JP2863103B2 - 多層よりなる発泡スラッシュ成形靴およびその製造法 - Google Patents

多層よりなる発泡スラッシュ成形靴およびその製造法

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JP2863103B2 JP6335731A JP33573194A JP2863103B2 JP 2863103 B2 JP2863103 B2 JP 2863103B2 JP 6335731 A JP6335731 A JP 6335731A JP 33573194 A JP33573194 A JP 33573194A JP 2863103 B2 JP2863103 B2 JP 2863103B2
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  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、靴本体の全部または一
部が発泡されてなる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴
およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】図13に示すように、ポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂よりなるスラッシュ成形靴は、初めに革や合
皮等の素材を使って実際の靴を製作してオリジナルモデ
ルとし、このオリジナルモデルの外面に金属メッキを施
す電気鋳造法により靴の形状を呈する筒状のスラッシュ
成形靴用モールド31を製作しておき、こうして製作し
たスラッシュ成形靴用モールド31の中にポリ塩化ビニ
ルペースト樹脂を流し込み、その外周部を短時間加熱す
ることによりスラッシュ成形靴用モールド31の内壁面
にポリ塩化ビニルペースト樹脂からなる靴本体状の半ゲ
ル化物を付層形成し、続いて半ゲル化物内の未ゲル化状
態の余剰のポリ塩化ビニルペースト樹脂を例えばスラッ
シュ成形靴用モールド31を傾斜させて上端開口部32
から排出し、さらに全体を加熱してスラッシュ成形靴用
モールド31内の半ゲル化物を完全にゲル化することに
より、爪先部,踵部および底部等の補強必要部分と履き
口部および筒部等のその他の部分とが一体に形成された
靴本体(スキン)33を製作する。
【0003】そして、冷却および脱型後に、図14に示
すように、靴本体33の外面踵部に組み付け部品として
別工程で製造されたヒール35を例えば接着により装着
し、さらに靴本体33に靴裏布材から縫製される裏布
(インナーブーツ)と中底やファスナー等の部品とを縫
製・接着等により組み付け、塗装を行って最終製品であ
るスラッシュ成形靴に仕上げる。
【0004】なお、上述のスラッシュ成形靴の製造法で
は、靴本体33のスラッシュ成形後にヒール35を装着
するようにしているが、この他に、図15に示すよう
に、スラッシュ成形工程において、前述の未ゲル化状態
の余剰のポリ塩化ビニルペースト樹脂をスラッシュ成形
靴用モールド31外に排出した後、この半ゲル化物33
の内面踵部にヒール用ペーストを注入し、さらに全体を
ゲル化温度以上に加熱することにより、半ゲル化物およ
びヒール用ペーストをともにゲル化させてヒール芯34
を靴本体33と一体的に構成する製造法もある。
【0005】このようにして製造されるスラッシュ成形
靴は、オリジナルモデルの外面に金属めっきを施して製
造したスラッシュ成形靴用モールドを用いるためにスラ
ッシュ成形靴用モールドの内面にはオリジナルモデルに
用いた素材,ステッチさらには切足しデザイン等がその
まま忠実に再現されて優れたデザイン表現を得られると
ともに、靴本体に継ぎ目や縫い目等が存在せず完全な筒
状体であるために高い防水・防湿機能を得られるため、
これまでに長靴等の防寒靴として大量に製品化されてき
た。
【0006】ところで、このスラッシュ成形靴は靴本体
にポリ塩化ビニルペースト樹脂からなる充実配合の加熱
ゲル化物を用いるために重量が嵩み、履物として最も要
求される要件の一つである軽量化を図ることが困難であ
るという問題があった。
【0007】そこで、これまでに、スラッシュ成形靴の
軽量化を図った技術が種々提案されている。
【0008】例えば特開昭52−76151号公報に
は、減圧下で脱泡したポリ塩化ビニルペースト樹脂を含
むプラスチゾルを加熱してあるスラッシュ成形靴用モー
ルド内に注入してスラッシュ成形靴用モールドの内壁面
に半ゲル化物を外層として付層形成し、余剰のプラスチ
ゾルを排出してから、機械的に起泡させたポリ塩化ビニ
ルペースト樹脂を含むプラスチゾルを半ゲル化物の内部
に注入・排出して空気泡を含む内層を形成し、全体を加
熱することにより、充実の外層と空気泡を含む内層との
2層構造からなる軽量な発泡スラッシュ成形靴を製造す
る方法が提案されている。
【0009】また、特開平6−217801号公報に
は、適当量配合された塩化ビニルペーストレジンおよ
び、ニトリル系モノマとメタクリル酸エステルまたはア
クリル酸エステルまたはアクリル酸エステルとの架橋性
共重合体で構成される熱膨脹性のマイクロカプセルを含
有するプラスチゾルをスラッシュ成形靴用モールドに注
入、排出してマイクロカプセルの膨脹温度以下で加熱す
ることによりスラッシュ成形靴用モールドの内壁面に半
ゲル化層を形成し、余剰のプラスチゾルを排出してか
ら、半ゲル化層をマイクロカプセルの膨脹温度以上に加
熱架橋させることにより、靴本体各部が気泡を均一に含
む発泡スラッシュ成形靴を製造する方法が提案されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来の技術に
よれば、発泡スラッシュ成形靴は靴本体の全面に略均一
に気泡を含むため、靴本体に気泡を含まないスラッシュ
成形靴に対して軽量化を図ることが可能となる。
【0011】しかし、これらの従来の技術では、靴本体
のうちの爪先部,踵部さらには底部等の強度を要する補
強必要部分も必然的かつ不可避的に発泡されるために補
強必要部分にも気泡が含まれ物性が低下してしまうため
に、軽量化を図りながら求められる強度や耐摩耗性等の
物性を満足させることができない。
【0012】多少の重量増を許容すれば補強必要部分の
肉厚を増加することにより強度の向上・確保を図ること
は容易であると一見考えられるが、スラッシュ成形工程
において補強必要部分の加熱時間,加熱温度を増加して
半ゲル化物の補強必要部分を厚肉化してスラッシュ成形
を行うと、加熱ゲル化発泡の際、厚肉化されたことによ
りゲル化のために補強必要部分はその他の部分よりも多
くの熱量が必要となり、多くの熱量を付与すると過剰に
発泡して肌荒れ、連泡ないしは気泡崩壊等を生じてしま
うために、補強必要部分の強度はむしろ低下してしま
う。
【0013】なお、靴以外に人形や自動車用内装材を適
用対象としたスラッシュ成形技術も知られているが、こ
れらは発泡倍率が500%超のものであり、これらを靴
に適用しようとすると靴として必要な強度を維持できな
い。
【0014】本発明はこのような従来の技術が有する課
題を解決するためになされたものであり、靴本体のうち
の爪先部,踵部さらには底部等の補強必要部分が充分な
強度を有し靴としての機能を備え、軽量化が図られる発
泡スラッシュ成形靴とその製造法とを提供することを目
的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため鋭意検討を重ね、ポリ塩化ビニルペースト
樹脂および発泡剤を含むプラスチゾルを用いてスラッシ
ュ成形を行う場合に、スラッシュ成形靴用モールドの内
壁面に付層形成された半ゲル化物を充分にゲル化させる
加熱条件と,前述の発泡剤を加熱分解させてガスを発生
させる加熱条件との間には差があることを知見した。
【0016】すなわち、通常の場合、ゲル化温度は16
0℃程度であるのに対し、アゾ系,ニトロソ系,ヒドラ
ジン系等の発泡剤分解温度は200℃程度である。した
がって、ゲル化温度以上であっても発泡剤分解温度未
満のゲル化温度域、例えば160〜180℃に半ゲル化
物を加熱すれば発泡を生じることなく充分にゲル化を行
うことが可能であり、一方、発泡剤分解温度以上の温
度、例えば200℃以上であれば当然ゲル化は進行する
とともに、比較的短時間であっても発泡剤は分解してガ
スを発生させる。このように、発泡は比較的短時間で
も完了するがゲル化はゆっくりと比較的長時間かけて進
行するため、例えば発泡剤分解温度以上のような高温域
に加熱してゲル化と発泡とを同時に行わせようとする
と、適正な発泡状態に達してもゲル化が不足して物性が
低くなる。そこで、このゲル化の不足分を、発泡を生
じないゲル化温度域へ予め加熱することによって補って
おくことにより、ゲル化の不足を生じることなく適正な
発泡を行うことができる。さらに、発泡の温度速度を配
合中の安定剤や発泡促進剤,発泡抑制剤で調整すること
も可能である。
【0017】本発明者らはこれらの知見ないしに基
づいてさらに検討を重ねて、まず部位毎に肉厚が異なる
半ゲル化物をゲル化温度域に加熱することによりゲル化
を進行させておき、その後に部分的に加熱温度および加
熱時間をコントロールすることにより、部位毎に所望の
発泡倍率の発泡を行わせることができることを知見し
て、本発明を完成した。
【0018】請求項1記載の本発明にかかる多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴は、ポリ塩化ビニルペースト樹
脂を含むプラスチゾルの薄膜状の加熱ゲル化物により構
成される外層と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂および発
泡剤を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物により構成され
る内層とから靴本体が構成される多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴であって、前記内層は発泡されてなるとと
もに、前記内層の補強必要部分のうちの爪先部および踵
部の肉厚は内層のうちの前記補強必要部分を除くその他
の部分の肉厚よりも増加されてなり、さらに、前記靴本
体の底面を構成する外層の外面の全部または一部,ない
しは前記靴本体の底面を構成する外層および内層の間の
全部または一部には、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含
むプラスチゾルの加熱ゲル化物から構成される靴底が設
けられることを特徴とするものである。
【0019】請求項2記載の本発明にかかる多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴は、請求項1記載の多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴において、外層が、内層のうち
の爪先部,踵部および底部等の補強必要部分と後部縦壁
面とを覆う範囲に形成されることを特徴とするものであ
る。
【0020】請求項3記載の本発明にかかる多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴は、請求項1または請求項2記
載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴において、外層
の肉厚が0.5mm以下であることを特徴とするものであ
る。
【0021】請求項4記載の本発明にかかる多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴は、請求項1ないし請求項3の
いずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴に
おいて、外層を構成するプラスチゾルが発泡剤を含有す
るものである。
【0022】請求項5記載の本発明にかかる多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴は、請求項1ないし請求項4の
いずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴に
おいて、内層の発泡倍率が200%以下であることを特
徴とするものである。
【0023】請求項6記載の本発明にかかる多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴は、請求項1ないし請求項5の
いずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴に
おいて、補強必要部分の全部分または一部分の発泡倍率
が前記その他の部分の発泡倍率よりも小さいことを特徴
とするものである。
【0024】請求項7記載の本発明にかかる多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴は、請求項1ないし請求項6の
いずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴に
おいて、内層が内面踵部にスラッシュ成形工程において
注入されたヒール用ペーストの加熱ゲル化物からなるヒ
ール芯を備えるとともに、前記補強必要部分のうちの踵
部の底面および/または底部の発泡倍率はその他の部分
の発泡倍率よりも小さいことを特徴とするものである。
【0025】請求項8記載の本発明にかかる多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴は、請求項7記載の多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴において、ヒール用ペーストが
耐熱性を有する中空体および/または発泡抑制剤を含有
することを特徴とするものである。
【0026】請求項9記載の本発明にかかる多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴は、請求項1ないし請求項8の
いずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴に
おいて、靴底を構成するプラスチゾルが発泡抑制剤を微
量含有することを特徴とするものである。
【0027】請求項10記載の本発明にかかる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴は、請求項1ないし請求項9
のいずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴
において、内層の底部の肉厚が1mm以下であることを特
徴とするものである。
【0028】請求項11記載の本発明にかかる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴は、請求項1ないし請求項1
0のいずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴において、靴底を構成するプラスチゾルに含まれるポ
リ塩化ビニルペースト樹脂に替えて、架橋性ポリ塩化ビ
ニル樹脂、コポリマー樹脂または、架橋性ポリ塩化ビニ
ル樹脂,熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤の3種のう
ちの2種以上の組合せを用いることを特徴とするもので
ある。
【0029】請求項12記載の本発明にかかる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴は、請求項1ないし請求項1
1のいずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴において、靴底を構成するプラスチゾルが防滑性素材
を含むことを特徴とするものである。
【0030】請求項13記載の本発明にかかる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴は、請求項1ないし請求項1
2のいずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴において、靴底を構成するプラスチゾルが着色透明性
を有することを特徴とするものである。
【0031】請求項14記載の本発明にかかる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴の製造法は、ポリ塩化ビニル
ペースト樹脂を含むプラスチゾルをスラッシュ成形靴用
モールドの内部に、スラッシュ成形靴の靴本体として必
要な高さまで,またはスラッシュ成形靴の靴本体のうち
の爪先部,踵部および底部等の補強必要部分を含む高さ
まで注入して加熱することにより、外層となる薄膜状の
半ゲル化物を前記スラッシュ成形靴用モールドの内壁面
または内壁面の下部に付層形成し、前記半ゲル化物の内
面に残存する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出する
か,または前記スラッシュ成形靴用モールドを後傾させ
ることにより前記半ゲル化物の内面に残存する未ゲル化
状態のプラスチゾルを排出する第1工程と,ポリ塩化ビ
ニルペースト樹脂を含むプラスチゾルを、前記半ゲル化
物の底部内面の全部または一部を覆うように注入して加
熱することにより前記底部内面の全部または一部に沿っ
た靴底となる半ゲル化物を形成する第2工程と,ポリ塩
化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含むプラスチゾル
を前記スラッシュ成形靴用モールドの内部にスラッシュ
成形靴の靴本体として必要な高さまで注入し、2つの前
記半ゲル化物と前記靴本体のうちの爪先部,踵部および
底部等の補強必要部分,および当該補強必要部分を除く
その他の部分それぞれの加熱条件を違えて加熱すること
により、前記補強必要部分のうちの爪先部および踵部の
肉厚が前記その他の部分の肉厚よりも大きい靴本体状の
内層となる半ゲル化物を前記スラッシュ成形靴用モール
ドの内壁面に付層形成し、前記半ゲル化物の内面に残存
する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出する第3工程
と,前記第1工程ないし第3工程でそれぞれ形成された
3つの前記半ゲル化物を、ゲル化温度以上発泡剤分解温
度未満の温度域に加熱してゲル化を進行してから発泡剤
分解温度以上に加熱して発泡させることにより、ポリ塩
化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの薄膜状の加
熱ゲル化物により構成される外層と,ポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂および発泡剤を含むプラスチゾルの加熱ゲル
化物により構成される内層とから靴本体が構成され、か
つ前記内層は発泡されてなるとともに前記補強必要部分
のうちの爪先部および踵部の肉厚は前記その他の部分の
肉厚よりも増加されてなり、さらに、前記靴本体の底面
を構成する外層および内層の間の全部または一部に、ポ
リ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの加熱ゲ
ル化物から構成される靴底が設けられる多層よりなる発
泡スラッシュ成形靴を形成する第4工程とを備えること
を特徴とするものである。
【0032】請求項15記載の本発明にかかる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴の製造法は、ポリ塩化ビニル
ペースト樹脂を含むプラスチゾルを、スラッシュ成形靴
用モールドの底部内面の全部または一部を覆うように注
入して加熱することにより前記底部内面の全部または一
部に沿った靴底となる半ゲル化物を形成する第1工程
と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルを
スラッシュ成形靴用モールドの内部に、スラッシュ成形
靴の靴本体として必要な高さまで,またはスラッシュ成
形靴の靴本体のうちの爪先部,踵部および底部等の補強
必要部分を含む高さまで注入して加熱することにより、
外層となる薄膜状の半ゲル化物を前記スラッシュ成形靴
用モールドの内壁面または内壁面の下部に付層形成し、
前記半ゲル化物の内面に残存する未ゲル化状態のプラス
チゾルを排出するか,または前記スラッシュ成形靴用モ
ールドを後傾させることにより前記半ゲル化物の内面に
残存する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出する第2工
程と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含む
プラスチゾルを前記スラッシュ成形靴用モールドの内部
にスラッシュ成形靴の靴本体として必要な高さまで注入
し、2つの前記半ゲル化物と前記靴本体のうちの爪先
部,踵部および底部等の補強必要部分,および当該補強
必要部分を除くその他の部分それぞれの加熱条件を違え
て加熱することにより、前記補強必要部分のうちの爪先
部および踵部の肉厚が前記その他の部分の肉厚よりも大
きい靴本体状の内層となる半ゲル化物を前記スラッシュ
成形靴用モールドの内壁面に付層形成し、前記半ゲル化
物の内面に残存する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出
する第3工程と,前記第1工程ないし第3工程でそれぞ
れ形成された3つの前記半ゲル化物を、ゲル化温度以上
発泡剤分解温度未満の温度域に加熱してゲル化を進行し
てから発泡剤分解温度以上に加熱して発泡させることに
より、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾル
の薄膜状の加熱ゲル化物により構成される外層と,ポリ
塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含むプラスチゾ
ルの加熱ゲル化物により構成される内層とから靴本体が
構成され、かつ前記内層は発泡されてなるとともに前記
補強必要部分のうちの爪先部および踵部の肉厚は前記そ
の他の部分の肉厚よりも増加されてなり、さらに、前記
靴本体の底面を構成する外層の外面の全部または一部
に、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの
加熱ゲル化物から構成される靴底が設けられる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴を形成する第4工程とを備え
ることを特徴とするものである。
【0033】請求項16記載の本発明にかかる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴の製造法は、ポリ塩化ビニル
ペースト樹脂を含むプラスチゾルをスラッシュ成形靴用
モールドの内部に、スラッシュ成形靴の靴本体として必
要な高さまで,またはスラッシュ成形靴の靴本体のうち
の爪先部,踵部および底部等の補強必要部分を含む高さ
まで注入して加熱することにより、外層となる薄膜状の
半ゲル化物を前記スラッシュ成形靴用モールドの内壁面
または内壁面の下部に付層形成し、前記半ゲル化物の内
面に残存する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出する
か,または前記スラッシュ成形靴用モールドを後傾させ
ることにより前記半ゲル化物の内面に残存する未ゲル化
状態のプラスチゾルを排出する第1工程と,ポリ塩化ビ
ニルペースト樹脂を含むプラスチゾルを、前記半ゲル化
物の底部内面の全部または一部を覆うように注入して加
熱することにより前記底部内面の全部または一部に沿っ
た靴底となる半ゲル化物を形成する第2工程と,ポリ塩
化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含むプラスチゾル
を前記スラッシュ成形靴用モールドの内部にスラッシュ
成形靴の靴本体として必要な高さまで注入し、2つの前
記半ゲル化物と前記靴本体のうちの爪先部,踵部および
底部等の補強必要部分,および当該補強必要部分を除く
その他の部分それぞれの加熱条件を違えて加熱すること
により、前記補強必要部分のうちの爪先部および踵部の
肉厚が前記その他の部分の肉厚よりも大きい靴本体状の
内層となる半ゲル化物を前記スラッシュ成形靴用モール
ドの内壁面に付層形成し、前記半ゲル化物の内面に残存
する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出する第3工程
と,前記第1工程ないし第3工程でそれぞれ形成された
3つの前記半ゲル化物を、ゲル化温度以上発泡剤分解温
度未満の温度域に加熱してゲル化を進行してから、内層
の前記補強必要部分を発泡剤分解温度未満ないしは発泡
剤分解温度以上で短時間加熱するとともに前記その他の
部分を前記発泡剤分解温度以上に加熱して発泡させるこ
とにより、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチ
ゾルの薄膜状の加熱ゲル化物により構成される外層と,
ポリ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含むプラス
チゾルの加熱ゲル化物により構成される内層とから靴本
体が構成され、かつ前記内層は前記補強必要部分の発泡
倍率が前記その他の部分の発泡倍率よりも小さくなるよ
うに発泡されてなるとともに前記補強必要部分のうちの
爪先部および踵部の肉厚は前記その他の部分の肉厚より
も増加されてなり、さらに、前記靴本体の底面を構成す
る外層および内層の間の全部または一部に、ポリ塩化ビ
ニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物か
ら構成される靴底が設けられる多層よりなる発泡スラッ
シュ成形靴を形成する第4工程とを備えることを特徴と
するものである。
【0034】請求項17記載の本発明にかかる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴の製造法は、ポリ塩化ビニル
ペースト樹脂を含むプラスチゾルを、スラッシュ成形靴
用モールドの底部内面の全部または一部を覆うように注
入して加熱することにより前記底部内面の全部または一
部に沿った靴底となる半ゲル化物を形成する第1工程
と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルを
スラッシュ成形靴用モールドの内部に、スラッシュ成形
靴の靴本体として必要な高さまで,またはスラッシュ成
形靴の靴本体のうちの爪先部,踵部および底部等の補強
必要部分を含む高さまで注入して加熱することにより、
外層となる薄膜状の半ゲル化物を前記スラッシュ成形靴
用モールドの内壁面または内壁面の下部に付層形成し、
前記半ゲル化物の内面に残存する未ゲル化状態のプラス
チゾルを排出するか,または前記スラッシュ成形靴用モ
ールドを後傾させることにより前記半ゲル化物の内面に
残存する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出する第2工
程と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含む
プラスチゾルを前記スラッシュ成形靴用モールドの内部
にスラッシュ成形靴の靴本体として必要な高さまで注入
し、2つの前記半ゲル化物と前記靴本体のうちの爪先
部,踵部および底部等の補強必要部分,および当該補強
必要部分を除くその他の部分それぞれの加熱条件を違え
て加熱することにより、前記補強必要部分のうちの爪先
部および踵部の肉厚が前記その他の部分の肉厚よりも大
きい靴本体状の内層となる半ゲル化物を前記スラッシュ
成形靴用モールドの内壁面に付層形成し、前記半ゲル化
物の内面に残存する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出
する第3工程と,前記第1工程ないし第3工程でそれぞ
れ形成された3つの前記半ゲル化物を、ゲル化温度以上
発泡剤分解温度未満の温度域に加熱してゲル化を進行し
てから、内層の前記補強必要部分を発泡剤分解温度未満
ないしは発泡剤分解温度以上で短時間加熱するとともに
前記その他の部分を前記発泡剤分解温度以上に加熱して
発泡させることにより、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を
含むプラスチゾルの薄膜状の加熱ゲル化物により構成さ
れる外層と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤
を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物により構成される内
層とから靴本体が構成され、かつ前記内層は前記補強必
要部分の発泡倍率が前記その他の部分の発泡倍率よりも
小さくなるように発泡されてなるとともに前記補強必要
部分のうちの爪先部および踵部の肉厚は前記その他の部
分の肉厚よりも増加されてなり、さらに、前記靴本体の
底面を構成する外層の外面の全部または一部に、ポリ塩
化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの加熱ゲル化
物から構成される靴底が設けられる多層よりなる発泡ス
ラッシュ成形靴を形成する第4工程とを備えることを特
徴とするものである。
【0035】請求項18記載の本発明にかかる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴の製造法は、請求項14ない
し請求項17のいずれかに記載の多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法において、第4工程において前記
半ゲル化物をゲル化温度以上発泡剤分解温度未満の温度
域に加熱する前に、靴本体状の内層となる半ゲル化物の
内面踵部にヒール用ペーストを注入しておくことによ
り、前記第4工程で形成される内層の踵部の発泡倍率を
爪先部の発泡倍率よりも小さくすることを特徴とするも
のである。
【0036】請求項19記載の本発明にかかる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴の製造法は、請求項18記載
の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴の製造法におい
て、ヒール用ペーストが耐熱性を有する中空体および/
または発泡抑制剤を含有することを特徴とするものであ
る。
【0037】請求項20記載の本発明にかかる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴の製造法は、請求項14ない
し請求項19のいずれかに記載の多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法において、靴底を構成する前記プ
ラスチゾルが発泡抑制剤を含有することを特徴とするも
のである。
【0038】
【作用】まず、本発明にかかる多層よりなる発泡スラッ
シュ成形靴を、添付図面を参照しながら各請求項毎に作
用効果とともに詳述する。 (1)請求項1記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴 図1は、請求項1記載の多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴の構造を示す縦断面図である。
【0039】この多層よりなる発泡スラッシュ成形靴1
は、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの
薄膜状の加熱ゲル化物により構成される外層2と,樹脂
ポリ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含むプラス
チゾルの加熱ゲル化物により構成される内層3とから靴
本体4が構成される。
【0040】外層2および内層3に使用されるポリ塩化
ビニルペースト樹脂としては、一般的に塩化ビニルモノ
マーを、乳化重合,マイクロサスペンジョン等の重合法
により得られる樹脂や、塩化ビニルと酢酸ビニル,塩化
ビニリデン,エチレン,プロピレン等との共重合により
得られる樹脂や、分子内にヒドロキシル基(−OH)や
カルボキシル基(−COOH)を含み、架橋性を有する
ポリ塩化ビニルペースト樹脂等が使用でき、重合度:1
000〜2000程度のペースト樹脂が例示される。
【0041】発泡剤は、アゾジカルボンアミド,アゾビ
スホルムアミド,アゾビスイソブチロニトリル,アゾヘ
キサヒドロベンゾニトリル,ジアゾアミノベンゼン等の
アゾ化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミン,N,
N'ジニトロソ−N,N'−ジメチルテレフタルアミド等のニ
トロソ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド,トルエ
ンスルホニルヒドラジド,ジフェニルスルフォン−3,3'
−ジスルホニルヒドラジド,ジフェニルオキシド−4,4'
−ジスルホニルヒドラジド等のヒドラジド化合物、テレ
フタルアジド,P−トルエンスルホニルセミカルバジ
ド,トリヒドラジノトリアジン等の有機系化学発泡剤
や、重炭酸ナトリウム,重炭酸アンモニウム,炭酸アン
モニウム等の無機系化学発泡剤を例示することができ
る。
【0042】前述のプラスチゾルは、通常の場合、これ
らのポリ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤の他に、
可塑剤,安定剤さらには顔料を含むため、これらについ
ても説明する。
【0043】可塑剤としては、DOP,DIDP,DH
P,DBP等のフタル酸エステル系、アジピン酸エステ
ル系、ポリエステル系さらにはエポキシ系等の各種可塑
剤が例示される。
【0044】安定剤としては、ジブチル錫ジラウレー
ト,ジブチル錫マレート等の有機錫系安定剤、錫メルカ
プト系、Ba系、Zn系、Ca系やこれらの複合体等が
例示される。なお、本発明では発泡剤とともにプラスチ
ゾルに含有させて用いるため、安定剤に用いる金属元素
の種類によっては、本来の使用目的である耐熱安定性の
他に発泡剤分解温度や発泡性に影響を与えることがある
ので、安定剤に用いる金属元素の選定には注意を要す
る。具体的には、錫やBaは発泡を抑制し、Zn,P
b,Cd等は発泡を促進して発泡剤分解温度を低下せる
ため、Zn系を主体として他の安定剤を混合した複合安
定剤を用いることが望ましい。
【0045】顔料としては、靴本体に与える色に合わせ
て選定され、酸化チタン,ベンガラ,カーボンブラック
等の無機顔料や、ウオッチングレッド,フタロシアニ
ン,アゾ系有機顔料等が例示される。
【0046】これらを含有するプラスチゾルの組成は、
ポリ塩化ビニルペースト樹脂100重量部に対して、発
泡剤:0.01〜1.0重量部,可塑剤:80〜100
重量部,安定剤:3〜5重量部,顔料:1〜3重量部で
ある。
【0047】このような組成のプラスチゾルの加熱ゲル
化物から外層2および内層3それぞれが構成される。こ
こで、靴本体4とは下部の底部5から上端の履口部6ま
での全てを含む部分を意味しており、換言すれば、爪先
部7,踵部8および底部5等の補強必要部分9とこの補
強必要部分9を除くその他の部分10とからなる全部分
である。なお、爪先部7は少なくとも靴本体先端から脛
側〜腓側の各中心点を結ぶ線に至る胛被を含む部分を意
味しさらにインステップ部の胛被部分を含んでもよい。
踵部8は少なくとも踵点を含む部分を意味しさらにアキ
レス腱相当部等を含んでもよい。さらに底部5は少なく
とも接地面側全域を含む部分を意味し接地面から立ち上
がった底部周縁等を含んでもよい。さらに、踵部8は、
履心地や耐摩耗性向上のためにヒールリフトや嵌め込み
スパイクを後付けするための段差部が底面に設けられた
踵部も包含する。
【0048】内層3は、プラスチゾルに含まれる発泡剤
が加熱されることにより発泡状態を呈する。発泡は、内
層3の全部分で略均一に発泡する。すなわち、前述の補
強必要部分9とその他の部分10との間には発泡の程度
に大差がなく、同程度に略均一に発泡する。
【0049】さらに、内層3の補強必要部分9のうちの
爪先部7および踵部8の肉厚は、内層3のうちの補強必
要部分9を除くその他の部分10の肉厚よりも増加され
ている。すなわち、請求項1記載の多層よりなる発泡ス
ラッシュ成形靴1では、内層3が部位によらずほぼ均一
に発泡され全体として軽量化されるとともに、内層3の
補強必要部分9のうちの爪先部7および踵部8の肉厚が
大きくなっているため必要な強度が維持される。補強必
要部分7のうちでも底部5の肉厚はその他の部分10の
肉厚よりも必ずしも大きくなっていない。この理由は後
述する。
【0050】なお、補強必要部分9のうちの爪先部7お
よび踵部8の肉厚をその他の部分10よりも大きくする
には、請求項14ないし請求項18記載の本発明にかか
る多層よりなる発泡スラッシュ成形靴の製造法の説明の
際に詳述するように、スラッシュ成形工程における半ゲ
ル化工程において、補強必要部分9とその他の部分10
との間で、特定の範囲で加熱条件(加熱温度および加熱
時間の一方または双方)を変更する。
【0051】さらに、図1に示す多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴1では、このような内層3の外面に、ポリ
塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの加熱ゲル
化物により構成される外層2が設けられる。
【0052】外層2を構成するプラスチゾルに含有され
るポリ塩化ビニルペースト樹脂は、内層3を構成するプ
ラスチゾルに含有される前述のポリ塩化ビニルペースト
樹脂と全く同様であることが内層3と外層2との密着強
度を充分に維持する観点からは望ましい。
【0053】外層2を構成するプラスチゾルは、ポリ塩
化ビニルペースト樹脂の他に可塑剤,安定剤さらには顔
料等を含有するが、これらの配合例はポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂100重量部に対して、可塑剤:80〜10
0重量部,安定剤:3〜5重量部,顔料:1〜3重量部
である。
【0054】このように、内層3および外層2を備える
請求項1記載の本発明にかかる発泡スラッシュ成形靴で
は、内層3は発泡されることにより軽量化されるととも
に発泡部分が断熱効果を奏するために保温性が向上す
る。また、発泡により感触が柔らかくなり履き心地が向
上する。また、発泡により内層3の表面には皮革紋様意
匠に加え、皮革カーフ調の小皺が形成され、高級感が付
与される。さらに、従来のスラッシュ成形靴と同様の材
料に発泡剤を用いるだけで構成されるため、低コストで
製造できる。
【0055】なお、請求項1記載の本発明にかかる多層
よりなる発泡スラッシュ成形靴1では、靴本体の骨格を
なすのは内層3であり、外層2はこの内層3の表面保護
膜(スキン)として作用するが、かなり僅かではある
が、肉厚の増加により例えば靴本体4の後部縦壁面12
の剛性を向上させる。
【0056】さらに、靴本体4の外面底部の全部または
一部(図1に示す実施例では全部)にはポリ塩化ビニル
ペースト樹脂を含み、基本的には発泡剤を含まないプラ
スチゾルの加熱ゲル化物からなる靴底11が設けられて
いる。
【0057】このようなプラスチゾルの組成例として
は、ポリ塩化ビニルペースト樹脂100重量部に対し
て、可塑剤:80〜100重量部,安定剤:3〜5重量
部,顔料:1〜3重量部である。
【0058】この靴底11はその全域にわたって略均一
な厚さに形成されており、接地面には靴底意匠としての
凹凸が付与されて、路面捕捉性等が確保される。靴底1
1の形成手段としては、後述するように、この靴底11
を第1層目とするとともに内層3を第2層目とする2層
スラッシュ成形靴の製造法が用いられる。
【0059】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシ
ュ成形靴1は、靴底11を構成するプラスチゾルと,発
泡剤を含み内層3を構成するプラスチゾルとを違えて2
層スラッシュ成形靴としているため、これら両者のプラ
スチゾルの組成を適宜調整することにより、内層3の軽
量化を図りながら靴底11の耐摩耗性を確実に維持でき
る。すなわち、内層3を構成するプラスチゾルは軽量
化,保温性等の前述の効果に力点をおいた組成とすると
ともに、靴底11を構成するプラスチゾルは耐摩耗性に
力点をおいた組成とする。
【0060】また、靴底11が存在することにより、ス
ラッシュ成形の加熱の際に、内層3の底部5が受ける熱
量をこの靴底11が吸収して底部5の温度上昇を抑制す
る。そのため、靴底11が接する底部5の肉厚および発
泡倍率が低く抑制される。補強必要部分9に含まれる底
部5の強度は靴底11が補うため、底部5の肉厚が低く
ても何等問題ない。むしろ、底部5の肉厚が低下するこ
とで余分な重量増を防止できる。
【0061】図1に示す実施例では、靴底11は外層2
の外面底部に設けられているが、かかる態様のみに限定
されるものではなく、多層よりなるスラッシュ成形の順
序により、図2に示すように、靴底11が靴本体4の底
面を構成する外層2および内層3の間の全部または一部
(図2に示す実施例では全部)に設けられていてもよ
い。 (2)請求項2記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴 図3または図4は、請求項2記載の多層よりなる発泡ス
ラッシュ成形靴1´の構造を示す縦断面図である。図1
に示す請求項1記載の発泡スラッシュ成形靴1との違い
は、外層2の成膜範囲が内層2の外面全面ではなく内層
2のうちの爪先部7,踵部8および底部5等の補強必要
部分9と後部縦壁面12とを覆う範囲である点である。
【0062】ここで、後部縦壁面12とは、発泡スラッ
シュ成形靴1´の外面のうちで、スラッシュ成形工程に
おいてスラッシュ成形靴用モールドを後傾させて内部の
余剰の未ゲル化を排出する際に流動・排出される未ゲル
化ゾルがスラッシュ成形靴用モールド後部内壁面と接触
することにより形成される外面をいう。
【0063】すなわち、図3または図4に示す発泡スラ
ッシュ成形靴1´は図1または図2に示す発泡スラッシ
ュ成形靴1に比較して、内層3を保護する外層2の形成
範囲が引っ掻き傷抵抗性を向上させる必要がある範囲に
限定されたものである。さらに、外層2は薄膜状である
ために微少ではあるが、肉厚が増加することにより爪先
部7,踵部8および底部5等の補強必要部分9と後部縦
壁面12との強度上昇効果を奏する。 (3)請求項3記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴 前述の請求項1または請求項2記載の多層よりなる発泡
スラッシュ成形靴1または1´では、外層2の肉厚が
0.5mmを越えると、その分だけ軽量化効果が減少する
とともに内層3の表面に形成される皮革紋様意匠や皮革
カーフ調の小皺が覆い隠されてしまう。そこで、外層2
の肉厚は0.5mm以下であることが望ましい。このよう
な観点からは外層2の肉厚の下限を設ける必要はない
が、薄すぎると内層3の保護効果が不足することから外
層2の肉厚の下限は0.1mmであることが望ましい。こ
こで、外層2の「肉厚」とは、例えば靴底意匠部を構成
する凸部を除いた,いわゆるベース厚を意味する。 (4)請求項4記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発泡スラッ
シュ成形靴では、軽量化をさらに推進するという観点か
ら、外層2を構成するプラスチゾルが発泡剤を含有して
もよい。
【0064】発泡剤の種類は、前述した内層3を構成す
るプラスチゾルに含有される発泡剤と同様でよく、ここ
での説明は省略する。ポリ塩化ビニルペースト樹脂10
0重量部に対して発泡剤の含有量が0.3重量部を越え
ると、外層2の表面における発泡が顕著になり内層3の
保護機能が低下するため、発泡剤の含有量はポリ塩化ビ
ニルペースト樹脂100重量部に対して0.3重量部以
下とすることが望ましく、同様の観点から0.1重量部
以下とすることがさらに望ましい。 (5)請求項5記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴 発泡の程度を示す発泡倍率は(発泡後肉厚)/(発泡前
肉厚)×100(%)により算出されるが、内層3の発
泡倍率が200%を越えると軽量化効果は大きくなるも
のの内層3の強度が著しく低下し、発泡スラッシュ成形
靴1として必要な強度が維持されなくなるおそれがあ
る。そのため、請求項5記載の多層よりなる発泡スラッ
シュ成形靴のように、発泡倍率は200%以下であるこ
とが望ましい。内層3が必要とする強度を確保するとい
う観点からは発泡倍率の下限を設ける必要はないが、発
泡倍率が低下すればするほど軽量化効果は低下するため
に極端に低い値にしないことが望ましい。このような観
点から発泡倍率は、例えば105%以上140%以下と
することが最も望ましい。 (6)請求項6記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴 この発泡スラッシュ成形靴は、前述した請求項1ないし
請求項5のいずれに記載の発泡スラッシュ成形靴,例え
ば図1に示す請求項1記載の発泡スラッシュ成形靴1ま
たは図3に示す請求項2記載の発泡スラッシュ成形靴1
´において、補強必要部分9の全部分または一部分の発
泡倍率がその他の部分10の発泡倍率よりも小さくなっ
ている。すなわち、補強必要部分9のうち底部5および
踵部8はその他の部分10に比べて肉厚が大きくなって
いるとともに、補強必要部分9の少なくとも一部は発泡
倍率がその他の部分10に比べて小さくなっているため
に、強度が著しく増加し、内層3が求められる機能を充
分に備えた構造となっている。 (7)請求項7記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴 図5または図6は、請求項7記載の多層よりなる発泡ス
ラッシュ成形靴であり、図5は請求項1記載の多層より
なる発泡スラッシュ成形靴に基づき、図6は請求項2記
載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴に基づくものの
構造を示す縦断面図である。
【0065】これらの請求項7記載の多層よりなる発泡
スラッシュ成形靴1´´は、前述した請求項1ないし請
求項6のいずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴1において、内層3が内面踵部にスラッシュ成形
工程において注入されたヒール用ペーストの加熱ゲル化
物からなるヒール芯13を備える。
【0066】このヒール芯13は、内層3の加熱ゲル化
工程(後述する請求項14ないし請求項17のいずれか
に記載の製造法の第4工程)において、内層3となる半
ゲル化物の内面底部に注入されるヒール用ペーストの加
熱ゲル化物である。
【0067】このヒール用ペーストの組成は、加熱ゲル
化後の硬度、加熱による体積変化率、さらには内層3と
の密着強度等を勘案して適宜決定すればよく、特定の種
類に限定する必要はない。一例として、ポリ塩化ビニル
ペースト樹脂100重量部に対して、可塑剤:70重量
部,熱硬化性可塑剤:20重量部,触媒:0.2重量
部,安定剤:1重量部,顔料:1重量部を例示すること
ができる。ここで、ポリ塩化ビニルペースト樹脂,可塑
剤,安定剤および顔料は、靴本体を構成する前述のプラ
スチゾルに含まれるものと同種のものであるため、ここ
での説明は省略し、熱硬化性可塑剤および触媒について
説明する。
【0068】ヒール用ペーストに用いる熱硬化性可塑剤
として下記のものが使用できる。
【0069】アリルエステル系熱硬化性可塑剤 フタル酸ジアリル,アクリル酸アリル,シアタール酸ト
リアリル,マレイン酸ジアリル,マレイン酸ジクロルア
リル,イタコン酸ジアリル,セバシン酸ジアリル,アジ
ピン酸ジアリル,マロン酸ジアリル,グリコール酸ジア
リル,アコニット酸トリアリル,リン酸トリアリル等。
【0070】アクリル酸エステル系熱硬化性可塑剤 アリルメタクリレート,ジアリルフマレート,トリエチ
レングリコールジメタクリレート,エチレングリコール
ジメタクリレート,シクロヘキシルメタクリレート,テ
トラエチレングリコールジメタクリレート,ポリエチレ
ングリコールジメタクリレート,ポリプロピレングリコ
ールジメタクリレート,ブタン1,4 ジオールジメタクリ
レート,トリメチロールプロパントリメタクリレート,
トリメチロールプロパントリアクリレート,トリメチロ
ールプロパンプロピレンオキサイド付加物トリアクリレ
ート,ジメチルアミノエチルメタクリレート,1,3 ブチ
レングリコールジメタクリレート等。
【0071】不飽和ポリエステル系熱硬化性可塑剤 分子内に何個かの二重結合を有する直線状ポリエステル
で加熱することによりラジカル重合する。
【0072】エポキシ系熱硬化性可塑剤 長鎖状や環状脂肪族エポキシ樹脂に脂肪族アミン類,酸
無水物等の硬化剤を加えて硬化させる。
【0073】特に、アリルエステル系熱硬化性可塑剤,
アクリル酸エステル系熱硬化性可塑剤は、重合触媒とし
て、過酸化ベンゾイル(BPO),t−ブチルパーベン
ゾエート(TBPB),ジクミルパーオキサイド(DC
PO),クメンハイドロパーオキサイド(CHPO)等
を添加して加熱することにより、ラジカル重合して硬化
する。
【0074】また、ヒール用ペーストに用いる熱硬化性
可塑剤,触媒は、上記より適宜選定すればよいが、後述
する実施例では熱硬化性可塑剤としてトリメチロールプ
ロパントリメタクリレート,触媒としてt−ブチルパー
ベンゾエート(TBPB)を使用した。
【0075】さらに、図5または図6に例示される請求
項7記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴1´´
は、補強必要部分9のうち上記のヒール芯13が接する
踵部8の底面および底部5の一方ないしは双方の発泡倍
率がその他の部分10の発泡倍率よりも小さくなってい
る。そのため、補強必要部分7のうちでも特に強度が要
求される踵部8の底面および底部5の一方ないしは双方
の発泡の程度がその他の部分10の発泡程度よりも抑制
され、換言すれば、踵部8の底面の発泡の程度が内層3
のうちで最も抑制され、踵部8の底面の強度を確保でき
る。 (8)請求項8記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴 この発泡スラッシュ成形靴は、前述した請求項7記載の
発泡スラッシュ成形靴1´´において、ヒール芯13を
構成するヒール用ペーストが耐熱性を有する中空体およ
び発泡抑制剤の一方ないしは双方を含有するものであ
る。
【0076】中空体を含有させておくことによりヒール
用ペーストの加熱ゲル化物であるヒール芯13を軽量化
できる。ヒール芯13の軽量化を図る手段としてヒール
用ペーストに発泡剤を含有させておくことも考えられる
が、加熱による発泡の際に半ゲル化物の内部底面に注入
されたヒール用ペーストが凸状に膨脹してしまい、上端
面が略直線状のヒール芯13の所定の形状を維持できな
くなることがある。また、後述するようにヒール用ペー
ストに発泡抑制剤を含有させる場合、発泡剤を含有させ
ても発泡抑制剤により発泡ができなくなるという問題が
ある。中空体であればこのような問題を生じることはな
い。
【0077】一方、発泡抑制剤を含有させておくことに
より、ヒール用ペーストが接触する内層3の踵部8の底
面および後面の発泡倍率を抑制することができ、踵部8
の強度をよりいっそう向上できるようになる。
【0078】中空体としては、シラスバルーン,シリカ
バルーン,ガラスバルーン,カーボンバルーン,アルミ
ナバルーン,塩化ビニリデンバルーン,フェノールバル
ーン等がある。
【0079】また、発泡抑制剤としては、マレイン酸,
フマル酸,1,2 −フタル酸等の有機酸ステアロイルクロ
リド,フタロイルクロリド等のハロゲン化有機酸,無水
マレイン酸,無水フタル酸,無水トリメリット酸等の有
機酸無水物,ハイドロキノン等の多価アルコール,脂肪
酸アミン,アミド,オキシム等の窒素含有物,メルカプ
タン,硫化物,イソシアネート等のイオウ含有物,亜リ
ン酸塩化物等のリン酸塩,ジブチル錫マレート,塩化
錫,硫酸錫等の錫化合物,その他ヘキサクロロシクロペ
ンタジエン等が例示できる。
【0080】中空体および発泡抑制剤を含むヒール用ペ
ーストの組成としては、例えば、ポリ塩化ビニルペース
ト樹脂100重量部に対して、可塑剤:70重量部,熱
硬化性可塑剤:20重量部,触媒:0.2重量部,安定
剤:1重量部,中空体:10重量部,発泡抑制剤:5重
量部,顔料:1重量部を例示することができる。 (9)請求項9記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴 この多層よりなる発泡スラッシュ成形靴は、上述した請
求項1ないし請求項8のいずれかの発泡スラッシュ成形
靴において、靴底を構成するプラスチゾルが発泡抑制剤
を含有するものである。すなわち、靴本体の底部に接す
る靴底に発泡抑制剤を含有させておくことにより、底部
全体の発泡をさらに抑制することができる。特に、例え
ば図5または図6に示す発泡スラッシュ成形靴1´´の
内層3の踵部8は、発泡抑制剤を含むヒール芯13と発
泡抑制剤を含む靴底11とに上下から挾まれることにな
り、著しく発泡が抑制され強度が増加する。
【0081】この場合の靴底を構成するプラスチゾルの
組成例としては、ポリ塩化ビニルペースト樹脂100重
量部に対して、可塑剤:70重量部,熱硬化性可塑剤:
20重量部,触媒:1重量部,安定剤:1重量部,発泡
抑制剤:5重量部,顔料:1重量部である。 (10)請求項10記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴 この多層よりなる発泡スラッシュ成形靴は、上述した請
求項1ないし請求項9のいずれかの多層よりなる発泡ス
ラッシュ成形靴において、内層の底部の肉厚を1mm以下
に限定したものである。
【0082】内層の底部の肉厚が1mmを越えると、靴底
と接することによる発泡抑制効果が少なくなり、内層の
底部の発泡を抑制できなくなり底部の所望の強度を確保
できない可能性がある。そのため、底部の肉厚は1mm以
下であることが望ましい。さらに、底部の肉厚が0.3
mm以上0.5mm以下になると、発泡の程度は低下して低
発泡となり、さらに0.1mm以下になると発泡剤の分解
時に発生するガスが空気中に放出されて非発泡となる。
したがって、内層の底部の肉厚は1mm以下が望ましく、
低下すればするほど発泡が抑制されるためにより望まし
い。 (11)請求項11,請求項12または請求項13記載
の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴 請求項11記載の発泡スラッシュ成形靴は、請求項1な
いし請求項10のいずれかの発泡スラッシュ成形靴にお
いて、靴底を構成するプラスチゾルに含まれるポリ塩化
ビニルペースト樹脂に替えて、架橋性ポリ塩化ビニル樹
脂、コポリマー樹脂または、架橋性ポリ塩化ビニル樹
脂,熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤の3種のうちの
2種以上の組合せを用いることにより靴底の耐摩耗性を
向上するものである。以下、これらの樹脂について説明
する。
【0083】靴底の諸性能の向上を図るため特に有効な
樹脂は、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂、コポリマー樹
脂または、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂,熱硬化性可
塑剤および耐油性可塑剤の3種のうちからいずれか2
種以上を組み合わせて構成したものであり、具体的に
は、次のA〜Fの6種類になる。
【0084】A:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂 B:コポリマー樹脂 C:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性可塑剤 D:熱硬化性可塑剤と耐油性可塑剤 E:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と耐油性可塑剤 F:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性可塑剤と
耐油性可塑剤 さらに、これらの樹脂A〜Fを混合するプラスチゾルの
それぞれについて防滑性素材を混合すること、および
/または着色透明性を持たせるようにすることを組み
合わせることができ、最終的には、A,A+,A+
,A++,B,B+,B+,B++,…
……,F,F+,F+,F++の合計24種類
になる。 (I)A:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂,A+防滑性
素材,A+着色透明性,A+防滑性素材+着色透
明性 本発明で靴底に用いる架橋性ポリ塩化ビニル樹脂は、分
子内にヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基お
よびアルコキシ基等の一種または二種以上を有し、イソ
シアネート等の架橋剤を混合して加熱することにより架
橋硬化するものである。
【0085】架橋剤としては、トリレンジイソシアネー
ト、トリレンイソシアネートダイマー、ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、トリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネー
ト付加物、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポ
リメチレンポリフェニルイソシアネート、琥珀酸、グル
タル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、フタ
ル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸および
これらの無水物、n=10までのエポキシ、トリグリシ
ジルイソシアネート、4,4´−ジアミノジフェニルメ
タングリシジルアミン、分子内にメルカプト(−S−
H)基を含むアゾール、チアゾールおよびトリアジン化
合物またはその金属塩(2−R−4.6−ジメルカプト
−S−トリアジン等)、分子内にアゾ基(−N=N−
基)、−S−S−基、−N−S−基、−O−O−基を含
む化合物等が例示される。
【0086】架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラ
スチゾルの組成例は、ポリ塩化ビニルペーストレジン:
50〜90重量部、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂:10〜
50重量部、可塑剤:80〜120重量部、安定剤:2
〜3重量部、架橋剤:0.5〜3重量部、顔料:0〜2
重量部である。
【0087】本発明において、靴底が架橋性ポリ塩化ビ
ニル樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物により
構成される場合には、架橋により靴底の耐熱性が向上し
加熱条件下にあっても溶融し難くなり、耐シガレット性
(耐熱性)が向上する。
【0088】また、架橋により靴底の強度、耐油耐薬品
性および耐摩耗性も向上する。
【0089】なお、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合し
たプラスチゾルをスラッシュ成形靴用モールドの上端ま
で注入して架橋を行ってしまうと、架橋によりスラッシ
ュ成形靴用モールドからの剥離が難しくなり脱型性が著
しく低下し量産が困難になるが、本発明では、架橋性ポ
リ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルを用いるのは
靴底だけであるため、脱型性も余り低下せず、また、高
価な架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾル
の使用量を必要最少限に抑制することができるため、製
造コストの上昇を可及的抑制することができる。
【0090】また、本発明では、靴底の原料となる架橋
性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルに、必要
に応じて、さらに防滑性素材を混合しておくことによ
り、靴底の強度、耐油耐薬品性および耐摩耗性に加えて
さらに靴底の防滑性を向上することができる。
【0091】防滑性素材は一般に有色かつ不溶性な物で
あるため、靴底以外の部分に混入すると異物として認識
されて外観品質が著しく劣下してしまうが、ここでは靴
底にだけ混合するため、外観品質を劣下させることなく
靴底に防滑作用を付与することができる。むしろ、防滑
素材を混合することにより靴底に確実に付与できる防滑
性を視覚に訴えることができるため、降雪地等で販売さ
れるスラッシュ成形靴の商品性を向上することもでき
る。
【0092】防滑性素材の具体例としては、綿、スフ
(ステープルファイバー)、レーヨン、アクリル、ビニ
ロン、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタンさらには
ガラス繊維等の繊維であって太さが50デニール以下、
長さが3.0mm以下の比較的細くて短い繊維や、皮粉
末や、金属系ウイスカー、無機系ウイスカー、鉄、アル
ミニウム等の金属粉末や、アルミナ粉末、セラミック粉
末や、NBR等の合成ゴム、架橋樹脂、アクリル樹脂、
ウレタン樹脂等の不溶性の粉末、さらにはパルプ,セル
ローズ,藁,籾殻、くるみ、コルク等の植物性粉末であ
る。なお、粉末の防滑性素材は、大きさ30メッシュ以
下、望ましくは60メッシュ以下である。
【0093】さらに、靴底を構成する架橋性ポリ塩化ビ
ニル樹脂を混合したプラスチゾル、靴本体を構成するポ
リ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルともに同色、
例えば黒色としておけば、靴底および靴本体の接合部が
目立たなくなり外観品質が向上するが、これに加えて、
靴底の原料となる架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合した
プラスチゾルを着色透明性を有するようにしておくと、
スラッシュ成形によりスラッシュ成形靴用モールド内に
1回目に注入した際のスラッシュ成形靴用モールド内面
への跳ね返りや振動によりスラッシュ成形靴用モールド
内面への付着があっても、後続して行われる加熱ゲル化
までに自然に流れ落ちて薄膜になった際に樹脂が透明で
あることから目立たなくなって、製品段階において1回
目注入による跳ね返り跡を目立たなくすることができ
る。
【0094】したがって、跳ね返りに伴う手直工程を省
略することができ、量産性を要求されるスラッシュ成形
靴として望ましい。なお、靴底に透明性のある架橋性ポ
リ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルを用いるた
め、ゴムのクレープやスモークの色相に近似させること
によりゴムによく似た高品位の靴底にすることもでき、
より商品性を向上することができる。
【0095】架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラ
スチゾルに着色透明性を付与するには、通常の場合に樹
脂:100重量部に対して1〜2重量部程度使用する顔
料(ペースト状顔料やマスターバッチの場合は顔料と混
合してある樹脂や可塑剤の量は含まない。)を、0〜
0.2重量部、より望ましくは0.02〜0.1重量部
に低減する。 (II)B:コポリマー樹脂,B+防滑性素材,B
+着色透明性,B+防滑性素材+着色透明性 コポリマー樹脂は、塩化ビニルモノマーとコモノマーと
を共重合して得られる樹脂であり、具体的には、塩化ビ
ニル−酢酸ビニルコポリマー樹脂,塩化ビニル−塩化ビ
ニリデンコポリマー樹脂,塩化ビニル−プロピレンコポ
リマー樹脂さらには塩化ビニル−エチレンコポリマー樹
脂等を例示することができる。このようなコポリマー樹
脂は従来から用いられている通常のストレート樹脂(例
えばポリ塩化ビニル樹脂)に比較すると、より低温域で
ゲル化溶融する特性がある。
【0096】コポリマー樹脂を混合したプラスチゾルの
組成例は、コポリマー樹脂:100〜20重量部,可塑
剤:80〜120重量部,安定剤:2〜3重量部,顔
料:0〜2重量分である。
【0097】可塑剤としては、DOP等のフタル酸エス
テル系可塑剤の他アジピン酸エステル系,ポリエステル
系,エポキシ系等の各種可塑剤を使用することができ
る。
【0098】安定剤としては、ジフチルチンジラウレー
ト等の錫ラウレート系安定剤、ジプチルチンジマレート
等の錫マレート系安定剤の他錫メルカプト系,Ba系,
Zn系,Ca系およびこれらの複合体等の各安定剤を使
用することができる。
【0099】靴底にコポリマー樹脂を混合したプラスチ
ゾルを用いているため、その製造に際して靴底に相当す
る第1層のゲル化性が向上する。さらに加熱を続けて靴
本体に相当する第2層のキュアー温度まで昇温すること
により、第1層と第2層との界面の密着強度がよりいっ
そう向上し、2層スラッシュ成形靴において問題となる
ことがある靴底とこれに接する靴本体との間での界面剥
離が解消される。
【0100】換言すれば、第1層のうちの特に踵部が加
熱されると、この踵部は容量が大きいために供給された
熱は直ちに熱容量が大きい第2層側さらに踵へと熱伝導
されるため、第1層および第2層ともにゲル化し難くな
る。
【0101】第1層にストレートのポリ塩化ビニルペー
スト樹脂を使用すると、たとえ第2層にコポリマー樹脂
を使用しても第1層のゲル化が進行し難く、物性、耐摩
耗性および接着力がいずれも低下する。しかし、第1層
にコポリマー樹脂を使用すると、ゲル化性が良いこと,
外側から加熱されるため熱を受け易いことから、たとえ
第2層にストレートのポリ塩化ビニルペースト樹脂を使
用しても、物性、耐摩耗性および接着力がいずれも顕著
に向上する。
【0102】したがって、靴本体にポリ塩化ビニルペー
スト樹脂を用い靴底にポリ塩化ビニルペースト樹脂を用
いるか、または、靴本体にコポリマー樹脂を用い靴底に
ポリ塩化ビニルペースト樹脂を用いると、第1層をその
溶融温度まで上昇させて靴底の物性,耐摩耗性,靴底と
靴本体との間の接着力を確保するために適宜手段(例え
ば踵部分の加熱温度の上昇,加熱時間の延長等)により
第1層をその溶融温度に達するようにコントロールする
必要があった。しかし踵部分の加熱を増大することによ
って最も耐摩耗性を必要とする部分の靴本体が逆に発泡
倍率が高くなり、物性が低下してしまう。第1層にコポ
リマー樹脂を使用することにより第1層のゲル化・溶融
温度が低下し同じ加熱条件であっても容易かつ確実に第
1層の溶融温度に達するため、前述のような温度コント
ロールを行う必要なく第2層の加熱・ゲル化を行うこと
ができるようになり、第1層および第2層の間の密着強
度を確実に維持できるようになる。さらに、第2層中の
発泡剤分解温度は変化しないのに対し、第1層のゲル化
温度が低下するため、ゲル化温度域が拡大し、ゲル化温
度域での加熱の調整により第1層のゲル化を充分に満足
させながら、より第2層の発泡倍率を低くすることも容
易である。
【0103】また、靴底にコポリマー樹脂を混合したプ
ラスチゾルの加熱ゲル化物を使用しており、ポリ塩化ビ
ニル樹脂を混合したプラスチゾルの加熱ゲル化物に比較
すると加熱ゲル化物の硬度が低下するために靴底が柔軟
性を有し、路面捕捉力の大きな防滑性に優れた靴を製造
することができる。
【0104】なお、本発明にかかるスラッシュ成形靴で
は、靴底である第1層にコポリマー樹脂を使用するだけ
でなく、靴本体である第2層にコポリマー樹脂を混合し
たプラスチゾルを用いることも可能であり、こうするこ
とによっても第1層のうちの踵部とこれに接する第2層
との間のゲル化性,密着性を向上することができるよう
になる。しかし、コポリマー樹脂はポリ塩化ビニル樹脂
に比較すると増粘し易いため、第2層の余剰分として回
収再利用しようとすると再利用するまでの間に増粘し、
厚みの安定性やピンホールの発生等の問題が発生する。
これらの問題を解消するために製造コストが上昇し、ス
ラッシュ成形靴の長所である量産性を阻害するおそれが
ある。そのため、第1層と第2層との間の接着性,作業
性,品質の安定さらには価格等の観点から内層である第
2層にはポリ塩化ビニル樹脂を用いコポリマー樹脂を用
いないことが望ましい。 (III)C:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化
性可塑剤,C+防滑性素材,C+着色透明性,C+
防滑性素材+着色透明性 本発明では、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性
可塑剤とを混合したプラスチゾルを用いるが、架橋性
ポリ塩化ビニル樹脂については上記(I)Aで説明した
ので省略する。
【0105】架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラ
スチゾルは架橋性ポリ塩化ビニル樹脂が粉末であって比
較的高い粘度になり易いため、スラッシュ成形靴用モー
ルド等への注入といった作業の作業性が低下するおそれ
がある。
【0106】そこで、前述のプラスチゾルには作業性の
低下を防止するため、熱硬化性可塑剤を混合するように
する。
【0107】熱硬化性可塑剤は硬化前は液体であるため
架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾルに混
合すると、このプラスチゾルの粘度を調整することがで
き、加熱後は架橋して樹脂になり、また、熱硬化性可塑
剤の種類は豊富であり、硬化後の硬さが比較的柔らかい
ものから硬いものまで数多く選択できるため、靴底の硬
度の設定もある程度自由に行うことができるようにな
る。
【0108】ここで使用することができる熱硬化性可塑
剤は、前述したヒール用ペーストに用いた熱硬化性可塑
剤と同様でよいため、ここでの説明は省略する。
【0109】以上の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および熱
硬化性可塑剤を混合したプラスチゾルの組成例は、ポリ
塩化ビニルペーストレジン:50〜90重量部、架橋性
ポリ塩化ビニル樹脂:10〜50重量部、可塑剤:80
〜120重量部、熱硬化性可塑剤:10〜40重量部、
触媒:0.3〜1重量部、安定剤:2〜3重量部、架橋
剤:0.5〜3重量部、顔料:0〜2重量部である。
【0110】このような多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴は、靴底の全部または一部が架橋性ポリ塩化ビニル
樹脂および熱硬化性可塑剤を混合したプラスチゾルの加
熱ゲル化物により構成されるため、架橋により靴底の耐
熱性が向上し加熱条件下にあっても溶融し難くなり、耐
シガレット性(耐熱変形性)が向上する。
【0111】また、架橋により靴底の強度、耐油耐薬品
性および耐摩耗性も向上する。
【0112】なお、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および熱
硬化性可塑剤を混合したプラスチゾルを用いるのは靴底
の全部または一部であるため、脱型性も余り低下せず、
また、使用量を必要最少限に抑制することができるた
め、製造コストの上昇を可及的抑制することができる。 (IV)D:熱硬化性可塑剤と耐油性可塑剤,D+
防滑性素材,D+着色透明性,D+防滑性素材+
着色透明性 本発明では、熱硬化性可塑剤と耐油性可塑剤とを混
合したプラスチゾルを用いるが、熱硬化性可塑剤につ
いては上記(III)Cで説明したので省略する。
【0113】ここでは、熱硬化性可塑剤を混合したプラ
スチゾルに、さらに耐油性可塑剤(例えば高分子量の可
塑剤)を混合するようにしており、これにより、靴底に
耐油性を与え、ガソリンや油類への抽出を少なくして、
ガソリンスタンドや各種食品工場での使用に対する適応
性をより一層向上する。
【0114】耐油性可塑剤とは、アジピン酸系ポリエス
テル、フタル酸系ポリエステル等の重合型ポリエステル
可塑剤であって、重合度:800以上4000以下、望
ましくは1000以上3000以下の可塑剤である。
【0115】重合度800未満では食品工場等の植物
油、動物油、ガソリン等に可塑剤が抽出されて硬くな
り、耐油性の向上効果が小さくなる一方、重合度が20
00以上4000以下では、耐油性の向上効果が大きく
なるが、重合度が4000を越えるとプラスチゾルの粘
度が高くなり流動性が著しく低下するため作業性が不足
する。
【0116】熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合
したプラスチゾルの組成例は、ポリ塩化ビニルペースト
レジン:100重量部、一次可塑剤:10〜50重量
部、耐油性ポリエステル可塑剤:80〜40重量部、熱
硬化性可塑剤:10〜40重量部、触媒:0.3〜1重
量部、安定剤:2〜3重量部、顔料:0〜2重量部であ
る。
【0117】靴底のうちの全部または一部が熱硬化性可
塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルの加熱
ゲル化物により構成されるため、靴底の耐熱性が向上し
加熱条件下にあっても溶融し難くなり、耐シガレット性
(耐熱変形性)が向上する。
【0118】また、靴底の強度および耐摩耗性も向上す
る。
【0119】さらに、耐油性可塑剤を混合しているため
耐油耐薬品性も向上する。
【0120】なお、熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤
を混合したプラスチゾルを用いるのは靴底であるため、
脱型性も余り低下せず、また、高価な熱硬化性可塑剤お
よび耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルの使用量を必
要最少限に抑制することができるため、製造コストの上
昇を可及的抑制することができる。 (V)E:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と耐油性可塑
剤,E+防滑性素材,E+着色透明性,E+防滑
性素材+着色透明性 本発明では、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と耐油性可
塑剤を混合したプラスチゾルを用いるが、架橋性ポリ
塩化ビニル樹脂と耐油性可塑剤についてはそれぞれ上
記(I)Aおよび(IV)Dで説明したので省略する。
【0121】ここで用いる架橋性ポリ塩化ビニル樹脂お
よび耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルの組成例は、
ポリ塩化ビニルペーストレジン:90〜0重量部、架橋
性ポリ塩化ビニル樹脂:10〜100重量部、一次可塑
剤:10〜50重量部、耐油性ポリエステル可塑剤:8
0〜40重量部、安定剤:2〜3重量部、架橋剤:0.
5〜3重量部、顔料:0〜2重量部である。
【0122】この多層よりなる発泡スラッシュ成形靴
は、靴底の全部または一部が架橋性ポリ塩化ビニル樹脂
および耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルの加熱ゲル
化物により構成されるため、架橋により靴底の耐熱性が
向上し加熱条件下にあっても溶融し難くなり、耐シガレ
ット性(耐熱変形性)が向上する。
【0123】また、架橋により靴底の強度および耐摩耗
性も向上する。
【0124】さらに、耐油性可塑剤を混合しているため
耐油耐薬品性も向上する。
【0125】なお、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および耐
油性可塑剤を混合したプラスチゾルを用いるのは靴底で
あるため、脱型性も余り低下せず、また、高価な架橋性
ポリ塩化ビニル樹脂および耐油性可塑剤を混合したプラ
スチゾルの使用量を必要最少限に抑制することができる
ため、製造コストの上昇を可及的抑制することができ
る。 (VI)F:架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性
可塑剤と耐油性可塑剤,F+防滑性素材,F+着
色透明性,F+防滑性素材+着色透明性 本発明では、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性
可塑剤と耐油性可塑剤を混合したプラスチゾルを用い
るが、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性可塑剤
と耐油性可塑剤については上記(I)A、(III)
C、および(IV)Dでそれぞれ説明したので省略す
る。
【0126】ここで用いる架橋性ポリ塩化ビニル樹脂、
熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラスチ
ゾルの組成例は、ポリ塩化ビニルペーストレジン:50
〜90重量部、架橋性ポリ塩化ビニル樹脂:10〜50
重量部、一次可塑剤:10〜50重量部、耐油性ポリエ
ステル可塑剤:80〜40重量部、熱硬化性可塑剤:1
0〜40重量部、触媒:0.3〜1重量部、安定剤:2
〜3重量部、架橋剤:0.5〜3重量部、顔料:0〜2
重量部である。
【0127】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシ
ュ成形靴は、靴底の全部または一部が架橋性ポリ塩化ビ
ニル樹脂、熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合し
たプラスチゾルの加熱ゲル化物により構成されるため、
架橋により靴底の耐熱性が向上し加熱条件下にあっても
溶融し難くなり、耐シガレット性(耐熱変形性)が向上
する。
【0128】また、架橋により靴底の強度および耐摩耗
性も向上する。
【0129】さらに、耐油性可塑剤を混合しているため
耐油耐薬品性も向上する。
【0130】なお、ここでは架橋性ポリ塩化ビニル樹
脂、熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラ
スチゾルを用いるのは靴底であるため、脱型性も余り低
下せず、また、高価な架橋性ポリ塩化ビニル樹脂、熱硬
化性可塑剤および耐油性可塑剤を混合したプラスチゾル
の使用量を必要最少限に抑制することができるため、製
造コストの上昇を可及的抑制することができる。
【0131】次に、本発明にかかる多層よりなる発泡ス
ラッシュ成形靴の製造法を、添付図面を参照しながら各
請求項毎に作用効果とともに詳述する。 (12)請求項14記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法 図7は、請求項14記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法を模式的に示す説明図である。
【0132】(第1工程)まず、図7(a)に示すよう
に、前述の(1)項で説明した組成のポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂を含み外層となるプラスチゾル14を、スラ
ッシュ成形靴用モールド15の内部にスラッシュ成形靴
の靴本体として必要な高さまで注入する。必要な高さ
は、通常の場合は、スラッシュ成形靴用モールド15の
上端開口部16近傍までである。
【0133】そして、図7(b)に示すように、注入後
に注入したプラスチゾル14全体を短時間略均一に加熱
する。例えば加熱条件は100〜120℃×10〜30
秒間である。
【0134】このように加熱を行うことにより、図7
(c)に示すように、靴本体状かつ薄膜状の半ゲル化物
17をスラッシュ成形靴用モールド15の内壁面に付層
形成する。半ゲル化物17の肉厚は、後述する請求項1
5ないし請求項17のいずれかに記載の多層よりなる発
泡スラッシュ成形靴の製造法においても、請求項3記載
の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴のように0.5mm
以下とすることが望ましい。
【0135】この後、この半ゲル化物17の内部には、
未ゲル化状態の余剰のプラスチゾル14が残存している
ため、図7(d)に示すようにこの余剰のプラスチゾル
14を例えばスラッシュ成形靴用モールド15を傾斜さ
せる等の適宜手段により、スラッシュ成形靴用モールド
15外へ排出する。
【0136】なお、図7に示す実施例では、スラッシュ
成形靴用モールド15を後傾させて余剰のプラスチゾル
14を排出しているが、排出手段は特に限定を要さない
のであり、例えばスラッシュ成形靴用モールド15を前
傾させたり、吸引装置により吸引することにより排出し
てもよい。ただし、後述する図9または図10に示すよ
うにこの第1工程においてプラスチゾル14を、スラッ
シュ成形靴の靴本体のうちの爪先部,踵部および底部と
の補強必要部分まで注入する際には、図7に示すように
スラッシュ成形靴用モールド15を後傾させて余剰のプ
ラスチゾル14を排出することによりスラッシュ成形靴
の後部縦壁面にも薄膜状の半ゲル化物を付層形成するこ
とが望ましい。
【0137】(第2工程)図7(e)ないし図7(g)
に示すように、ポリ塩化ビニルペースト樹脂,架橋性ポ
リ塩化ビニル樹脂,コポリマー樹脂,架橋性ポリ塩化ビ
ニル樹脂と熱硬化性可塑剤,熱硬化性可塑剤と耐油性可
塑剤,架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と耐油性可塑剤,また
は架橋性ポリ塩化ビニル樹脂と熱硬化性可塑剤と耐油性
可塑剤を含有するプラスチゾル18,またはこれらのプ
ラスチゾルに防滑性素材を混合すること、および/また
は着色透明性を持たせるようにすることを組み合わせた
プラスチゾル18を、スラッシュ成形靴用モールド15
の底部内面の全部または一部(図7では全部)を覆うよ
うに必要な量だけ注入する。
【0138】このプラスチゾル18の注入では、部位に
よらず略均一な厚さの靴底とするため、例えば、注入
前にスラッシュ成形靴用モールド15の底部を加熱して
おき可及的均一に注入するか、あるいは注入後にスラッ
シュ成形靴用モールド15の底部を加熱して、爪先側と
踵側の少なくともいずれか一方側に少なくとも1回以上
傾斜させて加熱ゲル化物がスラッシュ成形靴用モールド
15の底部内面の全部または一部を覆うように付着させ
るか、スラッシュ成形靴用モールド15の底部の全部
または一部を、注入するプラスチゾル18が増粘するか
またはゲル化が進行する温度以上に加熱・昇温してお
き、望ましくはスラッシュ成形靴用モールド15を爪先
側と踵側との少なくともいずれか一方側に少なくとも1
回以上傾斜させて、靴底の成形に必要な量だけ注入する
ことにより加熱ゲル化物をスラッシュ成形靴用モールド
15の底部内面の全部または一部を覆うように付着させ
る等の注入を行うことが望ましい。
【0139】このようにして、プラスチゾル18を注入
することにより、スラッシュ成形靴用モールド15の内
面底部に略一定熱さ注入されたプラスチゾル18を、例
えば150〜160℃×1〜2分間の条件で加熱するこ
とによりスラッシュ成形靴用モールド15の底部内面の
全部または一部に沿った半ゲル化物19を形成する。
【0140】(第3工程)次に、図7(h)に示すよう
に、前述の(1)項で説明した組成のポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂および発泡剤を含むプラスチゾル20をスラ
ッシュ成形靴用モールド15の内部にスラッシュ成形靴
の靴本体として必要な高さまで注入する。必要な高さ
は、通常の場合は、スラッシュ成形靴用モールド15の
上端開口部16近傍までである。
【0141】そして、図7(i)に示すように、注入後
に、注入したプラスチゾル15のうちの靴本体の爪先
部,踵部および底部等の補強必要部分となる部分,およ
び当該補強必要部分を除くその他の部分となる部分それ
ぞれの加熱条件(加熱温度および加熱時間の一方または
双方)を違えて補強必要部分に多くの熱量が供給される
ように半ゲル化温度以上ゲル化温度以下に加熱する。例
えば、補強必要部分:100℃×5〜7分間,その他の
部分:100℃×1〜2分間の加熱条件で加熱する。
【0142】補強必要部分となる部分の加熱条件と,そ
の他の部分となる部分の加熱条件とを違えて加熱する手
段は、特定の手段に限定する必要はない。例えば、前述
のプラスチゾル20を注入したスラッシュ成形靴用モー
ルド15を加熱する加熱炉の炉壁に設ける加熱装置の配
置および温度を適宜調整しておき加熱する手段を例示で
きる。
【0143】このように補強必要部分とその他の部分と
の間で加熱条件を違えて加熱を行うことにより、図7
(j)に示すように、補強必要部分21のうちの爪先部
21aおよび踵部21bの肉厚がその他の部分22の肉
厚よりも大きい靴本体状の半ゲル化物23をスラッシュ
成形靴用モールド15の内壁面に付層形成する。
【0144】この後、この半ゲル化物23の内部には、
未ゲル化状態の余剰のプラスチゾル20が残存している
ため、図7(k)に示すように、この余剰のプラスチゾ
ル20を例えばスラッシュ成形靴用モールド15を傾斜
させる等の適宜手段により、スラッシュ成形靴用モール
ド15外へ排出する。
【0145】(第4工程)図7(l)に示すように、ス
ラッシュ成形靴用モールド15の内壁面に付層形成され
た靴本体状の半ゲル化物23をゲル化温度以上発泡剤分
解温度未満の温度域に加熱してゲル化を進行する。ゲル
化は完了させてもよく、または後続する発泡剤分解温度
への加熱とあわせて完了する程度にとどめておいてもよ
い。
【0146】すなわち、この半ゲル化物23を充分にゲ
ル化させるゲル化温度と,発泡剤を加熱分解しガスを発
生させる発泡剤分解温度との間には差があり、前述の組
成のプラスチゾル20の場合には、ゲル化温度:約16
0℃,発泡剤分解温度:約180℃である。
【0147】そこで、ゲル化温度以上発泡剤分解温度未
満の温度域に半ゲル化物23を、望ましくは長時間加熱
することにより、発泡剤が発泡しないままで半ゲル化物
23各部が受ける熱量が増加しゲル化を進行することが
できる。
【0148】加熱は、半ゲル化物23全体を全く同一の
加熱条件として行ってもよいが、この半ゲル化物23は
補強必要部分21のうちの爪先部および踵部とその他の
部分22との間で肉厚が異なり、肉厚が厚い部分21が
ゲル化に要する熱量は肉厚が薄い部分22よりも当然多
いため、例えば、補強必要部分21:170℃×3〜4
分間,その他の部分22:160℃×3〜4分間,また
は補強必要部分16:170℃×3〜4分間,その他の
部分17:2〜3分間というように、補強必要部分21
に供給される熱量が多くなる加熱条件とすることが望ま
しい。補強必要部分21の加熱条件と,その他の部分2
2の加熱条件とを違える手段は、前述したのと同様であ
り特定の手段に限定する必要はない。
【0149】このようにして、補強必要部分21の肉厚
がその他の部分22の肉厚よりも大きく発泡していない
加熱ゲル化物23からなる内層と,外層17と,靴底1
9とが形成される。
【0150】次に、図7(m)に示すように、靴本体を
発泡剤分解温度以上に、望ましくは短時間加熱すること
により、ゲル化が完了していない場合にはゲル化を完了
させるとともに発泡剤を加熱分解しガスを発生させて発
泡させる。なお、補強必要部分21の温度が発泡剤分解
温度になると発泡が始まり、さらに高温長時間になると
発泡倍率が増加し、最終的には過発泡となり気泡の崩壊
や肌荒れになって、内層23として要求される強度の維
持が難しくなるため、請求項5記載の多層よりなる発泡
スラッシュ成形靴のように内層23の発泡倍率が200
%以下となるように加熱温度および加熱時間の一方ない
しは双方を調整することが望ましい。
【0151】このようにして、図7(n)に示すよう
に、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの
薄膜状の加熱ゲル化物により構成される外層17と,ポ
リ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含むプラスチ
ゾルの加熱ゲル化物により構成される内層23とから靴
本体が構成され、かつ内層23は、発泡されてなるとと
もに補強必要部分21のうちの爪先部および踵部の肉厚
がその他の部分22の肉厚よりも増加されてなり、さら
に、靴本体の底面を構成する外層17および内層23の
間の全部にポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチ
ゾルの加熱ゲル化物から構成される靴底19が設けられ
る多層よりなる発泡スラッシュ成形靴が製造される。
【0152】この後、冷却および脱型後に、外層17の
外面踵部に組み付け部品の一つとして別途製造されたヒ
ールを例えば接着により装着してから、靴本体に靴裏布
材から縫製される裏布と中底やファスナー等の部品とを
縫製・接着等により組み付け、塗装を行って最終製品で
あるスラッシュ成形靴とされる。 (13)請求項15記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法 図8は、請求項15記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法を模式的に示す説明図である。
【0153】この多層よりなる発泡スラッシュ成形靴の
製造法は、前述した図7に示す多層よりなる発泡スラッ
シュ成形靴の製造法の第1工程と第2工程の順番を変更
したものである。
【0154】すなわち、図8(a)ないし図8(c)に
示すように第1工程で靴底用のプラスチゾル18をスラ
ッシュ成形靴用モールド15の底部内面に靴底の成形に
必要な量だけ注入して加熱することにより靴底19を付
層形成し、次に、図8(d)ないし図8(g)に示すよ
うに第2工程で外層用のプラスチゾル14をスラッシュ
成形靴用モールド15の内部に、スラッシュ成形靴の靴
本体として必要な高さまで注入し、加熱してスラッシュ
成形靴用モールド15の内壁面に薄膜状の半ゲル化物1
7を付層形成し、余剰の未ゲル化ゾル14をスラッシュ
成形靴用モールド15の外部に排出する。
【0155】以降の第3工程および第4工程は、図7に
示す多層よりなる発泡スラッシュ成形靴の製造法の第3
工程および第4工程と全く同様であるため、ここでの説
明は省略する。
【0156】このようにして、図8(n)に示すよう
に、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの
薄膜状の加熱ゲル化物により構成される外層17と,ポ
リ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含むプラスチ
ゾルの加熱ゲル化物により構成される内層23とから靴
本体が構成され、かつ内層23は、発泡されてなるとと
もに補強必要部分21のうちの爪先部21aおよび踵部
21bの肉厚がその他の部分22の肉厚よりも増加され
てなり、さらに、靴本体の底面を構成する外層17の外
面の全部にポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチ
ゾルの加熱ゲル化物から構成される靴底19が設けられ
る多層よりなる発泡スラッシュ成形靴が製造される。
【0157】この後、冷却および脱型後に、外層17の
外面踵部に組み付け部品の一つとして別途製造されたヒ
ールを例えば接着により装着してから、靴本体に靴裏布
材から縫製される裏布と中底やファスナー等の部品とを
縫製・接着等により組み付け、塗装を行って最終製品で
あるスラッシュ成形靴とされる。 (14)請求項16記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法 図9は、請求項16記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法を模式的に示す説明図である。
【0158】図9に示す多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴の製造法は、前述した図7に示す多層よりなる発泡
スラッシュ成形靴の製造法において、外層17の形成範
囲を変更するとともに内層23の発泡の程度を補強必要
部分21およびその他の部分22で異ならせたものであ
る。
【0159】(第1工程)まず、図9(a)に示すよう
に、前述の(1)項で説明した組成のポリ塩化ビニルペ
ースト樹脂を含み外層となるプラスチゾル14をスラッ
シュ成形靴用モールド15の内部にスラッシュ成形靴の
靴本体のうちの爪先部,踵部および底部等の補強必要部
分を含む高さまで注入する。
【0160】そして、図9(b)に示すように、注入後
に、注入したプラスチゾル14全体を短時間略均一に加
熱する。例えば加熱条件は100〜120℃×10〜3
0秒間である。
【0161】このように加熱を行うことにより、図9
(c)に示すように、靴本体状かつ薄膜状の半ゲル化物
17をスラッシュ成形靴用モールド15の内壁面下部に
付層形成する。
【0162】この後、この半ゲル化物17の内部には、
未ゲル化状態の余剰のプラスチゾル14が残存している
ため、図9(d)に示すように、この余剰のプラスチゾ
ル14をスラッシュ成形靴用モールド15を後傾させる
ことにより、スラッシュ成形靴用モールド15外へ排出
する。このとき、スラッシュ成形靴用モールド15の後
傾により流動・排出される余剰の未ゲル化ゾル14は、
加熱状態にあるスラッシュ成形靴用モールド15の後部
内壁面と接触し、半ゲル化物17の後方上部の後部縦壁
面17aにも薄膜状の半ゲル化物17が形成される。
【0163】(第2工程から第4工程((l)まで)第
2工程から第4工程(l)までは、図7に示す第2工程
ないし第4工程と全く同様であるため、ここでの説明は
省略する。
【0164】(第4工程(m)以降)図9(m)に示す
ように、第4工程で得られた内層23となる加熱ゲル化
物のうち、爪先部,踵部および底部等の補強必要部分2
1を発泡剤分解温度未満,または発泡剤分解温度以上に
短時間加熱するとともに、内層23のうちの補強必要部
分21を除くその他の部分22を発泡剤分解温度以上に
望ましくは短時間加熱する。加熱条件としては、補強必
要部分21:170〜180℃×2〜3分間,その他の
部分22:200〜210℃×2〜3分間を例示でき
る。
【0165】補強必要部分21の加熱条件と,その他の
部分22の加熱条件とを違えて加熱する手段は特定の手
段には限定されない。例えば、加熱ゲル化物を内壁面に
付層形成されたスラッシュ成形靴用モールド15を加熱
する加熱炉の炉壁における加熱装置の配置および温度を
適宜調整しておき加熱を行えばよい。
【0166】補強必要部分21は発泡剤分解温度未満に
加熱するために殆ど発泡せず、一方その他の部分22は
発泡剤が加熱分解されガスが発生して発泡する。なお、
補強必要部分21の温度が発泡剤分解温度になると発泡
が始まり、さらに高温長時間になると発泡倍率が増加
し、最終的に過発泡となり気泡の崩壊や肌荒れとなっ
て、内層23として要求される強度の維持が難しくなる
ことがあるため、請求項5記載の発泡スラッシュ成形靴
のように発泡倍率が200%以下となるように加熱時間
を調整することが望ましい。
【0167】このように補強必要部分21とその他の部
分22との間で加熱温度を違えて加熱することにより、
図9(n)に示すように、補強必要部分21は非発泡
(発泡倍率:100%)または低発泡(発泡倍率:10
0%超200%以下)であるとともにその他の部分22
は発泡倍率:100%超200%以下に発泡して、補強
必要部分21の全部分または一部分の発泡倍率(例えば
120%)がその他の部分22の発泡倍率(例えば18
0%)よりも小さくなる。そのため、補強必要部分21
の強度は肉厚が大きいことと併せてより向上する。
【0168】このようにして、ポリ塩化ビニルペースト
樹脂を含むプラスチゾルの薄膜状の加熱ゲル化物により
内層23のうちの爪先部,踵部および底部等の補強必要
部分21と後部縦壁面とを覆う範囲に構成される外層1
7と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含む
プラスチゾルの加熱ゲル化物により構成される内層23
とから靴本体が構成され、内層23は補強必要部分21
の発泡倍率がその他の部分22の発泡倍率よりも小さく
なるように発泡されてなるとともに補強必要部分21の
うちの爪先部21aおよび踵部21bの肉厚はその他の
部分22の肉厚よりも増加されてなり、さらに、靴本体
の底面を構成する外層17および内層23の間の全部に
はポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの加
熱ゲル化物から構成される靴底19が設けられる多層よ
りなる発泡スラッシュ成形靴が製造される。
【0169】この後、冷却および脱型後に、靴本体の外
面踵部に組み付け部品の一つとして別途製造されたヒー
ルを例えば接着により装着してから、靴本体に靴裏布材
から縫製される裏布と中底やファスナー等の部品とを縫
製・接着等により組み付け、塗装を行って最終製品であ
るスラッシュ成形靴とされる。 (15)請求項17記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法 この多層よりなる発泡スラッシュ成形靴の製造法は、前
述した図9に示す多層よりなる発泡スラッシュ成形靴の
製造法の第1工程と第2工程の順番を変更したものであ
る。
【0170】すなわち、図10(a)ないし図10
(c)に示すように第1工程で靴底用のプラスチゾル1
8をスラッシュ成形靴用モールド15の底部内面に靴底
の成形に必要な量だけ注入して加熱することにより靴底
19を付層形成し、次に、図10(d)ないし図10
(g)に示すように第2工程で外層用のプラスチゾル1
4をスラッシュ成形靴用モールド15の内部に、スラッ
シュ成形靴の靴本体として必要な高さまで注入し、加熱
してスラッシュ成形靴用モールド15の内壁面に薄膜状
の半ゲル化物17を付層形成し、余剰の未ゲル化ゾル1
4をスラッシュ成形靴用モールド15を後傾することに
より外部に排出する。
【0171】以降の第3工程および第4工程は、図9に
示す多層よりなる発泡スラッシュ成形靴の製造法の第3
工程および第4工程と全く同様である。
【0172】このようにして、図10(n)に示すよう
に、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの
薄膜状の加熱ゲル化物により構成される外層17と,ポ
リ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含むプラスチ
ゾルの加熱ゲル化物により構成される内層23とから靴
本体が構成され、かつ内層23は、発泡されてなるとと
もに補強必要部分21のうちの爪先部21aおよび踵部
21bの肉厚がその他の部分22の肉厚よりも増加され
てなり、さらに、靴本体の底面を構成する外層17の外
面の全部にポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチ
ゾルの加熱ゲル化物から構成される靴底19が設けられ
る多層よりなる発泡スラッシュ成形靴が製造される。
【0173】この後、冷却および脱型後に、外層17の
外面踵部に組み付け部品の一つとして別途製造されたヒ
ールを例えば接着により装着してから、靴本体に靴裏布
材から縫製される裏布と中底やファスナー等の部品とを
縫製・接着等により組み付け、塗装を行って最終製品で
あるスラッシュ成形靴とされる。
【0174】(12)項ないし(15)項で説明した請
求項14ないし請求項17のいずれかに記載の多層より
なる発泡スラッシュ成形靴の製造法は、靴本体をスラッ
シュ成形した後に組み付け部品として製造されたヒール
を靴本体の外面踵部に装着するものであるが、スラッシ
ュ成形過程でヒール用ペーストとしてスラッシュ成形靴
用モールドの内壁面に付層形成された靴本体状の半ゲル
化物の底部内面に注入し、これをゲル化温度以上に加熱
することによりヒール芯を構成する方法もあり、こうす
ることにより、靴本体のうちで最も強度および硬度が要
求される踵部の強度および硬度をより向上できるように
なる。以下、この方法を説明する。 (16)請求項18記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法 図11,図12は、それぞれ請求項18記載の多層より
なる発泡スラッシュ成形靴の製造法を模式的に示す説明
図であり、図11は図7に示す多層よりなる発泡スラッ
シュ成形靴の製造法のスラッシュ成形工程においてヒー
ル用ペーストを注入した場合を示し、一方図12は図8
に示す多層よりなる発泡スラッシュ成形靴の製造法のス
ラッシュ成形工程においてヒール用ペーストを注入した
場合を示す。
【0175】請求項18記載の多層よりなる発泡スラッ
シュ成形靴の製造法では、図11(l)または図12
(l)に示すように、例えば請求項14または請求項1
5記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴の製造法の
第4工程において、スラッシュ成形靴用モールド15内
壁面に付層形成された半ゲル化物23をゲル化温度以上
発泡剤分解温度未満の温度域に加熱する前に、当該半ゲ
ル化物23の内面踵部にヒール用ペースト24を注入し
ておく。
【0176】このヒール用ペースト24は、(7)項で
説明した請求項7記載の多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴で詳述したヒール用ペーストと全く同じものである
ため、ここでの説明は省略する。
【0177】注入するヒール用ペースト24の温度は、
常温のままあるいは常温よりも低温の状態で、望ましく
は10℃以下で注入する。
【0178】この後、第4工程における加熱ゲル化によ
り図11(m)または図12(m)に示すようにゲル化
してヒール芯25となり、さらに第4工程における発泡
剤分解温度以上への加熱の際に、このヒール芯25は踵
部26を全て充填する程度に大量に注入されており大き
な熱容量を有するため、靴本体状の加熱ゲル化物23と
接する踵部26に供給される熱量を奪い、この踵部26
の温度上昇を著しく抑制する。そのため、踵部26の温
度は爪先部27に比較して抑制されることになり、踵部
26の発泡倍率は爪先部27に比較するとよりいっそう
抑制され、踵部26の強度が上昇するようになる。
【0179】このようにして、請求項18記載の発泡ス
ラッシュ成形靴の製造法によれば、内面踵部にスラッシ
ュ成形工程において注入されたヒール用ペースト24の
加熱ゲル化物からなるヒール芯25を備えるとともに、
踵部26の発泡倍率が爪先部27の発泡倍率よりも小さ
い内層23と,外層17と,靴底19とを備える請求項
7記載の発泡スラッシュ成形靴を製造できる。
【0180】この後、冷却および脱型後に、靴本体に靴
裏布材から縫製される裏布と中底やファスナー等の部品
とを縫製・接着等により組み付け、塗装を行って最終製
品である発泡スラッシュ成形靴とされる。 (17)請求項19記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法 さらに、請求項19記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法のように、請求項18記載の多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴の製造法において、ヒール用ペ
ースト24が耐熱性を有する中空体を含有すると、ヒー
ル用ペースト24の加熱ゲル化物であるヒール芯25を
軽量化できる。ヒール芯25の軽量化を図る手段として
ヒール用ペースト24に発泡剤を含有させておくことも
考えられるが、加熱による発泡の際に半ゲル化物の内部
底面に注入されたヒール用ペースト24が凸状に膨脹し
てしまい、上端面が略直線状のヒール芯25の所定の形
状を維持できなくなることがある。また、ヒール用ペー
スト24に発泡抑制剤を含有させる場合、ヒール用ペー
スト24に発泡剤を含有させると発泡ができなくなる問
題がある。中空体であればこのような問題を生じること
はない。
【0181】また、上記のヒール用ペースト24が発泡
抑制剤を含有すると、ヒール用ペースト24が接触する
内層23の踵部26、特に底面の発泡倍率をさらに低く
抑制することができ、踵部26の強度をよりいっそう向
上できるようになる。
【0182】なお、中空体、発泡抑制剤は、前述した請
求項8記載の発泡スラッシュ成形靴と全く同様であるた
め、ここでの説明は省略する。
【0183】このようにして、請求項19記載の発泡ス
ラッシュ成形靴の製造法によれば、請求項18記載の発
泡スラッシュ成形靴の製造法により製造された発泡スラ
ッシュ成形靴に比較して、ヒール用ペースト24が耐熱
性を有する中空体を含有する場合にはヒール芯25の軽
量化を、ヒール用ペースト24が発泡抑制剤を含有する
場合にはヒール芯25が接する踵部26の発泡倍率のよ
りいっそうの抑制を、それぞれ図ることができる。 (18)請求項20記載の多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法 さらに、請求項14ないし請求項19記載の多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴の製造法において、第1工程ま
たは第2工程で注入されて靴底19を構成するプラスチ
ゾル18が発泡抑制剤を含有すると、靴底19が接触す
る内層23の底部28の全面の発泡倍率を低く抑制でき
る。靴底19が接触する内層23は発泡抑制剤を含むヒ
ール用ペースト24と発泡抑制剤を含む半ゲル化状の靴
底19とに挾まれ、発泡倍率をさらに低く抑制すること
ができ、踵部26の強度をよりいっそう向上できるよう
になる。
【0184】なお、発泡抑制剤は、前述した請求項9記
載の発泡スラッシュ成形靴において用いる発泡抑制剤と
全く同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0185】このようにして、請求項20記載の多層よ
りなる発泡スラッシュ成形靴の製造法によれば、請求項
14ないし請求項19のいずれかに記載の多層よりなる
発泡スラッシュ成形靴の製造法により製造された発泡ス
ラッシュ成形靴に比較して、靴底19が接する底部28
の全面、特に踵部26の発泡倍率のよりいっそうの抑制
を図ることができる。
【0186】
【実施例】さらに、本発明にかかる多層よりなる発泡ス
ラッシュ成形靴およびその製造法を実施例を参照しなが
ら詳述するが、これは本発明の例示であってこれにより
本発明が限定されるものではない。
【0187】(実施例1)請求項18記載の本発明にか
かる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴の製造法によ
り、多層よりなる発泡スラッシュ成形靴を製造した。
【0188】すなわち、第1工程として、図7(a)に
示すように、表1に示す組成のポリ塩化ビニルペースト
樹脂を主体とした発泡剤を含まないプラスチゾル14
を、スラッシュ成形靴用モールド15の内部に上端開口
部16まで注入し、図7(b)に示すように、全体を1
00℃×10〜30秒間の加熱条件で加熱することによ
り、図7(c)に示すように、厚さが約0.2mmの靴本
体状をした薄膜状の半ゲル化物17をスラッシュ成形靴
用モールド15の内壁面に付層形成し、図7(d)に示
すように、この半ゲル化物17の内面に残存する余剰の
未ゲル化状態のプラスチゾル14をスラッシュ成形靴用
モールド15を傾斜させて上端開口部16から排出し
た。
【0189】
【表1】
【0190】次に、第2工程として、図7(e)ないし
図7(g)に示すように、表2に示す組成のポリ塩化ビ
ニルペースト樹脂を含むプラスチゾル18を、スラッシ
ュ成形靴用モールド15の底部内面の全部を覆うように
注入して加熱することにより底部内面の全部に沿った2
mmの厚さの半ゲル化物19を形成した。
【0191】
【表2】
【0192】この加熱の際には、図示しないが、スラッ
シュ成形靴用モールド15を適当な角度だけ3回前傾お
よび後傾させて、注入したプラスチゾル18が底部内面
の全面にほぼ均一な厚さになるように形成した。
【0193】次に、第3工程として、図7(h)に示す
ように、表3に示す組成のポリ塩化ビニルペースト樹脂
および発泡剤を含むプラスチゾル20を、スラッシュ成
形靴用モールド15の内部に上端開口部16まで注入
し、図7(i)に示すように、爪先部,踵部および底部
等の補強必要部分を100℃×4分間の加熱条件で、靴
本体のうちの補強必要部分を除くその他の部分(履口
部,筒部等)を100℃×2分間の加熱条件で加熱する
ことにより、図7(j)に示すように、補強必要部分2
1の厚さが約2.0mmであってその他の部分22の厚さ
が約1.0mmの靴本体状をした半ゲル化物23をスラッ
シュ成形靴用モールド15の内壁面に付層形成し、図7
(k)に示すように、この半ゲル化物23の内面に残存
する余剰の未ゲル化状態のプラスチゾル20をスラッシ
ュ成形靴用モールド15を傾斜させて上端開口部16か
ら排出した。
【0194】
【表3】
【0195】次に、第4工程として、図7(l)とは異
なり図11(l)に示すように、この半ゲル化物23の
内面踵部を形成する凹部に、表4に示す組成のヒール用
ペーストAを注入充填し、前述の補強必要部分21を1
70℃×3分間の加熱条件で,その他の部分22を16
0℃×3分間の加熱条件で加熱することにより、図7
(m)に示すように、半ゲル化物23を加熱ゲル化物と
した。
【0196】
【表4】
【0197】引き続き、第4工程として、図7(m)に
示すように、この加熱ゲル化物23を200℃×2分間
の加熱条件で加熱することにより図7(n)に示すよう
に加熱ゲル化物23全体を略均一に発泡させ、その後常
温で6分間の条件で冷却してからスラッシュ成形靴用モ
ールド15から抜き出し、請求項7記載の多層よりなる
発泡スラッシュ成形靴を製造した。
【0198】このポリ塩化ビニルペースト樹脂および発
泡剤を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物からなる内層2
3は、表5に示す内層23各部の発泡倍率からわかるよ
うに補強必要部分21およびその他の部分22が略均一
に発泡されてなり、補強必要部分21のうちの爪先部お
よび踵部の肉厚がその他の部分22の肉厚よりも大きく
構成される。
【0199】
【表5】
【0200】そのため、この内層23は、全体として軽
量であるとともに補強必要部分21の強度が保たれる。
また、内層23各部が発泡しているため、断熱性が優れ
るとともにクッション性(履心地)も良好であった。ま
た、発泡により内層23表面に皮革紋様のカーフ調の小
皺が付与され、従来の平滑な表面のスラッシュ成形靴に
対して高級感を向上することができた。さらに、スラッ
シュ成形過程であるゲル化前にヒール用ペースト24を
注入して加熱することによりヒール芯25を構成するた
め、このヒール用ペースト24が接触する内層23の踵
部26(底面)の発泡倍率を爪先部27に比較して小さ
く抑制でき、内層23のうち耐摩耗性が最も要求される
踵部26の強度を増加できた。
【0201】なお、本実施例では発泡剤としてアゾジカ
ルボンアミド(A.D.C.A )を使用するとともに、安定剤
としてZnおよびBaの複合添加剤を用いた。発泡剤ア
ゾジカルボンアミドの発泡剤分解温度は195℃である
が、前述したようにZnが発泡を促進すること等からプ
ラスチゾル中においては発泡剤アゾジカルボンアミドは
約180℃で発泡する。
【0202】また、前述の第4工程で半ゲル化物23を
加熱する際に、爪先部,踵部さらには底部等の補強必要
部分21を肉厚が厚いために熱量を多く必要とすること
から最初から高温・長時間の加熱条件で加熱すると、充
分なゲル化を得るまでに過剰な熱量を受けて過剰に発泡
したり内層23の表面の肌荒れが発生してしまう。
【0203】そこで、本実施例では、肉厚の薄いその他
の部分22(履口部,筒部等)はゲル化に要する熱量が
少なくて済むため160℃×3分間の比較的低温な加熱
条件で加熱し、一方肉厚が厚い補強必要部分21はゲル
化に要する熱量が多く必要であるため、発泡剤分解温度
以下の温度域で170℃×3分間の比較的高温な加熱条
件で加熱することにより、発泡をさせずにゲル化を進行
させた後、発泡剤分解温度よりも高温の200℃で2分
間という短時間加熱することにより、過剰に発泡するこ
とを防止した。
【0204】また、本実施例では内層23の外表面全て
を薄膜状の外層17により覆われているため、内層23
の表面を保護することができ、引っ掻き傷等に対する抵
抗力を向上できた。
【0205】さらに、本実施例では、靴底19に表2に
示す組成のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチ
ゾルを用いたため、靴底19の耐摩耗性を向上すること
ができた。また、このプラスチゾルには発泡抑制剤が混
入されているため、内層23の加熱・発泡の際に内層2
3の踵部26を、発泡抑制剤をともに含むヒール芯25
および靴底19それぞれにより上下から挾むことがで
き、踵部26(特に底部)の発泡を著しく抑制すること
ができた。
【0206】(実施例2)内層23を構成するポリ塩化
ビニルペースト樹脂および発泡剤を含むプラスチゾルに
おける発泡剤アゾジカルボンアミドの配合量を0.5重
量部に変更して、実施例1と全く同様にして、多層より
なる発泡スラッシュ成形靴を製造した。
【0207】その結果、内層23の発泡倍率が150%
となり、軽量でありながらより良好な低発泡状態の発泡
スラッシュ成形靴が得られた。
【0208】(実施例3)図11に示す本発明にかかる
多層よりなる発泡スラッシュ成形靴の製造法により発泡
スラッシュ成形靴を製造した。
【0209】すなわち、第1工程として、図11(a)
に示すように、表1に示す組成のポリ塩化ビニルペース
ト樹脂を主体とした発泡剤を含まないプラスチゾル14
を、スラッシュ成形靴用モールド15の内部に上端開口
部16まで注入し、図11(b)に示すように、全体を
100℃×10〜30秒間の加熱条件で加熱することに
より、図11(c)に示すように、厚さが約0.2mmの
靴本体状をした薄膜状の半ゲル化物17をスラッシュ成
形靴用モールド15の内壁面に付層形成し、図11
(d)に示すように、この半ゲル化物17の内面に残存
する余剰の未ゲル化状態のプラスチゾル14をスラッシ
ュ成形靴用モールド15を傾斜させて上端開口部16か
ら排出した。
【0210】次に、第2工程として、図11(e)ない
し図11(g)に示すように、前述の表1に示す組成の
ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾル18
を、スラッシュ成形靴用モールドの底部内面の全部を覆
うように注入して加熱することにより底部内面の全部に
沿った2〜3mmの厚さの加熱ゲル化物19を形成した。
【0211】この加熱の際には、図示しないが、スラッ
シュ成形靴用モールド15を適当な角度だけ3回前傾お
よび後傾させて、注入したプラスチゾル18が底部内面
の全面にほぼ均一な厚さになるように形成した。
【0212】次に、第3工程として、図11(h)に示
すように、表3に示す組成のポリ塩化ビニルペースト樹
脂および発泡剤を含むプラスチゾル20を、スラッシュ
成形靴用モールド15の内部に上端開口部16まで注入
し、図11(i)に示すように、爪先部,踵部および底
部等の補強必要部分を100℃×6分間の加熱条件で、
靴本体のうちの補強必要部分を除くその他の部分(履口
部,筒部等)を100℃×2分間の加熱条件で加熱する
ことにより、図11(j)に示すように、補強必要部分
21のうちの爪先部21aおよび踵部21bの厚さが約
3mmであってその他の部分22の厚さが約1mmの靴本体
状をした半ゲル化物23をスラッシュ成形靴用モールド
15の内壁面に付層形成し、図6(k)に示すように、
この半ゲル化物23の内面に残存する余剰の未ゲル化状
態のプラスチゾル20をスラッシュ成形靴用モールド1
5を傾斜させて上端開口部16から排出した。
【0213】次に、第4工程として、図11(l)に示
すように、この半ゲル化物23の内面踵部を形成する凹
部に、表2に示す耐熱性を有する中空体を含む組成のヒ
ール用ペーストBを注入充填し、図11(l)に示すよ
うに、前述の補強必要部分21を170℃×3分間の加
熱条件で,その他の部分22を160℃×3分間の加熱
条件で加熱することにより、図11(m)に示すように
半ゲル化物23を加熱ゲル化物とした。
【0214】引き続き、第4工程として、図11(m)
および図11(n)に示すように、この加熱ゲル化物2
3のうちの補強必要部分21を180℃×2分間の加熱
条件で加熱するとともに加熱ゲル化物23のうちのその
他の部分22を200℃×2分間の加熱条件で加熱し、
その後常温で6分間の条件で冷却してからスラッシュ成
形靴用モールド15から抜き出し、請求項7記載の多層
よりなる発泡スラッシュ成形靴の靴本体を製造した。
【0215】このポリ塩化ビニルペースト樹脂および発
泡剤を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物からなる内層2
3は、表6に示す靴本体各部の発泡倍率からわかるよう
に補強必要部分21が低くその他の部分22が高い発泡
倍率で発泡されてなり、補強必要部分21のうちの爪先
部27および踵部26の肉厚がその他の部分22の肉厚
よりも大きく構成される。
【0216】
【表6】
【0217】そのため、この内層23は、全体として軽
量であるとともに補強必要部分21の強度が極めて充分
に保たれる。また、内層23各部が表6に示す発泡倍率
で発泡しているため、断熱性が優れるとともにクッショ
ン性(履心地)も良好であった。また、発泡により内層
23表面に皮革紋様のカーフ調の小皺が付与され、従来
の平滑な表面のスラッシュ成形靴に対して高級感を向上
することができた。また、スラッシュ成形過程である加
熱ゲル化前にヒール用ペースト24を注入して加熱する
ことによりヒール芯25を構成するため、このヒール用
ペースト24が接触する内層23の踵部26(底面)の
発泡倍率を爪先部27に比較して小さく抑制でき、内層
23のうち耐摩耗性が最も要求される踵部26の強度を
増加できた。さらに、このヒール用ペースト24の加熱
ゲル化物であるヒール芯25は中空体を含むため軽量で
あり、内層23の軽量化をより推進できた。
【0218】また、本実施例では内層23の外表面全て
を薄膜状の外層17により覆われているため、内層23
の表面を保護することができ、引っ掻き傷等に対する抵
抗力を向上できた。
【0219】さらに、本実施例では、靴底19に表1に
示す組成のポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチ
ゾルを用いたため、靴底19の耐摩耗性を向上すること
ができた。また、このプラスチゾルには発泡抑制剤が混
入されているため、内層23の加熱・発泡の際に内層2
3の踵部26を、発泡抑制剤をともに含むヒール芯25
および靴底19それぞれにより上下から挾むことがで
き、踵部26(特に底部)の発泡を著しく抑制すること
ができた。
【0220】(実施例4)前述の第3工程において注入
する際のヒール用ペースト24の液温を常温以下の5℃
に抑制するとともに内層23を構成するプラスチゾルに
含有される発泡剤を0.5重量部とし、これら以外の条
件は実施例1と全く同様にして多層よりなる発泡スラッ
シュ成形靴を製造した。内層23各部の発泡倍率を表7
に示す。
【0221】
【表7】
【0222】ヒール用ペースト24の液温をこのように
抑制した状態でスラッシュ成形靴用モールド15の内壁
面に付層形成された半ゲル化物23の内面踵部の凹部に
注入すると、踵部の温度が低下するとともに、引き続き
行われる加熱ゲル化の際に加熱により踵部に供給される
熱量をヒール用ペースト24が熱伝導により吸収して内
層23のうちの踵部26の温度の上昇を著しく抑制す
る。
【0223】そのため、補強必要部分21のうちの爪先
部27および底部28と,履口部および筒部等のその他
の部分22とは、良好な発泡状態が得られるとともに、
補強必要部分21のうちの踵部26は極めて低い発泡倍
率とすることができた。
【0224】そのため、内層23のうち最も耐摩耗性を
要求される踵部26の強度が増加された多層よりなる発
泡スラッシュ成形靴を製造できた。
【0225】(実施例5)図11に示す本発明にかかる
発泡スラッシュ成形靴の製造法により発泡スラッシュ成
形靴を製造した。
【0226】すなわち、第1工程として、図11(a)
に示すように、表1に示す組成のポリ塩化ビニルペース
ト樹脂を主体とした発泡剤を含まないプラスチゾル14
を、スラッシュ成形靴用モールド15の内部に上端開口
部16まで注入し、図11(b)に示すように、全体を
100℃×10〜30秒間の加熱条件で加熱することに
より、図11(c)に示すように、厚さが約0.2mmの
靴本体状をした薄膜状の半ゲル化物17をスラッシュ成
形靴用モールド15の内壁面に付層形成し、図11
(d)に示すように、この半ゲル化物17の内面に残存
する余剰の未ゲル化状態のプラスチゾル14をスラッシ
ュ成形靴用モールド15を傾斜させて上端開口部16か
ら排出した。
【0227】次に、第2工程として、図11(e)ない
し図11(g)に示すように、前述の表1に示す組成の
ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾル18
を、スラッシュ成形靴用モールド15の底部内面の全部
を覆うように注入して加熱することにより底部内面の全
部に沿った2〜3mmの厚さの加熱ゲル化物19を形成し
た。
【0228】この加熱の際には、図示しないが、スラッ
シュ成形靴用モールド15を適当な角度だけ3回前傾お
よび後傾させて、注入したプラスチゾル18が底部内面
の全面にほぼ均一な厚さになるように形成した。
【0229】次に、第3工程として、図11(h)に示
すように、発泡剤含有量が0.5重量部であること以外
は表3に示す組成と同一組成のポリ塩化ビニルペースト
樹脂および発泡剤を含むプラスチゾル20を、スラッシ
ュ成形靴用モールド15の内部に上端開口部16まで注
入し、図11(i)に示すように爪先部,踵部および底
部等の補強必要部分を100℃×6分間の加熱条件で、
靴本体のうちの補強必要部分を除くその他の部分(履口
部,筒部等)を100℃×2分間の加熱条件で加熱する
ことにより、図11(j)に示すように補強必要部分2
1の厚さが約3mmであってその他の部分22の厚さが約
1mmの靴本体状をした半ゲル化物23をスラッシュ成形
靴用モールド15の内壁面に付層形成し、図11(h)
に示すようにこの半ゲル化物23の内面に残存する余剰
の未ゲル化状態のプラスチゾル20をスラッシュ成形靴
用モールド15を傾斜させて上端開口部16から排出し
た。
【0230】次に、第4工程として、図11(l)に示
すようにこの半ゲル化物23の内面踵部を形成する凹部
に、表3に示す耐熱性を有する中空体と発泡抑制剤を含
む組成のヒール用ペーストCを注入充填し、図11
(l)に示すように前述の補強必要部分21を170℃
×3分間の加熱条件で,その他の部分22を160℃×
3分間の加熱条件で加熱することにより、図11(m)
に示すように半ゲル化物23を加熱ゲル化物とした。
【0231】引き続き、第4工程として、図11(m)
および図11(n)に示すようにこの加熱ゲル化物23
のうちの補強必要部分21を170℃×4分間の加熱条
件で加熱するとともに加熱ゲル化物23のうちのその他
の部分22を200℃×2分間の加熱条件で加熱し、そ
の後常温で6分間冷却してからスラッシュ成形靴用モー
ルド15から抜き出し、請求項7記載のスラッシュ成形
靴を製造した。内層23各部の発泡倍率を表8に示す。
【0232】
【表8】
【0233】このポリ塩化ビニルペースト樹脂および発
泡剤を含むプラスチゾル20の加熱ゲル化物からなる内
層23は、表8に示す靴本体各部の発泡倍率からわかる
ように補強必要部分21のうちの爪先部27および踵部
26が低くその他の部分22が高い発泡倍率で発泡され
てなり、補強必要部分21の肉厚がその他の部分22の
肉厚よりも大きく構成される。
【0234】そのため、この内層23は、全体として軽
量であるとともに補強必要部分21の強度が極めて充分
に保たれる。また、内層23各部が表8に示す発泡倍率
で発泡しているため、断熱性が優れるとともにクッショ
ン性(履心地)も良好であった。また、発泡により内層
23表面に皮革紋様のカーフ調の小皺が付与され、従来
の平滑な表面にスラッシュ成形靴に対して高級感を向上
することができた。また、本実施例では内層23の外表
面全てを薄膜状の外層17により覆われているため、内
層23の表面を保護することができ、引っ掻き傷等に対
する抵抗力を向上できた。また、スラッシュ成形過程で
あるゲル化前にヒール用ペースト24を注入して加熱す
ることによりヒール芯25を構成するため、このヒール
用ペースト24が接触する内層23の踵部26の発泡倍
率を爪先部27に比較して小さく抑制でき、内層23の
うち耐摩耗性が最も要求される踵部26の強度を増加で
きた。また、このヒール用ペースト24の加熱ゲル化物
であるヒール芯25は中空体を含むため軽量であり、内
層23の軽量化をより推進できた。
【0235】さらに、ヒール用ペースト24は発泡抑制
剤を含有するため、このヒール用ペースト24が接触す
る半ゲル化物23の内面踵部は、ヒール用ペースト24
に熱量を奪われて温度上昇の程度が他の部位よりも抑制
されることと、発泡抑制剤が発泡を抑制することとの相
乗効果により、発泡倍率が極端に抑制される。そのた
め、内層23の踵部26の強度は非発泡とほぼ同等に充
分確保できる。
【0236】(実施例6)実施例5において、靴底19
を表9に示す組成の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を含むプ
ラスチゾルAまたはBの加熱ゲル化物で構成して、本発
明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴とした。
【0237】
【表9】
【0238】この本発明にかかる多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴について、外観品質を目視により比較し
た。本発明例にかかるスラッシュ成形靴の靴底は部位に
よらず3mm程度の一定の厚さであり、靴底の形状に沿
った均一な厚さに成形できている。
【0239】さらに、この本発明にかかる多層よりなる
発泡スラッシュ成形靴の靴底の強度、耐摩耗性、耐シガ
レット性(耐熱性)さらに耐油耐薬品性を以下のように
して評価した。 (強度)JIS K−6301に基づいてショッパー型
引張試験機を用いて引張強度、伸び、引裂き強度をそれ
ぞれ測定した。 (耐摩耗性)テーバー摩耗試験機により摩耗輪CS−1
0により1000回転での摩耗減量を測定した。 (耐シガレット性)JIS K−6301 1号試験片
を靴底から切り出し、180℃×5分間オーブン中で吊
り下げ、溶融落下の有無、および落下しない場合の伸び
率を測定した。
【0240】また、製造した2つのスラッシュ成形靴に
より実際にタバコを踏み付けて火を消し、靴底の溶融・
変形状態を確認した。 (耐油耐薬品性)JIS3号オイル、植物性油(大豆
油)を使い、40℃で96時間浸漬した時の重量変化を
測定した。
【0241】プラスチゾルA,Bについての結果を表1
0にまとめて示す。本発明で成形されたスラッシュ成形
靴は、従来のスラッシュ成形靴と同程度の靴本体の強
度、硬度および柔軟性を備え、さらに従来よりも靴底
は、特に耐熱変形性(耐シガレット性)が優れ、引張り
強度、耐油耐薬品性も向上し、靴底の諸特性が向上した
ことがわかる。
【0242】
【表10】
【0243】(実施例7)表9に示すように、実施例6
において、靴底の原料である架橋性ポリ塩化ビニルプラ
スチゾルに、防滑素材としてウイスカー(四国化成工業
(株)製)を混合して、実施例6と全く同様にして本発
明にかかる製造方法で多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴を製造した。
【0244】得られた多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴について、以下のようにして防滑性を評価した。 (防滑性)Pタイル、ビニール床材および氷上それぞれ
に靴を置き、加重10kgf をかけて引張り、始動した時
の応力を測定した。
【0245】その結果を表10に示す。実施例1の結果
と併せて、本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴は、実施例6の効果に加え、防滑性も優れている
ことがわかる。
【0246】(実施例8)表9に示すように、実施例6
および実施例7において、靴底の原料である架橋性ポリ
塩化ビニル樹脂を含有したプラスチゾルに混合される顔
料を有機系クレープ色調色顔料:0.1重量部に低減し
て同様に多層よりなる発泡スラッシュ成形靴を製造し
た。
【0247】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂を混合したプラスチゾル
は着色透明性を有することとなり、第一回目の注入によ
るスラッシュ成形靴用モールドの内面の付着の手直しを
行わなくとも第二回目の注入により外観品質が優れたス
ラッシュ成形靴を製造できた。
【0248】(実施例9)実施例5において、靴底19
を表11に示す組成の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および
熱硬化性可塑剤を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物で構
成して、本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴とした。
【0249】
【表11】
【0250】この本発明にかかる多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴について、外観品質を目視により比較し
た。本発明例にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴の靴底は部位によらず3mm程度の一定の厚さであ
り、底部の形状に沿った均一な厚さに成形できている。
【0251】さらに、この本発明にかかる多層よりなる
発泡スラッシュ成形靴の靴底の強度、耐摩耗性、耐シガ
レット性(耐熱性)さらに耐油耐薬品性を前述の方法で
評価した。
【0252】結果を表12にまとめて示す。本発明で成
形された多層よりなる発泡スラッシュ成形靴は、従来の
多層よりなる発泡スラッシュ成形靴と同程度の靴本体の
強度、硬度および柔軟性を備え、さらに従来よりも靴底
は、特に耐熱変形性(耐シガレット性)が優れ、引張り
強度、耐油耐薬品性も向上し、靴底の諸特性が向上した
ことがわかる。
【0253】
【表12】
【0254】(実施例10)表11に示すように、実施
例9において、靴底の原料である架橋性ポリ塩化ビニル
プラスチゾルに、防滑素材としてウイスカー(四国化成
工業(株)製)を混合して、実施例9と全く同様にして
本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴を製
造した。得られたスラッシュ成形靴について、実施例7
と全く同様にして防滑性を評価した。
【0255】その結果を表12に示す。実施例9の結果
と併せて、本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴は、防滑性も優れていることがわかる。
【0256】(実施例11)表11に示すように、実施
例9および実施例10において、靴底の原料である架橋
性ポリ塩化ビニル樹脂および熱硬化性可塑剤を含むプラ
スチゾルに混合される顔料を有機系クレープ色調色顔
料:0.1重量部に低減して同様に多層よりなる発泡ス
ラッシュ成形靴を製造した。
【0257】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および熱硬化性可塑剤を
混合したプラスチゾルは着色透明性となり、第一回目の
注入によるスラッシュ成形靴用モールドの内面の付着の
手直しを行わなくとも第二回目の注入により外観品質が
優れたスラッシュ成形靴を製造できた。
【0258】(実施例12)実施例5において、靴底1
9を表13に示す組成の熱硬化性可塑剤および耐油性可
塑剤を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物で構成して、本
発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴とし
た。
【0259】
【表13】
【0260】この本発明にかかる多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴について、外観品質を目視により比較し
た。本発明例にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴の靴底は部位によらず3mm程度の一定の厚さであ
り、靴底の形状に沿った均一な厚さに成形できている。
【0261】さらに、この本発明にかかる多層よりなる
発泡スラッシュ成形靴の靴底の強度、耐摩耗性、耐シガ
レット性(耐熱性)さらに耐油耐薬品性を前述の方法で
評価した。
【0262】結果を表14にまとめて示す。本発明で成
形されたスラッシュ成形靴は、従来のスラッシュ成形靴
と同程度の靴本体の強度、硬度および柔軟性を備え、さ
らに従来よりも靴底は、特に耐熱変形性(耐シガレット
性)が優れ、引張り強度、耐油耐薬品性も向上し、靴底
の諸特性が向上したことがわかる。
【0263】
【表14】
【0264】(実施例13)表13に示すように、実施
例12において、靴底の原料である熱硬化性可塑剤およ
び耐油性可塑剤を含むプラスチゾルに、防滑素材として
ウイスカー(四国化成工業(株)製)を混合して、実施
例12と全く同様にして本発明にかかる多層よりなる発
泡スラッシュ成形靴を製造した。得られた多層よりなる
発泡スラッシュ成形靴について、実施例7と全く同様に
して防滑性を評価した。
【0265】その結果を表14に示す。実施例12の結
果と併せて、本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシ
ュ成形靴は、防滑性も優れていることがわかる。
【0266】(実施例14)表13に示すように、実施
例12および実施例13において、靴底の原料である熱
硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を含むプラスチゾルに
混合される顔料を有機系クレープ色調色顔料:0.1重
量部に低減して同様に多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴を製造した。
【0267】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層の熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を含むプラスチ
ゾルは着色透明性となり、第一回目の注入によるスラッ
シュ成形靴用モールドの内面の付着の手直しを行わなく
とも第二回目の注入により外観品質が優れた多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴を製造できた。
【0268】(実施例15)実施例5において、靴底1
9を表15に示す組成の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂およ
び耐油性可塑剤を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物で構
成して、本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴とした。
【0269】
【表15】
【0270】この本発明にかかる多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴について、外観品質を目視により比較し
た。本発明例にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴の靴底は部位によらず3mm程度の一定の厚さであ
り、靴底の形状に沿った均一な厚さに成形できている。
【0271】さらに、この本発明にかかる多層よりなる
発泡スラッシュ成形靴の靴底の強度、耐摩耗性、耐シガ
レット性(耐熱性)さらに耐油耐薬品性を前述の方法で
評価した。
【0272】結果を表16にまとめて示す。本発明にか
かる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴は、従来のスラ
ッシュ成形靴と同程度の靴本体の強度、硬度および柔軟
性を備え、さらに従来よりも靴底は、特に耐熱変形性
(耐シガレット性)が優れ、引張り強度、耐油耐薬品性
も向上し、靴底の諸特性が向上したことがわかる。
【0273】
【表16】
【0274】(実施例16)表15に示すように、実施
例12において、靴底の原料である架橋性ポリ塩化ビニ
ルプラスチゾルに、防滑素材としてウイスカー(四国化
成工業(株)製)を混合して、実施例12と全く同様に
して本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴
を製造した。得られた多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴について、実施例7と全く同様にして防滑性を評価し
た。
【0275】その結果を表16に示す。実施例15の結
果と併せて、本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシ
ュ成形靴は、防滑性も優れていることがわかる。
【0276】(実施例17)表15に示すように、実施
例15および実施例16において、靴底の原料である架
橋性ポリ塩化ビニル樹脂および耐油性可塑剤を含むプラ
スチゾルに混合される顔料を有機系クレープ色調色顔
料:0.1重量部に低減して同様に多層よりなる発泡ス
ラッシュ成形靴を製造した。
【0277】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂および耐油性可塑剤を混
合したプラスチゾルは着色透明性となり、第一回目の注
入によるスラッシュ成形靴用モールドの内面の付着の手
直しを行わなくとも第二回目の注入により外観品質が優
れた多層よりなる発泡スラッシュ成形靴を製造できた。
【0278】(実施例18)実施例5において、靴底1
9を表17に示す組成の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂,熱
硬化性可塑剤および耐油性可塑剤を含むプラスチゾルの
加熱ゲル化物で構成して、本発明にかかる多層よりなる
発泡スラッシュ成形靴とした。
【0279】
【表17】
【0280】この本発明にかかる多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴について、外観品質を目視により比較し
た。本発明例にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴の靴底は部位によらず3mm程度の一定の厚さであ
り、靴底の形状に沿った均一な厚さに成形できている。
【0281】さらに、この本発明にかかる多層よりなる
発泡スラッシュ成形靴の靴底の強度、耐摩耗性、耐シガ
レット性(耐熱性)さらに耐油耐薬品性を前述の方法で
評価した。
【0282】結果を表18にまとめて示す。本発明で成
形された多層よりなる発泡スラッシュ成形靴は、従来の
スラッシュ成形靴と同程度の靴本体の強度、硬度および
柔軟性を備え、さらに従来よりも靴底は、特に耐熱変形
性(耐シガレット性)が優れ、引張り強度、耐油耐薬品
性も向上し、靴底の諸特性が向上したことがわかる。
【0283】
【表18】
【0284】(実施例19)表17に示すように、実施
例18において、靴底の原料である架橋性ポリ塩化ビニ
ルプラスチゾルに、防滑素材としてウイスカー(四国化
成工業(株)製)を混合して、実施例18と全く同様に
して本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴
を製造した。得られた多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴について、実施例7と全く同様にして防滑性を評価し
た。
【0285】その結果を表18に示す。実施例18の結
果と併せて、本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシ
ュ成形靴は、防滑性も優れていることがわかる。
【0286】(実施例20)表17に示すように、実施
例18および実施例19において、靴底の原料である架
橋性ポリ塩化ビニル樹脂,熱硬化性可塑剤および耐油性
可塑剤を含むプラスチゾルに混合される顔料を有機系ク
レープ色調色顔料:0.1重量部に低減して同様にスラ
ッシュ成形靴を製造した。
【0287】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層の架橋性ポリ塩化ビニル樹脂,熱硬化性可塑剤および
耐油性可塑剤を含むプラスチゾルは着色透明性となり、
第一回目の注入によるスラッシュ成形靴用モールドの内
面の付着の手直しを行わなくとも第二回目の注入により
外観品質が優れた多層よりなる発泡スラッシュ成形靴を
製造できた。
【0288】(実施例21)実施例5において、靴底1
9を表19に示す組成のコポリマー樹脂を含むプラスチ
ゾルの加熱ゲル化物で構成して、本発明にかかる多層よ
りなる発泡スラッシュ成形靴とした。
【0289】
【表19】
【0290】この本発明にかかる多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴について、外観品質を目視により比較し
た。本発明例にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴の靴底は部位によらず3mm程度の一定の厚さであ
り、靴底の形状に沿った均一な厚さに成形できている。
【0291】また、この本発明にかかる多層よりなる発
泡スラッシュ成形靴の靴底の強度、耐摩耗性、耐シガレ
ット性(耐熱性)さらに耐油耐薬品性を前述の方法で評
価した。
【0292】さらに、この本発明にかかる多層よりなる
発泡スラッシュ成形靴の靴本体と靴底との間の密着強度
を以下に示す方法で評価した。 (密着強度)JIS K 6301に基づく短冊状剥離
試験を行って密着強度を測定した。
【0293】結果を表20にまとめて示す。本発明で成
形された多層よりなる発泡スラッシュ成形靴は、従来の
スラッシュ成形靴と同程度の靴本体の強度、硬度および
柔軟性を備え、さらに従来よりも靴底は、特に耐熱変形
性(耐シガレット性)が優れ、引張り強度、耐油耐薬品
性さらには靴本体との密着強度も向上し、靴底の諸特性
が向上したことがわかる。
【0294】
【表20】
【0295】(実施例22)表19に示すように、実施
例21において、靴底の原料であるコポリマー樹脂を含
むプラスチゾルに、防滑素材としてウイスカー(四国化
成工業(株)製)を混合して、実施例21と全く同様に
して本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴
を製造した。得られた多層よりなる発泡スラッシュ成形
靴について、実施例7と全く同様にして防滑性を評価し
た。
【0296】その結果を表20に示す。実施例21の結
果と併せて、本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシ
ュ成形靴は、防滑性も優れていることがわかる。
【0297】(実施例23)表19に示すように、実施
例21および実施例22において、靴底の原料であるコ
ポリマー樹脂を含むプラスチゾルに混合される顔料を有
機系クレープ色調色顔料:0.1重量部に低減して同様
にスラッシュ成形靴を製造した。
【0298】顔料を低減したために靴底を構成する第一
層のコポリマー樹脂を含むプラスチゾルは着色透明性と
なり、第一回目の注入によるスラッシュ成形靴用モール
ドの内面の付着の手直しを行わなくとも第二回目の注入
により外観品質が優れた多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴を製造できた。
【0299】
【発明の効果】請求項1記載の本発明にかかる多層より
なる発泡スラッシュ成形靴は、ポリ塩化ビニルペースト
樹脂および発泡剤を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物か
ら内層が構成され、かつ内層は発泡され補強必要部分の
うちの爪先部および踵部の肉厚は内層のうちの補強必要
部分を除くその他の部分の肉厚よりも増加されてなると
ともに、内層の外面底部の全部または一部,または靴本
体の底部を構成する内層および外層の間にポリ塩化ビニ
ルペースト樹脂を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物から
構成される靴底が設けられるため、全体として軽量であ
るとともに補強必要部分の強度はその厚みによって保た
れる。また、内層各部が発泡しているため、断熱性が優
れるとともにクッション性(履心地)も良好である。ま
た、発泡により靴本体表面に皮革紋様のカーフ調の小皺
が付与され高級感が向上される。また、靴底の耐摩耗性
が充分に確保される。さらに、内層が外層を保護するた
め、引っ掻き傷等に対する内層の抵抗性が向上する。
【0300】請求項2記載の本発明にかかる多層よりな
る発泡スラッシュ成形靴は、内層のうちの爪先部,踵部
および底部等の補強必要部分と後部縦壁面とを覆う範囲
に外層が形成されるため、請求項1記載の発泡スラッシ
ュ成形靴に対して軽量化を推進して補強必要部分の引っ
掻き傷等に対する抵抗性を維持できる。
【0301】請求項3記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴は、請求項1または請求項2記載の発泡スラ
ッシュ成形靴において外層の肉厚は0.5mm以下である
ため、軽量化効果を維持できるとともに内層の表面に形
成される皮革紋様意匠や皮革カーフ調の小皺を明瞭に表
現できる。
【0302】請求項4記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記
載の発泡スラッシュ成形靴において、外層を構成するプ
ラスチゾルは発泡剤を含有するため、軽量化をより推進
できる。
【0303】請求項5記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記
載の発泡スラッシュ成形靴において、内層の発泡倍率が
200%以下であるため、全体として軽量であるととも
に内層の強度が保たれる。
【0304】請求項6記載の本発明にかかる発泡スラッ
シュ成形靴は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記
載の発泡スラッシュ成形靴において、補強必要部分の全
部分または一部分の発泡倍率がその他の部分の発砲倍率
よりも小さいため、全体として軽量であるとともに補強
必要部分の強度が充分に保たれる。
【0305】請求項7記載の多層よりなる発泡スラッシ
ュ成形靴は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載
の発泡スラッシュ成形靴において、内層が内面踵部にヒ
ール用ペーストの加熱ゲル化物からなるヒール芯を備え
るとともに、補強必要部分のうちの踵部の底面の発泡倍
率は爪先部の発泡倍率よりも小さいために、請求項1な
いし請求項6のいずれかに記載の発泡スラッシュ成形靴
が有する効果に加えて、補強必要部分の中でも最も耐摩
耗性が要求される踵部の底面の強度を最も大きくするこ
とができる。
【0306】請求項8記載の多層よりなる発泡スラッシ
ュ成形靴は請求項7記載の発泡スラッシュ成形靴におい
て、ヒール用ペーストが耐熱性を有する中空体を含有す
る場合には請求項7記載の発泡スラッシュ成形靴が有す
る効果に加えてヒール芯の軽量化を図ることができ、ヒ
ール用ペーストが発泡抑制剤を含有する場合には請求項
7記載の発泡スラッシュ成形靴が有する効果に加えて踵
部の強度のよりいっそうの向上を図ることができる。
【0307】請求項9記載の多層よりなる発泡スラッシ
ュ成形靴は、靴底を構成するプラスチゾルが発泡抑制剤
を含有するため、内層の底部の全面、特に踵部の発泡倍
率を著しく低減することができる。
【0308】請求項10記載の多層よりなる発泡スラッ
シュ成形靴は、内層の底部の肉厚は1mm以下であるた
め、底部の発泡の程度を充分に抑制して必要な強度を維
持することができる。
【0309】請求項11記載の多層よりなる発泡スラッ
シュ成形靴は、靴底を構成するプラスチゾルに、架橋性
ポリ塩化ビニル樹脂,コポリマー樹脂または架橋性ポリ
塩化ビニル樹脂,熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤の
3種のうちの2種以上の組合わせを用いるため、靴底の
諸特性、とりわけ耐摩耗性を向上できる。
【0310】請求項12記載の多層よりなる発泡スラッ
シュ成形靴は、靴底を構成するプラスチゾルが防滑性素
材を含むため、防滑性を向上できる。
【0311】請求項13記載の多層よりなる発泡スラッ
シュ成形靴は、靴底を構成するプラスチゾルが着色透明
性を有するため、スラッシュ成形工程における手直し工
程の省略ないしは低減を図ることができる。
【0312】請求項14に記載の多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法によれば、第1工程で外層を形成
してから第2工程で靴底を形成し、その後に第3工程お
よび第4工程で略均一に発泡した内層を構成するため、
内層および外層を備え底部を構成する内層と外層の間に
靴底が形成された本発明にかかる多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴を確実に製造できる。
【0313】請求項15に記載の多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法によれば、第1工程で靴底を形成
してから第2工程で外層を形成し、その後に第3工程お
よび第4工程で略均一に内層を形成するため、内層およ
び外層を備え底部を構成する外層の外面底部に靴底が形
成された本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴を確実に製造できる。
【0314】請求項16に記載の多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法によれば、第1工程で外層を形成
してから第2工程で靴底を形成し、その後に第3工程お
よび第4工程で補強必要部分およびその他の部分の間で
発泡の程度が異なる内層を構成するため、内層および外
層を備え底部を構成する内層と外層の間に靴底が形成さ
れた本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴
を確実に製造できる。
【0315】請求項17に記載の多層よりなる発泡スラ
ッシュ成形靴の製造法によれば、第1工程で靴底を形成
してから第2工程で外層を形成し、その後に第3工程お
よび第4工程で補強必要部分およびその他の部分の間で
発泡の程度が異なる内層を形成するため、内層および外
層を備え底部を構成する外層の外面底部に靴底が形成さ
れた本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴
を確実に製造できる。
【0316】請求項18記載の発泡スラッシュ成形靴の
製造法では、請求項14ないし請求項17のいずれかに
記載の発泡スラッシュ成形靴の製造法の第4工程におい
て、半ゲル化物の内面踵部にヒール用ペーストを注入し
ておき、ゲル化温度以上発泡剤分解温度未満に加熱して
ゲル化した後に発泡剤分解温度以上に加熱するため、内
層の踵部の発泡倍率を爪先部の発泡倍率よりも小さくで
き、踵部の強度が極めて向上した発泡スラッシュ成形靴
を製造できるようになる。
【0317】請求項19記載の発泡スラッシュ成形靴の
製造法では、請求項13記載の発泡スラッシュ成形靴の
製造法において、ヒール用ペーストは耐熱性を有する中
空体および/または発泡抑制剤を含有するため、靴本体
の軽量化および/または踵部の強度上昇を図ることがで
きる。
【0318】請求項20記載の発泡スラッシュ成形靴の
製造法では、請求項14ないし請求項19のいずれかに
記載の発泡スラッシュ成形靴の製造法の第1工程または
第2工程において、注入するプラスチゾルが発泡抑制剤
を含有するため、靴本体の底部の発泡を抑制して強度を
維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴の一実施例の構造を示す縦断面図である。
【図2】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴の一実施例の構造を示す縦断面図である。
【図3】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴の一実施例の構造を示す縦断面図である。
【図4】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴の一実施例の構造を示す縦断面図である。
【図5】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴の一実施例の構造を示す縦断面図である。
【図6】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴の一実施例の構造を示す縦断面図である。
【図7】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴の製造法の一実施例を模式的に示す説明図である。
【図8】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴の製造法の一実施例を模式的に示す説明図である。
【図9】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ成
形靴の製造法の一実施例を模式的に示す説明図である。
【図10】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法の一実施例を模式的に示す説明図であ
る。
【図11】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法の一実施例を模式的に示す説明図であ
る。
【図12】本発明にかかる多層よりなる発泡スラッシュ
成形靴の製造法の一実施例を模式的に示す説明図であ
る。
【図13】スラッシュ成形靴の製造法を示す説明図であ
る。
【図14】スラッシュ成形靴の製造法を示す説明図であ
る。
【図15】スラッシュ成形靴の製造法を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1,1´,1´´ 多層よりなる発泡スラッシュ成形靴 2 外層 3 内層 4 靴本体 5 底部 6 履き口部 7 爪先部 8 踵部 9 補強必要部分 10 その他の部分 11 靴底 12 後部縦壁面 13 ヒール芯 14 プラスチゾル 15 スラッシュ成形靴用モールド 16 上端開口部 17 外層 18 プラスチゾル 19 靴底 20 プラスチゾル 21 補強必要部分 22 その他の部分 23 内層 24 ヒール用ペースト 25 ヒール芯 26 踵部 27 爪先部 28 底部
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 9:00 31:50 (56)参考文献 特開 昭50−276647(JP,A) 特開 昭47−38234(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A43B 1/14 B29C 41/18 B29D 31/50

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラ
    スチゾルの薄膜状の加熱ゲル化物により構成される外層
    と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂および発泡剤を含むプ
    ラスチゾルの加熱ゲル化物により構成される内層とから
    靴本体が構成される多層よりなる発泡スラッシュ成形靴
    であって、前記内層は発泡されてなるとともに、前記内
    層の補強必要部分のうちの爪先部および踵部の肉厚は内
    層のうちの前記補強必要部分を除くその他の部分の肉厚
    よりも増加されてなり、さらに、前記靴本体の底面を構
    成する外層の外面の全部または一部,ないしは前記靴本
    体の底面を構成する外層および内層の間の全部または一
    部には、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾ
    ルの加熱ゲル化物から構成される靴底が設けられること
    を特徴とする多層よりなる発泡スラッシュ成形靴。
  2. 【請求項2】 前記外層は、前記内層のうちの爪先部,
    踵部および底部等の補強必要部分と後部縦壁面とを覆う
    範囲に形成される請求項1記載の多層よりなる発泡スラ
    ッシュ成形靴。
  3. 【請求項3】 前記外層の肉厚は0.5mm以下である請
    求項1または請求項2記載の多層よりなる発泡スラッシ
    ュ成形靴。
  4. 【請求項4】 前記外層を構成するプラスチゾルは発泡
    剤を含有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載
    の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴。
  5. 【請求項5】 前記内層の発泡倍率は200%以下であ
    る請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の多層より
    なる発泡スラッシュ成形靴。
  6. 【請求項6】 前記補強必要部分の全部分または一部分
    の発泡倍率は前記その他の部分の発泡倍率よりも小さい
    請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の多層よりな
    る発泡スラッシュ成形靴。
  7. 【請求項7】 前記内層は内面踵部にスラッシュ成形工
    程において注入されたヒール用ペーストの加熱ゲル化物
    からなるヒール芯を備えるとともに、前記補強必要部分
    のうちの踵部の底面および/または底部の発泡倍率はそ
    の他の部分の発泡倍率よりも小さい請求項1ないし請求
    項6のいずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ成
    形靴。
  8. 【請求項8】 前記ヒール用ペーストは耐熱性を有する
    中空体および/または発泡抑制剤を含有する請求項7記
    載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴。
  9. 【請求項9】 前記靴底を構成するプラスチゾルは発泡
    抑制剤を含有する請求項1ないし請求項8のいずれかに
    記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴。
  10. 【請求項10】 前記内層の底部の肉厚は1mm以下であ
    る請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の多層より
    なる発泡スラッシュ成形靴。
  11. 【請求項11】 前記靴底を構成するプラスチゾルに含
    まれるポリ塩化ビニルペースト樹脂に替えて、架橋性ポ
    リ塩化ビニル樹脂、コポリマー樹脂または、架橋性ポリ
    塩化ビニル樹脂,熱硬化性可塑剤および耐油性可塑剤の
    3種のうちの2種以上の組合せを用いることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の多層よ
    りなる発泡スラッシュ成形靴。
  12. 【請求項12】 前記靴底を構成するプラスチゾルは防
    滑性素材を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項
    11のいずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ成
    形靴。
  13. 【請求項13】 前記靴底を構成するプラスチゾルは着
    色透明性を有することを特徴とする請求項1ないし請求
    項12のいずれかに記載の多層よりなる発泡スラッシュ
    成形靴。
  14. 【請求項14】 ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプ
    ラスチゾルをスラッシュ成形靴用モールドの内部に、ス
    ラッシュ成形靴の靴本体として必要な高さまで,または
    スラッシュ成形靴の靴本体のうちの爪先部,踵部および
    底部等の補強必要部分を含む高さまで注入して加熱する
    ことにより、外層となる薄膜状の半ゲル化物を前記スラ
    ッシュ成形靴用モールドの内壁面または内壁面の下部に
    付層形成し、前記半ゲル化物の内面に残存する未ゲル化
    状態のプラスチゾルを排出するか,または前記スラッシ
    ュ成形靴用モールドを後傾させることにより前記半ゲル
    化物の内面に残存する未ゲル化状態のプラスチゾルを排
    出する第1工程と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含む
    プラスチゾルを、前記半ゲル化物の底部内面の全部また
    は一部を覆うように注入して加熱することにより前記底
    部内面の全部または一部に沿った靴底となる半ゲル化物
    を形成する第2工程と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂お
    よび発泡剤を含むプラスチゾルを前記スラッシュ成形靴
    用モールドの内部にスラッシュ成形靴の靴本体として必
    要な高さまで注入し、2つの前記半ゲル化物と前記靴本
    体のうちの爪先部,踵部および底部等の補強必要部分,
    および当該補強必要部分を除くその他の部分それぞれの
    加熱条件を違えて加熱することにより、前記補強必要部
    分のうちの爪先部および踵部の肉厚が前記その他の部分
    の肉厚よりも大きい靴本体状の内層となる半ゲル化物を
    前記スラッシュ成形靴用モールドの内壁面に付層形成
    し、前記半ゲル化物の内面に残存する未ゲル化状態のプ
    ラスチゾルを排出する第3工程と,前記第1工程ないし
    第3工程でそれぞれ形成された3つの前記半ゲル化物
    を、ゲル化温度以上発泡剤分解温度未満の温度域に加熱
    してゲル化を進行してから発泡剤分解温度以上に加熱し
    て発泡させることにより、ポリ塩化ビニルペースト樹脂
    を含むプラスチゾルの薄膜状の加熱ゲル化物により構成
    される外層と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂および発泡
    剤を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物により構成される
    内層とから靴本体が構成され、かつ前記内層は発泡され
    てなるとともに前記補強必要部分のうちの爪先部および
    踵部の肉厚は前記その他の部分の肉厚よりも増加されて
    なり、さらに、前記靴本体の底面を構成する外層および
    内層の間の全部または一部に、ポリ塩化ビニルペースト
    樹脂を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物から構成される
    靴底が設けられる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴を
    形成する第4工程とを備えることを特徴とする多層より
    なる発泡スラッシュ成形靴の製造法。
  15. 【請求項15】 ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプ
    ラスチゾルを、スラッシュ成形靴用モールドの底部内面
    の全部または一部を覆うように注入して加熱することに
    より前記底部内面の全部または一部に沿った靴底となる
    半ゲル化物を形成する第1工程と,ポリ塩化ビニルペー
    スト樹脂を含むプラスチゾルをスラッシュ成形靴用モー
    ルドの内部に、スラッシュ成形靴の靴本体として必要な
    高さまで,またはスラッシュ成形靴の靴本体のうちの爪
    先部,踵部および底部等の補強必要部分を含む高さまで
    注入して加熱することにより、外層となる薄膜状の半ゲ
    ル化物を前記スラッシュ成形靴用モールドの内壁面また
    は内壁面の下部に付層形成し、前記半ゲル化物の内面に
    残存する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出するか,ま
    たは前記スラッシュ成形靴用モールドを後傾させること
    により前記半ゲル化物の内面に残存する未ゲル化状態の
    プラスチゾルを排出する第2工程と,ポリ塩化ビニルペ
    ースト樹脂および発泡剤を含むプラスチゾルを前記スラ
    ッシュ成形靴用モールドの内部にスラッシュ成形靴の靴
    本体として必要な高さまで注入し、2つの前記半ゲル化
    物と前記靴本体のうちの爪先部,踵部および底部等の補
    強必要部分,および当該補強必要部分を除くその他の部
    分それぞれの加熱条件を違えて加熱することにより、前
    記補強必要部分のうちの爪先部および踵部の肉厚が前記
    その他の部分の肉厚よりも大きい靴本体状の内層となる
    半ゲル化物を前記スラッシュ成形靴用モールドの内壁面
    に付層形成し、前記半ゲル化物の内面に残存する未ゲル
    化状態のプラスチゾルを排出する第3工程と,前記第1
    工程ないし第3工程でそれぞれ形成された3つの前記半
    ゲル化物を、ゲル化温度以上発泡剤分解温度未満の温度
    域に加熱してゲル化を進行してから発泡剤分解温度以上
    に加熱して発泡させることにより、ポリ塩化ビニルペー
    スト樹脂を含むプラスチゾルの薄膜状の加熱ゲル化物に
    より構成される外層と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂お
    よび発泡剤を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物により構
    成される内層とから靴本体が構成され、かつ前記内層は
    発泡されてなるとともに前記補強必要部分のうちの爪先
    部および踵部の肉厚は前記その他の部分の肉厚よりも増
    加されてなり、さらに、前記靴本体の底面を構成する外
    層の外面の全部または一部に、ポリ塩化ビニルペースト
    樹脂を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物から構成される
    靴底が設けられる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴を
    形成する第4工程とを備えることを特徴とする多層より
    なる発泡スラッシュ成形靴の製造法。
  16. 【請求項16】 ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプ
    ラスチゾルをスラッシュ成形靴用モールドの内部に、ス
    ラッシュ成形靴の靴本体として必要な高さまで,または
    スラッシュ成形靴の靴本体のうちの爪先部,踵部および
    底部等の補強必要部分を含む高さまで注入して加熱する
    ことにより、外層となる薄膜状の半ゲル化物を前記スラ
    ッシュ成形靴用モールドの内壁面または内壁面の下部に
    付層形成し、前記半ゲル化物の内面に残存する未ゲル化
    状態のプラスチゾルを排出するか,または前記スラッシ
    ュ成形靴用モールドを後傾させることにより前記半ゲル
    化物の内面に残存する未ゲル化状態のプラスチゾルを排
    出する第1工程と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含む
    プラスチゾルを、前記半ゲル化物の底部内面の全部また
    は一部を覆うように注入して加熱することにより前記底
    部内面の全部または一部に沿った靴底となる半ゲル化物
    を形成する第2工程と,ポリ塩化ビニルペースト樹脂お
    よび発泡剤を含むプラスチゾルを前記スラッシュ成形靴
    用モールドの内部にスラッシュ成形靴の靴本体として必
    要な高さまで注入し、2つの前記半ゲル化物と前記靴本
    体のうちの爪先部,踵部および底部等の補強必要部分,
    および当該補強必要部分を除くその他の部分それぞれの
    加熱条件を違えて加熱することにより、前記補強必要部
    分のうちの爪先部および踵部の肉厚が前記その他の部分
    の肉厚よりも大きい靴本体状の内層となる半ゲル化物を
    前記スラッシュ成形靴用モールドの内壁面に付層形成
    し、前記半ゲル化物の内面に残存する未ゲル化状態のプ
    ラスチゾルを排出する第3工程と,前記第1工程ないし
    第3工程でそれぞれ形成された3つの前記半ゲル化物
    を、ゲル化温度以上発泡剤分解温度未満の温度域に加熱
    してゲル化を進行してから、内層の前記補強必要部分を
    発泡剤分解温度未満ないしは発泡剤分解温度以上で短時
    間加熱するとともに前記その他の部分を前記発泡剤分解
    温度以上に加熱して発泡させることにより、ポリ塩化ビ
    ニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの薄膜状の加熱ゲ
    ル化物により構成される外層と,ポリ塩化ビニルペース
    ト樹脂および発泡剤を含むプラスチゾルの加熱ゲル化物
    により構成される内層とから靴本体が構成され、かつ前
    記内層は前記補強必要部分の発泡倍率が前記その他の部
    分の発泡倍率よりも小さくなるように発泡されてなると
    ともに前記補強必要部分のうちの爪先部および踵部の肉
    厚は前記その他の部分の肉厚よりも増加されてなり、さ
    らに、前記靴本体の底面を構成する外層および内層の間
    の全部または一部に、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含
    むプラスチゾルの加熱ゲル化物から構成される靴底が設
    けられる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴を形成する
    第4工程とを備えることを特徴とする多層よりなる発泡
    スラッシュ成形靴の製造法。
  17. 【請求項17】 ポリ塩化ビニルペースト樹脂を含むプ
    ラスチゾルを、スラッシュ成形靴用モールドの底部内面
    の全部または一部を覆うように注入して加熱することに
    より前記底部内面の全部または一部に沿った靴底となる
    半ゲル化物を形成する第1工程と,ポリ塩化ビニルペー
    スト樹脂を含むプラスチゾルをスラッシュ成形靴用モー
    ルドの内部に、スラッシュ成形靴の靴本体として必要な
    高さまで,またはスラッシュ成形靴の靴本体のうちの爪
    先部,踵部および底部等の補強必要部分を含む高さまで
    注入して加熱することにより、外層となる薄膜状の半ゲ
    ル化物を前記スラッシュ成形靴用モールドの内壁面また
    は内壁面の下部に付層形成し、前記半ゲル化物の内面に
    残存する未ゲル化状態のプラスチゾルを排出するか,ま
    たは前記スラッシュ成形靴用モールドを後傾させること
    により前記半ゲル化物の内面に残存する未ゲル化状態の
    プラスチゾルを排出する第2工程と,ポリ塩化ビニルペ
    ースト樹脂および発泡剤を含むプラスチゾルを前記スラ
    ッシュ成形靴用モールドの内部にスラッシュ成形靴の靴
    本体として必要な高さまで注入し、2つの前記半ゲル化
    物と前記靴本体のうちの爪先部,踵部および底部等の補
    強必要部分,および当該補強必要部分を除くその他の部
    分それぞれの加熱条件を違えて加熱することにより、前
    記補強必要部分のうちの爪先部および踵部の肉厚が前記
    その他の部分の肉厚よりも大きい靴本体状の内層となる
    半ゲル化物を前記スラッシュ成形靴用モールドの内壁面
    に付層形成し、前記半ゲル化物の内面に残存する未ゲル
    化状態のプラスチゾルを排出する第3工程と,前記第1
    工程ないし第3工程でそれぞれ形成された3つの前記半
    ゲル化物を、ゲル化温度以上発泡剤分解温度未満の温度
    域に加熱してゲル化を進行してから、内層の前記補強必
    要部分を発泡剤分解温度未満ないしは発泡剤分解温度以
    上で短時間加熱するとともに前記その他の部分を前記発
    泡剤分解温度以上に加熱して発泡させることにより、ポ
    リ塩化ビニルペースト樹脂を含むプラスチゾルの薄膜状
    の加熱ゲル化物により構成される外層と,ポリ塩化ビニ
    ルペースト樹脂および発泡剤を含むプラスチゾルの加熱
    ゲル化物により構成される内層とから靴本体が構成さ
    れ、かつ前記内層は前記補強必要部分の発泡倍率が前記
    その他の部分の発泡倍率よりも小さくなるように発泡さ
    れてなるとともに前記補強必要部分のうちの爪先部およ
    び踵部の肉厚は前記その他の部分の肉厚よりも増加され
    てなり、さらに、前記靴本体の底面を構成する外層の外
    面の全部または一部に、ポリ塩化ビニルペースト樹脂を
    含むプラスチゾルの加熱ゲル化物から構成される靴底が
    設けられる多層よりなる発泡スラッシュ成形靴を形成す
    る第4工程とを備えることを特徴とする多層よりなる発
    泡スラッシュ成形靴の製造法。
  18. 【請求項18】 前記第4工程において前記半ゲル化物
    をゲル化温度以上発泡剤分解温度未満の温度域に加熱す
    る前に、靴本体状の内層となる半ゲル化物の内面踵部に
    ヒール用ペーストを注入しておくことにより、前記第4
    工程で形成される内層の踵部の発泡倍率を爪先部の発泡
    倍率よりも小さくすることを特徴とする請求項14ない
    し請求項17のいずれかに記載の多層よりなる発泡スラ
    ッシュ成形靴の製造法。
  19. 【請求項19】 前記ヒール用ペーストは耐熱性を有す
    る中空体および/または発泡抑制剤を含有する請求項1
    8記載の多層よりなる発泡スラッシュ成形靴の製造法。
  20. 【請求項20】 靴底を構成する前記プラスチゾルは発
    泡抑制剤を含有することを特徴とする請求項14ないし
    請求項19のいずれかに記載の多層よりなる発泡スラッ
    シュ成形靴の製造法。
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