JP2819480B2 - 固形離型剤 - Google Patents

固形離型剤

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JP2819480B2 JP2141879A JP14187990A JP2819480B2 JP 2819480 B2 JP2819480 B2 JP 2819480B2 JP 2141879 A JP2141879 A JP 2141879A JP 14187990 A JP14187990 A JP 14187990A JP 2819480 B2 JP2819480 B2 JP 2819480B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は固形離型剤に係わるものであり、より詳しく
はアルミニウム等の押出成形特に押出成形機のダイリン
グ、コンテナ及び押出しヘッド先端のダミーブロック等
とアルミニウム等のビレットとの融着を防止するのに用
いる固型の離型剤に係わるものである。
(従来の技術) 従来アルミニウム、銅等の押出し成形時に押出し成形
機の押出しヘッドの先端ダミーブロックとアルミニウム
等のビレットとの融着を防止する為に用いられる離型剤
としては水を溶媒とし離型性を有する各種粉体等を混合
してなる水溶媒系離型剤、潤滑油単体又は潤滑油に離型
性を有する各種粉体を混合してなる潤滑油系離型剤及び
有機溶剤等に各種離型性を有する粉体等を混合してなる
アルコール系離型剤等の溶液状の離型剤が製造され用い
られている。
しかし、液状の離型剤は流動する為目的箇所以外の箇
所にも塗布されて製品の品質に悪影響を与える惧れが大
きい上、離型剤が作業床に流れ落ち作業環境を悪化させ
る等種々の問題点がある。
そこで近年固形の離型剤が研究され、常温で固化する
1種のワックス状物質に潤滑性粉体を分散せしめてなる
離型剤が一部で開発されてきた。
(発明が解決しようとする問題点) しかし、従来の固形離型剤には、その溶融性に係わる
問題があった。
すなわち、固形離型剤は、450〜500℃に熱せられた面
に塗布される為に、離型剤中に配合されているワックス
状物質の融点が低いと、接触させた時溶けて流れ落ち、
所謂ダレを生じる。よって、なるべく融点の高いワック
ス状物質を使用することが望まれるが、しかしその一
方、融点の高いワックス状物質を使用すると、塗布面へ
の伸びが悪く均一塗布が不可能となる、含有する粉体に
よりスラッジが発生し易くなる、製品への巻き込みが生
じる等の問題が持ち上がってくる。
この様なワックス状物質の融点に関する問題を解決す
る目的で、融点が80〜150℃のワックス状物質と高温接
着剤を併用する方法が提案されている。(特開平1−27
1492)しかしながらこの方法は、融点の制限から使用可
能なワックス状物質の種類が極めて少数に限られる難点
のほか、塗布面の高温に比してワックス状物質の融点が
低過ぎる為にやはりダレ落ちを生じる傾向があり、これ
を防止する為に潤滑性の付与には直接関係のない高温接
着剤を多量使用すると、均一塗布が困難となり、あるい
は作業性が低下する等の問題点を有している。
(問題点を解決する為の手段) 本発明者等は従来離型剤の難点を解決すべく鋭意検討
した結果、高融点のワックス状物質と、驚くべきこと
に、低融点のワックス状物質の少なくとも2種類のワッ
クス状物質を混合し使用することによって、前述の問題
点を克服した優れた固型離型剤が得られることを見出
し、本発明に到達した。
即ち、本発明の目的は、塗布時にダレが生じにくく、
且つ塗布面への伸びが良く、スラッジ及び製品への巻き
込みが生じなく、潤滑性、離型性、作業性も優れた固形
離型剤を提供することにある。
しかして、かかる本発明の目的は、140〜280℃の融点
を持つ少なくとも1種類の高融点ワックス状物質、該高
融点ワックス状物質の融点より30℃以上低く、且つ40〜
130℃の融点を持つ少なくとも1種類の低融点ワックス
状物質、及び潤滑性粉体を含むことを特徴とする固形離
型剤により、容易に達成される。また、好適な態様とし
ては低融点ワックス状物質が、70〜130℃の融点を持つ
ワックス状物質と、40〜65℃の融点を持つワックス状物
質と組み合わせたものであることが好ましい。
(作 用) 以下、本発明を詳細に説明する。
本発明固形離型剤に用い得る潤滑性粉体とは、それ自
体が離型性、潤滑性に富む粉体であって、離型剤として
用いられる温度範囲において変質せず、断熱性にも富む
ものが好ましく、具体的には黒鉛粉、炭素粉、カーボン
ブラック、タルク、フッ化黒鉛、マイカ粉、窒化硼酸、
酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブテン、炭酸カルシウ
ム、酸化マグネシウム、ポリテトラフルオロエチレン、
有機モリブテン、メラニンシアヌレート、ポリイミド、
ポリアミド、アセタール、軟質金属等の単独又は組合せ
が挙げられる。
潤滑性粉体の粒径は微細である程その潤滑剤及び離型
剤としての効果が顕著であり、本発明では粒径43μm以
上の粒子は除去して用いることとし、又、平均粒径の点
では15μm以下のものを用いるのが好ましい。
該粉体の含有量は一般には、5〜70wt%の広い範囲か
ら目的に応じて選択されるが、具体的には、それぞれ使
用する粉体の種類により好適な範囲が異なり、例えば、
タルクを用いる場合は40〜70wt%、黒鉛粉末を用いる場
合は5〜40wt%が好ましい。勿論2種類以上の潤滑性粉
体を併用することもできる。
本発明固形離型剤に用い得るワックス状物質としては
例えば飽和脂肪酸類、不飽和脂肪酸類、エステル類、脂
肪酸アマイド類、硬化油類、硬化脂肪酸類、金属石鹸
類、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ類、アルコール
サルフェート類、アルキルメチルタウライド類、ポリオ
キシエチレンアルキルフェノールエーテル類、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンア
ルキルアリルエーテル類、ポリエチレングリコール類、
ポリエチレンワックス類、パラフィン系炭化水素系ワッ
クス類、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、
マイクロクリスタリンワックス類及びα−オレフィン類
等の単独又は組合せが挙げられる。
このうち、脂肪酸アマイド類、硬化油類、金属石鹸類
及びポリエチレンワックス類からなる群から選ばれた複
数種のワックス状物質を、本発明の特徴に基づき適宜組
合せ用いた場合には、潤滑性粉体を非常に均一に分散せ
しめ得る混合ワックスが得られ、好ましい。
本発明の特徴である高融点ワックス状物質は、140〜2
80℃、好ましくは150〜260℃の融点を持つワックス状物
質であって、具体的例としては、混合脂肪酸ソーダ石
鹸、エチレンビスステアロイドアマイド、ステアリン酸
亜鉛、及びエチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げ
られ、これら高融点ワックス状物質のうち、特に200℃
以上の融点を有する混合脂肪酸ソーダ石鹸、エチレンビ
スステアロイドアマイド等は、従来の固形離型剤には、
融点が高すぎる為使用不可能とされていたワックス状物
質である。該高融点ワックス状物質の固形離型剤中の含
有量としては、使用される潤滑性粉体、及びワックス状
物質の種類などによって異なるが、一般に5〜70wt%、
より好まくは10〜60wt%、最も好ましくは15〜50wt%の
範囲から選択すれば良い。
低融点ワックス状物質は、高融点ワックス状物質より
30℃以上、好ましくは50℃以上低く、且つ融点範囲40〜
130℃、好ましくは50〜100℃の融点を持つワックス状物
質であって、具体的例としては、ヒマシ硬化油、カルナ
バワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャンデ
リラワックス、牛脂硬化油、ステアリン酸、フーローワ
ックス、白蝋等が挙げられ、特に牛脂硬化油、ステアリ
ン酸、フーローワックス、白蝋等は融点が40〜65℃の
為、従来の固形離型剤には使用不可能とされていたワッ
クス状物質である。
該低融点ワックス状物質の固形離型剤中の含有量とし
ては、使用される潤滑性粉体、及びワックス状物質の種
類などによって異なるが、一般に10〜70wt%、より好ま
しくは、15〜60wt%の範囲から選択される。
本発明の最も好適な態様においては、3つの融点範囲
から選ばれたワックス状物質を組み合わせることが好ま
しく、詳しは、140〜280℃、好ましくは150〜260℃の融
点を持つワックス状物質を含有重量比5〜70wt%、好ま
しくは10〜60wt%で含み、70〜130℃の融点範囲を持つ
ワックス状物質を含有重量比10〜50wt%、好ましくは15
〜40wt%で含み、40〜65℃の融点範囲を持つワックス状
物質を含有重量比10〜40wt%、好ましくは15〜30wt%で
含む固形離型剤が、良好な効果を示す。
上記のワックス状物質は酸化しない様にその融点をわ
ずかに超える温度で溶解して混合し、前記潤滑性粉体を
均一に分散せしめた後型に流し込み、放置して固化させ
るのが普通だが、主としてワックス状物質からなる中空
筒状体の中空部分に主として潤滑性粉体からなる充填物
を充填して、外側と内側とで潤滑性粉体を含有割合の異
なる柱状固形離型剤とすることもできる。又、型に入れ
て成形する以外にも押出し成形等の成形法が考えられ
る。
固形離型剤をダミーブロック等の塗布面に塗布してな
る塗膜が、該塗布面に強く接着せしめられてダミーブロ
ック等の多数回の使用に耐えれば、塗布を頻繁に行う必
要がなくなり、好ましいが、かかる多数回の使用を実現
するには、潤滑性粉体の一部に、例えば酸化チタン等の
塗布面に接着され易い粉体を用いる、ワックス状物質の
一成分として低分子量ポリエチレンワックス等の接着力
の強いものを用いる等の方法が考えられる。より具体的
には、酸化チタン又は低分子量ポリエチレンワックスを
用いる場合にはその離形剤全体に占める割合はそれぞれ
5〜25wt%又は10〜25wt%程度とするのが好ましい。な
お、本発明においては必ずしも必要ではないが、場合に
より、接着剤を用いても良く、その場合には他の成分と
よく混ざり合う熱硬化性の接着剤、即ち、油変性フェノ
ール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ブテン変性フェ
ノール樹脂又はエポキシ樹脂等の単独又は組合せを選
び、固型離型剤中に1〜8wt%、好ましくは2〜7wt%含
有せしめるのが好ましい。
このほか本発明の固形離型剤には必要に応じて油性分
散剤、酸化防止剤等潤滑性粉体及びワックス状物質以外
の成分を添加してもよい。
本発明の離型剤は、アルミニウム、銅等のビレットに
接触して熱せられたダミーブロック等に塗布することを
考慮すると、環球法により測定された離型剤の総合融点
が45〜250℃、より好ましくは55〜220℃となる様塗布す
べき面の温度に応じて選択するのが好ましく、中でもア
ルミニウムの押出機用としては該総合融点が70℃以上21
0℃以下となる様に選択するとよく、該押出機ヘッド先
端のダミーブロック等に自動塗布する場合は110〜210℃
程度、手で塗布する場合は70℃以上170℃以下、より好
ましくは80℃以上150℃以下となる様に選択するのがよ
い。該総合融点が高すぎると固形離型剤の使用中にスラ
ッジを生じ、低すぎると使用時にダレを生じ、いずれの
場合も均一に塗布が難しくなる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明する
が、本発明はその要旨を超えない限り下記実施例によっ
て限定されるものではない。
(実施例1〜3) 酸化しない様にできるだけ低温で加熱され、且つ充分
に軟化し、流動するまで加熱された表1記載のワックス
状物質に、潤滑性粉体として、タルクを混合し、均一に
分散せしめてなる混合物を直径70mm、高さ100mmの円筒
状の鋳型に流し込んで固化させることにより、表に示す
原料からなる固形離型剤を製造した。
得られた固形離型剤を使用テストとしてアルミニウム
押出機のダミーブロックのアルミニウムビレットとの接
触面に均一に塗布し、該アルミニウム押出機を用いて直
径6〜7インチ、長さ700mmの円柱状アルミニウムビレ
ットの押出しを繰り返して、塗布膜の均一性、ダレの程
度、作業性、離型性、製品への巻き込みの程度、ライフ
性を目視にて評価した。その結果を表1に示す。
(実施例4〜6) 潤滑性粉体として、黒鉛粉体を使用した以外は前記実
施例1〜3と同様にして表に示す原料から固形離型剤を
製造し、使用評価を行った。その結果を表2に示す。
(効 果) 本発明の固形離型剤は、従来品と比較して塗布時のダ
レが少なく、塗布面への伸びが良く、塗布膜が均一で、
製品への巻き込みが生じないという安定な溶融性を持
ち、離型性、潤滑性、作業性も良好で、且つ1回の塗布
当たりの使用可能回数が大きい等の、離型剤としてのす
べての効果を有し、多大な工業的利益を提供するもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 159/06 C10M 159/06 // C10N 20:00 40:24 40:36 50:08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】140〜280℃の融点を持つ少なくとも1種類
    の高融点ワックス状物質、該高融点ワックス状物質の融
    点より30℃以上低く、且つ40〜130℃の融点を持つ少な
    くとも1種類の低融点ワックス状物質、及び潤滑性粉体
    を含むことを特徴とする固形離型剤。
  2. 【請求項2】低融点ワックス状物質が、70〜130℃の融
    点を持つワックス状物質と、40〜65℃の融点を持つワッ
    クス状物質を組み合わせたものである請求項1記載の固
    形離型剤。
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