JP2821004B2 - ガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の製造方法 - Google Patents

ガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の製造方法

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JP2821004B2
JP2821004B2 JP2117765A JP11776590A JP2821004B2 JP 2821004 B2 JP2821004 B2 JP 2821004B2 JP 2117765 A JP2117765 A JP 2117765A JP 11776590 A JP11776590 A JP 11776590A JP 2821004 B2 JP2821004 B2 JP 2821004B2
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敦史 村上
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    • B29BPREPARATION OR PRETREATMENT OF THE MATERIAL TO BE SHAPED; MAKING GRANULES OR PREFORMS; RECOVERY OF PLASTICS OR OTHER CONSTITUENTS OF WASTE MATERIAL CONTAINING PLASTICS
    • B29B9/00Making granules
    • B29B9/12Making granules characterised by structure or composition
    • B29B9/14Making granules characterised by structure or composition fibre-reinforced
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の製造
方法に関するものである。より詳しくは、成形品のガラ
ス繊維の分散が良好でかつガラス繊維強化の効果がきわ
めて有効に作用している物性がすぐれた成形品を得るこ
とができるガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の製造
方法に関する。
〔従来の技術〕
従来のガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の製造方
法としては、次の4つの方法が知られている。
ガラス繊維チョップドストランドと熱可塑性樹脂とを
ドライブレンドする方法、 ガラス繊維チョップドストランドと熱可塑性樹脂とを
一度押出機で押出し、ガラス繊維を熱可塑性樹脂中に分
散させペレット化する方法、 ガラス繊維ロービングを所望の樹脂エマルジョンに浸
漬被覆後乾燥し、しかるのち切断、ペレット化する方
法、 ガラス繊維ロービングを溶融した熱可塑性樹脂の中を
通過させるいわゆるワイヤーコーティングの要領でガラ
ス繊維を被覆し、しかるのち切断、ペレット化する方法
である。
しかしながら、の法はガラス繊維の飛散、成形機ス
クリューの摩耗、ときにはガラス繊維が毛玉となる等の
欠点を有し実際には実施されることは少ない。
現在市販されている大部分のガラス繊維強化熱可塑性
樹脂成形材料はの方法により作られているが、の方
法で得た成形材料を用いた成形品はガラス繊維の分散は
良いがガラス繊維が押出機のスクリューで練られるため
ガラス繊維が砕かれ、ガラス繊維による補強、強化効果
が減少するという問題点がある。
また、の方法により成形材料を作ることも古くから
実施されているが、樹脂エマルジョンで処理することは
該エマルジョンの粘度が一般的に低いため、ガラス繊維
に多量の樹脂を被覆、付着させることが困難であり、ガ
ラス繊維のコンセントレート(例えばガラス繊維/熱可
塑性樹脂=80/20)の製造技術として主として使用され
ている。ところが該コンセントレートはガラス繊維の比
重が熱可塑性樹脂の比重の2〜2.5倍であるため、コン
セントレートと熱可塑性樹脂とを単純にドライブレンド
して成形したのでは均一なガラス繊維を含む成形品が得
難く、特殊なブレンド、供給装置を必要とする等の欠点
を有する。
これらに対し、の方法は成形材料製造時の生産性が
高く、成形材料(ペレット)中のガラス繊維の長さがペ
レットの長さと等しく、の方法等で製造したペレット
に比較しペレットに含有されるガラス繊維の長さが長い
ため、得られた成形品中のガラス繊維の長さも長くな
り、ガラス繊維による補強、強化効果も著しく優れたも
のになるはずである。ところがの方法による成形材料
においては、通常のガラス繊維ロービングは、8〜20μ
の径を有するフィラメントが200〜5000本束ねられてお
り、該ガラス繊維ロービングを溶融した熱可塑性樹脂の
中を通過させてもガラス繊維フィラメント1本1本に熱
可塑性樹脂を付着させることは困難であり、ペレットか
らガラス繊維が脱落、飛散するという問題点がある。更
に、ペレット中に長いガラス繊維が含有されているので
該成形材料を成形する際にガラス繊維同志がからみあい
成形品中に均一にガラス繊維が分散せず、毛玉となって
成形品中に散在することになり、そのため成形品の外観
が悪くかつ物性もばらつく結果、工業的に利用できない
という欠点がある。
また、上記した方法の改良方法として特公昭43−7448
号公報に示されている樹脂溶液を用いる方法もあるが、
この方法は、樹脂溶液に使用する溶媒とガラス繊維の親
和性が一般的にあまり良くないことが原因となり、ガラ
ス繊維の分散を完全に良くすることは非常に困難な上
に、最終的に溶媒を除去する必要があり、その経済性お
よび作業の安全性からみて好ましい処理方法、製造方法
とはいいがたい。
また、特開昭59−85715号公報、特開昭60−16612号公
報、特開昭60−36136号公報に示されている溶媒樹脂存
在下、ローラーやバー、ベルト等によって加圧して強制
的に含浸する方法もあるが、ガラス繊維フィラメント1
本1本に粘度の高い溶融した熱可塑性樹脂を含浸させる
には非常に高い圧力が必要であるため、ガラス繊維を損
傷してしまうことが多く、また場合によっては、ガラス
繊維ロービングが切断してしまうということもあり、特
殊な引取装置を必要とする等の欠点を有する。
また、特公昭52−3985号公報に示されているようなガ
ラス繊維ロービングを熱可塑性樹脂粉末床中を通過させ
る方法もあり、の方法よりも多少効果が認められ、か
つガラス繊維含有量25重量%程度においては先に述べた
欠点は解消される傾向もあるが、ガラス繊維含有量30重
量%以上ではフィラメントへの熱可塑性樹脂粉末の付着
が不十分になりやすく、再び先に述べた欠点、つまりペ
レットからガラス繊維が脱落、飛散したり、ペレット中
に長いガラス繊維が含有されているため該成形材料を成
形する際に、ガラス繊維同志がからみあい成形品中に均
一にガラス繊維が分散せず、毛玉となって成形品中に散
在するという欠点がみとめられる。
更にまた、特公昭60−6764号公報に示されている樹脂
エマルジョンを用いる方法もあるが、この方法はポリス
チレン(GPPS)、ゴム強化ポリスチレン(HIPS)、アク
リロニトリル−スチレン共重合体樹脂(AS樹脂)、アク
リロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体樹脂(AB
S樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−
αメチルスチレン共重合体樹脂等のスチレン系樹脂、ポ
リエチレン等のように樹脂エマルジョンを得やすい熱可
塑性樹脂においては有効な方法であって、ポリアミド、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリフェニレンサルファイド等のようにそれ自身
樹脂エマルジョンを得がたい樹脂においては制限を受け
る。つまり押出被覆する樹脂を上記した熱可塑性樹脂と
した場合、樹脂エマルジョンとしては上記した熱可塑性
樹脂と種類が異なり、上記した熱可塑性樹脂と相溶性の
ある樹脂エマルジョンを選択しなければならない。例え
ば押出被覆する熱可塑性樹脂がポリアミドの場合は、エ
チレン−メタクリル酸共重合体及びエチレン−メタクリ
ル酸共重合体の部分金属塩のエマルジョン等が使用され
る。通常、これらの樹脂エマルジョンは押出被覆する熱
可塑性樹脂よりも柔らかく、強度も低く、更に相溶性が
あり層間剥離を発生しないとはいえ、同種の熱可塑性樹
脂同志と比べれば完全な相溶とはいいがたく、得られる
ガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形材料は、ガラス繊維に
よる補強効果が充分に発現しない。
〔本発明が解決しようとする課題〕
本発明は原理的にすぐれるが上述のように幾多の欠点
を有するの方法を利用してすぐれたガラス繊維強化熱
可塑性樹脂成形材料を作る方法を提供することを課題と
するものである。
〔課題を解決するための手段〕
工業的に利用できるガラス繊維ロービングは前述のよ
うに十数μでかつ200〜5000本程度のフィラメントを一
束として使用することが多いため、その1本1本のフィ
ラメントを粘度の高い溶融樹脂で押出被覆することは原
理的に不可能に近い。そこで本発明本来者らは本来ガラ
ス繊維は親水性であること、樹脂粉末を主成分とする水
系ディスパージョンは粘度が低いことに着目し、予めガ
ラス繊維ロービングを樹脂粉末を主成分とする水系ディ
スパージョンで処理することにより前述の欠点を解決す
ることができた。換言すると樹脂粉末を主成分とする水
系ディスパージョン処理により十数μのガラス繊維フィ
ラメントを1本1本予め樹脂で被覆することを可能に
し、これによりガラス繊維の保護とガラス繊維の熱可塑
性樹脂中での分散(拡散)をよくすることができ、の
方法を利用したガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の
製造方法を完成するに至った。
即ち、本発明はガラス繊維ロービングを押出被覆する
熱可塑性樹脂または該熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹
脂の粉末を主成分とする水系ディスパージョンで予め処
理して、熱可塑性樹脂の粉末を付着させ、乾燥溶融後、
熱可塑性樹脂で押出被覆し、ストランドを形成させ、こ
れを切断することを特徴とするガラス繊維強化熱可塑性
樹脂成形材料の製造方法である。
以下、図面に基き、本発明の方法及び構成を詳細に説
明する。
第1図に示すように、ガラス繊維ロービング1は、引
取ローラー2により解除されて前処理液槽3へ導かれ、
浸漬される。ガラス繊維ロービング1は8〜20μの径を
有するフィラメントが200〜5000本束ねられた市販のも
のが使用され、引取ローラー2による解除方法として
は、該ガラス繊維ロービング1のケーキ13の外側から解
除した方が該ガラス繊維ロービング1の撚りが少なく、
前処理液槽3に浸漬した時、ガラス繊維ロービング1の
内部にて水系ディスパージョンが浸透し、ガラス繊維フ
ィラメント1本1本に熱可塑性樹脂の粉末が付着するの
で好ましい。なお、本発明に使用されるガラス繊維ロー
ビングは、強固に束ねられてなく容易に開繊するもの
が、前処理液槽3に浸漬した時、ガラス繊維ロービング
1の内部に水系ディスパージョンが浸透し、ガラス繊維
フィラメント1本1本に熱可塑性樹脂の粉末が付着する
ので好ましいが、強固に束ねられたガラス繊維ロービン
グでも、前処理液槽3に浸漬する前にローラーやバー等
で、あるいは引取ローラー2にバネや圧縮空気等による
加圧機能を持たせて、該ガラス繊維ロービング1に張力
や圧力を加えて強制的に開繊させることにより使用する
ことができる。
前処理液槽3には、押出機7より供給する熱可塑性樹
脂12と同一かまたは同種の熱可塑性樹脂の粉末を主成分
とする水系ディスパージョンが投入される。該熱可塑性
樹脂の粉末が前処理液槽3中を流動し循環するように、
該液槽3に撹拌機やポンプ等を具備させることは、該熱
可塑性樹脂の粉末の沈降や浮上による、ガラス繊維ロー
ビング1に付着する該熱可塑性樹脂の粉末量のばらつき
を小さくできるので好ましい。場合によっては、水系デ
ィスパージョン中での該熱可塑性樹脂の粉末の分散を均
一にする目的で、本発明の製造方法によって得られたガ
ラス繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の特性を損なわない
範囲で、乳化剤、界面活性剤等を該熱可塑性樹脂の粉末
を主成分とする水系ディスパージョンに添加してもよ
い。
前処理液槽3で使用される水系ディスパージョン中の
熱可塑性樹脂の粉末は、該熱可塑性樹脂ペレットを、溶
液沈殿による湿式法や液体窒素等を用いた凍結法等によ
って粉砕することにより得られ、その重量平均粒径は極
端に大きくなければ如何程でも使用できるが、ガラス繊
維ロービング1への付着量のばらつきを小さくできるこ
とから、100μ以下が好ましい。100μを越えると上述し
たような方法で該熱可塑性樹脂の粉末を流動させても、
ガラス繊維ロービング1への付着量のばらつきが大きく
なったり、あるいはガラス繊維ロービング1内部にまで
浸透しにくい傾向がある。また、該熱可塑性樹脂の粉末
が直接重合によって得られる場合はそのままでも使用で
きる。
熱可塑性樹脂12と同種の熱可塑性樹脂の粉末とは、熱
可塑性樹脂がポリアミド6/6の場合は、ポリアミド6/6、
ポリアミド6、ポリアミド6/10、ポリアミド6/12、ポリ
アミド11、ポリアミド12から選ばれる少なくとも2種以
上のポリアミドの共重合体、ポリアミド6、ポリアミド
6/10、ポリアミド6/12、ポリアミド11、ポリアミド12等
であり、熱可塑性樹脂がポリプロピレンの場合は、溶液
法あるいは溶融法によって酸無水基を付加させたポリプ
ロピレン、ポリプロピレンを主成分とするポリプロピレ
ンとポリエチレンとからなるランダムまたはブロック共
重合体、及びこれらの酸無水基付加物等である。
前処理液槽3で使用される水系ディスパージョンの主
成分である熱可塑性樹脂の粉末の加工流動性(同一、同
種樹脂の場合は分子量に関係することが多い)は押出機
7より供給する熱可塑性樹脂12と同じか、もしくは加工
流動性がすぐれたものを用いた方が該ガラス繊維強化熱
可塑性樹脂成形材料を射出成形する場合のガラス繊維の
分散が良くなるので好ましい。
前処理液槽3で使用される水系ディスパージョンの主
成分である熱可塑性樹脂の粉末は、該熱可塑性樹脂の粉
末の乾燥溶融後の付着樹脂量に換算し、ガラス繊維ロー
ビング100重量部に対して5〜200重量部であり、好まし
くは10〜100重量部である(これらの付着樹脂量は、主
にガラス繊維ロービングのライン速度、該水系ディスパ
ージョンの固形分、つまり主成分たる熱可塑性樹脂の粉
末の濃度等により調節できる。)5重量部以下ではガラ
ス繊維の熱可塑性樹脂中への分散が完全ではなく、また
200重量部以上では1回の浸漬で均一に付着させること
が困難で、数回にわけて付着させるとか、他に特殊な工
夫が必要であり本発明の目的には必要ではない。またガ
ラス繊維と熱可塑性樹脂の接着を強固にし、本発明の製
造方法によって得られるガラス繊維強化熱可塑性樹脂成
形材料の特性を向上させる目的で、カップリング剤等を
水系ディスパージョンに添加できる。
前処理液槽3中の通過させて、熱可塑性樹脂の粉末を
付着させ、含水したガラス繊維ロービングは、乾燥溶融
炉5での乾燥時間を短くする目的で、バネや圧縮空気等
を利用した加圧機能を具備した引取ローラー4によって
極力脱水される。
乾燥溶融炉5は一般に利用されるニクロム線ヒーター
等の輻射熱を利用したもの、熱風を利用したもので良
く、遠赤外線ヒーターを利用し乾燥溶融すると更に電気
の利用効率が良い。ガラス繊維ロービング1が通過する
乾燥溶融炉5内部の雰囲気温度は、該乾燥溶融炉5内で
の滞留時間、水分及び水系ディスパージョン中の他の成
分との相互作用等を考慮した、該熱可塑性樹脂の粉末の
重量減少開始温度を越えない可能な限り高い温度が、乾
燥溶融時間を短くでき生産性が向上するので好ましい。
例えば、該熱可塑性樹脂の粉末がポリアミド6/6の場合
ではガラス繊維ロービング1への付着樹脂量によっても
若干変わるが、280〜350℃程度である。またポリアミド
のように酸素共存下で乾燥溶融すると着色、劣化が著し
い熱可塑性樹脂の場合は、乾燥溶融炉5内を窒素雰囲気
にする等酸素を遮断する手段を講じて乾燥溶融するのが
好ましい。
熱可塑性樹脂の粉末を付着させ、乾燥溶融炉5内を通
過させて乾燥し、該熱可塑性樹脂の粉末を溶融させたガ
ラス繊維ロービング1は、バネや圧縮空気等を利用した
加圧機能を具備し、熱媒やヒーター等によって加熱でき
る加熱プレスローラー6を通過させることが、溶融した
該熱可塑性樹脂の粉末とガラス繊維をより密着させ、付
着樹脂量と用いたガラス繊維ロービングの番手によって
も異なるが、通常3〜12mm幅程度のバンド状に賦形さ
れ、押出被覆ダイ8中での、押出機7により可塑化、溶
融された熱可塑性樹脂12との接触面積を大きくできるの
で好ましい。乾燥溶融炉5と同様に、ポリアミドのよう
に酸素共存下で乾燥溶融すると着色、劣化が著しい熱可
塑性樹脂の場合は、該加熱プレスローラー6が、熱可塑
性樹脂の粉末を付着させ、乾燥溶融炉5内を通過させて
乾燥し、該熱可塑性樹脂の粉末を溶融させたガラス繊維
ロービング1に作用する部分を覆って、窒素雰囲気にす
る等酸素を遮断する手段を講じるのが好ましい。
本発明で使用できる熱可塑性樹脂は、特に限定され
ず、どのようなものでも用いられるが、例えば具体的に
は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレ
ンサルファイド、ポリアセタール等であり、これらに、
本発明の製造方法によって得られるガラス繊維強化熱可
塑性樹脂成形材料の特性を損なわない範囲で、他の樹
脂、ゴム、無機質充填剤、着色剤、熱安定剤、可塑剤、
滑剤、離型剤、離燃剤等を添加することができる。
押出機7は一般に利用される熱可塑性樹脂の押出機で
良く、押出被覆ダイ8に可塑化された溶融樹脂が吐出む
らなく安定した状態で供給できるものであればどのよう
な押出機でも使用できる。
押出被覆ダイ8はガラス繊維ロービングを押出被覆す
るためのダイでごく普通にワイヤーコーティング等に利
用されるダイでも良いが、1粒のペレットの中に例えば
4本のガラス繊維ロービングの束を入れる場合、前述の
水系ディスパージョン処理されたガラス繊維ロービング
の1束、1束を4束個別に該ダイに導入し、更にまたダ
イ内で4束を1箇所に収束する等によって、この4束を
いま1度被覆する構造のダイ、すなわち2重に被覆でき
る構造のダイが好ましい。また、加熱プレスローラー6
によって賦形されたバンドが、その形状を維持して押出
被覆ダイ内に導かれ、該バンドの上下両面で、押出機よ
り押出され、溶融した熱可塑性樹脂と接触、被覆した
後、該押出被覆ダイ内でストランド状に成形できる構造
のダイが好ましい。更に、ダイの構造は生産スピードに
もよるが、樹脂内圧が高くなるように、また樹脂の押し
出され圧が該被覆ストランドの引取力を軽減する方向に
作用するような構造のダイが好ましい。
加熱プレスローラー6の温度及び該加熱プレスローラ
ー6と押出被覆ダイ8の位置関係は、加熱プレスローラ
ー6で加圧されたガラス繊維ロービングが急激に屈曲さ
れることなく、かつ、あまり冷却されることなく円滑に
押出被覆ダイ8に導入できるように設定されるのが好ま
しい。なぜならば熱可塑性樹脂がガラス繊維ロービング
100重量部に対して、5重量部以上付着したガラス繊維
ロービングは、かなり剛直で急激にまげると折れる恐れ
があり、これがダイ導入部等での引掛かりの原因とな
る。また加熱された樹脂被覆ガラス繊維ロービングがダ
イに導入されることは溶融樹脂で被覆する場合、冷えた
樹脂被覆ガラス繊維ロービングが導入される場合により
樹脂の粘度も上昇することなく、互いになじみやすく樹
脂の密着がうまく行なわれ、射出成形する場合の成形品
の物性上好ましい結果を導く。
押出被覆ダイ8で所望のガラス繊維含有量にまで熱可
塑性樹脂を被覆したガラス繊維を有するストランドは冷
却水槽9で冷却固化し、該ストランドは所望の長さに、
ペレタイザー10で切断され、ペレット化される。該ペレ
ットはペレットホッパー11にストックされ、成形材料の
用に供せられる。
最終的なガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形材料中のガ
ラス繊維含有量は5〜60重量%にするのが好ましい。5
重量%以下ではガラス繊維による補強効果が明確ではな
く、また60重量%を越えると成形が困難である等の理由
による。水系ディスパージョン処理により付着する熱可
塑性樹脂は、該ガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の
樹脂成分100重量%中1〜99重量%、押出被覆により付
着する熱可塑性樹脂は、該ガラス繊維強化熱可塑性樹脂
成形材料の樹脂成分100重量%中99〜1重量%にするの
が好ましい。
〔実 施 例〕
以下、実施例で本発明のガラス繊維強化熱可塑性樹脂
成形材料の製造方法を、熱可塑性樹脂としてポリアミド
6/6を利用した場合を例にして詳述する。これらの例
は、励磁のために示すもので本発明はこれらに限定され
ない。
なお、実施例、比較例に記載した成形材料の評価は、
次の方法に従って実施した。
(1)ガラス繊維フィラメントの脱落 得られた成形材料(ペレット)を引取方向に沿って割
り、ガラス繊維フィラメントが容易に脱落するかを観察
した。
(2)ガラス繊維含有量、熱可塑性樹脂粉末付着量ペレ
ット、あるいは熱可塑性樹脂粉末を付着させ乾燥溶融
後、冷却したガラス繊維ロービングを、650℃の電気炉
に45分間投入して樹脂分を焼却し、その前後の重量より
算出した。
(3)ペレット断面観察 ペレットを2液性のエポキシで包埋し、ライツゼーゲ
ミクロトーム1600型によって薄片を作成し、偏光顕微鏡
によって、またペレタイザーによるペレットの切断面を
直接電子顕微鏡で観察することによって、ペレット内で
のガラス繊維の分散状態を観察した。
(4)成形品中でのガラス繊維の分散 東芝機械(株)製IS 150E射出成形機を用いて、130mm
×130mm×3mmのプレートを成形し、目視観察した。
(5)成形片中でのガラス繊維長さ (4)に示した方法で成形したプレートの中央20mm×
20mmの部分を切りだし、90%ギ酸に浸漬して樹脂を溶解
させる。残ったガラス繊維400本以上の長さを測定し
て、重量平均長さを算出した。
(6)曲げ試験 (4)に示した方法で成形したプレートから、流動方
向と、流動方向と直角な方向でASTM D 790に従ってテス
トピースを切りだし、曲げ試験を実施した。
(7)高速面衝撃破壊エネルギー (4)に示した方法で成形したプレートから、80mm×
80mmのテストピースを切りだし、インストロン1331型高
速衝撃試験機(打突先端半径1/2inch、打突速度1〜1.1
m/sec)を使用して、高速面衝撃試験を実施し、得られ
たチャートより破壊エネルギーを読み取った。
(8)ノッチなしIZOD衝撃強度 (4)に示した方法で成形したプレートから、打突方
向が流動方向に沿うようにASTM D 256に従ってテストピ
ースを切りだし、試験した。
実施例 1 容量5Lの液水槽に、旭化成工業(株)製レオナ9200
〔ポリアミド6/6とポリアミド6の共重合体、融点245
℃、溶融粘度1160ポイズ(260℃)〕を、ダイガス/ホ
ソカワ製リンレックスミル超低温粉砕装置を用いて、凍
結粉砕して得た粉末(重量平均粒径48μ)の濃度が10重
量%である水系ディスパージョン2Lを投入して、新東科
学(株)製ヘイドンリニテーターTYPE33Bを用いて、液
水槽中の水系ディスパージョンを撹拌した。ガラス繊維
ロービング(フィラメント径16μ、収束本数4300本)を
該液水槽に浸漬して、3m/minの速度で引き取った。5分
毎にサンプリングして上述の方法に従って付着樹脂量を
測定した。その結果、初期の付着樹脂量70重量部が15分
後でも67重量部を維持していた。
実施例 2 粉末の重量平均粒径が125μである以外は、実施例1
と同様に撹拌して付着樹脂量を測定した。その結果、初
期の付着樹脂量186重量部、5分後には31重量部、15分
後には63重量部であった。
実施例 3 ガラス繊維ロービング(フィラメント径13μ、収束本
数1700本)6束を、実施例1と同様に水系ディスパージ
ョン中に浸漬し、熱可塑性樹脂粉末(ポリアミド6/6と
ポリアミド6の共重合体粉末)を付着させたロービング
を300℃の雰囲気で乾燥溶融させ、押出被覆ダイへ導い
た。該乾燥溶融後の熱可塑性樹脂粉末を付着させたガラ
ス繊維ロービングの組成は、ガラス繊維85重量部、ポリ
アミド6/6とポリアミド6の共重合体15重量部であっ
た。
旭化成工業(株)製レオナ1300〔ポリアミド6/6、融
点263℃、溶融粘度1370ポイズ(280℃)〕を単軸押出機
で押出し、押出被覆ダイへ供給した。押出被覆されたス
トランドをペレタイザーにより10mm長さのペレットに切
断して、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを製造
した。本ペレットのガラス繊維含有量は、54重量%であ
った。該ペレットを先述の方法で評価した結果を第1表
の実施例3の項に示す。
比較例 1 ガラス繊維ロービング(フィラメント径13μ、収束本
数3000本)4束を使用して予備処理を実施しない他は実
施例2と同様の方法で、の方法による従来のワイヤー
コーティング方法によるガラス繊維強化ポリアミド樹脂
ペレットを製造した(ペレット長さ10mm、ガラス繊維含
有量46重量%)。しかしながら、該ペレットは、きれい
にペレタイズできず、ペレット端面からガラス繊維がは
みででおり、射出成形機のホッパーからシリンダー内に
食い込まず成形できなかった。評価結果を第1表の比較
例1の項に示す。
比較例 2 予備処理として、実施例1で使用した熱可塑性樹脂粉
末(ポリアミド6/6とポリアミド6の共重合体粉末)中
を、ガラス繊維ロービングを通過させて、300℃の雰囲
気で付着した粉末を溶融させる他は、比較例2と同様の
方法で10mm長さのガラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレッ
トを製造した。本ペレットのガラス繊維含有量は45重量
%であった。該ペレットを先述の方法で評価した結果を
第1表の比較例2の項に示す。
参考例 1 旭化成工業(株)製レオナ1300ペレットとガラス繊維
チョップドストランド(フィラメント径13μ、長さ3m
m)を用いて、2軸押出機で、従来のの方法によるガ
ラス繊維強化ポリアミド樹脂ペレットを製造した。本ペ
レットのガラス繊維含有量は46重量%であった。該ペレ
ットを先述の方法で評価した結果を第1表の参考例1の
項に示す。
〔発明の効果〕 本発明のガラス繊維強化熱可塑性樹脂成形材料は、従
来の射出成形機や押出成形機で成形でき、それによって
得られた成形品は、ガラス繊維による補強効果が非常に
すぐれ、かつガラス繊維の分散が均一であるという効果
を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法で用いる装置の構成を示す図であ
る。 1……ガラス繊維ロービング 2,4……引取ローラー、3……前処理液槽 5……乾燥溶融炉 6……加熱プレスローラー、7……押出機 8……押出被覆ダイ、9……冷却水槽 10……ペレタイザー 11……ペレットホッパー、12……熱可塑性樹脂 13……ガラス繊維ロービングケーキ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29B 9/00 - 9/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス繊維ロービングを押出被覆する熱可
    塑性樹脂または該熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂の
    粉末を主成分とする水系ディスパージョンで予め処理し
    て、熱可塑性樹脂の粉末を付着させ、乾燥溶融後、熱可
    塑性樹脂で押出被覆し、ストランドを形成させ、これを
    切断することを特徴とするガラス繊維強化熱可塑性樹脂
    成形材料の製造方法。
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