JP2814318B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP2814318B2
JP2814318B2 JP16402791A JP16402791A JP2814318B2 JP 2814318 B2 JP2814318 B2 JP 2814318B2 JP 16402791 A JP16402791 A JP 16402791A JP 16402791 A JP16402791 A JP 16402791A JP 2814318 B2 JP2814318 B2 JP 2814318B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は記録手段から記録媒体へ
インクを吐出させて記録を行なうインクジェット記録装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機
能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワード
プロセッサ等を含む複合機やワークステーションの出力
機器として用いられる記録装置は、画像情報に基づいて
用紙やプラスチック薄板(OHPなど)等の記録媒体に
画像を記録していくように構成されている。前記記録装
置は、使用する記録手段の記録方式により、インクジェ
ット式、ワイヤドット式、感熱式、熱転写式、レーザー
ビーム式等に分けることができる。
【0003】記録媒体の搬送方向(副走査方向)と交叉
する方向に主走査する記録方式を採るシリアルタイプの
記録装置においては、記録媒体を所定の記録位置にセッ
トした後、記録媒体に沿って移動するキャリッジ上に搭
載した記録手段によって画像を記録(主走査)し、1行
分の記録を終了した後に所定量の紙送り(ピッチ搬送)
を行ない、その後に次の行の画像を記録(主走査)する
という動作を繰り返すことにより、記録媒体全域の画像
記録が行なわれる。一方、記録媒体を搬送方向に送る副
走査のみで記録するラインタイプの記録装置において
は、記録媒体を所定の記録位置にセットし、一括して1
行分の記録を行なった後、所定量の紙送り(ピッチ送
り)を行ない、さらに、次の行の記録を一括して行なう
という動作を繰り返すことにより、記録媒体全域の画像
記録が行なわれる。
【0004】そのうち、インクジェット式(インクジェ
ット記録装置)は、記録手段(記録ヘッド)から記録媒
体にインクを吐出して記録を行なうものであり、記録手
段のコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で
記録することができ、普通紙に特別の処理を必要とせず
に記録することができ、ランニングコストが安く、ノン
インパクト方式であるため騒音が少なく、しかも、多色
のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易であ
るなどの利点を有している。中でも、紙幅方向に多数の
吐出口を配列したラインタイプの記録手段を使用するラ
イン型の装置は、記録の一層の高速化が可能である。
【0005】特に、熱エネルギーを利用してインクを吐
出するインクジェット式の記録手段(記録ヘッド)は、
エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロ
セスを経て、基板上に製膜された電気熱変換体、電極、
液路壁、天板などを形成することにより、高密度の液路
配置(吐出口配置)を有するものを容易に製造すること
ができ、一層のコンパクト化を図ることができる。
【0006】上記インクジェット記録装置においては、
記録ヘッドとして一般に微細な吐出口を配列したものが
用いられるので、吐出口内方への気泡や塵埃の混入が生
じた場合、あるいはインク溶剤の蒸発に伴う増粘等によ
ってインクが吐出ないし記録に適さない状態となった場
合等において、インクをリフレッシュすることにより吐
出不良要因を除去する吐出回復処理が行なわれる。
【0007】このような吐出回復処理を行う手段の一形
態として、記録ヘッドの吐出口形成面を覆うことが可能
なキャップと、このキャップに連通し吸引力を作用する
ポンプとを設けたものがある。前記吐出回復処理の動作
には、キャップを吐出口形成面に対向させた対向状態で
吐出口内方のインク吐出エネルギ発生素子を駆動するこ
とによりインクを吐出させる動作と、キャップを吐出口
形成面に圧接し密封したキャッピング状態で吸引力を作
用させて吐出口よりインクを強制的に吸い出す動作があ
る。また、記録手段(記録ヘッド)として、記録ヘッド
とインク供給タンクを一体化して交換可能にしたカート
リッジタイプのもの、すなわち、ヘッドカートリッジと
呼ばれる記録ヘッドを使用することが行なわれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のヘッド
カートリッジを使用するインクジェット記録装置におい
ては、ヘッドカートリッジを装着する際に、ヘッドカー
トリッジの吐出口形成面を手操作で回復系ユニットのキ
ャップに圧接することになるため、ゴム等の弾性部材で
形成されたキャップが変形された状態で吐出口形成面に
圧接される状態が発生することがある。キャップが変形
した状態で圧接されると、キャップとヘッドカートリッ
ジの吐出口形成面との密着部に隙間が生じ、インクをヘ
ッドカートリッジの吐出口から強制的に吸引排出するた
めに必要な吸引力が十分に得られず、満足な吐出回復処
理が行なわれないことになる。そして、これはインクの
吐出状況に影響を与え、良好な画像記録を妨げる原因と
なる。
【0009】
【課題解決のための手段】本発明は、上記技術的課題に
鑑みてなされたものであり、本発明は、記録手段から記
録媒体へインクを吐出させて記録を行なうインクジェッ
ト記録装置において、前記記録手段としてインク吐出部
とインク供給タンクを一体にした交換可能なカートリッ
ジタイプの記録手段などを使用する場合に、インク吐出
状態を良好に保つための吐出回復処理の最初に、回復系
ユニットのキャップが記録手段の吐出口形成面に圧接し
た状態を少なくとも1度解除し、再度圧接する動作を入
れる構成とすることにより、前記カートリッジタイプの
記録手段を装着する時、記録手段の吐出口形成面とキャ
ップの圧接状態が悪くなっても、その後の吐出回復処理
では良好な処理を行なうことができ、インク吐出状態を
良好に保つことにより良好な記録を維持し得るインクジ
ェット記録装置を提供するものである。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明を適用したインクジェット記録装置
を使用するのに適した一装置例としての文書作成装置
(ワードプロセッサ)の外観斜視図である。図1におい
て、1は入力装置であるところのキーボード部、2は入
力した文書等を表示する表示器部分である。この表示器
部分2は、回動可能に保持され、非使用時はキーボード
部1に重なるように折たたむことができる。3は記録手
段(記録ヘッド)の動作状態を確認するための視認用開
口に開閉可能に設けられた透明または半透明の保護カバ
ーである。4は拍車を保持するための拍車カバーであ
る。これらについては図6〜図8を参照して後述する。
5は給排紙される記録用紙やプラスチック薄板(OHP
フイルム等)などの記録媒体を支えるためのペーパーサ
ポータ、6は手動にて記録媒体の給排紙を行なうための
ノブである。
【0011】図2は本発明を適用したインクジェット記
録装置の一実施例の要部構成を示す一部破断斜視図であ
る。図2において、9は記録ヘッドとインクタンクを一
体化した形態のカートリッジタイプの記録手段(ヘッド
カートリッジ)、11は記録手段9を搭載して図2中の
矢印S方向に主走査するためのキャリッジである。13
はヘッドカートリッジ9をキャリッジ11に取付けるた
めのフック、15はフック13を操作するためのレバー
である。19はヘッドカートリッジ9に対する電気接続
部を支持する支持板である。21はその電気接続部と本
体制御部とを接続するためのFPCである。このFPC
21については図9〜図11を参照して後述する。
【0012】図2において、23はキャリッジ11を矢
印S方向に案内するためのガイド軸であり、25はガイ
ド軸23が挿通されるキャリッジ11の軸受である。2
7はキャリッジ11を矢印S方向に往復移動させるため
の動力を伝達すべく該キャリッジ11に結合されたタイ
ミングベルト、29Aおよび29Bはタイミングベルト
27を張架するために記録装置の両側部に配置されたプ
ーリ、31は一方のプーリ29Bにギヤ等の伝導機構を
介して連結されキャリッジ11を駆動するための駆動源
としてのキャリッジモータである。
【0013】33は記録媒体(以下記録紙ともいう)の
被記録面を規制するとともに記録等に際してこれを搬送
するための搬送ローラであり、搬送モータ35によって
駆動される。37は記録媒体をペーパーサポータ5側よ
り記録位置に導くためのペーパーパン、39は記録媒体
の送給経路途中に配設されて記録媒体を搬送ローラ33
に向けて押圧し搬送力を付与するためのフィードローラ
である。34はヘッドカートリッジ9の吐出口に対向し
記録媒体の被記録面を規制するためのプラテンである。
41は記録位置より搬送方向下流側に配置され記録媒体
を不図示の排紙口へ向けて排紙するための排紙ローラで
ある。42は排紙ローラ41に対応して設けられる拍車
であり、記録媒体を排紙ローラ41に押圧し該排紙ロー
ラ41による記録媒体の搬送力を生じさせるためのもの
である。43は記録媒体のセット等に際してフィードロ
ーラ39および拍車42を離隔させ押圧力を解除するた
めの解除レバーである。
【0014】前記プラテン34は、その両端を排紙ロー
ラ41の軸41Aで回動可能に支持されるとともに、左
右プレート75、75の停止位置からペーパーパン37
の前面部45へ向けて付勢されている。前記搬送ローラ
(プラテンローラ)33の複数箇所には、直径を小さく
した逃げ部分33Aが設けられている。一方、前記プラ
テン34の前記逃げ部分33Aに対応する位置には耳部
34Aが形成されている。そこで、記録用紙がない状態
では、プラテン34の耳部34Aは、ペーパーパンの前
面部45の内側に当接している。
【0015】図2において、51は、キャリッジ11の
ホームポジションにおいて、記録ヘッド(ヘッドカート
リッジ)9のインク吐出口が形成された吐出口形成面と
対向するキャップである。このキャップ51は、ゴム状
弾性材で形成されており、前記吐出口形成面に対し当接
/離脱可能に支持されている。なお、このキャップ51
は、非記録時等の記録ヘッド(吐出口形成面)の保護
や、記録ヘッドの吐出回復処理に際して用いられるもの
である。吐出回復処理とは、キャップ51を吐出口形成
面に対向させ、インク吐出口内方に設けられてインク吐
出のために利用されるエネルギ発生素子を駆動すること
により全吐出口からインクを吐出させ、これによって、
気泡や塵埃、増粘して記録に適さなくなったインク等の
吐出不良要因を除去する処理予備吐出や、これとは別に
吐出口形成面とキャップ51で覆った状態で吐出口より
インクを強制的に排出させることにより吐出不良要因を
除去する処理である。
【0016】53は吐出回復処理に使用されるポンプで
ある。このポンプ53は、インクの強制排出のために吸
引力を作用するとともに、かかる強制排出による吐出回
復処理や予備吐出による吐出回復処理に際してキャップ
51に受容されたインクを吸引するために用いられる。
55はこのポンプ53によって吸引された廃インクを貯
留するための第1の廃インクタンク、57はポンプ53
と廃インクタンク55とを連通するチューブである。ま
た、70は第2の廃インクタンクであり、チューブ71
を介して第1の廃インクタンク55と接続されている。
【0017】59は記録ヘッドの吐出口形成面のワイピ
ングを行なうためのブレードであり、記録ヘッド側に突
出してヘッド移動の過程でワイピングを行なうための位
置と、吐出口形成面に係合しない後退位置とに移動可能
に支持されている。61はモータ、63はモータ61か
ら動力を受けてポンプ53の駆動およびキャップ51や
ブレード59の移動を行なわせるためのカム装置であ
る。
【0018】次に、前記ヘッドカートリッジ9の詳細に
ついて説明する。図3はヘッドカートリッジ9の斜視図
である。図3において、ヘッドカートリッジ9は、記録
手段(記録ヘッド)の本体部分である吐出ユニット9a
とインクタンク9bとを一体化した構造を有している。
なお、本実施例では、記録手段(記録ヘッド)として、
いわゆる記録ヘッド(上記吐出ユニット9a)とインク
タンク9bとを一体化したヘッドカートリッジ9が使用
されているので、説明を簡明にするため、ヘッドカート
リッジ9または吐出ユニット9aを単に記録手段9また
は記録ヘッド9で示す場合がある。
【0019】図3において、906eはヘッドカートリ
ッジ9を装着する際にキャリッジ11に設けられたフッ
ク13に掛止される爪である。図示のように、前記爪9
06eは記録ヘッド9の表面から凹んだ部分の内部に設
けられている。また、ヘッドカートリッジ9の前側の吐
出ユニット9aの近傍には、不図示の位置決め用突き当
て部が設けられている。906fはキャリッジ11に立
設された支持板19が挿入される開口部である。前記支
持板19は、後述するフレキシブル基板(電気接続部)
およびゴムパッドを支持するためのものである。
【0020】図4の(A)および(B)は、図3に示し
たヘッドカートリッジの分解斜視図および外観斜視図で
ある。このヘッドカートリッジ9は、記録ヘッド(吐出
ユニット)9aとインク供給源たるインク収容部(イン
クタンク)9bを一体化したディスポーザブルタイプの
ものである。前記吐出ユニット9aの各構成部品を示す
図4の(A)において、911はヒータボードであり、
このヒータボード911は、Si基板上に、電気熱変換
素子(吐出ヒータ)とこれに電力を供給するアルミ等の
配線とを成膜技術により形成した構造をしている。92
1はヒータボード911に対する配線基板であり、対応
する配線は例えばワイヤボンディングにより接続され
る。
【0021】940はインク流路を限界するための隔壁
や共通液室等を設けた天板であり、本実施例では、吐出
口プレート部を一体に有する樹脂材料で形成されてい
る。図4の(C)は前記天板940の斜視図である。図
4の(C)に示すように、吐出口形成面は記録媒体(記
録用紙)の被記録面と平行な平面に対して所定角度θだ
け傾いており、かつ吐出口近傍の部分で段差940aを
有している。これは、天板940に設けた流路側からレ
ーザビームを照射して吐出口を加工するために、吐出口
プレート部内の流路とその後方の流路とを所定角度で配
列させるために行われたものである。
【0022】図4の(A)において、930は例えば金
属製の支持体、950は押さえばねであり、両者間にヒ
ータボード911および天板940を挟み込んだ状態で
両者を係合させることにより、押さえばね950の付勢
力によってヒータボード911と天板940とを圧着固
定する。なお、支持体930は、配線基板921が貼着
等により固定されるとともに、キャリッジ11に対する
ヘッドカートリッジ9の位置決め基準となるものであ
る。また、この支持体930は、記録手段9を駆動する
際に生じるヒータボード911の熱を放熱冷却するため
の部材としても機能する。
【0023】960はサブタンクであり、インク供給源
をなすインク貯留部9bからインク供給を受け、ヒータ
ボード911と天板940との接合により形成される共
通液室にインクを導くためのものである。970は共通
液室へのインク供給口付近のサブタンク960内の部位
に配置されるフィルタ、980はサブタンク960の蓋
部材である。
【0024】900はインクを含浸させるための吸収体
であり、インクタンク本体9b内に配置される。120
0は上記各構成部品911〜980からなる記録エレメ
ント(吐出ユニット)9aに対してインクを供給するた
めの供給口であり、該記録エレメント9aをインクタン
ク本体9bの部分1010に配置する前の工程で、供給
口1200よりインクを注入することにより吸収体90
0のインク含浸を行なわせることができる。1100は
カートリッジ本体の蓋部材、1300はカートリッジ内
部を大気に連通するための蓋部材に設けた大気連通口で
ある。
【0025】図4の(A)において、供給口1200を
介してのインクタンク9bへのインク充填が終了する
と、各構成部品911〜980よりなる吐出ユニット9
aを部分1010に位置付けて配設する。このときの位
置決めないし固定は、例えばインクタンク本体9bに設
けた突起1012と、これに対応して支持体930に設
けた孔931とを嵌合させることにより行なうことがで
き、これによって図4(B)に示すヘッドカートリッジ
9が完成する。
【0026】インクタンク9b内インクは、供給口12
00、支持体930に設けた孔932、サブタンク96
0の図4(A)中の裏面側に設けた導入口を介して、該
サブタンク960内に供給される。このサブタンク96
0内のインクは、導出口より適宜の供給管および天板9
40のインク導入口942を介して、共通液室内へと流
入する。以上におけるインク連通用の接続部には、例え
ばシリコンゴムやブチルゴム等パッキンが配置され、こ
れによって封止が行なわれてインク供給路が確保され
る。
【0027】前記記録ヘッド(記録手段)としての吐出
口ユニット9aは、熱エネルギーを利用してインクを吐
出するインクジェット記録手段であって、熱エネルギー
を発生するための電気熱変換体を備えたものである。ま
た、前記記録ヘッド9aは、前記電気熱変換体によって
印加される熱エネルギーにより生じる膜沸騰による気泡
の成長、収縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出
口よりインクを吐出させ、記録を行なうものである。
【0028】図4の(D)は、前記記録ヘッド(吐出口
ユニット)9aのインク吐出部の構造を模式的に示す部
分斜視図である。図4の(D)において、被記録材と所
定の隙間(例えば、約0.5〜2.0ミリ程度)をおい
て対面する吐出口形成面221には、所定のピッチで複
数の吐出口222が形成され、共通液室223と各吐出
口222とを連通する各液路224の壁面に沿ってイン
ク吐出用のエネルギーを発生するための電気熱変換体
(発熱抵抗体など)225が配設されている。本例にお
いては、記録ヘッド9aは、前記吐出口222が前記キ
ャリッジ11の移動方向(主走査方向)と交叉する方向
に並ぶような位置関係で、該キャリッジ11に搭載され
ている。こうして、画像信号または吐出信号に基づいて
対応する電気熱変換体225を駆動(通電)して、液路
224内のインクを膜沸騰させ、その時に発生する圧力
によって吐出口222からインクを吐出させる記録ヘッ
ド9aが構成されている。
【0029】図5は図2のインクジェット記録装置の縦
断面図であり、プラテン34およびペーパーパン前面部
45の構成および作用をさらに詳しく説明する。図5に
おいて、ヘッドカートリッジ9の吐出口222とプラテ
ン34の前面との隙間(ヘッドギャップ)Sは記録に最
適な値に調整されている。矢印A方向から挿入された記
録用紙は、フィードローラ39により搬送ローラ33に
向けて付勢され、その摩擦力によって送られる。記録用
紙の先端は、プラテン34のすくい部34Aとペーパー
パン前面部45との間に、ばね82(両側に設けてあ
る)の力に抗してプラテン34を軸41Aを中心として
矢印B方向に変位させつつ入り込む。なお、ペーパーパ
ン前面部45は吐出口形成面221との間隙が適切に調
整され、固定されている。
【0030】したがって、プラテン34上の記録用紙と
記録ヘッド9aの吐出口形成面221との間隔は、該記
録用紙の厚さに応じた分プラテン34が矢印B方向に逃
げることにより、記録用紙の厚さに関係なく常にに一定
の最適値に保たれる。そして、プラテン34が矢印B方
向に逃げた場合でも、該プラテン34の前面の延長線上
に排紙ローラ41と拍車42の接点が位置している。し
たがって、記録用紙の先端は排紙ローラ41と拍車42
との間に容易に進入できる。また、プラテン34が傾く
ことによる記録部hの上下でのヘッドキャップの差異
は、該プラテン34の回動中心と記録位置の中心との距
離Hが大きいために、無視できる程度に小さいものであ
る。
【0031】なお、プラテン34の回動中心は、必ずし
も排紙ローラ41の軸41Aと同心にする必要はない。
また、前記前面部45は、必ずしもペーパーパン37と
一体に形成する必要はなく、接着やビス止めによって固
定してもよく、さらに、記録装置の他の部分に固定した
ものでもよい。
【0032】図6は、図1および図2におけるキャリッ
ジ11、ヘッドカートリッジ9、拍車42、拍車カバー
4、視認用開口に設けた保護カバー3などを示す記録装
置部の縦断面図である。図6において、拍車カバー4
は、拍車42を保持する部分を形成するために、ヘッド
カートリッジ9の上部にオーバーハングしている。この
ため、保護カバー3が透明または半透明であれば、ヘッ
ドカートリッジ9の動作は図示のようなカバー状態のま
までも目視できるが、キャッピング位置における吐出ユ
ニット9aの吐出口形成面(吐出口部)221は目視で
確認することは困難である。したがって、キャッピング
位置における吐出口形成面221を目視で確認できるよ
うにするための手段が要請される。
【0033】図7は従来の電子機器(ワードプロセッサ
等)の平面図であり、ここで、図7を参照して、従来の
インクジェット記録装置においては、キャッピング位置
における吐出口形成面221を目視で確認できない理由
を説明する。図7において、キャッピング状態における
ヘッドカートリッジ9の待機位置は、記録媒体の通紙位
置から外れた破線9で示すような位置に設定される。ま
た、視認用開口3Aの保護カバー3以外の外装部材85
は、一般に、不透明のモールド部材で構成されている。
そのため、破線で示すキャッピング状態においては、ヘ
ッドカートリッジ9の位置、吐出ユニット9a、吐出口
形成面221などを目視確認することはできない。ま
た、視認用開口3Aを記録装置の幅方向に単に広げるだ
けでも、吐出口形成面221等を目視確認することはで
きない。
【0034】図8は、本発明を適用したインクジェット
記録装置の一実施例を備えた図1の電子機器の平面図で
ある。本実施例においては、図8に示すように、視認用
開口3Aは、キャッピング状態のヘッドカートリッジ9
の上部まで記録装置の幅方向に広げられ、さらに、吐出
口ユニット(記録ヘッド)9aの吐出口形成面221の
上部の領域まで形成されている。すなわち、図示のよう
に、全体としてL字状の形状で形成されている。そし
て、この視認用開口3Aは、これと同じ形状の透明また
は半透明の開閉可能な保護カバー3で蓋をされている。
したがって、本実施例によれば、キャッピング状態にお
いて、ヘッドカートリッジ9のみならず、記録ヘッド
(吐出口ユニット)9aおよびその吐出口形成面221
までも容易に目視で確認することが可能になった。
【0035】本実施例では、前述のように、視認用開口
3Aにはカバー部材(保護カバー)3が設けられている
ので、非記録状態でもヘッドカートリッジ9等の装置内
部の各構成部品を保護することができる。また、このカ
バー部材3は種々の材料で構成してもよいが、これを前
述のように透明または半透明の部材で形成すれば、該カ
バー部材3で蓋をしたままの状態でもキャッピング時の
吐出口形成面221等を目視で確認することができる。
なお、カバー部材3を開閉もしくは簡易に着脱可能な構
成とし、必要に応じて直ちに開口3Aを開放可能にして
おけば、該カバー部材は不透明であってもよい。
【0036】次に、図2に示した本実施例によるインク
ジェット記録装置の前記FPC21に関連した構成を、
図9および図10を参照して説明する。図9および図1
0は記録装置のFPC21の部分を示す部分正面図であ
り、図9はキャリッジ11がホームポジションにある時
の状態、図10はキャリッジ11が移動している時の状
態を示す。図9および図10において、記録装置のフレ
ーム91から立設した左右フレーム75(図2)には、
左右に延びる搬送ローラ33が回転可能に軸支され、該
ローラ33の手前にはキャリッジ案内用のガイド軸23
が固定されている。キャリッジ11はガイド軸23に沿
って左右に移動可能に案内支持されている。このキャリ
ッジ11上にはヘッドカートリッジ9が搭載されてい
る。
【0037】図9および図10において、キャリッジ1
1には、その上に設けたコネクタ部等を介して不図示の
制御回路とヘッドカートリッジ9とを電気的に接続する
FPC21が固定されている。また、このFPC21の
他端はフレーム91に固定されている。さらに、フレー
ム91上のFPC21が最小半径を形成する部分の近傍
には、該FPC21の滑りを防止するための摩擦シート
97が設けられている。この摩擦シート97は、その片
面に塗布された接着剤により、フレーム91に接合され
ている。
【0038】以上図9および図10に示した構成におい
ては、キャリッジ11は、モータ31(図2)を作動さ
せることにより、図9のホームポジションから、ガイド
軸23に沿って矢印SRの方向に移動する。この移動の
間に、制御部からFPC21を介してキャリッジ11上
に搭載されたヘッドカートリッジ5の吐出ユニット9a
に記録信号が送られ、吐出ユニット9aが記録信号に応
じて記録用紙にインクを吐出することにより記録が行な
われていく。一行分の記録が終了した後キャリッジ11
は停止し、搬送ローラ33をモータ35(図2)等の駆
動手段で回転駆動することにより、記録用紙の副走査
(紙送り)が行なわれる。
【0039】その後、キャリッジ11は図中矢印SL方
向に移動し、次行の記録が行なわれていく。図10はキ
ャリッジ11の移動状態を示すが、本実施例ではフレー
ム91上に摩擦シート97が設けられているので、FP
C21と摩擦シート97との間で摩擦力により、該FP
C21はフレーム91との間に滑りを生じることなく円
弧部21Aを形成したまま移動していく。このため、F
PC21がキャリッジ11の下部に巻き込まれることは
無い。
【0040】図11は、前記摩擦シート97を有しない
従来の記録装置における前記FPC21の状態を示す部
分正面図である。図11において、前記摩擦シート97
を設けない場合には、キャリッジ11の移動に伴って、
キャリッジ11の下側領域でFPC21とフレーム1と
の間に滑りが生じるので、FPC21に弛み21Bが生
じる。この弛み21Bが生じた状態でキャリッジ11が
さらに矢印SR方向に移動すると、FPC21がキャリ
ッジ11に巻き込まれるおそれが生じることになる。
【0041】図9および図10の本実施例によれば、記
録装置のフレーム91上に高摩擦係数の部材(摩擦シー
ト97)を設けるという簡易な構成をとることにより、
FPC21の走行を安定させることができ、したがっ
て、FPC21の走行部の高さを低くすることが可能に
なり、記録装置の小型軽量化を図ることが可能になる。
なお、前記摩擦シート97の一例としては、例えばシリ
コンから成るシート材を使用することができる。また、
本実施例では、ヘッドカートリッジ9と制御回路との間
の接続をFPC21で行なうものとしたが、この電気的
接続手段は、FPCに限定されるものではなく、フラッ
トケーブルや束線などの他の構成の電気的接続手段を使
用してもよい。
【0042】図12は、図2のインクジェット記録装置
におけるキャップ51、ポンプ53、ブレード59、モ
ータ61およびカム装置63等から成る回復装置の構成
を示す分解斜視図である。図12において、501はキ
ャップ51内部に配置されるインク吸収体、503はキ
ャップ51を保持する保持部材、505はピン507を
中心に回動可能に取付けられたキャップレバーである。
キャップレバー505は、前記ピン507に加えられる
力によって前記キャップ51を吐出ユニット9aの吐出
口形成面221に当接/離脱させる機能を有する。51
1はキャップレバー505の端部509に係合してキャ
ップレバー505の回動範囲を規制するためのピンであ
る。
【0043】図12において、513はキャッレバー5
05のピン507が嵌入される穴部を有する治具であ
り、キャップレバー505をポンプ53に設けた支持部
515に取付けるのに用いられる。516はその取付け
状態を確保するための留め部材である。517はキャッ
プ51に吐出口形成面と当接する力を付与するための作
用部であり、キャップ51の後側部のほぼ中央に係合す
る。この作用部517は吸引したインクを導入するため
の導入口517A(図14の(C))を有する。また、
キャップレバー505の内部、ピン507の内部、治具
513の内部および支持部515の内部には、吸引した
インクを導びくためのインク流路が形成されている。
そして、ポンプ53が吸引力を作用すると、吐出口22
2から吸い出されたインクは、前記導入口517Aから
前記各インク流路を通して図中矢印で示すようにポンプ
53内に導入される。
【0044】519はポンプ53の端面中央に突設され
内部にインク流路を有する軸であり、側壁部520に回
動可能に取付けられる。ポンプ53自体が回転すると、
その回転変位は支持部515を介してキャップレバー5
05の直線変位として伝達され、該キャップレバー50
5の変位によってキャップ51が吐出口形成面221に
対して進退する。521はポンプ軸519に結合される
流路形成部材、523は第1の廃インクタンク55(図
2)へ通じるチューブ57を取り付けるための取り付け
部材である。すなわち、前記ポンプ軸519、前記流路
形成部材521および前記取り付け部材523のそれぞ
れの内部にはインク流路が形成され、ポンプ53に吸引
されたインクは、これらのインク流路を通して図中矢印
で示すように導かれ、さらに前記チューブ57を通して
前記廃インクタンク55(図2)へ導入される。
【0045】図12において、525はポンプ53のピ
ストン、527は該ピストンの軸であるピストン軸、5
29はパッキン、531はポンプ53のキャップであ
る。533はピストン軸527に取付けられるピンであ
り、該ピン533はピストン525を作動させるための
駆動力を受ける機能を有する。535はブレード59が
取付けられるブレードレバーであり、ポンプ53の軸5
19のまわりに回動可能に支持されている。このブレー
ドレバー535を回動させることにより、ブレード59
を記録ヘッド9a側に突出または後退させることができ
る。537はブレードレバー535に対しブレード59
を突出させる方向への回動力を付与するばねである。ま
た、539はポンプ53自体に対しキャップ53が記録
ヘッド9a側に向かう方向への回動習性を与えるばねで
ある。
【0046】541はモータ61の回転をカム装置63
に伝達するギア列である。カム装置63は、ポンプ53
に設けた係合部545に係合してこれを回動させるため
のカム547と、ポンプ53のピストン軸527に設け
たピン533に係合してポンプを作動させるためのカム
549と、ブレードレバー535に設けた係合部551
に係合してこれを回動させるためのカム553と、カム
装置63のホームポジションを検出するためのスイッチ
555に係合するカム557とを有している。これらカ
ムの動作については後述する。
【0047】図13は前記キャップ51および前記保持
部材(ホルダ)503の詳細を示す斜視図である。図1
3において、本実施例におけるキャップ51は天板94
0(図4の(A)および(C))の吐出口プレート部
(吐出口形成面221)との密着性をよくするためゴム
状弾性体で形成されており、キャッピングに際しては約
60g〜80gの押圧力をもって天板の吐出口プレート
部(吐出口形成面221)に圧接される。そしてリブ部
分の先端すなわち吐出口形成面221に対向する縁部
は、上記傾き角θ(図4の(C)参照)に対応して本例
では平行となるように形成され、かつ吐出口位置の段差
940a(図4の(C))に追従するために先は細く根
元で太くなる台形断面を有している。
【0048】また、角度θに対応して、天板940に押
圧された時の横すべりを防止するため、保持部材(キャ
ップホルダ)503には、リブ503bおよび503c
が設けられている。すなわち、ゴム製キャップ自身の変
形をリブ503cで防止するとともに、キャップ51と
キャップホルダ503全体がキャップレバー505の取
り付け面で横向きになるのをリブ503bで防止する構
造になっている。
【0049】図14はキャップ51の詳細を示す図であ
り、図14において、(A)は正面図、(B)は平面
図、(C)は(A)中の線M−Mに沿った断面図であ
る。図14において、キャップ51の鉛直方向下部にイ
ンク吸引口561が開口しており、該インク吸引口56
1は、インク流路563を通して、キャップレバー50
5の作用部517に設けたインク導入口517Aに連通
している。また、キャップ51内のインク吸収体501
は、インク吸引口561を完全に覆わないように配置さ
れている。
【0050】キャリッジ11上にセットされたヘッドカ
ートリッジ9は、その吐出口222が回復系のキャップ
51のほぼ中心にくるようにキャリッジモータ31によ
り駆動され、キャッピングや予備吐出や吸引動作などの
一連の吐出回復処理が行なわれる。その際、記録ヘッド
9aの天板940は、図4の(C)で説明したように、
記録媒体の被記録面に対して水平ではなく、すなわちキ
ャップ51の押圧方向に対して直角ではなく、所定の角
度θ(本実施例の場合θは約5度)を成すとともに微小
段差(本実施例の場合約0.2ミリ)が設けられてい
る。その上、キャリッジ11の停止位置は、キャリッジ
モータ31にステップモータを使用する場合には、目標
位置に対して所定量(例えば約±0.5ミリ程度)のズ
レが生じることがある。
【0051】図14において、天板940(図12)の
吐出口プレート部221の形状に追従するためには、キ
ャップ51の先端リブ51aは小さく硬度も低いものが
よいが、吸引時に発生する負圧に耐えて気密性を保持す
るにはリブ51aにはある程度の強度が必要である。ま
た、天板940の吐出口プレート部は角度θを持つた
め、キャップ51のリブ51aにはこれを押し広げる方
向の力が働くことになり、長期間放置されたときの永久
変形が問題となる。これらを考慮し、本実施例では、リ
ブ51aの形状を次のように選択した。
【0052】すなわち、図14の(C)において、リブ
51aの形状については、W1 =0.3ミリ,W2
0.5ミリ,H=0.4ミリとし、リブ51を形成する
ゴム状弾性材のゴム硬度を60度とすることにより、上
記の問題を解決することができた。同時に、リブ51a
の外側の周囲部51bの形状寸法をリブ51a形状に対
して十分大きくすることにより、例えば、周囲部51b
のリブ51aの外側の幅を2〜3ミリ以上にし、該周囲
部51bの厚みを2〜3ミリ以上とすることにより、上
記の問題をさらに確実に解決することができた。
【0053】なお、キャップ51に用いられるゴム状弾
性材としては、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、シリコ
ンゴムなどを用いることができる。ところで、吐出口形
成面とリブ51aの縁部が形成する平面とは必ずしも平
行としなくてもよい。その理由は、平行である場合に
は、キャップ51の当接/離脱に際して縁部全体が同時
に吐出口形成面に対し接触/離脱し、キャップ51内の
気密空間に大きな圧力変動が瞬間的に生じるために、吐
出口内のインクメニスカスが適正に保持されなくなるお
それがあるからである。すなわち、非平行とすることに
よって、キャッピングに際して全体が密着状態になるま
でに、リブ51aの縁部が徐々に吐出口形成面に接触し
て行くことになり、また、キャップオープンに際して
は、完全な離脱を行なうまでにリブ51aの縁部が徐々
に離脱して行くことになり、却って好ましい状態にな
る。
【0054】このような観点からすれば、図13および
図14に示したキャップ51の構成は、必ずしも図4の
(C)に示したような吐出口形成面に対してのみ適用さ
れるものではない。すなわち、上記構成のキャップ51
は、例えば記録媒体の非記録面に対して平行に形成され
た吐出口形成面に対しても適用可能である。また、同じ
く上記観点からすれば、リブ51aの縁部が形成する平
面は必ずしも図13および図14に示した方向である必
要はなく、その方向は適宜選定することができる。さら
に、リブ51aの縁部が形成する平面は必ずしも平面で
ある必要もなく、該縁部に凹凸を設けてもよい。
【0055】次に、図2の本実施例に係わるインクジェ
ット記録装置の回復系について説明する。図15はカム
装置63(図2および図12)の各カムの輪郭曲線を示
す説明図であり、図16はカム装置63のポンプ53を
除く各カムの主要なカム位置での動作状態を示す説明図
であり、図17はポンプ53の主要動作位置での状態を
示す断面図である。なお、図16中の動作位置a、b、
c、d、f、hはそれぞれ図15中のポンプを除く各カ
ムの動作位置a、b、c、d、f、hに対応している。
また、図15中の数値はカムの回転角度を示す。
【0056】上記図15〜図17を用いて、本実施例に
係わるインクジェット記録装置の回復系ユニットの機能
について説明する。図15および図16において、aの
状態はポンプカム549のホームポジション位置であ
り、記録動作中の回復装置の待機状態である。この時ホ
ームポジションスイッチ555はオンであり、キャップ
51は記録ヘッドの吐出口形成面より離隔した状態(以
下オープン状態と呼ぶ)にあり、ブレード59はオフ状
態すなわち記録ヘッドの吐出口形成面より離隔した状態
にある。また、ポンプ53は上死点(図17参照)にあ
る。
【0057】図15〜図17において、次のbの状態は
キャッピング状態であり、これは、記録動作を行なわ
ず、吐出口形成面をキャップ51で覆い保護している状
態である。この時、ホームポジションスイッチ555は
オフとなり、キャップ51は吐出口形成面に当接してク
ローズ状態となり、ポンプ53は上死点にあり、さらに
ブレード59はオフ(離隔)位置にある。
【0058】cの状態はポンピングが終了した状態であ
る。この時には、ホームポジションスイッチ555はオ
ンであり、キャップ51はクローズ状態(キャッピング
状態)であり、ポンプ53は弁が開ききった状態にある
が未だ下死点には至らない状態である。またブレード5
9はオフ位置にある。
【0059】図15〜図17において、dの状態は、ポ
ンピングが終了した後キャップ51をオープンさせ、同
時にキャップ51およびキャップレバー505内に充満
しているインクをポンプ53内に取り込むための小空吸
引を実行し終えた状態である。この時、ホームポジショ
ンスイッチ555はオン、キャップ51は半分程度オー
プン、ポンプ53は下死点、ブレード59はオフの状態
にある。
【0060】次にgの状態を先に説明する。このgの状
態は、ポンピングによってポンプ53内に充満したイン
クを廃インクタンク55(図2)側へ排出するための空
吸引を始める準備位置である。この時、ホームポジショ
ンスイッチ555はオン、キャップ51はオープン、ポ
ンプ53は上死点より若干下った位置にある。また、ブ
レード59はオフ状態にある。
【0061】図15〜図17において、eの状態および
fの状態は、それぞれ、大空吸引および中空吸引を行な
った時の停止位置である。どちらの位置でも、ホームポ
ジションスイッチ555はオン、キャップ51はオープ
ン、ブレード59はオフの状態であるが、ポンプ53は
eの状態では下死点にあるのに対しfの状態では完全に
下りきっていない。
【0062】hの状態はワイピングを行なう時の状態で
ある。この時、ホームポジションスイッチ555はオ
ン、キャップ51はオープン、ポンプは上死点にある。
そしてブレード59がオン状態にあり、この状態でヘッ
ドカートリッジ9を搭載したキャリッジ11が移動する
ことにより、記録ヘッド9aの吐出口形成面のワイピン
グ(拭き取り清掃)を実行することができる。
【0063】図17の(A)は、ポンプ53内でピスト
ン525が下死点にある状態を示している。(A)の状
態では、ポンプ53内のピストン525の左側の空間に
よって作られる負圧によって、ポンピングが機能する。
531はその負圧をキャップ51へ伝達するための弁口
である。この(A)の状態は、ピストン525が前記弁
口531を乗り越えてさらに右側へ進んだ状態である。
この状態では、ピストン525は左側からピストン軸5
27のフランジ部527aによって押され密着している
ので、発生した負圧は他に漏れることなくキャップ51
側へ伝えられる。また、ピストン525の右側部分に溜
まっていたインクは廃インクタンク55(図2)へ押し
出される。
【0064】図17の(B)は、ポンプ53内でピスト
ン525が上死点にある状態を示す。ここで注意すべき
は、ピストン525は弁口531の右側に達しており、
弁口531は閉じていないことである。すなわち、この
状態においてキャップ51の内部は大気連通状態になっ
ている。次に、図17の(C)は、図15中のcの状態
の時のポンプ53の状態を示す。この(C)の状態で
は、ピストン525は弁口531を乗り越え若干右へ進
んでいる。
【0065】図17の(D)は、図15中のgの状態の
時のポンプ53の状態を示す。この(D)の状態と前記
(A)の状態との間を往復動することにより大空吸引が
実行され、この(D)の状態と後述する(E)の状態と
の間を往復動することにより中空吸引が実行される。こ
こで注意すべきは、弁口531がピストン525によっ
て閉じられていることである。本実施例のポンプ53に
は、通常のポンプの弁に相当するものが設けられておら
ず、ポンプ53内に正圧が発生した時にはキャップ51
側へインクが逆流する場合がある。そのため、本実施例
のポンプ53においては、必要なとき以外に弁口531
を閉じておくことにより、インクの逆流を防止するよう
に構成されている。
【0066】図17の(E)は、中空吸引を実行し終え
た時のポンプ53の状態を示す。ここで注意すべきは、
ピストン525が弁口531を乗り越えた直後で止まっ
ていることである。その理由は、もしピストン525を
(A)の下死点の位置まで移動させると、(B)の上死
点または(D)の空吸引準備位置に戻る際に弁口531
が開いている時間が長くなってしまい、その間に、流路
の抵抗などによって左側の空間に正圧が生じ、インクの
逆流が生じるおそれがあるからである。もっとも、ピス
トン軸フランジ部527aおよびピストン525の摺動
部分に若干の隙間ができ、ピストン525の右側の空間
と連通させることにより左側の空間に正圧が生じないよ
うに構成されてはいるが、これだけでは、流路の抵抗な
どによって左側の空間に正圧が発生することを防止でき
ない場合がある。本実施例においては、前述のように、
(E)の位置から(A)の位置まで戻る動作と、(E)
の位置から(D)の位置まで戻る動作の2種類の動作を
採り入れるので、上記インクの逆流を確実に防止するこ
とが可能になる。
【0067】図18は本発明を適用したインクジェット
記録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。図
18において、キャリッジ11のキャッピング位置や移
動位置は、回復系ホームセンサ65やキャリッジホーム
センサ67の検出に基いて知ることができる。図18に
おいて、1000は図19〜図21に示す制御手順等を
実行して各部を制御するためのMPU、1001は制御
手順に対応したプログラム等を格納したROM、100
2は制御手順実行時におけるワークエリアとして用いら
れるRAM、1003は時間を計測するためのタイマ、
1004はインターフェー部である。なお、図18の制
御系に対しては、キーボード部1から指令データや記録
データなどを入力することができる。
【0068】図19は本発明を適用したインクジェット
記録装置における回復系ユニットによる吐出回復処理の
動作手順の一例を示すフローチャートである。なお、図
19中のa〜hの各符号は図15中のa〜hの各タイミ
ングと対応している。また、図19中の数値は図15中
のカムの回転角度を示す数値と対応している。図19に
おいて、吐出回復処理の動作は、図15中のbのキャッ
ピング状態から始まる(ステップS1)。次に図15中
のaの状態へ動いてキャッピング状態を解除する(ステ
ップS2)。次いで、再びbのキャッピング状態へ戻し
吐出口形成面221にキャップ51を圧接させることに
より、その間の圧接状態を良好にする(ステップS
3)。こうして良好な圧接状態にした上で、図15中の
c状態に動いてポンプ53によるポンピングを実行する
(ステップS3)。その状態でインク吸引が充分に行な
われるよう例えば3秒間の停止する(ステップS5)。
図15中のdにおけるキャップオープンと同時に小空吸
引を行なう(ステップS7)。キャップ51内およびキ
ャップレバー505内のインクの取り込みを行なうため
に、その状態で例えば1秒間停止する(ステップS
9)。
【0069】次に、ポンプ53内に充満したインクを排
出するための空吸引を以下のような手順で行なう。ま
ず、図15中のgの空吸引準備位置に移り(ステップS
11)、そこから中空吸引後停止位置fの間を例えば3
回往復移動させることにより、中空吸引を行なう(ステ
ップS13〜S19)。次いで、gの空吸引準備位置か
らeの大空吸引後停止位置まで移動させることにより大
空吸引を行なう(ステップS21)。この大空吸引によ
って、ポンプ53内のインクは充分に廃インクタンク5
5側へ押し出される。これに続いて、gの空吸引準備位
置へ移動し(ステップS23)て予備吐出を行ない(ス
テップS25)、次いで、hのワイピング位置に設定し
てブレード59を突出させ(ステップS27)、該ブレ
ード59による吐出口形成面のワイピング動作を行なう
(ステップS29)。以上の各動作を行なった後、当初
のbのキャッピング状態に戻り(ステップS31)、一
連の吐出回復処理動作が終了する。
【0070】なお、吸引による回復処理、空吸引および
予備吐出等を含む上記吐出回復処理(クリーニング)の
動作は、記録装置の主制御ルーチンにより所定のタイミ
ングで実行することもでき、あるいは操作者の指示に応
じて適宜起動させることもできる。
【0071】図20は記録中に適宜実行される予備吐出
によって蓄積されるインクを廃インクタンクへ取り込む
ための空吸引の動作例を示すフローチャートである。図
20において、本動作手順は、記録中にこれを中断して
行なわれる処理であるので、図15中のaの待機状態か
らスタートする(ステップS41)。この状態からカム
装置63を逆転させてgの空吸引準備位置へ移動させ
(ステップS43)、このgの位置からfの中空吸引後
停止位置へ移動させることにより中空吸引を実行する
(ステップS45)。次いで、ステップS47において
再びgの空吸引準備位置へ移動して位置設定した後、こ
のgの位置からeの大空吸引後停止位置まで移動させる
ことにより大空吸引を実行する(ステップS49)。次
いで、aの待機状態に戻してキャップ51をオープンし
(ステップS51)、空吸引動作を終了する。以上の空
吸引動作を終了した後、記録を実行する。
【0072】図21の(A)および(B)は本発明を適
用したインクジェット記録装置における記録印刷処理手
順の一例を示すフローチャートである。図21の(A)
において、電源がオンとされると、ステップS61にて
回復系ユニットを回復系ホームポジションに設定し、キ
ャップをオープンとした後、ステップS63にてキャリ
ッジ11をホーム位置に設定する。次に、ステップS6
5にて、所定の予備吐出回数(本例では15回または7
回)に達した時に空吸引を起動するために用いるカウン
タN1 をリセットし、ステップS67にてキャップをク
ローズとした後に記録(印刷)のデータ信号を待機する
(ステップS69)。
【0073】記録信号が入力されると、ステップS71
にて給紙を開始し、ステップS73にてキャップをオー
プンとした後に、ステップS75にてキャリッジ11を
ホームポジションに設定して予備吐出を行なうとともに
カウンタN1 を+1だけ歩進する。次に、ステップS7
7にて記録動作中の所定時間毎(例えば30秒毎)に予
備吐出を起動するためのタイマT1 をリセットするとと
もにこれをスタートさせ、ステップS79にて1行分の
記録を実行する。この後、ステップS81にてタイマT
1 の値が30秒を越えたか否かを判定し、肯定判定であ
ればステップS75およびS77と同様なステップS8
3およびS85を経た後にステップS87へ進み、一
方、否定判定であれば直ちにステップS87へ進む。
【0074】ステップS87ではカウンタN1 の値が、
“15”に達したか否かを判定し、肯定判定であればス
テップS89にて1頁の記録途中での空吸引を行なう。
この際には図示20の手順が起動される。その後、ステ
ップS91にてカウンタN1をリセットして再スタート
させ、ステップS93へ移行する。なお、ステップS8
7で否定判定された場合には直ちにステップS93に進
む。
【0075】ステップS93では1頁分の記録が終了し
て改頁が指示されているか否かを判定し、否定判定であ
ればステップS95に進んで記録信号の有無を判定す
る。ステップS95にて肯定判定がなされた場合にはス
テップS97にて記録終了のEND信号があるか否かを
判定し、否定判定であればステップS79に移行して次
行の記録を行なう。
【0076】一方、テスップS95にて記録信号が入力
されていない場合には、ステップS99に進み、記録デ
ータが所定時間(例えば5秒)入力されない時にキャッ
ピングを行なうために用いるタイマT2 をリセットし、
再スタートする。次に、ステップS101にて記録信号
の有無を判定し、肯定判定であればステップS79に復
帰して次行の記録を実行する。一方、ステップS101
が否定判定であればステップS103にてタイマT2
時計内容が5秒を越えたか否かを判定し、否定判定であ
ればステップS104に進み、END信号の入力がなけ
ればステップS101に復帰する。
【0077】一方、ステップS103で5秒を経過して
いればステップS105にてキャップをクローズとし、
次いで、ステップS107にて、タイマT1 を停止する
とともに、所定時間(例えば60秒間)キャッピング状
態が継続した後に予備吐出を起動するためのタイマT3
をリセットして再スタートする。次いで、END信号お
よび記録信号の入力の有無を判定する(ステップS10
9およびS111)。記録信号があれば、ステップS1
13にてキャップ51をオープンし、ステップS115
にてタイマT3 の時計内容が60秒を越えているか否か
を判定する。ステップS115で60秒を越えている場
合には、ステップS75に進んで予備吐出等を行った後
にステップS79に復帰する。一方、ステップS115
で60秒を越えていない場合には、ステップS117に
てタイマT1 をスタートさせた後にステップS79に復
帰する。
【0078】ところで、ステップS93にて改頁指令が
入力された場合には、ステップS119へ進み、カウン
タN1 の内容が“7”以上あるか否かを判定する。ここ
で肯定判定であれば、ステップS121にて頁間空吸引
を行い、ステップS123にてカウンタN1 のリセット
/スタートを行なった後に、ステップS125に進んで
上記ワイピングの動作を行なう。一方、ステップS11
9で否定判定であれば、直ちにステップS125に進ん
で上記ワイピングの動作を行なう。そして、ステップS
127にてキャップ51をクローズとし、ステップS1
29にて記録を終了した記録媒体(記録用紙)を排出し
た後に、ステップS69に進んで次頁の記録信号を待機
する。
【0079】なお、ステップS97またはS109にて
END信号が検出された場合には、ステップS131の
終了動作を実行する。この終了動作は、図21の(B)
に示すように、空吸引(ステップS141)、カウンタ
1 のリセット/スタート(ステップS143)、吐出
口形成面のワイピング(ステップS145)、キャップ
51のクローズ(ステップS147)、および記録媒体
(記録用紙)の排出(ステップS149)を行なう処理
である。
【0080】以上の主な動作をまとめれば、先ず予備吐
出があげられる。本実施例では、記録直前に予備吐出が
行なわれ、その後は30秒間隔で予備吐出が行なわれ
る。また、この30秒間隔の積算にはタイマT1 が用い
られている。T1 は、キャッピング状態に入って記録信
号なしに5秒以上が経過した時にはストップされるの
で、キャッピング中の時間はこの30秒間隔にはカウン
トされない。また、キャッピングが60秒以上に渡る場
合には、制御手順は予備吐出に戻り、キャップオープン
後、記録前に予備吐出を行なう。
【0081】本実施例では、予備吐出はキャップ51内
に行なっている。従って、予備吐出を繰り返し行なう際
には、それによってキャップ51内に溜まるインクを廃
インクタンク55側へ取り込むための空吸引を行なう必
要がある。この空吸引は図20で説明した空吸引であ
る。基本的には、空吸引は記録をしていない頁間で行な
う。一頁記録の後に予備吐出用カウンタN1 が7以上に
なっている場合には図15中の小空吸引(dの状態)が
行なわれる。しかし、記録中の頁途中においてもN1
15以上になった場合、すなわち、長い記録時間を要す
る文章においては図15中の大空吸引(eの状態)をを
行なう。また、記録終了時には必ず空吸引が行なわれ
る。次に、ワイピングについては、記録後インクで漏れ
が生じている吐出口形成面221を清掃するものであ
り、一般に、一頁および全記録の終了の後に行なうよう
に制御される。
【0082】以上説明したように、本実施例によれば、
記録途中あるいは記録終了時にインク吸引後の空吸引と
同様の動作を2回程度行なうことにより、記録中の予備
吐出によってキャップ51内に溜まるインクを効率的に
廃インクタンク55へと送り出すという効果が得られ
る。また、予備吐出によってキャップ51内に溜まるイ
ンク量は、吐出回復のために行なわれる吐出回復処理
(クリーニング)中のインク吸引時の量に比べれば、非
常に少量である。したがって、記録中の空吸引の回数
は、吐出回復処理中の空吸引の回数より少ない回数で十
分であり、記録中の空吸引の回数を極力少なくすること
は、記録装置の実効記録速度の向上に効果がある。
【0083】なお、吐出回復処理中または記録中の空吸
引の回数は、前述の例示回数に限定されるものではな
く、適宜の回数に設定できるのは勿論である。また、本
実施例によれば、数回の空吸引の中で、ピストンのスト
ロークを、初めは短く、そして最後の数回では下死点ま
で達するストロークにすることにより、インクの逆流を
減少させ、キャップ51内のインクをポンプ53内に確
実に取り込み、さらにポンプ53内のインクき大部分を
廃インクタンク55へ送り出し、該ポンプ53内に残る
インク量を少なくすることができ、もって、効率的な空
吸引を実行することができる。なお、空吸引動作のスト
ロークの変化のさせ方については、前述の実施例では、
短いストローク(中空吸引)を3回、長いストローク
(大空吸引)を1回としたが、これらの回数は適宜変化
させることができる。
【0084】次に、本実施例における廃インクタンクに
ついて説明する。図2に示したように、本実施例におい
ては、第1の廃インクタンク55を設けることに加え、
記録装置内のスペースを有効利用して第2の廃インクタ
ンク70を設け、これらの廃インクタンク間をチューブ
71で接続する構成が採られている。そして、回復ユニ
ットに対して両廃インクタンク55、70が直列に設け
られているため、吐出回復処理ないし上記空吸引処理に
よって生ずる廃インクは、まずチューブ57を介して第
1の廃インクタンク55に導入される。第1の廃インク
タンク55に廃インクを収容する余裕がある間はここに
廃インクが貯められることになるが、その後第1の廃イ
ンクタンク55が廃インクを収容しきれなくなると、こ
こから溢れた廃インクはチューブ71を介して第2の廃
インクタンク70に導入されることになる。
【0085】このように、本実施例では、記録装置内の
スペースを有効利用して第2の廃インクタンク70を設
けてあるため、廃インク収容量を減らすことなく記録装
置の小型化が可能となる。なお、これら廃インクタンク
内には適当なインク吸収体を設けておくことができる。
【0086】図22は、廃インクタンクの他の構成例を
示す模式的斜視図である。図22において、本構成例で
は、回復系ユニットに一端が接続されたチューブ57の
他端部に三方ジョイント57Aが設けられ、この三方ジ
ョイント57Aにより廃インクの流れを分岐させ、チュ
ーブ72および71を介してそれぞれ第1の廃インクタ
ンク55および第2の廃インクタンク70に廃インクが
導入されるように構成されている。さらに、各廃インク
タンク(廃インク貯留部材)55、70の一部は、通気
布183で構成されている。この通気布183は、気体
であるインク溶剤蒸気は通すが液体であるインクは透過
させない材料で形成されており、このような通気布18
3を用いることにより、各廃インクタンク55、70の
内部はインク漏れを生じることなく大気と通気状態にな
っている。前記通気布183の具体的な材質としては、
例えば、ベイパーロード((株)テイジン)を用いるこ
とができる。
【0087】したがって、本実施例によれば、図2中の
廃インクタンクの構成の場合と同様の効果が得られる他
に、貯留された廃インクの蒸発成分を時間経過とともに
外部へ自然放出することができ、結果として、その分各
廃インクタンク55、70の実行容量を増大させること
ができ、スペース効率を高めて記録装置の一層の小型化
を図ることが可能になる。なお、図22の構成では、各
廃インクタンク55、70の一部を通気布183で形成
しているが、場合によっては、全体をこの通気布183
が形成することも可能である。また、図2中の各廃イン
クタンク55、70としても、前記通気布183で一部
または全体を構成したタンクを使用できるのは勿論であ
る。なお、以上の構成例では2つの廃インクタンク5
5、70を直列に接続したが、これらの廃インクタンク
は回復系ユニットに関して両者を並列に設けることもで
きる。
【0088】図23は廃インクタンクのさらに他の構成
例を示す模式的斜視図である。一般に分散して存在する
記録装置内の空きスペースを有効利用して廃インクタン
クを設けるという観点からすれば、第2の廃インクタン
ク70のみならず、さらに多くの廃インクタンクを追加
し、これらを適宜の空きスペースに設けることもでき
る。図23は、さらに廃インクタンクを追加して設ける
場合の一実施例を示すものである。
【0089】図23において、廃インクタンク55に加
え、さらに2つの廃インクタンク70Aおよび70Bが
設けられている。第1の廃インクタンク55に関して、
第2の廃インクタンク70Aおよび第3の廃インクタン
ク70Bは並列に設けられている。第1の廃インクタン
ク55から廃インクが溢れると、この廃インクはジョイ
ント74により分岐され、チューブ71Aおよび71B
を介してそれぞれ第2の廃インクタンク70Aおよび第
3の廃インクタンク70Bに導入される。なお、本実施
例においても、各廃インクタンク(廃インク貯留部材)
55、70A、70Bの一部は前述と同様の通気布18
3で構成されている。また、本実施例においても、場合
によって、各廃インクタンク55、70A、70Bの全
体をこの通気布183が形成することも可能である。
【0090】以上図23について説明した廃インクタン
クの構成によれば、前述した図2および図22の構成例
の場合と同様の効果が得られる他に、記録装置内部のス
ペース効率をさらに高めることにより、廃インク収容量
を一層増大させることができる。なお、廃インクタンク
に関する構成は、以上の構成に限定されるものではな
く、各廃インクタンクの数や配置あるいは各廃インクタ
ンク間の接続に関しては、その他種々の態様で実施でき
るのは勿論である。
【0091】なお、前述の実施例では、記録手段(記録
ヘッド)9をキャリッジ11に搭載し、記録媒体に沿っ
て主走査するシリアルタイプのインクジェット記録装置
を例に挙げて説明したが、本発明は、記録媒体の記録幅
の全体または一部に対応するライン型の記録手段を用い
るラインタイプのインクジェット記録装置の場合にも、
同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るも
のである。
【0092】また、前述の実施例では、1個の記録手段
9で記録する場合を例示したが、本発明は、異なる色で
記録する複数の記録手段を備えたカラーインクジェット
記録装置、あるいは色彩が同じで濃度が異なるインクで
記録する複数の記録手段を用いる階調記録用のインクジ
ェット記録装置など、記録手段(記録ヘッド)の数にも
関係なく、同様に適用することができ、同様の作用効果
を達成し得るものである。さらに、前述の実施例では、
記録ヘッドとインクタンクを一体化したカートリッジタ
イプの記録手段(ヘッドカートリッジ)9を使用する場
合を例に挙げて説明したが、本発明は、記録ヘッドとイ
ンクタンクを別々に設け、これらをインク供給管等で接
続する構成のものなど、その他の記録ヘッドおよびイン
クタンクの構成形態を有するインクジェット記録装置に
おいても、同様に適用することができ、同様の効果が得
られるものである。
【0093】なお、本発明は、インクジェット記録装置
であれば、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を
用いる記録手段(記録ヘッド)を使用するものに適用で
きるが、中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出
する方式の記録手段を使用するインクジェット記録装置
において優れた効果をもたらすものである。かかる方式
によれば、記録の高密度化、高精細化が達成できるから
である。
【0094】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうのが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録手段(記録ヘッド)の熱作用面に膜
沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一対応し液体
(インク)内の気泡を形成出来るので有効である。
【0095】この気泡の成長、収縮により吐出用開口を
介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの
滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即
時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性
に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好まし
い。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4
463359号明細書、同第4345262号明細書に
記載されているようなものが適している。尚、上記熱作
用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第43131
24号明細書に記載されている条件を採用すると、更に
優れた記録を行なうことができる。
【0096】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4
459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成としても本発明は有効である。すなわち、記録ヘッ
ドの形態がどのようなものであっても、本発明によれ
ば、記録を確実に効率よく行なうことができるようにな
るからである。
【0097】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても、本発明は有効に適用できる。そのよ
うな記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組み合わせ
によってその長さを満たす構成や、一体的に形成された
1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。加え
て、上例のようなシリアルタイプのものでも、装置本体
に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着され
ることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのイ
ンクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録
ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタン
クが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用い
た場合にも本発明は有効である。
【0098】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニン
グ手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは
別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
ことも安定した記録を行なうために有効である。
【0099】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば、単色のインクに対応して1個
のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複
数のインクに対応して複数個数設けられるものであって
もよい。すなわち、例えば、記録装置の記録モードとし
ては、黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、
記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせに
よるか、いずれでもよいが、異なる色の複色カラー又
は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装
置にも本発明は極めて有効である。
【0100】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するもの、あるいは、インクジェット方式で
は、インク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度
調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように
温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付
与時にインクが液状をなすものであればよい。加えて、
積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態か
ら液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめ
ることで防止するか、または、インクの蒸発防止を目的
として放置状態で固化するインクを用いるかして、いず
れにしても、熱エネルギーの記録信号に応じた付与によ
ってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、
記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等
のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質の
インクを使用する場合も本発明は適用可能である。
【0101】このような場合のインクは、特開昭54−
56847号公報あるいは特開昭60−71260号公
報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔
に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変
換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明
においては、上述した各インクに対して最も有効なもの
は、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0102】さらに加えて、本発明によるインクジェッ
ト記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理
機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ
等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有す
るファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよ
い。
【0103】
【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、本発明
によれば、記録手段から記録媒体へインクを吐出して記
録を行なうインクジェット記録装置において、吐出回復
処理の初期に、記録手段の吐出口形成面にキャップを圧
接した状態で少なくとも一度圧接を解除し再度圧接する
動作を入れる構成としたので、記録手段を装着する時な
どに該記録手段の吐出口形成面とキャップとの圧接状態
が良好でない場合でも、その後の吐出回復処理では良好
な処理を行なうことができ、常にインク吐出状態を良好
に保つことにより良好な記録を維持し得るインクジェッ
ト記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェット記録装置を備
えた電子機器の一実施例としてのワードプロセッサを示
す斜視図である。
【図2】本発明を適用したインクジェット記録装置の一
実施例を示す一部破断斜視図である。
【図3】図2に示したヘッドカートリッジの外観斜視図
である。
【図4】図3のヘッドカートリッジの分解斜視図であ
る。
【図5】図3のヘッドカートリッジの外観斜視図であ
る。
【図6】図3のヘッドカートリッジのインク吐出部の外
観斜視図である。
【図7】図3のヘッドカートリッジのインク吐出部の模
式的構造を示す部分斜視図である。
【図8】本発明の一実施例に係わるインクジェット記録
装置のヘッドギャップ調整手段を説明するための縦断面
図である。
【図9】本発明の一実施例に係わるインクジェット記録
装置の拍車カバーおよび視認窓を説明するための縦断面
図である。
【図10】従来のインクジェット記録装置の拍車カバー
および視認窓を説明するための平面図である。
【図11】本発明の一実施例に係わるインクジェット記
録装置の拍車カバーおよび視認窓を説明するための平面
図である。
【図12】本発明の一実施例に係わるインクジェット記
録装置のFPC巻き込み防止用手段のキャリッジ待機時
の状態を示す部分正面図である。
【図13】本発明の一実施例に係わるインクジェット記
録装置のFPC巻き込み防止用手段のキャリッジ移動時
の状態を示す部分正面図である。
【図14】従来のインクジェット記録装置におけるFP
C巻き込み状態を示す部分正面図である。
【図15】図2に示す吐出回復機構の分解斜視図であ
る。
【図16】図15に示すキャップおよびキャップホルダ
の詳細を示す斜視図である。
【図17】図16に示すキャップの正面図と平面図と縦
断面図とから成る図である。
【図18】本発明の一実施例に係わるインクジェット記
録装置の吐出回復機構の各部を動作させるためのカムの
輪郭曲線を示す説明図である。
【図19】本発明の一実施例に係わるインクジェット記
録装置の吐出回復機構の主要なカム位置における各部の
動作状態を示す模式図である。
【図20】本発明の一実施例に係わるインクジェット記
録装置の吐出回復機構の主要なカム位置におけるポンプ
の動作状態を示す縦断面図である。
【図21】本発明の一実施例に係わるインクジェット記
録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図22】本発明の一実施例に係わるインクジェット記
録装置の吐出回復処理における動作手順の一例を示すフ
ローチャートである。
【図23】図22に示す吐出回復処理に関連した空吸引
処理の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【図24】本発明の一実施例に係わるインクジェット記
録装置の記録処理手順の一例を示すフローチャートであ
る。
【図25】図24中の終了動作の動作手順を示すフロー
チャートである。
【図26】本発明の一実施例に係わるインクジェット記
録装置の廃インク系の他の構成例を示す斜視図である。
【図27】本発明の一実施例に係わるインクジェット記
録装置の廃インク系のさらに他の構成例を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 キーボード部 2 表示器部分 9 ヘッドカートリッジ 9a 吐出口ユニット 9b インクタンク 11 キャリッジ 23 ガイド軸 27 タイミングベルト 31 キャリッジモータ 33 搬送ローラ 34 プラテン 35 搬送モータ 39 フィードローラ 41 排紙ローラ 51 キャップ 51a リブ 53 ポンプ 55 第1の廃インクタンク 57 廃インクチューブ 59 ブレード 61 回復系モータ 70 第2の廃インクタンク 70A 第2の廃インクタンク 70B 第3の廃インクタンク 71 廃インクチューブ 63 カム装置(回復系) 65 回復系ホームセンサ 67 キャリッジホームセンサ 183 通気布(廃インクタンク) 221 吐出口形成面 222 吐出口 225 電気熱変換体

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録手段から記録媒体へインクを吐出
    して記録を行なうインクジェット記録装置において、吐
    出回復処理の初期に、記録手段の吐出口形成面にキャッ
    プを圧接した状態で少なくとも一度圧接を解除し再度圧
    接する動作を入れることを特徴とするインクジェット記
    録装置。
  2. 【請求項2】 吐出回復処理での廃インクを貯留する
    ための廃インク貯留部材の内部を、インク溶剤蒸気は通
    すがインクは透過させない通気布を介して、大気と通気
    状態にすることを特徴とする請求項1のインクジェット
    記録装置。
  3. 【請求項3】 前記記録手段が、インク吐出用の熱エ
    ネルギーを発生するための電気熱変換体を備えているイ
    ンクジェット記録手段であることを特徴とする請求項1
    のインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記記録手段が、前記電気熱変換体に
    よって印加される熱エネルギーによりインクに生じる膜
    沸騰を利用して、吐出口よりインクを吐出させることを
    特徴とする請求項3のインクジェット記録装置。
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