JP2826119B2 - 光電子倍増効果を有する感光体、及び静電画像記録方法 - Google Patents

光電子倍増効果を有する感光体、及び静電画像記録方法

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JP2826119B2
JP2826119B2 JP1065470A JP6547089A JP2826119B2 JP 2826119 B2 JP2826119 B2 JP 2826119B2 JP 1065470 A JP1065470 A JP 1065470A JP 6547089 A JP6547089 A JP 6547089A JP 2826119 B2 JP2826119 B2 JP 2826119B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電圧印加時露光により露光量に応じた光生
成電荷を光導電層中で増幅して電荷保持媒体上に形成す
る高感度感光体に関する。
〔従来の技術〕
従来、高感度撮影技術として銀塩写真法が知られてい
る。この写真法においては、撮影像は現像工程を経てフ
ィルム等に記録され、画像を再現する場合には銀塩乳剤
(印画紙等)を用いるか、または現像フィルムを光学走
査して陰極線管(以下CRT)に再現させる等により行わ
れている。
また、光導電層に電極を蒸着し、暗所で光導電層上に
コロナ帯電により全面帯電させ、次いで強い光で露光し
て光の当たった部位の光導電層を導電性にし、その部位
の電荷をリークさせて除去することにより静電荷潜像を
光導電層の面上に光学的に形成させ、その残留静電荷と
逆極性の電荷(または同極性の電荷)を有するトナーを
付着させて現像する電子写真技術があるが、これは主と
して複写用に用いられており、一般に低感度のため撮影
用としては使用できず、静電荷の保持時間が短いために
静電潜像形成後、直ちにトナー現像するのが普通であ
る。
また、TV撮影技術は撮影管で撮影し、光半導体を利用
して得た画像情報を電気信号として取り出し、そのまま
CRTに出力させるか、磁気記録等を用いてビデオ記録
し、任意の時にCRT上に像出力させる等の方法がある。
〔発明が解決すべき課題〕
銀塩写真法は被写体像を保存する手段として優れてい
るが、銀塩像を形成させるために現像工程を必要とし、
像再現においてはハードコピー、ソフトコピー(CRT出
力)等に至る複雑な光学的、電気的、または化学的処理
が必要である。
電子写真技術は、得られた静電潜像の顕像化は銀塩写
真法よりも簡単、迅速であるが潜像保存は極めて短く、
現像剤の解離性、画質等は銀塩に劣る。
TV撮影技術は撮像管で得られた電気的像信号を取り出
し、また記録するためには線順次走査が必要となる。線
順次走査は撮像管内では電子ビームで、ビデオ記録では
磁気ヘッドで行うが、解像性は走査線数に依存するた
め、銀塩写真のような面状アナログ記録に比して著しく
劣化する。
また、近年発達しつつある固体撮像素子(CCD等)を
利用したTV撮像系も解像性に関しては本質的に同様であ
る。
これらの技術の内蔵する問題点は画像記録が高品質、
高解像であれば処理工程が複雑であり、工程が簡便であ
れば記憶機能の欠如、あるいは画質の基本的劣化等があ
った。
本発明者は、先に前面に電極が設けられた光導電層か
らなる感光体と、該感光体に対向し、後面に電極が設け
られた電荷保持層からなる電荷保持媒体とを光軸上に配
置し、両電極間に電圧を印加しつつ露光することにより
入射光学像に応じた静電潜像を電荷保持媒体上に形成す
る静電画像記録方法を出願(特願昭63−121592号)した
が、この感光体は露光量に応じた高キャリアーしか発生
せず、その感度に一定の課題を有している。
本発明は上記課題を解決するためのもので、露光量に
応じた光キャリヤーを光導電層中で増大することが可能
な感光体の提供を課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の光電子倍増効果を有する感光体は、前面に透
明電極が設けられ、該電極上に無機金属酸化物からな
り、100Å〜1000Åの膜厚で単層、又は相違する無機金
属酸化物を積層してなる絶縁層、光導電層を順次積層し
た感光体と、後面に電極が設けられた電荷保持層からな
る電荷保持媒体とを対向させ、接触又は非接触で配置
し、両電極間に電圧印加時露光し、露光パターンに対応
して電荷保持媒体に静電荷パターンを形成する感光体に
おいて、光導電層が入射光により生成する電荷の増幅機
能を有するものであることを特徴とする。
上記光導電層が、セメン又はセレン化合物を単層、又
は積層したものであることを特徴とする。
上記光導電層にアモルファスシリコンを用いたもので
あることを特徴とする。
上記光導電層に有機光導電層を用いたものであること
を特徴とする。
上記光導電層が、セレン又はセレン化合物、アモルフ
ァスシリコン、有機光導電層を組み合わせたものである
ことを特徴とする。
本発明の静電画像記録方法は、前面に透明電極が設け
られ、該電極上に無機金属酸化物からなり、100Å〜100
0Åの膜厚で単層、又は相違する無機金属酸化物を積層
してなる絶縁層、光導電層を順次積層した感光体と、後
面に電極が設けられた電荷保持層からなる電荷保持媒体
とを対向させ、接触又は非接触で配置し、両電極間に電
圧印加時露光し、露光パターンに対応して電荷保持媒体
に静電荷パターンを形成する静電画像記録方法におい
て、光導電層が入射光により生成する電荷の増幅機能を
有するものであり、かつ両電極間に該感光体が放電破壊
しない程度の高電圧を印加して静電荷パターンを電荷保
持媒体に蓄積させることを特徴とする。
以下、本発明の感光体について、まず説明する。
第1図は本発明の感光体の概略を示す断面図で、図中
1は感光体、5は感光体支持体、7は感光体電極、8は
絶縁層、9は光導電層である。
本発明の感光体は、透明支持体上に積層された透明電
極層上に、まず暗電流防止層としての絶縁層、次いでそ
の絶縁層上に光導電層が設けられることにより形成され
る。
絶縁層としては無機金属酸化物例えばGeO2、CeO2、Si
O2、Al2O3、WO3等やSiN、SiC等の無機絶縁物資を膜厚10
0Å〜1000Åの範囲で、単層又は積層してEB蒸着法、ス
パッター法等を利用して積層される。
この絶縁層は暗電流を防止するために設けられるが、
暗電流を防止する必要のない場合、例えば光導電層と電
極基板との界面において、電圧印加露光時の極性でブロ
ッキングコンタクトが形成されているような場合、或い
は暗電流が流れても明部との差が得られれば良い様な場
合には設ける必要はなく、電極基板上に直接光導電層が
設けられる。
次に光電子倍増効果を有する光導電層形成材料として
は、例えば無機光導電材料としてはアモルファスセレ
ン、アモルファスシリコン、硫化カドミウム、酸化亜鉛
等があり、また有機光導電材料としてはオキサジアゾー
ル系、ヒドラゾン系、ピラゾリン系、ポリビニルカルバ
ゾール系、カルバゾール系、スチルベン系、アントラセ
ン系、ナフタレン系、トリジフェニルメタン系、アジン
系、アミン系、芳香族アミン系等があり、またポリビニ
ルカルバゾール−トリニトロフルオレノン等の錯体を使
用してもよい。
これら光導電層材料には、例えばアモルファスセレン
を使用する場合には増感のために、テルル等をセレンに
対して1重量%〜30重量%、含有させるとよく、その方
法としては、成分比を調整しつつ同時に蒸着させる多元
蒸着法、またはセレンとの合金を使用して蒸着させると
よく、またセレンの結晶化を防止するために砒素等を0.
1重量%〜30重量%含有させるとよい。この光導電層は
1〜30μmの膜厚に積層するとよい。
このようにして形成した感光体は、電荷保持媒体と対
向させ、両電極間に高電圧を印加し、感光体における電
界強度が5×105V/cm〜5×106V/cmとなるように印加さ
れる必要がある。これによりこの光導電層(誘電率は7
程度)において、所謂アバランシェ効果(電子ナダレ効
果)を生じさせることができる。
感光体支持体5としては、感光体を支持することがで
きるある程度の強度を有していれば、厚み、材質は特に
制限がなく、例えば可撓性のあるプラスチックフィル
ム、金属箔、紙、或いは硝子、プラスチックシート、金
属板(電極を兼ねることもできる)等の剛体が使用され
る。但し、感光体側から光を入射して情報を記録する装
置に用いられる場合には、当然その光を透過させる特性
が必要となり、例えば自然光を入射光とし、感光体側か
ら入射するカメラに用いられる場合には、厚み1mm程度
の透明なガラス板、或いはプラスチックのフィルム、シ
ートが使用される。
感光体電極7は、光導電層支持体5に金属のものが使
用される場合を除いて光導電層支持体5に形成され、そ
の材質は比抵抗値が106Ω・cm以下であれば限定されな
く、無機金属導電膜、無機金属酸化物導電膜、四級アン
モニウム塩等の有機導電膜等である。このような感光体
電極7は、光導電層支持体5上に、蒸着、スパッタリン
グ、CVD、コーティング、メッキ、ディッピング、電解
重合等により形成される。またその厚みは、感光体電極
7を構成する材質の電気特性、および情報の記録の際の
印加電圧により変化させる必要があるが、例えばアルミ
ニウムであれば、100〜3000Å程度である。この感光体
電極7も光導電層支持体5と同様に、情報光を入射させ
る必要がある場合には、上述した光学特性が要求され、
例えば情報光が可視光(400〜700nm)であれば、ITO(I
n2O3−SnO2)、SnO2等をスパッタリング、蒸着、または
それらの微粉末をバインダーと共にインキ化してコーテ
ィングしたような透明電極や、Au、Al、Ag、Ni、Cr等を
蒸着、またはスパッタリングで作成する半透明電極、テ
トラシアノキノジメタン(TCNQ)、ポリアセチレン等の
コーティングによる有機透明電極等が使用される。
また情報光が赤外(700nm以上)光の場合も上記電極
材料が使用できるが、場合によっては可視光をカットす
るために、着色された可視光吸収電極も使用できる。
更に、情報光が紫外(400nm以下)光の場合も、上記
電極材料を基本的には使用できるが、電極基板材料が紫
外光を吸収するもの(有機高分子材料、ソーダガラス
等)は好ましくなく、石英ガラスのような紫外光を透過
する材料が好ましい。
また光の入射面には反射防止膜を形成するとよい。こ
の反射防止膜はフッ化マグネシウム、酸化チタン等の無
機材料を単体で形成するが、2種類以上の材料を積層し
て形成するとよい。
次ぎに本発明の静電画像記録方法について、第2図に
より説明する。図中、1は感光体、3は電荷保持媒体、
5は11は電荷保持層、13は電荷保持媒体電極、15は電荷
保持層支持体、17は電源である。
本発明の感光体により静電潜像が形成される電荷保持
媒体3は電極13上に電荷保持層11を積層することにより
形成され、電荷保持層11は電荷の移動を抑えるため高絶
縁性の高分子材料からなるものであり、比抵抗で1014Ω
・cm以上の絶縁性を有することが要求される。また電荷
保持層を構成する高分子材料としてはそのガラス転移温
度が使用環境温度以上であることが必要である。このよ
うな高分子材料は、樹脂としては熱可塑性樹脂、或いは
熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等
のエネルギー線硬化樹脂、或いはエンジニアリングプラ
スチック等を使用することができ、熱可塑性樹脂として
は例えば弗素樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレ
ン、弗素化エチレンプロピレン、テトラフルオロエチレ
ン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ま
たそれらのディスパージョンタイプ、または変性タイプ
(コーティングタイプ)、またポリエーテルエーテルケ
トン樹脂、ポリパラキシリレン等を使用し、電荷保持媒
体電極上にコーティング、蒸着することにより層形成さ
れるものである。
第2図においては、このような電荷保持媒体3に本発
明の感光体1側から露光を行い電荷保持媒体上に静電潜
像を形成させる態様を示す。
まず感光体1に対して、10μm程度の空隙を介して電
荷保持媒体3が配置される。電荷保持媒体3は、1mm厚
のガラスからなる電荷保持層支持体15上に1000Å厚のAl
電極を蒸着し、この電極上に10μm厚の電荷保持層11を
形成したものである。
同図(イ)に示すように感光体1に対して、10μm程
度の空隙を介して電荷保持媒体3をセットする。次いで
パターン露光18しつつ、同図(ロ)に示すように電源17
により電極7、13間に高電圧をスイッチにより印加す
る。電圧が印加されると光が入射した部分の光導電層9
は導電性を示し、電荷保持層11との間に放電が生じ、電
荷保持層11に電荷が蓄積される。
次に同図(ハ)に示すようにスイッチを使用して電圧
をOFFにし、同図(ニ)に示すように電荷保持媒体3を
取り出すことにより静電潜像の形成が終了する。
本発明の光電子倍増効果を有する感光体は、アバラン
シェ効果を生じさせるために、例えばアモルファスセレ
ン層の場合には感光体に電界強度5×105V/cm〜5×106
V/cmの電圧が印加される必要がある。そのためには感光
体と電荷保持媒体を空気ギャップを介して対向させる場
合、両電極間に印加される電圧は各絶縁層、及び空気ギ
ャップに配分されることを考慮し、感光体部にアバラン
シェ効果を生じさせる電圧が印加されるように制御され
る必要がある。
このようにして画像が情報電荷として蓄積された電荷
保持層11に蓄積された電荷は、この電荷保持層上に絶縁
性保護膜を積層することにより情報電荷は明所、暗所に
関係なく放電せず長期間保存される。情報電荷は単に表
面に蓄積させる場合もあり、また微視的には絶縁体表面
付近内部に侵入し、その物質の構造内に電子またはホー
ルがトラップされる場合もあるので長期間の保存が行わ
れる。
本発明の電荷保持媒体への情報入力方法としては、高
解像度静電カメラによる方法、またレーザーによる記録
方法がある。まず高解像度静電カメラは、通常のカメラ
に使用されている写真フィルムの代わりに、感光体と電
荷保持媒体とにより記録部材を構成し、両電極へ電圧を
印加し、その印加時間を制御することにより入射光に応
じて光導電層を導電性とし、電荷保持層に入射光量に応
じた電荷を蓄積させるものである。また静電潜像は明
所、暗所に関係なく長期間保持することが可能である。
またプリズムにより光情報を、R、G、B光成分に分離
し、平行光として取り出すカラーフィルターを使用し、
R、G、B分解した電荷保持層3セットで1コマを形成
するか、または1平面上にR、G、B像を並べて1セッ
トで1コマとすることにより、カラー撮影することもで
きる。
またレーザーによる記録方法としては、光源としては
アルゴンレーザー(514.488nm)、ヘリウム−ネオンレ
ーザー(633nm)、半導体レーザー(780nm、810nm等)
が使用でき、感光体と電荷保持媒体を面状で表面同志
を、密着させるか、一定の間隔をおいて対向させ、電圧
印加する。この場合感光体のキャリアの極性と同じ極性
に感光体電極をセットするとよい。この状態で画像信
号、文字信号、コード信号、線画信号に対応したレーザ
ー露光をスキャニングにより行うものである。画像のよ
うなアナログ的な記録は、レーザーの光強度を変調して
行い、文字、コード、線画のようなデジタル的な記録
は、レーザー光のON−OFF制御により行う。また画像に
おいて網点形成されるものには、レーザー光にドットジ
ェネレーターON−OFF制御をかけて形成するものであ
る。尚、感光体における光導電層の分光特性は、パンク
ロマティックである必要はなく、レーザー光源の波長に
感度を有していればよい。
次ぎに記録された静電画像の再生方法について説明す
る。
第3図は電荷保持媒体の静電画像を再生する際の電位
読み取り方法の例を示す図で、第1図と同一番号は同一
内容を示している。なお、図中21は電位読み取り部、23
は検出電極、25はガード電極、27はコンデンサ、29は電
圧計である。
電位読み取り部21を電荷保持媒体3の電荷蓄積面に対
向させると、検出電極23に電荷保持媒体3の電荷保持層
11上に蓄積された電荷によって生じる電界が作用し、検
出電極面上に電荷保持媒体上の電荷と等量の誘導電荷が
生ずる。この誘導電荷と逆極性の等量の電荷でコンデン
サ27が充電されるので、コンデンサの電極間に蓄積電荷
に応じた電位差が生じ、この値を電圧計29で読むことに
よって電荷保持体の電位を求めることができる。そし
て、電位読み取り部21で電荷保持媒体面上を走査するこ
とにより静電潜像を電気信号として出力することができ
る。なお、検出電極23だけでは電荷保持媒体の検出電極
対向部位よりも広い範囲の電荷による電界(電気力線)
が作用して分解能が落ちるので、検出電極の周囲に接地
したガード電極25を配置するようにしてもよい。これに
よって、電気力線は面に対して垂直方向を向くようにな
るので、検出電極23に対向した部位のみの電気力線が作
用するようになり、検出電極面積に略等しい部位の電位
を読み取ることができる。電位読み取りの精度、分解能
は検出電極、ガード電極の形状、大きさ、及び電荷保持
媒体との間隔によって大きく変わるため、要求される性
能に合わせて最適条件を求めて設計する必要がある。
また電荷保持媒体における像電荷を、反射防止膜を設
けた電荷保持媒体電極側からレーザー光等を照射し、電
気光学結晶を介して情報として再生してもよい。この場
合電荷保持媒体はその構成材料は透明材料で形成する必
要がある。また電気光学結晶はその光路中に配置すると
よく、このような電気光学結晶としてはチタン酸バリウ
ム、タンタル酸リチウム(LiTaO3)等電気光学効果を有
するものを使用するとよい。
第4図は静電画像再生方法の概略構成を示す図で、図
中、61は電位読み取り装置、63は増幅器、65はCRT、67
はプリンタである。
図において、電位読み取り装置61で電荷電位を検出
し、検出出力を増幅器63で増幅してCRT65で表示し、ま
たプリンタ67でプリントアウトすることができる。この
場合、任意の時に、読み取りたい部位を任意に選択して
出力させることができ、また反復再生することが可能で
ある。また静電潜像が電気信号として得られるので、必
要に応じて他の記録媒体への記録等に利用することも可
能である。
〔作用〕
本発明の感光体及び静電画像記録方法は、感光体を電
荷保持媒体と対向させて電圧シャッターによりパターン
露光させるにあたって、光導電層をして光電子倍増効果
を有するよう層形成するものである。光電子倍増効果
(アバランシェ効果)とは、光導電層に光が照射される
光キャリアーが発生するが、その際に高電圧が印加され
ると、光キャリアーである電子が電子ナダレ現象を生じ
生成した光キャリアー以上の電子が電界方向に流れる現
象である。本発明における感光体において、アモルファ
スセレン等の電子倍増効果を生じる光導電材料を使用
し、感光体に高電圧を印加することにより、露光箇所で
の電荷保持媒体への静電潜像の形成を増幅して行うこと
ができるので、弱い入射光でも電荷保持媒体に露光量に
応じて増幅された像情報を記録することができ、また未
露光部とのコントラスト比の高い感光体とすることがで
き、また静電画像記録方法とすることができるものであ
る。
以下、実施例を説明する。
〔実施例1〕 ガラス基板(1mm厚)上に、SnO2透明電極を1000Å、
スパッタ法で設け、その電極上にEB蒸着法によりまず酸
化ゲルマニウム層を100Å、ついで酸化セシウム層を100
Å積層し、電荷注入防止層を形成した。その上にアモル
ファスセレンを真空蒸着法により1μmの膜厚に積層し
て感光体を作製した。
一方電荷保持媒体として、Alを1000Å蒸着したガラス
基板(1mm厚)に、フッ素樹脂溶液(サイトップ;旭ガ
ラス社製)をスピンナーコーティング法(1000rpm×30
s)で塗布し、150℃、1時間乾燥させ、1μmの膜厚の
電荷保持層を有する電荷保持媒体を作製した。
このようにして作製した感光体と電荷保持媒体とを第
2図に示すように対向させ、空気ギャップをPETフィル
ムのスペーサにより、以下の表の通り変化させ、両電極
間に感光体電極側を正極とし750Vの電圧印加を1/500秒
間行い、その間10ルックスのハロゲンランプ光でパター
ン露光を感光体電極側から与えておいた。
表の通り空気ギャップが1.0、1.3μmの場合は、露光
部と未露光部で有意な電位差が観測できたが、1.5μ
m、2.0μmでは同一電位となった。この結果から明ら
かな様にセレン層に加わる電圧を増大させると、あるし
きい値以上から露光部が未露光部に比べて表面電位が高
くなる増幅効果が出現することがわかった。
〔比較例〕
上記実施例の感光体の代わりに、同様の電極を設けた
基板上に、2,4,7−トリニトロフルオレノンを同モル比
含有するポリビニルカルバゾール(亜南香料(株)製)
の5%クロロホルム溶液をドクターブレード4milにてコ
ーティングし、60℃、1時間乾燥させ、膜厚10μmの感
光体を作製し、上記実施例同様に静電画像記録を行っ
た。
その際感光体における光導電層の極性を考慮し、透明
電極層側を負にして行った。その結果−700Vでは表面電
位は−40V、−1500Vでは120Vの共に一様な値が測定さ
れ、露光部と未露光部での差は見られなかった。
「参考例」 実施例1の感光体において、電荷注入防止層を設けな
いで直接セレンを電極層上に蒸着させた感光体を作製
し、実施例1と同様の静電画像記録をおこなったとこ
ろ、空気ギャップ2μmでは+250Vの一様な電位が測定
され、空気ギャップ1.3μmの条件下では未露光部+280
V、露光部では+410Vの表面電位が測定され、カブリ電
位が増大するものの、露光部と未露光部とのコントラス
トは得られ、増感効果は認められた。
〔発明の効果〕
本発明は、感光体における光導電層を光電子倍増効果
を有する感光材料により作製し、静電画像記録方法に使
用することにより、弱い入射光でも、また光量に応じて
電荷が増幅されて電荷保持媒体に静電潜像として蓄積さ
せることができるものである。またこの静電潜像は、面
状アナログ記録、またレーザー光等による(0・1)信
号記録により形成されることができ、明所、暗所に関係
なく長期間保持することができるものである。また像再
現においても複雑な光学的、電気的、または化学的処理
が不要であり、また高解像度のものが得られるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の感光体の断面図、第2図は本発明の感
光体を使用した静電画像記録方法を説明するための図、
第3図は直流増幅型の電位読み取り方法の例を示す図、
第4図は静電画像再生の概略構成を示す図である。 図中1は感光体、3は電荷保持媒体、5は感光体支持
体、7は感光体電極、9は光導電層、11は電荷保持層、
13は電荷保持媒体電極、15は電荷保持媒体支持体、17…
…電源を示す。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−43665(JP,A) 特開 昭63−233574(JP,A) 特開 昭49−131086(JP,A) 特開 昭63−299380(JP,A) 特開 平1−169454(JP,A) 特開 平1−267998(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前面に透明電極が設けられ、該電極上に無
    機金属酸化物からなり、100Å〜1000Åの膜厚で単層、
    又は相違する無機金属酸化物層を積層してなる絶縁層、
    光導電層を順次積層した感光体と、後面に電極が設けら
    れた電荷保持層からなる電荷保持媒体とを対向させ、接
    触又は非接触で配置し、両電極間に電圧印加時露光し、
    露光パターンに対応して電荷保持媒体に静電荷パターン
    を形成する感光体において、光導電層が入射光により生
    成する電荷の増幅機能を有するものであることを特徴と
    する光電子倍増効果を有する感光体。
  2. 【請求項2】上記光導電層が、セレン又はセレン化合物
    を単層、又は積層したものである請求項1記載の光電子
    倍増効果を有する感光体。
  3. 【請求項3】上記光導電層にアモルファスシリコンを用
    いたものである請求項1記載の光電子倍増効果を有する
    感光体。
  4. 【請求項4】上記光導電層に有機光導電層を用いたもの
    である請求項1記載の光電子倍増効果を有する感光体。
  5. 【請求項5】上記光導電層が、セレン又はセレン化合
    物、アモルファスシリコン、有機光導電層を組み合わせ
    たものである請求項1記載の光電子倍増効果を有する感
    光体。
  6. 【請求項6】前面に透明電極が設けられ、該電極上に無
    機金属酸化物からなり、100Å〜1000Åの膜厚で単層、
    又は相違する無機金属酸化物を積層してなる絶縁層、光
    導電層を順次積層した感光体と、後面に電極が設けられ
    た電荷保持層からなる電荷保持媒体とを対向させ、接触
    又は非接触で配置し、両電極間に電圧印加時露光し、露
    光パターンに対応して電荷保持媒体に静電荷パターンを
    形成する静電画像記録方法において、光導電層が入射光
    により生成する電荷の増幅機能を有するものであり、か
    つ両電極間に該感光体が放電破壊しない程度の高電圧を
    印加して静電荷パターンを電荷保持媒体に蓄積させるこ
    とを特徴とする静電画像記録方法。
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