JP3150681B2 - 薄膜非晶質半導体装置 - Google Patents

薄膜非晶質半導体装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、非晶質半導体装置に関する。さらに詳しく
は、長時間の光照射による電気的特性の低下の小さな半
導体および非晶質半導体装置に関する。
[従来の技術および発明が解決しようとする課題] 近年、プラズマCVD法などによってえられるアモルフ
ァスシリコンをはじめとするテトラヘドラル系非晶質半
導体は、大面積化が容易でかつ低コスト化が可能である
ため、太陽電池や薄膜トランジスター、大面積センサー
などへの応用が注目されている。しかしながら、これら
の半導体を光電変換に用いるばあい、これらの光に対す
る安定性が重要な問題となる。アモルファスシリコンの
光劣化は、すでに1977年にステプラー、ロンスキー両博
士によって発見され、光、とくに強い光に対する電気的
特性の変化は太陽電池や電子写真感光ドラムなどの応用
に対する大きな障害となっている。
本発明は、前記の点に鑑み、テトラヘドラル系非晶質
半導体の光による電気的特性の低下を軽減し、これらを
太陽電池などへ応用する際の耐光性を向上させることの
できる非晶質半導体および該非晶質半導体を用いた非晶
質半導体装置を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、シラン系ガスもしくはその混合ガスをプラ
ズマ、熱、光のいづれか、またはこれらの2つ以上の組
み合わせによって分解することにより、または、シリコ
ンもしくはシリコン系化合物をターゲットとするスパッ
ターまたは反応性スパッターによって基板上にシリコン
系非晶質半導体薄膜を形成したのち、高温雰囲気下で高
照度の可視光を含む光を、前記非晶質シリコン系半導膜
が、パルス光の照射間隔が5分以上、パルス光の強度が
100mW/cm2以上により光劣化されるように断続的に照射
することによってえられる安定化された非晶質シリコン
系半導体装置である。
[実施例] 本発明の半導体装置は通常の方法により非晶質半導体
薄膜を作製したのち、該膜を光劣化させるに充分な断続
光を照射することにより安定化している点に特徴があ
る。
通常、シリコン系非晶質半導体薄膜は、シラン系ガス
もしくはその混合ガスをプラズマ、熱、光のいづれか、
またはこれらの2つ以上の組み合わせによって分解する
か、シリコンもしくはシリコン系化合物をターゲットと
するスパッターまたは目的物の構成元素を含むガスや不
純物ガスなどを導入した反応性スパッター法により基板
上に堆積することにより作製される。本発明の半導体装
置は、かかる堆積膜またはその膜を含む装置に高温でパ
ルス光を照射することにより半導体薄膜または半導体薄
膜装置の光に対する安定性を増加させるものである。
本発明によって半導体の光劣化が低減される詳細な理
由は必ずしも明確ではないが、膜中の光劣化の原因とし
てSi−Si弱結合の破断が有力と考えられている。その結
果発生した2つのダングリングボンドは膜中の水素の移
動により自由に動き回る。ある程度高温のばあいダング
リングボンド同志が接近する確率が高くなり、ダングリ
ングボンドが消滅して新たなSi−Si結合が形成される。
すなわち高温で熱アニールすることにより半導体の欠陥
(ダングリングボンド)が減少し熱回復する。通常150
℃下30分間の処理で初期特性に回復すると考えられてい
る。ただ新たに形成されるSi−Si結合は光によって切断
されたSi−Si弱結合と同じとは限らず光を照射しても切
断されにくくなるものもあると考えると、光照射、熱回
復というサイクルを繰り返すうちにしだいに耐光性が高
くなる可能性がある。このことは本発明者らにより実験
により確認されている。
ただ、このようにして膜の耐光性を改善するのは時間
を要するため実用的とはいえない。このような現象を利
用して耐光性を改善するためには、光劣化→昇温→熱ア
ニール→降温を一サイクルとするサイクルを繰り返すよ
りも高温で光を照射する方が実用的であり、高温でダン
グリングボンドが多い状態をつくり出せば簡単に耐光性
の改善ができる。しかしながら150℃以上の温度では太
陽光程度の照射では目に見えるほど劣化が進行しない。
これは熱回復反応が速すぎるためと考えられる。本発明
はこの発見に基づきなされたもので、高強度のパルス光
を用いて人為的にSi−Si結合を高温で切断することを特
徴としている。通常、劣化後のダングリングボンドの数
はI2/3 t1/3に比例すると考えられる。ここでIは光強
度、tは照射時間を表わす。すなわち、同じ劣化をひき
起すために要する時間は光量を100倍にすると1/10000で
よいことになる。したがって1KW/cm2すなわち太陽光の1
04倍の光を照射したばあい、太陽光で100時間を要する
劣化試験をするのにわずか4×10-3秒でよいという計算
になり150℃以上でも充分に劣化をひき起し耐光性の改
善ができるようになる。なお、1KW/cm2の連続光源を実
際に作り出すのは困難であり、パルス光源で行なうのが
本発明の特徴となっている。
照射するパルス光は10W/cm2以上、好ましくは100W/cm
2以上のものが使用される。1パルスの照射時間は通常1
/10秒以下である。また、このパルス光は通常可視光ま
たは紫外光である。
前記した方法でえられた本発明の非晶質半導体は耐光
性の向上せられたものであるが、本発明において非晶質
シリコン系半導体とは少なくともSiを含む非晶質半導体
を指し、a−Siおよびa−Siと微結晶状Si、C、Sn、Ge
などとの合金などがある。代表的には a−Si1-x-yGexCy:H(0≦x、y≦1)、 a−Si1-x-yGexCy:H:F(0≦x、y≦1) などがある。本発明の非晶質半導体は、たとえばpin構
造、ショットキー構造を有する半導体装置に好適に用い
ることができる。pin型太陽電池のばあい、光入射側の
p層にa−Si1-xCxを用いることにより高効率、高電圧
となることが知られている(米国特許第438848号明細
書)。
つぎに本発明の半導体装置を実施例にもとづき説明す
るが、本発明はもとよりかかる実施例に限定されるもの
ではない。
実施例1〜4 第1表に示す条件により純モノシランガス(SiH4)の
グロー放電分解によりコーニング7059ガラス上に真性ア
モルファスシリコン膜を形成し、実施例1〜4とした。
えられた実施例1〜4をクライオスタット中において
160℃の約10-3トールの真空下に放置し、20分間隔でキ
セノンパルス光を照射した。パルス光強度は約1KW/cm2
でパルス巾は1msec(1パルス照射時間が1/1000秒)で
ある。第1図に光パルス照射2秒後の暗時導電率の値を
光パルス照射直前の値で割って規格化したものを示し
た。図において横軸がパルス照射回数であり、縦軸が暗
時導電率である。また図中の温度は成膜温度を示してい
る 照射を繰り返すに従って規格化された暗時導電率は1
に近い一定値に近づき、膜が安定化していることがわか
る。すなわち、耐光性が改善される。
実施例5 基板温度を250℃にした以外は実施例1と同じ条件で
成膜した。しかるのち雰囲気温度250℃の約10-8トール
の真空中で5分間隔で実施例1と同じパルスを90分間照
射した。光照射(AM−1 100mW/cm2の疑似太陽光照射)
を行ないながら導電率の変化を測定した。
結果を第2図に実線で示す。図において横軸が時間で
あり、縦軸が導電率である。
比較例1 実施例5と同じ条件で成膜しただけの状態のものを作
製し、比較例1とした。
比較例1に実施例5と同一の条件で光照射を行ないな
がら導電率の変化を測定した。
結果を第2図に1点鎖線で示す。
比較例2 実施例5と同じ条件で成膜し、250℃で90分間熱処理
のみ行ない比較例2とした。
比較例2に実施例5と同一の条件で光照射を行ないな
がら導電率の変化を測定した。
結果を第2図に2点鎖線で示す。
第2図より、実施例5は比較例1に比し初期導電率は
低いもの1000秒以内に比較例1と逆転し耐光性が改善さ
れていることがわかる。
また比較例2は初期値が低下しないものの、単なるア
ニーリングによっては耐光性は改善されていないことが
わかる。
実施例6 ガラス基板上に、通常の方法で酸化スズなどからなる
透明電極、pin型半導体層を2段、Agからなる裏面電極
をこの順序で形成し、いわゆる2段タンデム型太陽電池
を作製した。えられた太陽電池に実施例1と同一の条件
でガラス基板側から光照射を行ったのち、開放状態30℃
においてAM−1 100mW/cm2の疑似太陽光により劣化試験
を行った。結果を第3図に示す。
比較例3 光照射を行わなかったほかは実施例6と同様に2段タ
ンデム型太陽電池を作製した。えられた太陽電池に実施
例6と同一の条件で劣化試験を行った。結果を第3図に
併せて示す。
第3図より実施例6は比較例3よりも光劣化の程度が
約40%改善されているのがわかる。
なお、第3図の縦軸の光電変換効率は、AM−1 100mW/
cm2の疑似太陽光照射前の効率を1.00として規格化して
示してある。
実施例6においては、ドーパント拡散ブロック層を設
けないほかはヨーロッパ公開特許公報第177864号明細書
の記載に基づき2段タンデム型太陽電池を作製したのち
光照射を行ったが、pinの3層に組んだだけの状態で行
ってもよい。また金属電極を蒸着後に高温で光照射を行
うばあい、金属によっては熱による悪影響(劣化)を生
じることがあるが、そのようなときは、金属電極と半導
体層の間にシリサイドなどの熱劣化防止層をもうけるの
が好ましい。光照射の方向はとくに限定されないが、n
層側から照射するほうが劣化防止効化が大であるので好
ましい。
ドーパント拡散ブロック層を設ける目的は、太陽電池
の光劣化を改善することにあるが、同様のことは「ア・
ニュー・ステーブル・a−SiC/a−SiH・ヘテロジャンク
ション・ソーラー・セルズ(A NEW STABLE a−SiC/a−S
iH HETEROJUNCTION SOLAR CELLS)」(プロシーディン
グ・オブ・ザ・エイティーンス・アイトリプルイー・フ
ォトボルティック・スペシャリスト・コンファランス,
ラスベガス,オクトーバ21−25,1985(Proceeding of t
he 18th IEEE Phtovoltaic specialist conference,Las
Vegas,Nevada,October 21−25,1985))にも開示され
ている。かかるドーパント拡散ブロック層を本発明の太
陽電池に設けることもできる。
[発明の効果] 以上説明したとおり、本発明のa−Si系半導体装置
は、光に対して安定しており太陽電池や光センサーなど
に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はパルス照射回数−暗時導電率線図であり、第2
図は時間−導電率線図であり、第3図は時間−光電変換
効率線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三木 恵子 兵庫県神戸市東灘区甲南町3―9―6― 301 (72)発明者 津下 和永 兵庫県神戸市垂水区舞子台2―9―30― 1220 (72)発明者 太和田 善久 兵庫県神戸市北区大池見山台14―39 (56)参考文献 特開 昭63−14420(JP,A) 特開 昭57−99729(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/205 H01L 21/26 H01L 31/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】150℃以上の温度雰囲気下で高照度の可視
    光を含む光を断続的に照射することにより安定化された
    非晶質シリコン系半導体を有する薄膜非晶質半導体装置
    であって、前記非晶質シリコン系半導体が、パルス光の
    照射間隔が5分以上、パルス光の強度が100mW/cm2以上
    により光劣化されてなることを特徴とする薄膜非晶質半
    導体装置。
  2. 【請求項2】非晶質シリコン系半導体の安定化が、該非
    晶質シリコン系半導体が薄膜非晶質半導体装置に装着さ
    れた状態でなされる請求項1記載の薄膜非晶質半導体装
    置。
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FR2995728B1 (fr) * 2012-09-14 2014-10-24 Commissariat Energie Atomique Dispositif et procede de restauration des cellules solaires a base de silicium avec transducteur ultrason
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