JP3112515B2 - 静電情報記録方法 - Google Patents

静電情報記録方法

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JP3112515B2
JP3112515B2 JP03219743A JP21974391A JP3112515B2 JP 3112515 B2 JP3112515 B2 JP 3112515B2 JP 03219743 A JP03219743 A JP 03219743A JP 21974391 A JP21974391 A JP 21974391A JP 3112515 B2 JP3112515 B2 JP 3112515B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱的に安定で、パンク
ロマティックな光吸収感度を有する感光体を使用した静
電情報記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光導電層に電極を蒸着し、暗所で
光導電層上にコロナ帯電により全面帯電させ、次いで強
い光で露光して光の当たった部位の光導電層を導電性に
し、その部位の電荷をリークさせて除去することにより
静電荷潜像を光導電層の面上に光学的に形成させ、その
残留静電荷と逆極性の電荷(または同極性の電荷)を有
するトナーを付着させて現像するものとして電子写真技
術がある。
【0003】これは主として複写用に用いられており、
光導電材料としてはアモルファスセレン層(a−Se
層)が使用されているが、一般に低感度のため撮影用と
しては使用できず、静電荷の保持時間が短いために静電
潜像形成後、直ちにトナー現像するのが普通である。
【0004】また、TV撮影技術は撮像管で撮影し、光
半導体を利用して得た画像情報を電気信号として取り出
し、そのままCRTに出力させるか、磁気記録等を用い
てビデオ記録し、任意の時にCRT上に像出力させる等
の方法があるが、その光半導体材料としてa−Seを使
用する場合には、使用温度を低くする必要がある等使用
条件が厳しく、特殊な用途しか使用できない
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記電子写真技術、T
V撮影技術等においてa−Seが光導電材料として使用
されるのは、結晶化セレンが基本的には導電性を有し、
帯電能を有しないためである。一般にセレンの結晶化温
度は60℃以下であり、これ以上であると結晶化による
導電性の増大で帯電能が減少する。
【0006】本発明者等は先に、感光体と電荷保持媒体
を光軸上で対向させ、両電極間に電圧印加露光すること
により電荷保持媒体に露光パターンに応じた情報電荷を
蓄積させ、その情報電荷を検出電極、又はレーザー等の
光学的手段により情報電荷を読み取り、再生させる新規
な情報記録再生方法を提案したが、この種感光体におけ
る光感度向上を検討する中で、従来の感光体におけるa
−Seは熱的安定性がなく、熱的に安定化させるために
砒素等をドーピングしてa−Seの結晶化温度を上昇さ
せて使用することができるが、その使用温度は低くせざ
るをえない。また、a−Se層は単体では600nm以
上の波長の光は吸収せず、テルルをドーピングすること
によりある程度の改善は図れるが、そのために光導電性
特性の低下や導電性の増加等の問題を有している。
【0007】本発明は、熱的に安定で、パンクロマティ
ックな光吸収感度を有する感光体を使用した静電情報記
録方法の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の静電情報記録方
法は、前面に電極が設けられた結晶セレン層、及び該結
晶セレン層上に正の電荷輸送能を有する電荷輸送層から
なる感光体と、該感光体に対向し、後面に電極が設けら
れた電荷保持層からなる電荷保持媒体とを光軸上に配置
し、前記感光体側電極を正極にすると共に前記電荷保持
媒体側電極を負極として両電極間に電圧印加しつつ露光
することにより入射光像に応じた静電潜像を電荷保持媒
体上に形成することを特徴とする。
【0009】
【0010】
【0011】尚、上記結晶セレン感光体において電極層
は支持体上に設けられてもよく、また感光体側からの情
報光を入射させる場合には、光入射側の支持体面には、
反射防止膜を設けるとよい。また感光体の情報光入射側
には、カラーフィルターが配置されてもよいものであ
る。
【0012】まず、本発明の結晶セレン感光体について
説明する。
【0013】図1は本発明の感光体断面図で、同図
(a)は一実施例、同図(b)は他の実施例を示す図、
同図(c)は更に他の実施例を示す図で、図中、1は感
光体、5は支持体、6は反射防止膜、7は電極、8は結
晶セレン層、9は電荷輸送層、10は電荷注入層であ
る。
【0014】図1(a)に示すように、まず本発明の結
晶セレン感光体は、感光体電極7上に結晶セレン層8を
蒸着により積層し、次いで該結晶セレン層上に正の電荷
輸送能を有する電荷輸送層9を積層して形成されるもの
である。又、同図(b)に示すように結晶セレン層8と
電荷輸送層9の間に電荷注入層10が形成されていても
よく、また同図(c)に示すように感光体支持体5の光
入射側には反射防止膜6を設けてもよい。
【0015】結晶セレン層の形成方法について説明す
る。結晶セレン層8は、セレンを真空度10-3Torr〜10-6
Torr、電極層温度を120℃〜130℃、高くても14
0℃までの温度、及び蒸着速度を10Å/sec〜100Å
/secで電極層上にセレン層を蒸着させて形成させること
ができるもので、形成されたセレン層は結晶化し、灰色
状のものである。セレンを蒸着させるにあたって電極層
温度が低いと蒸着セレン層は赤色のa−Se層となる。
結晶セレン層は導電性を有するものの結晶化したもので
あるから熱的に安定であり、またa−Se層と同等また
はそれ以上の光導電性を有し、更に800nmの波長付
近まで分光感度を有する。
【0016】また、結晶セレン層はセレン単体から作製
してもよいが、セレン−テルル、ひ素セレン化合物(As
2Se3) 、ひ素セレン化合物+Teの粒子を使用しても同様
に結晶セレン層を得ることができる。これらは結晶セレ
ン層と組み合わせ、積層型としてもよい。結晶セレン層
の膜厚は1μm〜50μmであるが、好ましくは1μm
〜3μmである。
【0017】なお、結晶セレン層を積層する電極層上に
は、予め、電荷注入阻止層を設けておくとよい。電荷注
入防止層とは電極から電荷が注入され、露光していない
にもかかわらず恰も露光したような帯電を防止するため
に設けられるもので、SiO2、Al 2O3 、SiC 、SiN層を蒸
着、スパッター、グロー放電法等により電極基板上に設
けてもよい。また、整流効果を利用した電荷注入防止層
としてもよい。この場合電極極性と逆極性の電荷輸送能
を有する電荷輸送層を設けるもので無機電荷輸送層、有
機電荷輸送層、有機無機複合型電荷輸送層で形成され、
その膜厚は0.1〜10μm程度とする。具体的には、
電極がマイナスの場合はB、Al、Ga、In等をドー
プしたアモルファスシリコン電荷輸送層、アモルファス
セレン、またはオキサジアゾール、ピラゾリン、ポリビ
ニルカルバゾール、スチルベン、アントラセン、ナフタ
レン、トリジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ア
ジン、アミン、芳香族アミン等を樹脂中に分散して形成
した有機電荷輸送層、電極がプラスの場合は、P、N、
As、Sb、Bi等をドープしたアモルファスシリコン
電荷輸送層、ZnO電荷輸送層等をグロー放電、蒸着、
スパッタリング、CVD、コーティング等の方法により
形成される。
【0018】電荷輸送層9は、電圧が印加されない段階
では絶縁層として機能するが、電圧印加露光時に於いて
は結晶セレン層8(電荷発生層)で発生したホールを容
易に移動させることができる機能を有する。結晶セレン
層は正の電荷を容易に発生・移動させる機能を有するの
で、電荷輸送層9としてはホール輸送性のよい有機電荷
輸送材料、例えばヒドラゾン系、ピラゾリン系、PVK
系、カルバゾール系、オキサゾール系、トリアゾール
系、芳香族アミン系、アミン系、トリフェニルメタン
系、多環芳香族化合物系等を使用するとよい。上記有機
電荷輸送材料の中でも特に1,1−ビス(p−ジエチル
アミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタ
ジエンを使用するとよい。
【0019】また、電荷輸送層は、結晶セレン層からの
電荷注入を容易にするための電荷注入層10を介する
か、又は介さずに結晶セレン層上に積層され、形成方法
としては溶剤に溶かしスピンナーコーティング法等によ
り塗布して形成するとよく、膜厚としては10〜50μ
mの膜厚とするとよい。
【0020】電荷注入層10は、結晶セレン層から電荷
輸送層に容易に電荷が注入するように設けられるもの
で、アモルファスセレン、アモルファスセレンテルル、
アモルファス砒素セレン化合物(a-As2Se3) 、アモルフ
ァス砒素セレン化合物(a-As2Se3) +テルル等を、単
層、または複層、または各種アモルファスセレンを組み
合わせ、例えば上述した結晶セレン層の形成条件におい
て、蒸着温度を60℃以下として蒸着させるとよく、ま
たスパッタ法等により形成することもでき、膜厚として
は10〜50μmの膜厚とするとよい。
【0021】支持体5としては、感光体を支持すること
ができるある程度の強度を有していれば、その材質、厚
みは特に制限がなく、例えば可撓性のあるプラスチック
フィルム、金属箔、紙、或いは硝子、プラスチックシー
ト、金属板(電極を兼ねることもできる)等の剛体が使
用される。但し、感光体側から光を入射して情報を記録
する装置に用いられる場合には、当然その光を透過させ
る特性が必要となり、例えば自然光を入射光とし、感光
体側から入射するカメラに用いられる場合には、厚み1
mm程度の透明なガラス板、或いはプラスチックのフィ
ルム、シートが使用される。
【0022】電極7は支持体5上に形成され、その材質
は比抵抗値が106 Ω・cm以下であれば限定されなく、
無機金属導電膜、無機金属酸化物導電膜等である。この
ような電極7は、支持体5上に蒸着、スパッタリング、
CVD、コーティング、メッキ、ディッピング、電解重
合等により形成される。またその厚みは、電極7を構成
する材質の電気特性、および情報の記録の際の印加電圧
により変化させる必要があるが、例えばアルミニウムで
あれば、100〜3000Å程度である。この電極7も
支持体5と同様に、情報光を入射させる必要がある場合
には、上述した光学特性が要求され、例えば情報光が可
視光(400〜700nm)であれば、ITO(In2O3-
SnO2)、SnO2 等をスパッタリング、蒸着、またはそ
れらの微粉末をバインダーと共にインキ化してコーティ
ングしたような透明電極や、Au、Al、Ag、Ni、
Cr等を蒸着、またはスパッタリングで作製する半透明
電極、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、ポリア
セチレン等のコーティングによる有機透明電極等が使用
される。
【0023】また情報光が赤外(700nm以上)光の
場合も上記電極材料が使用できるが、場合によっては可
視光をカットするために、着色された可視光吸収電極も
使用できる。更に、情報光が紫外(400nm以下)光
の場合も、上記電極材料を基本的には使用できるが、電
極基板材料が紫外光を吸収するもの(有機高分子材料、
ソーダガラス等)は好ましくなく、石英ガラスのような
紫外光を透過する材料が好ましい。
【0024】また、支持体5における光入射側には、情
報光入射に際して反射防止を目的として、弗化マグネシ
ウム、酸化チタン等の無機酸化物を単層又は複層状に設
け、反射防止膜6を形成しておくとよく、またカラーフ
ィルターを配置していてもよい。
【0025】次ぎに、本発明の静電情報記録方法につい
て、図2により説明する。図中、1は感光体、3は電荷
保持媒体、11は電荷保持層、13は電荷保持媒体電
極、15は電荷保持層支持体、17は電源である。尚、
感光体1において図1と同一符号は同一内容を示す。
【0026】感光体1により静電潜像が形成される電荷
保持媒体3は、電極13上に電荷保持層11を積層する
ことにより形成され、電荷保持層11は電荷の移動を抑
えるため高絶縁性の高分子材料からなるものであり、比
抵抗で1014Ω・cm以上の絶縁性を有することが要求さ
れる。また電荷保持層を構成する高分子材料としてはそ
のガラス転移温度が使用環境温度以上であることが必要
である。このような高分子材料は、樹脂としては熱可塑
性樹脂、或いは熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子
線硬化性樹脂等のエネルギー線硬化樹脂、或いはエンジ
ニアリングプラスチック等を使用することができ、熱可
塑性樹脂としては例えば弗素樹脂、例えばポリテトラフ
ルオロエチレン、弗素化エチレンプロピレン、テトラフ
ルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル
共重合体、またそれらのディスパージョンタイプ、また
は変性タイプ(コーティングタイプ)、またポリエーテ
ルエーテルケトン樹脂、ポリパラキシリレン等を使用
し、電荷保持媒体電極上にコーティング、蒸着すること
により層形成されるものである。
【0027】図2においては、このような電荷保持媒体
3に、感光体1側から露光を行い電荷保持媒体上に静電
潜像を形成させる態様を示す。
【0028】まず図2(a)に示すように感光体1と、
10μm程度の空隙を介して電荷保持媒体3が配置され
る。次いで同図(b)に示すように、電源17により電
極7、13間に電圧を印加する。暗所であれば電荷輸送
層9は高抵抗体であるため、電極間には何の変化も生じ
ない。感光体1側より光が入射すると、光が入射した部
分の結晶セレン層8、電荷輸送層9は導電性を示し、結
晶セレン層で発生した光キャリアーは放電により電荷保
持層11上に静電情報として蓄積される。
【0029】露光が終了したら、同図(c)に示すよう
に電圧をOFFにし、次いで同図(d)に示すように電
荷保持媒体3を取り出すことにより静電潜像の形成が終
了する。なお、感光体1と電荷保持媒体3とは上記のよ
うに非接触でなく接触式でもよい。
【0030】電荷保持層11における静電情報は、単に
表面に蓄積されるか、また微視的には絶縁体表面付近内
部に侵入し、その物質の構造内に電子またはホールがト
ラップされるものと思われ、長期間の保存が行われる。
空気環境に曝されるが、電荷保持層上に絶縁性保護膜を
積層しておくことにより、静電情報は明所、暗所に関係
なく放電せず長期間保存させることができる。
【0031】本発明の感光体を使用した情報記録方法と
しては、静電カメラによる方法、またレーザーによる記
録方法がある。まず静電カメラによる方法は、通常のカ
メラに使用されている写真フィルムの代わりに、感光体
1と電荷保持媒体とにより記録部材が構成され、両電極
へ電圧を印加し、入射光量に応じて電荷保持層上に電荷
を蓄積させることにより入射光学像の静電潜像を電荷保
持媒体上に形成するもので、機械的なシャッタも使用し
うるし、また電気的なシャッタも使用しうるものであ
る。またプリズムにより光情報を、R、G、B光成分に
分離し、平行光として取り出すカラーフィルターを使用
し、R、G、B分解した電荷保持媒体3セットで1コマ
を形成するか、または1平面上にR、G、B像を並べて
1セットで1コマとすることにより、カラー撮影するこ
ともできる。
【0032】またレーザーによる記録方法としては、光
源としてはアルゴンレーザー(514.488nm)、
ヘリウム−ネオンレーザー(633nm)、半導体レー
ザー(780nm、810nm等)が使用でき、感光体
と電荷保持媒体を面状で表面同志を密着させるか、一定
の間隔をおいて対向させて電圧印加する。この場合感光
体のキャリアの極性と同じ極性に感光体電極をセットす
るとよい。この状態で画像信号、文字信号、(0.1)
信号、コード信号、線画信号に対応したレーザー露光を
スキャニングにより行うものである。画像のようなアナ
ログ的な記録は、レーザーの光強度を変調して行い、文
字、コード、線画のようなデジタル的な記録は、レーザ
ー光のON−OFF制御により行う。また画像において
網点形成されるものには、レーザー光にドットジェネレ
ーターON−OFF制御をかけて形成するものである。
【0033】次ぎに、電荷保持媒体に記録された静電情
報の再生方法について説明する。
【0034】図3は、静電情報再生方法における電位読
み取り方法の例を示す図で、図2と同一番号は同一内容
を示している。なお、図中21は電位読み取り部、23
は検出電極、25はガード電極、27はコンデンサ、2
9は電圧計である。
【0035】電位読み取り部21を電荷保持媒体3に対
向させると、検出電極23に電荷保持層11上に蓄積さ
れた電荷によって生じる電界が作用し、検出電極面上に
電荷保持媒体上の電荷と等量の誘導電荷が生ずる。この
誘導電荷と逆極性の等量の電荷でコンデンサ27が充電
されるので、コンデンサの電極間に蓄積電荷に応じた電
位差が生じ、この値を電圧計29で読むことによって電
荷保持体の電位を求めることができる。そして、電位読
み取り部21で電荷保持媒体面上を走査することにより
静電潜像を電気信号として出力することができる。
【0036】なお、検出電極23だけでは電荷保持媒体
の検出電極対向部位よりも広い範囲の電荷による電界
(電気力線)が作用して分解能が落ちるので、検出電極
の周囲に接地したガード電極25を配置するようにして
もよい。これによって、電気力線は面に対して垂直方向
を向くようになるので、検出電極23に対向した部位の
みの電気力線が作用するようになり、検出電極面積に略
等しい部位の電位を読み取ることができる。電位読み取
りの精度、分解能は検出電極、ガード電極の形状、大き
さ、及び電荷保持媒体との間隔によって大きく変わるた
め、要求される性能に合わせて最適条件を求めて設計す
る必要がある。
【0037】また、電荷保持媒体に記録された静電情報
を、電極側に反射防止膜を設け、レーザー光等を照射
し、電気光学結晶を介して再生してもよい。この場合、
電荷保持媒体における構成材料は透明材料で形成する必
要がある。また電気光学結晶はその光路中に配置すると
よく、チタン酸バリウム、タンタル酸リチウム( LiTaO
3)等電気光学効果を有するものを使用するとよい。
【0038】図4は静電情報再生方法の概略構成を示す
図で、図中、61は電位読み取り装置、63は増幅器、
65はCRT、67はプリンタである。
【0039】図において、電位読み取り装置61で電荷
電位を検出し、検出出力を増幅器63で増幅してCRT
65で表示し、またプリンタ67でプリントアウトする
ことができる。この場合、任意の時に、読み取りたい部
位を任意に選択して出力させることができ、また反復再
生することが可能である。また静電潜像が電気信号とし
て得られるので、必要に応じて他の記録媒体への記録等
に利用することも可能である。
【0040】
【作用】本発明の結晶セレン感光体は、電極層上に結晶
セレン層、正の電荷輸送能を有する電荷輸送層を順次積
層して形成される。感光体における結晶セレン層は、光
が照射されると照射部分で光キャリア(電子、正孔)が
発生し、電界が存在する場合、それらのキャリアが層幅
を移動することができるものであり、特に長波長側に感
度を有する。この結晶セレン層上に設けられる電荷輸送
層は、結晶セレン層で生成した正電荷を輸送する機能を
有するものである。
【0041】この感光体を電圧印加時露光による記録方
式に使用すると、感光体には強制的に電圧が印加される
ので、結晶セレンの有する800nm付近までの分光感
度、及びa−Se層と同等の光導電性を利用でき、また
電荷輸送層は露光部では光キャリア輸送性を示し、感度
よく電荷保持媒体に情報を記録させることができる。
又、未露光部における暗電流は、電荷輸送層の絶縁性に
より防止することができるものである。
【0042】従って、本発明の静電情報記録方法は、長
波長領域の露光でも電荷保持層に情報電荷を有効に蓄積
させることができ、高感度で、パンクロマティックな感
度を有する静電情報記録方法となるものである。
【0043】以下、実施例により本発明を説明する。
【0044】
【実施例1】SnO2 感光体電極層を一方の表面に設け
たコーニング社7059ガラス(23×16×0.9
t、光学研磨済)を、トリクロロエタン、アセトン、エ
タノール各液中、この順番に各々10分ずつ超音波洗浄
する。次いで、この洗浄のすんだ基板を、蒸着装置にお
ける真空室内の基板加熱器に熱伝導が十分であるように
セットした後、反応室内を10-6Torr台まで真空引きす
る。
【0045】尚、蒸着装置としては日本電子(株)製の
ものを使用し、電極層は面内温度分布の少ないフラット
ヒータ(ハナワ熱電社製)を用いて抵抗加熱により加熱
し、その温度はクロメル−アルメル熱電対を用いて基板
裏側より測定した。
【0046】(結晶セレン層の堆積)次いで、この電極
層を抵抗加熱により120℃に加熱する。セレン蒸着は
通常の抵抗加熱法であるが、真空度を1×10-6Torrで、
蒸着材料としてセレン粒を使用して、蒸着速度10Å/S
ecで20分間電極層上に蒸着させ、1μmの膜厚の結晶
セレン層を積層し、本発明の感光体を作製した。このセ
レン層は灰色を示し、結晶セレン層であることが確認で
きた。
【0047】(電荷注入層の堆積)結晶セレン層上に、
真空度を1×10-6Torr及び室温条件下、蒸着速度10Å
/Secで20分間電極層上に同様にセレンを蒸着させ、1
μmの膜厚のa−Se層を積層した。このa−Se層は
赤色を呈することから確認した。
【0048】(電荷輸送層の積層方法)1,1−ビス
(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル
−1,3−ブタジエン(亜南香料(株)製)10g、ポ
リカーボネート樹脂(バインダー:ユーピロンZ−20
0、三菱ガス化学製)、ジクロロメタン37g、1,
1,2−トリクロロエタン50gの組成を有する混合液
を暗所で作製し、上記a−Se層上にドクターブレード
(ギャップ巾100μm)を用いて塗布し、60℃、1
時間乾燥して膜厚10μmの電荷輸送層を積層した。
【0049】
【実施例2】 (電荷保持媒体の作製)1mm厚のガラス基板上に、真空
蒸着(10-5Torr)法により、 Al電極を1000Åの膜厚
で積層する。その Al 電極上にクロルトリフルオロエチ
レン(商品名:CTFE、旭硝子(株)製、ガラス転移
温度108℃、吸水率0.01%、比抵抗1×1018Ω
・cm、) パウダーを使用し、真空蒸着(10-5Torr)
法で、蒸発速度0.8〜1.8μm/min.、電極基
板温度を室温、抵抗加熱により105℃に加熱しつつ、
膜厚約10μmに積層して電荷保持媒体を作製した。
【0050】(静電情報記録方法)実施例1で作製した
感光体と、上記電荷保持媒体とを、膜厚10μmのポリ
エステルフィルムをスペーサーとして、図2に示すよう
に配置し、両電極間に、感光体側を正、電荷保持層側を
負にして+700Vの直流電圧を印加した。
【0051】その電圧印加状態で、感光体側より波長6
50nmの赤色光により露光を1秒間行って、電荷保持
層11に静電潜像を形成させ、電荷保持媒体3を取り出
した。
【0052】感光体の露光部に対応する電荷保持媒体表
面電位を表面電位計で測定したところ、+250Vの表
面電位が測定されたが、未露光部においては+80Vの
表面電位であり、図4に示す情報再生装置にかけたとこ
ろ、露光部と未露光部を明瞭に識別しえた。
【0053】
【発明の効果】本発明の感光体は、その光導電層を、少
なくともその積層当初は、積層される電極層の温度を8
0℃〜120℃の範囲として、セレンからなる蒸着材料
を蒸着することにより得られる結晶セレン層とすること
により、長波長領域での感光特性の優れた感光体とする
ことができ、この感光体を使用する静電情報記録方法に
より、長波長領域の露光でも電荷保持層に情報電荷を有
効に蓄積させることができるので、高感度の静電情報記
録方法とすることができるものである。また形成された
静電潜像は明所、暗所に関係なく長期間保持することが
でき、また現像工程を必要とせず、更に像再現において
も複雑な光学的、電気的、または化学的処理が不要であ
ると共に、銀塩写真と同様に面状アナログ記録であるの
で、高解像度が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感光体の各態様をその断面図により示
す図である。
【図2】本発明の静電情報記録方法を説明するための図
である。
【図3】直流増幅型の表面電位読み取り方法を説明する
ための図である。
【図4】電荷保持媒体に形成された静電情報の再生方法
の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1は感光体、3は電荷保持媒体、5は感光体支持体、6
は反射防止膜、7は感光体電極、8は結晶セレン層、9
は正の電荷輸送能を有する電荷輸送層、10は電荷注入
層、11は電荷保持層、13は電荷保持媒体電極、15
は電荷保持媒体支持体、17は電源。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−244160(JP,A) 特開 昭55−60951(JP,A) 特開 昭51−3241(JP,A) 特開 昭55−60951(JP,A) 特開 昭58−199351(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/08 101 G03G 5/02 101

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前面に電極が設けられた結晶セレン層、
    及び該結晶セレン層上に正の電荷輸送能を有する電荷輸
    送層からなる感光体と、該感光体に対向し、後面に電極
    が設けられた電荷保持層からなる電荷保持媒体とを光軸
    上に配置し、前記感光体側電極を正極にすると共に前記
    電荷保持媒体側電極を負極として両電極間に電圧印加し
    つつ露光することにより入射光像に応じた静電潜像を電
    荷保持媒体上に形成することを特徴とする静電情報記録
    方法。
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