JP2810335B2 - ガードル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はガードルに係り、その
目的は下腹部を締め付けて良好な補整を行うことがで
き、しかも着用者の臀溝部を持ち上げるとともにヒップ
を着用者の上方向及び後ろ方向に突出させて強調し豊か
なヒップを演出しつつ、しかも着用時の臀溝部付近のシ
ルエットを美しく現し、そのうえ着用者の足さばきに追
随して変化し、立つ、座る、走る、歩く等着用者の運動
を妨げることなく、足や体の運動の変化、すなわち着用
者の運動姿態に追随して伸縮し、着用者のヒップアップ
という外観向上性を常に保持する、換言すれば美麗なる
補整機性能と着用性とを同時に満たすガードルを提供す
ることにある。

【０００２】

【従来の技術】一般にガードルには全体が柔らかい生地
で構成されているものと、締め付け力のあるハードな生
地により構成されているものとが存在する。このうち締
め付け力のあるハードな生地により構成されているガー
ドルはウエスト部位から下の腰部、腹部、臀部、大腿部
などの体型を美しく整えるために着用されるファンデー
ションで、この一例として、例えば図６に示すように前
身頃ａ中央部に伸縮性のない生地ｂを使用し、腹部を押
さえるように構成したガードルＣを例示することができ
る。さらに、図７に示すように前身頃ｄ中央部に縦方向
にのみ伸縮性を示す生地ｅを使用し、腹部を抑えるよう
構成したガードルＦも例示することができる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、全体を
柔らかい生地で構成したガードルではヒップアップなど
体型を整える作用はなく、一方、ハードな生地で構成し
たガードルは締め付け力が強く着用者に窮屈感を与え、
更に図６に示したように伸縮性のない生地ｂを中央部に
用いたガードルＣでは、前身頃ａ中央部に縦方向の伸縮
性がないため、着崩れ現象が生じやすくなるという課題
が存在した。さらに図７に示したように前身頃ｄ中央部
に縦方向にのみ伸縮性を示す生地ｅを用いたガードルＦ
では、着用者の動きによって、ガードルＦの脇部ｇから
後身頃ｈにおける生地が前方向に引っ張られヒップが偏
平に押さえられ、美しいヒップ形状を演出させることが
できないという課題が存在した。そこで、この発明は下
腹部を締め付けて良好な整容作用を発現するとともに、
日本人にありがちな扁平なヒップ形状を補整し、着用者
の臀溝部を持ち上げ、しかもヒップのボリュウムを増大
させることができ、ヒップを上方向と後方向に向かって
強調し、豊かなヒップを演出しつつ同時に着用者の前後
屈伸、立つ、座る、走る、歩く等着用者の運動を妨げる
ことなく、足や体の運動の変化、すなわち運動姿態に追
随して伸縮し、着用者のヒップアップ、すなわちヒップ
を豊かにするという外観向上性を常に確保する、換言す
れば美麗なる補整機性能と着用性とを同時に満たすガー
ドルの提供を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は前記課題を解
決するためになされたものであって、請求項１のガード
ルでは前身頃及び後身頃からなるガードルであって、前
身頃には中央部に伸縮性を有する当て布が縫着され、且
つこの当て布の左右両側には縦方向にのみ伸縮性を示す
略ワンウエイ伸縮布が縫着されてなり、後身頃には臀溝
充当部分に縦方向に伸縮性を示す略ワンウエイ伸縮布が
縫着されてなることとした。請求項２のガードルでは前
記後身頃にはヒップカップが形成され、このヒップカッ
プのトップを通る上下線と前記略ワンウエイ伸縮布の伸
縮方向線とが同一軸上に位置してなるとともに、臀溝部
より上方に先細り状に形成されてなることとした。

【０００５】

【作用】請求項１のガードルでは、前身頃には中央部に
伸縮性を有する当て布が縫着され、且つこの当て布の左
右両側には縦方向に伸縮性を示す略ワンウエイ伸縮布が
縫着されている。従って、前身頃における胴回り方向へ
の伸縮は前記略ワンウエイ伸縮布の低伸縮性によって阻
止されるから、前身頃により後身頃が引っ張られてしま
うことがなく、着用者の腹部全体、特に下腹部を効果的
に締め付けることができる。しかも、前身頃中央部には
伸縮性の当て布が縫着されてい、且つ前記略ワンウエイ
伸縮布が斜め部分では傾斜角度により適度に伸張するた
め下腹部に対する締め付けを着用者に窮屈感を与えるこ
となく、穏やかに行うことができる。一方、後身頃は前
身頃により引っ張られてしまうことがなく、しかもこの
後身頃には着用者の臀溝充当部分に縦方向に伸縮性を示
す略ワンウエイ伸縮布が縫着されているから、常に着用
者の臀溝部を持ち上げると共にヒップのボリュウムを増
大させるよう作用し、この結果、ヒップを着用者の上方
向及び後ろ方向に突出させて強調し豊かなヒップを演出
することができる。また、着用者が着席したり、立ち上
がったりするなどの動作を行った場合には、その上下運
動により前身頃及び後身頃にそれぞれ縫着されている略
ワンウエイ伸縮布が伸長されるから、その運動が阻害さ
れず、ガードルが着用者の運動姿態に追随して伸縮し、
且つ動作時の横方向への影響を少なくすることができ、
縦方向の運動姿態の着崩れ現象を防止することができ
る。更に、後身頃には臀溝充当部分に縦方向に伸縮性を
示す略ワンウエイ伸縮布が縫着されているから、着用時
における臀溝付近のシルエットに段部等を現してしまう
ことがなく、美しいシルエットを演出することができ
る。しかも着用者が立ったり座ったりするなどの動作を
行った場合は、その動作に伴って臀部より大腿部方向に
伸縮するから、生地が身体に食い込んでしまうことがな
い。請求項２のガードルでは後身頃にヒップカップを形
成し、そのトップを通る上下線と略ワンウエイ伸縮布の
伸縮方向線とを同一軸上に設けることにより、一層良好
なヒップアップ効果を発現できる。また、臀溝部より上
下に先細り状に前記略ワンウエイ伸縮布を縫着すること
により斜め部分では傾斜角度により適度な伸度が得ら
れ、面でのヒップアップ効果を発現できるため滑らかな
補整機能が得られ段がつくことなく美しいシルエットが
得られる。

【０００６】

【発明の構成】以下、この発明に係るガードルの好まし
い構成を図面に基づいて詳述する。図１はこの発明のガ
ードルの１実施例を示す正面図であって、図２は背面側
の外観図、図３は側面側の外観図、図４はこの発明に係
るショートガードルの正面図、図５は図４の背面図であ
る。図示するようにこのガードル１は前身頃２と後身頃
３とから構成されており、しかも前身頃２及び後身頃３
にはそれぞれ足部４が延設されている。この前身頃２及
び後身頃３は、通常のガードルにおいて用いられている
伸縮性に富むスパンデックス繊維や、ポリエステル系弾
性繊維等から構成される。

【０００７】この発明において前身頃２には裏面側或い
は表面側の中央部に当て布２１が縫着される。図示する
実施例において、当て布２１は前身頃２裏面側に縫着さ
れており、且つ正面視菱形状に形成されている。当て布
２１の素材としては前記伸縮性に富むスパンデックス繊
維や、ポリエステル系弾性繊維等が特に限定されること
なく好適に使用できる。中央部ではこのように当て布２
１が縫着されているため、部分的にその伸度が他の前身
頃部分よりも低く抑えられている。更に前身頃２には、
前記当て布２１の左右両側に、縦方向に伸縮性を示す略
ワンウエイ伸縮布２２が縫着されている。この略ワンウ
エイ伸縮布２２は前身頃２の左右両端部よりそれぞれ当
て布２１の左右両端部に重なり、中心に向かって先細り
状に縫着されている。

【０００８】略ワンウエイ伸縮布２２は、縦方向にのみ
伸縮性を示す。従って、前身頃２中央部の伸張により後
身頃３が引っ張られてしまうことがなく、通常の状態で
は前身頃２の胴回り方向への伸縮性が阻止され、横方向
への影響を少なくして上下運動と着崩れ現象を防止する
ことができる。略ワンウエイ伸縮布２２は、縦方向に伸
縮性能を有し、横方向はまったく伸縮しないか、または
縦方向の伸びの２０％以下の伸びを持つ布が例示でき
る。ヒップを後ろへ出し、ヒップ頂部を押さえないこの
発明の効果を有効に発揮するには、横方向の伸縮は０ま
たは、これに近い方が望ましい。しかも、全体を締め付
け力のあるハードな生地で構成しなくとも、前記したよ
うに前身頃２に当て布２１及び略ワンウエイ伸縮布２２
を縫着することにより、着用者の腹部全体、特に下腹部
を効果的に締め付けて補整することができる。さらに、
前身頃２中央部には伸縮性を有する当て布２１が縫着さ
れているとともに、その両側に縫着された略ワンウエイ
伸縮布２２の斜め部分が傾斜角度により適度な伸度が得
られるため、下腹部に対する締め付けを着用者に窮屈感
を与えることなく、穏やかに行うことができる。

【０００９】後身頃３には着用者の臀溝充当部分に縦方
向に伸縮性を示す略ワンウエイ伸縮布３１が縫着されて
いる。この実施例において略ワンウエイ伸縮布３１は着
用者の臀溝ラインより上方に先細り状に形成されてい
る。すなわち、着用者の臀溝部分を覆うように略ワンウ
エイ伸縮布３１は縫着されている。この略ワンウエイ伸
縮布３１の形状は、三角形、菱形、これに類似する形で
あればよく、図３に示すロングガードルにおいては菱
形、図５に示すショートガードルにおいては三角形状が
例示されているがこれに限定されない。この発明ではこ
のように後身頃３の臀溝充当部分に略ワンウエイ伸縮布
３１を縫着しておくことにより、着用時の臀溝付近にお
けるシルエットに段部が生じてしまうことがなく、美し
いシルエットを演出することが可能となる。

【００１０】一方、前身頃２には略ワンウエイ伸縮布２
２が縫着されているから、前身頃中央部が伸縮しても、
その伸縮に後身頃３が追随されてしまうことがない。従
って、後身頃３は常に着用者のヒップを整容するよう作
用する。後身頃３の臀溝充当部分には、縦方向にのみ伸
縮性を示す略ワンウエイ伸縮布３１が縫着されているか
ら、後身頃３は常に着用者の臀溝部を持ち上げるよう作
用すると同時に着用者のヒップのボリュームを増大させ
るよう作用し、着用者のヒップを上方向及び後方向に突
出させて強調し、豊かなヒップを演出する。また、この
ガードル１ではこのように略ワンウエイ伸縮布３１が縫
着されているから、着用時、通常のロングガードルで認
められるような臀溝部における段部（ヒップと太腿部と
の段差）が生じず、ヒップから太腿にわたって穏やかな
ラインが現れ、美しいシルエットを演出することができ
る。

【００１１】さらに着用者が立つ、座る、走る、歩く等
の動作を行った場合には、前身頃２及び後身頃３に縫着
されている略ワンウエイ伸縮布２２・２２・３１がこれ
ら運動姿態に追随するように縦方向に伸縮するから、着
用者の動作を妨げることがないとともに上下運動による
着崩れ現象が生じることがない。また、図示する実施例
ではガードル１の股充当部分に股ぐり方向には伸長せ
ず、幅方向にのみ伸張される略ワンウエイ伸縮布５が縫
着されている。このように略ワンウエエイ伸縮布５を縫
着することによって、着用者の動作により前身頃２中央
部が引っ張られてしまうことがなく、下腹部のみを効果
的に整容することができるとともに、着用者の足さばき
により所定方向に伸張し、その動作を妨げることがな
い。さらに、この実施例では後身頃３にヒップカップ３
２が形成されている。しかもこのヒップカップ３２のト
ップを通る上下線３２ａと略ワンウエイ伸縮布３１の伸
縮方向線３１ａとを同一軸上に位置しておくと、より一
層のヒップアップを行うことができるので望ましい。ま
た、略ワンウエイ伸縮布３１は縦方向に伸縮性を示すか
ら、着用者が着席したり立ち上がったりした場合には、
その動作（運動姿態）に追随して伸縮し、着用者の身体
に生地が食い込んでしまうことがない。以上、図示した
実施例ではロングガードル、ショートガードルを示して
いるが、この発明では特に限定はされず、例えばボディ
ースーツであってもよい。

【０００９】

【発明の効果】以上詳述した如く、請求項１に係る発明
は前身頃と後身頃とからなるガードルであって、前身頃
には中央部に伸縮性を有する当て布が縫着され、且つこ
の当て布の左右両側には縦方向に伸縮性を示す略ワンウ
エイ伸縮布が縫着されてなり、後身頃は臀溝充当部分に
縦方向に伸縮性を示す略ワンウエイ伸縮布が縫着されて
なることを特徴とするガードルであるから、以下の優れ
た効果を奏する。すなわち、下腹部を締め付けて良好な
補整を行うことができるとともに、下腹部に対する締め
付けにより着用者に窮屈感を与えることなく、穏やかに
行うことができる。しかも着用者の臀溝部を持ち上げる
とともにヒップを上方向及び後ろ方向に増大させ豊かな
ヒップを演出しつつ、さらに着用時の臀溝部付近のシル
エットを美しく現し、そのうえ着用者の前後屈伸、立
つ、座る、走る、歩く等着用者の運動を妨げることなく
足や体の動きの変化、すなわち着用者の運動姿態に追随
して伸縮し、着用者のヒップアップという外観向上性を
常に保持する、換言すれば美麗なる補整機能性と着用性
とを同時に満たすガードルであるという優れた効果を奏
する。請求項２の発明は前記後身頃にはヒップカップが
形成され、このヒップカップのトップを通る上下線と前
記略ワンウエイ伸縮布の伸縮方向線とが同一軸上に位置
してなるとともに、臀溝部より上方に先細り状に形成さ
れてなることを特徴とする請求項１に記載のガードルで
あるから、一層良好なヒップアップ効果と臀溝部付近の
美しいシルエットを期待することができるという優れた
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るガードルの一実施例（ロングガ
ードル）を示す正面図である。

【図２】図１に示した実施例における後身頃側を示す外
観図である。

【図３】図１に示す実施例の側面における側面側の外観
図である。

【図４】この発明に係るショートガードルの正面図であ
る。

【図５】この発明に係るショートガードルの背面図であ
る。

【図６】従来のガードルの一例を示す断面図である。

【図７】従来のガードルの他の例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ ガードル ２ 前身頃 ２１ 当て布 ２２ 略ワンウエイ伸縮布 ３ 後身頃 ３１ 略ワンウエイ伸縮布 ３１ａ 略ワンウエイ伸縮布の伸縮方向
線 ３２ ヒップカップ ３２ａ ヒップカップのトップを通る上
下線 ４ 足部片 ５ 股充当部片

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A41C 1/00 - 1/02

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前身頃と後身頃とからなるガードルであ
   って、前身頃には中央部に伸縮性を有する当て布が縫着
   され、且つ、この当て布の左右両側には縦方向にのみ伸
   縮性を示す略ワンウエイ伸縮布が縫着されてなり、後身
   頃は臀溝充当部分に縦方向に伸縮性を示す略ワンウエイ
   伸縮布が縫着されてなることを特徴とするガードル。
2. 【請求項２】 前記後身頃にはヒップカップが形成さ
   れ、このヒップカップのトップを通る上下線と前記略ワ
   ンウエイ伸縮布の伸縮方向線とが同一軸上に位置してい
   ると共に、臀溝部より上方に先細り状に形成されてなる
   ことを特徴とする請求項１に記載のガードル。