JP2808245B2 - 多層よりなるスラッシュ成形靴およびその製造法 - Google Patents
多層よりなるスラッシュ成形靴およびその製造法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層よりなるスラッシ
ュ成形靴およびその製造法に関し、特に靴本体のうちの
靴底の全部または一部の材質と靴本体のその他の部分の
材質とが異なる多層よりなるスラッシュ成形靴およびそ
の製造法に関する。
ュ成形靴およびその製造法に関し、特に靴本体のうちの
靴底の全部または一部の材質と靴本体のその他の部分の
材質とが異なる多層よりなるスラッシュ成形靴およびそ
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、ポリ塩化ビニル樹脂より
なるスラッシュ成形靴は、初めに革や合皮等の素材を使
って実際の靴を製作してオリジナルモデルとし、このオ
リジナルモデルの外面に金属メッキを施す電気鋳造法に
より靴の形をした筒状のスラッシュ成形用モールドを製
作しておき、こうして製作したスラッシュ成形用モール
ドの中にポリ塩化ビニル樹脂を流し込み、その周りを短
時間加熱することによりスラッシュ成形用モールドの内
面にポリ塩化ビニル樹脂を一定の厚さ半ゲル化状態で形
成し、次に未ゲル化状態の余分のポリ塩化ビニル樹脂を
スラッシュ成形用モールド外に排出し、さらに全体を加
熱してスラッシュ成形用モールド内の半ゲル化された皮
膜を完全に固化することにより、靴底と靴本体のうちの
前記靴底を除くその他の部分とからなる靴本体部品であ
るスキンを製作し、冷却・脱型後にこのスキンに靴裏布
材から縫製される裏布(インナーブーツ)と中底やファ
スナー等の部品とを縫製・接着等により組み付け、塗装
を行って、最終製品に仕上げられる。なお、スラッシュ
成形用モールド外に排出された余分の未ゲル化状態のポ
リ塩化ビニル樹脂は回収されて循環工程に送られ、次回
以降の注入に使用される。
なるスラッシュ成形靴は、初めに革や合皮等の素材を使
って実際の靴を製作してオリジナルモデルとし、このオ
リジナルモデルの外面に金属メッキを施す電気鋳造法に
より靴の形をした筒状のスラッシュ成形用モールドを製
作しておき、こうして製作したスラッシュ成形用モール
ドの中にポリ塩化ビニル樹脂を流し込み、その周りを短
時間加熱することによりスラッシュ成形用モールドの内
面にポリ塩化ビニル樹脂を一定の厚さ半ゲル化状態で形
成し、次に未ゲル化状態の余分のポリ塩化ビニル樹脂を
スラッシュ成形用モールド外に排出し、さらに全体を加
熱してスラッシュ成形用モールド内の半ゲル化された皮
膜を完全に固化することにより、靴底と靴本体のうちの
前記靴底を除くその他の部分とからなる靴本体部品であ
るスキンを製作し、冷却・脱型後にこのスキンに靴裏布
材から縫製される裏布(インナーブーツ)と中底やファ
スナー等の部品とを縫製・接着等により組み付け、塗装
を行って、最終製品に仕上げられる。なお、スラッシュ
成形用モールド外に排出された余分の未ゲル化状態のポ
リ塩化ビニル樹脂は回収されて循環工程に送られ、次回
以降の注入に使用される。
【0003】このスラッシュ成形靴は、オリジナルモデ
ルの外面に金属めっきを施して製造したスラッシュ成形
用モールドを用いるためにスラッシュ成形用モールドの
内面にはオリジナルモデルに用いた素材、ステッチさら
には切足しデザイン等がそのまま忠実に再現されて繊細
なデザイン表現を得られるとともに、靴本体のうちの靴
底と靴本体のうちの前記靴底を除くその他の部分との間
に継ぎ目や縫い目がなく完全な筒状であるために高い防
水・防湿機能を得られるため、これまで、長靴等の防寒
靴として大量に製品化されてきた。
ルの外面に金属めっきを施して製造したスラッシュ成形
用モールドを用いるためにスラッシュ成形用モールドの
内面にはオリジナルモデルに用いた素材、ステッチさら
には切足しデザイン等がそのまま忠実に再現されて繊細
なデザイン表現を得られるとともに、靴本体のうちの靴
底と靴本体のうちの前記靴底を除くその他の部分との間
に継ぎ目や縫い目がなく完全な筒状であるために高い防
水・防湿機能を得られるため、これまで、長靴等の防寒
靴として大量に製品化されてきた。
【0004】近年、スラッシュ成形靴は、その優れた量
産性に基づき従来の防寒靴に止どまらず、例えばレイン
シューズ、カッターシューズさらにはパンプスといった
様々なデザインの短靴への拡大適用が検討されるように
なってきた。
産性に基づき従来の防寒靴に止どまらず、例えばレイン
シューズ、カッターシューズさらにはパンプスといった
様々なデザインの短靴への拡大適用が検討されるように
なってきた。
【0005】しかし、スラッシュ成形による短靴は革製
や合皮製といった他の短靴と完全に競合するため、スラ
ッシュ成形靴に対しては、靴底以外の靴本体が適当な硬
度、強度および柔軟性を確保したまま靴底のより一層の
機能の向上、例えば靴底の強度、耐シガレット性(耐熱
性)、耐摩耗性およびガソリンスタンドや各種食品工場
等での使用を勘案した耐油耐薬品性、さらにはこれらに
加えて降雪地での使用を勘案した防滑性等の靴底部分の
諸機能の総合的な向上が必要である。
や合皮製といった他の短靴と完全に競合するため、スラ
ッシュ成形靴に対しては、靴底以外の靴本体が適当な硬
度、強度および柔軟性を確保したまま靴底のより一層の
機能の向上、例えば靴底の強度、耐シガレット性(耐熱
性)、耐摩耗性およびガソリンスタンドや各種食品工場
等での使用を勘案した耐油耐薬品性、さらにはこれらに
加えて降雪地での使用を勘案した防滑性等の靴底部分の
諸機能の総合的な向上が必要である。
【0006】靴本体の機能を変化させることなく靴底に
ついて前述の諸機能を向上させるには、これらの両者を
別材料とすることが最も確実な手段である。
ついて前述の諸機能を向上させるには、これらの両者を
別材料とすることが最も確実な手段である。
【0007】そこで、従来から、スラッシュ成形靴の靴
本体のうちの靴底と靴底を除くその他の部分とを別材料
で構成するスラッシュ成形靴の多層化技術が種々提案さ
れている。
本体のうちの靴底と靴底を除くその他の部分とを別材料
で構成するスラッシュ成形靴の多層化技術が種々提案さ
れている。
【0008】例えば、特公昭40−13590号公報に
は、スラッシュ成形用モールドを予め加熱しておき、そ
の底部内面にビニル樹脂プラスチゾル(ポリ塩化ビニル
ペーストレジン:100重量部、可塑剤ヂオクチルフタ
レート:30重量部、可塑剤ヂオクチルアヂペート:2
0重量部、安定剤:3重量部、着色剤:1重量部)を注
入してゲル化させ、さらにビニル樹脂プラスチゾル(塩
化ビニル酢酸ビニルコポリマーペーストレジン:100
重量部、可塑剤ヂオクチルフタレート:45重量部、可
塑剤ヂオクチルアヂペート:30重量部、安定剤:3重
量部、着色剤:1重量部)を所要高さまで注入し、所要
厚さに型内面に層着ゲル化せしめ、余剰の未ゲル化プラ
スチゾルを完全に排出して層着ゲル化層を完全に溶融す
る技術が提案されている。これは、靴底部にはポリ塩化
ビニル樹脂を混合するプラスチゾルの加熱ゲル化物を用
いるとともに靴底部を除くその他の靴本体にはコポリマ
ー樹脂を混合するプラスチゾルの加熱ゲル化物を用い、
2回注入を行って2層からなるスラッシュ成形靴を製造
する基本技術である。
は、スラッシュ成形用モールドを予め加熱しておき、そ
の底部内面にビニル樹脂プラスチゾル(ポリ塩化ビニル
ペーストレジン:100重量部、可塑剤ヂオクチルフタ
レート:30重量部、可塑剤ヂオクチルアヂペート:2
0重量部、安定剤:3重量部、着色剤:1重量部)を注
入してゲル化させ、さらにビニル樹脂プラスチゾル(塩
化ビニル酢酸ビニルコポリマーペーストレジン:100
重量部、可塑剤ヂオクチルフタレート:45重量部、可
塑剤ヂオクチルアヂペート:30重量部、安定剤:3重
量部、着色剤:1重量部)を所要高さまで注入し、所要
厚さに型内面に層着ゲル化せしめ、余剰の未ゲル化プラ
スチゾルを完全に排出して層着ゲル化層を完全に溶融す
る技術が提案されている。これは、靴底部にはポリ塩化
ビニル樹脂を混合するプラスチゾルの加熱ゲル化物を用
いるとともに靴底部を除くその他の靴本体にはコポリマ
ー樹脂を混合するプラスチゾルの加熱ゲル化物を用い、
2回注入を行って2層からなるスラッシュ成形靴を製造
する基本技術である。
【0009】従来のこのような2層スラッシュ成形靴の
製造方法によれば、靴本体のうちの靴底の全部または一
部と靴本体のうちのその他の部分とに異なる材料を用い
ることができるようになり、それぞれの材料を適宜選定
することにより、例えば靴底の強度、耐摩耗性、耐油耐
薬品性、耐シガレット性(耐熱性)および防滑性、さら
には靴底以外のその他の部分の硬度、強度および柔軟性
といった靴としての総合特性が優れた多層よりなるスラ
ッシュ成形靴を製造できるようになった。
製造方法によれば、靴本体のうちの靴底の全部または一
部と靴本体のうちのその他の部分とに異なる材料を用い
ることができるようになり、それぞれの材料を適宜選定
することにより、例えば靴底の強度、耐摩耗性、耐油耐
薬品性、耐シガレット性(耐熱性)および防滑性、さら
には靴底以外のその他の部分の硬度、強度および柔軟性
といった靴としての総合特性が優れた多層よりなるスラ
ッシュ成形靴を製造できるようになった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らが
さらに検討を重ねた結果、従来のスラッシュ成形靴で
は、そのスラッシュ成形過程において、第1層を注入し
て加熱することにより第1層を半ゲル化してから第2層
を注入して加熱することにより第2層を半ゲル化成膜さ
せ未ゲル化プラスチゾルを排出した後、踵部に踵用のプ
ラスチゾルを注入しさらに加熱して皮膜をゲル化させる
ため、踵用のプラスチゾルを注入した時に加熱した熱が
踵に伝導・吸収されて第1層,第2層のゲル化がともに
不十分になり、物性面および接着面の両面で問題とな
る。
さらに検討を重ねた結果、従来のスラッシュ成形靴で
は、そのスラッシュ成形過程において、第1層を注入し
て加熱することにより第1層を半ゲル化してから第2層
を注入して加熱することにより第2層を半ゲル化成膜さ
せ未ゲル化プラスチゾルを排出した後、踵部に踵用のプ
ラスチゾルを注入しさらに加熱して皮膜をゲル化させる
ため、踵用のプラスチゾルを注入した時に加熱した熱が
踵に伝導・吸収されて第1層,第2層のゲル化がともに
不十分になり、物性面および接着面の両面で問題とな
る。
【0011】本発明はかかる従来の技術の問題に鑑みて
なされたものであり、多層よりなるスラッシュ成形靴に
おいて、靴底以外の靴本体が適当な硬度、強度および柔
軟性を維持するとともに、靴底の強度、耐摩耗性、耐シ
ガレット性(耐熱変形性)および耐油耐薬品性、さらに
はこれらに加えて防滑性を維持したまま、スラッシュ成
形靴の第1層のうちの踵部とこれに接する第2層との間
のゲル化性および密着強度を向上したスラッシュ成形靴
およびその製造法を提供しようとするものである。
なされたものであり、多層よりなるスラッシュ成形靴に
おいて、靴底以外の靴本体が適当な硬度、強度および柔
軟性を維持するとともに、靴底の強度、耐摩耗性、耐シ
ガレット性(耐熱変形性)および耐油耐薬品性、さらに
はこれらに加えて防滑性を維持したまま、スラッシュ成
形靴の第1層のうちの踵部とこれに接する第2層との間
のゲル化性および密着強度を向上したスラッシュ成形靴
およびその製造法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、本発明にかかる多層よりなるスラッシュ成形靴は、
靴本体のうちの靴底の全部または一部が着色透明性を有
するコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルを、モール
ドの底部を当該プラスチゾルが増粘するかまたはゲル化
が進行する温度以上に加熱・昇温した状態でモールド底
部内面の全面を覆うように付着させた加熱ゲル化物から
なり、靴本体のうちのその他の部分がポリ塩化ビニル樹
脂またはコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルの加熱
ゲル化物からなることを特徴とするものである。
め、本発明にかかる多層よりなるスラッシュ成形靴は、
靴本体のうちの靴底の全部または一部が着色透明性を有
するコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルを、モール
ドの底部を当該プラスチゾルが増粘するかまたはゲル化
が進行する温度以上に加熱・昇温した状態でモールド底
部内面の全面を覆うように付着させた加熱ゲル化物から
なり、靴本体のうちのその他の部分がポリ塩化ビニル樹
脂またはコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルの加熱
ゲル化物からなることを特徴とするものである。
【0013】上記の本発明にかかる多層よりなるスラッ
シュ成形靴では、靴底の全部または一部を構成する着色
透明性を有するプラスチゾルはさらに防滑素材を混合す
ること、および/または、前記加熱ゲル化物は、前記モ
ールドを爪先側と踵側との少なくともいずれか一方側に
少なくとも1回以上傾斜させて形成したものであること
が望ましい。
シュ成形靴では、靴底の全部または一部を構成する着色
透明性を有するプラスチゾルはさらに防滑素材を混合す
ること、および/または、前記加熱ゲル化物は、前記モ
ールドを爪先側と踵側との少なくともいずれか一方側に
少なくとも1回以上傾斜させて形成したものであること
が望ましい。
【0014】また、本発明にかかるスラッシュ成形靴の
製造法は、 スラッシュ成形用モールドの底部内面の全部または一
部を覆うようにコポリマー樹脂を混合したプラスチゾル
を注入して当該プラスチゾルが増粘するかまたはゲル化
が進行する温度以上に加熱・昇温することにより前記底
部内面の全部または一部に半ゲル化状態の第一層を形成
する第一工程と、前記スラッシュ成形用モールドの上端
開口部またはその近傍までポリ塩化ビニル樹脂またはコ
ポリマー樹脂を混合したプラスチゾルを注入して加熱す
ることにより前記第一層の表面および前記スラッシュ成
形用モールドの内面に半ゲル化状態の第二層を形成する
第二工程と、前記スラッシュ成形用モールドの内面に残
存する未ゲル化状態のポリ塩化ビニル樹脂またはコポリ
マー樹脂を混合したプラスチゾルの排出を行ってから加
熱することにより前記第一層および第二層をともにゲル
化させる第三工程とを有すること、 スラッシュ成形用モールドの底部内面にコポリマー樹
脂を混合したプラスチゾルを靴底部の成形に必要な量だ
け注入した後、前記スラッシュ成形用モールドの底部を
当該プラスチゾルが増粘するかまたはゲル化が進行する
温度以上に加熱・昇温した状態で爪先側と踵側との少な
くともいずれか一方側に少なくとも1回以上、好ましく
は前後に数回以上傾斜させて加熱ゲル化物を前記スラッ
シュ成形用モールドの底部内面の全部を覆うように付着
させた後、ポリ塩化ビニル樹脂またはコポリマー樹脂を
混合したプラスチゾルの靴本体をスラッシュ成形するよ
うにしたこと、 スラッシュ成形用モールドの底部を当該プラスチゾル
が増粘するかまたはゲル化が進行する温度以上に加熱・
昇温した状態として当該スラッシュ成形用モールドの底
部内面にコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルを靴底
部の成形に必要な量だけ注入した後、このスラッシュ成
形用モールドの底部を加熱しながら爪先側と踵側との少
なくともいずれか一方側に少なくとも1回以上、好まし
くは前後に数回以上傾斜させて加熱ゲル化物を前記底部
内面の全面を覆うように付着させた後、ポリ塩化ビニル
樹脂またはコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルの靴
本体をスラッシュ成形するようにしたこと、を特徴とす
るものであり、上記の本発明にかかる多層よりなるスラ
ッシュ成形靴の製造法では、前記靴底部を構成するコポ
リマー樹脂を混合したプラスチゾルはさらに防滑素材を
混合すること、および/または、前記靴底部を構成する
コポリマー樹脂を混合したプラスチゾルは着色透明性を
有することが望ましい。
製造法は、 スラッシュ成形用モールドの底部内面の全部または一
部を覆うようにコポリマー樹脂を混合したプラスチゾル
を注入して当該プラスチゾルが増粘するかまたはゲル化
が進行する温度以上に加熱・昇温することにより前記底
部内面の全部または一部に半ゲル化状態の第一層を形成
する第一工程と、前記スラッシュ成形用モールドの上端
開口部またはその近傍までポリ塩化ビニル樹脂またはコ
ポリマー樹脂を混合したプラスチゾルを注入して加熱す
ることにより前記第一層の表面および前記スラッシュ成
形用モールドの内面に半ゲル化状態の第二層を形成する
第二工程と、前記スラッシュ成形用モールドの内面に残
存する未ゲル化状態のポリ塩化ビニル樹脂またはコポリ
マー樹脂を混合したプラスチゾルの排出を行ってから加
熱することにより前記第一層および第二層をともにゲル
化させる第三工程とを有すること、 スラッシュ成形用モールドの底部内面にコポリマー樹
脂を混合したプラスチゾルを靴底部の成形に必要な量だ
け注入した後、前記スラッシュ成形用モールドの底部を
当該プラスチゾルが増粘するかまたはゲル化が進行する
温度以上に加熱・昇温した状態で爪先側と踵側との少な
くともいずれか一方側に少なくとも1回以上、好ましく
は前後に数回以上傾斜させて加熱ゲル化物を前記スラッ
シュ成形用モールドの底部内面の全部を覆うように付着
させた後、ポリ塩化ビニル樹脂またはコポリマー樹脂を
混合したプラスチゾルの靴本体をスラッシュ成形するよ
うにしたこと、 スラッシュ成形用モールドの底部を当該プラスチゾル
が増粘するかまたはゲル化が進行する温度以上に加熱・
昇温した状態として当該スラッシュ成形用モールドの底
部内面にコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルを靴底
部の成形に必要な量だけ注入した後、このスラッシュ成
形用モールドの底部を加熱しながら爪先側と踵側との少
なくともいずれか一方側に少なくとも1回以上、好まし
くは前後に数回以上傾斜させて加熱ゲル化物を前記底部
内面の全面を覆うように付着させた後、ポリ塩化ビニル
樹脂またはコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルの靴
本体をスラッシュ成形するようにしたこと、を特徴とす
るものであり、上記の本発明にかかる多層よりなるスラ
ッシュ成形靴の製造法では、前記靴底部を構成するコポ
リマー樹脂を混合したプラスチゾルはさらに防滑素材を
混合すること、および/または、前記靴底部を構成する
コポリマー樹脂を混合したプラスチゾルは着色透明性を
有することが望ましい。
【0015】
【作用】以下、本発明にかかるスラッシュ成形靴および
その製造法を作用効果とともに詳細に説明する。
その製造法を作用効果とともに詳細に説明する。
【0016】本発明にかかるスラッシュ成形靴の靴底に
おいて用いるコポリマー樹脂は、塩化ビニルモノマーと
コモノマーとを共重合して得られる樹脂であり、具体的
には、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビ
ニル−塩化ビニリデンコポリマー樹脂、塩化ビニル−プ
ロピレンコポリマー樹脂さらには塩化ビニル−エチレン
コポリマー樹脂等を例示することができる。このような
コポリマー樹脂は従来から用いられている通常のストレ
ート樹脂(例えばポリ塩化ビニル樹脂)に比較すると、
より低温域でゲル化溶融する特性がある。
おいて用いるコポリマー樹脂は、塩化ビニルモノマーと
コモノマーとを共重合して得られる樹脂であり、具体的
には、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビ
ニル−塩化ビニリデンコポリマー樹脂、塩化ビニル−プ
ロピレンコポリマー樹脂さらには塩化ビニル−エチレン
コポリマー樹脂等を例示することができる。このような
コポリマー樹脂は従来から用いられている通常のストレ
ート樹脂(例えばポリ塩化ビニル樹脂)に比較すると、
より低温域でゲル化溶融する特性がある。
【0017】コポリマー樹脂を混合したプラスチゾルの
組成例は、コポリマー樹脂:100〜20重量部、可塑
剤:80〜120重量部、安定剤:2〜3重量部、顔
料:0〜2重量部である。
組成例は、コポリマー樹脂:100〜20重量部、可塑
剤:80〜120重量部、安定剤:2〜3重量部、顔
料:0〜2重量部である。
【0018】可塑剤としては、DOP等のフタル酸エス
テル系可塑剤の他アジピン酸エステル系、ポリエステル
系、エポキシ系等の各可塑剤を使用することができる。
テル系可塑剤の他アジピン酸エステル系、ポリエステル
系、エポキシ系等の各可塑剤を使用することができる。
【0019】安定剤としては、ジフチルチンジラウレー
ト等の錫ラウレート系安定剤、ジプチルチンジマレート
等の錫マレート系安定剤の他錫メルカプト系、Ba系、
Zn系、Ca系およびこれらの複合体等の各安定剤を使
用することができる。
ト等の錫ラウレート系安定剤、ジプチルチンジマレート
等の錫マレート系安定剤の他錫メルカプト系、Ba系、
Zn系、Ca系およびこれらの複合体等の各安定剤を使
用することができる。
【0020】本発明にかかるスラッシュ成形靴の靴本体
のうちの靴底を除くその他の部分は、従来から用いられ
ている通常のポリ塩化ビニル樹脂または上述のコポリマ
ー樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物により構
成されるため、従来のスラッシュ成形靴が有する硬度、
強度さらには柔軟性がいずれも変化しない。
のうちの靴底を除くその他の部分は、従来から用いられ
ている通常のポリ塩化ビニル樹脂または上述のコポリマ
ー樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物により構
成されるため、従来のスラッシュ成形靴が有する硬度、
強度さらには柔軟性がいずれも変化しない。
【0021】このようなポリ塩化ビニル樹脂を混合した
プラスチゾルの組成例は、ポリ塩化ビニルペーストレジ
ン:100重量部、可塑剤:80〜100重量部、安定
剤:2〜3重量部、顔料:1〜2重量部である。
プラスチゾルの組成例は、ポリ塩化ビニルペーストレジ
ン:100重量部、可塑剤:80〜100重量部、安定
剤:2〜3重量部、顔料:1〜2重量部である。
【0022】本発明にかかるスラッシュ成形靴では、靴
底にコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルを用いてい
るため、その製造に際して靴底に相当する第1層のゲル
化性が向上する。さらに加熱を続けて第2層のキュアー
温度まで昇温することにより、第1層と第2層との界面
の密着強度が増し、靴底とこれに接する靴本体との間で
の界面剥離が発生しない。
底にコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルを用いてい
るため、その製造に際して靴底に相当する第1層のゲル
化性が向上する。さらに加熱を続けて第2層のキュアー
温度まで昇温することにより、第1層と第2層との界面
の密着強度が増し、靴底とこれに接する靴本体との間で
の界面剥離が発生しない。
【0023】換言すれば、第1層のうちの特に踵部が加
熱されると、この踵部は容量が大きいために供給された
熱は直ちに熱容量が大きい第2層側さらに踵へと熱伝導
されるため、第1層および第2層ともにゲル化し難くな
る。
熱されると、この踵部は容量が大きいために供給された
熱は直ちに熱容量が大きい第2層側さらに踵へと熱伝導
されるため、第1層および第2層ともにゲル化し難くな
る。
【0024】第1層にストレートのポリ塩化ビニル樹脂
を使用すると、たとえ第2層にコポリマー樹脂を使用し
ても第1層のゲル化が進行し難く、物性,耐摩耗性およ
び接着力がいずれも低下する。しかし、第1層にコポリ
マー樹脂を使用すると、ゲル化性が良いこと,外側から
加熱されるため熱を受け易いことから、たとえ第2層に
ストレートのポリ塩化ビニル樹脂を使用しても、物性,
耐摩耗性および接着力がいずれも顕著に向上する。
を使用すると、たとえ第2層にコポリマー樹脂を使用し
ても第1層のゲル化が進行し難く、物性,耐摩耗性およ
び接着力がいずれも低下する。しかし、第1層にコポリ
マー樹脂を使用すると、ゲル化性が良いこと,外側から
加熱されるため熱を受け易いことから、たとえ第2層に
ストレートのポリ塩化ビニル樹脂を使用しても、物性,
耐摩耗性および接着力がいずれも顕著に向上する。
【0025】したがって、靴本体にポリ塩化ビニル樹脂
を用い靴底にポリ塩化ビニル樹脂を用いるか、または、
靴本体にコポリマー樹脂を用い靴底にポリ塩化ビニル樹
脂を用いると、第1層をその溶融温度まで上昇させて靴
底の物性,耐摩耗性,靴底と靴本体との間の接着力を確
保するために適宜手段(例えば踵部分の加熱温度制御を
正確に行う)により第1層をその溶融温度に達するよう
にコントロールする必要があったが、第1層にコポリマ
ー樹脂を使用することにより第1層のゲル化・溶融温度
が低下し同じ加熱条件であっても容易かつ確実に第1層
の溶融温度に達するため、前述のような温度コントロー
ルを行う必要なく第2層の加熱・ゲル化を行うことがで
きるようになり、第1層および第2層の間の密着強度を
確実に維持できるようになる。
を用い靴底にポリ塩化ビニル樹脂を用いるか、または、
靴本体にコポリマー樹脂を用い靴底にポリ塩化ビニル樹
脂を用いると、第1層をその溶融温度まで上昇させて靴
底の物性,耐摩耗性,靴底と靴本体との間の接着力を確
保するために適宜手段(例えば踵部分の加熱温度制御を
正確に行う)により第1層をその溶融温度に達するよう
にコントロールする必要があったが、第1層にコポリマ
ー樹脂を使用することにより第1層のゲル化・溶融温度
が低下し同じ加熱条件であっても容易かつ確実に第1層
の溶融温度に達するため、前述のような温度コントロー
ルを行う必要なく第2層の加熱・ゲル化を行うことがで
きるようになり、第1層および第2層の間の密着強度を
確実に維持できるようになる。
【0026】本発明にかかるスラッシュ成形靴は、靴底
にコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化
物を使用しており、ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラ
スチゾルの加熱ゲル化物に比較すると加熱ゲル化物の硬
度が低下するために靴底が柔軟性を有し、路面捕捉力の
大きな防滑性に優れた靴を製造することができる。
にコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化
物を使用しており、ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラ
スチゾルの加熱ゲル化物に比較すると加熱ゲル化物の硬
度が低下するために靴底が柔軟性を有し、路面捕捉力の
大きな防滑性に優れた靴を製造することができる。
【0027】なお、本発明にかかるスラッシュ成形靴で
は、靴底部である第1層にコポリマー樹脂を使用するだ
けでなく、靴本体である第2層にコポリマー樹脂を混合
したプラスチゾルを用いることも可能であり、こうする
ことによっても第1層のうちの踵部とこれに接する第2
層との間のゲル化性,密着性を向上することができるよ
うになる。しかし、コポリマー樹脂はポリ塩化ビニル樹
脂に比較すると増粘し易いため、第2層の余剰分として
回収再利用しようとすると再利用するまでの間に増粘
し、厚みの安定性やピンホールの発生等の問題が発生す
る。これらの問題を解消するために製造コストが上昇
し、スラッシュ成形靴の長所である量産性を阻害するお
それがある。そのため、第1層と第2層との間の接着
性、作業性、品質の安定さらには価格等の観点から靴本
体である第2層にはポリ塩化ビニル樹脂を用いコポリマ
ー樹脂を用いないことが望ましい。
は、靴底部である第1層にコポリマー樹脂を使用するだ
けでなく、靴本体である第2層にコポリマー樹脂を混合
したプラスチゾルを用いることも可能であり、こうする
ことによっても第1層のうちの踵部とこれに接する第2
層との間のゲル化性,密着性を向上することができるよ
うになる。しかし、コポリマー樹脂はポリ塩化ビニル樹
脂に比較すると増粘し易いため、第2層の余剰分として
回収再利用しようとすると再利用するまでの間に増粘
し、厚みの安定性やピンホールの発生等の問題が発生す
る。これらの問題を解消するために製造コストが上昇
し、スラッシュ成形靴の長所である量産性を阻害するお
それがある。そのため、第1層と第2層との間の接着
性、作業性、品質の安定さらには価格等の観点から靴本
体である第2層にはポリ塩化ビニル樹脂を用いコポリマ
ー樹脂を用いないことが望ましい。
【0028】本発明にかかるスラッシュ成形靴では、靴
底の原料となるコポリマー樹脂を混合したプラスチゾル
に、必要に応じて、さらに防滑素材を混合しておくこと
により、靴底の防滑性を向上することができる。防滑素
材は一般に有色かつ不溶性な物であるため、靴本体のう
ちの靴底以外の部分に混入すると異物として認識されて
外観品質が著しく劣下してしまうが、本発明では靴底に
だけ混合するため、外観品質を劣下させることなく靴底
に防滑作用を付与することができる。むしろ、防滑素材
を混合することにより靴底に確実に付与できる防滑性を
視覚に訴えることができるため、降雪地等で販売される
スラッシュ成形靴の商品性を向上することもできる。
底の原料となるコポリマー樹脂を混合したプラスチゾル
に、必要に応じて、さらに防滑素材を混合しておくこと
により、靴底の防滑性を向上することができる。防滑素
材は一般に有色かつ不溶性な物であるため、靴本体のう
ちの靴底以外の部分に混入すると異物として認識されて
外観品質が著しく劣下してしまうが、本発明では靴底に
だけ混合するため、外観品質を劣下させることなく靴底
に防滑作用を付与することができる。むしろ、防滑素材
を混合することにより靴底に確実に付与できる防滑性を
視覚に訴えることができるため、降雪地等で販売される
スラッシュ成形靴の商品性を向上することもできる。
【0029】防滑素材の具体例としては、綿、スフ(ス
テープルファイバー)、レーヨン、アクリル、ビニロ
ン、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタンさらにはガ
ラス繊維等の繊維であって太さが50デニール以下、長
さが3.0mm以下の比較的細くて短い繊維や、皮粉末
や、鉄、アルミニウム等の金属粉末や、アルミナ粉末、
セラミック粉末や、NBR等の合成ゴム、架橋樹脂、ア
クリル樹脂、ウレタン樹脂等の不溶性の粉末である。な
お、粉末の防滑素材は、大きさ30メッシュ以下、望ま
しくは100メッシュ以下である。
テープルファイバー)、レーヨン、アクリル、ビニロ
ン、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタンさらにはガ
ラス繊維等の繊維であって太さが50デニール以下、長
さが3.0mm以下の比較的細くて短い繊維や、皮粉末
や、鉄、アルミニウム等の金属粉末や、アルミナ粉末、
セラミック粉末や、NBR等の合成ゴム、架橋樹脂、ア
クリル樹脂、ウレタン樹脂等の不溶性の粉末である。な
お、粉末の防滑素材は、大きさ30メッシュ以下、望ま
しくは100メッシュ以下である。
【0030】なお、靴底を構成するコポリマー樹脂を混
合したプラスチゾル、靴本体を構成するポリ塩化ビニル
樹脂またはコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルとも
に同色、例えば黒色としておけば、靴底および靴本体の
接合部が目立たなくなり外観品質が向上するが、さら
に、本発明のスラッシュ成形靴では、靴底の原料となる
コポリマー樹脂を混合したプラスチゾルを着色透明性を
有するようにしたので、スラッシュ成形によりスラッシ
ュ成形用モールド内に1回目に注入した際のモールド内
面への跳ね返りや振動によりモールド内面への付着があ
っても、後続して行われる加熱ゲル化までに自然に流れ
落ちて薄膜になった際に樹脂が着色透明性を有すること
から目立たなくなって、製品段階において1回目注入に
よる跳ね返り跡を目立たなくすることができる。したが
って、跳ね返りに伴う手直工程を省略することができ、
量産性を要求されるスラッシュ成形靴として望ましい。
なお、靴底部に透明性のあるコポリマー樹脂を混合した
プラスチゾルを用いるため、ゴムのクレープやスモーク
の色相に近似させることによりゴムによく似た高品位の
靴底にすることもでき、より商品性を向上することもで
きる。
合したプラスチゾル、靴本体を構成するポリ塩化ビニル
樹脂またはコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルとも
に同色、例えば黒色としておけば、靴底および靴本体の
接合部が目立たなくなり外観品質が向上するが、さら
に、本発明のスラッシュ成形靴では、靴底の原料となる
コポリマー樹脂を混合したプラスチゾルを着色透明性を
有するようにしたので、スラッシュ成形によりスラッシ
ュ成形用モールド内に1回目に注入した際のモールド内
面への跳ね返りや振動によりモールド内面への付着があ
っても、後続して行われる加熱ゲル化までに自然に流れ
落ちて薄膜になった際に樹脂が着色透明性を有すること
から目立たなくなって、製品段階において1回目注入に
よる跳ね返り跡を目立たなくすることができる。したが
って、跳ね返りに伴う手直工程を省略することができ、
量産性を要求されるスラッシュ成形靴として望ましい。
なお、靴底部に透明性のあるコポリマー樹脂を混合した
プラスチゾルを用いるため、ゴムのクレープやスモーク
の色相に近似させることによりゴムによく似た高品位の
靴底にすることもでき、より商品性を向上することもで
きる。
【0031】コポリマー樹脂を混合したプラスチゾルに
着色透明性を付与するには、通常の場合にコポリマー樹
脂:100重量部に対して1〜2重量部程度使用する顔
料(ペースト状顔料やマスターバッチの場合は顔料と混
合してある樹脂や可塑剤の量は含まない。)を、0〜
0.2重量部、より望ましくは0.02〜0.1重量部
に低減する。
着色透明性を付与するには、通常の場合にコポリマー樹
脂:100重量部に対して1〜2重量部程度使用する顔
料(ペースト状顔料やマスターバッチの場合は顔料と混
合してある樹脂や可塑剤の量は含まない。)を、0〜
0.2重量部、より望ましくは0.02〜0.1重量部
に低減する。
【0032】本発明にかかるスラッシュ成形靴は、ヒー
ル部や踏み付け部等の靴底の一部に凹凸状意匠が存在す
る場合は靴底の凸状意匠部は厚さがより増すことにな
る。接地部である靴底の凸状意匠部の高さ(厚み)が大
であれば、履用することによりその凸状意匠部が磨滅・
磨耗して、靴底ベース厚部まで到達するのに長時間を要
するため、長時間を要した分だけ防滑性向上等の効果の
持続期間が長くなることとなり、より望ましい。
ル部や踏み付け部等の靴底の一部に凹凸状意匠が存在す
る場合は靴底の凸状意匠部は厚さがより増すことにな
る。接地部である靴底の凸状意匠部の高さ(厚み)が大
であれば、履用することによりその凸状意匠部が磨滅・
磨耗して、靴底ベース厚部まで到達するのに長時間を要
するため、長時間を要した分だけ防滑性向上等の効果の
持続期間が長くなることとなり、より望ましい。
【0033】次に、本発明にかかるスラッシュ成形靴の
製造法には、前述の(請求項4)、(請求項5)、
(請求項6)の3法がある。以下、これらの本発明に
かかるスラッシュ成形靴の製造法を順次詳細に説明す
る。
製造法には、前述の(請求項4)、(請求項5)、
(請求項6)の3法がある。以下、これらの本発明に
かかるスラッシュ成形靴の製造法を順次詳細に説明す
る。
【0034】 (1)製造法(請求項4記載の製造法) この製造法は、本発明にかかるスラッシュ成形靴を製造
する場合の基本的なものである。図1は、スラッシュ成
形用モールドの内部に形成された本発明にかかるスラッ
シュ成形靴の垂直断面図である。本発明の製造法では、
第一工程として、同図に示すように、スラッシュ成形用
モールド1の底部内面の全部または一部を覆うようにコ
ポリマー樹脂を混合したプラスチゾル、ないしは防滑素
材を混合すること、および/または着色透明性を有する
ことをさらに備えたプラスチゾルを注入して加熱するこ
とによりスラッシュ成形用モールド1の底部内面の全部
または一部に半ゲル化状態の第一層2を形成する。な
お、このプラスチゾルを加熱・昇温する状態について
は、後で詳細に説明する。
する場合の基本的なものである。図1は、スラッシュ成
形用モールドの内部に形成された本発明にかかるスラッ
シュ成形靴の垂直断面図である。本発明の製造法では、
第一工程として、同図に示すように、スラッシュ成形用
モールド1の底部内面の全部または一部を覆うようにコ
ポリマー樹脂を混合したプラスチゾル、ないしは防滑素
材を混合すること、および/または着色透明性を有する
ことをさらに備えたプラスチゾルを注入して加熱するこ
とによりスラッシュ成形用モールド1の底部内面の全部
または一部に半ゲル化状態の第一層2を形成する。な
お、このプラスチゾルを加熱・昇温する状態について
は、後で詳細に説明する。
【0035】なお、以降に説明する製造法および製造
法においても、靴底部を構成するコポリマー樹脂を混
合するプラスチゾルは、必要に応じて、防滑素材を混合
すること、および/または着色透明性を有することを備
える。これらの効果は前述した通りである。
法においても、靴底部を構成するコポリマー樹脂を混
合するプラスチゾルは、必要に応じて、防滑素材を混合
すること、および/または着色透明性を有することを備
える。これらの効果は前述した通りである。
【0036】図1に示す実施例では、靴底の前端側であ
る爪先6c側と後端側である踵6b側とに注入し、靴底
の中央である不踏部6d側には注入しないが、靴底の全
面に注入してもよく、これは製造する靴の靴底に要求す
る機能や製造コスト等に応じて適宜決定する。靴底の全
面に注入する手段については製造法ないし製造法 を
説明する際に詳述する。
る爪先6c側と後端側である踵6b側とに注入し、靴底
の中央である不踏部6d側には注入しないが、靴底の全
面に注入してもよく、これは製造する靴の靴底に要求す
る機能や製造コスト等に応じて適宜決定する。靴底の全
面に注入する手段については製造法ないし製造法 を
説明する際に詳述する。
【0037】注入は従来の手段と同様でよく、例えば、
注入ノズルをスラッシュ成形用モールド1の底部内面に
向けて配置し、適宜圧力をかけて注入する。注入の際に
スラッシュ成形用モールド1の内面に跳ね返り等の汚れ
がないように留意しながら注入圧力を調整するが、注入
するコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルが着色して
あっても透明性を有する場合には、第二層3の色を濃く
することによってスラッシュ成形用モールド1の内面に
付着があっても手直しを行わなくとも比較的目立たず自
然に仕上がる。
注入ノズルをスラッシュ成形用モールド1の底部内面に
向けて配置し、適宜圧力をかけて注入する。注入の際に
スラッシュ成形用モールド1の内面に跳ね返り等の汚れ
がないように留意しながら注入圧力を調整するが、注入
するコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルが着色して
あっても透明性を有する場合には、第二層3の色を濃く
することによってスラッシュ成形用モールド1の内面に
付着があっても手直しを行わなくとも比較的目立たず自
然に仕上がる。
【0038】注入後の加熱時間は従来と同様でよく、形
成する靴底の厚さに応じて適宜調整する。
成する靴底の厚さに応じて適宜調整する。
【0039】本発明では、加熱により半ゲル化状態の第
一層2を形成した後、第二工程として、スラッシュ成形
用モールド1の上端開口部またはその近傍までポリ塩化
ビニル樹脂またはコポリマー樹脂を混合したプラスチゾ
ルを注入して加熱することにより第一層2の表面および
スラッシュ成形用モールド1の内面に半ゲル化状態の第
二層3を形成する。
一層2を形成した後、第二工程として、スラッシュ成形
用モールド1の上端開口部またはその近傍までポリ塩化
ビニル樹脂またはコポリマー樹脂を混合したプラスチゾ
ルを注入して加熱することにより第一層2の表面および
スラッシュ成形用モールド1の内面に半ゲル化状態の第
二層3を形成する。
【0040】ポリ塩化ビニル樹脂またはコポリマー樹脂
を混合した靴本体を構成するプラスチゾルを注入する高
さは、製品として必要な高さに応じて適宜決定する。ま
た、注入後の加熱時間も従来と同様でよく、形成する靴
本体の厚さに応じて適宜調整する。
を混合した靴本体を構成するプラスチゾルを注入する高
さは、製品として必要な高さに応じて適宜決定する。ま
た、注入後の加熱時間も従来と同様でよく、形成する靴
本体の厚さに応じて適宜調整する。
【0041】この第二工程終了後に、第三工程として、
スラッシュ成形用モールド1の内面に残存する未ゲル化
状態のポリ塩化ビニル樹脂またはコポリマー樹脂を混合
したプラスチゾルの排出を行ってから、必要に応じてヒ
ール部にヒール用プラスチゾルを注入した後、充分に加
熱することにより第一層2、第二層3およびヒール部4
をゲル化させる。
スラッシュ成形用モールド1の内面に残存する未ゲル化
状態のポリ塩化ビニル樹脂またはコポリマー樹脂を混合
したプラスチゾルの排出を行ってから、必要に応じてヒ
ール部にヒール用プラスチゾルを注入した後、充分に加
熱することにより第一層2、第二層3およびヒール部4
をゲル化させる。
【0042】未ゲル化状態のコポリマー樹脂を混合した
プラスチゾルの排出、およびその後の加熱は公知の手段
で行う。
プラスチゾルの排出、およびその後の加熱は公知の手段
で行う。
【0043】このようにしてスラッシュ成形靴のスキン
5が形成されるため、冷却・脱型後にこのスキン5にイ
ンナーブーツと中底やファスナー等の部品とを縫製・接
着等により組み付け、塗装を行って最終製品とする。
5が形成されるため、冷却・脱型後にこのスキン5にイ
ンナーブーツと中底やファスナー等の部品とを縫製・接
着等により組み付け、塗装を行って最終製品とする。
【0044】以上のようにして、請求項4記載の製造法
により、第一層2と第二層3との密着強度を充分に有
し、靴本体であるスキン5のうちの靴底以外の部分が適
当な硬度、強度および柔軟性を確保したまま、靴本体の
うちの靴底の強度、耐摩耗性、耐シガレット性(耐熱
性)および耐油耐薬品性、さらにはこれらに加えて防滑
性等の靴底部分の諸機能の総合的な向上が図られたスラ
ッシュ成形靴を製造できる。
により、第一層2と第二層3との密着強度を充分に有
し、靴本体であるスキン5のうちの靴底以外の部分が適
当な硬度、強度および柔軟性を確保したまま、靴本体の
うちの靴底の強度、耐摩耗性、耐シガレット性(耐熱
性)および耐油耐薬品性、さらにはこれらに加えて防滑
性等の靴底部分の諸機能の総合的な向上が図られたスラ
ッシュ成形靴を製造できる。
【0045】ところで、この請求項4記載のスラッシュ
成形靴の製造法によりスラッシュ成形靴を製造すると、
図1に示すように、靴底の踏付部6a、踵部6bと爪先
部6c、不踏部6dとの高さが異なるために靴底各部6
aないし6dの厚さが不均一になり易く、靴が重くなっ
たり履き心地が低下してしまう。このような靴底部分の
厚さの不均一を防止できるスラッシュ成形靴の製造法
を、以下に分説する。
成形靴の製造法によりスラッシュ成形靴を製造すると、
図1に示すように、靴底の踏付部6a、踵部6bと爪先
部6c、不踏部6dとの高さが異なるために靴底各部6
aないし6dの厚さが不均一になり易く、靴が重くなっ
たり履き心地が低下してしまう。このような靴底部分の
厚さの不均一を防止できるスラッシュ成形靴の製造法
を、以下に分説する。
【0046】(2)製造法(請求項5記載の製造法)
および製造法(請求項6記載の製造法) 図2は、製造法を2層スラッシュ成形靴の製造に適用
した場合の工程図である。
および製造法(請求項6記載の製造法) 図2は、製造法を2層スラッシュ成形靴の製造に適用
した場合の工程図である。
【0047】このスラッシュ成形靴の製造方法では、第
1工程として、図2(a)に示すように、スラッシュ成
形用モールド21の底部内面に靴底部用のコポリマー樹
脂を混合したプラスチゾルを靴底部22を形成するのに
必要な量だけを注入する。
1工程として、図2(a)に示すように、スラッシュ成
形用モールド21の底部内面に靴底部用のコポリマー樹
脂を混合したプラスチゾルを靴底部22を形成するのに
必要な量だけを注入する。
【0048】この靴底部用のコポリマー樹脂を混合した
プラスチゾルは、前述したコポリマー樹脂を混合したプ
ラスチゾルを使用するが、具体的組成は、スラッシュ成
形靴の靴底部22に要求される機能、例えば硬度などや
コスト等に応じて適宜決定する。たとえば好適な配合例
としては、コポリマー樹脂100重量部、可塑剤80〜
100重量部、安定剤3〜5重量部を例示することがで
きる。
プラスチゾルは、前述したコポリマー樹脂を混合したプ
ラスチゾルを使用するが、具体的組成は、スラッシュ成
形靴の靴底部22に要求される機能、例えば硬度などや
コスト等に応じて適宜決定する。たとえば好適な配合例
としては、コポリマー樹脂100重量部、可塑剤80〜
100重量部、安定剤3〜5重量部を例示することがで
きる。
【0049】可塑剤および安定剤は、前述したものと同
様である。
様である。
【0050】この後、注入されたプラスチゾルをスラッ
シュ成形用モールド21の底部内面に半ゲル化させて均
一に付着させるため、図2(a)に示すように、スラッ
シュ成形用モールド21の底部内面を加熱しながらスラ
ッシュ成形用モールド21を爪先側22bまたは踵側2
2cのいずれか片側、あるいは爪先側22bと踵側22
cの両側に少なくとも1回以上傾斜させる。この場合の
成形用モールド21の底部内面の加熱状態についても後
で詳細に説明する。
シュ成形用モールド21の底部内面に半ゲル化させて均
一に付着させるため、図2(a)に示すように、スラッ
シュ成形用モールド21の底部内面を加熱しながらスラ
ッシュ成形用モールド21を爪先側22bまたは踵側2
2cのいずれか片側、あるいは爪先側22bと踵側22
cの両側に少なくとも1回以上傾斜させる。この場合の
成形用モールド21の底部内面の加熱状態についても後
で詳細に説明する。
【0051】このようにスラッシュ成形用モールド21
を加熱しながら傾斜させることで、スラッシュ成形用モ
ールド21の底部内面に注入された液体状態のプラスチ
ゾルは、加熱によって粘度が増して半ゲル化していき、
しかもスラッシュ成形用モールド21の傾斜によって低
くなった爪先側22bに流動していくことになり、靴底
部22の形状が平面でなく、踵部22cや踏付部2d等
の接地部分が低く、爪先部22bや不踏部22eが高く
なっていても、靴底の各部22bないし22eの半ゲル
化層またはゲル化層の厚さを均一にして付着させること
ができる。
を加熱しながら傾斜させることで、スラッシュ成形用モ
ールド21の底部内面に注入された液体状態のプラスチ
ゾルは、加熱によって粘度が増して半ゲル化していき、
しかもスラッシュ成形用モールド21の傾斜によって低
くなった爪先側22bに流動していくことになり、靴底
部22の形状が平面でなく、踵部22cや踏付部2d等
の接地部分が低く、爪先部22bや不踏部22eが高く
なっていても、靴底の各部22bないし22eの半ゲル
化層またはゲル化層の厚さを均一にして付着させること
ができる。
【0052】このように本発明のスラッシュ成形靴の製
造法では、スラッシュ成形用モールドを傾斜させること
により底部内面の全部を覆うように付着させるが、ここ
で、「全部」とはスラッシュ成形用モールドの最底部に
位置する連続面の全てを意味する。すなわち、底部内面
が連続した一面により構成される図2に示すようなスラ
ッシュ成形用モールドの場合には最底部となる底部内面
の全てを意味し、一方、製品であるスラッシュ成形靴の
靴底踵部に履き心地や耐摩耗性の向上のためにヒールリ
フトや嵌め込みスパイクを後付けするための段差部を形
成する段差部が底部内面に設けられているスラッシュ成
形用モールドの場合にはこの段差部を除いた最底部とな
る底部内面の全てを意味する。なお、請求項5記載の製
造法における「全部」の意味は、後述する請求項6の製
造法における「全面」と全く同じ意味である。
造法では、スラッシュ成形用モールドを傾斜させること
により底部内面の全部を覆うように付着させるが、ここ
で、「全部」とはスラッシュ成形用モールドの最底部に
位置する連続面の全てを意味する。すなわち、底部内面
が連続した一面により構成される図2に示すようなスラ
ッシュ成形用モールドの場合には最底部となる底部内面
の全てを意味し、一方、製品であるスラッシュ成形靴の
靴底踵部に履き心地や耐摩耗性の向上のためにヒールリ
フトや嵌め込みスパイクを後付けするための段差部を形
成する段差部が底部内面に設けられているスラッシュ成
形用モールドの場合にはこの段差部を除いた最底部とな
る底部内面の全てを意味する。なお、請求項5記載の製
造法における「全部」の意味は、後述する請求項6の製
造法における「全面」と全く同じ意味である。
【0053】この靴底部22の成形工程では、スラッシ
ュ成形用モールド21の底部内面の加熱温度は、スラッ
シュ成形用モールド21に注入したプラスチゾルを増粘
させて半ゲル化またはゲル化させることができる温度と
する。
ュ成形用モールド21の底部内面の加熱温度は、スラッ
シュ成形用モールド21に注入したプラスチゾルを増粘
させて半ゲル化またはゲル化させることができる温度と
する。
【0054】本願発明のスラッシュ成形靴の製造法にお
ける加熱温度を具体的に説明すると、50℃以下である
と踵部22cや踏付部22d等の低い部分にプラスチゾ
ルが流れ落ちてしまい不踏部22e等の高い部分に全く
付着させることができなくなり、50℃超120℃未満
であると不踏部22e等の高い部分の第1層の膜厚さが
十分でない。一方、加熱温度が200℃超であると注入
されたプラスチゾルが極めて短時間でゲル化して流動性
を失ってしまい平滑な表面を得ることができなくなると
ともに、厚みが不均一になってしまう。このことから、
この工程におけるスラッシュ成形用モールド21の底部
内面の加熱温度は120℃以上200℃以下の範囲が望
ましく、より望ましくは140℃以上180℃以下であ
る。
ける加熱温度を具体的に説明すると、50℃以下である
と踵部22cや踏付部22d等の低い部分にプラスチゾ
ルが流れ落ちてしまい不踏部22e等の高い部分に全く
付着させることができなくなり、50℃超120℃未満
であると不踏部22e等の高い部分の第1層の膜厚さが
十分でない。一方、加熱温度が200℃超であると注入
されたプラスチゾルが極めて短時間でゲル化して流動性
を失ってしまい平滑な表面を得ることができなくなると
ともに、厚みが不均一になってしまう。このことから、
この工程におけるスラッシュ成形用モールド21の底部
内面の加熱温度は120℃以上200℃以下の範囲が望
ましく、より望ましくは140℃以上180℃以下であ
る。
【0055】また、スラッシュ成形用モールド21を爪
先側22bまたは踵側22cのいずれか片側に1回以上
傾斜させるか、あるいは爪先側22bと踵側22cの両
方に1回以上傾斜させるようにしているが、このスラッ
シュ成形用モールド21の傾斜は、粘度が上昇したり、
半ゲル化またはゲル化したプラスチゾルをスラッシュ成
形用モールド21の底部内面に均一に流動させるように
するためのものであり、傾斜させる側や回数は適宜選定
すればよい。
先側22bまたは踵側22cのいずれか片側に1回以上
傾斜させるか、あるいは爪先側22bと踵側22cの両
方に1回以上傾斜させるようにしているが、このスラッ
シュ成形用モールド21の傾斜は、粘度が上昇したり、
半ゲル化またはゲル化したプラスチゾルをスラッシュ成
形用モールド21の底部内面に均一に流動させるように
するためのものであり、傾斜させる側や回数は適宜選定
すればよい。
【0056】さらに、プラスチゾルのスラッシュ成形用
モールド21への注入は、例えば、注入ノズルをスラッ
シュ成形用モールド21内に挿入するようにして底部内
面に向けて適宜圧力をかけて噴射する従来の注入手段と
同様でよく、注入位置や注入ノズルからの噴射形状によ
ってその後のスラッシュ成形用モールド21の傾斜させ
る側や回数を定めるようにする。
モールド21への注入は、例えば、注入ノズルをスラッ
シュ成形用モールド21内に挿入するようにして底部内
面に向けて適宜圧力をかけて噴射する従来の注入手段と
同様でよく、注入位置や注入ノズルからの噴射形状によ
ってその後のスラッシュ成形用モールド21の傾斜させ
る側や回数を定めるようにする。
【0057】例えばスラッシュ成形用モールド21を水
平状態にしてスラッシュ成形用モールド21内に挿入し
た注入ノズルでプラスチゾルを踵部22cに注入し、ス
ラッシュ成形用モールド21の底部内面を所定温度に加
熱した状態で踵部22cから爪先側22b(22c→2
2e→22d→22b)に順に傾斜させてプラスチゾル
を流動させることにより、底部内面全体に均一に第1層
を付着させることができる。爪先側22bだけに1回傾
斜させるだけでも全体に均一な厚さに付着させることも
可能となり、さらに前後に数回傾斜を繰り返すことによ
り平均的に付着させることができる。
平状態にしてスラッシュ成形用モールド21内に挿入し
た注入ノズルでプラスチゾルを踵部22cに注入し、ス
ラッシュ成形用モールド21の底部内面を所定温度に加
熱した状態で踵部22cから爪先側22b(22c→2
2e→22d→22b)に順に傾斜させてプラスチゾル
を流動させることにより、底部内面全体に均一に第1層
を付着させることができる。爪先側22bだけに1回傾
斜させるだけでも全体に均一な厚さに付着させることも
可能となり、さらに前後に数回傾斜を繰り返すことによ
り平均的に付着させることができる。
【0058】このような靴底部22のスラッシュ成形に
よれば、靴底部22の成形に必要な量のみのプラスチゾ
ルを注入するだけであり、図2(b)に示すように、靴
底部22の厚さを均一にできるとともに、靴の外観にお
いても図2(d)に示すように靴底の形状とずれたとこ
ろに第1層22の上端22aが位置することがなく、外
観品質も良く商品価値の高い靴底部22を形成すること
ができる。
よれば、靴底部22の成形に必要な量のみのプラスチゾ
ルを注入するだけであり、図2(b)に示すように、靴
底部22の厚さを均一にできるとともに、靴の外観にお
いても図2(d)に示すように靴底の形状とずれたとこ
ろに第1層22の上端22aが位置することがなく、外
観品質も良く商品価値の高い靴底部22を形成すること
ができる。
【0059】この後、通常行われているスラッシュ成形
法と同様にして靴本体23およびヒール部(踵部)24
等がスラッシュ成形されるが、これらの工程についても
以下に簡単に説明する。
法と同様にして靴本体23およびヒール部(踵部)24
等がスラッシュ成形されるが、これらの工程についても
以下に簡単に説明する。
【0060】上記のようにしてスラッシュ成形用モール
ド21の底部内面に注入したプラスチゾルを各部22b
〜22eに均一に流動させ、加熱により増粘、半ゲル化
またはゲル化させ流動し難い状態または流動しない状態
にした後、図2(b)に示すように、靴本体用のポリ塩
化ビニル樹脂またはコポリマー樹脂を混合したプラスチ
ゾルを所定量注入し、製品の靴として必要な高さに応じ
てスラッシュ成形用モールド21の上端開口部またはそ
の近傍まで注入する。
ド21の底部内面に注入したプラスチゾルを各部22b
〜22eに均一に流動させ、加熱により増粘、半ゲル化
またはゲル化させ流動し難い状態または流動しない状態
にした後、図2(b)に示すように、靴本体用のポリ塩
化ビニル樹脂またはコポリマー樹脂を混合したプラスチ
ゾルを所定量注入し、製品の靴として必要な高さに応じ
てスラッシュ成形用モールド21の上端開口部またはそ
の近傍まで注入する。
【0061】こうしてスラッシュ成形用モールド21内
に靴本体用のポリ塩化ビニル樹脂を含有するプラスチゾ
ルを注入した後、図2(b)に示すように、スラッシュ
成形用モールド21全体を周囲から加熱することにより
第1層の靴底部22の上表面およびスラッシュ成形用モ
ールド21の内面全体に所定厚さの半ゲル化状態の第2
層23を形成する。この第2層23の厚さは、スラッシ
ュ成形用モールド21全体の加熱時間や加熱温度の調整
などによって制御される。
に靴本体用のポリ塩化ビニル樹脂を含有するプラスチゾ
ルを注入した後、図2(b)に示すように、スラッシュ
成形用モールド21全体を周囲から加熱することにより
第1層の靴底部22の上表面およびスラッシュ成形用モ
ールド21の内面全体に所定厚さの半ゲル化状態の第2
層23を形成する。この第2層23の厚さは、スラッシ
ュ成形用モールド21全体の加熱時間や加熱温度の調整
などによって制御される。
【0062】次に、スラッシュ成形用モールド21の内
面に残存する末ゲル化状態の靴本体用のポリ塩化ビニル
樹脂またはコポリマー樹脂を含有するプラスチゾルの排
出を行う。
面に残存する末ゲル化状態の靴本体用のポリ塩化ビニル
樹脂またはコポリマー樹脂を含有するプラスチゾルの排
出を行う。
【0063】次に、図2(c)に示すように、スラッシ
ュ成形用モールド21の踵部24にヒール用プラスチゾ
ルを注入し、踵部24が平坦となるようにする。
ュ成形用モールド21の踵部24にヒール用プラスチゾ
ルを注入し、踵部24が平坦となるようにする。
【0064】こうしてスラッシュ成形靴のスキン25と
して必要な靴底部22、靴本体23、踵部24へのプラ
スチゾルの注入が完了した後、図2(c)に示すよう
に、スラッシュ成形用モールド21全体を充分に加熱す
ることによりゲル化した靴底部22である第1層、靴本
体23である第2層および踵部24である第3層を完全
固化させる。
して必要な靴底部22、靴本体23、踵部24へのプラ
スチゾルの注入が完了した後、図2(c)に示すよう
に、スラッシュ成形用モールド21全体を充分に加熱す
ることによりゲル化した靴底部22である第1層、靴本
体23である第2層および踵部24である第3層を完全
固化させる。
【0065】この後、冷却してスラッシュ成形用モール
ド21から脱型することで、図2(d)に示すように、
スラッシュ成形靴のスキン25を得る。
ド21から脱型することで、図2(d)に示すように、
スラッシュ成形靴のスキン25を得る。
【0066】こうして成形されたスラッシュ成形靴のス
キン25には、裏布(インナーブーツ)や中底等の部品
が縫製・接着等により組み付けられ、さらに塗装が行な
われて最終製品に仕上げられる。
キン25には、裏布(インナーブーツ)や中底等の部品
が縫製・接着等により組み付けられ、さらに塗装が行な
われて最終製品に仕上げられる。
【0067】このような多層よりなるスラッシュ成形靴
の製造法によれば、靴底部22と靴本体23とを異なる
材料で多層スラッシュ成形靴を製造する場合に、靴底を
構成するプラスチゾルがコポリマー樹脂を有するもので
あることから靴底部22と靴本体23との密着強度が極
めて高いとともに、靴底部22の厚さを形状に沿って均
一にでき、しかも外観も靴底部22の形状と第1層等の
成形層の上端22aとを一致させた状態に成形すること
ができる。
の製造法によれば、靴底部22と靴本体23とを異なる
材料で多層スラッシュ成形靴を製造する場合に、靴底を
構成するプラスチゾルがコポリマー樹脂を有するもので
あることから靴底部22と靴本体23との密着強度が極
めて高いとともに、靴底部22の厚さを形状に沿って均
一にでき、しかも外観も靴底部22の形状と第1層等の
成形層の上端22aとを一致させた状態に成形すること
ができる。
【0068】なお、この製造法では、スラッシュ成形
用モールド21に靴底部用のプラスチゾルを注入した後
にスラッシュ成形用モールド21を加熱しながら傾斜さ
せるようにしたが、製造法(請求項6記載の製造法)
のように、これらを逆にしてスラッシュ成形用モールド
21を加熱した状態でプラスチゾルを注入し、加熱しな
がら傾斜させて均一に付着させるようにしても良く、工
程を入れ替えても全く同様に靴底部22に均一に付着さ
せることができる。
用モールド21に靴底部用のプラスチゾルを注入した後
にスラッシュ成形用モールド21を加熱しながら傾斜さ
せるようにしたが、製造法(請求項6記載の製造法)
のように、これらを逆にしてスラッシュ成形用モールド
21を加熱した状態でプラスチゾルを注入し、加熱しな
がら傾斜させて均一に付着させるようにしても良く、工
程を入れ替えても全く同様に靴底部22に均一に付着さ
せることができる。
【0069】(3) これらのスラッシュ成形靴の製造
法では、第1工程としてスラッシュ成形用モールドを水
平状態に配置して、このスラッシュ成形用モールドの底
部内面を、この底部内面を形成するコポリマー樹脂を混
合したプラスチゾルが増粘するかまたはゲル化が進行す
る温度以上に加熱・昇温する。
法では、第1工程としてスラッシュ成形用モールドを水
平状態に配置して、このスラッシュ成形用モールドの底
部内面を、この底部内面を形成するコポリマー樹脂を混
合したプラスチゾルが増粘するかまたはゲル化が進行す
る温度以上に加熱・昇温する。
【0070】このようにスラッシュ成形用モールドの底
部内面を、プラスチゾルが増粘するかまたはゲル化が進
行する温度以上に加熱・昇温するのは、次の工程におい
て底部内面を覆うように均一な厚さに注入されたプラス
チゾルを直ちに増粘またはゲル化させ、靴底部の各部の
高低差に起因してプラスチゾルが流れることを防止する
ためである。
部内面を、プラスチゾルが増粘するかまたはゲル化が進
行する温度以上に加熱・昇温するのは、次の工程におい
て底部内面を覆うように均一な厚さに注入されたプラス
チゾルを直ちに増粘またはゲル化させ、靴底部の各部の
高低差に起因してプラスチゾルが流れることを防止する
ためである。
【0071】したがって、スラッシュ成形用モールドの
底部内面の加熱温度は、スラッシュ成形用モールドに注
入されたプラスチゾルが直ちに増粘して半ゲル化または
ゲル化する温度とする。
底部内面の加熱温度は、スラッシュ成形用モールドに注
入されたプラスチゾルが直ちに増粘して半ゲル化または
ゲル化する温度とする。
【0072】このような加熱温度は、製造法および製
造法と同様の理由で、120℃以上200℃以下とす
ることが望ましく、さらに望ましくは140℃以上18
0℃以下である。
造法と同様の理由で、120℃以上200℃以下とす
ることが望ましく、さらに望ましくは140℃以上18
0℃以下である。
【0073】スラッシュ成形用モールドの底部内面を加
熱・昇温する手段は公知の手段で行えばよく、特定の手
段には限定されない。例えば、スラッシュ成形用モール
ドの外底面および外側面を加熱できる位置に加熱用ヒー
タを設置された加熱炉の内部にスラッシュ成形用モール
ドを装入し、スラッシュ成形用モールドの靴底部の温度
を140℃以上180℃以下に加熱・保持する。
熱・昇温する手段は公知の手段で行えばよく、特定の手
段には限定されない。例えば、スラッシュ成形用モール
ドの外底面および外側面を加熱できる位置に加熱用ヒー
タを設置された加熱炉の内部にスラッシュ成形用モール
ドを装入し、スラッシュ成形用モールドの靴底部の温度
を140℃以上180℃以下に加熱・保持する。
【0074】次に、第2工程として、コポリマー樹脂を
混合したプラスチゾルを靴底部の成形に必要な量だけス
ラッシュ成形用モールドの底部内面の全面を覆うように
注入して加熱ゲル化物を均一な厚さに付着させる。
混合したプラスチゾルを靴底部の成形に必要な量だけス
ラッシュ成形用モールドの底部内面の全面を覆うように
注入して加熱ゲル化物を均一な厚さに付着させる。
【0075】このようなプラスチゾルを、スラッシュ成
形用モールドの内部の底部内面の成形に必要な量だけ底
部内面の全面を覆うように注入して加熱ゲル化物を均一
な厚さに付着させる。
形用モールドの内部の底部内面の成形に必要な量だけ底
部内面の全面を覆うように注入して加熱ゲル化物を均一
な厚さに付着させる。
【0076】注入は底部内面の全面に対して行われ、注
入時の液体状のプラスチゾルが底部内面の各部において
可及的同じ厚さになるように均一に注入する。
入時の液体状のプラスチゾルが底部内面の各部において
可及的同じ厚さになるように均一に注入する。
【0077】注入はこのように底部内面に対して均一に
注入できる手段で行えばよく、従来のように注入ノズル
をスラッシュ成形用モールドに内設させて停止させ底部
に向けて適宜圧力をかけて噴射するようにしてもよい
が、この従来の注入手段では吐出パターンや吐出圧力さ
らにはスラッシュ成形用モールドの加熱温度等の条件に
より均一に注入できないことがある。そこで、以下に列
記する手段を用いることが望ましい。
注入できる手段で行えばよく、従来のように注入ノズル
をスラッシュ成形用モールドに内設させて停止させ底部
に向けて適宜圧力をかけて噴射するようにしてもよい
が、この従来の注入手段では吐出パターンや吐出圧力さ
らにはスラッシュ成形用モールドの加熱温度等の条件に
より均一に注入できないことがある。そこで、以下に列
記する手段を用いることが望ましい。
【0078】例えば、プラスチゾル供給装置に接続さ
れた筒状の注入ノズルをスラッシュ成形用モールドの内
部に入れ、この注入ノズルの先端を底部に向けながら注
入ノズルを平行または蛇行等させて移動させながら注入
ノズル先端からプラスチゾルを底部全面へ均一な厚さに
なるように注入する手段や、底部と略同形の外形を有
する特殊形状ノズルをスラッシュ成形用モールド内に挿
入して底部に一定距離離間して対向させ、この特殊形状
ノズルの下面に多数配置された吐出孔からプラスチゾル
を底部内面へシャワー状に均一な厚さになるように注入
する手段等を例示できる。
れた筒状の注入ノズルをスラッシュ成形用モールドの内
部に入れ、この注入ノズルの先端を底部に向けながら注
入ノズルを平行または蛇行等させて移動させながら注入
ノズル先端からプラスチゾルを底部全面へ均一な厚さに
なるように注入する手段や、底部と略同形の外形を有
する特殊形状ノズルをスラッシュ成形用モールド内に挿
入して底部に一定距離離間して対向させ、この特殊形状
ノズルの下面に多数配置された吐出孔からプラスチゾル
を底部内面へシャワー状に均一な厚さになるように注入
する手段等を例示できる。
【0079】このように、スラッシュ成形用モールドの
底部内面の全面に対して均一に注入された液体状のプラ
スチゾルは、前述したように、底部内面がプラスチゾル
が増粘するかまたはゲル化が進行する温度以上に加熱さ
れているため、注入と同時に直ちに増粘およびゲル化が
始まり、短時間で靴底部において流動しない状態にな
る。そのため、靴底部に高低差があっても、プラスチゾ
ルは注入時における均一な厚さのままでゲル化し、均一
なゲル化物がスラッシュ成形用モールドの底部内面全体
に成膜されるようになる。
底部内面の全面に対して均一に注入された液体状のプラ
スチゾルは、前述したように、底部内面がプラスチゾル
が増粘するかまたはゲル化が進行する温度以上に加熱さ
れているため、注入と同時に直ちに増粘およびゲル化が
始まり、短時間で靴底部において流動しない状態にな
る。そのため、靴底部に高低差があっても、プラスチゾ
ルは注入時における均一な厚さのままでゲル化し、均一
なゲル化物がスラッシュ成形用モールドの底部内面全体
に成膜されるようになる。
【0080】なお、スラッシュ成形用モールドの前端部
である爪先部側と後端部である踵部側とは、最も高さが
低く注入直後の流れ落ちによりプラスチゾルが溜まり易
いために、均一にプラスチゾルを注入することが難しい
部位であり、場合によっては均一な厚さを確保できない
ことがある。
である爪先部側と後端部である踵部側とは、最も高さが
低く注入直後の流れ落ちによりプラスチゾルが溜まり易
いために、均一にプラスチゾルを注入することが難しい
部位であり、場合によっては均一な厚さを確保できない
ことがある。
【0081】そこで、スラッシュ成形用モールド内へプ
ラスチゾルを注入する際に、スラッシュ成形用モールド
の底部内面を加熱しながらスラッシュ成形用モールドを
踵側および踏付部側のいずれか片側、あるいは両側に少
なくとも1回以上傾斜させることが望ましい。スラッシ
ュ成形用モールドの底部内面は前述したように加熱され
ているために踵部側および爪先部側におけるプラスチゾ
ルも注入時から直ちに増粘を開始するが、注入直後のこ
の時点であればスラッシュ成形用モールドを踵側および
踏付部側のいずれか片側、あるいは両側に傾斜させるこ
とにより多少はプラスチゾルを流動化させることがで
き、底部内面におけるプラスチゾルの厚さ不均一を改善
できる。
ラスチゾルを注入する際に、スラッシュ成形用モールド
の底部内面を加熱しながらスラッシュ成形用モールドを
踵側および踏付部側のいずれか片側、あるいは両側に少
なくとも1回以上傾斜させることが望ましい。スラッシ
ュ成形用モールドの底部内面は前述したように加熱され
ているために踵部側および爪先部側におけるプラスチゾ
ルも注入時から直ちに増粘を開始するが、注入直後のこ
の時点であればスラッシュ成形用モールドを踵側および
踏付部側のいずれか片側、あるいは両側に傾斜させるこ
とにより多少はプラスチゾルを流動化させることがで
き、底部内面におけるプラスチゾルの厚さ不均一を改善
できる。
【0082】この製造法では、スラッシュ成形用モール
ドを踵部側および爪先側のいずれか片側に1回以上傾斜
させるか、あるいは踵部側および爪先部側との両方に1
回以上傾斜させるようにしているが、このスラッシュ成
形用モールドの傾斜は、ほぼ均一に注入された後に粘度
が上昇し始めたプラスチゾルを底部内面全体に流動させ
てよりいっそう均一に付着させるための補助手段であ
り、傾斜させる側や角度さらには回数等は適宜選定すれ
ば良い。
ドを踵部側および爪先側のいずれか片側に1回以上傾斜
させるか、あるいは踵部側および爪先部側との両方に1
回以上傾斜させるようにしているが、このスラッシュ成
形用モールドの傾斜は、ほぼ均一に注入された後に粘度
が上昇し始めたプラスチゾルを底部内面全体に流動させ
てよりいっそう均一に付着させるための補助手段であ
り、傾斜させる側や角度さらには回数等は適宜選定すれ
ば良い。
【0083】このようにスラッシュ成形モールドを加熱
しながら傾斜させることで、底部内面の全面に注入され
た液体状態のプラスチゾルは、加熱されることによって
粘度が増して半ゲル化していき、しかもスラッシュ成形
用モールドの傾斜によって低くなった爪先側または踵側
に流動していき均一な厚さに成膜することになり、靴底
部の形状が平面でなく、踵部や踏付部等の接地部分が低
く、爪先部側や不踏部等が高くなっていても、靴底の各
部の半ゲル化層またはゲル化層の厚さを均一にして付着
させることができる。
しながら傾斜させることで、底部内面の全面に注入され
た液体状態のプラスチゾルは、加熱されることによって
粘度が増して半ゲル化していき、しかもスラッシュ成形
用モールドの傾斜によって低くなった爪先側または踵側
に流動していき均一な厚さに成膜することになり、靴底
部の形状が平面でなく、踵部や踏付部等の接地部分が低
く、爪先部側や不踏部等が高くなっていても、靴底の各
部の半ゲル化層またはゲル化層の厚さを均一にして付着
させることができる。
【0084】このような靴底部のスラッシュ成形によれ
ば、靴底部の成形に必要な量のみのプラスチゾルを注入
するだけでよく、靴底部の厚さを均一にできるととも
に、靴の外観においても靴底部の形状とずれたところに
第1層の上端が位置することが解決され、外観品質も良
く商品価値の高い靴底部を形成することができる。
ば、靴底部の成形に必要な量のみのプラスチゾルを注入
するだけでよく、靴底部の厚さを均一にできるととも
に、靴の外観においても靴底部の形状とずれたところに
第1層の上端が位置することが解決され、外観品質も良
く商品価値の高い靴底部を形成することができる。
【0085】この後、通常行われているスラッシュ成形
法と同様にして靴本体およびヒール部(踵部)などがス
ラッシュ成形されるが、これらの工程についてもは前述
した製造法およびと全く同様であり、略述すれば、
靴本体用のポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾル
を用いたスラッシュ成形→スラッシュ成形靴のスキンの
完成→スキンの冷却および脱型→裏布(インナーブー
ツ)や中底等の部品の縫製・接着→塗装という工程で製
造される。
法と同様にして靴本体およびヒール部(踵部)などがス
ラッシュ成形されるが、これらの工程についてもは前述
した製造法およびと全く同様であり、略述すれば、
靴本体用のポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾル
を用いたスラッシュ成形→スラッシュ成形靴のスキンの
完成→スキンの冷却および脱型→裏布(インナーブー
ツ)や中底等の部品の縫製・接着→塗装という工程で製
造される。
【0086】本発明にかかるスラッシュ成形靴の製造法
によれば、靴底部にコポリマー樹脂を用いているため
に、靴底部と靴本体との密着強度が改善され、この界面
における剥れが発生しなくなる。また、靴底部と靴本体
とを異なる材料で多層スラッシュ成形靴を製造する場合
に、靴底部の厚さを形状に沿って均一にでき、しかも外
観も靴底部の形状と第1層等の成形層の上端とを一致さ
せた状態に成形することができる。
によれば、靴底部にコポリマー樹脂を用いているため
に、靴底部と靴本体との密着強度が改善され、この界面
における剥れが発生しなくなる。また、靴底部と靴本体
とを異なる材料で多層スラッシュ成形靴を製造する場合
に、靴底部の厚さを形状に沿って均一にでき、しかも外
観も靴底部の形状と第1層等の成形層の上端とを一致さ
せた状態に成形することができる。
【0087】さらに、本発明を実施例を参照しながら詳
述する。
述する。
【0088】
【実施例1】
【0089】
【表1】
【0090】表1に示す組成を有するコポリマー樹脂を
混合する靴底部用プラスチゾルを、図2(a)に示すよ
うに水平に置かれたスラッシュ成形用モールド21の内
面底部に、靴底部22を形成するのに必要な量だけ注入
した。
混合する靴底部用プラスチゾルを、図2(a)に示すよ
うに水平に置かれたスラッシュ成形用モールド21の内
面底部に、靴底部22を形成するのに必要な量だけ注入
した。
【0091】この後、図2(a)に示すように、スラッ
シュ成形用モールド21を爪先側に傾斜させるととも
に、スラッシュ成形用モールド21の底部内面を150
℃になるように1〜2分間加熱保持し、スラッシュ成形
用モールド21の底部内面に約3mmの厚さの均一な半
ゲル化物を成膜した。
シュ成形用モールド21を爪先側に傾斜させるととも
に、スラッシュ成形用モールド21の底部内面を150
℃になるように1〜2分間加熱保持し、スラッシュ成形
用モールド21の底部内面に約3mmの厚さの均一な半
ゲル化物を成膜した。
【0092】次に、図2(b)に示すように、表1に示
す組成にしたがい、第二層用ポリ塩化ビニルペーストレ
ジンをスラッシュ成形用モールド21の上端まで一杯に
注入して、180℃で1〜2分間加熱保持してスラッシ
ュ成形用モールド21の内面に所望の厚さの半ゲル化層
を付着させた後、未ゲル化状態のプラスチゾルを排出し
た。
す組成にしたがい、第二層用ポリ塩化ビニルペーストレ
ジンをスラッシュ成形用モールド21の上端まで一杯に
注入して、180℃で1〜2分間加熱保持してスラッシ
ュ成形用モールド21の内面に所望の厚さの半ゲル化層
を付着させた後、未ゲル化状態のプラスチゾルを排出し
た。
【0093】さらに、図2(c)に示すように、表1に
示す上記組成にしたがい、ヒール用のポリ塩化ビニル樹
脂を混合したプラスチゾルをヒール部相当部に注入して
充填し、200℃で5〜7分間加熱保持して、第一層2
2、第二層23およびヒール部24を充分にゲル化させ
た。
示す上記組成にしたがい、ヒール用のポリ塩化ビニル樹
脂を混合したプラスチゾルをヒール部相当部に注入して
充填し、200℃で5〜7分間加熱保持して、第一層2
2、第二層23およびヒール部24を充分にゲル化させ
た。
【0094】そして、冷却後にスラッシュ成形用モール
ド21から取り出し、靴底および靴本体がともに黒色の
本発明例のスラッシュ成形靴のスキン25を得た。
ド21から取り出し、靴底および靴本体がともに黒色の
本発明例のスラッシュ成形靴のスキン25を得た。
【0095】一方、表1に示すように第一層にコポリマ
ー樹脂を含まずにポリ塩化ビニル樹脂を含むプラスチゾ
ルを用いるとともに第二層にコポリマー樹脂を含むプラ
スチゾルを用い、他は全く同一の条件により、比較例の
スラッシュ成形靴を製造した。
ー樹脂を含まずにポリ塩化ビニル樹脂を含むプラスチゾ
ルを用いるとともに第二層にコポリマー樹脂を含むプラ
スチゾルを用い、他は全く同一の条件により、比較例の
スラッシュ成形靴を製造した。
【0096】これらの2層スラッシュ成形靴について以
下のように比較評価を行った。 (踵部における第1層と第2層との密着強度)JIS
K 6301に基づく短冊状剥離試験を行って、上記の
密着強度を測定した。 (外観品質)靴底である第1層の厚さを靴の部位毎に測
定するとともに外観品質を目視により評価した。 (強度)JIS K−6301に基づいてショッパー型
引張試験機を用いて靴本体部の引張強度、伸び、引裂き
強度をそれぞれ測定した。 (耐摩耗性)テーバー摩耗試験機により摩耗輪CS−1
0により1000回転での靴底部の摩耗減量を測定し
た。 (耐シガレット性)JIS K−6301 1号試験片
を靴底から切り出し、180℃×5分間オーブン中で吊
り下げ、溶融落下の有無、および落下しない場合の伸び
率を測定した。また、製造した本発明例のスラッシュ成
形靴により実際にタバコを踏み付けて火を消し、靴底の
溶融・変形状態を確認した。 (耐油耐薬品性)JIS3号オイル、植物性油(大豆
油)を使い、40℃で96時間浸漬した時の重量変化を
測定した。
下のように比較評価を行った。 (踵部における第1層と第2層との密着強度)JIS
K 6301に基づく短冊状剥離試験を行って、上記の
密着強度を測定した。 (外観品質)靴底である第1層の厚さを靴の部位毎に測
定するとともに外観品質を目視により評価した。 (強度)JIS K−6301に基づいてショッパー型
引張試験機を用いて靴本体部の引張強度、伸び、引裂き
強度をそれぞれ測定した。 (耐摩耗性)テーバー摩耗試験機により摩耗輪CS−1
0により1000回転での靴底部の摩耗減量を測定し
た。 (耐シガレット性)JIS K−6301 1号試験片
を靴底から切り出し、180℃×5分間オーブン中で吊
り下げ、溶融落下の有無、および落下しない場合の伸び
率を測定した。また、製造した本発明例のスラッシュ成
形靴により実際にタバコを踏み付けて火を消し、靴底の
溶融・変形状態を確認した。 (耐油耐薬品性)JIS3号オイル、植物性油(大豆
油)を使い、40℃で96時間浸漬した時の重量変化を
測定した。
【0097】結果を表2にまとめて示す。本発明にかか
るスラッシュ成形靴は、第1層と第2層との密着強度が
従来例の約3倍以上に増大しており、密着強度が顕著に
改善されたことがわかる。
るスラッシュ成形靴は、第1層と第2層との密着強度が
従来例の約3倍以上に増大しており、密着強度が顕著に
改善されたことがわかる。
【0098】また、本発明例および比較例にかかる2層
スラッシュ成形靴は、ともに靴底部が部位によらず3m
m程度で一定であり、靴底部の形状に沿った均一な厚さ
に成形できており、外観品質が優れている。
スラッシュ成形靴は、ともに靴底部が部位によらず3m
m程度で一定であり、靴底部の形状に沿った均一な厚さ
に成形できており、外観品質が優れている。
【0099】さらに、表2から、従来のスラッシュ成形
靴と同程度の靴本体の強度、硬度および柔軟性を備えて
おり、さらに従来よりも靴底は特に耐熱変形性(耐シガ
レット性)が優れており、また引張り強度、耐摩耗性、
耐油耐薬品性も向上しており、本発明例は、従来から公
知の2層スラッシュ成形靴に比較して靴底の諸特性が著
しく向上したことがわかる。
靴と同程度の靴本体の強度、硬度および柔軟性を備えて
おり、さらに従来よりも靴底は特に耐熱変形性(耐シガ
レット性)が優れており、また引張り強度、耐摩耗性、
耐油耐薬品性も向上しており、本発明例は、従来から公
知の2層スラッシュ成形靴に比較して靴底の諸特性が著
しく向上したことがわかる。
【0100】
【表2】
【0101】
【実施例2】表1に示すように、実施例1において、靴
底の原料であるコポリマー樹脂と架橋性ポリ塩化ビニル
プラスチゾルに、防滑素材としてウイスカー(四国化成
工業(株)製)を混合して、実施例1と全く同様にして
本発明にかかるスラッシュ成形靴を製造した。
底の原料であるコポリマー樹脂と架橋性ポリ塩化ビニル
プラスチゾルに、防滑素材としてウイスカー(四国化成
工業(株)製)を混合して、実施例1と全く同様にして
本発明にかかるスラッシュ成形靴を製造した。
【0102】この本発明にかかるスラッシュ成形靴につ
いて、以下のようにして防滑性を評価した。 (防滑性)Pタイル、ビニール床材および氷上それぞれ
に靴を置き、加重10kgf をかけて引張り、始動した時
の応力を測定した。
いて、以下のようにして防滑性を評価した。 (防滑性)Pタイル、ビニール床材および氷上それぞれ
に靴を置き、加重10kgf をかけて引張り、始動した時
の応力を測定した。
【0103】結果を表2に示す。実施例1の結果と併せ
て、本発明にかかるスラッシュ成形靴は、実施例1の効
果に加え、防滑性も優れていることがわかる。
て、本発明にかかるスラッシュ成形靴は、実施例1の効
果に加え、防滑性も優れていることがわかる。
【0104】
【実施例3】表1に示すように、実施例1および実施例
2において、靴底の原料である架橋性ポリ塩化ビニル樹
脂プラスチゾルに混合される顔料を有機系クレープ色調
色顔料:0.1重量部に低減して同様にスラッシュ成形
靴を製造した。
2において、靴底の原料である架橋性ポリ塩化ビニル樹
脂プラスチゾルに混合される顔料を有機系クレープ色調
色顔料:0.1重量部に低減して同様にスラッシュ成形
靴を製造した。
【0105】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層のコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルは着色透明
性となり、第一回目の注入によるスラッシュ成形用モー
ルドの内面の付着の手直しを行わなくとも第二回目の注
入により外観品質が優れたスラッシュ成形靴を製造でき
た。
層のコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルは着色透明
性となり、第一回目の注入によるスラッシュ成形用モー
ルドの内面の付着の手直しを行わなくとも第二回目の注
入により外観品質が優れたスラッシュ成形靴を製造でき
た。
【0106】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1記
載の本発明にかかる多層よりなるスラッシュ成形靴で
は、靴本体のうちの靴底の全部または一部がコポリマー
樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物からなるた
め、靴底とこれを除く靴本体との密着強度が増加し、界
面剥れが発生しなくなった。また、靴底がポリ塩化ビニ
ル樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物からなる
スラッシュ成形靴と比較すると靴底が柔らかくなり、防
滑性、衝撃緩和性さらには履心地を改善できる。さら
に、従来のスラッシュ成形靴と同程度の靴本体の強度、
硬度および柔軟性を備えており、さらに従来よりも靴底
は耐摩耗性および耐油耐薬品性も向上しており、従来か
ら公知の2層スラッシュ成形靴に比較して靴底の諸特性
が著しく向上した。
載の本発明にかかる多層よりなるスラッシュ成形靴で
は、靴本体のうちの靴底の全部または一部がコポリマー
樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物からなるた
め、靴底とこれを除く靴本体との密着強度が増加し、界
面剥れが発生しなくなった。また、靴底がポリ塩化ビニ
ル樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物からなる
スラッシュ成形靴と比較すると靴底が柔らかくなり、防
滑性、衝撃緩和性さらには履心地を改善できる。さら
に、従来のスラッシュ成形靴と同程度の靴本体の強度、
硬度および柔軟性を備えており、さらに従来よりも靴底
は耐摩耗性および耐油耐薬品性も向上しており、従来か
ら公知の2層スラッシュ成形靴に比較して靴底の諸特性
が著しく向上した。
【0107】また、靴底の全部または一部を構成するコ
ポリマー樹脂を混合したプラスチゾルは着色透明性を有
するため、スラッシュ成形の際の手直し工程を省略して
製造できる。
ポリマー樹脂を混合したプラスチゾルは着色透明性を有
するため、スラッシュ成形の際の手直し工程を省略して
製造できる。
【0108】請求項2記載の本発明にかかる多層よりな
るスラッシュ成形靴では、靴底の全部または一部を構成
するコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルはさらに防
滑素材を混合するため、請求項1の効果に加えて、さら
に防滑性を向上できる。
るスラッシュ成形靴では、靴底の全部または一部を構成
するコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルはさらに防
滑素材を混合するため、請求項1の効果に加えて、さら
に防滑性を向上できる。
【0109】請求項3記載の本発明にかかる多層よりな
るスラッシュ成形靴では、靴底の全部または一部を構成
するコポリマー樹脂を混合した着色透明性を有するプラ
スチゾルによる加熱ゲル化物は、前記モールドを爪先側
と踵側との少なくともいずれか一方側に少なくとも1回
以上傾斜させるようにしたので、これにより、第1層を
靴底部に沿った一定の厚さにすることができ、スラッシ
ュ成形靴の外観品質を向上できるとともに、履心地がよ
く軽いスラッシュ成形靴を製造できる。
るスラッシュ成形靴では、靴底の全部または一部を構成
するコポリマー樹脂を混合した着色透明性を有するプラ
スチゾルによる加熱ゲル化物は、前記モールドを爪先側
と踵側との少なくともいずれか一方側に少なくとも1回
以上傾斜させるようにしたので、これにより、第1層を
靴底部に沿った一定の厚さにすることができ、スラッシ
ュ成形靴の外観品質を向上できるとともに、履心地がよ
く軽いスラッシュ成形靴を製造できる。
【0110】請求項4記載の本発明にかかるスラッシュ
成形靴の製造法では、通常の多層よりなるスラッシュ成
形靴の製造法において、第一層にコポリマー樹脂を用
い、モールドの底部を当該プラスチゾルが増粘するかま
たはゲル化が進行する温度以上に加熱・昇温した状態で
モールド底部内面の全面を覆うように付着させた加熱ゲ
ル化物とし、必要に応じて、防滑素材を有すること、お
よび/または着色透明を有することを備えているため、
請求項1ないし請求項3記載の本発明にかかるスラッシ
ュ成形靴を確実に製造できる。
成形靴の製造法では、通常の多層よりなるスラッシュ成
形靴の製造法において、第一層にコポリマー樹脂を用
い、モールドの底部を当該プラスチゾルが増粘するかま
たはゲル化が進行する温度以上に加熱・昇温した状態で
モールド底部内面の全面を覆うように付着させた加熱ゲ
ル化物とし、必要に応じて、防滑素材を有すること、お
よび/または着色透明を有することを備えているため、
請求項1ないし請求項3記載の本発明にかかるスラッシ
ュ成形靴を確実に製造できる。
【0111】請求項5記載の本発明にかかる多層よりな
るスラッシュ成形靴の製造法では、スラッシュ成形用モ
ールドの底部内面にコポリマー樹脂を混合したプラスチ
ゾルを注入した後にスラッシュ成形用モールドの底部内
面を当該プラスチゾルが増粘するかまたはゲル化が進行
する温度以上に加熱・昇温した状態で爪先側と踵側との
少なくともいずれか一方側に少なくとも1回以上傾斜さ
せることにより、第1層を靴底部に沿った一定の厚さに
することができ、スラッシュ成形靴の外観品質を向上で
きるとともに、履心地がよく軽いスラッシュ成形靴を製
造できる。
るスラッシュ成形靴の製造法では、スラッシュ成形用モ
ールドの底部内面にコポリマー樹脂を混合したプラスチ
ゾルを注入した後にスラッシュ成形用モールドの底部内
面を当該プラスチゾルが増粘するかまたはゲル化が進行
する温度以上に加熱・昇温した状態で爪先側と踵側との
少なくともいずれか一方側に少なくとも1回以上傾斜さ
せることにより、第1層を靴底部に沿った一定の厚さに
することができ、スラッシュ成形靴の外観品質を向上で
きるとともに、履心地がよく軽いスラッシュ成形靴を製
造できる。
【0112】請求項6記載の本発明にかかる多層よりな
るスラッシュ成形靴の製造法では、スラッシュ成形用モ
ールドの底部内面を当該プラスチゾルが増粘するかまた
はゲル化が進行する温度以上に加熱・昇温した状態とし
てスラッシュ成形用モールドの底部内面にコポリマー樹
脂を混合したプラスチゾルを注入した後、このスラッシ
ュ成形用モールドの底部内面を加熱しながら爪先側と踵
側との少なくともいずれか一方側に少なくとも1回以上
傾斜させることにより、第1層を靴底部に沿った一定の
厚さにすることができ、スラッシュ成形靴の外観品質を
向上できるとともに、履心地がよく軽いスラッシュ成形
靴を製造できる。また、その製造に際しては、第1層を
構成するプラスチゾルの排出を行う必要がなくなり、余
分な作業を行わずに効率的に製造できる。
るスラッシュ成形靴の製造法では、スラッシュ成形用モ
ールドの底部内面を当該プラスチゾルが増粘するかまた
はゲル化が進行する温度以上に加熱・昇温した状態とし
てスラッシュ成形用モールドの底部内面にコポリマー樹
脂を混合したプラスチゾルを注入した後、このスラッシ
ュ成形用モールドの底部内面を加熱しながら爪先側と踵
側との少なくともいずれか一方側に少なくとも1回以上
傾斜させることにより、第1層を靴底部に沿った一定の
厚さにすることができ、スラッシュ成形靴の外観品質を
向上できるとともに、履心地がよく軽いスラッシュ成形
靴を製造できる。また、その製造に際しては、第1層を
構成するプラスチゾルの排出を行う必要がなくなり、余
分な作業を行わずに効率的に製造できる。
【0113】請求項7記載の本発明にかかる多層よりな
るスラッシュ成形靴の製造法では、靴底の全部または一
部を構成するコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルは
さらに防滑素材を混合するため、特に防滑性に優れたス
ラッシュ成形靴を製造できる。
るスラッシュ成形靴の製造法では、靴底の全部または一
部を構成するコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルは
さらに防滑素材を混合するため、特に防滑性に優れたス
ラッシュ成形靴を製造できる。
【0114】請求項8記載の本発明にかかる多層よりな
るスラッシュ成形靴の製造法では、靴底の全部または一
部を構成するコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルは
着色透明性を有するため、1層目注入の際の跳ね返り等
に起因した手直し工程を省略でき、生産性の低下を解消
しながらスラッシュ成形靴を製造できる。
るスラッシュ成形靴の製造法では、靴底の全部または一
部を構成するコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルは
着色透明性を有するため、1層目注入の際の跳ね返り等
に起因した手直し工程を省略でき、生産性の低下を解消
しながらスラッシュ成形靴を製造できる。
【図1】スラッシュ成形用モールドの内部に形成された
本発明にかかるスラッシュ成形靴の垂直断面図である。
本発明にかかるスラッシュ成形靴の垂直断面図である。
【図2】本発明にかかる多層よりなるスラッシュ成形靴
の製造法を2層スラッシュ成形靴の製造に適用した場合
の一例の工程図である。
の製造法を2層スラッシュ成形靴の製造に適用した場合
の一例の工程図である。
1 スラッシュ成形用モールド 2 第1層 3 第2層 4 ヒール部 5 スキン 6a 踏付部 6b 踵部 6c 爪先部 6d 不踏部 21 スラッシュ成形用モールド 22 靴底部(第一層) 22a 靴底部の上端 22b 靴底部の爪先部 22c 靴底部の踵部 22d 靴底部の踏付部 22e 靴底部の不踏部 23 靴本体(第二層) 24 踵部(ヒール部) 25 スキン(スラッシュ成形体)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−96701(JP,A) 特開 平6−189805(JP,A) 実開 昭56−90106(JP,U) 特公 昭40−13590(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A43B 1/00 - 23/30 B29D 31/50 B29C 41/18
Claims (8)
- 【請求項1】 靴本体のうちの靴底の全部または一部が
コポリマー樹脂を混合した着色透明性を有するプラスチ
ゾルを、モールドの底部を当該プラスチゾルが増粘する
かまたはゲル化が進行する温度以上に加熱・昇温した状
態でモールド底部内面の全面を覆うように付着させた加
熱ゲル化物からなり、靴本体のうちのその他の部分がポ
リ塩化ビニル樹脂またはコポリマー樹脂を混合したプラ
スチゾルの加熱ゲル化物からなることを特徴とする多層
よりなるスラッシュ成形靴。 - 【請求項2】 前記靴底の全部または一部を構成する前
記コポリマー樹脂を混合した着色透明性を有するプラス
チゾルはさらに防滑素材を混合する請求項1記載の多層
よりなるスラッシュ成形靴。 - 【請求項3】 前記靴底の全部または一部を構成する前
記コポリマー樹脂を混合した着色透明性を有するプラス
チゾルによる加熱ゲル化物は、前記モールドを爪先側と
踵側との少なくともいずれか一方側に少なくとも1回以
上傾斜させて形成したものである請求項1または請求項
2記載の多層よりなるスラッシュ成形靴。 - 【請求項4】 スラッシュ成形用モールドの底部内面の
全部または一部を覆うようにコポリマー樹脂を混合した
プラスチゾルを注入して当該プラスチゾルが増粘するか
またはゲル化が進行する温度以上に加熱・昇温すること
により前記底部内面の全部または一部に半ゲル化状態の
第一層を形成する第一工程と、前記スラッシュ成形用モ
ールドの上端開口部またはその近傍までポリ塩化ビニル
樹脂またはコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルを注
入して加熱することにより前記第一層の表面および前記
スラッシュ成形用モールドの内面に半ゲル化状態の第二
層を形成する第二工程と、前記スラッシュ成形用モール
ドの内面に残存する未ゲル化状態のポリ塩化ビニル樹脂
またはコポリマー樹脂を混合したプラスチゾルの排出を
行ってから加熱することにより前記第一層および第二層
をともにゲル化させる第三工程とを有することを特徴と
する多層よりなるスラッシュ成形靴の製造法。 - 【請求項5】 スラッシュ成形用モールドの底部内面に
コポリマー樹脂を混合したプラスチゾルを靴底部の成形
に必要な量だけ注入した後、前記スラッシュ成形用モー
ルドの底部を当該プラスチゾルが増粘するかまたはゲル
化が進行する温度以上に加熱・昇温した状態で爪先側と
踵側との少なくともいずれか一方側に少なくとも1回以
上傾斜させて加熱ゲル化物をスラッシュ成形用モールド
の底部内面の全部を覆うように付着させた後、ポリ塩化
ビニル樹脂またはコポリマー樹脂を混合したプラスチゾ
ルの靴本体をスラッシュ成形するようにしたことを特徴
とする多層よりなるスラッシュ成形靴の製造法。 - 【請求項6】 スラッシュ成形用モールドの底部を当該
プラスチゾルが増粘するかまたはゲル化が進行する温度
以上に加熱・昇温した状態として当該スラッシュ成形用
モールドの底部内面にコポリマー樹脂を混合したプラス
チゾルを靴底部の成形に必要な量だけ注入した後、この
スラッシュ成形用モールドの底部を加熱しながら爪先側
と踵側との少なくともいずれか一方側に少なくとも1回
以上傾斜させて加熱ゲル化物を前記底部内面の全面を覆
うように付着させた後、ポリ塩化ビニル樹脂またはコポ
リマー樹脂を混合したプラスチゾルの靴本体をスラッシ
ュ成形するようにしたことを特徴とする多層よりなるス
ラッシュ成形靴の製造法。 - 【請求項7】 前記靴底の全部または一部を構成する前
記コポリマー樹脂を混合したプラスチゾルはさらに防滑
素材を混合する請求項4ないし請求項6のいずれかに記
載の多層よりなるスラッシュ成形靴の製造法。 - 【請求項8】 前記靴底の全部または一部を構成する前
記コポリマー樹脂を混合したプラスチゾルは着色透明性
を有する請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の多
層よりなるスラッシュ成形靴の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6254712A JP2808245B2 (ja) | 1994-09-22 | 1994-09-22 | 多層よりなるスラッシュ成形靴およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6254712A JP2808245B2 (ja) | 1994-09-22 | 1994-09-22 | 多層よりなるスラッシュ成形靴およびその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0890684A JPH0890684A (ja) | 1996-04-09 |
JP2808245B2 true JP2808245B2 (ja) | 1998-10-08 |
Family
ID=17268806
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6254712A Expired - Fee Related JP2808245B2 (ja) | 1994-09-22 | 1994-09-22 | 多層よりなるスラッシュ成形靴およびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2808245B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5690106U (ja) * | 1979-12-14 | 1981-07-18 | ||
JP2922603B2 (ja) * | 1990-08-10 | 1999-07-26 | アキレス株式会社 | スラッシュ靴の製造方法 |
JPH0698043B2 (ja) * | 1992-12-22 | 1994-12-07 | 株式会社アサヒコーポレーション | スラッシュブ−ツの靴底成形用プラスチゾル組成物 |
-
1994
- 1994-09-22 JP JP6254712A patent/JP2808245B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0890684A (ja) | 1996-04-09 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |