JP2815934B2 - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents

光電変換素子の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は太陽光や人工照明下で発電動作する太陽電池
や光信号を電気信号に変換動作する光センサ等の光電子
変換素子の製造方法に関する。
(ロ) 従来の技術 非晶質半導体を光活性層とする光起電力装置は既に知
られており、その基本構成は、光透過を許容するガラス
等の基板上に、ITO、SnO2等の透光製導電酸化物(以下T
COと略記する)からなる受光面電極を配置し、この受光
面電極を基板の導電性表面としてpn、pin等の半導体接
合を備える半導体膜と、該半導体膜とオーミック接触す
る背面電極をこの順で積層してある。
また、ステンレス等の金属を基板とし、この上に半導
体接合を備える半導体膜と、TCOの受光面電極をこの順
序で積層したものである。
このような光起電力装置の殆どは光入射側に設けられ
るp型やn型の一導電型の不純物層としてこの層におけ
る光吸収を可及的に抑圧するために米国特許第4109271
号明細書及び図面に開示されたように、ワイドバンドギ
ャップ材料である水素化非晶質シリコンカーバイド(以
下a−SiC:Hと略記する)を用いることが試みられてい
る。
(ハ) 発明が解決しようとする課題 然し乍ら、バンドギャップを広げるためにa−SiC:H
層に対するカーボン量を増加させると膜中の欠陥密度が
増加するのみならず、導電率を改善するために導電型決
定不純物のドープ量を増しても例えばp型層において抵
抗率にして1×10-1Ωcm程度の値が限度であり、十分に
低抵抗且つ高光透過性の膜を得るに至っていない。従っ
て、当該光入射側に設けられる一導電型不純物層におけ
る光学的損失及び電気的損失を無視することができず、
光電変換効率の上昇を阻害していた。
また光センサにあっては光学的損失及び電気的損失を
招くと可視光領域における短波長側の分光感度特性を低
下するという問題がある。
本発明は斯る光入射側に設けられる一導電型不純物層
における光学的損失及び電気的損失を抑制し光電変換効
率や分光感度特性における短波長感度を改善することを
技術的課題とする。
(ニ) 課題を解決するための手段 本発明製造方法は、基板の導電性表面に、一導電型の
第1の半導体層とi型又は実質的にi型の非晶質半導体
層を形成した後、当該非晶質半導体層の露出表面に逆導
電型決定不純物を含むドーピングガスの雰囲気中でエネ
ルギビームを照射し、上記非晶質半導体層の露出表面に
上記逆導電型決定不純物をドーピングすると共に当該露
出表面を多結晶化領域に置換して逆導電型の第2の半導
体層とすることを特徴とする。
(ホ) 作用 上述の如く非晶質半導体層の露出表面に逆導電型決定
不純物を含むドーピングガスの雰囲気中でエネルギビー
ムを照射し、上記非晶質半導体層の露出表面に上記逆導
電型決定不純物をドーピングすると共に当該露出表面を
多結晶化領域に置換することによって、電気的且つ光学
的損失の少ない第2の半導体層を形成する。
(ヘ) 実施例 第1図(a)乃至同図(c)は本発明製造方法を工程
別に示す模式的断面図であって、第1図(a)の工程で
は、ステンレス、アルミ等の金属基板或るいはガラス、
耐熱性プラスチック等の絶縁材料に導電性材料が被着さ
れた基板(1)上に、SiH4、Si2H6、SiF4等のシリコン
化合物ガスを主原料ガスとし、先ず膜厚数100〜500Å程
度の一導電型の非晶質シリコンからなる第1の半導体層
(2)と、膜厚3000Å〜1μm程度のi型又は実質的に
i型の非晶質シリコンからなる非晶質半導体層(3)が
周知のプラズマCVD法により形成される。例えば、一導
電型の第1の半導体層(2)がn型のとき、主原料ガス
に対し0.01〜1%のPH3が添加され、またp型のとき0.0
5〜2%のB2H6が添加される。また、ノンドープな状態
で成膜された非晶質シリコンは実質的にi型であるが僅
かながらn型であることが知られているので、このn型
をi型に補償すべく極微量のB2H6を添加しても良い。
第1図(b)の工程では、上記非晶質半導体層(3)
の成膜が終了すると、この非晶質半導体層(3)の露出
面に導電型決定不純物をドーピングすべく1×10-5Torr
以下に減圧し得る反応容器に収納し、当該反応器内を一
旦1×10-5Torr以下に減圧後、第1の半導体層(2)と
逆導電型となる導電型決定不純物を含むドーピングガス
を導入し、反応容器の外部から上記ドーピングガスから
不純物を分解すべき波長のレーザビームを照射する。上
記ドーピングガスとしてp型決定不純物としてBを使用
する場合、B2H6、BCl3、B(CH3が用いられ、n型
決定不純物としてPを使用する場合、P(CH3、P
H3、PCl3、POCl3が用いられる。また、斯るドーピング
ガスを光分解するレーザビームとして、紫外線を照射す
るArF、KrF、XeClのエキシマレーザが使用される。例え
ば一例としてB2H6をドーピングガスとして5Torr反応容
器に導入したとき、ArFエキシマレーザ(波長193nm)を
非晶質半導体層(3)の露出面に照射する。このときの
照射条件は、エネルギ密度100〜350mJ/cm2、パルス数1
〜100パルスである。斯る照射条件におけるBのドーピ
ング量と、その深さ方向のドーピング分布をSIMSにより
測定した結果を第2図に示す。この第2図から明らかな
如くBは表面から数100Å程度の領域まで約6×1020ato
ms/ccドーピングされ、その後1500Å程度の領域までほ
ぼ測定限界に近い約1×1017atoms/ccに向って序々に減
少する所謂傾斜ドーピングとなっている。尚、SIMSによ
る測定はスパッタを利用して検出対象の原子を露出面か
ら特定の深さ周期で測定するために、実際の濃度分布よ
り深さ方向に緩慢な分布となることが知られている。従
って、上記Bのドーピングは実際には本発明者らの経験
から表面から約1000Å程度の領域まであると推測してい
る。
一方、ドーピングの対象となる非晶質シリコンからな
る非晶質半導体層(3)の波長193nmでの吸収係数は105
cm-1以上であることから、ArFエキシマレーザは照射表
面から数100Åと極方面にのみ吸収される。その結果、
斯る吸収領域では、Bのドーピングのみならずレーザビ
ームの照射により熱的に溶融(アニール)され結晶化さ
れることによって粒径200〜1000Åの多結晶シリコンに
置換される。この表面から数100Åの多結晶化領域(4
a)は上述の如くBのドープ量が約6×1020atoms/ccと
高濃度にドーピングされることから抵抗率2×10-3Ωcm
以下の低抵抗なp型領域を形成し、また主に可視光を吸
収し発電や光検出に寄与する電子及び/又は正孔の光キ
ャリアを発生する非晶質シリコンの非晶質半導体層
(3)の吸収係数より約1桁小さいことから、当該多結
晶化領域(4a)では可視光を殆ど吸収するに至らず、下
層の非晶質半導体層(3)に斯る可視光を透過させるこ
ととなる。
更に、上記レーザビームによるアニーリングでは表面
から数100Åを多結晶化領域(4a)に置換したが、ドー
ピングが傾斜した部分を微結晶化領域(4b)とする。即
ち、レーザビームの照射は表面から数100Åの領域で吸
収され、この領域を多結晶化領域(4a)とすると共に、
下層への熱伝導の結果、ドーピングが進行する約1000Å
の深さを微結晶化領域(4b)に自から置換することとな
る。この傾斜ドープの微結晶化領域(4b)は、多結晶化
領域(4a)と非晶質半導体層(3)の間に位置すること
から、両者の構造的ストレスの緩和及び界面準位等の発
生を抑制し、非晶質半導体層(3)で発生した光キャリ
アの効率的な取り出し可能とする。
このようにして、非晶質半導体層(3)の露出表面
を、多結晶化領域(4a)及び微結晶化領域(4b)からな
る逆導電型の第2の半導体層(4)に置換が終了する
と、第1図Cの工程では、第2半導体層(4)表面に受
光面電極(5)としてのITO、SnO2等のTCOが形成され
る。
斯る製造方法により作成された光電変換素子に対し、
AM−1、100mW/cm2の太陽光を照射したところ、11.9%
の高光電変換効率が得られた。
上記実施例の具体例では第2の半導体層(4)をp型
としたが、n型とするためには、例えばP(CH3
0.5Torr導入し、他は同一条件でレーザビームを照射し
たときも、表面から数100Åの領域を粒径200〜1000Åの
多結晶化領域(4a)とし、その下層に傾斜ドーピングの
微結晶化領域(4b)を形成することができた。斯る方法
により作成された多結晶化領域(4a)もn型の高濃度ド
ーピングが実現できるために、その抵抗率は1×10-3Ω
cm以下と低抵抗且つ可視光における吸収係数も非晶質半
導体層(3)より1桁小さく、電気的損失及び光学的損
失の低減に有効である。
このように、レーザビームを利用したドーピングはp
型、n型の何れにおいても有効である。従って、基板
(1)に当接する第1半導体層(2)へのドーピングに
も適用することができる。即ち、基板(1)表面にプラ
ズマCVD法によりノンドープな非晶質半導体層を予め成
膜し、この非晶質半導体層にレーザビーム利用のドーピ
ングを施す。このドーピングでも非晶質半導体層は多結
晶半導体に置換される。もし、非晶質半導体層の膜厚が
数100Åであれば、第3図の如く全て多結晶半導体に置
換され、低抵抗な膜となる。斯る第1半導体(2)及び
第2半導体層(4)へのドーピングをレーザビームを利
用した場合、従来からp型層、i型層、n型層の各導電
型の成膜を個別の専用CVD装置(インライン型CVD装置)
を用いる三室分離形成方式に代って単室の反応容器でp
型層、i型層、n型層をこの順序或いは逆の順序で形成
しても、CVD装置のように反応容器壁面にBやPを含ん
だフレークの付着が発生しないので、上記BやPの残留
不純物による汚染を発生することなく、高効率素子の製
造が可能となる。
第4図は本発明製造方法をファクシミリやイメージス
キャナのイメージセンサの製造方法への適用を説明する
ためのものである。レーザビームは例えば米国特許第4,
755,475号明細書及び図面に開示された如く、アイリス
等の光学系を利用することにより矩形状の微小な均一ビ
ームを得ることができるために各光電変換素子(6)
(6)(6)…を、共通の基板(1)に対して一導電型
の第1の半導体層(2)、i型又は実質的にi型の非晶
質シリコンの非晶質半導体層(3)を全領域に形成後、
上記レーザビームを個別に照射することによって、一次
元或いは二次元的に高密度に配置形成できる。即ち、リ
ソグラフィ技術を利用することなく局所的に選択ドーピ
ングが可能となり、プロセスの簡略化が図れる。特にこ
の実施例にあっては、可視光領域における分光感度特性
の改善に有益である。
(ト) 発明の効果 本発明は以上の説明から明らかな如く、エネルギビー
ムの照射によるドーピング時、当該エネルギビームの照
射を受けた非晶質半導体層の露出表面は多結晶化領域に
置換されるので、抵抗効率かつ可視光で高透過性のp型
又はn型の半導体層を得ることができ、太陽電池にあっ
ては電気的且つ光学的損失の抑制が図れ高光電変換効率
を達成でき、光センサにあっては可視光領域における短
波長側の分光感度特性の改善を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)乃至同図(c)は本発明製造方法を工程別
に示す模式的断面図、第2図はボロンのSIMSによる濃度
分布を示す測定図、第3図及び第4図は他の実施例を夫
々示す模式的断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 景一 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 岩多 浩志 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三 洋電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−218841(JP,A) 特開 昭57−152173(JP,A) 特開 昭60−216535(JP,A) 特開 平2−260627(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 31/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板の導電性表面に、一導電型の第1の半
    導体層とi型又は実質的にi型の非晶質半導体層を形成
    した後、当該非晶質半導体層の露出表面に逆導電型決定
    不純物を含むドーピングガスの雰囲気中でエネルギビー
    ムを照射し、上記非晶質半導体層の露出表面に上記逆導
    電型決定不純物をドーピングすると共に当該露出表面を
    多結晶化領域に置換して逆導電型の第2の半導体層とす
    ることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
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