記片側絶縁箔状電
線の全外周に厚さ6μmの自己融着性層を形成した。
で圧延して得た厚さ0.15mm、巾0.84mmの箔状導体であ
り、箔状導体のアニール温度が350℃であることと、二
条の箔状導体の間に介在させる溶剤をキシレンとし、塗
装する絶縁塗料がポリアミドイミドをNメチル2ピロリ
ドン中に濃度30%に溶解した情絶塗料である点以外は、
実施例2と全く同様にして厚さ20μmの絶縁層を有する
片側絶縁箔状電線を得た。本実施例においては更にポリ
アミド樹脂を溶剤クレゾール中に14%濃度に溶解した塗
料バス中を通し、350℃で焼付け、上記片側絶縁箔状電
線の全外周に厚さ6μmの自己融着性層を形成した。
(実施例4) 箔状導体が0.5mm径の丸銅線を圧延ロールで圧延して
得た厚さ0.2mm、巾0.98mmの箔状導体であることと、二
条の箔状導体の重ね合わせ面間に介在させる液体が実施
例2で用いたポリエステル樹脂絶縁塗料をクレゾールで
稀釈して濃度5%とした低濃度塗料である点以外は実施
例2と全く同様にして片側絶縁箔状電線を得た。得られ
た電線の絶縁層の厚さは20μmであり、箔状導体の重ね
合わせ面すなわち非絶縁面には厚さ約1μm程度の薄い
皮膜が残存した。
得た厚さ0.2mm、巾0.98mmの箔状導体であることと、二
条の箔状導体の重ね合わせ面間に介在させる液体が実施
例2で用いたポリエステル樹脂絶縁塗料をクレゾールで
稀釈して濃度5%とした低濃度塗料である点以外は実施
例2と全く同様にして片側絶縁箔状電線を得た。得られ
た電線の絶縁層の厚さは20μmであり、箔状導体の重ね
合わせ面すなわち非絶縁面には厚さ約1μm程度の薄い
皮膜が残存した。
(本発明の効果) 上記詳説した本発明の製造方法により、コアレスフラ
ットモーターのコイルに用いられるような巾が200〜150
0μm、厚さが30〜700μmという程度の小サイズの箔状
導体に第1図に示したような片側絶縁層を施す、経済
的、効率的な製造法が初めて確立できた。しかも、本発
明の製造方法によれば、二条の箔状導体を合体して絶縁
樹脂組成物の塗装、焼付け硬化を二条同時に行うので、
一条づつ絶縁樹脂組成物を塗装し、焼付ける場合に較べ
て生産性を倍増することができる。また、本発明におい
ては箔状導体の非絶縁面の塗装に対するマスキングを重
ね合わされた他の箔状導体により行い、特別なマスキン
グ材を必要とせず、二条の箔状導体の重ね合わせ、密着
の維持も、水溶剤等の安価な材料を少量使用するだけで
あり、その重ね合わせ面への付与および重ね合わせ面か
らの除去もマスキングテープの場合のような格別な手
数、工程を必要としない。従って本発明の製造方法は上
記の小サイズの箔状導体に限らず、より大サイズの箔状
導体の片側絶縁層の形成に対しても有利に適用できるも
のである。
ットモーターのコイルに用いられるような巾が200〜150
0μm、厚さが30〜700μmという程度の小サイズの箔状
導体に第1図に示したような片側絶縁層を施す、経済
的、効率的な製造法が初めて確立できた。しかも、本発
明の製造方法によれば、二条の箔状導体を合体して絶縁
樹脂組成物の塗装、焼付け硬化を二条同時に行うので、
一条づつ絶縁樹脂組成物を塗装し、焼付ける場合に較べ
て生産性を倍増することができる。また、本発明におい
ては箔状導体の非絶縁面の塗装に対するマスキングを重
ね合わされた他の箔状導体により行い、特別なマスキン
グ材を必要とせず、二条の箔状導体の重ね合わせ、密着
の維持も、水溶剤等の安価な材料を少量使用するだけで
あり、その重ね合わせ面への付与および重ね合わせ面か
らの除去もマスキングテープの場合のような格別な手
数、工程を必要としない。従って本発明の製造方法は上
記の小サイズの箔状導体に限らず、より大サイズの箔状
導体の片側絶縁層の形成に対しても有利に適用できるも
のである。
第1図は本発明の製造方法の対象である片側絶縁箔状電
線の断面図であり、第2図(イ)及び(ロ)は自己融着
性層を備えた片側絶縁箔状電線の断面図であり、第3図
は本発明の第一の方法を説明する工程説明図であり、第
4図は分離装置の説明図であり、第5図は本発明の第2
の方法を説明する工程説明図である。 (図面の符号) 1および1′:箔状導体、2および3:箔状導体の片面、
4および5:箔状導体の側面、6:絶縁層、7:自己融着性
層、10および10′:送出しリール、11:アニール装置、1
2:前処理槽、13:水洗槽、14:ガイドリール、15:電着
槽、150:直流電源、151:電極、16:後処理槽、17:乾燥装
置、18:焼付け硬化炉、19:分離装置、190:分離刃、191
および191′:分離ガイドリールもしくは分離引取車、2
0および20′:巻取りリール、21:溶剤付与装置、22:塗
装、焼付け装置、220:絶縁塗料バス、221:絞り、222:焼
付炉。
線の断面図であり、第2図(イ)及び(ロ)は自己融着
性層を備えた片側絶縁箔状電線の断面図であり、第3図
は本発明の第一の方法を説明する工程説明図であり、第
4図は分離装置の説明図であり、第5図は本発明の第2
の方法を説明する工程説明図である。 (図面の符号) 1および1′:箔状導体、2および3:箔状導体の片面、
4および5:箔状導体の側面、6:絶縁層、7:自己融着性
層、10および10′:送出しリール、11:アニール装置、1
2:前処理槽、13:水洗槽、14:ガイドリール、15:電着
槽、150:直流電源、151:電極、16:後処理槽、17:乾燥装
置、18:焼付け硬化炉、19:分離装置、190:分離刃、191
および191′:分離ガイドリールもしくは分離引取車、2
0および20′:巻取りリール、21:溶剤付与装置、22:塗
装、焼付け装置、220:絶縁塗料バス、221:絞り、222:焼
付炉。
Claims (5)
- 【請求項1】二条の箔状導体を液体を介在させて重ね合
わせ、重ね合わされた二条の箔状導体の外周全体に絶縁
樹脂組成物を塗装し、焼付け硬化させ、焼付け硬化中も
しくは焼付け硬化後に、二条の片面絶縁箔状電線に分離
する製造方法であって、二条の箔状導体の重ね合わせ面
に介在させられる液体が、絶縁樹脂組成物の良溶媒であ
る液体、絶縁樹脂組成物を溶解もしくは分散させている
溶媒、分散媒と同じ液体、該溶媒、分散媒と親和性のあ
る液体、および絶縁樹脂組成物を溶解している液体の中
の一種或はそれ以上の種類の液体であることを特徴とす
る片面絶縁箔状電線の製造方法。 - 【請求項2】二条の箔状導体の重ね合わせ面に介在させ
られる液体が水であり、絶縁樹脂組成物の塗装が、該絶
縁性樹脂組成物の水溶性塗料もしくは水分散性塗料を電
着塗装することにより行われることを特徴とする請求項
1記載の片面絶縁箔状電線の製造方法。 - 【請求項3】二条の箔状導体の重ね合わせ面に介在させ
られる液体が絶縁樹脂組成物の塗装用塗料に用いられて
いる溶剤と同じ溶剤であることを特徴とする請求項1記
載の片面絶縁箔状電線の製造方法。 - 【請求項4】二条の箔状導体の重ね合わせ面に介在させ
られる液体が絶縁樹脂組成物の塗装用塗料に用いられて
いる溶剤と親和性のある溶剤であることを特徴とする請
求項1記載の片面絶縁箔状電線の製造方法。 - 【請求項5】箔導体が丸線導体の圧延により製造され、
該圧延と箔状導体の重ね合わせ、塗装、焼付けおよび分
離とが連続する連続工程をなしていることを特徴とする
請求項(1)、(2)、(3)又は(4)記載の片面絶
縁箔状電線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25487089A JP2826750B2 (ja) | 1989-09-29 | 1989-09-29 | 片面絶縁箔状電線の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25487089A JP2826750B2 (ja) | 1989-09-29 | 1989-09-29 | 片面絶縁箔状電線の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03116614A JPH03116614A (ja) | 1991-05-17 |
JP2826750B2 true JP2826750B2 (ja) | 1998-11-18 |
Family
ID=17270980
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25487089A Expired - Fee Related JP2826750B2 (ja) | 1989-09-29 | 1989-09-29 | 片面絶縁箔状電線の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2826750B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6722568B2 (ja) * | 2016-11-17 | 2020-07-15 | サンコール株式会社 | 半導体素子取付用基板端子板の製造方法 |
-
1989
- 1989-09-29 JP JP25487089A patent/JP2826750B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03116614A (ja) | 1991-05-17 |
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