JP2817020B2 - セルロースプラスチックの回収方法 - Google Patents

セルロースプラスチックの回収方法

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JP2817020B2 JP10615692A JP10615692A JP2817020B2 JP 2817020 B2 JP2817020 B2 JP 2817020B2 JP 10615692 A JP10615692 A JP 10615692A JP 10615692 A JP10615692 A JP 10615692A JP 2817020 B2 JP2817020 B2 JP 2817020B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセルロースプラスチック
を基剤とする成形品から、ドープ溶剤に不溶性の変性物
を除去しながら、セルロースプラスチックを回収する方
法に関する。特に本発明は、セルロースの低級脂肪酸エ
ステルを基剤とするセルロースプラスチックとニトロセ
ルロースを含む成形品から、セルロースプラスチックを
そのまま再利用できる程度に高い品質で回収することが
できる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチック類が汎用されている
が、それに伴い使用済プラスチック類の回収処理技術の
開発が要求されている。これに関して生分解性プラスチ
ック類の使用も検討されているが、生分解性プラスチッ
ク類には生産コストの上昇および物理・化学的強度の劣
化の問題がある。一般のプラスチック類の回収処理で
は、種々雑多なプラスチックの撰別、各々のプラスチッ
ク種に対応する処理方法の撰択、さらに処理コストの軽
減などを考慮しなければならない。
【0003】ところで、写真工業の分野でもプラスチッ
ク類が使用されている。プラスチック類としては、光学
的特性および物理的強度に優れているセルロースプラス
チックが、写真フイルムの支持体として頻繁に用いられ
る。セルロースプラスチックは、近年では偏光フイルム
などの光学材料にも用いられている。セルロースプラス
チックは、セルロースエステルやセルロースエーテル等
のセルロース誘導体を基剤とするプラスチックである。
古くは、ニトロセルロースを基剤とするプラスチック、
すなわちセルロイドが代表的であった。しかし、セルロ
イドは引火燃焼性を有しているため、最近では、ほとん
ど利用されなくなった。現在ではその代わりに、耐燃性
が優れているセルロースの低級脂肪酸エステルが主に用
いられている。セルロースの低級脂肪酸エステルを基剤
とするプラスチックは付加価値が高いため、経済性の面
からも回収処理技術の開発が要求されている。
【0004】写真フイルム、例えば一般用黒白フイル
ム、一般用カラーフイルム、映画用フイルム等は、支持
体上に、下塗り層、感光層(ハロゲン化銀乳剤層)、画
像形成層や保護層が設けられている。下塗り層は、通
常、ニトロセルロースやポリアクリレートなどのポリマ
ーを含む。このポリマーは支持体と感光層または画像層
との適合性を高める機能を有する。この機能のため、ポ
リマーは支持体に強固に付着あるいは浸透しており、支
持体に含まれるセルロースの低級脂肪酸エステルを回収
する処理において障害となっている。写真フイルムから
セルロースの低級脂肪酸エステルを回収する方法におい
て、ニトロセルロースなどのポリマーを除去するための
処理は、米国特許第2688614号明細書、英国特許
第1087038号明細書、リサーチ・ディスクロージ
ャーRD−12629号および同RD−19634号に
記載がある。米国特許第2688614号明細書記載の
処理では、過マンガン酸カリウム塩を含む酸性の処理液
を用いる。英国特許第1087038号明細書記載の処
理では、酸化剤(例、過マンガン酸塩、過硫酸塩)を含
むアルカリ性の処理液を用いる。RD−12629号記
載の処理では酸化剤として過硫酸塩を使用する。同RD
−19634号記載の処理では酸化剤として過硼酸塩を
使用する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者が上記各文献
に記載の回収方法を追試したところ、回収したプラスチ
ックの品質、処理時間および回収コストのいずれかの点
に問題があり、満足できる結果が得られなかった。特
に、プラスチックの保存性あるいは耐湿熱性が回収によ
り劣化する傾向があることが判明した。本発明者の研究
により、過酸化物や酸化ハロゲン化物を用いて、ニトロ
セルロースを酸化分解除去し着色汚染物質を漂白する場
合、その処理が不充分であると、かえって保存性あるい
は耐湿熱性が劣化する傾向があることが判明した。
【0006】本発明の目的は、セルロースの低級脂肪酸
エステルを基剤とするセルロースプラスチックを、ニト
ロセルロースなどの異種プラスチックや着色汚染物質を
分解除去しながら、短い処理時間でそのまま再利用でき
る程度の高い品質のセルロースプラスチックを回収する
ことができる方法を提供することである。特に、保存性
および耐湿熱性が高いプラスチックを回収する方法を提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、セルロ
ースの低級脂肪酸エステルを基剤とするセルロースプラ
スチック上に表面層が設けられている成形品を、過酸化
物または酸化ハロゲン化合物を含む水性液で処理する工
程(以下、酸化分解処理と略す);および水溶性有機溶
剤またはその水溶液で処理する工程(以下有機溶剤処理
と略す)を含むことを特徴とするセルロースプラスチッ
クの回収方法により達成された。なお本明細書におい
て、上記有機溶剤の「水溶性」とは、25℃の水に対す
る溶解度が10重量%以上であることを意味する。
【0008】
【発明の効果】本発明の方法は、表面層を有するセルロ
ースプラスチックの成形品に含まれるセルロースプラス
チック以外の成分を酸化分解して除去または除去されや
すいように変性する酸化分解処理およびドープ溶剤に不
溶性の変性物を除去する有機溶剤処理を組み合せたこと
を特徴とする。セルロースプラスチックの成形品に過酸
化物または酸化ハロゲン化合物を作用させると、着色汚
染物質が酸化分解され、さらに漂白される。特に過酸化
物として過マンガン酸塩を用いると、ニトロセルロース
が選択的に酸化分解され、除去されやすい状態に変化す
る。次に、水溶性有機溶剤またはその水溶液で処理する
と、酸化分解処理において除去されやすい状態となった
異物が除去され、短時間で高純度のセルロースプラスチ
ックを回収することができる。酸化分解処理だけでは、
回収したプラスチックの耐湿熱性が劣化し、経時による
復色などの問題がが起きる場合がある。また、有機溶剤
処理だけでは、異物の除去が不充分である。以上の2つ
の処理を組み合わせると、その相乗効果により、新しい
原料と同様の安定性や耐湿熱性を有するセルロースプラ
スチックを、比較的単時間の処理で回収することができ
る。本発明に従うと、異物を多く含むプラスチック成形
品(例えば、長期間の使用により汚れた製品や高温迅速
処理による水洗不足のため残留現像廃液を含む使用済カ
ラーポジフイルム)からでも、保存性および耐湿熱性に
優れたセルロースプラスチックを回収することができ
る。
【0009】[発明の詳細な記述]本発明におけるセル
ロースプラスチックとは、セルロースの低級脂肪酸エス
テルを基剤とするプラスチックである。セルロースの低
級脂肪酸エステルと低級アルキルエーテル(50重量%
未満)の複合したプラスチックも含む。低級脂肪酸とは
炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数
は、好ましくは4以下である。セルロースの低級脂肪酸
エステルの具体例としては、セルロースアセテートおよ
びセルロースブチレートを挙げることができる。セルロ
ースアセテートはモノ、ジ及びトリアセテートを含む。
写真フイルムにおいてはセルローストリアセテートが一
般に使用されている。上記低級アルキルエーテルの低級
アルキルとは炭素原子数が4以下のアルキル基を意味す
る。本発明の回収方法は、製膜用ドープに用いる有機溶
剤(例えばメチレンクロライド:メタノール(9:1)
の混合溶剤)に完全溶解できるようなセルロースプラス
チックの複合体(低級脂肪酸エステルと低級アルキルエ
ーテルの複合体)に対しても有効である。本明細書にお
いて成形品には、完成品だけではなく半製品も含まれ
る。例えば、写真フイルムの製造工程における半製品で
ある、いわゆるフイルムベース(支持体上に下塗り層が
設けられているもの)も成形品に含まれる。本発明の回
収方法において、セルロースプラスチックの成形品は、
セルロースの低級脂肪酸エステルを基剤とするプラスチ
ック上に表面層が設けられている。本発明の方法は表面
層がポリマー、特にニトロセルロースを含む場合に顕著
な効果がある。前述したように、写真フイルムでは、通
常、支持体上にニトロセルロースやポリアクリレートな
どのポリマーを含む下塗り層(表面層)が設けられてい
る。使用済写真フイルム、特に映画用フイルムは、長期
間使用または保存されたものが多い。また、近年では、
高温迅速処理のために処理薬品を水洗不足の状態で使用
する。このため、着色汚染された使用済写真フイルムが
多い。合成ポリマーを含む下塗層をもつフイルムでは、
下塗層を通してフイルムベースの内部にまで汚染が浸透
しているものが多い。本発明の回収方法は、これらのよ
うな著しく汚染されたフイルムにも有効である。本発明
の回収方法を実施する場合、セルロースプラスチックの
成形品は、1mm乃至10cm角、好ましくは5mm乃
至3cm角のチップに裁断し、そのチップについて回収
処理を実施することが好ましい。次に、酸化分解処理お
よび有機溶剤処理を説明する。
【0010】「酸化分解処理」酸化分解処理では過酸化
物または酸化ハロゲン化合物を含む水性液を用いる。過
酸化物には、−O−O−結合を持つ酸化物および多価原
子価をもつ金属の酸化物が含まれる。−O−O−結合を
持つ酸化物の例としては、過酸化水素およびその塩、オ
ゾン、過硫酸およびその塩および過ホウ酸塩を挙げるこ
とができる。過酸化水素およびその塩が好ましい。過酸
化物は、着色異物を漂白または除去されやすいように酸
化分解するために有効である。多価原子価をもつ金属の
酸化物の例としては、重クロム酸塩、二酸化マンガン塩
および過マンガン酸塩を挙げることができる。特にマン
ガン化合物が好ましい。これらの塩は、アルカリ金属
塩、特にカリウムまたはナトリウム塩が好ましい。ニト
ロセルロースを除去するためには、過マンガン酸または
そのアルカリ金属塩(ニトロエステル基と共有結合を形
成する機能を有する)を反応させたのち、上記−O−O
−結合をもつ酸化物を作用させることが有利である。過
酸化物は、0.001モル/リットル乃至0.1モル/
リットルの水溶液で用いることが好ましい。また、セル
ロースプラスチックのチップ1kgに対して、0.01
モル乃至0.1モルの範囲で使用することが好ましい。
水溶液はpH4以下の酸性水溶液かpH9以上のアルカ
リ性水溶液として用いることが好ましい。酸化ハロゲン
化合物の例としては、次亜塩素酸とその塩、亜塩素酸と
その塩、過塩素酸とその塩、次亜臭酸とその塩および過
沃素酸塩を挙げることができる。次亜塩素酸ナトリウ
ム、次亜塩素酸カリウムおよび亜塩素酸ナトリウムが特
に好ましい。酸化ハロゲン化合物は、セルロースプラス
チック表面に、変性して形成され着色異物を漂白または
除去されやすいように酸化分解するために有効である。
特に上記多価金属の酸化物と併用するとニトロセルロー
スの酸化分解に顕著な効果がある。このため、過酸化物
(特に過マンガン酸塩または二酸化マンガン塩)と同時
にまたは続いて酸化ハロゲン化合物(特に次亜塩素酸塩
または次亜臭素酸塩)で処理することが好ましい。酸化
ハロゲン化合物は活性ハロゲン量として、0.01モル
重量%乃至0.1重量%の水溶液で用いることが好まし
い。水溶液は、pH8以上好ましくは9以上のアルカリ
性水溶液で用いることが好ましい。水溶液中に、上記過
マンガン酸塩等の過酸化物を添加してもよい。マンガン
化合物および酸化ハロゲン化合物を含む水溶液を用いる
ことが特に好ましい。酸化ハロゲン化合物を含有する水
溶液には、さらにアミン化合物、特にアミノ基とスルホ
基をもつ化合物(例、スルファミン酸)を添加すること
が好ましい。酸化分解処理は、水溶液の液温が60℃乃
至95℃の範囲で実施することが好ましい。
【0011】「有機溶剤処理」本発明で用いる有機溶剤
は、25℃の水に対する溶解度が10重量%以上であ
る。水溶性有機溶剤の例としては、アルコール(例、メ
タノール、エタノール、ブチルアルコール)、ケトン
(例、アセトン)およびエステル(例、酢酸メチル)を
挙げることができる。アルコールまたはケトンが好まし
い。メタノール、エタノールおよびアセトンが特に好ま
しい。有機溶剤はセルロースプラスチックの表面に吸収
され、プラスチックを膨潤させる。この作用は、前記の
着色異物、ニトロセルロース、あるいは他の耐湿熱性を
劣化させる異物を有効に除去するためにのに有利であ
る。前記の酸化分解処理により生じた酸化分解物、特に
セルロースプラスチックの内部に生じた分解物は、水洗
だけで除去することは難しい。これらの酸化分解物は、
有機溶剤処理により短時間で容易に除去できる。なお、
酸化分解物は、水に不溶または難溶の有機溶剤では余り
除去できない。また、水に不溶または難溶の有機溶剤で
は、洗浄を実施するためのコストが高い。なお、予め有
機溶剤処理を実施したのちに前記の酸化分解処理を行な
ってもよい。この場合、セルロースプラスチックの内部
層まで反応が及び、酸化分解処理後の異物の除去に有利
である。有機溶剤は、そのまままたは水溶液の状態で使
用する。水溶液中の有機溶剤の濃度は、10%以上であ
ることが好ましく、20%以上であることがさらに好ま
しく、40%以上であることが特に好ましい。有機溶剤
処理は、常温乃至50℃で実施することが好ましい。
【0012】本発明のセルロースプラスチックの回収方
法では、以上述べた処理に加えて、膨潤処理、ゼラチン
層除去処理、漂白処理、セルラーゼ処理、乾燥処理等を
実施することができる。以下においてそれぞれの処理を
説明する。複数の処理工程を実施する場合は、以下の順
序で実施することが好ましい。本発明による処理、特に
酸化分解処理は、ゼラチン層除去処理の後で実施するこ
とが好ましい。また、セルラーゼ処理は、本発明による
処理の後で実施することが好ましい。なお、各処理工程
の後で、水洗処理を実施することが好ましい。水洗処理
では、温水を使用することが好ましい。各処理液に界面
活性剤を添加してもよい。界面活性剤としてはノニオン
性界面活性剤が特に好ましい。ノニオン性界面活性剤の
例としては、ポリエチレングリコールエーテル系の界面
活性剤、具体的には高級アルコールのポリエチレングリ
コールエーテル、アルキルフェノールのポリエチレング
リコールエーテルを挙げることができる。界面活性剤は
0.001乃至5重量%の範囲で処理液に添加すること
ができる。
【0013】「膨潤処理」成形品の膨潤または軟化を目
的としてアルカリまたは酸処理を実施することができ
る。アルカリまたは酸処理は、成形品をアルカリ性水溶
液(pH7乃至13)または酸性水溶液(pH2乃至
7)に浸漬して実施する。pH2乃至4またはpH8乃
至13などの比較的低い、または比較的高いpHで短時
間処理し、セルロースプラスチックの表面で酸またはア
ルカリを作用させることが好ましい。アルカリ性水溶液
を用いることが特に好ましい。膨潤処理は、室温乃至7
0℃、特に30℃乃至60℃の温度で10分間乃至10
0分間、攪拌しながら実施することが好ましい。この処
理により、成形品に設けられた表面層、例えば写真フイ
ルムの感光層、中間層、下塗り層およびバック層が膨潤
または軟化する。アルカリ性水溶液に用いるアルカリの
例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素
ナトリウム、炭酸水素カリウムおよび水酸化ナトリウム
を挙げることができる。アルカリ性水溶液のpHは、8
乃至13であることが好ましく、8乃至12であること
が特に好ましい。
【0014】「ゼラチン層除去処理」成形品に写真フイ
ルムにおける感光層のようなゼラチン含有層が設けられ
ている場合、成形品をプロテアーゼで処理する。なお、
成形品の表面が油脂で汚れている場合は同様にリパーゼ
で処理する。プロテアーゼについて特に制限はない。プ
ロテアーゼは、通常水溶液(0.001重量%乃至20
重量%)として使用する。水溶液のpHはプロテアーゼ
の至適pHに調整することが好ましい。ゼラチン層除去
処理は、室温乃至70℃、特に30℃乃至60℃の温度
で10分間乃至200分間、攪拌しながら実施すること
が好ましい。
【0015】「漂白処理」成形品を過酸化物で処理して
漂白する。過酸化物の例としては、過酸化水素を挙げる
ことができる。なお、漂白処理を省略してもよい。漂白
処理は、室温乃至90℃、特に70℃乃至90℃の温度
で30分間乃至150分間、攪拌しながら実施すること
が好ましい。
【0016】「セルラーゼ処理」セルラーゼ処理は、セ
ルラーゼの水溶液中にセルロースプラスチックの成形品
を浸漬することにより実施することが好ましい。水溶液
中のセルロースの濃度は0.01g乃至10g/100
mlであることが好ましい。また水溶液のpHは2乃至
8に調整することが好ましい。処理温度は、一般に、2
0℃乃至70℃であることが好ましく、30℃乃至60
℃であることがさらに好ましい。浸漬後攪拌することが
好ましい。好ましい処理時間は、10分以上であり、さ
らに好ましくは10分乃至90分であり、特に好ましく
は10分乃至60分である。セルラーゼは、他の分解酵
素(プロテアーゼ、アミラーゼおよびリパーゼなど)、
特にプロテアーゼと併用することができる。プロテアー
ゼの使用条件は、前述したゼラチン層除去処理において
使用する場合とほぼ同様である。
【0017】「安定化処理」回収されるセルロースプラ
ステックの保存性を維持するために、必要により低脂肪
酸のアルカリ金属塩で処理することができる。具体的に
は、低脂肪酸のアルカリ金属塩の水溶液に成形品を浸漬
する。低級脂肪酸のアルカリ金属塩の例としては、シュ
ウ酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウムお
よびギ酸カリウムを挙げることができる。
【0018】「乾燥処理」乾燥処理は、50℃乃至15
0℃、好ましくは80℃乃至125℃の温度で、通常の
方法により実施できる。
【0019】本発明の回収方法は、写真フイルム、偏光
フイルムなどの光学材料用フイルムの様々な分野に使用
されているセルロースプラスチックの成形品に広く適用
することができる。回収したセルロースプラスチック、
例えばセルロースアセテートの再生チップの品質検査
は、チップを製膜用ドープに用いる有機溶剤(例えばメ
チレンクロライド・メタノール(9:1)の混合溶剤)
に完全溶解してドープを調製し、そのドープの分光透過
率や白濁またはゲル状物の存在を検査することで評価で
きる。本発明に従うと、このような評価方法で不溶解物
が認められない良質のチップを回収することができる。
さらに、本発明に従い再び製膜したセルロースプラスチ
ックフイルムは、高温高湿の条件下で保存しても安定で
ある。従って、本発明により回収されたセルロース誘導
体は、新しい原料と同様に、写真用フイルムなどのセル
ロースプラスチックの成形品の製造に用いることができ
る。
【0020】
【実施例】
[実施例1]映写使用済のカラーポジフイルム(セルロ
ーストリアセテートを基剤としたベースフイルムの上に
ニトロセルロースを含む下塗り層が設けられ、その上に
ゼラチンを含む画像形成層が設けられている)を0.5
乃至3cm角に相当するチップに裁断して使用した。使
用したカラーポジフイルムは、フイルムベースが汚染さ
れており、強い着色が認められた。
【0021】第1工程(ゼラチン層除去処理) フイルムチップ原料2.5gに温水8リットルを加え、
高級アルコールのポリエチレングリコールエーテル(エ
マルゲン106花王(株)製)3gおよび炭酸ナトリウ
ム30gを加えて、65℃で約10分間膨潤させた。次
いで、耐アルカリ性プロテアーゼの水溶液5gを添加
し、約30分間撹拌した。チップを処理液から取り出
し、水切り後、水洗した。さらに温水8リットルを加
え、耐アルカリ性プロテアーゼの水溶液5gを添加し、
55℃で約30分間撹拌した。次に炭酸ナトリウム90
gを添加し、20分間撹拌した。チップを処理液から取
り出し、水切り後、水洗した。このようにして、ゼラチ
ンを含む画像形成層を除去したチップを得た。これは、
灰褐色に汚染されたチップであった。
【0022】第2工程(酸化分解処理) 第1工程で得たチップに、温水7リットルを加えた。過
マンガン酸カリウム3.2gを加えたのち、次亜塩素酸
ナトリウムのアルカリ溶液(有効塩素量約10%)40
0mlを加え、pHを約9.8に調整した。高級アルコ
ールのポリエチレングリコールエーテル3gを加えて、
30分間85℃で撹拌した。さらにスルファミン酸10
gを加え、約85℃で15分間撹拌した。pHを硫酸を
用いて約3に調整し、過酸化水素水(約35重量%)の
50mlを加えて5分間撹拌した。チップを処理液から
取り出し、水切り後、水洗した。淡黄褐色に着色された
チップが得られた。
【0023】第3工程(漂白処理) 第2工程で得たチップに、温水の7リットルを加えた。
過酸化水素水(約35重量%)500mlを加え、炭酸
ナトリウム1gおよび高級アルコールのポリエチレング
リコールエーテル2gを加え、30分間90℃で撹拌し
た。チップを処理液から取り出し、水切り後、水洗し
た。淡茶色に着色されたチップが得られた。
【0024】第4工程(有機溶剤処理) 第3工程で得たチップ600gに、下記第1表に示す有
機溶剤処理液3リットルを加え、常温で約40分撹拌し
た。液切り後、水洗してチップを得た。
【0025】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── 有機溶剤 処理液番号(組成比、単位:リットル) 処理液成分 1 2 3 4 5 6 ──────────────────────────────────── メタノール 3 1.5 1.5 1.5 アセトン 1.5 0.75 0.75 酢酸エチル 0.75 水 1.5 1.5 1.25 0.75 0.75 ────────────────────────────────────
【0026】第5工程(乾燥処理) 105℃で40分間乾燥器中に放置して、乾燥したチッ
プを得た。
【0027】回収して得た各試料は、次のようにして評
価した。得られた結果を下記第2表に示す。
【0028】「ドープのゲル物質発生状況と着色度」チ
ップ10gを採取しドープ用有機溶剤(メチレンクロラ
イド;メタノール9:1の混合溶剤に溶解し、ドープを
得た。着色度は、無色品を1級とし、目視により比較判
定とした。
【0029】「フイルムの耐湿熱性」チップ10gを広
口100ml共栓ビンに搾取し、相対湿度約100%、
110℃の条件下で10時間または約1昼夜放置した。
そして、チップを水100ml(水のpH:7.58)
中に浸漬し、水のpH値を測定して酸分解の程度を評価
した。さらに、チップの着色度の変化を目視により観察
した。
【0030】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── 試料 処理工程の内容 ドープの ドープの 耐湿熱性評価 番号 第2工程 第3工程 第4工程# 着色度 ゲル発生 (pH値)* ──────────────────────────────────── A 無 無 無 5 極めて多 6.9 →6.5 B 無 無 有(1) 5 極めて多 7.3 →7.0 C 無 無 有(3) 4 多 7.3 →7.0 D 無 無 有(5) 4 多 7.5 →7.3 E 有 無 無 3.5 やや多 6.6 →5.2 F 有 有 無 3 無 6.8 →5.9 G 無 有 無 3.5 多 7.0 →6.8 ──────────────────────────────────── 1 有 有 有(1) 2.5 無 7.6 →7.7 2 有 有 有(2) 2.5 無 7.5 →7.6 3 有 有 有(3) 2 無 7.7 →7.8 4 有 有 有(4) 2 無 7.7 →7.8 5 有 有 有(5) 1.5 無 7.8 →7.9 6 有 有 有(6) 1.5 無 7.8 →7.9 7 有 無 有(5) 1.8 僅かに有 7.7 →7.8 ──────────────────────────────────── 8 無 有 有(5) 2 有 7.6 →7.8 ──────────────────────────────────── #:第4工程のカッコ内の数字は第1表に示す有機溶剤
処理液の番号である。 *:10時間放置後→約1昼夜放置後のpH値を意味す
る。
【0031】本発明に従い第2工程(酸化分解処理)と
第4工程(有機溶剤処理)を組合せすると、耐湿熱性が
相乗的に改良され、またドープの着色度も改良された処
理チップが得られることがわかる。また、本発明の方法
では、ドープのゲル発生がなくなり、ともに改良され再
生使用可能の水準の高い品質が得られることもわかる。
【0032】[実施例2]実施例1において調製した試
料A、D、F、G、1、5、7および8、それぞれ50
0gを、実施例1で用いたドープ用有機溶剤混合液2.
85リットルに溶解し、ドープ液を得た。各ドープ液を
用いて製膜し、膜厚が約100μmのフイルムを製造し
た。このフイルムを温度85℃、相対湿度90%の条件
下で1000時間放置した。その後、フイルムを常温常
湿の条件に戻し、フイルムの着色度、折れおよび脆さに
ついて比較した。結果を第3表に示す。
【0033】
【表3】 第3表 ──────────────────────────────────── 試料番号 フイルムの着色度 フイルムの折れおよび脆さ ──────────────────────────────────── A 黒褐色に着色 かなり折れやすい D 褐色に着色 局部的に折れる F 褐色に着色 かなり折れやすい G 黒褐色に着色 局部的に折れる ──────────────────────────────────── 1 やや褐色に着色 一部に折れやすい個所がある 5 ほとんど無色透明 折れない 7 やや褐色に着色 折れない ──────────────────────────────────── 8 ほとんど無色透明 折れない ────────────────────────────────────
【0034】第3表に示される結果から、本発明の方法
により回収したチップから製造したフイルム試料は、フ
イルムの着色度が低く、かつ強靭であることがわかる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−54557(JP,A) 特開 昭53−15829(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 7/00 C08J 7/12 - 7/14 G03C 11/24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースの低級脂肪酸エステルを基剤
    とするセルロースプラスチック上に表面層が設けられて
    いる成形品を、過酸化物または酸化ハロゲン化合物を含
    む水性液で処理する工程;および水溶性有機溶剤または
    その水溶液で処理する工程を含むことを特徴とするセル
    ロースプラスチックの回収方法。
  2. 【請求項2】 上記過酸化物がマンガン化合物であり、
    マンガン化合物および酸化ハロゲン化合物を含む水溶液
    で処理する請求項1記載の回収方法。
  3. 【請求項3】 上記表面層がニトロセルロースを含む請
    求項1記載の回収方法。
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