JP2822555B2 - 電磁誘導加熱調理器 - Google Patents

電磁誘導加熱調理器

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、被加熱鍋の温度分布を改善した電磁誘導加
熱調理器に関するものである。
従来の技術 従来この種の電磁誘導加熱調理器(以下、調理器とい
う)は、実開昭62−33193号公報に示すような構成であ
った。
以下、その構成について第4図から第6図を参照しな
がら説明する。調理器は第4図に示す外観で、被加熱鍋
9を載置するトッププレート1の下方には環状の加熱コ
イル2が配設され、この加熱フイリ2の下方に制御基板
3が配設されている。
さらに制御基板3の下方には遮熱板4が配設されて、
床面の温度上昇の防止と加熱コイル2からの磁束漏れを
防止している。また、加熱コイル2の中央部には被加熱
鍋9の温度を検知する感熱素子からなる感熱部5が配設
され、トッププレート1を介して被加熱鍋9の温度を検
出し制御するようになっている。そして本体内には冷却
ファン6を配設し、一方の吸気口7から外部の空気を吸
気し他方の排気口8から排気して本体9内の温度上昇を
抑制している。
発明が解決しようとする課題 このような従来の調理器では、加熱コイル2で加熱さ
れる被加熱鍋9の通電開始後(加熱初期)の温度分布
は、第5図に示す通り、加熱コイル2の巾の中央に対向
する面B部が加熱コイル2の中央部に対向する面A部よ
り高温になる。例えば、ステンレス(SU430)とアルミ
ニウムのクラッド材(厚さt2.0mm)からなる被加熱鍋9
を用いて加熱した場合の通電開始後のA部とB部の温度
を測定すると、第6図に示すように、ステーキ等の鉄板
焼き調理に最適な温度である200℃に被加熱鍋9の中心
部A部の温度を設定した場合、前記のようにB部の温度
上昇がA部の温度上昇より速いため、A部が設定温度で
ある200℃に到達した時には、B部の温度は約300℃にま
で上昇している。この不均一な温度分布は調理に支障を
来すとともに、特にB部の300℃という温度は、コゲ付
きを防止する目的で被加熱鍋9の調理面に施されるフッ
素樹脂の常用耐熱温度である260℃をオーバする温度で
あり、フッ素樹脂加工の性能が破潰されるという問題が
あった。また、銀粉を主成分とする導電薄膜を施した電
磁誘導加熱調理器用の土鍋等の熱伝導の悪い材質から成
る被加熱鍋9の場合には、空焼き状態でA部が200℃に
到達した時にはB部は50℃にもなり、鍋物調理で調理物
のコゲ付きが生じたり、土鍋本体にクラックが生じて導
電薄膜も亀裂し、使用不可能になるといった問題もあっ
た。
本発明は上記課題を解決するもので、被加熱鍋の局部
的な温度上昇を抑制して温度分布を均一化し、良好な調
理が行えるとともに、被加熱鍋に施されたフッ素樹脂加
工を傷めず、また、土鍋にクラックを発生させることの
ない調理器を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段 本発明は上記目的を達成するために、環状に形成され
た第1の加熱コイルと、前記第1の加熱コイルの外側に
間隙を設けて配設された第2の加熱コイルと、前記第1
の加熱コイルの中央部に配設された第1の感熱部と、前
記間隙に配設された第2の感熱部とを備え、前記第2の
感熱部の制御動作の後に前記第1の感熱部の制御動作が
行われる構成としたものである。
作用 本発明は上記した構成により、加熱コイルで発生する
磁束が分散されるとともに、第1の感熱部で被加熱鍋の
温度制御をし、第2の感熱部で被加熱鍋の最高温度を抑
制するので、通電開始後の被加熱鍋の局部的な温度上昇
を抑制して被加熱鍋の温度の均一化を図ることができ
る。
実施例 以下、本発明の一実施例について第1図から第4図を
参照しながら説明する。なお、従来例と同一部材につい
ては、同一番号を付し説明を省略する。
トップレート1の下方に配設された加熱コイル11は、
環状に形成された第1の加熱コイル12と、第1の加熱コ
イル11の外側の間隙13を設けて配設された環状に形成さ
れた第2の加熱コイル14とで構成されている。第1の加
熱コイル11と中央部には被加熱鍋の制御温度を検出する
第1の感熱部15が、間隙13には第2の感熱部16が何れも
トッププレート1の裏面に接して配設されている。この
第1の感熱部15、第2の感熱部16には感熱素子が内装さ
れてあり、制御基板3に搭載された制御部材に接続され
ている。なお、間隙13の半径方向の位置,巾は調理器の
特性によって適宜に定めることができるものであって、
特定されるものではない。
上記構成において動作を説明すると、トッププレート
1上に載置された被加熱鍋9は、第1の加熱コイル12と
第2の加熱コイル14とにより加熱され、第1図に示すよ
うに第1の加熱コイル12と第2の加熱コイル14との間の
間隙13に対向する面B部が最も速く温度上昇するが、加
熱コイル11は第1と第2の加熱コイル12,14に分けられ
ているため磁束は分散されるので、被加熱鍋9の温度分
布は比較的均一化される。
いま、第1の感熱部15と第2の感熱部16を何れも200
℃±αの範囲で被加熱鍋9を温度制御するように制御温
度を設定し、通電開始後の初回の温度検知と制御を第2
の感熱部16で行い、以後の温度検知と温度制御を第1の
感熱部15で行うようにすれば、第2図に示すように、第
2の感熱部16と対向する被加熱鍋9の面B部の温度は約
240℃となる。また、他の実施例として、通電開始後、
第2の感熱部16で数回のON−OFF(例えば3回)制御を
し、以後第1の感熱部15で温度制御するか、または、第
2の感熱部16で初回のOFF制御をし、数分後(例えば約
5分後)に第1の感熱部15で温度制御を行うこともでき
る。この温度制御の状態は第3図の通りで、何の温度制
御においても被加熱鍋9のB部の温度は約240℃とな
る。
このように本発明の実施例の電磁誘導加熱調理器によ
れば、第1の加熱コイル12の中央部に第1の感熱部16
を、第1の加熱コイル12と第2の加熱コイル14との間隙
に第2の感熱部16を配設したので、第1の加熱コイル12
と第2の加熱コイル14とで発生磁束を分散させて被加熱
鍋9の温度分布を均一化し、第2の感熱部16で通電開始
後の初回または数回、或は数分間被加熱鍋9の温度を制
御し、その後、第1の感熱部15で被加熱鍋の温度を制御
するようにしたので、被加熱鍋9の制御温度を調理の最
高温度の200℃に設定しても、被加熱鍋9の温度分布に
よるB部の温度を約240℃に制御することができる。
さらに、調理中、何らかの事由で被加熱鍋9のB部の
温度が上昇し、第2感熱部16がフッ素樹脂の耐熱限界温
度である260℃以上を検知した場合には、第1感熱部15
に優先してOFFにする機能を付加することにより、被加
熱鍋9の調理面に塗布されたフッ素樹脂を保護すること
ができ、また熱伝導の悪い材料から成る土鍋において
も、局部的な高温によるクラックも防止できる。
発明の効果 以上の実施例の説明から明らかなように本発明によれ
ば、環状の第1の加熱コイルの外側の間隙を設けて環状
の第2の加熱コイルを配設し、第1の加熱コイルの中央
部に第1の感熱部を、間隙に第2の感熱部をそれぞれ配
設し、第2の感熱部の制御動作の後に第1の感熱部の制
御動作を行わせるようにしたので、第1,第2の加熱コイ
ルの磁束の分散により被加熱鍋の温度分布が均一化され
るとともに、被加熱鍋の最も温度上昇の速い空隙に対向
する面の温度上昇を抑制することができる。これによ
り、被加熱鍋に施されたフッ素樹脂被膜を傷めることに
なるとともに熱伝導の悪い土鍋においても局部的な高温
も発生せず、クラックを防止することができる。また、
被加熱鍋の温度の均一化で調理性能も向上する等の優れ
た効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の調理器の側断面図、第2
図,第3図は同調理器による通電開始後の被加熱鍋の温
度上昇状態図、第4図は同調理器の外観斜視図、第5図
は従来の調理器の側断面図、第6図は同調理器による通
電開始後の被加熱鍋の温度上昇状態図である。 12……第1の加熱コイル、13……間隙、14……第2の加
熱コイル、15……第1の感熱部、16……第2の感熱部。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】環状に形成された第1の加熱コイルと、前
    記第1の加熱コイルの外側に間隙を設けて配設された第
    2の加熱コイルと、前記第1の加熱コイルの中央部に配
    設された第1の感熱部と、前記間隙に配設された第2の
    感熱部とを備え、前記第2の感熱部の制御動作の後に前
    記第1の感熱部の制御動作が行われる電磁誘導加熱調理
    器。
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