JP2809296B2 - フッ素樹脂被覆用Al合金板の製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂被覆用Al合金板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解エッチング性、且
つ成形性に優れたフッ素樹脂被覆用Al合金板の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フッ素樹脂は、耐水性、耐熱性に優れる
ため、Al及びAl合金などにコーティングされ、フライ
パン、炊飯器の中蓋等に使用されている。このような用
途でのフッ素樹脂コーティングAl材は、樹脂の密着性
を高めるためにAl及びAl合金等の素板を化学的又は電
気化学的エッチング等により均一に粗面化した後、フッ
素樹脂を塗布し、成形加工して製作されている。
【0003】従来、上記のようなフッ素樹脂皮膜用Al
合金としては、1100、1050、3004合金等が
用いられてきた。しかし、1100、1050等の純A
l系を使用した場合には、化学的、又は電気化学的エッ
チング等により均一な粗面を得ることが困難であるとい
う問題がある。
【0004】一方、3004等のAl−Mn−Mg系を使
用した場合にも、化学的又は電気化学的エッチング等に
より均一な粗面を得ることが困難である。また、Mg、
Mnの含有量が高いため、成形時の加工硬化量が大き
く、再絞り加工やスピニング加工に適さないという問題
がある。
【0005】そこで、これら問題点を解決することを目
的として種々の検討がなされ、その結果、次のようなA
l合金が開発され、提案されている。
【0006】特公昭61−49384号公報には、M
g:0.05〜2.5%、Mn:0.3〜1.5%、Fe:0.
3〜0.8%、Cu:0.01〜0.2%、Fe及びSiの合
計:0.2%以下のAl合金が記載されている。特開平3
−215645号公報にはMn:0.2〜2.0%、Mg:
0.01〜0.2%、Cu:0.01〜0.2%、Fe及びS
iの合計:0.2%以下のAl合金が記載されている。特
開平3−193840号公報にはMn:0.01〜0.2
%、Mg:0.2〜2.0%、Cu:0.01〜0.2%、F
e及びSiの合計:0.2%以下のAl合金が記載されてい
る。
【0007】そして、特公昭61−49384号公報に
よれば、電解エッチング性が向上すると説明されてい
る。また、特開平3−215645号公報及び特開平3
−193840号公報によれば、成形性及び電解エッチ
ング性が向上すると説明されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の提案さ
れた各種Al合金には、次のような問題点がある。すな
わち、特公昭61−49384号公報に記載のAl合金
には成形性が悪いという問題点がある。特開平3−21
5645号公報に記載のAl合金ではMn添加量が多くな
るほど、成形性が悪くなるという傾向があり、特開平3
−193840号公報では、Mn添加量が少ないため、
電解エッチング性が悪いという問題点がある。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、従来技術の持つ以上のよ
うな問題点を解消して、成形性並びに電解エッチング性
に優れたフッ素樹脂被覆用Al合金の製造技術を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段として、本発明は、Mg:0.10〜0.80
%、Mn:0.30〜0.80%、Fe:0.30〜0.80
%、Cu:0.10〜0.20%、Zn:0.10〜0.3%
を含有し、残部が不可避的不純物からなるAl合金鋳塊
について、均熱温度が550℃以上620℃未満、均熱
時間が1時間以上10時間未満の条件にて均熱処理を施
し、熱間圧延開始温度が500℃以上600℃未満の条
件にて熱間圧延を開始することを特徴とするフッ素樹脂
被覆用Al合金板の製造方法を要旨としている。
【0011】以下に本発明について更に詳細に説明す
る。
【作用】
【0012】本発明におけるAl−Mn−Mg合金は、従
来の特公昭61−49384号公報及び特開平3−21
5645号に記載のAl合金とは異なり、Mn量の上限を
低くコントロールしているので、成形性は向上するが、
電解エッチング性が劣ることとなる。そのため、0.1
0%以上0.30%以下のZnを加えることにより電解エ
ッチング性を向上させている。したがって、MnとZn量
を前記の如くコントロールすることにより、成形性及び
電解エッチング性の両方につき向上させたものである。
【0013】また、本発明におけるAl−Mn−Mg合金
は、特開平3−215645号公報に記載のAl合金と
は異なり、Mn添加量の下限を高くコントロールしてい
るので電解エッチング性は向上するが、成形性は劣るこ
ととなる。そのため、0.10%以上0.80%以下のM
gと、0.10%以上0.20%以下のCuを加えることに
より、適度に強度を与え、且つ成形性、特に深絞り性を
向上させている。したがって、MnとMg及びCu量を前
記の如くコントロールすることにより、成形性及び電解
エッチング性の両方につき向上させたものである。
【0014】また、電解エッチング性向上のために、特
公昭61−49384号公報に記載のAl合金と同程度
のFe量(0.30%以上0.80%以下)にコントロール
している。
【0015】但し、上述の特性を得るためには、後述の
如く、製造条件もコントロールする必要がある。
【0016】まず、本発明におけるAl合金の成分限定
理由について説明する。
【0017】Mg:Mgはエッチング性の改善には殆ど寄
与しないが、器物用として要求される強度を確保するた
めに不可欠な元素であり、少なくとも0.10%以上含
有させねばならない。しかし、0.80%超では強度が
高くなりすぎて加工性が低下し、特に軟質材製品の場
合、深絞り加工時の耳率が大きくなることから、0.8
0%以下に止めるべきである。
【0018】Mn:Mnは強度向上効果を有すると共にエ
ッチング性を改善するのに不可欠な元素である。すなわ
ち、Mnは主元素たるAl及び後述のFeと共にAl−Mn
−Fe系の晶出物を形成するもので、エッチング性と密
接な関係があり、0.30%未満では晶出物の数が不十
分になって不均一で荒いエッチング面しか得られず、強
度向上効果も有意に発揮されない。一方、0.80%を
超えると晶出物が大きくなりすぎて、局部的に深いエッ
チングピットの発生し易くなると共に加工性の低下を招
く。したがって、Mn量は0.30〜0.80%とする。
【0019】Fe:Feは、Mnと同様、Al−Mn−Fe系
の晶出物の生成によってエッチング性を改善するために
不可欠の元素であり、適正な数及び大きさの晶出物を生
成させるためには、その含有量を0.30〜0.80%の
範囲に設定しなければならない。0.30%未満では晶
出物の数が不十分になって適正な粗度のエッチング面が
得られず、また0.80%を超えると晶出物が大きくな
りすぎてエッチングピットが発生し易くなると共に加工
性も低下する。
【0020】Cu:CuはAl中に添加することにより、
材料強度を向上させる効果がある。その添加量を0.1
0%以上0.20%以下としたのは、0.10%未満では
その効果が小さく、また、0.20%を超えると深絞り
成形時に45°耳が発達して耳率が高くなり、また適正
なエッチング条件の設定が困難となり、均一な粗面が得
られなくなるためである。
【0021】Zn:ZnはAl中に添加することによりエ
ッチング性を向上させる効果がある。その添加量を0.
10%以上0.30%以下としたのは、0.10%未満で
はその効果が小さく、また、0.30%を超えると適正
なエッチング条件の設定が困難となり、均一な粗面が得
られなくなるためである。
【0022】なお、鋳塊組織の微細化剤として通常添加
されるTi、B等は、0.1%以下の添加量であれば、特
に本発明の効果を損なうことはないので許容される。
【0023】次に本発明の製造条件について説明する。
【0024】上記組成のAl−Mn−Mg合金の製造工程
は特に制限されないが、通常は、溶解→半連続鋳造→均
質化処理→熱間圧延→冷間圧延→打ち抜き→最終焼鈍に
て製造することができる。但し、均熱温度は550℃以
上620℃未満、均熱時間は1時間以上10時間未満の
条件で均熱処理を行わなければならない。また、熱間圧
延開始温度が500℃以上600℃未満の条件にて熱間
圧延を開始しなければならない。
【0025】ここで、均熱温度が550℃未満では均質
化効果が不十分で加工性が悪化し易くなると同時に析出
が進行してエッチング性が低下する。また、均熱温度が
620℃以上では析出が進行せずエッチング性が低下す
る。
【0026】また、均熱時間が1時間未満では均質化効
果が不十分で加工性が悪化し易くなると同時に析出が進
行しておらずエッチング性も低下する。また、均熱時間
が10時間以上では析出が進行してエッチング性が低下
する。
【0027】更に、熱間圧延開始温度が500℃未満で
は析出が進行してエッチング性が低下する。また、熱間
圧延開始温度が600℃以上では熱間圧延時析出が進行
せずエッチング性が低下する。
【0028】なお、上述のような製造工程で得られたA
l合金板は、その後、従来と同様、化学的又は電気的エ
ッチング等により均一に粗面化した後、フッ素樹脂を塗
布し、成形加工に供される。
【0029】次に本発明の実施例を示す。
【実施例】
【0030】表1に示す化学成分のAl合金を常法によ
り溶解、鋳造し、表1の条件にて均熱処理、熱間圧延、
冷間圧延にて1.0mm厚にし、最終焼鈍(360℃×2h
r)を行い、Al合金板を得た。得られた各Al合金板の機
械的性能及びエッチング性を評価した結果を表2に示
す。なお、各々の測定法は下記の通りとした。
【0031】(エッチング性)各Al合金板を3±0.2
%のHN4Cl水溶液(温度40±0.5℃)中で6.6A/
dm2で電解エッチングを行った時の表面形態を観察し、
フッ素樹脂との密着性の良否を判定した。 判定基準:○(良好)、△(やや良好)、×(不良)。 形態:図1のA、B及びC
【0032】(耳率)各Al合金板で66mmφのブラン
クを作製し、33mmφのポンチで深絞り加工したときの
耳率を次式から算出した。 耳率(%)=(H−h)/{(H−h)/2}×100 ここで、H:加工品の底からみた山の平均高さ h:加工品の底からみた谷の平均高さ その結果から、4.5%以下の場合を良好(○)とし、4.
5〜5.0%の場合をやや良好(△)とし、5.0%を超え
る場合を不良(×)とした。
【0033】(限界絞り率)各Al合金板を用いて作製
したブランクを、33mmφのポンチを用い、しわ押力0
kgで深絞り加工した時の次式から算出される値を限界絞
り率とした。 限界絞り率(%)=(ブランク径−ポンチ径)/(ポンチ径)
×100 その結果から、52.0を超える場合を良好(○)とし、
51.0〜52.0%の場合をやや良好(△)とし、51.
0%未満の場合を不良(×)とした。
【0034】(引張強さ)各Al合金板を用いて作製し
たJIS5号引張試験片により引張試験を行って測定し
た。その結果から、140N/mm2を超える場合を良好
(○)とし、140N/mm2〜130N/mm2の場合をやや
良好(△)とし、130N/mm2未満の場合を不良(×)と
した。
【0035】表2から明らかなように、本発明例No.1
〜4はエッチング性、耳率、限界絞り率に優れている。
一方、本発明の化学成分又は製造条件を外れる比較例N
o.5〜20はエッチング性、耳率、限界絞り率のいずれ
か一つ以上が劣っている。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
電解エッチング性に優れているので、フッ素樹脂との密
着性が強固で、且つ成形性、特に深絞り性に優れたフッ
素樹脂被覆用Al合金板を提供できるので、フッ素樹脂
密着性の高い深絞り厨房器が得られるという工業上顕著
な効果を奏するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】エッチング性の判定基準に係る電解エッチング
後の表面形態を示す拡大摸式図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 623 C22F 1/00 623 627 627 630 630K 682 682 683 683 691 691B 691C 694 694B (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22F 1/04 C22C 21/06 C25D 11/18 306 C25F 3/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、Mg:0.10〜
    0.80%、Mn:0.30〜0.80%、Fe:0.30〜
    0.80%、Cu:0.10〜0.20%、Zn:0.10〜
    0.3%を含有し、残部が不可避的不純物からなるAl合
    金鋳塊について、均熱温度が550℃以上620℃未
    満、均熱時間が1時間以上10時間未満の条件にて均熱
    処理を施し、熱間圧延開始温度が500℃以上600℃
    未満の条件にて熱間圧延を開始することを特徴とするフ
    ッ素樹脂被覆用Al合金板の製造方法。
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