JP2922810B2 - 発泡スラッシュ成形靴およびその製造法 - Google Patents

発泡スラッシュ成形靴およびその製造法

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JP2922810B2
JP2922810B2 JP7031492A JP3149295A JP2922810B2 JP 2922810 B2 JP2922810 B2 JP 2922810B2 JP 7031492 A JP7031492 A JP 7031492A JP 3149295 A JP3149295 A JP 3149295A JP 2922810 B2 JP2922810 B2 JP 2922810B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、靴本体の全部または一
部が発泡されてなる発泡スラッシュ成形靴およびその製
造法に関する。
【0002】
【従来の技術】図7に示すように、ポリ塩化ビニルペー
スト樹脂よりなるスラッシュ成形靴は、初めに革や合皮
等の素材を使って実際の靴を製作してオリジナルモデル
とし、このオリジナルモデルの外面に金属メッキを施す
電気鋳造法により靴の形状を呈する筒状のスラッシュ成
形靴用モールド31を製作しておき、こうして製作した
スラッシュ成形靴用モールド31の中にポリ塩化ビニル
ペースト樹脂を流し込み、その外周部を短時間加熱する
ことによりスラッシュ成形靴用モールド31の内壁面に
ポリ塩化ビニルペースト樹脂からなる靴本体状の半ゲル
化物を付層形成し、続いて半ゲル化物内の未ゲル化状態
の余剰のポリ塩化ビニルペースト樹脂を例えばスラッシ
ュ成形靴用モールド31を傾斜させて上端開口部32か
ら排出し、さらに全体を加熱してスラッシュ成形靴用モ
ールド31内の半ゲル化物を完全にゲル化することによ
り、爪先部,踵部および底部等の補強必要部分と履き口
部および筒部等のその他の部分とが一体に形成された靴
本体(スキン)33を製作する。
【0003】そして、冷却および脱型後に、図8に示す
ように、靴本体33の外面踵部に組み付け部品として別
工程で製造されたヒール35を例えば接着により装着
し、さらに靴本体33に靴裏布材から縫製される裏布
(インナーブーツ)と中底やファスナー等の部品とを縫
製・接着等により組み付け、塗装を行って最終製品であ
るスラッシュ成形靴に仕上げる。
【0004】なお、上述のスラッシュ成形靴の製造法で
は、靴本体33のスラッシュ成形後にヒール35を装着
するようにしているが、この他に、図9に示すように、
スラッシュ成形工程において、前述の未ゲル化状態の余
剰のポリ塩化ビニルペースト樹脂をスラッシュ成形靴用
モールド31外に排出した後、この半ゲル化物33の内
面踵部にヒール用ペーストを注入し、さらに全体をゲル
化温度以上に加熱することにより、半ゲル化物およびヒ
ール用ペーストをともにゲル化させてヒール芯34を靴
本体33と一体的に構成する製造法もある。
【0005】このようにして製造されるスラッシュ成形
靴は、オリジナルモデルの外面に金属めっきを施して製
造したスラッシュ成形靴用モールドを用いるためにスラ
ッシュ成形靴用モールドの内面にはオリジナルモデルに
用いた素材,ステッチさらには切足しデザイン等がその
まま忠実に再現されて優れたデザイン表現を得られると
ともに、靴本体に継ぎ目や縫い目等が存在せず完全な筒
状体であるために高い防水・防湿機能を得ることがで
き、これまでに長靴等の防寒靴として大量に製品化され
てきた。
【0006】ところで、このスラッシュ成形靴は靴本体
にポリ塩化ビニルペースト樹脂からなる充実配合の加熱
ゲル化物を用いるために重量が嵩み、履物として最も要
求される要件の一つである軽量化を図ることが困難であ
るという問題があった。
【0007】そこで、これまでに、スラッシュ成形靴の
軽量化を図った技術が種々提案されている。
【0008】例えば特開昭52−76151号公報に
は、減圧下で脱泡したポリ塩化ビニルペースト樹脂を含
むプラスチゾルを加熱したスラッシュ成形靴用モールド
内に注入してスラッシュ成形靴用モールドの内壁面に半
ゲル化物を外層として付層形成し、余剰のプラスチゾル
を排出してから、機械的に起泡させたポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂を含むプラスチゾルを半ゲル化物の内部に注
入・排出して空気泡を含む内層を形成し、全体を加熱す
ることにより、充実の外層と空気泡を含む内層との2層
構造からなる軽量な発泡スラッシュ成形靴を製造する方
法が提案されている。
【0009】また、特開平6−217801号公報に
は、適当量配合された塩化ビニルペーストレジンおよ
び、ニトリル系モノマとメタクリル酸エステルまたはア
クリル酸エステルまたはアクリル酸エステルとの架橋性
共重合体で構成される熱膨張性のマイクロカプセルを含
有するプラスチゾルをスラッシュ成形靴用モールドに注
入、排出してマイクロカプセルの膨脹温度以下で加熱す
ることによりスラッシュ成形靴用モールドの内壁面に半
ゲル化層を形成し、余剰のプラスチゾルを排出してか
ら、半ゲル化層をマイクロカプセルの膨脹温度以上に加
熱架橋させることにより、靴本体各部が気泡を均一に含
む発泡スラッシュ成形靴を製造する方法が提案されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来の技術に
よれば、発泡スラッシュ成形靴は靴本体の全面に略均一
に気泡を含むため、靴本体に気泡を含まないスラッシュ
成形靴に対して軽量化を図ることが可能となる。
【0011】しかし、これらの従来の技術では、靴本体
のうちの爪先部,踵部さらには底部等の強度を要する補
強必要部分も必然的かつ不可避的に発泡されるために補
強必要部分にも気泡が含まれ物性が低下してしまうため
に、軽量化を図りながら求められる強度や耐摩耗性等の
物性を満足させることができない。
【0012】多少の重量増を許容すれば補強必要部分の
肉厚を増加することにより強度の向上・確保を図ること
は容易であると一見考えられるが、スラッシュ成形工程
において補強必要部分の加熱時間,加熱温度を増加して
半ゲル化物の補強必要部分を厚肉化してスラッシュ成形
を行うと、加熱ゲル化発泡の際、厚肉化されたことによ
り補強必要部分にはその他の部分よりも多くの熱量をか
ける必要がある。補強必要部分に多くの熱量をかけて加
熱ゲル化を図ると、この加熱ゲル化に伴って補強必要部
分が過剰に発泡して肌荒れを生じてしまうために、補強
必要部分の強度はむしろ低下してしまう。
【0013】なお、靴以外に人形や自動車用内装材を適
用対象としたスラッシュ成形技術も知られているが、こ
れらは発泡倍率が500%超のものであり、これらを靴
に適用しようとすると靴として必要な強度を維持できな
い。
【0014】本発明はこのような従来の技術が有する課
題を解決するためになされたものであり、靴本体のうち
の爪先部,踵部さらには底部等の補強必要部分が充分な
強度を有し靴としての機能を備え、軽量化が図られる発
泡スラッシュ成形靴とその製造法とを提供することを目
的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため鋭意検討を重ね、ある特定の熱膨張による
発泡条件を有する熱膨張性マイクロカプセルを、靴本体
を構成するポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチ
ゾルに含有させてスラッシュ成形を行う場合に、スラッ
シュ成形靴用モールドの内壁面に付層形成された半ゲル
化物を適度にゲル化させる加熱条件と,前述の熱膨張性
マイクロカプセルを加熱・膨脹させて靴本体を膨張によ
り発泡させる加熱条件との間に差を生じさせることがで
きることを知見した。
【0016】すなわち、通常の場合、靴本体を構成する
ポリ塩化ビニルペースト樹脂のゲル化温度は160℃程
度である。そこで、例えばブタン,テトラメチルメタン
またはイソペンタン等の炭化水素を内包してこのゲル化
温度よりも数10℃程度高い温度(例えば190℃程度
であり、熱膨張を開始する温度ではなく充分な熱膨張状
態を呈する温度を意味する。すなわち、穀壁の軟化温度
例えば、140℃以上であれば微量には熱膨張するが長
時間加熱を継続しても充分な熱膨張状態は得られない。
以後の本明細書に於いては、充分な熱膨張状態を呈する
温度を便宜上「熱膨張温度」という。)で適度に熱膨張
して発泡する熱膨張性マイクロカプセルを、靴本体を構
成するポリ塩化ビニルペースト樹脂に適当量混合する
と、 ゲル化温度以上であっても熱膨張温度未満のゲル化温
度域、例えば160〜180℃に半ゲル化物を加熱すれ
ば熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張を生じさせて発泡
させることなく又は微量な熱膨張の範囲で適度にゲル化
を進行させることが可能であり、一方、 熱膨張による発泡温度以上の温度、例えば190℃以
上であれば当然ゲル化は進行するとともに、比較的短時
間であっても熱膨張性マイクロカプセルは熱膨張して靴
本体を発泡させることができる。このように、 熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張による発泡は比較
的短時間でも完了するが更に加熱を増大すると比較的早
期にセルが崩壊し発泡倍率が低下する性質がある。ポリ
塩化ビニルペースト樹脂のゲル化はゆっくりと比較的長
時間かけて進行するため、例えば熱膨張温度以上のよう
な高温域に加熱して靴本体のゲル化と熱膨張性マイクロ
カプセルの熱膨張による発泡とを同時に行わせようとす
ると、熱膨張性マイクロカプセルが適度な熱膨張による
発泡状態に達しても靴本体のゲル化が不足して強度等の
物性が不足する。又、加熱を増大するとセルが崩壊して
発泡倍率が低下してしまう。そこで、 このゲル化の不足分を、マイクロカプセルの熱膨張に
よる発泡を生じないゲル化温度域へ予め加熱して補って
おくことにより、ゲル化の不足を生じることなく適正な
熱膨張による発泡を行うことができる。さらに、 マイクロカプセルは微細で良好なセルが得られる反
面、発泡状態が不安定で加熱により比較的早期にセルが
崩壊し、発泡倍率が低下する傾向があるから発泡剤分解
温度が200℃程度である例えばアゾ系,ニトロソ系,
ヒドラジン系等の発泡剤を併用することにより、マイク
ロカプセルのみによるコストの上昇を抑制できるととも
にマイクロカプセルによる微細で良好なセルと発泡剤に
よって発泡状態が安定し、熱膨張後の靴本体の発泡倍率
をよりいっそう安定することができ、量産性が特に要求
される発泡スラッシュ成形靴としての適応性をさらに向
上することができる。また、 発泡剤を併用する場合には、配合中の安定剤や発泡促
進剤,発泡抑制剤により発泡剤の温度速度を調整するこ
とも可能である。更にヒール用ペーストや靴底用のプラ
スチゾルに発泡抑制剤を使用することでヒール芯や靴底
に面する靴本体の発泡を抑制しその部分の強度を補強す
ることも可能である。
【0017】本発明者らはこれらの知見ないしに基
づいてさらに検討を重ねて、まず部位毎に肉厚が異なる
半ゲル化物をゲル化温度域に加熱することによりゲル化
を進行させておき、その後に部分的に加熱温度および加
熱時間をコントロールすることにより部位毎に所望の発
泡倍率の熱膨張による発泡を行わせることができること
を知見して、本発明を完成した。
【0018】以下に、上記課題を解決するための本発明
の具体的な構成を示す。
【0019】本発明にかかる請求項1記載の発泡スラッ
シュ成形靴は、ポリ塩化ビニルペースト樹脂と熱膨張性
マイクロカプセルとを含むプラスチゾルの加熱ゲル化物
により靴本体が構成される発泡スラッシュ成形靴であっ
て、靴本体は前記熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張に
より発泡されてなり、靴本体のうちの爪先部,踵部およ
び底部等の補強必要部分の肉厚は靴本体のうちの補強必
要部分を除くその他の部分の肉厚よりも増加されてなる
とともに、前記補強必要部分の全部分または一部分の発
泡倍率がその他の部分の発泡倍率よりも小さいことを特
徴とするものである。
【0020】本発明にかかる請求項記載の発泡スラッ
シュ成形靴は、請求項1記載の発泡スラッシュ成形靴に
おいて、靴本体が内面踵部にスラッシュ成形工程におい
て注入されたヒール用ペーストの加熱ゲル化物からなる
ヒール芯を備えるとともに、補強必要部分のうちの踵部
の底面の発泡倍率は爪先部および底部それぞれの発泡倍
率よりも小さいことを特徴とするものである。
【0021】本発明にかかる請求項記載の発泡スラッ
シュ成形靴は、請求項1または請求項2記載の発泡スラ
ッシュ成形靴において、靴本体の外面の全部または一部
に、非発泡または低発泡のポリ塩化ビニルペースト樹脂
を含むプラスチゾルの薄膜状の加熱ゲル化物からなる表
皮スキン層が形成されることを特徴とするものである。
【0022】本発明にかかる請求項記載の発泡スラッ
シュ成形靴は、請求項1または請求項2記載の発泡スラ
ッシュ成形靴において、靴本体の底面の外面の全部また
は一部に、非発泡または低発泡のポリ塩化ビニルペース
ト樹脂を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物からなる靴底
が形成されるとともに、補強必要部分のうちの爪先部お
よび踵部の肉厚は底部の肉厚よりも増加されてなること
を特徴とするものである。
【0023】本発明にかかる請求項記載の発泡スラッ
シュ成形靴は、請求項記載の発泡スラッシュ成形靴に
おいて、表皮スキン層の底面の外面または靴本体と表皮
スキン層との間の底面それぞれの全部または一部に、非
発泡または低発泡のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含む
プラスチゾルの加熱ゲル化物からなる靴底が形成される
とともに、補強必要部分のうちの爪先部および踵部の肉
厚は底部の肉厚よりも増加されてなることを特徴とする
ものである。
【0024】本発明にかかる請求項記載の発泡スラッ
シュ成形靴は、請求項1ないし請求項のいずれかに記
載の発泡スラッシュ成形靴において、靴本体を構成する
プラスチゾルが発泡剤を含むことを特徴とするものであ
る。
【0025】本発明にかかる請求項記載の発泡スラッ
シュ成形靴の製造法は、ポリ塩化ビニルペースト樹脂と
熱膨張性マイクロカプセルとを含むプラスチゾルの加熱
ゲル化物により靴本体が構成され、この靴本体が熱膨張
により発泡されてなるとともに、前記靴本体の補強必要
部分の肉厚は前記靴本体の他の部分の肉厚よりも増加さ
れてなる発泡スラッシュ成形靴を製造するに際し、ポリ
塩化ビニルペースト樹脂と,少なくともゲル化温度超で
膨脹状態を呈する熱膨張性マイクロカプセルとを含むプ
ラスチゾルをスラッシュ成形靴用モールドの内部にスラ
ッシュ成形靴の靴本体として必要な高さまで注入し、前
記靴本体のうちの爪先部,踵部および底部等の補強必要
部分,および当該補強必要部分を除くその他の部分それ
ぞれの半ゲル化加熱条件を違えて加熱することにより、
前記補強必要部分の肉厚が前記その他の部分の肉厚より
も大きい靴本体状の半ゲル化物を前記スラッシュ成形靴
用モールドの内壁面に付層形成し、前記半ゲル化物の内
面に残存する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出する第
1工程と,前記第1工程で形成された半ゲル化物を、ゲ
ル化温度以上であって前記マイクロカプセルが必要な熱
膨張による発泡温度未満の温度域に加熱してゲル化を進
行してから、前記マイクロカプセルが必要な熱膨張によ
る発泡温度以上の温度域に加熱して当該マイクロカプセ
ルを熱膨張により発泡させ前記靴本体を構成するプラス
チゾルの加熱ゲル化物を発泡させる第2工程とを備える
ことを特徴とするものである。
【0026】本発明にかかる請求項記載の発泡スラッ
シュ成形靴の製造法は、請求項記載の発泡スラッシュ
成形靴の製造法の第2工程において、第1工程で形成さ
れた半ゲル化物を、ゲル化温度以上であって熱膨張温度
未満の温度域に加熱してゲル化を進行してから、補強必
要部分を熱膨張温度未満ないしは熱膨張温度以上に短時
間加熱するとともにその他の部分を熱膨張温度以上の温
度域に加熱して発泡させることにより、ポリ塩化ビニル
ペースト樹脂と熱膨張性マイクロカプセルとを含むプラ
スチゾルの加熱ゲル化物により構成され、補強必要部分
の全部分または一部分の発泡倍率がその他の部分の発泡
倍率よりも小さく発泡されてなるとともに、補強必要部
分の肉厚はその他の部分の肉厚よりも増加されてなる靴
本体を形成することを特徴とするものである。
【0027】本発明にかかる請求項記載の発泡スラッ
シュ成形靴の製造法は、請求項または請求項記載の
発泡スラッシュ成形靴の製造法の第2工程において、第
1工程で形成された半ゲル化物を、ゲル化温度以上であ
って熱膨張温度未満の温度域に加熱してゲル化を進行す
る前に、半ゲル化物の内面踵部にヒール用ペーストを注
入しておくことにより、第2工程により形成される靴本
体が、内面踵部にヒール用ペーストの加熱ゲル化物から
なるヒール芯を設けられるとともに、補強必要部分のう
ちの踵部の底面の発泡倍率が爪先部および底部それぞれ
の発泡倍率よりも小さいことを特徴とするものである。
【0028】本発明にかかる請求項10記載の発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法は、請求項ないし請求項のい
ずれかに記載の発泡スラッシュ成形靴の製造法の第1工
程の前に、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチ
ゾルをスラッシュ成形靴用モールドの内部にスラッシュ
成形靴の靴本体として必要な高さ,または補強必要部分
を含む高さまで注入して加熱することにより靴本体状の
薄膜状の半ゲル化物をスラッシュ成形靴用モールドの内
壁面または内壁面下部に付層形成し、半ゲル化物の内面
に残存する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出しておく
ことにより、第2工程により形成される靴本体の外面の
全部または一部に、非発泡または低発泡のポリ塩化ビニ
ルペースト樹脂を含むプラスチゾルの薄膜状の加熱ゲル
化物からなる表皮スキン層が形成されることを特徴とす
るものである。
【0029】本発明にかかる請求項11記載の発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法は、請求項ないし請求項のい
ずれかに記載の発泡スラッシュ成形靴の製造法の第1工
程の前に、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチ
ゾルをスラッシュ成形靴用モールドの内部底部の全部ま
たは一部に注入して加熱することによりスラッシュ成形
靴用モールドの内部底部の全部または一部に靴底状の半
ゲル化物を付層形成しておくことにより、第2工程によ
り形成される靴本体の底面の外面の全部または一部に、
非発泡または低発泡のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含
むプラスチゾルの加熱ゲル化物からなる靴底が形成され
るとともに、補強必要部分のうちの爪先部および踵部の
肉厚は底部の肉厚よりも増加されてなることを特徴とす
るものである。
【0030】本発明にかかる請求項12記載の発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法は、請求項10記載の発泡スラッ
シュ成形靴の製造法の第1工程の前であって、表皮スキ
ン層を形成するプラスチゾルを注入する前,または表皮
スキン層となる半ゲル化物を形成して未ゲル化状態のプ
ラスチゾルを排出した後に、ポリ塩化ビニルペースト樹
脂を含むプラスチゾルをスラッシュ成形靴用モールドま
たは半ゲル化物の内部底部の全部または一部に注入して
加熱し全部または一部に靴底状の半ゲル化物を付層形成
しておくことにより、表皮スキン層の底面の外面の全部
または一部,または靴本体と表皮スキン層との間の底面
の全部または一部に、非発泡または低発泡のポリ塩化ビ
ニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物か
らなる靴底が形成されるとともに、補強必要部分のうち
の爪先部および踵部の肉厚は底部の肉厚よりも増加され
てなることを特徴とするものである。
【0031】本発明にかかる請求項13記載の発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法は、請求項ないし請求項12
いずれかに記載の発泡スラッシュ成形靴の製造法におい
て、靴本体を形成するプラスチゾルが発泡剤を含有する
ことを特徴とするものである。
【0032】
【作用】まず、本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴
を、添付図面を参照しながら各請求項毎に作用効果とと
もに詳述する。
【0033】(1)請求項1記載の発泡スラッシュ成形
靴 図1は、請求項1記載の発泡スラッシュ成形靴の構造を
示す縦断面図である。
【0034】この発泡スラッシュ成形靴1は、ポリ塩化
ビニルペースト樹脂と熱膨張させて発泡状態とした熱膨
張性マイクロカプセルとを含むプラスチゾルの加熱ゲル
化物により靴本体2が構成される。
【0035】ポリ塩化ビニルペースト樹脂としては、一
般的に塩化ビニルモノマーを、乳化重合,マイクロサス
ペンジョン等の重合法により得られる樹脂や塩化ビニル
と酢酸ビニル,塩化ビニリデン,エチレン,プロピレン
等との共重合により得られる樹脂や、分子内にヒドロキ
シル基(−OH)やカルボキシル基(−COOH)を含
み、架橋性を有するポリ塩化ビニルペースト樹脂等が使
用でき、重合度:1000〜2000程度のペースト樹
脂が例示される。
【0036】熱膨張性マイクロカプセルは、上述のプラ
スチゾルのゲル化温度よりも高い温度で熱膨張して発泡
する炭化水素を内包するものであり、炭化水素として
は、ブタン,テトラメチルメタン,イソペンタン,ノル
マルペンタン,トリメチルエチルメタン,ジメチルイソ
プロピルメタン,ジメチルプロピルメタン,メチルジエ
チルメタン,ノルマルヘキサン,2,2 −ジメチルペンタ
ン,2,4 −ジメチルペンタン,2,2,3 −トリメチルブタ
ン,3,3 −ジメチルペンタン,2,3 −ジメチルペンタ
ン,2−メチルヘキサン,3−メチルヘキサン,3−エ
チルペンタン,ノルマルヘプタン,ノルマルオクタンや
その異性体等を例示することができる。
【0037】また、マイクロカプセルの殻壁としては、
塩化ビニリデン,アクリロニトリル,アクリロニトリル
と塩化ビニリデンとの共重合物,アクリロニトリルやメ
タクリロニトリル等のニトリル系樹脂とメチルメタクリ
レートやエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステ
ルとの共重合物,ニトリル系樹脂とメチルアクリレート
やエチルアクリレート等のアクリル酸エステルとの共重
合物等が例示できる。
【0038】本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴の靴
本体を構成するプラスチゾルは、上述のような炭化水素
を内包する熱膨張性マイクロカプセルを含み、加熱によ
り前述のプラスチゾルのゲル化温度よりも低い温度で殻
壁が軟化して炭化水素がガス化し熱膨張して発泡する
が、本発明では、適度な熱膨張による発泡状態を呈する
熱膨張による発泡温度がゲル化温度(通常の場合約16
0℃であるが、配合により10〜15℃程度の幅を有し
ており、例えば可塑剤含有量を増加すると160℃より
も少し低下する。)以上のマイクロカプセルを使用す
る。
【0039】熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させる
ことにより得られる発泡状態の気泡は熱膨張性マイクロ
カプセルの穀壁の大きさによって定まり、発泡剤による
発泡に比べてセルが微細にできる。ただし、場合によっ
ては熱膨張後のセルの安定性が発泡剤に比べて劣り、加
熱条件が過剰となると、ガス化した炭化水素が穀壁から
抜けてしまい、セルが潰れて発泡倍率が逆に低下したり
表面の肌荒れを生じることが考えられるため、後述する
ように、熱膨張性マイクロカプセルとともに発泡剤を含
有させることがより安定した発泡状態を得る上で望まし
い。
【0040】このプラスチゾルは、通常の場合、これら
のポリ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤の他に、可
塑剤,安定剤さらには顔料を含むため、これらについて
も説明する。
【0041】可塑剤としては、DOP,DIDP,DH
P,DBP等のフタル酸エステル系、アジピン酸エステ
ル系、ポリエステル系さらにはエポキシ系等の各種可塑
剤が例示される。
【0042】安定剤としては、ジブチル錫ジラウレー
ト,ジブチル錫マレート等の有機錫系安定剤、錫メルカ
プト系、Ba系、Zn系、Ca系やこれらの複合体等が
例示される。なお、本発明では発泡剤とともにプラスチ
ゾルに含有させて用いるため、安定剤に用いる金属元素
の種類によっては、本来の使用目的である耐熱安定性の
他に発泡剤分解温度や発泡性に影響を与えることがある
ので、安定剤として用いる金属元素の選定には注意を要
する。具体的には、錫やBaは発泡を抑制し、Zn,P
b,Cd等は発泡を促進して発泡剤分解温度を低下せる
ため、Zn系を主体として他の安定剤を混合した複合安
定剤を用いることが望ましい。
【0043】顔料としては、靴本体に与える色に合わせ
て選定され、酸化チタン,ベンガラ,カーボンブラック
等の無機顔料や、ウオッチングレッド,フタロシアニ
ン,アゾ系有機顔料等が例示される。
【0044】これらを含有するプラスチゾルの組成は、
ポリ塩化ビニルペースト樹脂100重量部に対して、熱
膨張性マイクロカプセル:1〜10重量部,可塑剤:8
0〜100重量部,安定剤:3〜5重量部,顔料:1〜
3重量部である。
【0045】このような組成のプラスチゾルの加熱ゲル
化物から靴本体2が構成される。ここで、靴本体2とは
下部の底部3から上端の履口部4までの全てを含む部分
を意味しており、換言すれば、爪先部5,踵部6(後面
6aおよび底面6b)および底部3等の補強必要部分7
とこの補強必要部分7を除くその他の部分8とからなる
全部分である。なお、爪先部5は少なくとも靴本体先端
から脛側〜腓側の各中心点を結ぶ線に至る胛被を含む部
分を意味しさらにインステップ部の胛被部分を含んでも
よい。踵部6は少なくとも踵点を含む部分を意味しさら
にアキレス腱相当部等を含んでもよい。さらに底部3は
少なくとも接地面側全域を含む部分を意味し接地面から
立ち上がった底部周縁等を含んでもよい。さらに、踵部
6は、履心地や耐摩耗性向上のためにヒールリフトや嵌
め込みスパイクを後付けするための段差部が底面に設け
られた踵部も包含する。
【0046】靴本体2は、プラスチゾルに含まれる熱膨
張性マイクロカプセルが加熱されて熱膨張することによ
り発泡状態を呈する。発泡は、靴本体2の前述の補強必
要部分7とその他の部分8との間で、後述するように、
発泡の程度を変えて発泡する。
【0047】さらに、靴本体2のうちの爪先部5,踵部
6および底部3等の補強必要部分7の肉厚は、靴本体2
のうちの補強必要部分7を除くその他の部分8の肉厚よ
りも増加されている。すなわち、請求項1記載の発泡ス
ラッシュ成形靴1では、靴本体2が補強必要部分7とそ
の他の部分8とで発泡の程度が変えられて全体として軽
量化されるとともに、靴本体2のうちの補強必要部分7
の肉厚が大きくなっているため必要な強度が維持され
る。
【0048】なお、補強必要部分7の肉厚をその他の部
分よりも大きくするには、請求項記載の本発明にかか
る発泡スラッシュ成形靴の製造法の説明の際に詳述する
ように、スラッシュ成形工程における半ゲル化工程にお
いて、補強必要部分7になる部分とその他の部分8にな
る部分との間で、特定の範囲で加熱条件(加熱温度およ
び加熱時間の一方または双方)を変更する。
【0049】この発泡スラッシュ成形靴での発泡の程度
の変更は、補強必要部分7の全部分または一部分の発泡
倍率がその他の部分8の発泡倍率よりも小さくなってい
る。すなわち、爪先部5,踵部6および底部3等の補強
必要部分7の少なくとも一部はその他の部分8に比べて
肉厚が大きくなっているとともに発泡倍率が小さくなっ
ているために、強度が著しく増加し、靴本体2が求めら
れる機能を充分に備えた構造となっている。
【0050】なお、請求項1記載の発泡スラッシュ成形
靴において、発泡の程度を示す発泡倍率は(発泡後肉
厚)/(発泡前肉厚)×100(%)により算出される
が、靴本体2の発泡倍率が200%を越えると軽量化効
果は大きくなるものの靴本体2の強度が著しく低下し、
発泡スラッシュ成形靴1として必要な強度が維持されな
くなるおそれがある。そのため、靴本体2の発泡倍率は
200%以下であることが望ましい。靴本体2が必要と
する強度を確保するという観点からは発泡倍率の下限を
設ける必要はないが、発泡倍率が低下すればするほど軽
量化効果は低下するために極端に低い値にしないことが
望ましい。このような観点から発泡倍率は、例えば10
5%以上140%以下とすることが最も望ましい。
【0051】 ()請求項記載の発泡スラッシュ成形靴 図2は、請求項記載の発泡スラッシュ成形靴の構造を
示す縦断面図である。
【0052】図2に示す請求項2記載の発泡スラッシュ
成形靴1´は、前述した請求項1記載の発泡スラッシュ
成形靴1において、靴本体2が内面踵部にスラッシュ成
形工程において注入されたヒール用ペーストの加熱ゲル
化物からなるヒール芯9を備える。
【0053】このヒール芯9は、靴本体2の加熱ゲル化
工程(後述する請求項記載の製造法の第2工程)にお
いて、靴本体2となる半ゲル化物の内面底部に注入され
るヒール用ペーストの加熱ゲル化物である。
【0054】このヒール用ペーストの組成は、加熱ゲル
化後の硬度、加熱による体積変化率、さらには靴本体2
との密着強度等を勘案して適宜決定すればよく、特定の
種類に限定する必要はない。一例として、ポリ塩化ビニ
ルペースト樹脂100重量部に対して、可塑剤:70重
量部,熱硬化性可塑剤:20重量部,触媒:0.2重量
部,安定剤:1重量部,顔料:1重量部を例示すること
ができる。ここで、ポリ塩化ビニルペースト樹脂,可塑
剤,安定剤および顔料は、靴本体2を構成する前述のプ
ラスチゾルに含まれるものと同種のものであるため、こ
こでの説明は省略し、熱硬化性可塑剤および触媒につい
て説明する。
【0055】ヒール用ペーストに用いる熱硬化性可塑剤
を以下に例示する。 アリルエステル系熱硬化性可塑剤 フタル酸ジアリル,アクリル酸アリル,シアタール酸ト
リアリル,マレイン酸ジアリル,マレイン酸ジクロルア
リル,イタコン酸ジアリル,セバシン酸ジアリル,アジ
ピン酸ジアリル,マロン酸ジアリル,グリコール酸ジア
リル,アコニット酸トリアリル,リン酸トリアリル等。
【0056】アクリル酸エステル系熱硬化性可塑剤 アリルメタクリレート,ジアリルフマレート,トリエチ
レングリコールジメタクリレート,エチレングリコール
ジメタクリレート,シクロヘキシルメタクリレート,テ
トラエチレングリコールジメタクリレート,ポリエチレ
ングリコールジメタクリレート,ポリプロピレングリコ
ールジメタクリレート,ブタン1,4 ジオールジメタクリ
レート,トリメチロールプロパントリメタクリレート,
トリメチロールプロパントリアクリレート,トリメチロ
ールプロパンプロピレンオキサイド付加物トリアクリレ
ート,ジメチルアミノエチルメタクリレート,1,3 ブチ
レングリコールジメタクリレート等。
【0057】不飽和ポリエステル系熱硬化性可塑剤 分子内に何個かの二重結合を有する直線状ポリエステル
で加熱することによりラジカル重合する。
【0058】エポキシ系熱硬化性可塑剤 長鎖状や環状脂肪族エポキシ樹脂に脂肪族アミン類,酸
無水物等の硬化剤を加えて硬化させる。
【0059】特に、アリルエステル系熱硬化性可塑剤,
アクリル酸エステル系熱硬化性可塑剤は、重合触媒とし
て、過酸化ベンゾイル(BPO),t−ブチルパーベン
ゾエート(TBPB),ジクミルパーオキサイド(DC
PO),クメンハイドロパーオキサイド(CHPO)等
を添加して加熱することにより、ラジカル重合して硬化
する。
【0060】また、ヒール用ペーストに用いる熱硬化性
可塑剤,触媒は、上記より適宜選定すればよいが、後述
する実施例では熱硬化性可塑剤としてトリメチロールプ
ロパントリメタクリレート,触媒としてt−ブチルパー
ベンゾエート(TBPB)を使用した。
【0061】さらに、図2に示す発泡スラッシュ成形靴
1´は、補強必要部分7のうち上記のヒール芯9が接す
る踵部6の底面6bの発泡倍率が爪先部5および靴底部
3それぞれの発泡倍率よりも小さくなっている。そのた
め、補強必要部分7のうちでも特に強度が要求される踵
部6の底面6bの発泡の程度が爪先部5および靴底部3
の発泡の程度よりも抑制され、換言すれば、踵部6の底
面6bの発泡の程度が靴本体2のうちでも最も抑制さ
れ、踵部6の底面6bの強度を確保できる。
【0062】なお、ヒール芯9を構成するヒール用ペー
ストが耐熱性を有する中空体および発泡抑制剤の一方な
いしは双方を含有してもよい。
【0063】中空体を含有させておくことによりヒール
用ペーストの加熱ゲル化物であるヒール芯9を軽量化で
きる。ヒール芯9の軽量化を図る手段としてヒール用ペ
ーストに発泡剤を含有させておくことも考えられるが、
加熱による発泡の際に半ゲル化物の内部底面に注入され
たヒール用ペーストが凸状に膨脹してしまい、上面が略
直線状のヒール芯9の所定の形状を維持できなくなるこ
とがある。また、後述するようにヒール用ペーストに発
泡抑制剤を含有させる場合、発泡剤を含有させても発泡
抑制剤により発泡ができなくなるという問題がある。中
空体であれば加熱による発泡等の必要もなく、それ自体
で空所を形成して発泡させた状態と同一にでき、このよ
うな問題を生じることはない。
【0064】一方、発泡抑制剤を含有させておくことに
より、踵部6の発泡加熱条件を変えることなくヒール用
ペーストが接触する靴本体2の踵部6の底面6bおよび
後面6aの発泡倍率を抑制することができ、踵部6の強
度をよりいっそう向上できるようになる。
【0065】中空体としては、シラスバルーン,シリカ
バルーン,ガラスバルーン,カーボンバルーン,アルミ
ナバルーン,塩化ビニリデンバルーン,フェノールバル
ーン等がある。
【0066】また、発泡抑制剤としては、マレイン酸,
フマル酸,1,2 −フタル酸等の有機酸ステアロイルクロ
リド,フタロイルクロリド等のハロゲン化有機酸,無水
マレイン酸,無水フタル酸,無水トリメリット酸等の有
機酸無水物,ハイドロキノン等の多価アルコール,脂肪
酸アミン,アミド,オキシム等の窒素含有物,メルカプ
タン,硫化物,イソシアネート等のイオウ含有物,亜リ
ン酸塩化物等のリン酸塩,ジブチル錫マレート,塩化
錫,硫酸錫等の錫化合物,その他ヘキサクロロシクロペ
ンタジエン等が例示できる。
【0067】中空体および発泡抑制剤を含むヒール用ペ
ーストの組成としては、例えば、ポリ塩化ビニルペース
ト樹脂100重量部に対して、可塑剤:70重量部,熱
硬化性可塑剤:20重量部,触媒:0.2重量部,安定
剤:1重量部,中空体:10重量部,発泡抑制剤:5重
量部,顔料:1重量部を例示することができる。
【0068】 ()請求項記載の発泡スラッシュ成形靴 図3(a)または図3(b)に示すように、この請求項
記載の発泡スラッシュ成形靴1´´では、このような
靴本体2の外面の全部(図3(a)参照)または一部
(図3(b)参照)に、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を
含むプラスチゾルの加熱ゲル化物により構成される非発
泡または低発泡の表皮スキン層10が設けられる。
【0069】表皮スキン層10を構成するプラスチゾル
に含有されるポリ塩化ビニルペースト樹脂は、靴本体2
を構成するプラスチゾルに含有される前述のポリ塩化ビ
ニルペースト樹脂と全く同様であることが靴本体2と表
皮スキン層10との密着強度を充分に維持する観点から
は望ましい。
【0070】表皮スキン層10を構成するプラスチゾル
は、ポリ塩化ビニルペースト樹脂の他に可塑剤,安定剤
さらには顔料等を含有するが、これらの配合例はポリ塩
化ビニルペースト樹脂100重量部に対して、可塑剤:
80〜100重量部,安定剤:3〜5重量部,顔料:1
〜3重量部である。
【0071】なお、表皮スキン層10の成膜範囲は、図
3(a)に示すように、靴本体2の外面全部を覆う範囲
でもよく、または図3(b)に示すように、靴本体2の
外面全面ではなく靴本体2のうちの爪先部5,踵部6お
よび底部3等の補強必要部分7と後部縦壁面11とを覆
う範囲でもよい。
【0072】ここで、後部縦壁面11とは、発泡スラッ
シュ成形靴1´´の外面のうちで、スラッシュ成形工程
においてスラッシュ成形靴用モールドを後傾させて内部
の余剰の未ゲル化を排出する際に流動・排出される未ゲ
ル化ゾルがスラッシュ成形靴用モールド後部内壁面と接
触することにより形成される外面をいう。
【0073】すなわち、図3(b)に示す発泡スラッシ
ュ成形靴1´´は図3(a)に示す発泡スラッシュ成形
靴1´´に比較して、靴本体2を保護する表皮スキン層
10の成膜範囲が引っ掻き傷抵抗性を向上させる必要が
ある範囲に限定されたものである。さらに、表皮スキン
層10は薄膜状であるために微少ではあるが、肉厚が増
加することにより爪先部5,踵部6および底部3等の補
強必要部分7と後部縦壁面11との強度上昇効果を奏す
る。
【0074】また、表皮スキン層10の肉厚が0.5mm
を越えると、その分だけ軽量化効果が減少するとともに
靴本体2の表面に形成される皮革紋様意匠や皮革カーフ
調の小皺が覆い隠されてしまう。そこで、表皮スキン層
10の肉厚は0.5mm以下であることが望ましい。この
ような観点からは表皮スキン層10の肉厚の下限を設け
る必要はないが、薄すぎると靴本体2の保護効果が不足
することから表皮スキン層10の肉厚の下限は0.1mm
とすることが望ましい。
【0075】このように、靴本体2および表皮スキン層
10を備える請求項記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴1´´では、靴本体2は熱膨張性マイクロカ
プセルの熱膨張によって発泡されることにより軽量化さ
れるとともに発泡部分が断熱効果を奏するために保温性
が向上する。また、発泡により感触が柔らかくなり履き
心地が向上する。また、発泡により靴本体2の表面には
皮革紋様意匠に加え、皮革カーフ調の小皺が形成され、
高級感が付与される。さらに、従来のスラッシュ成形靴
と同様の材料に熱膨張性マイクロカプセルを用いるだけ
で構成されるため、低コストで製造できる。
【0076】なお、請求項記載の本発明にかかる発泡
スラッシュ成形靴1´´では、靴の骨格をなすのは靴本
体2であり、表皮スキン層10はこの靴本体2の表面保
護膜(スキン)として作用するが、僅かではあるが、肉
厚の増加により例えば靴本体2の後部縦壁面11の剛性
を向上させる。
【0077】また、請求項記載の発泡スラッシュ成形
靴1´´では、軽量化をさらに推進するという観点か
ら、表皮スキン層10を構成するプラスチゾルが発泡剤
を微量含有し、低発泡の状態として発泡させないスキン
層10の厚さと同一にするようにしてもよい。
【0078】発泡剤は、アゾジカルボンアミド,アゾビ
スホルムアミド,アゾビスイソブチロニトリル,アゾヘ
キサヒドロベンゾニトリル,ジアゾアミノベンゼン等の
アゾ化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミン,N,
N'ジニトロソ−N,N'−ジメチルテレフタルアミド等のニ
トロソ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド,トルエ
ンスルホニルヒドラジド,ジフェニルスルフォン−3,3'
−ジスルホニルヒドラジド,ジフェニルオキシド−4,4'
−ジスルホニルヒドラジド等のヒドラジド化合物、テレ
フタルアジド,P−トルエンスルホニルセミカルバジ
ド,トリヒドラジノトリアジン等の有機系化学発泡剤
や、重炭酸ナトリウム,重炭酸アンモニウム,炭酸アン
モニウム等の無機系化学発泡剤を例示することができ
る。
【0079】ポリ塩化ビニルペースト樹脂100重量部
に対して発泡剤の含有量が0.3重量部を越えると、表
皮スキン層10の表面における発泡が顕著になり靴本体
2の保護機能が低下するため、発泡剤の含有量はポリ塩
化ビニルペースト樹脂100重量部に対して0.3重量
部以下とすることが望ましく、同様の観点から0.1重
量部以下とすることがさらに望ましい。
【0080】 ()請求項記載の発泡スラッシュ成形靴 図4(a)または図4(b)に示すように、靴本体2の
外面底部の全部または一部(図4(a)または図4
(b)に示す実施例では全部)にはポリ塩化ビニルペー
スト樹脂を含み、基本的には発泡剤を含まないプラスチ
ゾルの加熱ゲル化物からなる靴底12が設けられてい
る。
【0081】このようなプラスチゾルの組成例として
は、ポリ塩化ビニルペースト樹脂100重量部に対し
て、可塑剤:80〜100重量部,安定剤:3〜5重量
部,顔料:1〜3重量部である。
【0082】この靴底12はその全域にわたって略均一
な厚さに形成される。また、形成手段としては、後述す
るように、この靴底12を第1層目とするとともに靴本
体2を第2層目とする2層スラッシュ成形靴の製造法が
用いられる。
【0083】本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴1´
´´は、靴底12を構成するプラスチゾルと,熱膨張性
マイクロカプセルを含み靴本体2を構成するプラスチゾ
ルとを違えて2層スラッシュ成形靴としているため、こ
れら両者のプラスチゾルの組成を適宜調整することによ
り、靴本体2の軽量化を図りながら靴底12の耐摩耗性
を確実に維持できる。すなわち、靴本体2を構成するプ
ラスチゾルは軽量化,保温性等の前述の効果に力点をお
いた組成とするとともに、靴底12を構成するプラスチ
ゾルは耐摩耗性に力点をおいた組成とする。
【0084】また、靴底12が存在することにより、ス
ラッシュ成形の加熱の際に、靴本体2の底部3が受ける
熱量をこの靴底12が吸収して底部3の温度上昇を抑制
する。そのため、靴底12が接する底部3の肉厚を爪先
部5および踵部6に比較して低下するが、靴底12によ
り強度,耐摩耗性等は充分に維持される。また、靴底1
2が存在することにより熱容量が増大し、半ゲル化物の
際に底部3が受ける熱量が低下するため、底部3の発泡
倍率が低く抑制され、底部3の強度が上昇する。
【0085】この場合の底部3の肉厚は1mm以下である
ことが望ましい。靴本体2の底部3の肉厚が1mmを越え
ると、靴底12と接することによる発泡抑制効果が少な
くなり、底部3の発泡を抑制できなくなり底部3の所望
の強度を確保できない可能性がある。そのため、底部3
の肉厚は1mm以下であることが望ましい。さらに、底部
3の肉厚が0.3mm以上0.5mm以下になると、発泡の
程度は低下して低発泡となり、さらに0.1mm以下にな
ると発泡剤の分解時に発生するガスが空気中に放出され
て非発泡となる。したがって、底部3の肉厚は1mm以下
が望ましく、低下すればするほど発泡が抑制されるため
により望ましい。
【0086】なお、この靴底12に発泡抑制剤を含有さ
せておくことにより、靴本体2の踵部6だけではなく底
部3全体の発泡を抑制することもできる。特に、例えば
図4(b)に示す発泡スラッシュ成形靴1´´´の靴本
体2の踵部6は、発泡抑制剤を含むヒール芯9と発泡抑
制剤を含む靴底12とに上下から挾まれることになり、
著しく発泡が抑制され強度が増加する。
【0087】この場合の靴底12を構成するプラスチゾ
ルの組成例としては、ポリ塩化ビニルペースト樹脂10
0重量部に対して、可塑剤:70重量部,熱硬化性可塑
剤:20重量部,触媒:1重量部,安定剤:1重量部,
発泡抑制剤:5重量部,顔料:1重量部である。
【0088】これ以外の靴底を構成するプラスチゾルに
用いることができる樹脂として、架橋性ポリ塩化ビニル
樹脂、コポリマー樹脂または、架橋性ポリ塩化ビニル樹
脂,熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤の3種のうちの
2種以上の組合せを用いることにより靴底の耐摩耗性を
向上することができる。以下、これらの樹脂についても
説明する。
【0089】靴底の諸性能の向上を図るため特に有効な
樹脂は、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂、コポリマー樹
脂または、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂,熱硬化性可
塑剤,耐油性可塑剤の3種のうちからいずれか2種以
上を組み合わせて構成したものであり、具体的には、次
のA〜Fの6種類になる。
【0090】A:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂 B:コポリマー樹脂 C:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性可塑剤 D:熱硬化性可塑剤と耐油性可塑剤 E:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と耐油性可塑剤 F:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性可塑剤と
耐油性可塑剤 さらに、これらの樹脂A〜Fを混合するプラスチゾルの
それぞれについて防滑性素材を混合すること、および
/または着色透明性を持たせるようにすることを組み
合わせることができ、最終的には、A,A+,A+
,A++,B,B+,B+,B++,…
……,F,F+,F+,F++の合計24種類
になる。
【0091】(I)A:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂,
A+防滑性素材,A+着色透明性,A+防滑性素
材+着色透明性 本発明で靴底に用いることが望ましい架橋性ポリ塩化ビ
ニル樹脂は、分子内にヒドロキシル基、カルボキシル
基、エポキシ基およびアルコキシ基等の一種または二種
以上を有し、イソシアネート等の架橋剤を混合して加熱
することにより架橋硬化するものである。
【0092】架橋剤としては、トリレンジイソシアネー
ト、トリレンイソシアネートダイマー、ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、トリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネー
ト付加物、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポ
リメチレンポリフェニルイソシアネート、琥珀酸、グル
タル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、フタ
ル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸および
これらの無水物、n=10までのエポキシ、トリグリシ
ジルイソシアネート、4,4´−ジアミノジフェニルメ
タングリシジルアミン、分子内にメルカプト(−S−
H)基を含むアゾール、チアゾールおよびトリアジン化
合物またはその金属塩(2−R−4.6−ジメルカプト
−S−トリアジン等)、分子内にアゾ基(−N=N−
基)、−S−S−基、−N−S−基、−O−O−基を含
む化合物等が例示される。
【0093】架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラ
スチゾルの組成例は、ポリ塩化ビニルペーストレジン:
50〜90重量部、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂:10〜
50重量部、可塑剤:80〜120重量部、安定剤:2
〜3重量部、架橋剤:0.5〜3重量部、顔料:0〜2
重量部である。
【0094】本発明において、靴底が架橋性ポリ塩化ビ
ニル樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物により
構成される場合には、架橋により靴底の耐熱性が向上し
加熱条件下にあっても溶融し難くなり、耐シガレット性
(耐熱性)が向上する。また、架橋により靴底の強度、
耐油耐薬品性および耐摩耗性も向上する。
【0095】なお、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合し
たプラスチゾルをスラッシュ成形靴用モールドの上端ま
で注入して架橋を行ってしまうと、架橋によりスラッシ
ュ成形靴用モールドからの剥離が難しくなり脱型性が著
しく低下し量産が困難になるが、本発明では、架橋性ポ
リ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルを用いるのは
靴底だけであるため、脱型性も余り低下せず、また、高
価な架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾル
の使用量を必要最少限に抑制することができるため、製
造コストの上昇を可及的に抑制することができる。
【0096】また、本発明では、靴底の原料となる架橋
性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルに、必要
に応じて、さらに防滑性素材を混合しておくことによ
り、靴底の強度、耐油耐薬品性および耐摩耗性に加えて
さらに靴底の防滑性を向上することができる。
【0097】防滑性素材は一般に有色かつ不溶性な物で
あるため、靴底以外の部分に混入すると異物として認識
されて外観品質が著しく劣下してしまうが、ここでは靴
底にだけ混合するため、外観品質を劣下させることなく
靴底に防滑作用を付与することができる。むしろ、防滑
素材を混合することにより靴底に確実に付与できる防滑
性を視覚に訴えることができるため、降雪地等で販売さ
れるスラッシュ成形靴の商品性を向上することもでき
る。
【0098】防滑性素材の具体例としては、綿、スフ
(ステープルファイバー)、レーヨン、アクリル、ビニ
ロン、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタンさらには
ガラス繊維等の繊維であって太さが50デニール以下、
長さが3.0mm以下の比較的細くて短い繊維や、皮粉
末や、金属系ウイスカー、無機系ウイスカー、鉄、アル
ミニウム等の金属粉末や、アルミナ粉末、セラミック粉
末や、NBR等の合成ゴム、架橋樹脂、アクリル樹脂、
ウレタン樹脂等の不溶性の粉末である。なお、粉末の防
滑性素材は、大きさ30メッシュ以下、望ましくは10
0メッシュ以下である。
【0099】さらに、靴底を構成する架橋性ポリ塩化ビ
ニル樹脂を混合したプラスチゾル、靴本体を構成するポ
リ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルともに同色、
例えば黒色としておけば、靴底および靴本体の境界部が
目立たなくなり外観品質が向上するが、これに加えて、
靴底の原料となる架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合した
プラスチゾルを着色透明性を有するようにしておくと、
スラッシュ成形によりスラッシュ成形靴用モールド内に
1回目に注入した際のスラッシュ成形靴用モールド内面
への跳ね返りや振動によりスラッシュ成形靴用モールド
内面への付着があっても、後続して行われる加熱ゲル化
までに自然に流れ落ちて薄膜になった際に樹脂が透明で
あることから目立たなくなって、製品段階において1回
目注入による跳ね返り跡を目立たなくすることができ
る。
【0100】したがって、跳ね返りに伴う手直工程を省
略することができ、量産性を要求されるスラッシュ成形
靴として望ましい。なお、靴底に透明性のある架橋性ポ
リ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルを用いるた
め、ゴムのクレープやスモークの色相に近似させること
によりゴムによく似た高品位の靴底にすることもでき、
より商品性を向上することができる。
【0101】架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラ
スチゾルに着色透明性を付与するには、通常の場合に樹
脂:100重量部に対して1〜2重量部程度使用する顔
料(ペースト状顔料やマスターバッチの場合は顔料と混
合してある樹脂や可塑剤の量は含まない。)を、0〜
0.2重量部、より望ましくは0.02〜0.1重量部
に低減する。
【0102】(II)B:コポリマー樹脂,B+防
滑性素材,B+着色透明性,B+防滑性素材+着
色透明性 コポリマー樹脂は、塩化ビニルモノマーとコモノマーと
を共重合して得られる樹脂であり、具体的には、塩化ビ
ニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂、塩化ビニル−塩化ビ
ニリデンコポリマー樹脂、塩化ビニル−プロピレンコポ
リマー樹脂さらには塩化ビニル−エチレンコポリマー樹
脂等を例示することができる。このようなコポリマー樹
脂は従来から用いられている通常のストレート樹脂(例
えばポリ塩化ビニル樹脂)に比較すると、より低温域で
ゲル化溶融する特性がある。
【0103】コポリマー樹脂を混合したプラスチゾルの
組成例は、コポリマー樹脂:100〜20重量部、可塑
剤:80〜120重量部、安定剤:2〜3重量部、顔
料:0〜2重量部である。
【0104】可塑剤としては、DOP等のフタル酸エス
テル系可塑剤の他アジピン酸エステル系、ポリエステル
系、エポキシ系等の各種可塑剤を使用することができ
る。
【0105】安定剤としては、ジフチルチンジラウレー
ト等の錫ラウレート系安定剤、ジプチルチンジマレート
等の錫マレート系安定剤の他錫メルカプト系、Ba系、
Zn系、Ca系およびこれらの複合体等の各安定剤を使
用することができる。
【0106】靴底にコポリマー樹脂を混合したプラスチ
ゾルを用いているため、その製造に際して靴底に相当す
る第1層のゲル化性が向上する。さらに加熱を続けて靴
本体に相当する第2層のキュアー温度まで昇温すること
により、第1層と第2層との界面の密着強度がよりいっ
そう向上し、2層スラッシュ成形靴において問題となる
ことがある靴底とこれに接する靴本体との間での界面剥
離が解消される。
【0107】換言すれば、第1層のうちの特に踵部が加
熱されると、この踵部は容量が大きいために供給された
熱は直ちに熱容量が大きい第2層側さらに踵へと熱伝導
されるため、第1層および第2層ともにゲル化し難くな
る。
【0108】第1層にストレートのポリ塩化ビニル樹脂
を使用すると、たとえ第2層にコポリマー樹脂を使用し
ても第1層のゲル化が進行し難く、物性,耐摩耗性およ
び接着力がいずれも低下する。しかし、第1層にコポリ
マー樹脂を使用すると、ゲル化性が良いこと,外側から
加熱されるため熱を受け易いことから、たとえ第2層に
ストレートのポリ塩化ビニル樹脂を使用しても、物性,
耐摩耗性および接着力がいずれも顕著に向上する。
【0109】したがって、靴本体にポリ塩化ビニルペー
スト樹脂を用い靴底にポリ塩化ビニルペースト樹脂を用
いるか、または、靴本体にコポリマー樹脂を用い靴底に
ポリ塩化ビニルペースト樹脂を用いると、第1層をその
溶融温度まで上昇させて靴底の物性,耐摩耗性,靴底と
靴本体との間の接着力を確保するために適宜手段(例え
ば踵部分の加熱温度制御を正確に行う)により第1層を
その溶融温度に達するようにコントロールする必要があ
ったが、第1層にコポリマー樹脂を使用することにより
第1層のゲル化・溶融温度が低下し同じ加熱条件であっ
ても容易かつ確実に第1層の溶融温度に達するため、前
述のような温度コントロールを行う必要なく第2層の加
熱・ゲル化を行うことができるようになり、第1層およ
び第2層の間の密着強度を確実に維持できるようにな
る。
【0110】また、靴底にコポリマー樹脂を混合したプ
ラスチゾルの加熱ゲル化物を使用しており、ポリ塩化ビ
ニルペースト樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化
物に比較すると加熱ゲル化物の硬度が低下するために靴
底が柔軟性を有し、路面捕捉力の大きな防滑性に優れた
靴を製造することができる。
【0111】なお、本発明にかかるスラッシュ成形靴で
は、靴底である第1層にコポリマー樹脂を使用するだけ
でなく、靴本体である第2層にコポリマー樹脂を混合し
たプラスチゾルを用いることも可能であり、こうするこ
とによっても第1層のうちの踵部とこれに接する第2層
との間のゲル化性,密着性を向上することができるよう
になる。しかし、コポリマー樹脂はポリ塩化ビニル樹脂
に比較すると増粘し易いため、第2層の余剰分として回
収再利用しようとすると再利用するまでの間に増粘し、
厚みの安定性やピンホールの発生等の問題が発生する。
これらの問題を解消するために製造コストが上昇し、ス
ラッシュ成形靴の長所である量産性を阻害するおそれが
ある。そのため、第1層と第2層との間の接着性、作業
性、品質の安定さらには価格等の観点から内層である第
2層にはポリ塩化ビニル樹脂を用いコポリマー樹脂を用
いないことが望ましい。
【0112】(III)C:架橋性ポリ塩化ビニル樹
脂と熱硬化性可塑剤,C+防滑性素材,C+着色
透明性,C+防滑性素材+着色透明性 本発明では、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性
可塑剤とを混合したプラスチゾルを用いるが、架橋性
ポリ塩化ビニル樹脂については上記(I)Aで説明した
ので省略する。
【0113】架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラ
スチゾルは架橋性ポリ塩化ビニル樹脂が粉末であって比
較的高い粘度になり易いため、スラッシュ成形靴用モー
ルド等への注入といった作業の作業性が低下するおそれ
がある。
【0114】そこで、前述のプラスチゾルには作業性の
低下を防止するため、熱硬化性可塑剤を混合するように
する。
【0115】熱硬化性可塑剤は硬化前は液体であるため
架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルに混
合すると、このプラスチゾルの粘度を調整することがで
き、加熱後は架橋して樹脂になり、また、熱硬化性可塑
剤の種類は豊富であり、硬化後の硬さが比較的柔らかい
ものから硬いものまで数多く選択できるため、靴底の硬
度の設定もある程度自由に行うことができるようにな
る。
【0116】ここで使用することができる熱硬化性可塑
剤の種類を以下に列記する。 アリルエステル系熱硬化性可塑剤 フタル酸ジアリル、アクリル酸アリル、シアタール酸ト
リアリル、マレイン酸ジアリル、マレイン酸ジクロルア
リル、イタコン酸ジアリル、セバシン酸ジアリル、アジ
ピン酸ジアリル、マロン酸ジアリル、グリコール酸ジア
リル、アコニット酸トリアリル、リン酸トリアリル等。
【0117】アクリル酸エステル系熱硬化性可塑剤 アリルメタクリレート、ジアリルフマレート、トリエチ
レングリコールジメタクリレート、エチレングリコール
ジメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テ
トラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレ
ングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコ
ールジメタクリレート、ブタン1,4ジオールジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメ
チロールプロパンプロピレンオキサイド付加物トリアク
リレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、1,
3ブチレングリコールジメタクリレート等。
【0118】不飽和ポリエステル系熱硬化性可塑剤 分子内に何個かの二重結合を有する直線状ポリエステル
で加熱することによりラジカル重合する。
【0119】エポキシ系熱硬化性可塑剤 長鎖状や環状脂肪族エポキシ樹脂に脂肪族アミン類、酸
無水物等の硬化剤を加えて硬化させる。
【0120】特に、アリルエステル系熱硬化性可塑剤、
アクリル酸エステル系熱硬化性可塑剤は、重合触媒とし
て、過酸化ベンゾイル(BPO)、t−ブチルパーベン
ゾエート(TBPB)、ジクミルパーオキサイド(DC
PO)、クメンハイドロパーオキサイド(CHPO)等
を添加して加熱することにより、ラジカル重合して硬化
する。
【0121】以上の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および熱
硬化性可塑剤を混合したプラスチゾルの組成例は、ポリ
塩化ビニルペーストレジン:50〜90重量部、架橋性
ポリ塩化ビニル樹脂:10〜50重量部、可塑剤:80
〜120重量部、熱硬化性可塑剤:10〜40重量部、
触媒:0.3〜1重量部、安定剤:2〜3重量部、架橋
剤:0.5〜3重量部、顔料:0〜2重量部である。
【0122】このような発泡スラッシュ成形靴は、靴底
の全部または一部が架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および熱
硬化性可塑剤を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物に
より構成されるため、架橋により靴底の耐熱性が向上し
加熱条件下にあっても溶融し難くなり、耐シガレット性
(耐熱変形性)が向上する。
【0123】また、架橋により靴底の強度、耐油耐薬品
性および耐摩耗性も向上する。なお、架橋性ポリ塩化ビ
ニル樹脂および熱硬化性可塑剤を混合したプラスチゾル
を用いるのは靴底の全部または一部であるため、脱型性
も余り低下せず、また、使用量を必要最少限に抑制する
ことができるため、製造コストの上昇を可及的抑制する
ことができる。
【0124】(IV)D:熱硬化性可塑剤と耐油性
可塑剤,D+防滑性素材,D+着色透明性,D+
防滑性素材+着色透明性 本発明では、熱硬化性可塑剤と耐油性可塑剤とを混
合したプラスチゾルを用いるが、熱硬化性可塑剤につ
いては上記(III)Cで説明したので省略する。
【0125】ここでは、熱硬化性可塑剤を混合したプラ
スチゾルに、さらに耐油性可塑剤(例えば高分子量の可
塑剤)を混合するようにしており、これにより、靴底に
耐油性を与え、ガソリンや油類への抽出を少なくして、
ガソリンスタンドや各種食品工場での使用に対する適応
性をより一層向上する。
【0126】耐油性可塑剤とは、アジピン酸系ポリエス
テル、フタル酸系ポリエステル等の重合型ポリエステル
可塑剤であって、重合度:800以上4000以下、望
ましくは1000以上3000以下の可塑剤である。
【0127】重合度800未満では食品工場等の植物
油、動物油、ガソリン等に可塑剤が抽出されて硬くな
り、耐油性の向上効果が小さくなる一方、重合度が20
00以上4000以下では、耐油性の向上効果が大きく
なるが、重合度が4000を越えるとプラスチゾルの粘
度が高くなり流動性が著しく低下するため作業性が悪化
する。
【0128】熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合
したプラスチゾルの組成例は、ポリ塩化ビニルペースト
レジン:100重量部、一次可塑剤:10〜50重量
部、耐油性ポリエステル可塑剤:80〜40重量部、熱
硬化性可塑剤:10〜40重量部、触媒:0.3〜1重
量部、安定剤:2〜3重量部、顔料:0〜2重量部であ
る。
【0129】靴底のうちの全部または一部が熱硬化性可
塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルの加熱
ゲル化物により構成されるため、靴底の耐熱性が向上し
加熱条件下にあっても溶融し難くなり、耐シガレット性
(耐熱変形性)が向上する。
【0130】また、靴底の強度および耐摩耗性も向上す
る。さらに、耐油性可塑剤を混合しているため耐油耐薬
品性も向上する。なお、熱硬化性可塑剤および耐油性可
塑剤を混合したプラスチゾルを用いるのは靴底であるた
め、脱型性も余り低下せず、また、高価な熱硬化性可塑
剤および耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルの使用量
を必要最少限に抑制することができるため、製造コスト
の上昇を可及的抑制することができる。
【0131】(V)E:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と
耐油性可塑剤,E+防滑性素材,E+着色透明
性,E+防滑性素材+着色透明性 本発明では、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と耐油性可
塑剤を混合したプラスチゾルを用いるが、架橋性ポリ
塩化ビニル樹脂と耐油性可塑剤についてはそれぞれ上
記(I)Aおよび(IV)Dで説明したので省略する。
【0132】ここで用いる架橋性ポリ塩化ビニル樹脂お
よび耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルの組成例は、
ポリ塩化ビニルペーストレジン:90〜0重量部、架橋
性ポリ塩化ビニル樹脂:10〜100重量部、一次可塑
剤:10〜50重量部、耐油性ポリエステル可塑剤:8
0〜40重量部、安定剤:2〜3重量部、架橋剤:0.
5〜3重量部、顔料:0〜2重量部である。
【0133】この発泡スラッシュ成形靴は、靴底の全部
または一部が架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および耐油性可
塑剤を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物により構成
されるため、架橋により靴底の耐熱性が向上し加熱条件
下にあっても溶融し難くなり、耐シガレット性(耐熱変
形性)が向上する。
【0134】また、架橋により靴底の強度および耐摩耗
性も向上する。さらに、耐油性可塑剤を混合しているた
め耐油耐薬品性も向上する。なお、架橋性ポリ塩化ビニ
ル樹脂および耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルを用
いるのは靴底であるため、脱型性も余り低下せず、ま
た、高価な架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および耐油性可塑
剤を混合したプラスチゾルの使用量を必要最少限に抑制
することができるため、製造コストの上昇を可及的抑制
することができる。
【0135】(VI)F:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂
と熱硬化性可塑剤と耐油性可塑剤,F+防滑性素
材,F+着色透明性,F+防滑性素材+着色透明
性 本発明では、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性
可塑剤と耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルを用い
るが、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性可塑剤
と耐油性可塑剤については上記(I)A、(III)
C、および(IV)Dでそれぞれ説明したので省略す
る。
【0136】ここで用いる架橋性ポリ塩化ビニル樹脂、
熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラスチ
ゾルの組成例は、ポリ塩化ビニルペーストレジン:50
〜90重量部、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂:10〜50
重量部、一次可塑剤:10〜50重量部、耐油性ポリエ
ステル可塑剤:80〜40重量部、熱硬化性可塑剤:1
0〜40重量部、触媒:0.3〜1重量部、安定剤:2
〜3重量部、架橋剤:0.5〜3重量部、顔料:0〜2
重量部である。
【0137】本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴は、
靴底の全部または一部が架橋性ポリ塩化ビニル樹脂、熱
硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラスチゾ
ルの加熱ゲル化物により構成されるため、架橋により靴
底の耐熱性が向上し加熱条件下にあっても溶融し難くな
り、耐シガレット性(耐熱変形性)が向上する。
【0138】また、架橋により靴底の強度および耐摩耗
性も向上する。さらに、耐油性可塑剤を混合しているた
め耐油耐薬品性も向上するなお、ここでは架橋性ポリ塩
化ビニル樹脂、熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混
合したプラスチゾルを用いるのは靴底であるため、脱型
性も余り低下せず、また、高価な架橋性ポリ塩化ビニル
樹脂、熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合したプ
ラスチゾルの使用量を必要最少限に抑制することができ
るため、製造コストの上昇を可及的抑制することができ
る。
【0139】 ()請求項記載の発泡スラッシュ成形靴 図5(a)および図5(b)に示すように、この発泡ス
ラッシュ成形靴1´´´´は、靴本体2が()項で説
明した表皮スキン層10,および()項で説明した靴
底12をともに備える場合であり、スラッシュ成形工程
において、先に表皮スキン層10を形成してから靴底1
2を形成したときには、同図(a)に示すように,表皮
スキン層10と靴本体2との間の底面に靴底12が形成
され、この逆の場合には、同図(b)に示すように、表
皮スキン層10の底面の外面に靴底12が形成される。
靴底12は底面の全部または一部に形成してあればよ
く、必ずしも全面である必要はない。
【0140】 ()請求項記載の発泡スラッシュ成形靴 本発明では熱膨張性マイクロカプセルをプラスチゾルに
含有させて靴本体を発泡させたが、熱膨張性マイクロカ
プセル以外に発泡剤を併用してもよい。発泡剤の種類は
)項で説明してあるため、ここでの説明は省略す
る。
【0141】発泡剤を含有させることにより、コスト上
昇を抑制できるとともに、発泡後の靴本体を発泡倍率を
より安定させることができるため、熱膨張性マイクロカ
プセルとともに発泡剤を併用することが望ましい。
【0142】発泡剤は、発泡剤分解温度が熱膨張性マイ
クロカプセルの熱膨張温度と略同温のものを用いること
が望ましい。次に、本発明にかかる発泡スラッシュ成形
靴の製造法を、各請求項毎に作用効果とともに詳述す
る。 ()請求項記載の発泡スラッシュ成形靴の製造法 (第1工程) 本発明の発泡スラッシュ成形靴の製造法の一実施例の工
程を図6に示すように、まず、前述の(1)項で説明し
た組成のポリ塩化ビニルペースト樹脂と熱膨張性マイク
ロカプセルとを含むプラスチゾルを、スラッシュ成形靴
用モールドの内部にスラッシュ成形靴の靴本体として必
要な高さまで注入する(図6参照)。必要な高さは、
通常の場合は、スラッシュ成形靴用モールドの上端開口
部近傍までである。
【0143】そして、注入後に、注入したプラスチゾ
ルのうちの靴本体の爪先部,踵部および底部等の補強必
要部分となる部分,およびこの補強必要部分を除くその
他の部分となる部分それぞれの加熱条件(加熱温度およ
び加熱時間の一方または双方)を違えて補強必要部分に
多くの熱量が供給されるように半ゲル化温度以上ゲル化
温度以下に加熱する。例えば、補強必要部分:100℃
×5〜7分間,その他の部分:100℃×1〜2分間の
加熱条件で加熱する。
【0144】補強必要部分となる部分の加熱条件と,そ
の他の部分となる部分の加熱条件とを違えて加熱する手
段は、特定の手段に限定する必要はない。例えば、前述
のプラスチゾルを注入したスラッシュ成形靴用モールド
を加熱する加熱炉の炉壁に設ける加熱装置の配置および
温度を適宜調整して加熱する手段を例示できる。
【0145】このように補強必要部分とその他の部分と
の間で加熱条件を違えて加熱を行うことにより、補強必
要部分の肉厚がその他の部分の肉厚よりも大きい靴本体
状の半ゲル化物をスラッシュ成形靴用モールドの内壁面
に付層形成する。
【0146】この後、この半ゲル化物の内部には、未
ゲル化状態の余剰のプラスチゾルが残存しているため、
この余剰のプラスチゾルを例えばスラッシュ成形靴用モ
ールドを傾斜させる等の適宜手段により、スラッシュ成
形靴用モールド外へ排出する。
【0147】(第2工程) スラッシュ成形靴用モールドの内壁面に付層形成され
た靴本体状の半ゲル化物を、ゲル化温度以上熱膨張温度
未満の温度域に加熱してゲル化を進行する。すなわち、
この半ゲル化物を充分にゲル化させるゲル化温度と,熱
膨張性マイクロカプセルを熱膨張させて靴本体を発泡さ
せる熱膨張温度との間には差があり、前述のプラスチゾ
ルの場合には、ゲル化温度:約160℃,熱膨張温度:
約19℃である。
【0148】そこで、ゲル化温度以上熱膨張温度未満の
温度域に半ゲル化物を、望ましくは長時間加熱すること
により、靴本体が発泡しないままで半ゲル化物各部が受
ける熱量が増加してゲル化を進行することができる。ゲ
ル化は、この加熱により完了させてもよく、または後続
して行われる熱膨張温度以上への加熱とあわせて完了す
る程度にとどめておいてもよい。
【0149】ゲル化のための加熱は、半ゲル化物全体を
全く同一の加熱条件として行ってもよいが、この半ゲル
化物は補強必要部分とその他の部分との間で肉厚が異な
り、肉厚が厚い部分がゲル化に要する熱量は肉厚が薄い
部分よりも当然多いため、例えば、肉厚の厚い補強必要
部分:170℃×3〜4分間,肉厚の薄いその他の部
分:160℃×3〜4分間、ないしは補強必要部分:1
70℃×3〜4分間,その他の部分:170℃×2〜3
分間というように、補強必要部分に供給される熱量が多
くなる加熱条件とすることが望ましい。補強必要部分の
加熱条件と,その他の部分の加熱条件とを違える手段
は、前述したのと同様であり特定の手段に限定する必要
はない。
【0150】引き続き、靴本体を熱膨張温度以上に、
望ましくは短時間加熱することにより、ゲル化が完了し
ていない場合にはゲル化を完了させるとともに、熱膨張
性マイクロカプセルを適度に熱膨張させて靴本体を発泡
させる。なお、熱膨張性マイクロカプセルは熱膨張温度
未満の低温域で熱膨張を開始するが、靴本体を適度に発
泡させるのは熱膨張温度に達してからである。さらに高
温長時間に加熱すると発泡倍率が増加し、最終的には過
発泡となり気泡の崩壊や肌荒れになって、靴本体として
要求される強度の維持が難しくなるため、前述したよう
に靴本体の発泡倍率が200%以下となるように加熱温
度および加熱時間の一方ないしは双方を調整することが
望ましい。
【0151】なお、加熱時間が長過ぎると熱膨張性マイ
クロカプセルが熱膨張したセルが潰れて発泡倍率が低下
してしまうことがあるため、加熱時間は適度な発泡倍率
が得られる程度にとどめておくことが望ましい。
【0152】このようにして、ポリ塩化ビニルペースト
樹脂と熱膨張性マイクロカプセルとを含むプラスチゾル
の加熱ゲル化物により構成され、発泡されてなるととも
に、補強必要部分の肉厚がその他の部分の肉厚よりも増
加されてなる請求項1記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴の靴本体を製造することが可能となる。
【0153】この後、冷却および脱型後に、得られた
靴本体の外面踵部に組み付け部品の一つとして別途製造
されたヒールを例えば接着により装着してから、靴本体
に靴裏布材から縫製される裏布と中底やファスナー等の
部品とを縫製・接着等により組み付け、塗装を行って最
終製品であるスラッシュ成形靴とされる。
【0154】 ()請求項記載の発泡スラッシュ成形靴の製造法 前述の()項で説明した本発明にかかる発泡スラッシ
ュ成形靴の製造法の第2工程において、第1工程で形成
された半ゲル化物をゲル化温度以上熱膨張温度未満に加
熱してゲル化を進行した後、爪先部,踵部および底部等
の補強必要部分を熱膨張温度未満ないしは熱膨張温度以
上に短時間加熱するとともに、補強必要部分を除くその
他の部分を熱膨張温度以上に望ましくは短時間加熱す
る。加熱条件としては、補強必要部分:170〜180
℃×2〜3分間,その他の部分:200〜210℃×2
〜3分間を例示できる。
【0155】補強必要部分の加熱条件と,その他の部分
の加熱条件とを違えて加熱する手段は特定の手段には限
定されない。例えば、加熱ゲル化物を内壁面に付層形成
されたスラッシュ成形靴用モールドを加熱する加熱炉の
炉壁における加熱装置の配置および温度を適宜調整して
おき加熱を行えばよい。
【0156】補強必要部分は熱膨張温度未満ないしは熱
膨張温度以上に短時間加熱されるために殆ど発泡せず、
一方その他の部分は熱膨張性マイクロカプセルが熱膨張
され発泡する。
【0157】このように補強必要部分とその他の部分と
の間で加熱温度を違えて加熱することにより、補強必要
部分は非発泡(発泡倍率:100%)または低発泡(発
泡倍率:100%超200%以下)であるとともにその
他の部分は発泡倍率:100%超200%以下に発泡し
て、補強必要部分の全部分または一部分の発泡倍率(例
えば120%)がその他の部分の発泡倍率(例えば18
0%)よりも小さくなる。そのため、補強必要部分の強
度は肉厚が大きいことと併せてより向上する。このよう
にして請求項記載の発泡スラッシュ成形靴の靴本体が
製造される。
【0158】この後、冷却および脱型後に、靴本体の外
面踵部に組み付け部品の一つとして別途製造されたヒー
ルを例えば接着により装着してから、靴本体に靴裏布材
から縫製される裏布と中底やファスナー等の部品とを縫
製・接着等により組み付け、塗装を行って最終製品であ
るスラッシュ成形靴とされる。
【0159】 ()請求項記載の発泡スラッシュ成形靴の製造法 前述の()項または()項で説明した本発明にかか
る発泡スラッシュ成形靴の製造法の第2工程において、
第1工程で形成された半ゲル化物を、ゲル化温度以上熱
膨張温度未満の温度域に加熱してゲル化を進行する前
に、半ゲル化物の内面踵部にヒール用ペーストを注入
し、これをゲル化温度以上に加熱することによりヒール
芯を構成する方法であり、この方法により、靴本体のう
ちで最も強度および硬度が要求される踵部の底面をより
向上できるようになる。以下、この方法を説明する。
【0160】このヒール用ペーストは、()項で説明
した請求項記載の発泡スラッシュ成形靴で詳述したヒ
ール用ペーストと全く同じものであるため、ここでの説
明は省略する。
【0161】注入するヒール用ペーストの温度は、常温
のままあるいは常温よりも低い状態で、望ましくは10
℃以下で注入する。
【0162】この後、第2工程における加熱ゲル化(場
合によっては熱膨張温度以上への加熱と併せて)により
ゲル化してヒール芯となり、さらに第2工程における熱
膨張温度以上への加熱の際に、このヒール芯は踵部を全
て充填する程度に大量に注入されており大きな熱容量を
有するため、靴本体状の加熱ゲル化物と接する踵部に供
給される熱量を奪い、この踵部の底面の温度上昇を著し
く抑制する。そのため、踵部の底面の温度は爪先部およ
び底部に比較して抑制されることになり、踵部の底面の
発泡倍率は補強必要部分のうちでも爪先部および底部に
比較するとよりいっそう抑制され、踵部の底面の強度が
上昇するようになる。
【0163】このようにして、請求項記載の発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法によれば、内面踵部にスラッシュ
成形工程において注入されたヒール用ペーストの加熱ゲ
ル化物からなるヒール芯を備えるとともに、踵部の底面
の発泡倍率が爪先部および底部それぞれの発泡倍率より
も小さい靴本体を製造できる。
【0164】この後、冷却および脱型後に、靴本体に靴
裏布材から縫製される裏布と中底やファスナー等の部品
とを縫製・接着等により組み付け、塗装を行って最終製
品である発泡スラッシュ成形靴とされる。
【0165】なお、この発泡スラッシュ成形靴の製造法
では、ヒール用ペーストが耐熱性を有する中空体を含有
すると、同一体積のヒール芯を形成する場合に、史ヒー
ル用ペーストの加熱ゲル化物であるヒール芯を軽量化で
きる。ヒール芯の軽量化を図る手段としてヒール用ペー
ストに発泡剤を含有させておくことも考えられるが、加
熱による発泡の際に半ゲル化物の内部底面に注入された
ヒール用ペーストが凸状に膨脹してしまい、上面が略直
線状のヒール芯の所定の形状を維持できなくなることが
ある。また、ヒール用ペーストに発泡抑制剤を含有させ
る場合、ヒール用ペーストに発泡剤を含有させると発泡
ができなくなる問題がある。中空体であればこのような
問題を生じることはない。
【0166】また、上記のヒール用ペーストが発泡抑制
剤を含有すると、ヒール用ペーストが接触する靴本体の
踵部の底面の発泡倍率をさらに低く抑制することがで
き、踵部の強度をよりいっそう向上できるようになる。
【0167】なお、中空体、発泡抑制剤は、前述したも
のと全く同様であるため、ここでの説明は省略する。こ
のようにして、ヒール用ペーストが耐熱性を有する中空
体を含有する場合にはヒール芯の軽量化を、ヒール用ペ
ーストが発泡抑制剤を含有する場合にはヒール芯が接す
る踵部の底面の発泡倍率のよりいっそうの抑制を、それ
ぞれ図ることができる。
【0168】 (10)請求項10記載の発泡スラッシュ成形靴の製造
法 請求項ないし請求項記載の発泡スラッシュ成形靴の
製造法の第1工程の前に、ポリ塩化ビニルペースト樹脂
を含むプラスチゾルを、スラッシュ成形靴用モールドの
内部にスラッシュ成形靴の靴本体として必要な高さ,ま
たは前記補強必要部分を含む高さまで注入する。
【0169】そして、注入後に注入したプラスチゾル全
体を半ゲル化温度以上ゲル化温度以下に短時間略均一に
加熱する。例えば加熱条件は100〜120℃×10〜
30秒間である。
【0170】このように加熱を行うことにより、靴本体
状かつ薄膜状の半ゲル化物を、靴本体として必要な高さ
まで注入した場合にはスラッシュ成形靴用モールドの内
壁面全面に,補強必要部分を含む高さまで注入する場合
にはスラッシュ成形靴用モールドの内壁面下部にそれぞ
れ付層形成する。形成する半ゲル化物の肉厚は、前述し
たように1mm以下とすることが望ましい。
【0171】この後、この半ゲル化物の内部には、未ゲ
ル化状態の余剰のプラスチゾルが残存しているため、こ
の余剰のプラスチゾルを例えばスラッシュ成形靴用モー
ルドを傾斜させる等の適宜手段により、スラッシュ成形
靴用モールド外へ排出する。
【0172】なお、靴本体として必要な高さまでプラス
チゾルを注入してスラッシュ成形靴用モールドの内壁面
全面に半ゲル化物を形成した場合には排出手段は特に限
定を要さないのであり、例えばスラッシュ成形靴用モー
ルドを前傾させたり、吸引装置により吸引することによ
り排出してもよい。しかし、プラスチゾルを補強必要部
分を含む高さまで注入してスラッシュ成形靴用モールド
の内壁面下部に半ゲル化物を形成した場合にはスラッシ
ュ成形靴用モールドを後傾させて余剰のプラスチゾルを
排出することにより、流動・排出される余剰の未ゲル化
ゾルを加熱状態にあるスラッシュ成形靴用モールドの後
部内壁面と接触させて、半ゲル化物の後方上部の後部縦
壁面にも薄膜状の半ゲル化物を付層形成することが望ま
しい。
【0173】以下、前述した請求項記載の発泡スラッ
シュ成形靴の製造法と全く同様にして靴本体をスラッシ
ュ成形することにより、ポリ塩化ビニルペースト樹脂と
熱膨張性マイクロカプセルとを含むプラスチゾルの加熱
ゲル化物により構成され、発泡されてなるとともに、補
強必要部分の肉厚がその他の部分の肉厚よりも増加され
てなり、さらに外面の全部または一部に、非発泡または
低発泡のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾ
ルの薄膜状の加熱ゲル化物からなる表皮スキン層が形成
された請求項記載の発泡スラッシュ成形靴の靴本体を
製造できる。
【0174】この後、冷却および脱型後に、ヒール用ペ
ーストを注入していない場合には得られた靴本体の外面
踵部に組み付け部品の一つとして別途製造されたヒール
を例えば接着により装着してから、靴本体に靴裏布材か
ら縫製される裏布と中底やファスナー等の部品とを縫製
・接着等により組み付け、塗装を行って最終製品である
スラッシュ成形靴とされる。
【0175】 (11)請求項11記載の発泡スラッシュ成形靴 請求項ないし請求項のいずれかに記載の発泡スラッ
シュ成形靴の製造法の第1工程の前に、ポリ塩化ビニル
ペースト樹脂を含むプラスチゾルを、スラッシュ成形靴
用モールドの底部内面の全部または一部を覆うように必
要な量だけ注入する。
【0176】なお、プラスチゾルに含有させる樹脂とし
ては、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂,コポリマー樹脂,架
橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性可塑剤,熱硬化性可
塑剤と耐油性可塑剤,架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と耐油
性可塑剤,または架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性
可塑剤と耐油性可塑剤の組合わせを代用することができ
る。
【0177】このプラスチゾルの注入では、部位によら
ず略均一な厚さの靴底とするため、例えば、注入前に
スラッシュ成形靴用モールドの底部を加熱しておき可及
的均一に注入するか、あるいは注入後にスラッシュ成形
靴用モールドの底部を加熱して、爪先側と踵側の少なく
ともいずれか一方側に少なくとも1回以上傾斜させて加
熱ゲル化物がスラッシュ成形靴用モールドの底部内面の
全部または一部を覆うように付着させるか、スラッシ
ュ成形靴用モールドの底部の全部または一部を、注入す
るプラスチゾルが増粘するかまたはゲル化が進行する温
度以上に加熱・昇温しておき、望ましくはスラッシュ成
形靴用モールドを爪先側と踵側との少なくともいずれか
一方側に少なくとも1回以上傾斜させて、靴底の成形に
必要な量だけ注入することにより加熱ゲル化物をスラッ
シュ成形靴用モールドの底部内面の全部または一部を覆
うように付着させる等の注入を行うことが望ましい。
【0178】このようにして、プラスチゾルを注入する
ことにより、スラッシュ成形靴用モールドの内面底部に
注入されたプラスチゾルを、例えば150〜160℃×
1〜2分間の条件で加熱することによりスラッシュ成形
靴用モールドの底部内面の全部または一部に沿った靴底
状の半ゲル化物を形成する。
【0179】以下、前述した請求項記載の発泡スラッ
シュ成形靴の製造法と全く同様にして靴本体をスラッシ
ュ成形することにより、ポリ塩化ビニルペースト樹脂と
熱膨張性マイクロカプセルとを含むプラスチゾルの加熱
ゲル化物により構成され、発泡されてなるとともに、補
強必要部分の肉厚がその他の部分の肉厚よりも増加され
てなり、さらに底面の外面の全部または一部に、非発泡
または低発泡のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラ
スチゾルの加熱ゲル化物からなる靴底が形成されるとと
もに、補強必要部分のうちの爪先部および踵部の肉厚は
底部の肉厚よりも増加されてなる請求項記載の発泡ス
ラッシュ成形靴の靴本体を製造できる。
【0180】この後、冷却および脱型後に、ヒール用ペ
ーストを注入していない場合には得られた靴本体の外面
踵部に組み付け部品の一つとして別途製造されたヒール
を例えば接着により装着してから、靴本体に靴裏布材か
ら縫製される裏布と中底やファスナー等の部品とを縫製
・接着等により組み付け、塗装を行って最終製品である
スラッシュ成形靴とされる。
【0181】 (12)請求項12記載の発泡スラッシュ成形靴 請求項10記載の発泡スラッシュ成形靴の製造法の第1
工程の前であって、表皮スキン層を形成するプラスチゾ
ルを注入する前にポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプ
ラスチゾルをスラッシュ成形靴用モールドの内部底部の
全部または一部に注入して加熱するか,または表皮スキ
ン層となる半ゲル化物を形成して未ゲル化状態のプラス
チゾルを排出した後にポリ塩化ビニルペースト樹脂を含
むプラスチゾルを半ゲル化物の内部底部の全部または一
部に注入して加熱することにより、スラッシュ成形靴用
モールドまたは半ゲル化物の内部底部の全部または一部
に靴底状の半ゲル化物を付層形成しておく。
【0182】以下、前述した請求項記載の発泡スラッ
シュ成形靴の製造法と全く同様にして靴本体をスラッシ
ュ成形することにより、ポリ塩化ビニルペースト樹脂と
熱膨張性マイクロカプセルとを含むプラスチゾルの加熱
ゲル化物により構成され、発泡されてなるとともに、補
強必要部分の肉厚がその他の部分の肉厚よりも増加され
てなり、さらに底面の外面の全部または一部に、非発泡
または低発泡のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラ
スチゾルの加熱ゲル化物からなる靴底が形成されるとと
もに、補強必要部分のうちの爪先部および踵部の肉厚は
底部の肉厚よりも増加されてなり、さらに表皮スキン層
の底面の外面の全部または一部,または靴本体と表皮ス
キン層との間の底面の全部または一部に、非発泡または
低発泡のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾ
ルの加熱ゲル化物からなる靴底が形成されるとともに、
補強必要部分のうちの爪先部および踵部の肉厚は底部の
肉厚よりも増加されてなる発泡スラッシュ成形靴を製造
できる。
【0183】この後、冷却および脱型後に、ヒール用ペ
ーストを注入していない場合には得られた靴本体の外面
踵部に組み付け部品の一つとして別途製造されたヒール
を例えば接着により装着してから、靴本体に靴裏布材か
ら縫製される裏布と中底やファスナー等の部品とを縫製
・接着等により組み付け、塗装を行って最終製品である
スラッシュ成形靴とされる。
【0184】 (13)請求項13記載の発泡スラッシュ成形靴 本発明では熱膨張性マイクロカプセルをプラスチゾルに
含有させて靴本体を発泡させたが、熱膨張性マイクロカ
プセル以外に発泡剤を併用してもよい。発泡剤の種類は
)項で説明してあるため、ここでの説明は省略す
る。
【0185】発泡剤を含有させることにより、コスト上
昇を抑制できるとともに、発泡後の靴本体を発泡倍率を
より安定させることができるため、熱膨張性マイクロカ
プセルとともに発泡剤を併用することが望ましい。
【0186】
【実施例】さらに、本発明にかかる発泡スラッシュ成形
靴およびその製造法を参考例および実施例を参照しなが
ら詳述するが、これは本発明の例示であってこれにより
本発明が限定されるものではない。
【0187】(参考例) 請求項12記載の本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴
の製造法により、発泡スラッシュ成形靴を製造した。
【0188】
【表1】
【0189】まず、表1に示す組成のポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂を主体とし発泡剤を含まないプラスチゾル
を、スラッシュ成形靴用モールドの内部に上端開口部ま
で注入し、全体を100℃×10〜30秒間の加熱条件
で加熱することにより、厚さが約0.2mmの靴本体状を
した薄膜状の半ゲル化物を表皮スキン層としてスラッシ
ュ成形靴用モールドの内壁面に付層形成し、この半ゲル
化物の内面に残存する余剰の未ゲル化状態のプラスチゾ
ルをスラッシュ成形靴用モールドを傾斜させて上端開口
部から排出した。
【0190】
【表2】
【0191】次に、表2に示す組成のポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂を含むプラスチゾルを、スラッシュ成形靴用
モールドの底部内面の全部を覆うように注入して加熱す
ることにより底部内面の全部に沿った2mmの厚さの半ゲ
ル化物を靴底として形成した。
【0192】この加熱の際には、図示しないが、スラッ
シュ成形靴用モールドを適当な角度だけ3回前傾および
後傾させて、注入したプラスチゾルが底部内面の全面に
ほぼ均一な厚さになるように形成した。
【0193】
【表3】
【0194】次に、表3に示す組成のポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂および熱膨張性マイクロカプセルを含むプラ
スチゾルを、スラッシュ成形靴用モールドの内部に上端
開口部まで注入し、爪先部,踵部および底部等の補強必
要部分を100℃×4分間の加熱条件で、靴本体のうち
の補強必要部分を除くその他の部分(履口部,筒部等)
を100℃×2分間の加熱条件で加熱することにより、
補強必要部分の厚さが約2.0mmであってその他の部分
の厚さが約1.0mmの靴本体状をした半ゲル化物を靴本
体としてスラッシュ成形靴用モールドの内壁面に付層形
成し、この半ゲル化物の内面に残存する余剰の未ゲル化
状態のプラスチゾルをスラッシュ成形靴用モールドを傾
斜させて上端開口部から排出した。
【0195】
【表4】
【0196】次に、この半ゲル化物の内面踵部を形成す
る凹部に、表4に示す組成のヒール用ペーストAを注入
充填し、前述の補強必要部分を170℃×3分間の加熱
条件で,その他の部分を160℃×3分間の加熱条件で
加熱することにより、半ゲル化物を加熱ゲル化物とし
た。
【0197】次に、この加熱ゲル化物を200℃×3分
間の加熱条件で加熱することにより加熱ゲル化物全体を
略均一に発泡させ、その後常温で6分間冷却してからス
ラッシュ成形靴用モールドから抜き出し、請求項記載
の発泡スラッシュ成形靴を製造した。
【0198】
【表5】
【0199】このポリ塩化ビニルペースト樹脂および加
熱による熱膨張で発泡させた熱膨張性マイクロカプセル
を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物からなる靴本体は、
表5に示す靴本体各部の発泡倍率からわかるように補強
必要部分およびその他の部分が略均一に発泡されてな
り、補強必要部分の肉厚がその他の部分の肉厚よりも大
きく構成される。
【0200】そのため、この靴本体は、全体として軽量
であるとともに補強必要部分の強度が保たれる。また、
靴本体各部が熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張により
発泡しているため、断熱性が優れるとともにクッション
性(履心地)も良好であった。また、熱膨張による発泡
により靴本体表面に皮革紋様のカーフ調の小皺が付与さ
れ、従来の平滑な表面のスラッシュ成形靴に対して高級
感を向上することができた。さらに、スラッシュ成形過
程であるゲル化前にヒール用ペーストを注入して加熱す
ることによりヒール芯を構成するため、このヒール用ペ
ーストが接触する靴本体の踵部の底面の発泡倍率を爪先
部,底部等に比較して小さく抑制でき、靴本体のうち耐
摩耗性が最も要求される踵部の強度を増加できた。
【0201】なお、本参考例では熱膨張性マイクロカプ
セルとして松本油脂製高温発泡型を用いた。高温発泡型
の熱膨張はおよそ160℃程度から開始され熱膨張温度
はおよそ190℃である。
【0202】また、前述の靴本体の加熱ゲル化工程にお
いて、半ゲル化物を加熱する際に、爪先部,踵部さらに
は底部等の補強必要部分を肉厚が厚いために熱量を多く
必要とすることから最初から高温・長時間の加熱条件で
加熱すると、充分なゲル化を得るまでに過剰な熱量を受
けて過剰に発泡したり靴本体の表面の肌荒れが発生して
しまう。
【0203】そこで、本参考例では、肉厚の薄いその他
の部分(履口部,筒部等)はゲル化に要する熱量が少な
くて済むため160℃×3分間の比較的低温な加熱条件
で加熱し、一方肉厚が厚い補強必要部分はゲル化に要す
る熱量が多く必要であるため、熱膨張温度以下の温度域
で170℃×3分間の比較的高温な加熱条件で加熱する
ことにより、発泡をさせずにゲル化を進行させた後、熱
膨張温度温度よりも高温の200℃で3分間という短時
間加熱することにより、過剰に発泡することを防止し
た。
【0204】また、本参考例では靴本体の外表面全てを
薄膜状の表皮スキン層により覆われているため、靴本体
の表面を保護することができ、引っ掻き傷等に対する抵
抗力を向上できた。
【0205】さらに、本参考例では、靴底に表2に示す
組成のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾル
を用いたため、靴底の耐摩耗性を向上することができ
た。
【0206】(実施例) 請求項12記載の本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴
の製造法により発泡スラッシュ成形靴を製造した。
【0207】まず、表1に示す組成のポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂を主体とし発泡剤を含まないプラスチゾル
を、スラッシュ成形靴用モールドの内部に上端開口部ま
で注入し、全体を100℃×10〜30秒間の加熱条件
で加熱することにより、厚さが約0.2mmの靴本体状を
した薄膜状の半ゲル化物をスラッシュ成形靴用モールド
の内壁面に付層形成し、この半ゲル化物の内面に残存す
る余剰の未ゲル化状態のプラスチゾルをスラッシュ成形
靴用モールドを傾斜させて上端開口部から排出した。
【0208】次に、前述の表2に示す組成のポリ塩化ビ
ニルペースト樹脂を含むプラスチゾルを、スラッシュ成
形靴用モールドの底部内面の全部を覆うように注入して
加熱することにより底部内面の全部に沿った2〜3mmの
厚さの加熱ゲル化物を形成した。
【0209】この加熱の際には、スラッシュ成形靴用モ
ールドを適当な角度だけ3回前傾および後傾させて、注
入したプラスチゾルが底部内面の全面にほぼ均一な厚さ
になるように形成した。
【0210】次に、表3に示す組成のポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂および熱膨張性マイクロカプセルを含むプラ
スチゾルを、スラッシュ成形靴用モールドの内部に上端
開口部まで注入し、爪先部,踵部および底部等の補強必
要部分を100℃×6分間の加熱条件で、靴本体のうち
の補強必要部分を除くその他の部分(履口部,筒部等)
を100℃×2分間の加熱条件で加熱することにより、
補強必要部分の厚さが約3mmであってその他の部分の厚
さが約1mmの靴本体状をした半ゲル化物をスラッシュ成
形靴用モールドの内壁面に付層形成し、この半ゲル化物
の内面に残存する余剰の未ゲル化状態のプラスチゾルを
スラッシュ成形靴用モールドを傾斜させて上端開口部か
ら排出した。
【0211】次に、この半ゲル化物の内面踵部を形成す
る凹部に、表4に示す耐熱性を有する中空体を含む組成
のヒール用ペーストBを注入充填し、前述の補強必要部
分を170℃×3分間の加熱条件で,その他の部分を1
60℃×3分間の加熱条件で加熱することにより、半ゲ
ル化物を加熱ゲル化物とした。
【0212】引き続き、この加熱ゲル化物のうちの補強
必要部分を180℃×2分間の加熱条件で加熱するとと
もに加熱ゲル化物のうちのその他の部分を200℃×2
分間の加熱条件で加熱し、その後常温で6分間冷却して
からスラッシュ成形靴用モールドから抜き出し、請求項
記載の発泡スラッシュ成形靴の靴本体を製造した。
【0213】このポリ塩化ビニルペースト樹脂および熱
膨張により発泡させた熱膨張性マイクロカプセルを含む
プラスチゾルの加熱ゲル化物からなる靴本体は、表6に
示す靴本体各部の発泡倍率からわかるように補強必要部
分が低くその他の部分が高い発泡倍率で発泡されてな
り、補強必要部分の肉厚がその他の部分の肉厚よりも大
きく構成される。
【0214】
【表6】
【0215】そのため、この靴本体は、全体として軽量
であるとともに補強必要部分の強度が極めて充分に保た
れる。また、靴本体各部が表6に示す発泡倍率で熱膨張
性マイクロカプセルの熱膨張で発泡しているため、断熱
性が優れるとともにクッション性(履心地)も良好であ
った。また、発泡により靴本体表面に皮革紋様のカーフ
調の小皺が付与され、従来の平滑な表面のスラッシュ成
形靴に対して高級感を向上することができた。また、ス
ラッシュ成形過程である加熱ゲル化前にヒール用ペース
トを注入して加熱することによりヒール芯を構成するた
め、このヒール用ペーストが接触する靴本体の踵部の底
面の発泡倍率を爪先部,底部等に比較して小さく抑制で
き、靴本体のうち耐摩耗性が最も要求される踵部の底面
の強度を増加できた。さらに、このヒール用ペーストの
加熱ゲル化物であるヒール芯は中空体を含むため軽量で
あり、靴本体の軽量化をより推進できた。
【0216】また、本実施例では靴本体の外表面全てを
薄膜状の表皮スキン層により覆われているため、靴本体
の表面を保護することができ、引っ掻き傷等に対する抵
抗力を向上できた。
【0217】さらに、本実施例では、靴底に表1に示す
組成のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾル
を用いたため、靴底の耐摩耗性を向上することができ
た。
【0218】(実施例参考例 において、注入する際のヒール用ペーストの液温
を常温以下の5℃に抑制するとともに靴本体を構成する
プラスチゾルに含有される熱膨張性マイクロカプセルを
5重量部とし、これら以外の条件は参考例と全く同様に
して発泡スラッシュ成形靴を製造した。靴本体各部の発
泡倍率を表7に示す。
【0219】
【表7】
【0220】ヒール用ペーストの液温をこのように抑制
した状態でスラッシュ成形靴用モールドの内壁面に付層
形成された半ゲル化物の内面踵部の凹部に注入すると、
踵部の温度が低下するとともに、引き続き行われる加熱
ゲル化の際に加熱により踵部に供給される熱量をヒール
用ペーストが熱伝導により吸収して靴本体のうちの踵部
の温度の上昇を著しく抑制する。
【0221】そのため、補強必要部分のうちの爪先部お
よび底部と,履口部および筒部等のその他の部分とは、
良好な発泡状態が得られるとともに、補強必要部分のう
ちの踵部の底面は極めて低い発泡倍率とすることができ
た。そのため、靴本体のうち最も耐摩耗性を要求される
踵部の底面の強度が増加された発泡スラッシュ成形靴を
製造できた。
【0222】(実施例) 請求項12記載の本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴
の製造法により発泡スラッシュ成形靴を製造した。ま
ず、表1に示す組成のポリ塩化ビニルペースト樹脂を主
体とし発泡剤を含まないプラスチゾルを、スラッシュ成
形靴用モールドの内部に上端開口部まで注入し、全体を
100℃×10〜30秒間の加熱条件で加熱することに
より、厚さが約0.2mmの靴本体状をした薄膜状の半ゲ
ル化物をスラッシュ成形靴用モールドの内壁面に付層形
成し、この半ゲル化物の内面に残存する余剰の未ゲル化
状態のプラスチゾルをスラッシュ成形靴用モールドを傾
斜させて上端開口部から排出した。
【0223】次に、前述の表2に示す組成のポリ塩化ビ
ニルペースト樹脂を含むプラスチゾルを、スラッシュ成
形靴用モールドの底部内面の全部を覆うように注入して
加熱することにより底部内面の全部に沿った2〜3mmの
厚さの加熱ゲル化物を形成した。
【0224】この加熱の際には、図示しないが、スラッ
シュ成形靴用モールドを適当な角度だけ3回前傾および
後傾させて、注入したプラスチゾルが底部内面の全面に
ほぼ均一な厚さになるように形成した。
【0225】次に、熱膨張性マイクロカプセル含有量が
5重量部であること以外は表3に示す組成と同一組成の
ポリ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含むプラス
チゾルを、スラッシュ成形靴用モールドの内部に上端開
口部まで注入し、爪先部,踵部および底部等の補強必要
部分を100℃×6分間の加熱条件で、靴本体のうちの
補強必要部分を除くその他の部分(履口部,筒部等)を
100℃×2分間の加熱条件で加熱することにより、補
強必要部分の厚さが約3mmであってその他の部分の厚さ
が約1mmの靴本体状をした半ゲル化物をスラッシュ成形
靴用モールドの内壁面に付層形成し、この半ゲル化物の
内面に残存する余剰の未ゲル化状態のプラスチゾルをス
ラッシュ成形靴用モールドを傾斜させて上端開口部から
排出した。
【0226】次に、この半ゲル化物の内面踵部を形成す
る凹部に、表4に示す耐熱性を有する中空体を含む組成
のヒール用ペーストBを注入充填し、前述の補強必要部
分を170℃×3分間の加熱条件で,その他の部分を1
60℃×3分間の加熱条件で加熱することにより、半ゲ
ル化物を加熱ゲル化物とした。
【0227】引き続き、この加熱ゲル化物のうちの補強
必要部分を170℃×4分間の加熱条件で加熱するとと
もに加熱ゲル化物のうちのその他の部分を200℃×2
分間の加熱条件で加熱し、その後常温で6分間冷却して
からスラッシュ成形靴用モールドから抜き出し、請求項
記載のスラッシュ成形靴を製造した。靴本体各部の発
泡倍率を表8に示す。
【0228】
【表8】
【0229】このポリ塩化ビニルペースト樹脂および熱
膨張性マイクロカプセルを含むプラスチゾルの加熱ゲル
化物からなる靴本体は、表8に示す靴本体各部の発泡倍
率からわかるように補強必要部分が低くその他の部分が
高い発泡倍率で発泡されてなり、補強必要部分の肉厚が
その他の部分の肉厚よりも大きく構成される。
【0230】そのため、この靴本体全体として軽量であ
るとともに補強必要部分の強度が極めて充分に保たれ
る。また、靴本体各部が表8に示す発泡倍率で発泡して
いるため、断熱性が優れるとともにクッション性(履心
地)も良好であった。また、発泡により靴本体表面に皮
革紋様のカーフ調の小皺が付与され、従来の平滑な表面
にスラッシュ成形靴に対して高級感を向上することがで
きた。また、本実施例では靴本体の外表面全てを薄膜状
の表皮スキン層により覆われているため、靴本体の表面
を保護することができ、引っ掻き傷等に対する抵抗力を
向上できた。また、スラッシュ成形過程であるゲル化前
にヒール用ペーストを注入して加熱することによりヒー
ル芯を構成するため、このヒール用ペーストが接触する
靴本体の踵部の底面の発泡倍率を爪先部,底部等に比較
して小さく抑制でき、靴本体のうち耐摩耗性が最も要求
される踵部の底面の強度を増加できた。また、このヒー
ル用ペーストの加熱ゲル化物であるヒール芯は中空体を
含むため軽量であり、靴本体の軽量化をより推進でき
た。
【0231】(実施例) 実施例において、靴底を表9に示す組成の架橋性ポリ
塩化ビニル樹脂を含むプラスチゾルAまたはBの加熱ゲ
ル化物で構成して、本発明にかかる発泡スラッシュ成形
靴とした。
【0232】
【表9】
【0233】この本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴
について、外観品質を目視により比較した。本発明例に
かかるスラッシュ成形靴の靴底は部位によらず3mm程
度の一定の厚さであり、靴底の形状に沿った均一な厚さ
に成形できている。
【0234】さらに、この本発明にかかる発泡スラッシ
ュ成形靴の靴底の強度、耐摩耗性、耐シガレット性(耐
熱性)さらに耐油耐薬品性を以下のようにして評価し
た。 (強度)JIS K−6301に基づいてショッパー型
引張試験機を用いて引張強度、伸び、引裂き強度をそれ
ぞれ測定した。 (耐摩耗性)テーバー摩耗試験機により摩耗輪CS−1
0により1000回転での摩耗減量を測定した。 (耐シガレット性)JIS K−6301 1号試験片
を靴底から切り出し、180℃×5分間オーブン中で吊
り下げ、溶融落下の有無、および落下しない場合の伸び
率を測定した。
【0235】また、製造した2つのスラッシュ成形靴に
より実際にタバコを踏み付けて火を消し、靴底の溶融・
変形状態を確認した。 (耐油耐薬品性)JIS3号オイル、植物性油(大豆
油)を使い、40℃で96時間浸漬した時の重量変化を
測定した。
【0236】プラスチゾルA,Bについての結果を表1
0にまとめて示す。本発明で成形されたスラッシュ成形
靴は、従来のスラッシュ成形靴と同程度の靴本体の強
度、硬度および柔軟性を備え、さらに従来よりも靴底
は、特に耐熱変形性(耐シガレット性)が優れ、引張り
強度、耐油耐薬品性も向上し、靴底の諸特性が向上した
ことがわかる。
【0237】
【表10】
【0238】(実施例) 表9に示すように、実施例において、靴底の原料であ
る架橋性ポリ塩化ビニルプラスチゾルに、防滑素材とし
てウイスカー(四国化成工業(株)製)を混合して、実
施例と全く同様にして本発明にかかる製造方法で多層
よりなるスラッシュ成形靴を製造した。
【0239】得られた発泡スラッシュ成形靴について、
以下のようにして防滑性を評価した。 (防滑性)Pタイル、ビニール床材および氷上それぞれ
に靴を置き、垂直荷重10kgf をかけて水平に引張り、
始動した時の応力を測定した。
【0240】その結果を表10に示す。参考例の結果と
併せて、本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴は、実施
の効果に加え、防滑性も優れていることがわかる。
【0241】(実施例) 表9に示すように、実施例および実施例において、
靴底の原料である架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を含有した
プラスチゾルに混合される顔料を有機系クレープ色調色
顔料:0.1重量部に低減して同様にスラッシュ成形靴
を製造した。
【0242】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾル
は着色透明性を有することとなり、第一回目の注入によ
るスラッシュ成形靴用モールドの内面の付着の手直しを
行わなくとも第二回目の注入により外観品質が優れたス
ラッシュ成形靴を製造できた。
【0243】(実施例) 実施例において、靴底を表11に示す組成の架橋性ポ
リ塩化ビニル樹脂および熱硬化性可塑剤を含むプラスチ
ゾルの加熱ゲル化物で構成して、本発明にかかる発泡ス
ラッシュ成形靴とした。
【0244】
【表11】
【0245】この本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴
について、外観品質を目視により比較した。本発明例に
かかる発泡スラッシュ成形靴の靴底は部位によらず3m
m程度の一定の厚さであり、底部の形状に沿った均一な
厚さに成形できている。
【0246】さらに、この本発明にかかる発泡スラッシ
ュ成形靴の靴底の強度、耐摩耗性、耐シガレット性(耐
熱性)さらに耐油耐薬品性を前述の方法で評価した。
【0247】結果を表12にまとめて示す。本発明で成
形された発泡スラッシュ成形靴は、従来のスラッシュ成
形靴と同程度の靴本体の強度、硬度および柔軟性を備
え、さらに従来よりも靴底は、特に耐熱変形性(耐シガ
レット性)が優れ、引張り強度、耐油耐薬品性も向上
し、靴底の諸特性が向上したことがわかる。
【0248】
【表12】
【0249】(実施例) 表11に示すように、実施例8において、靴底の原料で
ある架橋性ポリ塩化ビニルプラスチゾルに、防滑素材と
してウイスカー(四国化成工業(株)製)を混合して、
実施例と全く同様にして本発明にかかる発泡スラッシ
ュ成形靴を製造した。得られたスラッシュ成形靴につい
て、実施例と全く同様にして防滑性を評価した。
【0250】その結果を表12に示す。実施例の結果
と併せて、本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴は、防
滑性も優れていることがわかる。
【0251】(実施例) 表11に示すように、実施例および実施例におい
て、靴底の原料である架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および
熱硬化性可塑剤を含むプラスチゾルに混合される顔料を
有機系クレープ色調色顔料:0.1重量部に低減して同
様に発泡スラッシュ成形靴を製造した。
【0252】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および熱硬化性可塑剤を
混合したプラスチゾルは着色透明性となり、第一回目の
注入によるスラッシュ成形靴用モールドの内面の付着の
手直しを行わなくとも第二回目の注入により外観品質が
優れた発泡スラッシュ成形靴を製造できた。
【0253】(実施例10) 実施例において、靴底を表13に示す組成の熱硬化性
可塑剤および耐油性可塑剤を含むプラスチゾルの加熱ゲ
ル化物で構成して、本発明にかかる発泡スラッシュ成形
靴とした。
【0254】
【表13】
【0255】この本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴
について、外観品質を目視により比較した。本発明例に
かかる発泡スラッシュ成形靴の靴底は部位によらず3m
m程度の一定の厚さであり、靴底の形状に沿った均一な
厚さに成形できている。
【0256】さらに、この本発明にかかる発泡スラッシ
ュ成形靴の靴底の強度、耐摩耗性、耐シガレット性(耐
熱性)さらに耐油耐薬品性を前述の方法で評価した。
【0257】結果を表14にまとめて示す。本発明で成
形されたスラッシュ成形靴は、従来のスラッシュ成形靴
と同程度の靴本体の強度、硬度および柔軟性を備え、さ
らに従来よりも靴底は、特に耐熱変形性(耐シガレット
性)が優れ、引張り強度、耐油耐薬品性も向上し、靴底
の諸特性が向上したことがわかる。
【0258】
【表14】
【0259】(実施例11) 表13に示すように、実施例10において、靴底の原料
である熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を含むプラス
チゾルに、防滑素材としてウイスカー(四国化成工業
(株)製)を混合して、実施例10と全く同様にして本
発明にかかる発泡スラッシュ成形靴を製造した。得られ
た発泡スラッシュ成形靴について、実施例と全く同様
にして防滑性を評価した。
【0260】その結果を表14に示す。実施例10の結
果と併せて、本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴は、
防滑性も優れていることがわかる。
【0261】(実施例12) 表13に示すように、実施例10および実施例11にお
いて、靴底の原料である熱硬化性可塑剤および耐油性可
塑剤を含むプラスチゾルに混合される顔料を有機系クレ
ープ色調色顔料:0.1重量部に低減して同様に発泡ス
ラッシュ成形靴を製造した。
【0262】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層の熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を含むプラスチ
ゾルは着色透明性となり、第一回目の注入によるスラッ
シュ成形靴用モールドの内面の付着の手直しを行わなく
とも第二回目の注入により外観品質が優れた発泡スラッ
シュ成形靴を製造できた。
【0263】(実施例13) 実施例において、靴底を表15に示す組成の架橋性ポ
リ塩化ビニル樹脂および耐油性可塑剤を含むプラスチゾ
ルの加熱ゲル化物で構成して、本発明にかかる発泡スラ
ッシュ成形靴とした。
【0264】
【表15】
【0265】この本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴
について、外観品質を目視により比較した。本発明例に
かかる発泡スラッシュ成形靴の靴底は部位によらず3m
m程度の一定の厚さであり、靴底の形状に沿った均一な
厚さに成形できている。
【0266】さらに、この本発明にかかる発泡スラッシ
ュ成形靴の靴底の強度、耐摩耗性、耐シガレット性(耐
熱性)さらに耐油耐薬品性を前述の方法で評価した。
【0267】結果を表16にまとめて示す。本発明にか
かる発泡スラッシュ成形靴は、従来のスラッシュ成形靴
と同程度の靴本体の強度、硬度および柔軟性を備え、さ
らに従来よりも靴底は、特に耐熱変形性(耐シガレット
性)が優れ、引張り強度、耐油耐薬品性も向上し、靴底
の諸特性が向上したことがわかる。
【0268】
【表16】
【0269】(実施例14) 表15に示すように、実施例10において、靴底の原料
である架橋性ポリ塩化ビニルプラスチゾルに、防滑素材
としてウイスカー(四国化成工業(株)製)を混合し
て、実施例10と全く同様にして本発明にかかる発泡ス
ラッシュ成形靴を製造した。得られた発泡スラッシュ成
形靴について、実施例と全く同様にして防滑性を評価
した。
【0270】その結果を表16に示す。実施例13の結
果と併せて、本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴は、
防滑性も優れていることがわかる。
【0271】(実施例15) 表15に示すように、実施例13および実施例14にお
いて、靴底の原料である架橋性ポリ塩化ビニル樹脂およ
び耐油性可塑剤を含むプラスチゾルに混合される顔料を
有機系クレープ色調色顔料:0.1重量部に低減して同
様に発泡スラッシュ成形靴を製造した。
【0272】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および耐油性可塑剤を混
合したプラスチゾルは着色透明性となり、第一回目の注
入によるスラッシュ成形靴用モールドの内面の付着の手
直しを行わなくとも第二回目の注入により外観品質が優
れた発泡スラッシュ成形靴を製造できた。
【0273】(実施例16) 実施例において、靴底を表17に示す組成の架橋性ポ
リ塩化ビニル樹脂,熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤
を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物で構成して、本発明
にかかる発泡スラッシュ成形靴とした。
【0274】
【表17】
【0275】この本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴
について、外観品質を目視により比較した。本発明例に
かかる発泡スラッシュ成形靴の靴底は部位によらず3m
m程度の一定の厚さであり、靴底の形状に沿った均一な
厚さに成形できている。
【0276】さらに、この本発明にかかる発泡スラッシ
ュ成形靴の靴底の強度、耐摩耗性、耐シガレット性(耐
熱性)さらに耐油耐薬品性を前述の方法で評価した。
【0277】結果を表18にまとめて示す。本発明で成
形された発泡スラッシュ成形靴は、従来のスラッシュ成
形靴と同程度の靴本体の強度、硬度および柔軟性を備
え、さらに従来よりも靴底は、特に耐熱変形性(耐シガ
レット性)が優れ、引張り強度、耐油耐薬品性も向上
し、靴底の諸特性が向上したことがわかる。
【0278】
【表18】
【0279】(実施例17) 表17に示すように、実施例16において、靴底の原料
である架橋性ポリ塩化ビニルプラスチゾルに、防滑素材
としてウイスカー(四国化成工業(株)製)を混合し
て、実施例16と全く同様にして本発明にかかる発泡ス
ラッシュ成形靴を製造した。得られた発泡スラッシュ成
形靴について、実施例と全く同様にして防滑性を評価
した。
【0280】その結果を表18に示す。実施例16の結
果と併せて、本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴は、
防滑性も優れていることがわかる。
【0281】(実施例18) 表17に示すように、実施例16および実施例17にお
いて、靴底の原料である架橋性ポリ塩化ビニル樹脂,熱
硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を含むプラスチゾルに
混合される顔料を有機系クレープ色調色顔料:0.1重
量部に低減して同様にスラッシュ成形靴を製造した。
【0282】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂,熱硬化性可塑剤および
耐油性可塑剤を含むプラスチゾルは着色透明性となり、
第一回目の注入によるスラッシュ成形靴用モールドの内
面の付着の手直しを行わなくとも第二回目の注入により
外観品質が優れた発泡スラッシュ成形靴を製造できた。
【0283】(実施例19) 実施例において、靴底を表19に示す組成のコポリマ
ー樹脂を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物で構成して、
本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴とした。
【0284】
【表19】
【0285】この本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴
について、外観品質を目視により比較した。本発明例に
かかる発泡スラッシュ成形靴の靴底は部位によらず3m
m程度の一定の厚さであり、靴底の形状に沿った均一な
厚さに成形できている。
【0286】この本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴
の靴底の強度、耐摩耗性、耐シガレット性(耐熱性)さ
らに耐油耐薬品性を前述の方法で評価した。
【0287】さらに、この本発明にかかる発泡スラッシ
ュ成形靴の靴本体と靴底との間の密着強度を以下に示す
方法で評価した。 (密着強度)JIS K 6301に基づく短冊状剥離
試験を行って密着強度を測定した。
【0288】結果を表20にまとめて示す。本発明で成
形された発泡スラッシュ成形靴は、従来のスラッシュ成
形靴と同程度の靴本体の強度、硬度および柔軟性を備
え、さらに従来よりも靴底は、特に耐熱変形性(耐シガ
レット性)が優れ、引張り強度、耐油耐薬品性さらには
靴本体との密着強度も向上し、靴底の諸特性が向上した
ことがわかる。
【0289】
【表20】
【0290】(実施例20) 表19に示すように、実施例19において、靴底の原料
であるコポリマー樹脂を含むプラスチゾルに、防滑素材
としてウイスカー(四国化成工業(株)製)を混合し
て、実施例19と全く同様にして本発明にかかる発泡ス
ラッシュ成形靴を製造した。得られた発泡スラッシュ成
形靴について、実施例と全く同様にして防滑性を評価
した。
【0291】その結果を表20に示す。実施例19の結
果と併せて、本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴は、
防滑性も優れていることがわかる。
【0292】(実施例21) 表19に示すように、実施例19および実施例20にお
いて、靴底の原料であるコポリマー樹脂を含むプラスチ
ゾルに混合される顔料を有機系クレープ色調色顔料:
0.1重量部に低減して同様に発泡スラッシュ成形靴を
製造した。
【0293】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層のコポリマー樹脂を含むプラスチゾルは着色透明性と
なり、第一回目の注入によるスラッシュ成形靴用モール
ドの内面の付着の手直しを行わなくとも第二回目の注入
により外観品質が優れた発泡スラッシュ成形靴を製造で
きた。
【0294】(実施例22) 各実施例において、靴本体を構成するポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂および熱膨張性マイクロカプセル2重量部を
含むプラスチゾルに、発泡剤としてアゾジカルボンアミ
ドを0.3重量部配合して、表4のヒールペーストCを
使用して発泡スラッシュ成形靴を製造した。
【0295】その結果、靴本体の発泡倍率が150%で
発泡後も極めて安定し、軽量でありかつ安価な発泡スラ
ッシュ成形靴を安定的に製造できた。
【0296】なお、本実施例では発泡剤としてアゾジカ
ルボンアミド(A.D.C.A) を使用するとともに、安定剤と
してZnおよびBaの複合添加剤を用いた。発泡剤アゾ
ジカルボンアミドの発泡剤分解温度は195℃である
が、前述したようにZnが発泡を促進すること等からプ
ラスチゾル中においては発泡剤アゾジカルボンアミドは
約180℃で発泡する。また、このプラスチゾルには発
泡抑制剤が混入されているため、靴本体の加熱・発泡の
際に靴本体の踵部を、発泡抑制剤をともに含むヒール芯
および靴底それぞれにより上下から挾むことができ、踵
部の底面の発泡を著しく抑制することができた。
【0297】さらに、ヒール用ペーストは発泡抑制剤を
含有するため、このヒール用ペーストが接触する半ゲル
化物の内面踵部は、ヒール用ペーストに熱量を奪われて
温度上昇の程度が他の部位よりも抑制されることと、発
泡抑制剤が発泡を抑制することとの相乗効果により、発
泡倍率が極端に抑制される。そのため、靴本体の踵部2
6の強度は非発泡とほぼ同等に充分確保できる。
【0298】
【発明の効果】請求項1記載の本発明にかかる発泡スラ
ッシュ成形靴は、ポリ塩化ビニルペースト樹脂および熱
膨張性マイクロカプセルを含むプラスチゾルの加熱ゲル
化物から靴本体が構成され、かつ靴本体は発泡され爪先
部,踵部および底部等の補強必要部分の肉厚は靴本体の
うちの補強必要部分を除くその他の部分の肉厚よりも増
加されるとともに、補強必要部分の全部分または一部分
の発泡倍率がその他の部分の発泡倍率よりも小さくして
あるため、全体として軽量であるとともに補強必要部分
の強度はその厚みおよび発泡倍率を小さくすることによ
って充分に保たれる。
【0299】また、靴本体各部が発泡しているため、断
熱性が優れるとともにクッション性(履心地)も良好で
ある。また、発泡により靴本体表面に皮革紋様のカーフ
調の小皺が付与され高級感が向上される。
【0300】請求項記載の発泡スラッシュ成形靴は、
請求項1記載の発泡スラッシュ成形靴において、靴本体
が内面踵部にヒール用ペーストの加熱ゲル化物からなる
ヒール芯を備えるとともに、補強必要部分のうちの踵部
の底面の発泡倍率は爪先部および底部それぞれの発泡倍
率よりも小さいために、請求項1記載の発泡スラッシュ
成形靴が有する効果に加えて、補強必要部分の中でも最
も耐摩耗性が要求される踵部の底面の強度を最も大きく
することができる。
【0301】請求項記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴は、靴本体の外面の全部または一部に、表皮
スキン層が形成されるため、靴本体の表面の引っ掻き傷
抵抗性を維持できる。
【0302】請求項記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴は、靴本体の底面の外面の全部または一部
に、靴底が形成されるため、靴底の強度,耐摩耗性等を
向上することができる。
【0303】請求項記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴は、請求項記載の表皮スキン層と請求項
記載の靴底とをともに備えるため、靴本体の表面の引っ
掻き傷抵抗性を維持するとともに靴底の強度等を向上で
きる。
【0304】請求項記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴は、靴本体を構成するプラスチゾルが発泡剤
を含有するため、コスト上昇を抑制できるとともに発泡
を安定させることができる。
【0305】請求項記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴の製造法では、半ゲル化物をゲル化温度以上
熱膨張温度未満に加熱してゲル化を進行してから熱膨張
温度以上に加熱して発泡させるため、充分なゲル化と適
度な発泡とを行った発泡スラッシュ成形靴を製造でき
る。
【0306】請求項記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴の製造法では、半ゲル化物をゲル化温度以上
熱膨張温度未満に加熱してゲル化を進行して靴本体の部
位毎に加熱条件を変更して発泡を行うため、強度が必要
なために発泡倍率を抑制したい補強必要部分の発泡を抑
制できる。
【0307】請求項記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴の製造法では、加熱ゲル化前の半ゲル化物の
内面踵部にヒール用ペーストを注入しておくため、加熱
ゲル化の際の靴本体踵部の温度上昇を抑制でき、踵部の
底面の発泡倍率が抑制された発泡スラッシュ成形靴を製
造できる。
【0308】請求項10記載の本発明にかかる発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法では、靴本体となるプラスチゾル
をスラッシュ成形靴用モールドに注入する前に表皮スキ
ン層となるプラスチゾルを注入しておくため、靴本体の
外面に表皮スキン層を構成することができ、発泡スラッ
シュ成形靴の機能を向上できる。
【0309】請求項11記載の本発明にかかる発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法では、靴本体となるプラスチゾル
をスラッシュ成形靴用モールドに注入する前に靴底とな
るプラスチゾルを注入しておくため、靴本体の外面底部
に靴底を構成することができ、発泡スラッシュ成形靴の
機能を向上できる。
【0310】請求項12記載の本発明にかかる発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法では、靴底を構成するプラスチゾ
ルを注入してから表皮スキン層となるプラスチゾルを注
入するか、またはこの逆の順序でそれぞれのプラスチゾ
ルを注入してから、最後に靴本体となるプラスチゾルを
注入するため、靴本体の外面を表皮スキン層が覆いその
底部、または靴本体と表皮スキン層との間に靴底が形成
された発泡スラッシュ成形靴を製造できる。
【0311】請求項13記載の本発明にかかる発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法では、靴本体を構成するプラスチ
ゾルが発泡剤を含有するため、コスト上昇を抑制できる
とともに発泡を安定させて、発泡スラッシュ成形靴を製
造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴の一実施
例の構造を示す縦断面図である。
【図2】本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴の一実施
例の構造を示す縦断面図である。
【図3】本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴の一実施
例の構造を示す縦断面図である。
【図4】本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴の一実施
例の構造を示す縦断面図である。
【図5】本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴の一実施
例の構造を示す縦断面図である。
【図6】本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴の製造法
の一実施例の工程図である。
【図7】従来のスラッシュ成形靴の製造法の説明図であ
る。
【図8】従来のスラッシュ成形靴の製造法の説明図であ
る。
【図9】従来のスラッシュ成形靴の製造法の説明図であ
る。
【符号の説明】
1,1´,1´´,1´´´,1´´´´ 発泡スラッ
シュ成形靴 2 靴本体 3 底部 4 開口部 5 爪先部 6 踵部 7 補強必要部分 8 その他の部分 9 ヒール芯 10 表皮スキン層 11 後部縦壁面 12 靴底
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 105:24 B29L 31:50 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A43D 63/00 B29C 41/18 C08J 9/32

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ塩化ビニルペースト樹脂と熱膨張性
    マイクロカプセルとを含むプラスチゾルの加熱ゲル化物
    により靴本体が構成される発泡スラッシュ成形靴であっ
    て、前記靴本体は前記熱膨張性マイクロカプセルの熱膨
    張により発泡されてな、前記靴本体のうちの爪先部,
    踵部および底部等の補強必要部分の肉厚は前記靴本体の
    うちの前記補強必要部分を除くその他の部分の肉厚より
    も増加されてなるとともに、前記補強必要部分の全部分
    または一部分の発泡倍率は前記その他の部分の発泡倍率
    よりも小さいことを特徴とする発泡スラッシュ成形靴。
  2. 【請求項2】 前記靴本体は内面踵部にスラッシュ成形
    工程において注入されたヒール用ペーストの加熱ゲル化
    物からなるヒール芯を備えるとともに、前記補強必要部
    分のうちの踵部の底面の発泡倍率は爪先部および底部そ
    れぞれの発泡倍率よりも小さいことを特徴とする請求項
    1記載の発泡スラッシュ成形靴。
  3. 【請求項3】 前記靴本体の外面の全部または一部に、
    非発泡または低発泡のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含
    むプラスチゾルの薄膜状の加熱ゲル化物からなる表皮ス
    キン層が形成される請求項1または請求項2記載の発泡
    スラッシュ成形靴。
  4. 【請求項4】 前記靴本体の底面の外面の全部または一
    部に、非発泡または低発泡のポリ塩化ビニルペースト樹
    脂を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物からなる靴底が形
    成されるとともに、前記補強必要部分のうちの爪先部お
    よび踵部の肉厚は底部の肉厚よりも増加されてなること
    を特徴とする請求項1または請求項2記載の発泡スラッ
    シュ成形靴。
  5. 【請求項5】 前記表皮スキン層の底面の外面または前
    記靴本体と前記表皮スキン層との間の底面それぞれの全
    部または一部に、非発泡または低発泡のポリ塩化ビニル
    ペースト樹脂を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物からな
    る靴底が形成されるとともに、前記補強必要部分のうち
    の爪先部および踵部の肉厚は底部の肉厚よりも増加され
    てなることを特徴とする請求項記載の発泡スラッシュ
    成形靴。
  6. 【請求項6】 前記靴本体を構成するプラスチゾルは発
    泡剤を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項
    いずれかに記載の発泡スラッシュ成形靴。
  7. 【請求項7】 ポリ塩化ビニルペースト樹脂と熱膨張性
    マイクロカプセルとを含むプラスチゾルの加熱ゲル化物
    により靴本体が構成され、この靴本体が熱膨張により発
    泡されてなるとともに、前記靴本体の補強必要部分の肉
    厚は前記靴本体の他の部分の肉厚よりも増加されてなる
    発泡スラッシュ成形靴を製造するに際し、ポリ塩化ビニ
    ルペースト樹脂と,少なくともゲル化温度超で膨脹状態
    を呈する熱膨張性マイクロカプセルとを含むプラスチゾ
    ルをスラッシュ成形靴用モールドの内部にスラッシュ成
    形靴の靴本体として必要な高さまで注入し、前記靴本体
    のうちの爪先部,踵部および底部等の補強必要部分,お
    よび当該補強必要部分を除くその他の部分それぞれの半
    ゲル化加熱条件を違えて加熱することにより、前記補強
    必要部分の肉厚が前記その他の部分の肉厚よりも大きい
    靴本体状の半ゲル化物を前記スラッシュ成形靴用モール
    ドの内壁面に付層形成し、前記半ゲル化物の内面に残存
    する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出する第1工程
    と, 前記第1工程で形成された半ゲル化物を、ゲル化温度以
    上であって前記マイクロカプセルが必要な熱膨張による
    発泡温度未満の温度域に加熱してゲル化を進行してか
    ら、前記マイクロカプセルが必要な熱膨張による発泡温
    度以上の温度域に加熱して当該マイクロカプセルを熱膨
    張により発泡させ前記靴本体を構成するプラスチゾルの
    加熱ゲル化物を発泡させる第2工程とからなることを特
    徴とする発泡スラッシュ成形靴の製造法。
  8. 【請求項8】 前記第2工程において、前記第1工程で
    形成された半ゲル化物を、ゲル化温度以上であって前記
    マイクロカプセルが適度に膨脹する温度未満の温度域に
    加熱してゲル化を進行してから、前記補強必要部分をマ
    イクロカプセルが適度に膨脹する温度未満ないしは前記
    温度以上に短時間加熱するとともに前記その他の部分を
    前記温度以上の温度域に加熱して発泡させることによ
    り、ポリ塩化ビニルペースト樹脂と熱膨張性マイクロカ
    プセルとを含むプラスチゾルの加熱ゲル化物により構成
    され、前記補強必要部分の全部分または一部分の発泡倍
    率がその他の部分の発泡倍率よりも小さく発泡されてな
    るとともに、前記補強必要部分の肉厚は前記その他の部
    分の肉厚よりも増加されてなる靴本体を形成することを
    特徴とする請求項記載の発泡スラッシュ成形靴の製造
    法。
  9. 【請求項9】 前記第2工程において、前記第1工程で
    形成された半ゲル化物を、ゲル化温度以上であって前記
    マイクロカプセルが適度に膨脹する温度未満の温度域に
    加熱してゲル化を進行する前に、前記半ゲル化物の内面
    踵部にヒール用ペーストを注入しておくことにより、前
    記第2工程により形成される靴本体は、内面踵部に前記
    ヒール用ペーストの加熱ゲル化物からなるヒール芯を設
    けられるとともに、前記補強必要部分のうちの踵部の底
    面の発泡倍率が爪先部および底部それぞれの発泡倍率よ
    りも小さいことを特徴とする請求項または請求項
    載の発泡スラッシュ成形靴の製造法。
  10. 【請求項10】 前記第1工程の前に、ポリ塩化ビニル
    ペースト樹脂を含むプラスチゾルをスラッシュ成形靴用
    モールドの内部にスラッシュ成形靴の靴本体として必要
    な高さ,または前記補強必要部分を含む高さまで注入し
    て加熱することにより靴本体状の薄膜状の半ゲル化物を
    前記スラッシュ成形靴用モールドの内壁面または内壁面
    下部に付層形成し、前記半ゲル化物の内面に残存する未
    ゲル化状態のプラスチゾルを排出しておくことにより、
    前記第2工程により形成される靴本体の外面の全部また
    は一部に、非発泡または低発泡のポリ塩化ビニルペース
    ト樹脂を含むプラスチゾルの薄膜状の加熱ゲル化物から
    なる表皮スキン層が形成されることを特徴とする請求項
    ないし請求項のいずれかに記載の発泡スラッシュ成
    形靴の製造法。
  11. 【請求項11】 前記第1工程の前に、ポリ塩化ビニル
    ペースト樹脂を含むプラスチゾルをスラッシュ成形靴用
    モールドの内部底部の全部または一部に注入して加熱す
    ることにより前記全部または一部に靴底状の半ゲル化物
    を付層形成しておくことにより、前記第2工程により形
    成される靴本体の底面の外面の全部または一部に、非発
    泡または低発泡のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプ
    ラスチゾルの加熱ゲル化物からなる靴底が形成されると
    ともに、前記補強必要部分のうちの爪先部および踵部の
    肉厚は底部の肉厚よりも増加されてなることを特徴とす
    る請求項ないし請求項のいずれかに記載の発泡スラ
    ッシュ成形靴の製造法。
  12. 【請求項12】 前記第1工程の前であって、前記表皮
    スキン層を形成するプラスチゾルを注入する前,または
    前記表皮スキン層となる半ゲル化物を形成して未ゲル化
    状態のプラスチゾルを排出した後に、ポリ塩化ビニルペ
    ースト樹脂を含むプラスチゾルをスラッシュ成形靴用モ
    ールドまたは前記半ゲル化物の内部底部の全部または一
    部に注入して加熱し前記全部または一部に靴底状の半ゲ
    ル化物を付層形成しておくことにより、前記表皮スキン
    層の底面の外面の全部または一部,または前記靴本体と
    前記表皮スキン層との間の底面の全部または一部に、非
    発泡または低発泡のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含む
    プラスチゾルの加熱ゲル化物からなる靴底が形成される
    とともに、前記補強必要部分のうちの爪先部および踵部
    の肉厚は底部の肉厚よりも増加されてなることを特徴と
    する請求項10記載の発泡スラッシュ成形靴の製造法。
  13. 【請求項13】 前記靴本体を形成するプラスチゾルは
    発泡剤を含有する請求項ないし請求項12のいずれか
    に記載の発泡スラッシュ成形靴の製造法。
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