JP2806840B2 - 吐出特性制御型遠心ポンプ - Google Patents

吐出特性制御型遠心ポンプ

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JP2806840B2
JP2806840B2 JP7272347A JP27234795A JP2806840B2 JP 2806840 B2 JP2806840 B2 JP 2806840B2 JP 7272347 A JP7272347 A JP 7272347A JP 27234795 A JP27234795 A JP 27234795A JP 2806840 B2 JP2806840 B2 JP 2806840B2
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敏雄 矢野
愼次朗 大西
拓二 新野
一成 小林
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株式会社相互ポンプ製作所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、ポンプケーシン
グ内に、軸方向の一方側が開放した羽根車と、これに軸
方向に対向する羽根プレートを備えた吐出特性制御型遠
心ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】この種、開放型の羽根車と羽根プレート
を備えた遠心ポンプにおいては、従来、羽根車と羽根プ
レートとの間に隙間を形成し、いずれか一方の部材を軸
方向に移動することにより隙間の大きさ(軸方向幅)を
増減させ、吐出特性を制御するようになっている。具体
例としては、吐出圧一定制御が可能な特願平4−254
525号等がある。
【0003】図14は、従来の隙間制御方式の遠心ポン
プにおける性能特性線図であり、曲線T1は、隙間を最
小にした時のポンプ揚程曲線であって、最大ポンプ揚程
曲線となっており、該状態から隙間を順次大きくしてい
くことにより、羽根車前方の隙間への水の逃げ量が増加
し、T2,T3のように、ポンプ揚程曲線が低下するよ
うになっている。上記低下の仕方は、図から明確なよう
にT1から概ね左下方へと平行移動するように低下して
おり、これにより、締め切り揚程(水量0になるとき)
も順次低下している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記性能特性を有する
隙間制御型の遠心ポンプにおいて、吐出圧一定制御を行
う場合は、例えば吐出圧を検知して圧力応動弁により増
幅あるいは減幅し、それによる推力でもって羽根プレー
トあるいは羽根車を動かして隙間を制御することにな
り、図14の線分A−Eのように制御される。
【0005】ところが、吐出量一定制御を行う場合に
は、前記のように隙間を大きくして揚程曲線を低下させ
る時において、隙間の大きさが一定以上の大きさになる
と、一旦前方の隙間に漏洩した水が、羽根車内へと再循
環して揚程を発生させてしまうので、一定限度未満(た
とえば図14のT3未満)の低圧制御は、実質上不可能
となってしまう。すなわち、T3が最小ポンプ性能とな
り、たとえば、吐出量一定制御として吐出量Q3で切っ
た時、最大揚程HAから最小揚程HBまでの範囲しか制御
できず、揚程HBから揚程0までは制御不可能となる。
【0006】また、変則的な吐出圧一定制御として、吸
込圧力が変化する用途においては、吐出圧力=全揚程+
吸込圧力となることにより、吸込圧力の変化幅がポンプ
の全揚程相当幅に達する場合があるとすれば、理論的に
ポンプの全揚程は0とならないと、圧力制御が達成され
ない。
【0007】たとえば、吸込圧力が±0m、ポンプ全揚
程が20m,吐出圧力20m(0+20)の状態から、
吸込圧力が20mに上昇したとすると、ポンプ吐出圧力
は20+20=40mに上昇するが、これを20mの吐
出圧一定とするためには、上記のように吸込圧力が20
mであることから、ポンプ揚程を0mとする必要があ
る。かかる用途に対応するには、ポンプ性能変更は、圧
力0までできることを要するが、図14のような性能の
隙間制御においては、それを達成することは困難であ
る。
【0008】なお、上記圧力応動弁により制御する方式
において、本願出願人は、圧力応動弁として、その設定
圧を吐出末端圧に応じて制御できる電動パイロット弁を
用いることにより、推定末端圧一定制御を行えるように
した制御装置を開発し、出願している(特願平7−23
1064号)。かかる装置では、電動パイロット弁によ
り、性能特性を図14の管路抵抗曲線Rにできるだけ沿
う勾配に設定し、水量Q4以上の範囲では直線A−Bに
沿うようにして、省力化を図っている。
【0009】しかし、かかる電動パイロット弁による推
定末端圧制御においても、水量Q3以下ではポンプ性能
T3でしか制御できず、低圧域の制御はできない。
【0010】また、別の従来例としては、インバータな
どを利用して、ポンプ駆動用のモータの回転速度を制御
することにより、吐出圧制御する構造のポンプもある
が、インバータなど部品コストが非常に高くつくと共
に、回転数減少に伴うモータ内熱損失増加による効率低
下も生じる。
【0011】
【発明の目的】本願発明は、揚程の高圧域から低圧域ま
で、特に低圧域の圧力0に近い範囲まで、広範囲にわた
って吐出圧制御が可能な吐出圧特性制御型遠心ポンプを
提供すること目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1記載の発明では、軸方向の一方側が開放し
た羽根車と、該羽根車の開放側に対向配置された羽根プ
レートのうち、一方を軸方向に固定し、他方を軸方向に
移動自在とし、羽根プレートには、各羽根が軸方向に挿
入可能な差込み溝を形成し、各羽根を差込み溝に差し込
み、羽根と羽根プレートとの間の相対的な軸方向移動に
より羽根の軸方向の有効幅を調節可能とし、ポンプ吐出
部の制御圧力取出口に液圧増減用のパイロット弁を介し
て容積可変型の液体圧力室を接続し、該液体圧力室の圧
力変化による軸方向推力を利用して、羽根と羽根プレー
トとの相対的な軸方向移動を行うようにしている。
【0013】請求項2記載の発明では、制御精度をより
向上させるため、請求項1記載の吐出特性制御型遠心ポ
ンプにおいて、差込み溝は、軸方向に有底状に形成され
ると共に径方向の内外端が閉塞されており、その軸方向
の溝深さが、羽根の軸方向の全幅以上としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)図1は、本願発明を適用した単段
型の遠心ポンプであって、主軸1は、軸受シール2及び
スリーブ等を介してケーシング側壁部材3に回転自在に
支持されると共に、軸方向の後端部がうず巻きケーシン
グ4内に突入しており、主軸1のケーシング内部分に、
開放型の羽根車5とこれに対向する羽根プレート6が装
着されている。主軸1の前端部は、軸受ケース10等に
回転自在に支持されると共に図示しない電動モータ等の
原動機に連動連結している。
【0015】ケーシング4は基台等に載置され、ケーシ
ング側壁部材3は、ブラケット7を介して軸受ケース1
0に結合されている。
【0016】ケーシング4の軸方向後端部には、湾曲状
に下方へと突出する吸込み管14が接続し、うず巻きケ
ーシング4の径方向の端部には上向きに突出する吐出口
部13が接続し、吐出口部13には、吐出短管等を介し
て吐出し送水管路18が接続すると共に、側面に制御圧
力取出口19が設けられている。
【0017】羽根車5は、側板部5aと、該側板部5a
の後面に一体形成されると共に後面が開放された複数の
遠心式の羽根5bから構成されており、側板部5aは、
主軸1に対しキーにより回転方向に固定されると共に、
主軸後端に螺着された締付ナット9により、軸スリーブ
8を介して軸方向にも固定されている。羽根車5の前面
には、ライナーリング部5cが一体に形成され、ケーシ
ング側壁部3のライナーリング12に嵌合している。
【0018】羽根プレート6は一定の軸方向厚さを有す
る厚肉円板状に形成されており、径方向の内方端部に
は、複数の放射状リブ20を介してボス21が一体に形
成され、該ボス21は、前記軸スリーブ8の外周に軸方
向移動自在に嵌合し、ナット9により、後方最大移動位
置が規制されている。羽根プレート6の後面には中央部
に孔を有する円板11が固着されており、該円板11の
後面には、後方に突出する円筒ガイド22が一体に形成
されている。該円筒ガイド22をケーシング4のライナ
ーリング23に軸方向移動自在に嵌合することにより、
円板11の後部に、羽根プレート6を移動するための制
御圧力室25を形成している。
【0019】図2は羽根車5の後面図であり、湾曲状の
羽根5bはたとえば6枚配置されており、これに対し、
図3に示すように、羽根プレート6には、各羽根5bと
同配列の差込み溝26が形成されている。各差込み溝2
6は、羽根5bの断面形状に略対応する内面形状を有し
ているが、羽根5bの厚みt1よりも若干幅広く形成さ
れると共に、長さも径方向の内外端で若干の余裕c1,
c2をもった長さに形成されている。また、差込み溝2
6の径方向内外の端部は共に閉塞されている。
【0020】図4は羽根車5及び羽根プレート6の縦断
面拡大図であり、差込み溝26は羽根プレート6を軸方
向に貫通しているが、その後面は前記円板11により閉
塞されている。羽根車5と羽根プレート6との軸方向の
相対的位置関係は、羽根プレート6が後方最大移動位置
に下がっている場合においても、図示のように少なくと
も羽根5bの後端部と差込み溝26との係合状態が保た
れるようになっている。羽根6の軸方向全幅d1と差込
み溝26の軸方向深さd2との相対的な関係は、少なく
とも羽根5bの軸方向有効幅d3を0まで小さく調節で
きるように、差込み溝26の軸方向深さd2が、羽根5
bの軸方向全幅d1以上の大きさに設定されている。
【0021】羽根プレート後部の制御圧力室25には、
図1に示すパイロット弁(圧力応動弁)28の2次圧力
出口28aが接続し、前記吐出口部13の制御圧力取出
口19には、パイロット弁28の1次圧力入口28bが
接続している。
【0022】パイロット弁28は、1次圧の増大に比例
して増大する2次圧を取り出すことができる弁であり、
吐出口部13内の吐出圧力が設定圧力よりも増加する
と、それに比例して制御圧力室25の圧力を増加させ、
羽根プレート6に対する前方への推力を増加させるよう
になっている。
【0023】図5は、パイロット弁28の1具体化例で
あり、1次圧力室31と2次圧力室32を有すると共
に、圧力設定用のコイルばね33と、ダイヤフラム34
に連結して弁口37の開口量を調節する弁体35とを備
えており、コイルばね33により設定した1次側設定圧
力に対して、1次圧が増加すると、ばね33に抗してダ
イヤフラム34を押し上げて弁口37と弁体35との間
隔を拡げ、それにより2次圧を増加させるようになって
いる。
【0024】上記コイルばね33の設定荷重の調節は、
調節ボルト36を回転して、これに螺合する上下方向ス
ライド式のばね受けナット45の高さを調節することに
より行えるようになっている。すなわち、図5の調節ボ
ルト36を逆回転方向(反対時計回り)に回転すると、
ばね荷重が増加すると共に弁体35が下降し、弁口37
を狭めて2次圧力を減少させる。反対に正回転方向(時
計回り方向)に回転すると、ばね荷重が減少して、弁体
35が上方へ戻り、2次圧力を増加させる。
【0025】上記ばね33による設定圧力を、現在流量
と現在圧力との変化により所定の圧力制御特性に沿うよ
うに変化させるために、図6のように、パイロット弁2
8を電動とし、これの操作部分を含む電動パイロット弁
ユニット55と、圧力制御回路装置56と、流量計54
を備えている。
【0026】電動パイロット弁ユニット55は、電動パ
イロット弁28の大径ギヤ50に噛み合う小径の駆動ギ
ヤ58を有する小形制御モータ59と、吐出口部13の
吐出圧力を検知して圧力制御回路調節計として機能する
電子ユニット63に伝達する圧力伝送器60とから構成
されている。圧力制御回路装置56は、定電圧ユニット
61、リレー回路62、上記電子ユニット63及び演算
回路として機能するプリアンプ64から構成されてい
る。
【0027】定電圧ユニット61は、圧力伝送器60に
これを作動させるための定電圧を供給している。流量計
54は、吐出送水管路18の途中に配置されている。
【0028】プリアンプ64には、各種圧力制御特性
(勾配)が記憶されて任意に設定可能となっており、流
量計54から使用水量の負荷信号(流量信号)が入力さ
れると、設定された圧力制御特性に応じた目標圧力変更
指令を電子ユニット63に入力するようになっている。
【0029】電子ユニット63は、プリアンプ64から
の目標圧力変更指令及び圧力伝送器60からの現在圧力
信号を受信して、現在圧力と目標圧力の偏差を検出し、
目標圧力となるように制御モータ59を回転させて電動
パイロット弁28の設定圧を調節する。
【0030】前記プリアンプ64により設定可能な各種
圧力制御特性の例を示すと、図7において、装置の管路
抵抗曲線Rに最も近い勾配を有する特性線A−Bをはじ
め、それより緩い勾配の特性線A−Cあるいは直線A−
D等、任意の勾配に自由に設定でき、さらに流量信号を
用いないことにより、特性線A−Eのように、流量に関
係なく吐出圧一定の特性に設定することもできる。
【0031】図7のT1,…,T9は羽根有効幅d3の
変化に対応したポンプ揚程曲線を示している。曲線T1
は最大ポンプ揚程であって、羽根有効幅d3が最も大き
い時(たとえば10mmの時)の変化であり、羽根有効幅
d3を順次狭くするにしたがい曲線T2,T3,T4,
T5のように変化していく。有効羽根幅d3が概ね数mm
(曲線T5)程度になるまでは、締め切り揚程HS =1
00は殆ど変わらず、各最大吐出量QM1,QM2 などが順
次小さくなっていくことにより、右下がりの勾配が急に
なっていく。そして、羽根有効幅d3が更に小さくなる
と、圧力内部損失が相対的に増加することにより、曲線
T6以下の揚程曲線のように、締切り揚程も順次低下し
てゆき、最終的に羽根有効幅d3が0となって、揚程0
及び水量0の原点Bに収斂する。すなわち、揚程0の圧
力域まで制御できる。
【0032】次に、制御動作を説明する。ただし、吸込
圧力は0で変動がなく、吐出圧力と揚程とが一致してい
るとする。図6のプリアンプ64による設定圧力制御特
性を図7の特性線A−Bの勾配となるように選定した場
合において、水量Q1、揚程(吐出圧力)H1で運転
中、流量に変化がなければ、該状態での運転が保たれ
る。
【0033】水量がQ2に変化した場合には、図6の流
量計54よりプリアンプ64に水量Q2の負荷信号が入
力され、プリアンプ64では、決定された設定圧力制御
特性線A−B(図7)に沿って、上記水量Q2に対応す
る目標圧力H2を決定し、圧力変更指令を電子ユニット
63に入力する。
【0034】電子ユニット63では、圧力伝送器60か
ら入力された現在圧力を、上記目標圧力H2と比較し、
その圧力偏差を検出して、それに応じた圧力修正指令を
リレー回路62に入力する。
【0035】リレー回路62を介して制御モータ59を
駆動し、電動パイロット弁28を、吐出圧力が目標圧力
となるまで回転操作し、制御圧力室25内の圧力を増加
させ、有効幅d3を小さくする。これにより、ポンプ性
能は曲線T2となり、H2の圧力設定に入り、開放型羽
根車5の羽根有効幅制御は終了する。
【0036】そして、水量Q2、圧力H2での運転状態
において、前記同様に水量の変化を検出し、制御する。
【0037】したがって、図7の圧力制御特性線A−B
に設定している場合には、A−B間、すなわち吐出量Q
1からO付近まで、ポンプ性能は無段階に制御され、管
路抵抗曲線Rに近似したいわゆる推定末端圧一定制御が
行える。これにより、一定圧制御時の性能曲線A−Eに
比べて、斜線部で示す両者の差が節約エネルギーとな
る。
【0038】図15に示す例は、破線で示すようにA−
B間を一直線で結ぶ前記制御特性の代わりに、抵抗曲線
Rの途中に中継点Mを設け、線分A−M及び線分M−B
の2段階に圧力制御の設定をした例である。この圧力制
御設定によると、抵抗曲線Rに極力近接した制御となる
ので、前記図7のA−Bの圧力制御設定に比べ、省エネ
度はより大となる。
【0039】かかる2段階制御を行うためには、制御装
置として、前記図6に示す制御装置に対し、図16に示
すように、プリアンプ64と電子ユニット63の間に、
比率設定器64Aを介する経路を増設したものを使用す
る。すなわち、図15の特性線A−M間の場合は、図1
6のプリアンプ64から直接電子ユニット63に接続す
る経路200で制御し、図15の特性線M−B間の場合
は、図16のプリアンプ64から比率設定器64Aを介
して電子ユニット63に接続する経路で制御する。な
お、比率設定器を増設することにより、3段階以上の制
御も可能である。
【0040】次に吐出圧一定制御を行う場合を説明す
る。プリアンプ64による設定圧力制御特性を図8の特
性線A−Eの勾配(水平)となるように選定する。この
場合は、水量の検出は不要となる。当初水量Q1、揚程
H1で運転中(点A)、水量がQ2に減少して揚程がH
2に上昇したとすると(点b1)、羽根プレート6の当
初の釣り合い静止状態からH2に上昇した吐出圧が、パ
イロット弁28を経て当初状態よりも制御圧力室25の
圧力を増加させるため、羽根プレート6は前方に押さ
れ、羽根有効幅d3は減少する。これにより、ポンプ揚
程は曲線T1からT2へ低下し、揚程H1、水量Q2で
の運転状態(点b2)となる。
【0041】また、揚程曲線T3、水量Q3、揚程H1
で運転中(点b3)、水量がQ2に増加して、揚程がH
3に減少した場合(点b4)、パイロット弁28の2次
圧は減圧するから、制御圧力室25の圧力は低下し、釣
り合いは破れて羽根プレート6は後方へと移動し、羽根
有効幅d3が拡大する。これにより、揚程が曲線T2と
なり、吐出圧力H1、水量Q2の運転状態(点b2)と
なる。このようにして、吐出圧一定制御が行われる。
【0042】(第2の実施の形態)図9は、同一の主軸
1上に1対の開放型羽根車5を固定した多段型のポンプ
に本願発明を適用した例であって、基本的な構成は図1
の構成と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してあ
る。各羽根プレート6は軸方向移動可能に主軸1に嵌合
支持されると共に、それぞれ後部に制御圧力室25を有
し、各制御圧力室25はそれぞれパイロット弁28−
1,28−2に接続している。後側の第1のパイロット
弁28−1は、1次圧力入口28bが中間ケーシング7
2内に連通し、2次圧力出口28aは後側の第1の制御
圧力室25に連通している。前側の第2のパイロット弁
28−2は、1次圧力入口28bが吐出口部13の制御
圧力取出口19に接続し、2次圧力出口28aは前側の
第2の制御圧力室25に連通している。
【0043】主軸1は、複数の羽根車5を支持するため
に長寸に形成されているので、主軸1の後端部は、エン
ドメタル70を介してケーシング部材に支持されてい
る。該実施の形態では、モータポンプ型の2段である
が、継手機構を介してのモータ直結型とすることも可能
である。
【0044】(第3の実施の形態)図10は、図9の形
態と同様な複数の羽根車を有する多段型の遠心ポンプに
適用した例であるが、主軸1は前後1対の軸受76によ
り両端支持されており、主軸1の後端部がモータに直結
される。その他の構造は図9の構造と同様であり、同じ
部品には同じ符号を付してある。なお、制御圧力取出口
19は、吐出口部13の上面に接続された吐出短管15
に形成されている。
【0045】(第4の実施の形態)図11は、本願発明
を適用した単段型ポンプであるが、羽根車5を主軸1に
固着し、軸方向移動型の羽根プレート6を、前記のよう
なケーシング内の制御圧力室を利用する代わりに、外装
式のシリンダ82に嵌合するピストン81に連結してい
る。羽根プレート6は、主軸1とは別体のスピンドル8
0に固定し、該スピンドル80を継手機構86を介して
前記ピストン81のロッド81aに軸方向一体的移動可
能に連結している。
【0046】該実施の形態に用いられる電動パイロット
弁128は、図5に示すパイロット弁28とは動作が逆
であり、設定圧に対し1次圧が上昇すると、2次圧が下
降し、1次圧が下降すると2次圧が上昇する構成となっ
ている。
【0047】図12は電動パイロット弁128の具体例
を示しており、弁体35が弁口37の下側に配置されて
おり、コイルばね33によって設定された圧力に対し、
1次圧力室31の圧力が増加すると、ばねに抗して弁体
35が上昇し、弁口37が狭くなることにより、2次圧
力室32の圧力が下降する。
【0048】図11において、シリンダ82内は、ピス
トン81により後側のバランス室(変動圧室)84と前
側の圧力室85に区画されており、バランス室84の入
口はパイロット弁128の1次圧力入口128bに接続
し、圧力室85の入口は2次圧力出口128aに接続
し、両室84,85の出口はたとえば吸込み管14に連
通している。また、電動パイロット弁128の1次圧力
入口128bが接続する制御圧力取出口19は、吐出口
部13に接続された吐出短管15に形成されている。な
お、図1と同じ部品には、同じ符号を付してある。
【0049】かかる実施の形態では、吐出口部13の圧
力がばね33により設定した圧力以上になると、1次圧
力入口128bの圧力が増加することによりバランス室
84の圧力は増加し、一方、2次圧力出口128aの圧
力が低下することにより、圧力室85の圧力が低下する
ため、ピストン81は前方に移動し、羽根有効幅d3を
狭くして、吐出圧を設定圧まで低下させる。
【0050】(第5の実施の形態)図13は、主軸1上
に複数の羽根車5を固定した多段型のポンプであって、
羽根車5を主軸1と共に軸方向移動自在とすると共に羽
根プレート6を固定形とし、主軸1の前端部に軸受け継
手100を介してピストン101を連結している。
【0051】パイロット弁128としては、図11の場
合と同様に、1次圧が上昇すると、2次圧が下降し、1
次圧が下降すると2次圧が上昇する構成のものを採用し
ている。
【0052】シリンダ103内は後側バランス室(変動
圧室)111と前側低圧室112とに区画され、バラン
ス室111の入口はパイロット弁128の2次圧力出口
128aに接続し、両室111,112の出口は、吸込
み管14に接続している。
【0053】また、各羽根プレート6の後側に制御圧力
室114は、吸込み管14などの低圧部分に接続してい
る。
【0054】前記第2の実施の形態から第5の実施の形
態において、それらの制御動作としては、第1の実施の
形態と同様にパイロット弁28,128を電動パイロッ
ト弁として、図6に示すような制御装置に接続し、吐出
圧一定制御、推定末端吐出圧一定制御あるいは吐出量一
定制御など、同様な制御を行うことができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように本願発明によると、 (1)開放型羽根車5の各羽根5bを、これに対向する
羽根プレート6の各差込み溝26に差し込み、羽根5b
と羽根プレート6との相対的な軸方向移動により、羽根
有効幅d3を調節して、吐出圧あるいは揚程を変更調節
するようにしているので、羽根有効幅d3を変化するに
もかかわらず、常に、羽根5bの軸方向両端を閉塞して
いることになり、図14の性能を有する隙間制御型の遠
心ポンプに比べ、隙間に逃げることによるポンプ効率の
低下が生じることはなく、如何なる有効幅状態でも高い
ポンプ効率を保つことができる。
【0056】(2)羽根5bを差込み溝26に移動可能
に挿入して有効幅d3を調節する構造であるので、従来
の隙間制御型のように低圧域において隙間から羽根内に
再循環して圧力低下が一定限度に止どまるようなことは
なくなり、隙間制御型のポンプでは不可能であった低圧
域まで広範囲に圧力制御することができ、省エネ化を達
成することができる。
【0057】(3)請求項2記載の発明のように、差込
み溝26の深さd2を羽根5bの全幅d1以上にするこ
とにより、有効羽根幅d3を0(吐出圧力0)まで変化
させることができるので、たとえば、吸込圧力が変化す
る用途においては、その吸込圧力の変化幅がポンプの全
揚程に達することがある場合でも、吐出圧力一定を保つ
ことができ、ポンプの適用範囲が広がる。
【0058】(4)羽根有効幅d3の変化により圧力制
御を行い、モータなどのポンプ駆動機構を変速する必要
がなくなるので、従来のようにインバータなどによる回
転数制御方式のポンプに比べ、回転数減少に伴うモータ
内熱損失増加による効率低下は生じない。
【0059】(5)ポンプ及びモータ共に、上記のよう
に損失の増加は殆どないので、ポンプ効率は高く維持さ
れ、省エネ効果は一層大きくなる。
【0060】
【発明の効果】(6)インバータなどで電気的にモータ
ヲ回転数制御する場合に比べ、水力的制御であるので、
機構が簡単で、コストが安くかる。しかも上記のように
吐出圧を利用した水力制御と、羽根を溝に摺動自在に差
し込むことによる羽根幅変更方式を組み合わせると、相
乗的に吐出圧の制御精度が向上し、より有利な吐出圧制
御特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明を適用した吐出特性制御型遠心ポン
プの縦断面図である。
【図2】 羽根車単体の後面図である。
【図3】 羽根プレート単体の図1のIII−III断面図で
ある。
【図4】 図1の羽根車及び羽根プレート部分の拡大図
である。
【図5】 電動パイロット弁の縦断面図である。
【図6】 電動パイロット弁の制御機構の略図である。
【図7】 本願発明の装置による制御特性を示すグラフ
である。
【図8】 本願発明の装置による制御特性を示すグラフ
である。
【図9】 本願発明の第2の実施の形態を示す縦断面略
図である。
【図10】 本願発明の第3の実施の形態を示す縦断面
略図である。
【図11】 本願発明の第4の実施の形態を示す縦断面
略図である。
【図12】 電動パイロット弁の変形例を示す縦断面図
である。
【図13】 本願発明の第5の実施の形態を示す縦断面
略図である。
【図14】 従来装置における制御特性を示すグラフで
ある。
【図15】 本願発明の装置による制御特性を示すグラ
フである。
【図16】 図15に示す特性の制御を行うための制御
機構の略図である。
【符号の説明】
1 主軸 4 ポンプケーシング 5 開放型の羽根車 5a 羽根 6 羽根プレート 25 制御圧力室 26 差込み溝 28,128 パイロット弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 一成 大阪府大阪市東淀川区小松1丁目18番19 号 株式会社相互ポンプ製作所内 (56)参考文献 特開 平7−91396(JP,A) 特開 昭53−88203(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F04D 15/00 101

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向の一方側が開放した羽根車と、該
    羽根車の開放側に対向配置された羽根プレートのうち、
    一方を軸方向に固定し、他方を軸方向に移動自在とし、
    羽根プレートには、各羽根が軸方向に挿入可能な差込み
    溝を形成し、各羽根を差込み溝に差し込み、羽根と羽根
    プレートとの間の相対的な軸方向移動により羽根の軸方
    向の有効幅を調節可能とし、ポンプ吐出部の制御圧力取
    出口に液圧増減用のパイロット弁を介して容積可変型の
    液体圧力室を接続し、該液体圧力室の圧力変化による軸
    方向推力を利用して、羽根と羽根プレートとの相対的な
    軸方向移動を行うようにしていることを特徴とする吐出
    特性制御型遠心ポンプ。
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