JP2819460B2 - 高活性籾殻灰の製造方法及びその装置 - Google Patents

高活性籾殻灰の製造方法及びその装置

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    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高活性籾殻灰の製造方
法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】籾殻を600〜900°Cの適温で燃焼
させると、ポゾラン活性の高い籾殻灰が得られる。この
籾殻灰をコンクリートやモルタルに混和すると、強度増
進等の数々の利点があることは、例えば、コンクリート
工学年次論文報告集(1993年・第15巻・1号)の
杉田氏らの「高活性もみがら灰製造方法とそれを用いた
コンクリートの性質」、原田氏らの「籾殻灰を混和した
モルタルの基礎的性状」等の論文によって既に知られて
いる。
【0003】籾殻灰の品質は主にポゾラン活性度と未燃
炭素量によって左右される。すなわち、燃焼温度が高す
ぎた場合には、クリストバライトなどの鉱物が生成して
ポゾラン活性が低下する。また、燃焼温度が低すぎた場
合、或いは燃焼時間が短すぎた場合には、未燃炭素が増
加する。
【0004】籾殻灰をコンクリートやモルタルに混和し
た時に、籾殻灰のポゾラン活性が低いと、例えば強度増
進が低下する。また未燃炭素が多いと、AE剤・減水剤
等のコンクリート混和剤の効果を減じさせるために大量
の混和剤を使用する必要性が生じる。混和剤を大量に使
用することは、コンクリートの物性面、コスト面で好ま
しくない。そこで、籾殻灰をコンクリートやモルタルに
使用する場合には、高いポゾラン活性を維持したまま、
籾殻灰の未燃炭素を極力少なくすることが必要となる。
【0005】従来、籾殻灰の製造方法として、流動床方
式のものが、例えば特開昭60−36360号公報とし
て、バッチ方式のものが、例えば特開平6−15709
2号公報や、農業機械学会誌(第34巻・第4号)の小
泉氏らの「もみがらの焼成法について」等の論文によっ
て公開されている。その他にも、特開昭57−1673
88号公報,特開昭58−103587号公報,特開昭
58−187708号公報,特開平5−17778号公
報,特開平5−239467号公報及び農業機械学会誌
(第39巻・第1号)の山下氏の「籾殻焼成炉」等によ
り、籾殻の燃焼装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらのもの
は主に籾殻の処理やくん炭の製造を目的としており、高
活性籾殻灰の製造には適さない。即ち、上記の様な従来
の方法において、流動床方式の場合、燃焼室内に投入さ
れた籾殻は流動媒体を流動させるための送風(見かけ風
速〔送風量/通気面面積〕が0.40〜0.80m/
s)によって、燃焼後直ちに燃焼室内より排出されるた
め燃焼時間が短く、未燃炭素を十分燃焼させることがで
きない。未燃炭素を減じさせるために、燃焼室内の温度
を上げれば未燃炭素を減少させることはできるが、籾殻
灰のポゾラン活性は低くなる。
【0007】また籾殻を直接流動床に投入して燃焼させ
ると、籾殻の可燃揮発成分の着火,燃焼が急激に生じる
ために、籾殻中のカリウムがSiO2 と反応して溶融状
態となり、その時に未燃焼の炭素を溶融物中に取り込
み、酸素との接触を妨げるために未燃炭素が多く残留す
る。
【0008】一方、バッチ方式の場合、籾殻の燃焼温度
及び燃焼速度は供給酸素量によって決まり、供給酸素量
が多いほど籾殻の焼成温度が高く、燃焼速度が早い(基
礎試験データから)。籾殻灰のポゾラン活性を高くする
ために籾殻を低温で焼成するためには、供給する酸素量
が限られ、長時間の燃焼時間を要するという欠点があ
る。長時間の燃焼はコスト面から好ましくない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
従来の問題点を解決するために成されたもので、ポゾラ
ン活性が高く、且つ未燃炭素の少ない高活性籾殻灰を効
率的に製造できるものを提供することを目的としたもの
であり、その要旨は、燃焼室内の堆積籾殻層の上部に着
火し、下部から自然大気を送風して前記堆積籾殻層の最
上部より下部へ向けくん炭化を進展せしめるとゝもに、
くん炭化完了後に最下部より上部へ向け灰化するに際
し、燃焼により発生する排気ガスの一部と自然大気とか
らなる混合燃焼ガスを前記堆積籾殻層の下部から送風す
ることを特徴とする高活性籾殻灰の製造方法及びその装
置にある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施例
により詳細に説明するに、図において、1は焼成炉本体
で、該焼成炉本体1の内部は、籾殻及び籾殻灰が落下し
ない程度の小孔を多数形成した通気床2により、上部の
燃焼室3と下部の送風室4とに区画されている。そし
て、前記燃焼室3の上面には開閉蓋5を有する籾殻投入
口6が、また下部には開閉蓋7を有する籾殻灰排出口8
が夫々設けられている。
【0011】9は前記燃焼室3の上面に連結した排気管
で、その途中には帰還管10が分岐しており、この帰還
管10は排気ガス用送風機11及び風量制御バルブ12
を介して導入管13と連結している。14は空気用送風
機で、風量制御バルブ15を介して前記導入管13と連
結しており、該導入管13の他端は前記送風室4に連結
されている。なお、前記風量制御バルブ12及び15を
用いずに、インバータ等により排気ガス用送風機11及
び空気用送風機14の出力を変えて燃焼温度を調節する
ことも可能である。
【0012】16は前記燃焼室3の側面に設置した熱電
対のような温度計で、所定高さ毎に複数個設置されてお
り、この温度計16により燃焼室3内の温度を測定して
制御盤17により前記風量制御バルブ12及び15を夫
々制御し、空気用送風機14から送られる自然大気と、
帰還管10から送られる籾殻燃焼時に発生する排気ガス
とからなる混合燃焼ガスの送風量を夫々調節することに
より、燃焼室3の燃焼温度が適温、例えば600〜90
0℃となるように制御されている。
【0013】つぎに、前記装置の作用について説明する
と、前記燃焼室3に籾殻投入口6から籾殻を投入して、
燃焼室3の容積の九割程度まで詰め込む。この際、燃焼
室3の籾殻灰排出口8が閉じられていることは勿論であ
る。次いで、空気用送風機14により自然大気の送風を
行う。この空気用送風機14により送風された自然大気
は、風量制御バルブ15で適正な送風量に制御され、送
風管13,送風室4,通気床2,燃焼室3(堆積籾殻層
C),排気管9の順に通過し、大気に排出される。
【0014】つぎに、燃焼室3内の籾殻に着火する。そ
の着火方法は、籾殻投入口6から燃焼室3内に詰め込ん
で堆積した堆積籾殻層Cの上部に灯油を0.1リットル
程度かけ、マッチ等で着火し、着火を確認した後、籾殻
投入口6を閉じる。このように、堆積籾殻層Cの下部よ
り自然大気を送風し、堆積籾殻層Cの上部に着火するこ
とにより、堆積籾殻層Cの最上部より下部へと籾殻のく
ん炭化が進展する。このくん炭化の際の空気用送風機1
4による自然大気の送風量は、見かけ風速が0.02〜
0.10m/sが好ましい。
【0015】このとき、籾殻が既にくん炭化が完了した
部分では、それよりも下層のくん炭化が進行している部
分で、送風した前記自然大気の酸素が消費されるため、
灰化は行われず、くん炭にとどまる。また、燃焼室3内
の酸素濃度が低いため、籾殻のくん炭化の際に発生する
可燃揮発成分の着火,燃焼も起こらない。
【0016】籾殻のくん炭化が堆積籾殻層Cの最下部ま
で進展した後、この最下部より上部へと籾殻の灰化が進
展する。この時、くん炭化した籾殻が燃焼して灰化にな
る際に発生する排気ガスの一部は、帰還管10,排気ガ
ス用送風機11,風量制御バルブ12,送風管13,送
風室4,通気床2を順次に通過し、再び燃焼室3内に導
入される。同時に、空気用送風機14から風量制御バル
ブ15で適正な送風量に制御された自然大気もまた、前
記排気ガスと一緒に燃焼室3内に導入されることにな
る。
【0017】このように、くん炭の灰化の際に発生する
排気ガスを導入することによって、燃焼室3内に送風さ
れる混合燃焼ガス(自然大気+排気ガス)の酸素濃度が
低くなるため、混合燃焼ガスの送風量を増すことができ
る。したがって、くん炭化した籾殻が燃焼する時に発生
する熱をこの混合燃料ガスが吸収し、吸収したこの熱を
上部の未燃部の籾殻へ伝達し、炉外へ排出することにな
る。
【0018】排気ガスを導入せずに、自然大気のみで燃
焼して灰化を行うと、通気床2の通気面面積が1.13
2,燃焼室3の寸法が内径1,200mm×高さ2,0
00mm、内容積2.26m3 とした場合、燃焼が完了
する迄に約7日間要するが、排気ガスを導入すると約
1.5日間で完了する。この灰化の際の好ましい送風量
は、見かけ風速で、自然大気が0.007〜0.015
m/s,排気ガスが0.07〜0.10m/sである。
【0019】籾殻の灰化が堆積籾殻層Cの最上部まで進
展し、焼成炉本体1内の温度が所定の温度まで降下した
後に、この籾殻灰を籾殻灰排出口8から排出する。この
排出された籾殻灰は、ボールミルのような粉砕装置で適
当な粒度に粉砕することによって、コンクリート混和材
等として使用できる。
【0020】図2に示すものは、前記帰還管10の途中
に熱交換器18を介装した他の実施例である。この熱交
換器18を介装することによって、帰還管10を通る排
気ガスの温度を下げることができるため、堆積籾殻層C
の灰化した部分を下部から上部に向け順次冷却すること
になる。したがって、焼成炉本体1内の温度が所定の温
度まで降下するに要する時間を短縮することができ、燃
焼時間の短縮を図ることができる。更に、籾殻燃焼時に
発生する熱を、例えば、ライスセンターの籾の乾燥等に
利用することもできる。
【0021】図3に示すものは本発明方法で得た籾殻灰
のX線回折図で、焼成炉本体1内の雰囲気温度は約70
0℃であったにも係わらず、20.4から22付近に現
れるX線回折のピークは、従来の流動床方式を用い炉内
雰囲気温度約700℃の条件下で得られた籾殻灰の図4
に示すX線回折のピーク高さより低く、クリストバライ
ト等の結晶物の生成が抑制されていることを示してい
る。よって、本発明方法により得られた籾殻灰は、従来
の流動床方式で得られた籾殻灰よりも高いポゾラン活性
を持つことが分かる。また、籾殻灰の未燃炭素について
も、2.5〜3.5%であるのに対し、本発明方法で得
られた籾殻灰では1.0%以下で、著しく少ない。
【0022】表1に示すものは、籾殻灰を混入しない普
通セメントモルタル供試体をM0、従来の流動床方式に
よる籾殻灰を混和材として用いたセメントモルタル供試
体をM1、前記本発明方法で得た籾殻灰を混和材として
用いたセメントモルタル供試体をM2の、それぞれのセ
メントモルタルの配合および圧縮強度を示す。
【0023】この表1から明らかなように、本発明方法
で製造された籾殻灰をセメントモルタルに混和すること
によって、大きな強度増進が認められた。一方、従来技
術である流動床方式を用いて製造された籾殻灰の混和に
よるセメント供試体M1の強度増進は認められたが、そ
の程度は低かった。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明は、上記のように、籾殻のくん炭
化と灰化を分けて行ない、且つ燃焼室内に送風する空気
の送風量及び酸素濃度を適度に制御することによって、
燃焼温度の過上昇を防ぎ、且つ安定した燃焼を短時間で
行うことができ、未燃炭素が少なく、且つポゾラン活性
度の高い高品質の籾殻灰を得ることができる。また、本
発明の製造方法では、従来の流動床方式を利用した場合
と比べて、籾殻灰中の未燃炭素は著しく少なく、更に従
来のバッチ方式に比べ、燃焼完了までの時間を大幅に短
縮することができる、といった諸効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る籾殻焼成装置の概略構成図であ
る。
【図2】他実施例の籾殻焼成装置の概略構成図である。
【図3】本発明で得られた籾殻灰のX線回析図である。
【図4】従来の籾殻焼成装置で得られた籾殻灰のX線回
析図である。 〔図面の簡単な説明〕 1 焼成炉本体 2 通気床 3 燃焼室 4 送風室 5 開閉蓋 6 籾殻投入口 7 開閉蓋 8 籾殻灰排出口 9 排気管 10 帰還管 11 排気ガス用送風機 12 風量制御バルブ 13 送風管 14 空気用送風機 15 風量制御バルブ 16 温度計 17 制御盤 18 熱交換器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 18/10 C10B 53/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼室内の堆積籾殻層の上部に着火し、
    下部から自然大気を送風して前記堆積籾殻層の最上部よ
    り下部へ向けくん炭化を進展せしめるとゝもに、くん炭
    化完了後に最下部より上部へ向け灰化するに際し、燃焼
    により発生する排気ガスの一部と自然大気とからなる混
    合燃焼ガスを前記堆積籾殻層の下部から送風することを
    特徴とする高活性籾殻灰の製造方法。
  2. 【請求項2】 排気ガスの熱を熱交換器により放熱する
    ことを特徴とする請求項1記載の高活性籾殻灰の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 燃焼炉本体の内部を籾殻及び籾殻灰が通
    過しない通気床により上下に仕切って燃焼室と送風室と
    を夫々形成するとゝもに、前記燃焼室の上部に連結した
    排気管の途中から分岐する排気ガスの帰還管と自然大気
    の送風管とを前記送風室に連結した構成としたことを特
    徴とする高活性籾殻灰の製造装置。
  4. 【請求項4】 排気ガスの帰還管に熱交換器を設けたこ
    とを特徴とする請求項3記載の高活性籾殻灰の製造装
    置。
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