JP2818195B2 - 耐硫化腐食性、耐酸化性ニッケル基クロム合金 - Google Patents

耐硫化腐食性、耐酸化性ニッケル基クロム合金

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、ニッケル−クロム合金に関し、より詳細に
は、良好な応力−破壊および引張強さおよび他の所望の
性質と一緒に高温での硫化腐食(sulfidation)および
酸化攻撃に対する高度の抵抗を与えるニッケル−クロム
合金に関する。
発明の背景 ニッケル−クロム合金は、多数の各種の腐食環境に対
して各種の抵抗度を与える能力に関して既知である。こ
の理由で、このような合金は、航空宇宙産業でのスーパ
ーアロイからマリン環境までの多様な応用で広く使用さ
れてきた。実用性の1つの特定の分野は、核廃棄物用ガ
ラス化炉においてであった。常用されてきた合金は、溶
融ガラスに沈没された電極材料として且つ鋳込スポイト
用に使用されている公称60Ni−30Cr−10Fe組成である。
また、それは、炉の屋根に装着されたヒーター用および
流出物封じ込め機器用に使用されてきた。
強度およびこのような環境中でと耐食性のため、60Ni
−30Cr−10Fe合金は、約2年、時々2年未満、時々2年
よりも長い時間間満足なサービスを与える。それは、通
常、硫化腐食および/または酸化攻撃、場合によって両
方によって破損する。このように、このような所期の目
的用合金が長期の耐用期間、例えば、3〜5年またはそ
れ以上を与えることができるならば、望ましいであろ
う。このことは、非常に改良された耐硫化腐食性/耐酸
化性の材料を必要とするだけではなく、このような操作
温度での高い応力破壊強さ特性および良好な引張強さ、
靭性および延性(後者は成形操作に関して重要)も有す
る材料も必要とするであろう。強度および他の性質を犠
牲にして所望の腐食特性を達成することは、所望の万能
の方策ではないであろう。
発明の概要 本発明者等は、ここで更に記載するような制御され且
つ相関された%のニッケル、クロム、アルミニウム、
鉄、炭素、コロンビウムなどを含有する合金が高温、例
えば、1800〜2000゜F(982〜1093℃)での(i)耐硫化
腐食性と(ii)耐酸化性と(iii)このような高温での
良好な応力−破壊およびクリープ強さと(iv)満足な引
張強さと(v)靭性と(vi)延性などとの優秀な組み合
わせを与えることを見出した。付加される特質として、
合金は、耐浸炭性でもある。ガラス化炉に関しては、本
発明の合金は、ガラス相上で腐食攻撃によって起こる破
壊に抵抗するのに高度に好適であると思われる。炉のこ
の帯域においては、合金材料は、酸化窒素、硝酸塩、二
酸化炭素、一酸化炭素、水銀および飛散溶融ガラスおよ
びガラス蒸気などの成分を含有する複雑な腐食性蒸気に
さらされ且つこの複雑な腐食性蒸気と接触する。
このような攻撃的環境と戦うことに加えて、改良合金
は、前記帯域の操作温度での応力破壊破損に抵抗するこ
とができなければならない。このことは、本発明によれ
ば、2000psiの応力下で1800゜F(980℃)の温度で約200
時間以上の応力−破壊寿命によって特徴づけられる合金
を必要とする。
発明の態様 一般に、本発明は、クロム約27〜35%、アルミニウム
約2.5〜5%、鉄約2.5〜5.5または6%、炭素0.0001〜
約0.1%、コロンビウム0.5〜2.5%、チタン1%まで、
ジルコニウム1%まで、セリウム約0.5%まで、イット
リウム約0.05%まで、ホウ素0.01%まで、ケイ素1%ま
で、マンガン1%までを含有し且つ残部が本質上ニッケ
ルであることを特徴とするニッケル基高クロム合金を意
図する。ここで使用する「残部」または「残部は本質
上」なる用語は、特に断らない限り、清浄化および脱酸
目的で使用する付随的元素を含めて合金の基本特性に悪
影響を及ぼさない他の元素の存在を除外しない。リンお
よび硫黄は、良好な溶融プラクティスと一致する最小量
に維持すべきである。窒素は、有益には約0.04または0.
05%まで存在する。
本発明を実施する際には、クロム含量は、約32%を超
えないことが好ましい。その理由は、より多い量が酸化
性環境中でスポーリングまたはスケール形成を生じ且つ
応力−破壊延性を減じる傾向があるからである。クロム
は、例えば、最小25%まで拡張できるが、特により攻撃
的な腐食剤に関して耐食性の損失の危険がある。
アルミニウムは、耐硫化腐食性を顕著に改良するとと
もに耐酸化性も改良する。アルミニウムは、少なくとも
約2.75または3%の量で存在することが最も好ましい。
多量は、時効状態での靭性を減じる。約3.5%または4
%の上限が、好ましい。クロムの場合と同様に、最小2
%までのアルミニウム%は、使用できるが、再度、耐食
性を犠牲にする。鉄は、5.5または6%をはるかに超え
て存在するならば、不要な問題を導入することがある。
鉄は、炭化物形態が悪影響され且つ耐食性が損なわれる
ように粒界で偏析すると理論化される。有利には、鉄
は、5%を超えるべきではない。それは、フェロクロム
の使用にかなう。このように、経済的利益がある。2.75
〜5%の範囲は、最も満足であると思われる。
前記のように、合金は、コロンビウムを含有すること
が好ましく、この点で、少なくとも0.5%、有利には少
なくとも1%が存在すべきである。コロンビウムは、有
利には、1.5%を超えない。コロンビウムは、耐酸化性
に貢献する。しかしながら、特により多いクロムおよび
アルミニウム量との組み合わせで過剰に使用するなら
ば、形態学的問題が、後から起こることがあり且つ破壊
寿命および延性が影響されることがある。攻撃性がより
低い環境においては、コロンビウムは、省略してもよい
が、不良な結果が予想されることがある。チタンおよび
ジルコニムは、強化を与え且つジルコニウムは、スケー
ル接着を増大する。しかしながら、チタンは、耐酸化性
を減じ且つ約0.5%、好ましくは0.3%を超えないことが
好ましい。ジルコニウムは、0.5%、例えば、0.25%を
超えるには及ばない。炭素は、約0.04または0.05%を超
えないことが好ましい。ホウ素は、脱酸剤として有用で
あり且つ0.001〜0.01%が有利に利用できる。セリウム
およびイットリウム、特に前者は、耐酸化性を付与す
る。約0.005または0.008〜0.15または0.12%のセリウム
範囲は、全く満足であると思われる。イットリウムは、
0.01%を超えるには及ばない。
マンガンは、耐酸化性を破壊し且つ約0.5%を超え
ず、好ましくは0.2%以下に保持することが好ましい。
0.05〜0.5%のケイ素範囲が、満足である。
加工法に関しては、真空溶融が、推奨される。電解ス
ラグ再溶解も、使用できるが、このような加工法を使用
して窒素を保持することはより困難である。熱間加工
は、1800゜F(982℃)〜2100゜F(1150℃)の範囲にわ
たって実施できる。焼鈍処理は、断面サイズに応じて約
1900(1038℃)〜2200゜F(1204℃)、例えば、1950゜F
(1065℃)〜2150゜F(1177℃)の温度範囲内で2時間
まで実施すべきである。通常、1時間で十分である。合
金は、主として時効硬化状態で使用することは意図され
ない。しかしながら、例えば、1200〜1700または1800゜
F(約649〜927または982℃)の中温で最高の応力−破壊
強さ水準を必要とする応用の場合には、本発明の合金
は、1300゜F(704℃)〜1500゜F(815℃)で、例えば、
4時間まで時効できる。通常の2回時効処理も、利用し
てもよい。意図する高い硫化腐食/酸化温度、例えば、
2000゜F(1093℃)においては、時効硬化時に形成され
る析出相(Ni3Al)は、溶体に戻って行くであろうこと
に留意すべきである。このように、中温ではあるであろ
うが、時効による有益な結果はないであろう。
当業者に本発明により良い認識を与える目的で、下記
例示データを与える。
真空溶融を使用して、一連のヒート(heats)15kgを
調製した。組成を下記の表Iに与える。本発明の範囲外
の合金A〜゜Fを2150゜F(1175℃)で直径4インチ(10
2mm)×長さのインゴットから直径0.8インチ(20.4mm)
×長さの棒に熱間鋳造した。1900゜F(1040℃)で1時
間最終焼鈍した後に空冷する方法を利用した。直径0.3
インチ(7.65mm)×長さ0.75インチ(19.1mm)の酸化ピ
ンを機械加工し、アセトン中で洗浄した。電気的に加熱
されたムライト管炉を使用して、ピンを2010(1100℃)
で空気プラス5%水雰囲気中で240時間さらした。酸化
データを第1図にグラフ的に示す。合金A〜゜Fは、少
量のセリウム、コロンビウムおよびアルミニウムが添加
された通常の60Ni−30Cr−10゜Fe合金を代表している
と思われる。公称的60Ni−30Cr−10゜Fe合金は、通
常、少ない%のチタン、ケイ素、マンガンおよび炭素を
含有する。標準60Ni−30Cr−10゜Feの場合の酸化結果
を表IIおよび第1図に示す。
最初に熱間鋳造するよりもむしろ1120℃(約2050゜
F)で最終棒サイズに熱間圧延する以外は前記のように
表Iに記載の合金1〜16、G、HおよびIを真空鋳造し
た。硫化腐食および酸化結果を表IIに報告する。耐浸炭
性の結果も包含する。試験条件を表IIに与える。応力破
壊特性を表IIIに与える。引張性を表IVに記載する。ま
た、第2図および第3図は、合金I、10および11の酸化
結果をグラフ的に示す。第4図および第5図は、合金
1、2および6(第4図)および合金4〜9(第5図)
の場合の硫化腐食結果をグラフ的に示す。酸化試験は循
環型であり、この試験においては試験片を電気的に加熱
された管炉に24時間装入した。次いで、試料を秤量し
た。サイクルを42日間繰り返した(特に断らない限
り)。空気プラス5%水蒸気は、試験で使用した媒体で
あった。硫化腐食試験は、試験媒体(H2+45%CO2+1
%H2S)を電気ヒーター管炉(蓋で付けた末端)に計量
供給することからなっていた。試験片は、大体直径0.3
インチ(約7.6mm)×高さ3/4インチ(19.1mm)であり且
つコージーライト・ボート(boat)に含まれていた。時
間を表IIに与える。
表IIおよび第1図〜第5図のデータは、特に3%を超
えるアルミニウムおよび0.75%を超えるコロンビウムを
含有する組成物に関して本発明の範囲内の合金組成物の
耐硫化腐食特性および耐酸化特性の改良を示す。
第1図を参照すると、低アルミニウム合金(1/2%未
満)A〜Fは、酸化特性が60Ni−30Cr−10Fe合金の寿命
を有意には拡張しないであろうことを反映する。という
のは、ガラス化応用が酸化のため破損機構を与えたから
である。しかしながら、セリウムおよびセリウムプラス
コロンビウムは、この特性を改良した。
同様に、第2図および第3図は、合金Ivs合金10およ
び11の1100℃(2012゜F)および1200℃(2192゜F)での
循環酸化挙動を示す。低アルミニウム高鉄合金Iは、む
しろ不良であった。250日後に、合金10と合金11との両
方の耐酸化性は、例えば、50日後の合金Iよりもはるか
に優れていた。
第4図および第5図および表IIに関しては、本発明の
範囲内の組成物の耐硫化腐食性は、コントロール合金お
よび本発明の範囲を超える合金よりもかなり優れていた
ことがわかるであろう。合金3〜9は、特に有効であっ
た(低鉄、3%+アルミニウム、および1%+アルミニ
ウム)。すべての試験データに基づいて、合金5は、多
くの時に60Ni−30Cr−10Feコントロールよりも優れてい
るが、40日の試験期間を超えるより良い結果を与えるべ
きである(腐食試験を包含した大抵の実験研究における
ように且つ当業者が理解するように、必ずしもそうとは
限らないが、通常、しばしば説明できないように他のも
のとは異なるように挙動する少なくとも1つ(またはそ
れ以上)の合金試験片、この場合には合金10などの組成
物がある。それは再検討すべきである)。
表IIIに示す応力−破壊結果に関しては、本発明の範
囲内のすべての組成物が1800゜F(980℃)の温度/2000p
si試験条件での200時間の所望の最小応力破壊寿命、焼
鈍状態並びに時効状態での200時間の所望の最小応力破
壊寿命を超えたことが観察されるであろう。60Ni−30Cr
−10Feコントロールは、焼鈍状態での200時間の水準を
達成し損なった。表III−Aを参照し且つ合金8を比較
ベースとして使用すると(大体Cr30%、A13%、Fe5%未
満およびCb1%)、他の合金は、より高い焼鈍温度によ
って約100時間の組み合わせ応力−破壊寿命および延性6
0%に達していなかったことがわかる。例えば、合金5
の破壊寿命は、2150゜F(約1177℃)焼鈍で改良された
が、延性は、顕著に低下した。高クロム含量は、このこ
とに貢献したと思われる。合金9のより多いコロンビウ
ムは、同様の硬化を有していたと考えられる。前記のよ
うに、クロムおよびコロンビウムは、それぞれ32%およ
び1.5%を超えるべきではないことが有利である。
表IVに報告の引張性に関しては、本発明の範囲内のす
べての合金、即ち、合金1〜4および11〜13は、使用す
る加工法に無関係に、即ち、熱間圧延状態または焼鈍状
態または時効状態のいずれにおいても合金H、60Ni−30
Cr−10Feと同様の合金にひけを取らなかった。合金Iお
よびIIも標準シャルピーVノッチ衝撃試験を使用して衝
撃エネルギーを吸収する能力(靭性)に関して試験した
ことは注目に値する。これらの合金を室温で所定の焼鈍
状態で試験したところ、合金IおよびIIの平均(2個の
試験片)は、それぞれ99フィート・ポンドおよび69.5フ
ィート・ポンドであった。時効状態においては、合金II
は、わずか4.5フィート・ポンドの靭性を示した。この
ことは、より高いアルミニウム含量に由来すると思われ
る。時効状態においては、合金Iは、79フィート・ポン
ドの衝撃エネルギー準位を有していた。
特定の態様を参照して本発明を説明したが、当業者が
容易に理解するであろうように、本発明の精神および範
囲から逸脱せずに修正および変更を施すことができるこ
とは理解されるべきである。このような修正および変更
は、本発明の権限および範囲内であるとみなされる。元
素の所定の%範囲は、他の成分の場合の所定の範囲と併
用できる。合金のニッケル含量を言及する際に使用する
「残部」または「残部は本質上」なる用語は、本発明の
合金の基本特性に悪影響を及ぼさない量の他の元素の存
在を除外しない。鍛錬形態に加えて、本発明の合金は、
鋳造状態で使用でき且つ粉末冶金加工法は利用できると
みなされる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第3図は酸化データを示すグラフ、第4図およ
び第5図は硫化腐食結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−177344(JP,A) 特開 昭59−31854(JP,A) 特開 昭59−179728(JP,A) 特開 昭50−115610(JP,A) 特公 昭54−16925(JP,B2) 特公 昭56−31345(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 19/00 - 19/05

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1093℃(2000゜F)以上の高温での(i)
    優れた耐硫化腐食性および(ii)優れた耐酸化性、少な
    くとも983℃(1800゜F)の高温および13.8MPa(2000ps
    i)の応力下での(iii)200時間以上の応力一破壊寿
    命、並びに室温と高温での(iv)良好な引張強さおよび
    (v)良好な延性、を有するニッケル基高クロム合金で
    あって、 重量%で、クロム27〜35%、アルミニウム3%超〜5
    %、鉄2.5〜5%未満、コロンビウム0.5〜2.5%、炭素
    1%以下、チタン1%以下、セリウム0.05%以下、残部
    ニッケルおよび不可避的不純物とからなることを特徴と
    するニッケル基クロム合金。
  2. 【請求項2】さらに、重量%で、ジルコニウム1%以
    下、イットリウム0.05%以下、ケイ素1%以下、および
    マンガン1%以下、のうち1種または2種以上含み、残
    部ニッケルおよび不可避的不純物とからなることを特徴
    とする請求項1に記載のニッケル基クロム合金。
  3. 【請求項3】さらに、重量%で、窒素0.05%以下含み、
    残部ニッケルおよび不可避的不純物とからなることを特
    徴とする請求項1または2に記載のニッケル基クロム合
    金。
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