JP2812986B2 - 液体噴射記録装置 - Google Patents

液体噴射記録装置

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JP2812986B2 JP1115888A JP11588889A JP2812986B2 JP 2812986 B2 JP2812986 B2 JP 2812986B2 JP 1115888 A JP1115888 A JP 1115888A JP 11588889 A JP11588889 A JP 11588889A JP 2812986 B2 JP2812986 B2 JP 2812986B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、液体噴射記録装置に関し、より詳細には、
バブルジェットプリンタのヘッド部に関する。
従来技術 ノンインパクト記録法は、記録時における騒音の発生
が無視し得る程度に極めて小さいという点において、最
近関心を集めている。その中で、高速記録が可能であ
り、而も所謂普通紙に特別の定着処理を必要とせずに記
録の行える所謂インクジェット記録法は極めて有力な記
録法であって、これまでにも様々な方式が提案され、改
良が加えられて商品化されたものもあれば、現在もなお
実用化への努力が続けられているものもある。
この様なインクジェット記録法は、所謂インクと称さ
れる記録液体の小滴(droplet)を飛翔させ、記録部材
に付着させて記録を行うものであって、この記録液体の
小滴の発生法及び発生された記録液小滴の飛翔方向を制
御する為の制御方法によって幾つかの方式に大別され
る。
先ず第1の方式は、例えば米国特許第3060429号明細
書に開示されているもの(Tele type方式)であって、
記録液体の小滴の発生を静電吸引的に行い、発生した記
録液体小滴を記録信号に応じて電界制御し、記録部材上
に記録液体小滴を選択的に付着させて記録を行うもので
ある。
これに就いて、更に詳述すれば、ノズルと加速電極間
に電界を掛けて、一様に帯電した記録液体の小滴をノズ
ルより吐出させ、該吐出した記録液体の小滴を記録信号
に応じて電気制御可能な様に構成されたxy偏向電極間を
飛翔させ、電界の強度変化によって選択的に小滴を記録
部材上に付着させて記録を行うものである。
第2の方式は、例えば米国特許第3596275号明細書、
米国特許第3298030号明細書等に開示されている方式(S
weet方式)であって、連続振動発生法によって帯電量の
制御された記録液体の小滴を発生させ、この発生された
帯電量の制御された小滴を、一様の電界が掛けられてい
る偏向電極間を飛翔させることで、記録部材上に記録を
行うものである。
具体的には、ピエゾ振動素子の付設されている記録ヘ
ッドを構成する一部であるノズルのオリフィス(吐出
口)の前に記録信号が印加されている様に構成した帯電
電極を所定距離だけ離して配置し、前記ピエゾ振動素子
に一定周波数の電気信号を印加することでピエゾ振動素
子を機械的に振動させ、前記吐出口より記録液体の小滴
を吐出させる。この時前記帯電電極によって吐出する記
録液体小滴には電荷が静電誘導され、小滴は記録信号に
応じた電荷量で帯電される。帯電量の制御された記録液
体の小滴は、一定の電界が一様に掛けられている偏向電
極間を飛翔する時、付加された帯電量に応じて偏向を受
け、記録信号を担う小滴のみが記録部材上に付着し得る
様にされている。
第3の方式は、例えば米国特許第3416153号明細書に
開示されている方式(Hertz方式)であって、ノズルと
リング状の帯電電極間の電界を掛け、連続振動発生法に
よって、記録液体の小滴を発生霧化させて記録する方式
である。即ちこの方式ではノズルと帯電電極間に掛ける
電界強度を記録信号に応じて変調することによって小滴
の霧化状態を制御し、記録画像の階調性を出して記録す
る。
第4の方式は、例えば米国特許第3747120号明細書に
開示されている方式(Stemme方式)で、この方式は前記
3つの方式とは根本的に原理が異なるものである。
即ち、前記3つの方式は、何れもノズルより吐出され
た記録液体の小滴を、飛翔している途中で電気的に制御
し、記録信号を担った小滴を選択的に記録部材上に付着
させて記録を行うのに対して、このStemme方式は、記録
信号に応じて吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させ
て記録するものである。
つまり、Stemme方式は、記録液体を吐出する吐出口を
有する記録ヘッドに付設されているピエゾ振動素子に、
電気的な記録信号を印加し、その電気的記録信号をピエ
ゾ振動素子の機械的振動に変え、該機械的振動に従って
前記吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させて記録部
材に付着させることで記録を行うものである。
これ等、従来の4つの方式は各々に特長を有するもの
であるが、又、他方において解決され得る可き点が存在
する。
即ち、前記第1から第3の方式は記録液体の小滴の発
生の直接的エネルギーが電気的エネルギーであり、又、
小滴の偏向制御も電界制御である。その為、第1の方式
は、構成上はシンプルであるが、小滴の発生に高電圧を
要し、又、記録ヘッドのマルチノズル化が困難であるの
で高速記録には不向きである。
第2の方式は、記録ヘッドのマルチノズル化が可能で
高速記録に向くが、構成上複雑であり、又記録液体小滴
の電気的制御が高度で困難であること、記録部材上にサ
テライトドットが生じ易いこと等の問題点がある。
第3の方式は、記録液体小滴を霧化することによって
階調性に優れた画像が記録され得る特長を有するが、他
方霧化状態の制御が困難であること、記録画像にカブリ
が生ずること及び記録ヘッドのマルチノズル化が困難
で、高速記録には不向きであること等の諸問題点が存す
る。
第4の方式は、第1乃至第3の方式に比べ利点を比較
的多く有する。即ち、構成上シンプルであること、オン
デマンド(on−demand)で記録液体をノズルの吐出口よ
り吐出して記録を行う為に、第1乃至第3の方式の様に
吐出飛翔する小滴の中、画像の記録に要さなかった小滴
を回収することが不要であること及び第1乃至第2の方
式の様に、導電性の記録液体を使用する必要性がなく記
録液体の物質上の自由度が大であること等の大きな利点
を有する。而乍ら、一方において、記録ヘッドの加工上
に問題があること、所望の共振数を有するピエゾ振動素
子の小型化が極めて困難であること等の理由から記録ヘ
ッドのマルチノズル化が難しく、又、ピエゾ振動素子の
機械的振動という機械的エネルギーによって記録液体小
滴の吐出飛翔を行うので高速記録には向かないこと、等
の欠点を有する。
更には、特開昭48−9622号公報(前記米国特許第3747
120号明細書に対応)には、変形例として、前記のピエ
ゾ振動素子等の手段による機械的振動エネルギーを利用
する代わりに熱エネルギーを利用することが記載されて
いる。
即ち、上記公報には、圧力上昇を生じさせる蒸気を発
生する為に液体を直接加熱する加熱コイルをピエゾ振動
素子の代りの圧力上昇手段として使用する所謂バブルジ
ェットの液体噴射記録装置が記載されている。
しかし、上記公報には、圧力上昇手段としての加熱コ
イルに通電して液体インクが出入りし得る口が一つしか
ない袋状のインク室(液室)内の液体インクを直接加熱
して蒸気化することが記載されているに過ぎず、連続繰
返し液吐出を行う場合には、どの様に加熱すれば良いか
は、何等示唆されるところがない。加えて、加熱コイル
が設けられている位置は、液体インクの供給路から遥か
に遠い袋状液室の最深部に設けられているので、ヘッド
構造上複雑であるに加えて、高速での連続繰返し使用に
は、不向きとなっている。
しかも、上記公報に記載の技術内容からでは、実用上
重要である発生する熱で液吐出を行った後に次の液吐出
の準備状態を速やかに形成することは出来ない。
このように従来法には、構成上、高速記録化上、記録
ヘッドのマルチノルズ化上、サテライトドットの発生お
よび記録画像のカブリ発生等の点において一長一短があ
って、その長所を利する用途にしか適用し得ないという
制約が存在していた。
また、特公昭58−49188号公報に記載された発明は、
熱作用面の温度が立上り開始温度Tiより最高温度Tpに至
るのに要する時間をτo、Tpより(Tp−Ti)/2まで減衰
するのに要する時間をτ1/2とすると0受τo≦10μs
の時τo≦τ1/2≦4τo、10μs<τoの時、10μs
≦τ1/2≦4τoとなることを特徴とするものである。
つまり、熱作用による気泡の発生とその急峻な体積の
増大と減衰に基く急激な状態変化によって記録ヘッドの
オリフィスより液滴を飛翔的に吐出させて記録する方法
において、繰り返し液滴吐出性を向上させるには、増大
した気泡体積の減衰速度を向上させる必要があるのだ
が、熱作用面の温度波形の減衰カーブを急峻にしていく
と、ある程度までは繰り返し液滴吐出性を向上させるこ
とができるが、ある程度以上急峻になると、オリフィス
付近に形成させる液体のメニスカスの後退し過ぎが起こ
って空気の抱込み現象や、液体の補給不安定現象が生
じ、記録信号に対する応答の忠実性及び確実性の低下を
招く。そこで、上記に示した熱作用面の温度減衰カーブ
の波形状態をとれば上記の問題点を生ずることなく繰り
返し液滴吐出性を向上させることができるというもので
ある。
また、特開昭55−123478号公報に記載された発明は、
熱エネルギーの作用により記録液を吐出オリフィスから
吐出させて液滴とさせて飛翔させて記録を行なうもの
で、この記録装置では、高速記録時における特性向上の
ためには、信号印加による立ち上がり時に熱エネルギー
発生手段である発熱抵抗体が発生する熱エネルギーが効
率良く記録液にのみ伝わり、立ち下がり時にはすみやか
に拡散することが要求される。そこで、熱伝導性のよい
基板上に低熱伝導性の薄膜をコートし、更にその上に熱
エネルギーを発生する層を積層することで上記の条件を
満足しようとするものである。
また、特公昭58−49188号公報に記載された発明で
は、繰り返し液滴吐出性を向上させるために熱作用面の
温度減衰カーブに着目し、その減衰カーブの範囲を示し
たものであり、熱エネルギー作用に伴なう液体の状態変
化(すなわち、気泡の体積変化)を利用してオリフィス
より液滴を吐出、飛翔させる本方式においては、極めて
重要な条件である。しかし、実際に連続して長時間記録
ヘッドを駆動させた場合は、あまりにも範囲が広すぎる
ため、必ずしも繰り返し液滴吐出性能を向上させるのに
効果があるとは思えない。また、単に熱作用面の表面温
度の時間的変化の立上りカーブと立下りカーブとの関係
を述べたものであり、具体的に技術的手段が開示された
ものではない。
また、特開昭55−123478号公報に記載された発明で
は、熱エネルギー発生手段が低熱伝導性の薄膜が形成さ
れた基板上に設けられているため、高速記録時の熱応答
性、連続記録時の吐出安定性、熱エネルギー効率等が改
善され、熱エネルギー発生手段への負荷が軽減されるの
で耐久性も向上すると述べられている。しかしながら、
長時間高速駆動させる場合には、発熱抵抗体の表面温度
が完全に減衰しきれず、立上り開始温度が駆動時間とと
もに上昇してしまう。とくに、高速化(繰り返し駆動周
波数が4KHzより高速)を実現させるにおいては、体積増
加した気泡の消滅が完全に行なわれず、不必要な気泡が
残存してしまい安定した液的の吐滴が得られなくなる。
また、発熱抵抗体の表面温度が上昇していくので、抵抗
体の寿命も短かくなってしまう。
目的 本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもの
で、長時間高速駆動させた場合に、安定した繰り返し吐
出性能が得られ、高速駆動時でも高画像品質を得ること
にある。また、長時間連続して駆動させても発熱抵抗体
の蓄熱による劣化を防ぎ、ヘッド寿命の向上を計る液体
噴射記録装置を提供することを目的としてなされたもの
である。
構成 本発明は、上記目的を達成するために、(1)導入さ
れる記録液体を収容するとともに、該記録液体に熱によ
って気泡を発生させ、該気泡の体積増加にともなう作用
力を発生させる熱エネルギー作用部を付設した流路と、
該流路に連絡して前記記録液体を前記作用力によって液
滴として吐出させるためのオリフィスと、前記流路に連
絡して前記流路に前記記録液体を導入するための液室
と、該液室に記録液体を導入する導入手段とよりなる液
体噴射記録装置において、発熱抵抗体の電極に接続され
た位置以外の領域近傍に前記発熱抵抗体と接触しないで
放熱部材を形成したこと、或いは、(2)導入される記
録液体を収容するとともに、該記録液体に熱によって気
泡を発生させ、該気泡の体積増加にともなう作用力を発
生させる熱エネルギー作用部を付設した流路と、該流路
に連絡して前記記録液体を前記作用力によって液滴とし
て吐出させるためのオリフィスと、前記流路に連絡して
前記流路に前記記録液体を導入するための液室と、該液
室に記録液体を導入する導入手段とよりなる液体噴射記
録装置において、発熱抵抗体の電極に接続された位置以
外の領域近傍に、該電極と同じ材質であって、該電極と
導通している部材を前記発熱抵抗体と接触しないで薄膜
状に形成したことを特徴としたものである。以下、本発
明の実施例に基づいて説明する。
最初に、第6図に基づいてバブルジェットによるイン
ク噴射の原理について説明すると、 (a)は定常状態であり、オリフィス面でインク30の
表面張力と外圧とが平衡状態にある。
(b)はヒータ29が加熱されて、ヒータ29の表面温度
が急上昇し隣接インク層に沸騰現象が起きるまで加熱さ
れ、微小気泡31が点在している状態にある。
(c)はヒータ29の全面で急激に加熱された隣接イン
ク層が瞬時に気化し、沸騰膜を作り、この気泡31が生長
した状態である。この時、ノズル内の圧力は、気泡の生
長した分だけ上昇し、オリフィス面での外圧とバランス
がくずれ、オリフィスよりインク柱が生長し始める。
(d)は気泡が最大に生長した状態であり、オリフィ
ス面より気泡の体積に相当する分のインク30が押し出さ
れる。この時、ヒータ29には電流が流れていない状態に
あり、ヒータ29の表面温度は降下しつつある。気泡31の
体積の最大値は電気パルス印加のタイミングからややお
くれる。
(e)は気泡31がインクなどにより冷却されて収縮を
開始し始めた状態を示す。インク柱の先端部では押し出
された速度を保ちつつ前進し、後端部では気泡の収縮に
伴ってノズル内圧の減少によりオリフィス面からノズル
内へインクが逆流してインク柱にくびれが生じている。
(f)はさらに気泡31が収縮し、ヒータ面にインクが
接しヒータ面がさらに急激に冷却される状態にある。オ
リフィス面では、外圧がノズル内圧より高い状態になる
ためにメニスカスが大きくノズル内に入り込んで来てい
る。インク柱の先端部は液滴になり記録紙の方向へ5〜
10m/secの速度で飛翔している。
(g)はオリフィスにインクが毛細管現象により再び
供給(リフィル)されて(a)の状態にもどる過程で、
気泡は完全に消滅している。32は飛翔インク滴である。
第7図は、バブルジェット記録ヘッドの斜視図、第8
図は、記録ヘッドの分解構成図で、(a)は蓋基板、
(b)は発熱体基板を示す図、第9図は、第8図(a)
に示した蓋基板の裏面図である。図中、21は蓋基板、22
は発熱体基板、23は記録液体流入口、24はオリィス、25
は流路、26は液室を形成するための領域、27は個別(独
立)電極、38は共通電極、29は発熱体(ヒータ)であ
る。
第10図は、バブルジェット液体噴射記録ヘッドの部分
図で、(a)はオリフィス側から見た正面部分図、
(b)は、(a)の一点鎖線X−Xの切断部分図であ
る。
これらの図に示された記録ヘッド41は、その表面に電
気熱変換体42が設けられている基板43上に、所定の線密
度で所定の巾と深さの溝が所定数設けられている溝付板
44を該基板43を覆うように接合することによって、液体
を飛翔させるためのオリフィス45を含む液吐出部46が形
成された構造を有している。
液吐出部46は、オリフィス45と電気熱変換体42より発
生される熱エネルギーが液体に作用して気泡を発生さ
せ、その体積の膨張と収縮による急激な状態変化を引き
起こすところである熱作用部47とを有する。
熱作用部47は、電気熱変換体42の熱発生部48の上部に
位置し、熱発生部48の液体と接触する面としての熱作用
面49をその底面としている。熱発生部48は、基体43上に
設けられた下部層50、該下部層50上に設けられな発熱抵
抗層51、該発熱抵抗層51上に設けられた上部層52とで構
成される。
発熱抵抗層51には、熱を発生させるために該層51に通
電するための電極53,54がその表面に設けられており、
これらの電極間の発熱抵抗層によって熱発生部48が形成
されている。
電極53は、各液吐出部の熱発生部に共通の電極であ
り、電極54は、各液吐出部の熱発生部を選択して発熱さ
せるための選択電極であって、液吐出部の液流路に沿っ
て設けられている。
上部層52は、発熱抵抗層51を使用する液体から化学
的、物理的に保護するために発熱抵抗層51と液吐出部46
にある液体とを隔絶すると共に、液体を通じて電極53,5
4間が短絡するのを防止する発熱抵抗層51の保護的機能
を有している。
上部層52は、上記の様な機能を有するものであるが、
発熱抵抗層51が耐液性であり、且つ液体を通じて電極5
3,54間が電気的に短絡する必要が全くない場合には、必
ずしも設ける必要はなく、発熱抵抗層51の表面に直ちに
液体が接触する構造の電気熱変換体として設計しても良
い。
下部層50は、次に熱流量制御能を有する。即ち、液滴
吐出の際には、発熱抵抗層51で発生する熱が基板43側の
方に伝導するよりも、熱作用部47側の方に伝導する割合
が出来る限り多くなり、液滴吐出後、つまり発熱抵抗層
51への通電がOFFされた後には、熱作用部47及び熱発生
部48にある熱が速やかに基板43側に放出されて、熱作用
部47にある液体及び発生した気泡が急冷される為に設け
られる。
発熱抵抗体51を構成する材料として、有用なものに
は、たとえば、タンタル−SiO2の混合物、窒化タンタ
ル、ニクロム、銀−パラジウム合金、シリコン半導体、
あるいはハフニウム、ランタン、ジルコニウム、チタ
ン、タンタル、タングステン、モリブデン、ニオブ、ク
ロム、バナジウム等の金属の硼化物があげられる。
これらの発熱抵抗体51を構成する材料の中、殊に金属
硼化物が優れたものとしてあげることができ、その中で
も最も特性の優れているのが、硼化ハフニウムであり、
次いで、硼化ジルコニウム、硼化ランタン、硼化タンタ
ル、硼化バナジウム、硼化ニオブの順となっている。
発熱抵抗体51は、上記の材料を用いて、電子ビーム蒸
着やスパッタリング等の手法を用いて形成することがで
きる。発熱抵抗体51の膜厚は、単位時間当りの発熱量が
所望通りとなるように、その面積、材質及び熱作用部分
の形状及び大きさ、更には実際面での消費電力等に従っ
て決定されるものであるが、通常の場合、0.001〜5μ
m、好適には0.01〜1μmとされる。
電極53,54を構成とする材料としては、通常使用され
ている電極材料の多くのものが有効に使用され、具体的
には、たとえばAl,Ag,Au,Pt,Cu等があげられ、これらを
使用して蒸着等の手法で所定位置に、所定の大きさ、形
状、厚さで設けられる。
保護層52に要求される特性は、発熱抵抗体51で発生さ
れた熱を記録液体に効果的に伝達することを妨げずに、
記録液体より発熱抵抗体51を保護するということであ
る。保護層52を構成する材料として有用なものには、た
とえば酸化シリコン、酸化マグネシウム、酸化アルミニ
ウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム等があげられ、
これらは、電子ビーム蒸着やスパッタリング等の手法を
用いて形成することができる。保護層52の膜厚は、通常
は0.01〜10μm、好適には0.1〜5μm、最適には0.1〜
3μmとされるのが望ましい。
本発明は、前記目的を達成するために、オリフィス45
から液滴が吐出された後、すなわち、発熱抵抗層51への
通電がOFFされた後に熱作用部47及び熱発生部48にある
熱が効率よく放熱されて、熱作用部47にある液体及び発
生した気泡がすみやかに冷却されなければならにことに
着目し、熱エネルギー作用面49において、電極が接合さ
れていない側辺を高熱伝導性部材で囲むことを特徴とす
る。
一般に、発熱抵抗体に電極を通して通電が行なわれる
と、第6図で説明したように、発熱抵抗体の表面温度が
急上昇し、隣接したインク層が加熱されるので、気泡が
生長する。その後、通電がOFFされると、この気泡が最
大値に達した後は収縮を始める。この時、第8図に示し
たような、発熱抵抗体(ヒータ)29では、電極27及び28
と接合されている方向には、発熱抵抗体表面の放熱が効
率良くなされるが、他の方向へは放熱が電極方向に比べ
て効率良くなされていない。このために、気泡の収縮は
第11図(斜線部分は気泡を示す。)のように、発熱抵抗
体表面に均一に収縮するのではなく、電極方向につぶれ
た形状となる。
したがって、発熱抵抗体表面は、長時間ヘッドを駆動
させた場合にクラック等の欠陥が生じ易くなり、ヘッド
の耐久性を著しく低下させてしまう。
本発明は、上記欠点を解決するために、発熱抵抗体の
電極が接合されていない側辺を高熱伝導性部材で囲むこ
とによって、高速でヘッドを駆動した場合でも効率よく
放熱し、しかも発熱抵抗体表面に生長した気泡が均一に
収縮させることができる。
第1図(a)〜(e)は、本発明による液体噴射記録
装置に用いるヒータボードの形成方法を説明するための
もので、図中、1は基板、2は発熱抵抗体、3はヒート
シンク、4は共通電極、5は選択電極、6は絶縁層であ
る。発熱抵抗体2の側辺にAlのヒートシンクをパターニ
ングするもので、まず、(a)に示すようにスパッタリ
ングによって表面にSiO2膜が形成された基板1上に発熱
抵抗体2を所望の大きさにパターニングする。次に、
(b)のように絶縁層6及び共通電極4、選択電極5を
発熱抵抗体2の側辺を囲むようにパターニングする。さ
らに、(c)のように、Alのヒートシンク3を発熱抵抗
体2及び電極4、5と接触しないようにパターニングす
ればよい。第1図(d)は(c)のX−X断面図、
(e)は(c)のY−Y断面図を示す。
第2図(a)〜(f)及び(g)は、発熱抵抗体2の
底面及び側面にAlのヒートシンクをパターニングするも
のである。まず、(a)のように基板1上にヒートシン
ク3を全面に蒸着する。次に、絶縁層6を(b)のよう
にパターニングし、その上に発熱抵抗体2を所望の大き
さで(c)のようにパターニングする。さらに、電極
4、5をヒートシンク3と接触しないように(d)のご
とくパターニングすればよい。第2図(e)は(d)の
X−X断面図、(f)は(d)のY−Y断面図を示す。
この場合、ヒートシックの熱膨張による密着性の低下を
防止するため、(a)の過程において(g)のようにス
リット状にヒートシンクをパターニングしても良い。
尚、第1図、第2図に示した例では、ヒートシンクに
Alを用いたが、必ずしもAlに限るものではなく、金、
銀、銅、亜鉛、タングステン等の高熱伝導性物質であれ
ば何でも使用可能である。また、絶縁層の厚さは、絶縁
性が損なわれなければ薄いほど放熱効果が増す。
第3図(a)〜(d)は、発熱抵抗体の側辺を選択電
極で囲む方法を示す。(a)で基板1上に所望の大きさ
の発熱抵抗体2をパターニングする。次に(b)で選択
電極5を発熱抵抗体2の側辺を囲むようにパターニング
し、さらに(c)、(d)で絶縁層6をはさんで共通電
極4をパターニングする。
第3図(e)は(d)のX−X断面図である。
第4図は、発熱抵抗体の側辺を共通電極で囲む方法を
示す。基板1上に選択電極5を第4図(a)のようにパ
ターニングする。次に(b)のような絶縁層6をはさん
で、(c)のように発熱抵抗体2をパターニングする。
絶縁層6の選択電極5と対応するところには開口7が設
けられており、発熱抵抗体2と接続される。さらに
(d)のように共通電極4をパターニングする。
第4図(e)は(d)のX−X断面図である。
また、第1図から第4図までの発熱抵抗体2及びそれ
に付随する共通電極4、選択電極5の形状は、長方形あ
るいは円形に限らず必要に応じて自由に変えることがで
きる。さらに通常は、発熱抵抗体2を保護するための保
護層や、電極保護のための樹脂層(図示せず)が設けら
れる。
尚、第1図から第4図の斜線部分は、各工程において
パターニングされた部分を示す。
また、第5図(a)〜(d)に示すように記録ヘッド
を感光性ドライフィルムを用いて以下のように作成する
ことができる。図中、61は基板、62は発熱抵抗体、63は
保護膜、64は感光性ドライフィルム、65は天板、66は接
着層、63はインク室である。
ヒーターボード(基板)61上に感光性ドライフィルム
64をラミネートし、所望の流路及びインク液室が得られ
るようにパターニングされたマスクを重ね、この上から
露光する(第5図a,b)。感光性ドライフィルム64は、
露光された部分が光重合反応を起こし硬化される。した
がって、露光後に現像を行なうと、露光されなかった部
分は溶解除去され、流路壁64pを形成することができる
(第5図c)。尚、ヒートシンクとしてAl等を設ける場
合、Alは耐薬品性が悪く、とりわけインクジェット用イ
ンクのように、アルカリ系の溶液に腐食されやすい欠点
があるので、直接インクと接しないように、ドライフィ
ルムをパターニングしてカバーするか、あるいは電極と
同様にしてインクと接する部分にレジン(樹脂)層を設
けてヒートシンクとインクが接触しないようにした方が
良い。次に、ガラス天板65と接着層66を介して接合す
る。このガラス天板65には、インク室67に対応する部分
に堀込みがなされ、インク室67へインクを供給するため
の供給口の加工がなされている。(第5図d)。また、
インク室及び流路の壁を形成する際は、上記のようにノ
ズル基板側に感光性ドライフィルムをラミネートするの
ではなく、ガラス天板側にラミネートしてつくることも
できる。あるいは、ガラス天板を直接エッチングするこ
とで所望のインク室及び流路を形成することができる。
天板に感光性ガラスを用いる場合には、感光性ガラス
を所望のインク室流路のパターンに露光すると、感光部
分だけが乳白化される。この乳白ガラスの部分を薄い弗
酸によってエッチングすればよい。尚、天板は、上記ガ
ラスに限らずセラミック、樹脂、あるいは金属でもかま
わないが、ヒーターボードとの接合のため、天板に接着
性のあるものが積層されているか又は天板そのものに接
着性のあるものが望ましい。
本発明者らは、第4図に示すヒータボードを以下のよ
うに製作した。まず、Si基板上に下部層としてSiO2を5
μmの厚さでスパッタリングした後、フォトリソ技術、
エッチング技術、スパッタリング技術を利用し選択電極
として、Alを5000Åの厚さで、絶縁層としてSiO2を1,2
μmの厚さで順次所望の形状にパターニングした。次
に、発熱抵抗体としてTa・SiO2を400Åの厚さで直径40
μmの円形となるようにパターニングした(発熱抵抗体
のピッチは62μm)。次に共通電極としてAlを5000Åの
厚さで所望の形状にパターニングし、発熱抵抗体の保護
層としてSiO2を5000Åの厚さで、Alが積層されていると
ころにレジン(樹脂)層をパターニングしてヒーターボ
ードを形成した。
次に、第6図で説明したようなプロセスを経て(感光
性ドライフィルム厚は25μm)吐出口を形成した。
以上のように製作したヘッドを用いて、駆動周波数4.
1KHzで連続駆動したところ、安定した液滴の吐出が行な
われたのは、従来107回程度だったものが、109回程度ま
でに向上させることができた。
効果 以上の説明から明らかなように、本発明によると以下
のような効果がある。
(1)請求項1に対応する効果 構造が簡単なので、従来のヒーターボード形成技術す
なわちスパッタリング、フォトリソ技術、エッチング技
術等を利用して安価に製作できる。
発熱抵抗体の放熱が効率よく行なわれるので、より高
速(例えば4KHzより高速)に駆動することができる。
発熱抵抗体に対する熱的負荷が軽減されるのでヘッド
の耐久性を向上させることができる。
発熱抵抗体表面ん生長した気泡が均一に収縮するの
で、クラック等の欠陥が生じにくくなり、ヘッドの耐久
性を向上させることができる。
構造が積層構造になっているので、スペースをとら
ず、ノズルを高密化(例えば16本/mmより高密)したと
きに有利である。
発熱抵抗体の経営上を自由に変えても、それに応じて
作ることができる。
(2)請求項2に対応する効果 上記〜に加え、電極と同じマスク、同じ材料、同
じ工程でできるので、より安価に製作することができ
る。また、電極がヒートシンクを兼ねているので、省ス
ペース化が図られ、ノズルの高密化の際により有効であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(e)は、本発明による液体噴射記録装
置に用いるヒータボードの形成方法を説明するための
図、第2図(a)〜(f)及び(g)は、発熱抵抗体の
底面及び側面にヒートシンクをパターニングする場合の
図、第3図(a)〜(e)は、発熱抵抗体の側辺を選択
電極で囲む方法を説明するための図、第4図(a)〜
(e)は、発熱抵抗体の側辺を共通電極で囲む方法を説
明するための図、第5図は、記録ヘッドの製作工程を説
明するための図、第6図は、ヘッドのバブルジェットイ
ンク吐出と気泡発生・消滅の原理図、第7図は、記録ヘ
ッドの斜視図、第8図は、記録ヘッドの分解構成図で、
(a)は蓋基板、(b)は発熱体基板を示す図、第9図
は、記録ヘッドの蓋基板の裏面図、第10図は、記録ヘッ
ドの部分図で、(a)はヘッドのオリフィス側より見た
正面部分図、(b)は(a)のX−X線切断部分図、第
11図は、気泡の収縮状態を示す図である。 1……基板、2……発熱抵抗体、3……ヒートシンク、 4……共通電極、5……選択電極、6……絶縁層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−231761(JP,A) 特開 昭57−185173(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/05

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導入される記録液体を収容するとともに、
    該記録液体に熱によって気泡を発生させ、該気泡の体積
    増加にともなう作用力を発生させる熱エネルギー作用部
    を付設した流路と、該流路に連絡して前記記録液体を前
    記作用力によって液滴として吐出させるためのオリフィ
    スと、前記流路に連絡して前記流路に前記記録液体を導
    入するための液室と、該液室に記録液体を導入する導入
    手段とよりなる液体噴射記録装置において、発熱抵抗体
    の電極に接続された位置以外の領域近傍に前記発熱抵抗
    体と接触しないで放熱部材を形成したことを特徴とする
    液体噴射記録装置。
  2. 【請求項2】導入される記録液体を収容するとともに、
    該記録液体に熱によって気泡を発生させ、該気泡の体積
    増加にともなう作用力を発生させる熱エネルギー作用部
    を付設した流路と、該流路に連絡して前記記録液体を前
    記作用力によって液滴として吐出させるためのオリフィ
    スと、前記流路に連絡して前記流路に前記記録液体を導
    入するための液室と、該液室に記録液体を導入する導入
    手段とよりなる液体噴射記録装置において、発熱抵抗体
    の電極に接続された位置以外の領域近傍に、該電極と同
    じ材質であって、該電極と導通している部材を前記発熱
    抵抗体と接触しないで薄膜状に形成したことを特徴とす
    る液体噴射記録装置。
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