JP2009002594A - 小型籾殻灰製造燃焼炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】各地にあるライスセンタ−から排出される籾殻を運搬しないで、その場で容易にコンクリ−ト添加剤やシリカ肥料として利用できる非晶質シリカが製造できる可搬式小型籾殻灰製造燃焼炉。
【解決手段】籾殻灰製造燃焼炉の焚き口上面及び側壁に密着する金網に籾殻を詰め、その籾殻の中心部に金網の底から籾殻の上面に到る長さで複数の通風穴の空いた通風管を炉内中心部に垂直に立て、燃焼炉下部の炊口から籾殻に着火し、同時に炊口で燃料を連続的に燃やしながら加温空気を通風管と炉壁と金網の隙間を利用して籾殻を完全に自燃させて非晶質シリカを製造する。
【選択図】 図1
【解決手段】籾殻灰製造燃焼炉の焚き口上面及び側壁に密着する金網に籾殻を詰め、その籾殻の中心部に金網の底から籾殻の上面に到る長さで複数の通風穴の空いた通風管を炉内中心部に垂直に立て、燃焼炉下部の炊口から籾殻に着火し、同時に炊口で燃料を連続的に燃やしながら加温空気を通風管と炉壁と金網の隙間を利用して籾殻を完全に自燃させて非晶質シリカを製造する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ライスセンタ−や農家などの籾殻発生場所に簡易に運搬できる小型籾殻灰製造燃焼炉に関する。
国内においては籾殻をそのまま、または野焼きで炭化させて、田圃に散布して地力を増進させたり、畜産農家の敷き藁の代替品としての利用されることが多い。極まれに保温材料として利用されている。これまでに籾殻を灰化すると良質なシリカ原料になることは、各方面の研究で明らかになっているが、籾殻の収集方法、籾殻を完全に灰化する簡単な燃焼炉がなく、収集運搬・灰製造のコストなどの問題で、籾殻灰が工業用原料や、珪酸肥料として利用された例はほとんどない。
籾殻を600度前後の温度で燃焼させると、ポゾラン活性の高い籾殻灰が得られること、この籾殻灰をコンクリートやモルタルの添加剤として使用すると、それぞれの強度が増進するなどの利点があることは、コンクリート工学会の論文などによって既に知られている。また、籾殻灰は珪酸質肥料として使えば病害虫への抵抗を高める効果もあることも独)中央農業総合研究所から発表されている。
コンクリートやモルタルの添加剤や、珪酸質肥料として使用する籾殻灰は、非晶質でかつ未燃カ−ボン量が少ないことが重要な要素である。すなわち、燃焼温度が高すぎたり、燃焼時間が長くなると、籾殻の主成分であるシリカ分は、結晶化してクリストバライトになり、ポゾラン活性が低下する。また、珪酸肥料として利用する場合にも稲の吸収が低下すると言われている。逆に燃焼温度が低すぎたり、燃焼時間が短いと、未燃カ−ボン量が多くなり、セメントに添加すると大量のAE剤・減水剤などの混和剤が必要になる。混和剤を大量に使用することは、コンクリートの物性面,コスト面で好ましくない。
従来、籾殻灰の製造方法としては、籾殻を蒸し焼き状態で燃焼し、くん炭化を経て灰化するバッチ式装置が特開平6−157092号や特開平9−255964号で公開されている。また、大規模な装置で大量の籾殻灰が生産できる流動床式籾殻燃焼装置は、特開平7−269805、特開平7−196312、特開2006−111480、で公開されている。他に、特開平11−141825では炉内に設けられた撹拌支管の先端に取り付けられた送風孔から籾殻層の中に空気を供給し、焼成させる連続炉が公開されている。
特開平7−269805号公報
特開平6−157092号公報
特開平7−196312号公報
特開平9−255964号公報
特開平11−141825号公報
特開2006−111480号公報
しかしながら、日本国内の籾殻の大半が各地に点在するライスセンタ−や一般農家で発生し、それらから排出される籾殻の量も時期も限定され、且つ籾殻は多孔質のため軽量でカサが大きく運搬に不便であることから、上記大規模な籾殻燃焼装置は広範囲の地域からの籾殻の収集、運搬が必要となり適さない。さらに、コストも高く、品質、作業性などの問題から国内では実用化されたものはなかった。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、ライスセンタ−や一般農家などの籾殻発生場所に簡易に運搬でき、非晶質で炭素分の少ない均質な籾殻灰を効率よく生産できると共に、操作が簡単な自然通気を活用した可搬式の小型籾殻灰燃焼炉を提供することを課題とする。
上記課題を達成するための本発明に係る小型籾殻灰製造燃焼炉は、燃焼炉と、燃焼炉底床下部に設けた炊き口と、燃焼炉上部を覆う蓋体と、燃焼炉上部に設けた煙突からなり、下部炊き口から燃料を燃やして、その燃焼ガスと加熱空気により燃焼炉内に投入された籾殻を焼成し籾殻灰を得るようにした小型籾殻灰製造燃焼炉において、燃焼炉内の中央部に通気穴を有する通風管を設け、前記燃焼ガスと加熱空気を通風管の中に送り込み、通風管内の上昇流によって籾殻内部の燃焼ガスや水蒸気を吸引するようにしたものである。第2に、燃焼炉内側面及び底床部に籾殻が通過しない程度の網目の金網を設けて、燃焼炉の内壁及び内底面との間に隙間を形成し、当該隙間より金網内の籾殻にその外周面及び底面から燃焼ガスと加熱空気を供給するようにしたものである。第3に、燃焼炉上部を覆う蓋体を開閉式として、開放された燃焼炉上部より燃焼炉内に設けられた金網を出し入れ自在と成し、籾殻灰製造後に金網を上部から取り出せるようにしたものである。第4に煙突と通風管の少なくとも一方に筒内を開閉するダンパーを設け、炊き口での燃焼調整及び当該両ダンパ−調整により燃焼炉内温度を制御するようにしたものである。
通風管の通気穴から燃焼炉内に投入された籾殻内部の燃焼ガスや水蒸気を吸引することにより、籾殻を均一に焼成し、非晶質で炭素分の少ない均質な籾殻灰を効率よく生産できる。また、極めて簡単な構成且つ低コストで小型籾殻灰製造燃焼炉を提供することができる。第2に燃焼炉の内壁及び内底面との間に形成された隙間から、金網内に堆積した籾殻にその外周面及び底面から燃焼ガスと加熱空気を供給することにより、燃焼炉内温度分布を一様に維持して燃焼ムラをより一層少なくし、完全な非晶質で未燃カーボンの少ない均質な籾殻灰を極めて容易に、かつ効率的に製造することができる。第3に開放された燃焼炉上部より金網を出し入れ可能とすることにより、籾殻及び籾殻灰の燃焼炉内外への出し入れが簡単で作業性を向上できる。第4に温度計により燃焼室内の温度を計測しながら炊き口での燃焼調整と通風管又は煙突に取り付けられたダンパ−調整により、燃焼炉2内の温度調整も簡易に行うことができ、燃焼温度が急激に600度以上の高温になるのを防ぎ、温度ムラを無くして一様に600度以下に維持する。それにより、籾殻灰がクリストバライト化することを防止し、完全な非晶質シリカとする
この排出された籾殻灰は、そのままで高溶解性を有するシリカ肥料として、またボールミルのような粉砕装置で適当な粒度に粉砕することでコンクリートやモルタルの添加剤として使用できる。
以下、本発明を図1から図4により詳細に説明する。1は4トン以下のトラツク等で運搬可能な大きさの小型籾殻灰製造燃焼炉、2は籾殻が投入される燃焼炉で、その内側は耐火れんが等の耐熱内壁3としている。4は燃焼炉2の底床下部に設けた炊き口、5は燃焼炉上部を覆う蓋体(金属製フ−ド)で、開閉自在に設けられている。6は燃焼炉上部に位置して蓋体5に設けた煙突。7は燃焼炉2の中央部に設けたその周面に通気穴を有する通風管で、燃焼炉底床面から燃焼炉上部、すなわち籾殻の上面に達するまでの長さとしている。8は燃焼炉2内側面(耐熱内壁3内側面)及び底床部に密着するように設けた金網で、籾殻が通過しない程度の網目で構成してなり、燃焼炉2の内壁及び底床面との間に隙間を形成するようにしている。9は通風管上部と煙突にそれぞれ取り付けられたダンパ−である。10は燃焼炉2に設けられた温度計である。11は前期金網8を燃焼炉2外に取り出すためのクレーンである。
先ず、図3に示すように当該燃焼炉2の上部に取り付けられた蓋体5と煙突6を取り外し、開放された上部から金網8を燃焼炉2内にセットした後、同開放上部から金網8内に籾殻aをぎっしりと詰め込む。次に、その籾殻aの中心部に底面の金網8から籾殻aの上面まで伸びる通風管7を垂直に立て、その後蓋体5を閉じる。そして、当該燃焼炉2の下部の炊き口4から籾殻aに着火し、同時に炊き口4から薪、ガス、灯油などの燃料を燃やして、燃焼ガスと加熱空気を燃焼炉2内部及び通風管7に供給する。
炊き口4の燃焼が始まると籾殻aの中心部に立てられた通風筒7内部には上昇流が発生する。他方燃焼ガスと加熱空気は、燃焼炉2の内壁3及び底床面と金網8とで形成された隙間を介して籾殻aの底面及び外周面から籾殻aの隙間内に直接入る。通風管7内の上昇流は、通風管7に取り付けられた通気穴を通して籾殻a中の燃焼ガスと水分を吸引して、全ての籾殻a内部の燃焼ガスの流れを均等にして、籾殻aの自燃を万遍なく助長し、灰化を促進する。
このような状況で、籾殻aは均一な温度、および酸化雰囲気で自燃し灰化する。連続的に炊き口から薪を燃やすことにより、籾殻a燃焼に必要な酸素を加温空気として供給でき、籾殻aを完全に燃焼させる。
なお、燃焼炉2内の温度は、温度計10により燃焼炉2内の温度を計測しながら通風管7の先端、及び煙突6にそれぞれ取り付けられたダンパ−9の開閉操作で調整、さらに炊き口4の燃焼操作によって燃焼温度が急激に600度以上の高温になるのを防ぐと共に、温度ムラを無くして一様に600度以下に維持する。これにより、籾殻灰がクリストバライト化することを防止し、完全な非晶質シリカとする
また炊き口4の燃焼終了後にも十分な空気が炊き口から供給されるため、図4に示すように籾殻a中に未燃カ−ボンは残らず、カリウムも溶融せず、籾殻灰は非晶質シリカとなる。
燃焼、灰化に要する時間は、20リットル/時間であるが、簡易な装置であるため、1名の作業員で数台の燃焼炉を同時に稼動させることが可能であり効率的である。灰化終了後は、図3に示すように当該燃焼炉2の上部に取り付けられた蓋体5と煙突6を取り外し、開放された燃焼炉2上部からクレーン11により籾殻灰bの入った金網8をそのまま取り出し、袋詰めにして出荷する。
本発明に示す小型籾殻灰製造燃焼炉を用いて得た2つの籾殻灰bにつき、それぞれ品質試験に供した結果について以下説明する。
当該燃焼炉(内寸法:幅56センチメ−トル×奥行き56センチメ−トル×高さ42センチメ−トル)に金網を敷き、その中に天日乾燥した籾殻約100リットルを詰め、籾殻の中心部に通気穴を持つ通風管(長さ47センチメ−トル×径1.2センチメ−トル)を立て、燃焼炉下部の炊き口から籾殻に着火、同時に炊き口で薪を燃やして籾殻内部に加熱空気を供給して籾殻の自燃するのを助けた。着火してから約4時間後に全籾殻の灰化が確認されたので、冷却後籾殻灰の入った金網を燃焼炉から籾殻灰の入った金網を燃焼炉から取り出して、籾殻灰を品質試験に供した。
品質試験結果1
X線回折結果は図4の通り。
品質試験結果2
X線回折結果は図4の通り。
品質試験結果1
X線回折結果は図4の通り。
品質試験結果2
X線回折結果は図4の通り。
図4に示すように、本発明で得られた籾殻灰のX線回折図には、クリストバライトのピークが全く認められず、完全に非晶質である。また、籾殻灰中の未燃カ−ボンについても、従来の方式を用いて得られた籾殻灰が炭素量2.5〜3.5%であるのに対し、本発明の籾殻灰製造燃焼炉で得られた籾殻灰は2.0%以下で少なく、シリカ分は91.0%以上で高い、そのため籾殻灰のポゾラン活性は高い。
なお、上記実施例では、燃焼炉内に金網を設けると共に、上部蓋体を開閉自在と成し、その上部開放部から金網を取り出せるようにしたので、非晶質で未燃カーボンの少ない均質な籾殻灰を極めて容易かつ効率的に製造することができると共に、作業性も良く好ましいが、必要に応じて金網をなくしたり、蓋体を固定式とし、燃焼炉側壁に開閉部を構成して、この開閉部から籾殻、籾殻灰の出し入れを行うようにしてもよい。
また、通風管、煙突にそれぞれダンパーを取り付け、燃焼炉内温度調整を両ダンパ−により調整するようにしたので、より細かくかつ簡易に温度調整が行なえ好ましいが、必要に応じてその一方にダンパーを設けるようにしても良い。
この籾殻灰は、高性能コンクリート用添加材、水硬性セメント硬化材等として有効に活用できる、また農業分野でも高溶解性シリカ肥料としての利用もできる。
a 籾殻
b 籾殻灰
1.小型籾殻灰製造燃焼炉
2.燃焼炉
3.燃焼炉内壁(耐火れんが等)
4.炊き口
5.蓋体(金属製フ−ド)
6.煙突
7.通風管
8.金網
9.ダンパ−
10.温度計
11.クレーン
b 籾殻灰
1.小型籾殻灰製造燃焼炉
2.燃焼炉
3.燃焼炉内壁(耐火れんが等)
4.炊き口
5.蓋体(金属製フ−ド)
6.煙突
7.通風管
8.金網
9.ダンパ−
10.温度計
11.クレーン
Claims (4)
- 燃焼炉と、燃焼炉底床下部に設けた炊き口と、燃焼炉上部を覆う蓋体と、燃焼炉上部に設けた煙突からなり、下部炊き口から燃料を燃やして、その燃焼ガスと加熱空気により燃焼炉内に投入された籾殻を焼成し籾殻灰を得るようにした小型籾殻灰製造燃焼炉において、
燃焼炉内の中央部に通気穴を有する通風管を設け、前記燃焼ガスと加熱空気を通風管の中に送り込み、通風管内の上昇流によって籾殻内部の燃焼ガスや水蒸気を吸引することにより、籾殻を均一に焼成し、均質な籾殻灰を得るようにしたことを特徴とする小型籾殻灰製造燃焼炉。 - 燃焼炉内側面及び底床部に籾殻が通過しない程度の網目の金網を設けて、燃焼炉の内壁及び内底面との間に隙間を形成し、当該隙間より金網内の籾殻にその外周面及び底面から燃焼ガスと加熱空気を供給するようにしたことを特徴とする上記請求項1の小型籾殻灰製造燃焼炉。
- 燃焼炉上部を覆う蓋体を開閉式として、開放された燃焼炉上部より燃焼炉内に設けられた金網を上部から出し入れ自在と成し、籾殻灰製造後に金網を上部から取り出して籾殻灰を回収するようにしたことを特徴とする上記請求項2の小型籾殻灰製造燃焼炉。
- 煙突と通風管の少なくとも一方に筒内を開閉するダンパーを設け、炊き口での燃焼調整及び当該両ダンパ−調整により、燃焼炉内温度、温度分布を一様に600度以下に制御するようにしたことを特徴とする上記請求項1、請求項2、請求項3の小型籾殻灰製造燃焼炉。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007164746A JP2009002594A (ja) | 2007-06-22 | 2007-06-22 | 小型籾殻灰製造燃焼炉 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007164746A JP2009002594A (ja) | 2007-06-22 | 2007-06-22 | 小型籾殻灰製造燃焼炉 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009002594A true JP2009002594A (ja) | 2009-01-08 |
Family
ID=40319169
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007164746A Pending JP2009002594A (ja) | 2007-06-22 | 2007-06-22 | 小型籾殻灰製造燃焼炉 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009002594A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6389349B1 (ja) * | 2018-05-21 | 2018-09-12 | 株式会社M.I.T | 多室型自燃式シリカ製造装置 |
WO2020133534A1 (zh) * | 2018-12-29 | 2020-07-02 | 暨南大学 | 一种稻壳焚烧能量回收利用的装置 |
EP4166353A1 (en) | 2021-10-18 | 2023-04-19 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Tire |
EP4180240A1 (en) | 2021-11-11 | 2023-05-17 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Tire |
-
2007
- 2007-06-22 JP JP2007164746A patent/JP2009002594A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6389349B1 (ja) * | 2018-05-21 | 2018-09-12 | 株式会社M.I.T | 多室型自燃式シリカ製造装置 |
WO2020133534A1 (zh) * | 2018-12-29 | 2020-07-02 | 暨南大学 | 一种稻壳焚烧能量回收利用的装置 |
EP4166353A1 (en) | 2021-10-18 | 2023-04-19 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Tire |
EP4180240A1 (en) | 2021-11-11 | 2023-05-17 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Tire |
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