JP2804182B2 - 微粉炭ボイラ及び微粉炭バーナ - Google Patents

微粉炭ボイラ及び微粉炭バーナ

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JP2804182B2
JP2804182B2 JP3041571A JP4157191A JP2804182B2 JP 2804182 B2 JP2804182 B2 JP 2804182B2 JP 3041571 A JP3041571 A JP 3041571A JP 4157191 A JP4157191 A JP 4157191A JP 2804182 B2 JP2804182 B2 JP 2804182B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微粉炭を燃料とするボイ
ラ、微粉炭ボイラシステムおよび微粉炭の燃焼時に発生
する窒素酸化物(以下NOxと称する)を低減するのに
好適な微粉炭バーナに関する。
【0002】
【従来の技術】微粉炭の燃焼時に発生するNOxは、ほ
とんどが石炭中に含まれる窒素が酸化されて発生するN
Oxである。石炭中の窒素は燃焼初期の熱分解時にシア
ン化水素(HCN)やアンモニア(NH3 )に分解されて放
出され、これらが酸化されてNOxになる。これらの窒
素化合物は、NOxの前駆物質であると同時に、酸素濃
度の低い条件では、NOxを還元する効果を有する。
【0003】微粉炭の代表的な燃焼法としては、バーナ
部において空気不足の燃料過剰燃焼を行なった後、残存
する可燃成分に完全燃焼用の空気を別途に投入して燃焼
する二段燃焼法がある。
【0004】この方法は、NOx低減に有効であるが、
完全燃焼用空気と可燃成分とを混合燃焼させるのに大き
な燃焼炉(火炉)を必要とし、ボイラが大型化する。
【0005】従って、二段燃焼とせずにバーナ部で完全
燃焼に必要な空気量に近い条件で燃焼し、バーナで形成
される火炎内で燃焼効率の向上とNOx低減を図ること
が望まれる。このような目的で開発されたバーナとし
て、燃焼用空気を一次,二次,三次の空気に分割し、三
次空気の混合を遅らせて火炎中心部にNOxの還元雰囲
気を形成しやすいようにしたバーナがあり、例えば特開
昭60−226609号公報、特開昭62−276310号公報に記載さ
れている。また、微粉炭と一次空気の混合流を旋回させ
ながら噴出させるバーナが特開昭57−12209 号公報に記
載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術に記載し
たように燃焼用空気を一次、二次、三次の空気に分割し
て供給するバーナを使用することにより、火炎内でのN
Oxの低減性能を向上することができる。
【0007】しかし、日々きびしくなる環境規制の下で
はまだまだ不十分であり、さらに性能の高い低NOxバ
ーナを開発する必要性は大きい。また、微粉炭バーナの
低負荷時の燃焼性能を更に良くして燃料の熱効率を高め
る必要性も大きい。
【0008】本発明の目的は、燃焼時のNOxの低減性
能がすぐれた微粉炭バーナおよびボイラを提供すること
にある。
【0009】
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の微粉炭バーナ
は、微粉炭と微粉炭搬送用の一次空気との混合流を直進
流にて噴出する単一環状の微粉炭噴出ノズルと、該微粉
炭噴出ノズルの外側に同心的に設けられ着火用の二次空
気を噴出する二次空気ノズルと、該二次空気ノズルの外
側に同心的に設けられ燃焼用の三次空気を噴出する三次
空気ノズルと、前記微粉炭噴出ノズルと前記二次空気ノ
ズルとを隔てる隔壁の先端に設けられ該微粉炭噴出ノズ
ルから噴出された前記混合流により形成される火炎を保
持する保炎器とを有し、該保炎器には火炉側に向かうに
つれて外径が拡大する部分が設けられている微粉炭バー
ナにおいて、前記微粉炭噴出ノズル内に前記混合流の流
れを一旦外周側に寄せるとともにその流れを保持する部
分を有する粒子流路調整器が設けられ、該微粉炭噴出ノ
ズルの口縁に該微粉炭噴出ノズル内の外周部側に集めら
れた微粉炭を衝突させる衝突板を有することを特徴とす
る。
【0011】微粉炭噴出ノズルの外周には二次空気ノズ
ルを同心的に備え、かつ二次空気の旋回手段を設けるこ
とが望ましい。
【0012】また二次空気ノズルの外周には三次空気ノ
ズルを同心的に備え、微粉炭噴出ノズルから噴出する混
合流の下流側の酸素濃度をバーナ出口近傍の酸素濃度に
比べて相対的に高くすることが望ましい。三次空気を旋
回させる旋回手段を設けることも望ましい。
【0013】このように燃焼用空気を分割して供給し三
次空気の混合を遅らすことにより、バーナ出口近傍にN
Ox還元領域を形成し、火炎の下流側に酸化領域を形成
することができる。また、微粉炭を噴出ノズルから濃度
分布をもって噴出し外周部の濃度を中心部の濃度に比べ
て相対的に高くすることにより、微粉炭と二次空気との
混合が促進されて着火しやすくなる。このため、低負荷
時に微粉炭の量を減らしても良好な着火性を有すること
ができる。
【0014】微粉炭噴出ノズルから噴出される微粉炭と
一次空気との混合流を旋回流にして噴出すると、外周方
向に広がって分散してしまうので、直進流として噴出す
ることが望ましい。
【0015】微粉炭噴出ノズル内に環状体を備え、該環
状体の外径を中央部が大きくノズル先端部で小さくなる
ように構成することによって、該ノズルから噴出する混
合流に微粉炭の濃度分布を生じさせ、混合流の中心部に
比べて外周部の微粉炭濃度を高くすることができる。微
粉炭はあたかも円筒状の如くになって噴出される。これ
によって、二次空気との混合が促進され微粉炭が着火し
やすくなる。
【0016】本発明のバーナを使用することによって、
バーナ出口近傍の火炎の中心部には低酸素濃度の還元領
域が作られ、この低酸素濃度の領域がバーナ側に近づ
く。つまり、還元領域が拡大される。これにより、NO
xが窒素に還元される反応が促進され、NOxが低減さ
れる。
【0017】本発明のボイラは、微粉炭を燃焼する火炉
と、該火炉の側壁に設けられ微粉炭と空気の混合流を噴
出して火炎を形成する複数本のバーナと、該火炉内の微
粉炭燃焼熱によって水を加熱し蒸気を発生する熱交換器
とを具備する。そして微粉炭バーナは、微粉炭と一次空
気との混合流を噴出する環状の微粉炭噴出ノズルと該微
粉炭噴出ノズルから噴出する混合流に着火用の二次空気
を供給する二次空気ノズルおよび該微粉炭噴出ノズルか
ら噴出する前記混合流中の微粉炭の濃度を中心部に比べ
て外周部側で相対的に高くする微粉炭濃度調整手段を有
する。
【0018】前記火炉側壁の前記バーナが設けられた位
置の上段に、バーナによる燃焼時に残存した可燃成分を
燃焼させるためのアフターエアポートを備えることは望
ましい。
【0019】微粉炭バーナ内に液体好ましくは油を空気
流によって噴霧するアトマイザを備えてもよい。この場
合、該アトマイザの外周に同心的に前記微粉炭噴出ノズ
ルを有し、該微粉炭噴出ノズルの外周に同心的に前記二
次空気ノズル、更には三次空気ノズルを備えることが望
ましい。
【0020】本発明の微粉炭ボイラシステムは、微粉炭
を中心部の濃度に比べて外周部の濃度が相対的に高くな
るように濃度分布をもって噴出する微粉炭バーナを火炉
の側壁に複数本備えたボイラと、該ボイラの排ガスを煙
突へ導く煙道に設けられた排ガス浄化手段と、該微粉炭
バーナに空気を搬送気体として微粉炭を搬送する微粉炭
搬送手段と、該微粉炭バーナに搬送する微粉炭および空
気の量を調整する微粉炭量調整手段および空気量調整手
段を具備する。
【0021】微粉炭バーナに搬送する微粉炭の粒径を調
整する微粉炭粒径調整手段を備え、負荷の変動に応じて
微粉炭バーナに搬送する微粉炭の粒径あるいは粒径分布
を変えることが望ましい。
【0022】
【作用】微粉炭ボイラにおいて火炎を安定に形成し着火
・保炎性を向上するには、バーナ出口近傍において、搬
送空気(一次空気)と共に噴出される微粉炭と、微粉炭
と搬送空気の混合流に対して外周から投入される着火用
二次空気との混合を促進することが効果的である。
【0023】微粉炭と搬送空気の混合流の外周から燃焼
用の三次空気を旋回流として噴出するようなバーナで
は、火炎内に高温の大きな循環流が形成され、この循環
流内に微粉炭を入りやすくすることが望ましい。このた
めに、微粉炭と空気との混合流の噴出速度を低減して、
微粉炭ノズル内の混合流の微粉炭濃度分布を調節し、循
環流付近に微粉炭を集めることが有効になる。
【0024】しかし、微粉炭と空気の混合流全体の噴出
速度を低減すると、微粉炭ノズル中心部の微粉炭は旋回
流の燃焼用空気によって半径方向外側へ散逸し、この結
果、火炎外周部の燃焼用空気の多い雰囲気で燃焼する微
粉炭の割合が増加し、NOx還元域で燃焼する微粉炭は
相対的に少なくなるため、火炉出口のNOx濃度が増加
してしまう。
【0025】微粉炭と空気との混合流の噴出速度は、噴
出ノズル内の環状流路出口を急拡大し、微粉炭搬送とこ
れに同伴される微小粒子を半径方向に広げることによっ
ても低下できる。この時に、比較的粒径の大きい固体粒
子は慣性により、空気の流れには追従せずに、空気の流
れほどには広がらない。従って、固体粒子の濃度の高い
領域が微粉炭ノズル内周壁近傍に形成されることにな
る。この手法によって、微粉炭を火炉内のノズル外周部
に形成される循環流付近に集めることができる。また、
搬送空気を旋回流として微粉炭の分散を制御する方法に
比べて微粉炭ノズルの中心部の空気速度を高くすること
ができ、NOx還元域へ供給する微粉炭量を減少させず
にNOx濃度を低減できる。
【0026】上記手法により搬送空気とその流れに追従
する微小粒子の流速を低減できるが、さらに微粉炭ノズ
ル内周壁に集められた大きな粒子の流速を低減すると更
に着火性は向上する。
【0027】本発明では、このために、ノズル内周壁付
近に集められた微粉炭を衝突させる衝突板をノズル口縁
に設置することが望ましい。
【0028】衝突板を混合流の流れに直角に近い角度で
設置すると、衝突した粒子は流速が低下すると同時に、
混合流の噴出方向と直角方向で微粉炭ノズルの中心方向
に向く。このため、微粉炭ノズル外周部に形成された着
火域の高温の粒子と燃焼ガスは、微粉炭ノズルから噴出
される微粉炭噴流の中心部へ混合し、微粉炭ノズル中心
部の微粉炭の着火性は向上する。
【0029】また本発明では燃焼用空気を着火用の二次
空気と完全燃焼用の三次空気とに分離して噴出する。こ
れは、二次空気と混合流とにより、燃料過剰の燃焼領域
を火炎中心部に形成してNOxの還元を促進するためで
ある。燃料過剰領域の形成を容易にするには、二次空気
と三次空気の混合がバーナ出口で抑制されるのが有効で
あり、本発明では、このための混合を抑制する仕切り板
(隔壁)を二次空気と三次空気の流路の間に設ける。仕
切り板は三次空気の半径方向の混合を抑制するのみなら
ず、三次空気の旋回力でバーナ側へ流入させる高温度の
燃焼ガスを燃料ノズル近傍まで引き寄せることができ、
微粉炭着火性は更に向上する。
【0030】微粉炭噴出ノズルの中心部からは比較的小
さな微粉炭粒子を噴出し、外周部からは中心部に比較し
て大きな微粉炭粒子が噴出される。この特性を利用し
て、微粉炭ノズル出口の中心部と外周部の微粉炭粒子の
径を計測することによって、微粉炭ノズル、すなわち、
バーナに供給される微粉炭の粒径分布を推定できる。
【0031】本発明では上記隔壁の内部に二次空気を流
通させるような流路を設ける。これは、隔壁の温度上昇
による焼損を防止するためである。更に、隔壁のバーナ
出口先端部から上記二次空気の一部を噴出させることに
よって、微粉炭燃焼灰が隔壁に付着することを防止でき
る。
【0032】バーナへ供給される微粉炭の粒径分布を示
す信号は、当然、燃焼の制御信号として用いることがで
きる。例えば、上記信号の時間変化を利用すると、ボイ
ラの負荷変化で石炭供給量の変動する石炭粉砕機の出口
の粒径分布を一定または希望する粒度分布に制御でき
る。
【0033】また、微粉炭を1台の石炭粉砕機から複数
個のバーナへ分配する際に、各バーナへ供給される微粉
炭の粒度分布を推定でき、バーナ間の粒度分布の関係を
一定または好ましい状態に制御できる。
【0034】さらに、本発明の微粉炭ボイラは着火、保
炎性に優れているため、微粉炭供給量が少ない低負荷運
転時も安定した火炎を形成できるので、負荷追従性やボ
イラ熱効率についても優れる。
【0035】
【実施例】次に、本発明による微粉炭ボイラ及び微粉炭
ボイラ運転方法について説明する。
【0036】 〔実施例1〕 図1に示した微粉炭ボイラシステムの構成について説明
する。
【0037】本実施例で示す微粉炭ボイラは、一例とし
て前面対向型ボイラを示し、二段燃焼法を採用したバー
ナ配列と二段燃焼用空気投入口(以下、アフターエアポ
ートと称す)68の配置例を示す。バーナ43は複数本
設けられ、火炉42の炉長方向に三段に配列され、火炉
42の横方向にも5列に配列されている。火炉横方向の
バーナ配列は図示していない。バーナの本数及び配列は
バーナ単体の容量(最大微粉炭燃焼量,ボイラの容量
等)及びボイラの構造に依って決定される。
【0038】本発明の各バーナは各段毎にウィンドボッ
クス44内に収納される。バーナには助燃用の油を空気
を搬送気体として噴出するアトマイザを備え、助燃料4
7は分配器49を介して各バーナへ供給される。燃焼用
空気51は、熱交換器52によって昇温し約300℃程
度の加熱空気としてダンパ56で流量調整後、ウィンド
ボックス44に導入され、各バーナから火炉内に噴出で
きるよう構成される。燃焼用空気51は、更にアフタエ
アポート68にダンパ57を介して供給される。
【0039】微粉炭搬送空気53は、熱交換器54で約
300℃程度に昇温され微粉炭供給機46へ供給され
る。微粉炭は搬送空気53とともに粉砕機58へ供給さ
れ、ここで粉砕され粒径分布が調整されてからバーナへ
供給される。バーナへ供給する微粉炭の粒径あるいは粒
径分布は、ボイラ負荷によって変化させる。火炉42
は、通常、水冷却構造になっており、ここで一次蒸気を
作り、この一次蒸気を蒸気過熱機54で過熱して過熱蒸
気とする。
【0040】微粉炭ボイラの排ガスを煙突63から大気
に放出する煙道には、脱硝装置60、電気集塵器61,
脱硫装置62よりなる排ガス浄化装置を配している。
【0041】各バーナから供給する燃焼用空気量は、石
炭の理論空気量の80%〜90%(vol%)を供給
し、アフターエア量は、石炭の理論空気量の40%〜3
0%程度にして全空気量としては石炭の理論空気量の1
20%程度になるように設定する。微粉炭バーナ43に
よる火炎は理論空気量よりも少ない空気量で燃焼させ、
アフターエアによって上記火炎で排出される未燃分を少
なくする。
【0042】微粉炭ボイラシステムの動作と効果につい
て説明する。
【0043】本発明の微粉炭ボイラは着火、保炎性が優
れ、微粉炭ボイラに備えられたバーナにより形成される
火炎は大幅に短炎化される。
【0044】微粉炭バーナによってボイラの低負荷から
全負荷に到るまで安定な火炎を形成するため、粉砕機5
8を動かしボイラの負荷に合わせて微粉炭の粒径分布を
変える。従来のように低負荷時に一部のバーナを休止
し、焼損を防止するために空気のみを供給するというよ
うなことはしなくてよい。このため、排ガスの廃熱とと
もに大気へ放出される熱エネルギは減少し、ボイラの熱
効率は高くなる。例えば、蒸気発生量1000MWのボ
イラで試算すると、低負荷時の熱効率を1〜3%程度高
くすることができる。また、従来は低負荷時に火炎の安
定のために助燃用の油を使用していたが、本発明のバー
ナを使用すれば低負荷時の火炎安定性に優れるため、油
の助燃を必要としなくなる。
【0045】微粉炭供給器46は石炭から微粉炭を生成
し、粉砕機58へ供給する。微粉炭とは通常、石炭粒子
径が30μm以下の粒子を意味する。微粉炭供給器46
へ供給する石炭粒子の粒子径分布は、30μm以下の粒
子の重量割合が40〜50%以上、10μm以下の重量
割合が20〜30%以上、最大粒子径は40〜60μm
の特性を示すものがよい。微粉炭供給器46の微粉炭は
更に粉砕機58で粒径を調整した後、微粉炭バーナへ微
粉炭を気流搬送する。微粉炭供給器46で生成された微
粉炭はバーナ43で着火用の燃料として利用される。
【0046】微粉炭供給器46と粉砕機58を組み合わ
せて微粉炭の粒径を調整してバーナへ供給する方法は、
下記の効果を有する。
【0047】 (イ)粉砕機58だけを用いて微粉炭粒子径を小さくす
る方法に比べ、微粉炭生成に必要な動力が少ない。
【0048】 (ロ)微粉炭バーナ43の石炭専焼できる最低負荷の低
減により、助燃用の油の使用量が減少する。
【0049】(イ),(ロ)に関して説明する。微粉炭ボ
イラ内における微粉炭粒子の滞留時間は約3秒であるた
め、燃焼を完結する微粉炭粒子の最大粒子径は約100
μmになる。一方、約30μm以下の微粒子が最初に着
火するため、バーナの着火性を向上するには微細粒子を
増加する必要がある。一般に粉砕機で効率よく粉砕でき
る粒子径が存在し、ローラ等を円盤状のレース上に押し
付けて微粉炭を生成する粉砕機では30μm以下、特に
20μm以下の粒子を多量に生成するには多大なエネル
ギを必要とする。微粉炭の粉砕過程を本実施例のように
二段階にする方法では、生成させる微粉炭粒子を最も効
率よく生成させる粉砕方式を選択できるため、微粉炭を
生成するのに必要な全体の粉砕動力は従来技術に比べて
大幅に低減できる。また、微粉炭供給器46で生成した
微粉炭粒子を粉砕機58へ流入させ、粉砕機58で生成
する微粉炭と粉砕機58の内部で混合させるために、粉
砕機の外部で混合させる方法に比べて良好に両者を混合
させることができる。また、鋭意研究の結果、微粉炭の
燃料比は30μm以下の微粉炭粒子の着火に影響しない
ことを明かにし、燃料比が高い微粉炭は燃料比の低い微
粉炭に比べ少ない粉砕動力で微細粒子を生成することが
できる。このため、微粉供給器46は微粉粒子を生成し
易い燃料比の高い石炭(燃料比は概略1.8 以上)を微
粉炭にして供給し、粉砕機58は燃焼し易い燃料比の低
い石炭を供給する方法では、微粉炭生成に要する全体の
粉砕動力を一層低減できる。また、微粉供給器46へ供
給する石炭は、特にハードグローブ指数50以上で粉砕
に要する動力の小さいことが望ましい。
【0050】負荷の高い条件では微粉供給器46と粉砕
機58を運転させ、低負荷時には微粉供給器46のみを
運転させることにより、微粉炭バーナ43の低負荷時の
燃焼性能は更に高まり、油等の助燃用の燃料量は減少す
る。また、微粉炭バーナ43は助燃用の油の霧化器(ア
トマイザ)を有していたが、低負荷時の燃焼特性が良好
なバーナを使用することにより、一部のバーナは助燃用
の霧化器を必要としなくなる。
【0051】2は、本発明の微粉炭ボイラに用いる微
粉炭バーナの実施例の一つである。バーナは、微粉炭と
これを搬送するための一次空気を噴出する一次空気流路
30、その外周に配置され二次空気を噴出するための円
環状の二次空気流路31、及び二次空気流路31の外周
上に設置される円環状の三次空気流路33によって構成
される。
【0052】一次空気流路30中には、火炉42の予熱
時あるいは助燃時に使用する液体燃料ノズル5が配置さ
れ、予熱時に重油などの液体燃料が噴出される。液体燃
料ノズル5と一次空気流路30の間には、一次空気流路
30の内周壁の径を変える円環状の粒子流路調整器34
が配置されている。粒子流路調整器34は、円管10と
火炉側に向かうに連れて外径が大きくなるコーン9と、
コーン9の最大径に等しい円筒状の円管6と、火炉側に
向かうに連れて外径が小さくなるコーン7と、コーン7
の最小径に等しい円筒状の整流管8から構成される。
【0053】一次空気流路30は、円管の一次空気供給
管1と上述の粒子流路調整器34で構成される円環状の
流路であり、上流側で、図に記載していない微粉炭の供
給システムから微粉炭を気流搬送する微粉炭供給管26
に接続される。微粉炭供給管26と一次空気供給管1
は、平板状のコーナ板25を用いて約90度の角度で接
続される。コーナ板25は、上述の液体燃料ノズル5及
び粒子流路調整器34を一次空気供給管1の中心部に保
持するための機能を有する。更に、一次空気供給管1の
流路内部の上述の約90度の接続部近傍には、一次空気
流路30内の微粉炭粒子の分散特性を均質にするために
ベンチユリ11を有する。
【0054】二次空気流路31は、一次空気供給管1を
内周壁とし、一次空気供給管1の外周に同心円状に配置
された二次空気供給管2を外周壁とする円環状流路であ
る。二次空気流路31は、下流側に向けて順に、二次レ
ジスタ18、二次ベーン15、保炎器37を有する。二
次ベーン18は、二次空気流路2の上流側端面に接続さ
れた円環状平板の形状の二次ベーン側板17と、二次ベ
ーン側板17に並行で一端を一次空気流路1に接続され
た円環状平板の二次ベーン側板16との間に配置され
る。二次ベーン18と二次ベーン側板16,17とによ
り二次レジスタが構成される。二次ベーン15は、一体
的に形成された支持棒で二次ベーン側板16と17に支
持された複数の平板から構成され、図に記載していない
制御装置によって前記平板の角度を変化させて圧力損失
を調節し、所定の空気量を二次空気流路31へ流入させ
る機能を有する。
【0055】二次ベーン15は、両端を一次空気供給管
1と二次空気供給管2に支持された複数個の支持棒に一
体的に形成された旋回羽によって形成され、図に記載し
ていない制御装置によって旋回羽の空気流れに対する角
度を変化させ、二次空気流の旋回強度を調節する機能を
有する。
【0056】二次空気供給管2の火炉側の端面に取り付
けられた保炎器37は、保炎器37の火炉側の空間にバ
ーナ側に向う速度の流れを形成させる機能を有する。保
炎器37の形状は上記機能を満足すれば良いが、特に二
次空気流路31の上流側で流路内周壁の径を拡大する部
分と、火炉側に向かうに連れて外径が拡大する一次スロ
ート13と、一次空気流路1の口縁に一次空気を衝突さ
せる機能を有する板状の衝突板12により構成されるこ
とが望ましい。
【0057】三次空気流路33は、二次空気供給管2の
外周に同心円状に配置された三次空気供給管3を内周壁
とし、三次空気供給管3の外周に同心円状に配置された
外管4を外周壁とする円環状の流路断面を有し、上流側
はウィンドボックス44に連通し、下流側は火炉42に
連通する。三次空気流路33の上流側には、二次レジス
タと類似の構造で、二枚の三次ベーン側板19と20
と、三次ベーン21で構成される三次レジスタを有す
る。三次レジスタは、図に記載していない制御装置によ
って空気流の旋回強度と流量を設定させる機能を有す
る。
【0058】二次空気流路31と三次空気流路33の間
は隔壁32を有し、両者の空気流路がバーナの半径方向
の距離を隔てるように配置される。隔壁32は、三次空
気の混合と二次空気の混合を抑制し、燃料過剰領域の形
成を良好にするのに充分な距離を持つ、火炎の輻射によ
る焼損を考慮した形状である。第一の実施例の隔壁32
は、外径が火炉側に向かうに連れて拡大する特徴を持つ
二次スロート14に相当し、火炉側の端面は三次空気供
給管3に接続され、他端は二次空気供給管2に接続され
る。
【0059】以上の特徴を有するバーナは、火炉内壁2
3とウィンドボックス側板24で構成されるウィンドボ
ックス44に収納され、バーナの火炉側開口部は火炉内
壁23に設けられた三次スロート22に接続される。
【0060】尚、微粉炭は粒子流路調整器34を約30
m/sの速度で通過するため、衝突板12には摩耗によ
る形状の変形が生じ、長期運転上の信頼性が問題とな
る。このため、粒子流路調整器34を構成するコーン9
や整流管8、及び一次空気流路1の内周壁面の石炭粒子
が衝突する部分はセラミック等による侵食防止用の皮膜
を形成している。
【0061】次に実施例の動作について説明する。
【0062】本実施例の粒子流路調整器34は、一次空
気流路30内の微粉炭を断面積の小さな環状流路で加速
させ、火炎が一次空気流路内に入るのを防止する。更
に、粒子流路調整器34の火炉側の急拡大部で、微粉炭
搬送用の一次空気噴流とこれに同伴される微小粒子は半
径方向に広がり、噴出速度が低下する。これに対して比
較的粒径の大きな微粉炭粒子は慣性力により、空気の流
れに追従せずに、空気の流れほどには広がらない。従っ
て、粒子流路調整器34は、微粉炭粒子濃度の高い領域
を一次空気流路30の外周壁に形成し、粒子濃度の低い
領域は一次空気流路30の内周壁に形成される。
【0063】粒子流路調整器34の最火炉側に位置する
整流管8は、コーン7によりバーナ半径方向の空気の速
度を減衰させ、バーナ中心軸方向の速度を主として示す
ようにし、液体燃料ノズル5で霧化された液体燃料と一
次空気の干渉を低減させ、火炉予熱時の液体燃料火炎の
失火を防止する。
【0064】保炎器37を構成する衝突板12は、上記
粒子流路調整器34で形成された微粉炭粒子濃度の高い
噴流を衝突させる。衝突した微粉炭粒子は、流速が低下
すると同時に、混合流の噴出方向と直角方向の流速を持
ち、保炎器37の火炉側に形成される着火領域に入りや
すくなる。
【0065】一次スロート13は、保炎器37の火炉側
に形成されるバーナ側に向かうガス流れを安定に形成す
るように動作する。
【0066】二次空気流路31から供給される二次空気
は、二次ベーン15により旋回流で噴出され、一次空気
流路30の口縁に濃縮された微粉炭噴流の半径方向の分
散、並びに、火炎中心部の燃料過剰の燃焼領域の空気と
微粉炭の割合を調節する。従って、二次空気流量は、バ
ーナに投入される微粉炭流量、微粉炭の固定炭素と揮発
分の割合(一般に燃料比と称し、燃料比が高いほど固定
炭素の割合は増加する。)、微粉炭粒子の粒径分布に対
応して調節される。即ち、二次空気の流量は、微粉炭流
量の減少、燃料比の増加、大粒径の粒子割合の増加とと
もに、旋回流の強さを保持したまま減少する。
【0067】三次空気流路33から供給される三次空気
は、符号19、20、21によって構成された三次レジ
スタから旋回流で火炉内へ噴出する。三次空気の旋回流
は、バーナ近傍の中心部の圧力を火炉内よりも低くする
ので、火炎で生成された温度の高い燃焼ガスをバーナ近
傍に引き寄せ、微粉炭の着火性を向上させる。更に、三
次空気の旋回流は、バーナ近傍の三次空気と微粉炭噴流
の混合を抑制し、上述の燃料過剰の燃焼領域を安定に形
成する。隔壁32は、三次空気と微粉炭噴流の距離を離
すので、バーナ近傍における三次空気の半径方向の混合
を抑制し、燃料過剰の燃焼領域をより容易に形成させ
る。
【0068】次に実施例の効果について説明する。
【0069】粒子流路調整器34は、一次空気流路内3
0の微粉炭を断面積の小さな環状流路で加速させるの
で、火炎が一次空気流路内に入るのを防止する効果を有
する。更に、粒子流路調整器34で一次空気流路30の
外周壁近傍に形成された微粉炭粒子濃度の高い噴流は、
保炎器近傍の単位体積流量当たりの発熱量を高くするた
め、着火性を向上させ、燃料過剰領域外周部の火炎温度
を高くする効果を有する。
【0070】一次空気流路30の内周壁近傍に形成され
た粒子濃度の低い噴流中の粒子は、外周部の高温の火炎
で加熱され燃料過剰領域での熱分解を促進する。酸素濃
度の低い高温の雰囲気におけるシアン化水素やアンモニ
ア等の放出は増加し、燃焼初期に生成されたNOxの還
元反応が促進され、火炉出口の排出NOx濃度は低減す
る。
【0071】また、一般に、火炎中心部を通過する微粉
炭は三次空気との混合が遅くなるため、微粉炭の酸化が
遅くなり、火炉出口の未燃燃料の排出量は増加し易くな
る。本実施例では、一次空気流路30の内周壁近傍は上
述のように、単位体積当たりの微粉炭流量が低減される
とともに、急拡大部の空気流れに追従可能な微粒子のみ
が供給されるので、火炎中心部の粒子の反応性は向上
し、火炉出口の未燃燃料を増加することがない。
【0072】整流管8は、コーン7によりバーナ半径方
向の空気の速度を減衰させ、バーナ中心軸方向の速度を
主として示すようにし、液体燃料ノズル5で霧化された
液体燃料と一次空気の干渉を低減させるので、火炉予熱
時の液体燃料火炎の失火を防止する効果を有する。
【0073】保炎器37を構成する衝突板12は、粒子
流路調整器34で形成された微粉炭粒子濃度の高い噴流
を衝突させ、衝突した微粉炭粒子の流速を低下させると
同時に、混合流の噴出方向と直角方向の流速を発生さ
せ、微粉炭粒子を保炎器37の火炉側に形成される循環
流に供給するので、保炎器37近傍の着火性を向上させ
る効果を有する。
【0074】一次スロート13は、保炎器37の火炉側
に形成される循環流を安定に形成するので、保炎器37
近傍の着火性は更に向上する。
【0075】二次空気流路31から供給される二次空気
は、一次空気流路30の口縁に濃縮された微粉炭噴流の
半径方向の分散、並びに、火炎中心部の燃料過剰の燃焼
領域の空気と微粉炭の割合を調節するので、微粉炭粒子
の酸素や水蒸気による酸化反応と、NOxの還元反応の
最適な条件を設定する効果を有する。
【0076】三次空気の旋回流は、バーナ近傍の中心部
の圧力を火炉内よりも低くし、火炎で生成された温度の
高い燃焼ガスをバーナ近傍に引き寄せるので、微粉炭の
着火性を向上させる効果を有する。更に、三次空気の旋
回流は、バーナ近傍の三次空気と微粉炭噴流の混合を抑
制するので、火炎内部に燃料過剰の燃焼領域を安定に形
成させる効果を有する。
【0077】隔壁32は、上記効果を有する三次空気の
噴出に要するウィンドボックス44の内部と火炉42の
静止圧力の差を約1/2に低減し、燃焼用空気の供給設
備の動力を低減させる効果を有する。
【0078】図3は、本実施例のバーナで燃焼した際の
火炉中心軸上のNOx濃度と微粉炭の燃焼率を示し、図
4は酸素,二酸化炭素,一酸化炭素,水素の濃度を示
す。実施例のバーナは、微粉炭を毎時500kg燃焼
し、燃料を燃焼するのに必要な理論空気量の約0.8倍
の空気をバーナへ投入し、バーナから火炉内滞留時間約
0.4秒の位置から火炉出口における酸素濃度が約2%と
なるのに要する空気(以下、アフタエアと称する。)を
投入する条件で燃焼した。
【0079】バーナの操作条件は、微粉炭と空気の単位
時間当りの重量流量比が約0.5、一次空気と二次空気
と三次空気の比率は約2:1:4である。一次空気は、
予熱温度が約80度で噴出速度は約20m/sである。
二次及び三次空気の予熱温度は約300度で、二次空気
の噴出速度は約26m/s、三次空気の噴出速度は約5
0m/sである。
【0080】試験に使用した微粉炭は、粒径74μm以
下の重量割合が80から84%を占め、燃料比が約2.
1 、燃料に含まれる窒素成分の重量割合が約1%、灰
分の重量割合が約8%の性状を示す。
【0081】バーナから1mの位置で、約1%の酸素濃
度と約55%の燃焼率を示し、バーナ近傍の微粉炭の着
火性は良好であり、また、約8%の一酸化炭素と約3%
の水素濃度から燃料過剰の燃焼領域が迅速に形成されて
いることが分かる。これに対応して、燃焼初期にはおよ
そ1000ppm近く生成されるNOx濃度も約200ppm
まで低減されており、NOxの還元反応は1mの位置
ですでに進行していることが分かる。即ち、本実施例で
用いた粒子流路調整器34と衝突板12は、着火促進と
燃料過剰領域の形成に好適な微粉炭の分散特性を実現し
ていることがわかる。
【0082】酸素濃度はバーナから2mの位置で若干上
昇するが、これは三次空気と燃料過剰領域の混合が開始
された結果と考えられ、4mのアフターエアの投入位置
までの空間は微粉炭の燃焼反応と共に放出される窒素分
を窒素に転換させる領域に相当する。
【0083】粒子流路調節器34と衝突板12による微
粉炭の着火促進の結果、燃料過剰域のガス温度が上昇
し、微粉炭と水蒸気の反応が促進される。このため、バ
ーナの空気投入量は理論空気量の0.8 倍にもかかわら
ず、微粉炭の燃焼率は約4mで約90%に達し、微粉炭
の可燃物と共に放出される窒素分はアフターエア投入ま
でに窒素に転換される。アフターエア投入時に燃焼率は
約90%に達するため、燃料粒子中に残存する窒素分は
少なく、アフターエア後流で発生するNOxは観察され
ない。
【0084】本実施例のバーナのNOx濃度は、バーナ
から約1.4 秒の位置において、約110から120pp
m(但し、6%の酸素濃度の換算値)の濃度を示し、灰
中未燃分は単位重量当り約2%であった。
【0085】〔実施例〕 図5及び図6は、本発明の微粉炭バーナの実施例の一つ
である。図5は微粉炭バーナを斜視図で示し、図6はバ
ーナの中心軸を含む断面で示した図である。
【0086】バーナは、微粉炭とこれを搬送するための
一次空気を噴出する一次空気流路30、その外周に設置
され二次空気を噴出するための円環状の二次空気流路3
1、及び二次空気流路31の外周上に設置される円環状
の三次空気流路33によって構成される。
【0087】一次空気流路30中は、火炉の予熱時に使
用する液体燃料ノズル5を有する。前記液体燃料ノズル
は予熱時に重油などの液体燃料の噴霧を噴出する。液体
燃料ノズル5と一次空気流路30の間には、粒子流路調
整器34が配置されている。粒子流路調整器34の構成
は図2のときと同様であり円管6,コーン7,整流管8
を有する。円管10と液体燃料ノズル5で構成される環
状の流路は、上流側で図示していない冷却空気の供給シ
ステムに接続されている。粒子流路調整器34の内部に
は、円管6の相当する位置に取り付けられ、かつ、円管
10とほぼ等しい外周径を有する円管110を有する。
円管110の上流側は円管10並びにコーン9と接続さ
れないし、下流側もコーン7並びに整流管8と接続され
ない。即ち、円管110を内周壁とし円管6を外周壁と
する環状流路は、流入孔111を介して冷却空気の供給
システムに連通し、流出孔112を介して冷却空気噴出
孔113に連通する。流入孔111は円管10の火炉側
端面と円管110の上流側端面の間に形成された開口部
である。また、流出孔112は円管110の火炉側端面
と整流管8の上流側端面に形成された開口部である。冷
却空気噴出孔113は環状の流路であり、外周壁が整流
管8であり、内周壁は液体燃料ノズル5である。
【0088】一次空気流路30は、一次空気供給管1と
上述の粒子流路調整器34で構成される円環状の流路で
あり、上流側で、図に記載していない微粉炭の供給シス
テムから微粉炭を気流搬送する微粉炭供給管26に接続
される。微粉炭供給管26と一次空気供給管1は、平板
状のコーナ板25を用いて約90度の角度で接続され
る。コーナ板25は、上述の液体燃料ノズル5及び粒子
流路調整器34を一次空気供給管の中心部に保持するた
めの機能を有する。更に、一次空気供給管1は上述の約
90度の接続部近傍にベンチュリ11を流路内部に有す
る。
【0089】二次空気流路31は、一次空気供給管1を
内周壁とし一次空気供給管1の外周に同心円状に配置さ
れた二次空気供給管2を外周壁とする円環状流路であ
り、上流側は流路103と流路104を介してウィンド
ボックスに連通し、下流側は火炉に連通する。
【0090】流路103は二次空気供給管を内周壁と
し、案内板101を外周壁とする円環状の流路であり、
上流側は流路104に接続し、下流側は二次空気供給管
2の壁面を一部開口した流入孔105を介して二次空気
流路31に連通する。
【0091】流路104は案内板102を内周壁とし、
三次空気供給管3を外周壁とする円環状の流路であり、
上流側はウィンドボックスに連通し、下流側は案内板1
01の火炉側の端面に接続された案内板102の火炉側
端面に位置した流入孔115介して流路103に連通
する。
【0092】二次空気流路31は、下流側に向けて順
に、流入孔115,ダンパ106,二次ベーン15,保
炎器37を有する。流入孔115は、二次空気供給管2
に接続した二次スロート14と、三次スロート3と、二
次スロート14と三次スロート3の火炉側端面に接続し
た隔壁114,案内板102の端面から構成され、二次
空気を隔壁114まで導き二次スロート14と隔壁11
4を冷却する機能を有する。更に、隔壁114は次空
気の一部を火炉へ噴出することを特徴とするパージ空気
供給孔107を複数個有し、隔壁114並びに二次スロ
ート14へ微粉炭の燃焼灰が付着しにくくする機能を有
する。
【0093】ダンパ106は、二次空気供給管2の外周
径よりもわずかに大きな内周径を有する円筒状の形状を
有し、ダンパ調節器108の制御装置によって前記円筒
を前後させて案内孔105の開口面積を変えて圧力損失
を調節し、所定の空気量を二次空気流路31へ流入させ
る機能を有する。
【0094】二次ベーン15は、両端を一次空気供給管
1と二次空気供給管2に支持された複数個の支持棒に一
体的に形成された旋回羽によって形成され、図に記載し
ていない制御装置によって旋回羽の空気流れに対する角
度を変化させ、二次空気流の旋回強度を調節する機能を
有する。
【0095】二次空気供給管2の火炉側の端面に取り付
けられた保炎器37は、保炎器37の火炉側の空間にバ
ーナ側に向う速度の流れを形成させる機能を有する。保
炎器37の形状は上記機能を満足すれば良い。衝突板1
2は図5に示すように、矩形状の板を一次空気供給管1
の口縁に複数枚取り付ける形状が、保炎器37の性能を
高める機能を有する。
【0096】三次空気流路33は、二次空気供給管2の
外周に同心円状に配置された三次空気供給管3を内周壁
とし、三次空気供給管3の外周に同心円状に配置された
外管4を外周壁とする円環状の流路断面を有し、上流側
は三次空気を供給する空気供給設備に接続されたウィン
ドボックスに連通し、下流側は火炉に連通する。三次空
気流路33の上流側には三次レジスタ39を有する。三
次レジスタの構成は実施例2で述べたのと同じである。
三次レジスタ調節器109の制御装置によって三次ベー
ン21の位置を一体的に変化させることによって、空気
流の旋回強度を設定させる機能を有する。
【0097】二次空気流路31と三次空気流路33の間
は仕切り板(隔壁)32を有し、両者の空気流路がバー
ナの半径方向の距離を隔てるように配置される。隔壁3
2は、三次空気と二次空気の混合を抑制し、燃料過剰領
域の形成を良好にするのに充分な距離を持つ、火炎の輻
射による焼損と微粉炭燃焼灰の付着防止を考慮した形状
である。この性能を示す形状の一例は、図7の部分的な
断面図に示す形状である。即ち、隔壁32は火炉側の先
端部にまで空気を供給する機能の流路103と、供給さ
れた空気を空気ノズルに排出する機能の流路104を有
する。前記二つの流路で供給される空気は、熱交換によ
って隔壁32の温度を焼損限界以下の温度に下げる機能
を有する。また、前記流路の境界に設けられたパージ空
気供給孔107は、隔壁32の火炉側の側面を形成する
先端面114に複数個開孔している。パージ空気供給孔
107は、流路103で供給された空気を火炉側へ供給
し、微粉炭燃焼灰が隔壁32へ付着することを低減する
機能を有する。図7の隔壁32は外径が火炉側に向かう
に連れて拡大する二次スロート14を有し、火炉側の先
端面114は三次空気供給管3に接続される。
【0098】本実施例では、冷却空気は、粒子流路調整
器34の内部を通り、コーン7の内周面に沿うように流
れた後、冷却空気供給孔113から火炉へ噴出する。こ
の時、冷却空気はコーン7と整流管8の内周面で熱交換
を行うので、液体燃料や微粉炭火炎の輻射熱による焼損
を未然に防ぐ。
【0099】本実施例の粒子流路調整器34は、一次空
気流路30内の微粉炭を断面積の小さな環状流路で加速
させ、火炎が一次空気流路内に入るのを防止する。更
に、粒子流路調整器34の火炉側の急拡大部で、微粉炭
搬送用の一次空気噴流とこれに同伴される微小粒子は半
径方向に広がり、噴出速度が低下する。これに対して比
較的粒径の大きな微粉炭粒子は慣性力により、空気の流
れに追従せずに、空気の流れほどには広がらない。従っ
て、粒子流路調整器34は、微粉炭粒子濃度の高い領域
を一次空気流路30の外周壁に形成し、粒子濃度の低い
領域は一次空気流路30の内周壁に形成される。粒子流
路調整器34の最も火炉側に位置する整流管8は、コー
ン7によりバーナ半径方向の空気の速度を減衰させ、バ
ーナ中心軸方向の速度を主として示すようにし、液体燃
料ノズル5で霧化された液体燃料と一次空気の干渉を低
減させ、火炉予熱時の液体燃料火炎の失火を防止する。
【0100】保炎器37を構成する衝突板12は、上記
粒子流路調整器34で形成された微粉炭粒子濃度の高い
噴流を衝突させる。衝突した微粉炭粒子は、流速が低下
すると同時に、混合流の噴出方向と直角方向の流速を持
ち、保炎器37の火炉側に形成される着火領域に入りや
すくなる。
【0101】一次スロート13は、保炎器37の火炉側
に形成されるバーナ側に向かうガス流れを保炎器37の
近傍にまで安定に形成するように動作する。
【0102】二次空気流路31から供給される二次空気
は、二次ベーン15により旋回流で噴出され、一次空気
流路30の口縁に濃縮された微粉炭噴流の半径方向の分
散、並びに、火炎中心部の燃料過剰の燃焼領域の空気と
微粉炭の割合を調節する。従って、二次空気流量は、バ
ーナに投入される微粉炭流量、微粉炭の固定炭素と揮発
分の割合(一般に燃料比と称し、燃料比が高いほど固定
炭素の割合は増加する。)、微粉炭粒子の粒径分布に対
応して調節される。即ち、二次空気の流量は、微粉炭流
量の減少、燃料比の増加、大粒径の粒子割合の増加とと
もに、旋回流の強さを保持したまま減少する。また二次
空気は隔壁32の内部を流入し、熱交換によって隔壁3
2を焼損しない温度にする。
【0103】ダンパ106は、流入孔105の圧力損失
を変化させて、二次空気流量を調節する。パージ空気供
給孔107の圧力は前記ダンパの上流側にあるため、前
記供給孔の圧力は二次空気量と独立であり、パージ空気
流量は二次空気流量に依存せずに一定量流すように動作
する。
【0104】三次空気流路33から供給される三次空気
は、三次レジスタ39から旋回流で火炉内へ噴出する。
三次空気の旋回流は、バーナ近傍の中心部の圧力を火炉
内よりも低くするので、火炎で生成された温度の高い燃
焼ガスをバーナ近傍に引き寄せ、微粉炭の着火性を向上
させる。更に、三次空気の旋回流は、バーナ近傍の三次
空気と微粉炭噴流の混合を抑制し、上述の燃料過剰の燃
焼領域を安定に形成する。隔壁32は、三次空気と微粉
炭噴流の距離を離すので、バーナ近傍における三次空気
の半径方向の混合を抑制し、燃料過剰の燃焼領域をより
容易に形成させる。
【0105】図8に粒子流路調整器34と隔壁32の効
果の説明図を示す。粒子流路調整器34は、一次空気流
路内30の微粉炭を断面積の小さな環状流路で加速させ
るので、火炎が一次空気流路内に入るのを防止する効果
を有する。更に、粒子流路調整器34は、コーン7と整
流管8の形成する一次空気流路30の断面積の拡大領域
で、一次空気供給管1の口縁に形成される外周部の微粉
炭流131と、前記供給管の内周壁近傍に形成される中
心部の微粉炭噴流130を形成する。コーン7の円管6
に近い領域は、空気の半径方向の散逸を微粉炭粒子より
も速くさせるので、一次空気流路30の外周壁近傍の微
粉炭粒子濃度は、前記流路の内周壁近傍の粒子濃度より
も高くなる。また、コーン7により形成される拡大部
は、一次空気流路30の外周壁近傍の火炉側に向かう速
度を前記流路の内周壁近傍の速度よりも速くするように
作用する。外周部の微粉炭流131の微粉炭量は微粉炭
流130よりも多くなるため、保炎器近傍に形成される
火炎136へ微粉炭量を多く供給するので、保炎器37
近傍の着火性を向上させ、燃料過剰領域外周部の火炎温
度を高くする効果を有する。
【0106】微粉炭流130は、粒子濃度の低い噴流で
あり、外周部の高温の火炎で加熱され燃料過剰領域での
熱分解を促進する。火炎136の内部で、かつ、微粉炭
流130の酸素濃度の低い高温の雰囲気は、微粉炭粒子
からシアン化水素やアンモニア等をより多く放出し、燃
焼初期に生成されたNOxの還元反応が促進され、火炉
出口の排出NOx濃度は低減する。 保炎器37は一次
スロート13の下流側に循環流135を形成する。循環
流135は、一次スロート13と衝突板12の作用で、
二次空気流132と外周部の微粉炭流131の境界に安
定して存在できる。一方、隔壁32と三次空気旋回流1
34とは、大きな循環流133を形成し、バーナ近傍へ
高温ガスを供給する。循環流135は、前記高温ガスを
保炎器37の近傍にまで引き寄せるため、微粉炭火炎を
安定して形成させる効果を有する。
【0107】また、一般に、火炎中心部を通過する微粉
炭は三次空気との混合が遅くなるため、微粉炭の酸化が
遅くなり、火炉出口の未燃燃料の排出量は増加し易くな
る。本実施例では、一次空気流路30の内周壁近傍は上
述のように、微粉炭の質量流量が低減され、急拡大部の
空気流れに追従可能な微粒子のみが供給される。このた
め、火炎中心部の粒子の反応性は向上し、火炉出口の未
燃燃料を増加することはない。
【0108】整流管8は、コーン7により空気の有する
バーナ半径方向の速度を減衰させ、バーナ中心軸方向の
速度を主として示すようにし、液体燃料ノズル5で霧化
された液体燃料と一次空気の干渉を低減させるので、火
炉予熱時の液体燃料による火炎の失火を防止する効果を
有する。
【0109】冷却空気はコーン7と整流管8の内周面で
熱交換を行うので、液体燃料や微粉炭火炎の輻射熱によ
る焼損を未然に防ぐ効果を有する。
【0110】保炎器37を構成する衝突板12は、粒子
流路調整器34で形成された微粉炭粒子濃度の高い噴流
を衝突させ、衝突した微粉炭粒子の流速を低下させると
同時に、混合流の噴出方向と直角方向の流れを発生さ
せ、微粉炭粒子を保炎器37の火炉側に形成される循環
流135に供給するので、保炎器37近傍の着火性を向
上させる効果を有する。
【0111】一次スロート13は、保炎器37の火炉側
に形成される循環流を安定に形成するので、保炎器37
近傍の着火性は更に向上する。
【0112】二次空気流路31から供給される二次空気
は、一次空気流路30の口縁に濃縮された微粉炭噴流の
半径方向の分散、並びに、火炎中心部の燃料過剰の燃焼
領域の空気と微粉炭の割合を調節するので、微粉炭粒子
の酸素や水蒸気による酸化反応と、NOxの還元反応の
最適な条件を設定する効果を有する。
【0113】更に、上記の二次空気は隔壁32の内部に
流入した後に二次空気流路31へ到達する。このため、
隔壁32の温度は、循環流133と火炎136による昇
温の影響を小さくし、焼損限界以上の温度にすることは
ない。
【0114】隔壁先端面114や二次スロート14の表
面温度はバーナ誤操作ないし液体燃料の燃焼時に上昇
し、微粉炭燃焼灰が溶融し金属との間に固溶相を形成し
バーナ寿命を短くすることがある。また、バーナへ付着
した微粉炭燃焼灰は空気の流れを変え、燃焼状態を変化
させる。しかし、パージ空気孔107から噴出されるパ
ージ空気は微粉炭燃焼灰の隔壁先端面114又は二次ス
ロート14への付着を抑制するので、バーナ寿命の低下
や燃焼状態の変化などはなくなる。
【0115】ダンパ106はパージ空気孔107の下流
側に位置するので、前記供給孔の圧力を二次空気供給量
によらず一定に保つことができる。これにより、パージ
空気供給孔107は一定量のパージ空気を常に供給する
ことが可能になり、上記の微粉炭燃焼灰の付着はバーナ
操作条件によらず確実に防止される。
【0116】三次空気の旋回流はバーナ近傍の圧力を火
炉内の圧力よりも低くする。前記の圧力差はバーナへ向
かう流れを形成し、燃焼ガスをバーナ近傍に引き寄せる
ので、微粉炭の着火性を向上させる効果を有する。更
に、三次空気の旋回流は、バーナ近傍の三次空気と微粉
炭噴流の混合を抑制するので、火炎内部に燃料過剰の燃
焼領域を安定に形成させる効果を有する。隔壁32は、
上記効果を有する三次空気の噴出に要するウィンドボッ
クスの内部と火炉の静止圧力の差を約1/2に低減し、
燃焼用空気の供給設備の動力を低減させる効果を有す
る。
【0117】図9は、保炎器37に近い一次空気流路3
0の拡大部における火炉側の空気速度の測定結果を示
す。横軸は一次空気の流れ方向の距離であり、0mmの
位置は円管6とコーン7の接続部になる。縦軸は一次空
気流路30のある距離における最大流速値と横軸の距離
0mmでの流速との比(以下、流速比と称する。)であ
る。コーン7とバーナ中心軸のなす角度、即ち図10に
示した流路角θが7゜,10゜,20゜,45゜,60
゜,90゜で測定した。流路角θが90゜の場合、流速
比は流れ方向の距離によらず1の値を示す。これは、一
次空気がコーン7の外表面で剥離して流れていることを
示している。前記剥離は微粉炭流130への微粉炭の散
逸を抑制するため、火炎中心部の還元性雰囲気にはNO
xの還元性ガスの発生に十分な微粉炭を供給されず、N
Ox還元反応は効果的に進行しなくなる。
【0118】流路角θが7゜の流速比は単調に減少す
る。この場合、噴出速度並びに微粉炭濃度は一次空気流
路の外周部の微粉炭流131と内周部の微粉炭流130
でほぼ等しくなる。これは、保炎器近傍に微粉炭粒子を
多く供給することによって達成できる火炎安定性の向上
や、還元性雰囲気への微細な微粉炭粒子の供給等の粒子
分散の機能を十分に達成させることが困難になる。
【0119】従って、粒子流路調整器34の粒子分散機
能を効果的に実現させるは、流速比がある距離まで減少
した後に一定とならなければならない。この特徴を有す
る流路角は、10゜から60゜である。一次空気流路3
0の噴出速度は約19m/sで設計されるため、微粉炭
供給量が増加すると一次空気流路1の内周径も増加し、
コーン7の長さも長くなる。バーナ容量で変化する一次
空気流路1の径と流路角の関係を検討した結果、流路角
は10゜から45゜の範囲にあることが特に好ましいこ
とがわかった。60゜から90゜よりも小さな流路角で
も、上述のような流速比の特性を得ることはできるが、
微粉炭の噴出速度は数%しか減少しないため、微粉炭供
給量の少ない条件では微粉炭噴出速度が大きくなり、安
定な火炎を形成できない。また、流路角が7゜より大き
く10゜よりも小さく条件では、コーン7の火炉方向の
長さが長くなり、一次空気供給管1と液体燃料ノズル5
も長くなる。長い一次空気供給管1はウィンドボックス
側板24から突出し、微粉炭供給管26の配管に大きな
空間を要求する。これはボイラの建屋の幅が大きくなる
ために好ましくない。また、長い液体燃料ノズルは重い
ので、操作性は低下する。
【0120】整流管8は、上記剥離を閉ざすに十分な長
さを有するように定められるので、微粉炭火炎が一次空
気流路へ戻ることはない。
【0121】以上の流路角の他に、粒子流路調整器(粒
子分散調節器)34の最大外径φAと一次空気流路1の
内周径φBの関係、即ち、φB/φAは粒子分散調節器
34の特性に密接に関係する。種々の燃焼実験の結果、
φB/φAが0.3から0.8の範囲で良好であった。φ
B/φAが0.3以下では、保炎器37近傍へ供給する
微粉炭の流量が低下し、火炎の安定性並びに前記火炎の
高温化による還元雰囲気の迅速な形成は困難であり、従
来の燃焼法との差は小さくなる。また、φB/φAが
0.8以上では、一次空気流路外周部の微粉炭流131
の噴出速度が高くなり、中心部の微粉炭流130の噴出
速度は低くなる。このため、火炎136へ供給される燃
料流量が多くなり、還元雰囲気へ十分な燃料を供給でき
なくなる。このため、NOxの還元反応を十分に進行さ
せることができなくなり、火炉出口のNOx濃度は従来
の燃焼法よりも高くなる。また、微粉炭バーナへ供給す
る燃料量が少なくなった条件では、微粉炭の噴出速度を
低減させることが困難になり、低負荷時の火炎の安定性
は非常に悪くなる。
【0122】図10に示すような突板12を微粉炭供
給管1の内周面に複数枚取り付けると、一次空気流路3
0の周方向の擾乱を生成させることができる。この擾乱
は、微粉炭粒子を衝突板12の火炉側の循環流135へ
流入させるため、循環流135に供給される微粉炭粒子は
増加し、保炎性能は向上する。衝突板12の半径方向の
長さHと、衝突板12の周方向の長さW、並びに一次空
気供給管1の内周径Dの関係と、衝突板12の枚数を種
々検討した。この結果、H/Dが0.01 から0.1
5,W/Hが0.2から5、衝突板12は4から12枚
が好適であった。
【0123】図11は、本実施例のバーナで燃焼した際
の、火炉内でのNOx濃度(但し、燃焼炉出口酸素濃度
6%の換算)と灰中未燃分の関係を示す。本実施例のバ
ーナは、微粉炭を毎時2.6t燃焼し、燃焼に必要な理
論空気量の約0.9倍の空気をバーナへ投入し、バーナ
から火炉内滞留時間約0.4秒の位置から火炉出口にお
ける酸素濃度が約3.5%となるに要する空気(以下、
アフタエアと称する。)を投入する条件で燃焼した。火
炉出口までの燃焼ガスの滞留時間は約2.5 秒である。
【0124】微粉炭と空気の単位時間当りの重量流量比
は約0.35である。また、NOxと灰中未燃分を最も
低減できる一次と二次と三次の空気流量の比率は、約1
2:4:19である。
【0125】一次空気は、予熱温度約70度であり、
(一次空気供給量)/(一次空気流路30の断面積)で
示される一次空気の噴出速度は約19m/sである。二
次及び三次空気の予熱温度は約260から300度であ
り、二次空気の噴出速度は10〜30m/s、三次空気
の噴出速度は40〜50m/sである。
【0126】供試微粉炭は、74μm以下の重量割合が
80から84%の粒子径分布で、燃料比が約2.3、燃
料に含まれる窒素成分の重量割合が約1.8%、灰分の
重量割合が約15%(weight%)の性状を示す。
【0127】本実施例のバーナの燃焼特性141は従来
のバーナの燃焼特性140に比べてNOxと微粉炭燃焼
灰に含まれる未燃分の割合を低くすることができる。例
えば、灰中未燃分4%の条件でNOx濃度を比較する
と、従来バーナでは150ppmであるのに対し、本実施
例のバーナでは100ppm の性能を示す。
【0128】また、上記のバーナを用いて微粉炭供給量
を低減する実験を行った結果、微粉炭供給量を約25%
まで少なくした場合でも安定な火炎を形成することがで
きた。粒子分散調節器34がない場合、安定燃焼させる
最低の微粉炭供給量は約40%である。従って、粒子分
散調節器は、NOxと灰中未燃分の低減と、安定燃焼下
限の微粉炭供給量を低減できる。
【0129】パージ空気孔107から噴出するパージ空
気は、隔壁32の最大温度を600゜以下にすることがで
きた。この温度は、前記パージ空気がない場合に比べて
約300℃から400℃低い。また、隔壁32は上記パ
ージ空気の効果により微粉炭燃焼灰が付着することもな
かった。
【0130】コーン7と整流管8の温度は、冷却空気に
よって600゜C以下にすることができ、焼損すること
もなかった。
【0131】〔実施例〕 本発明の第実施例を図12に示す。図12は実施例
のバーナと構造の異なる部分とその周辺のみを示し、共
通の部分を省略した。実施例のバーナの特徴は、二次
ベーンと隔壁を兼用させた構造である。
【0132】二次空気流路31は、一次空気流路30の
外周管である一次空気供給管1と、三次空気流路33の
内周管である二次空気供給管2で形成される円環状の流
路である。二次空気流路31の上流側は、二次レジスタ
38を介してウィンドボックスに連通し、下流側は二次
空気旋回器40を介して火炉に連通する。二次空気旋回
器40は、一端を保炎器37に接続され、他端を保炎端
37よりも火炉側に位置した二次空気供給管2の端面に
接続された複数個の矩形状の板で構成される。この矩形
状の板、即ち、旋回羽は、隣接する旋回羽と微粉炭の噴
出方向に重なるように取り付けられ、二次空気がこの重
複部の隙間から、微粉炭の噴出方向に速度を持たず、旋
回方向の速度のみを示すように配置されている。
【0133】次に実施例の動作及び効果について説明す
る。
【0134】二次空気旋回器40を構成する旋回羽の隙
間の流路は、二次空気を微粉炭の噴出方向の速度を持た
ず、旋回方向の速度で噴出させる。このため、二次空気
旋回器40は、実施例2の隔壁と同等の機能を示し、微
粉炭火炎の高温の燃焼ガスをバーナ近傍へ引き寄せ、微
粉炭の着火性を促進する。
【0135】二次空気は、二次空気旋回器40の旋回羽
の表面を旋回流で噴出するので、二次空気の旋回羽を冷
却するように動作する。このため、バーナ近傍に形成さ
れた高温の火炎に起因する焼損が防止され、長期間の運
用に対する信頼性は向上する。
【0136】〔実施例〕 図13は、本発明の微粉炭ボイラに用いる微粉炭バーナ
であり、実施例から実施例とは構造が異なる。実施
のバーナの特徴は、粒子分散調節器34微粉炭噴
出方向へ移動可能なことである。
【0137】第4の実施例の粒子分散調節器34は、上
流側から順に一体的に形成された円管10とコーン9と
円管6とコーン7から構成される。液体燃料ノズル5の
上記粒子分散調節器34の火炉側端面か火炉方向に突出
した部分が、第2の実施例で示した整流器8に相当す
る。 粒子分散調節器34の位置は、制御信号を受け
て、微粉炭の噴出方向に変化する。前記制御信号は、例
えば、微粉炭や搬送空気の流量の情報を含む信号、三系
統に分割されてバーナへ供給される燃焼用空気の供給量
を示す信号、火炎の形状等の情報を含む信号、各種の温
度情報の信号等のバーナや火炉の状態を示す信号等であ
る。
【0138】次に実施例の動作及び効果について説明す
る。
【0139】粒子分散調節器34は微粉炭の噴出方向に
移動し、液体燃料ノズル5の火炉側の突出部(即ち、整
流管8に相当する)の長さを変化させ、一次空気流路出
口における微粉炭の分散特性は制御される。即ち、粒子
分散調節器34で一次空気供給管1の内周壁近傍に濃縮
された微粉炭粒子の流路の半径方向の散逸は、上記整流
管の長さの増加と共に増加し、一次空気流路30の火炉
側端面における微粉炭粒子の粒子径や粒子濃度の分布は
平滑化される。逆に、上記整流管の長さを短くすると、
一次空気流路30の口縁における微粉炭濃度を高くする
ことができる。一般に、微粉炭供給量が少ない低負荷運
転時は、微粉炭の粒子濃度は石炭粉砕機の稼働特性のた
め希薄化し、保炎器近傍の着火性は悪化し、安定な火炎
を形成できなくなる。燃焼状態の特徴を示す信号を用い
て粒子分散調節器34を動作させると、バーナの燃焼特
性は良好になる。例えば、微粉炭供給量の信号を用い、
微粉炭供給量の減少と共に粒子分散調節器34を火炉方
向に移動させると、一次空気供給管1の口縁の微粉炭濃
度は微粉炭供給量によらずほぼ一定に保持される。従っ
て、バーナ単体の最低負荷は従来の約1/2まで低減さ
れ、約15から20%とすることができる。
【0140】第の実施例の粒子分散調節器は円管の微
粉炭ノズル内に取り付けたが、この動作及び効果は任意
の形状の微粉炭ノズルに取り付けても同様に得ることが
できる。例えば、角形のノズルを火炉の高さ方向に複数
個重ね、個々のノズルから微粉炭とその搬送空気、また
は燃焼用空気を噴出させる燃焼方法においても、微粉炭
の搬送ノズル内に粒子分散調節器を取り付けると、微粉
炭のノズル出口の粒子濃度並びに粒子径を調節でき、本
実施例の目的を実現できる。
【0141】〔実施例〕 図14は第の実施例,第の実施例,第の実施例ま
たは第の実施例のバーナと構造の異なる部分とその周
辺のみを示し、共通の部分は省略した。実施例の特徴
は、微粉炭噴流と三次空気の混合を抑制するために第1
の実施例で示した隔壁32の代わりに二次空気供給管2
の先端にガイドスリーブ41を設けたことである。
【0142】次に実施例の動作及び効果について説明す
る。
【0143】本実施例のガイドスリーブ41は、三次空
気流路33を先端(火炉側)で縮小するように構成する
ために、三次空気噴流は三次スロート22に沿って噴出
され、三次空気噴出直後に微粉炭流との混合を抑制し、
第2の実施例で示した隔壁32と同等の作用をさせるこ
とができる。その結果、バーナ近傍で火炎中心部に低空
気比領域を形成することができ、燃焼初期に発生したN
Oxの還元反応を促進できる効果を有する。また、本実
施例についても第1の実施例のごとく粒子分散調節器3
4を負荷量に応じて移動させることにより、低負荷時に
おいても安定な着火、保炎を実現できる効果を有する。
【0144】〔実施例〕 本発明の第の実施例を図15に示す。図15は第
ら第の実施例のバーナと構造の異なる部分とその周辺
のみを示し、共通の部分は省略した。第の実施例の特
徴は、微粉炭ノズルに取り付けた粒子分散調節器の火炉
側の下流側に、微粉炭ノズルから噴出される微粉炭の粒
径分布を計測する機能を取り付けた点にある。第の実
施例は、一次空気供給管1の内周壁近傍の粒子径を測定
する大粒径検出器71と、一次空気供給管1の内心近傍
の粒子径を測定する小粒径検出器72と、大粒径検出器
71の出力信号76(大粒径信号)と小粒径検出器72
の出力信号77(小粒径信号)を基に供給される微粉炭
の粒径分布を推定する粒径分布検出器74と、粒径分布
検出器74の出力信号78(粒径分布信号)を基にして
微粉炭の粒径分布を調節する粉砕機75から構成され
る。大粒径検出器71及び小粒径検出器72としては、
光の散乱や透過などを利用した非接触型の検出器や、粒
子の衝突による抵抗力の大小等を基にして検出する接触
型の検出器が好適である。
【0145】次に実施例の動作及び効果について説明す
る。
【0146】粒子分散調節器34は火炉の下流側で一次
空気流路30の流路面積を拡大するため、空気の流れに
追随する微小粒子と、空気の流れに追随しない大きな粒
子と、微粉炭粒子の慣性を利用して微粉炭の粒径分布を
一次空気流路30の半径方向に変化させることができ
る。一次空気流路30に円管6が挿入された位置での搬
送空気速度と下流側のコーン7の形状により搬送空気に
追随しない微粉炭の粒子径は変化する。搬送空気に追随
しない最小の粒径(以下、分離下限粒子径と称する。)
は、一次空気流路30に円管6が挿入された位置での搬
送空気速度が20〜30m/s、コーン7の頂角が10
〜60°で搬送空気の配管内での剥離がない条件で、約
20〜50μmになる。即ち、整流管8の位置で微粉炭
の粒径分布を半径方向に調べると、一次空気流路30の
中心部に近いところでは分離下限粒子径以下の微小な微
粉炭が観察されるのに対し、一次空気供給管1の内周壁
に近いところでは分離下限粒子径以上の大きな粒子径の
微粉炭の割合が微粉炭供給管26の微粉炭の粒径分布よ
りも多くなる。
【0147】上述した微粉炭の粒径分布の差を、大粒径
検出器71と小粒径検出器72を用いて検出する。この
二つの検出器は、微粉炭の粒径分布を正確に検出する必
要はなく、両方の検出位置における相対値で目的を達成
することができる。また、検出器は、上述した非接触型
や接触型が適用できるが、微粉炭火炎を安定に形成させ
るためには、一次空気流路30の出口の微粉炭の流量分
布を乱す可能性の少ない非接触型の検出器が望ましい。
【0148】二つの検出器71と72の出力信号76と
77を入力する粒径分布検出器74は、検出器71と7
2の検量曲線等を基にして、出力信号の強度比や、出力
信号の強度等を解析し、微粉炭供給管26の微粉炭の粒
径分布を推定する。粒径分布検出器74の出力信号75
は粉砕機75へ出力され、粉砕機75から供給される微
粉炭の粒径分布を制御するように動作する。
【0149】上記の方法で制御はボイラの負荷を変動す
る時の粉砕機75の粉砕特性を安定化させるのに有効で
ある。例えば、微粉炭ボイラの負荷変化が大きくなる
と、粉砕機75が処理すべき単位時間当たりの石炭供給
量の時間変化が大きくなる。石炭粉砕機75の供給量の
変化は粉砕機75内部に保持していた微粉炭を一時的に
排出させることによって対応できるが、粒径分布は一般
に変化する。第の実施例を用いて粉砕機75の粉砕特
性を制御すると、ボイラの負荷変化によらずバーナへ供
給する微粉炭の粒径分布を一定に保てるため、微粉炭火
炎の状態を決定する微粉炭粒子径の影響を負荷に関して
一定に保てるため、ボイラの負荷変化によって火炉出口
の灰中未燃分やNOx濃度を変化させることはない。
【0150】また、第の実施例を用いると、火炉温度
の低い条件で微粉炭の粒子径を小さくするように粉砕機
75を動作させることができるので、ボイラの負荷が低
い条件でも微粉炭の燃焼率を低下させることはない。
【0151】微粉炭バーナに微粉炭の粒径分布を計測さ
せる方法について記載したが、本実施例の動作を微粉炭
供給管26に付加させることも可能である。即ち、微粉
炭供給管26を急拡大させ、搬送空気の流れに追随でき
る微小粒子の流れと、搬送空気の流れに追随しない大粒
子の流れを形成させ、各流れの粒子径を計測させる粒子
径検出器を取り付ければ、同等の効果を達成することが
できる。
【0152】この時、急拡大部に石炭粒子の蓄積がない
ように配管の位置を定めることは言うまでもない。
【0153】〔実施例〕 本発明の第の実施例を図16に示す。図16は本発明
バーナを複数個(図16ではa〜eの5個)取り付け
た状態を示す。第の実施例は、第の実施例に記載し
た微粉炭の粒径分布を計測する機能を取り付けたバーナ
83a〜83eと、バーナ83a〜83eへ微粉炭を管
79より供給する粉砕機75と、バーナ83a〜83e
へ供給される微粉炭の粒径分布の信号を出力する粒径分
布検出器74a〜74eと、この信号を入力し各バーナ
83a〜83e間の粒径分布の差を判断し粒径分布を制
御する信号を出力する粒径制御器81と、粒径制御器8
1の出力信号を基にバーナへ供給する微粉炭の粒径分布
を制御しバーナの上流側の微粉炭供給管に取り付けられ
た粒径調節器82a〜82eから構成される。
【0154】次に実施例の動作及び効果について説明
する。
【0155】粒径制御器81は、バーナ83a〜83e
に供給された微粉炭の粒径分布を判断し、理想とする各
バーナの粒径分布のパターンと比較し、理想とする各バ
ーナの粒径分布のパターンに一致させるように動作させ
る信号を粒径調節器82へ出力する。粒径調節器82
は、粒径制御器81の信号を受けて、バーナ83a〜8
3eへ供給する微粉炭の粒径分布を制御する。粒径調節
器81は、一台の粉砕機75から複数の微粉炭バーナへ
分岐する際に生ずる粒径分布の不均一さを軽減できるの
で、微粉炭バーナの燃焼性もほぼ一様になり、従来のよ
うな特定のバーナにのみ大きな粒子が供給されて生ずる
未燃分の増加を抑制できる。
【0156】また、一台の粉砕機75から複数個の微粉
炭バーナへ微粉炭を供給する時、粒径調節器81は、炉
壁近くに位置するバーナ82a、82eへは比較的細か
い粒子を含む微粉炭を供給させるように動作し、火炉3
6の中心部に位置するバーナ83b、83dへは残りの
微粉炭を供給するように動作させる。これにより、炉壁
に近い所に位置するバーナは炉壁の温度が低いために、
火炉中心部に取り付けられた微粉炭バーナの火炎に比べ
て十分な輻射を得ることができず燃焼性が悪くなるのを
防止することができ、微粉炭バーナの燃焼率をほぼ均等
にすることができる。
【0157】〔実施例〕 本発明の第の実施例を図17を用いて説明する。第
から第の実施例で記述したバーナを粉体製造用の釜へ
適用した実施例であり、図17は特にセメント製造用の
回転窯へ適用した実施例を記載した。第の実施例は、
送風器91と、送風器91で供給された燃焼用空気を保
持し、かつ、製造されたセメント粉体を冷却乾燥させる
製品回収室92と、製品回収室92の内部に保持され送
風器91で供給される空気をセメント粉体を通過させ下
方から上方へ供給する冷却棚94と、製品回収室92の
一部に取り付けられセメント粉体を回収する排出管93
と、製品回収室92の内部に保持され燃焼空気と微粉炭
を噴出するバーナ95と、バーナで形成された火炎を内
部に流通させる焼成回転窯96と、回転窯96を挟んで
製品回収室の反対側に接した排気室99と、排気室99
の内部を流通し回転窯99へセメント粉体製造用のスラ
リを供給するスラリ注入口97と、排気室99の一部に
接続され燃焼排ガスを排出する排気管から構成される。
更に、円筒状の回転窯96は、バーナに近い大きな内周
径の燃焼室100と、燃焼室100の排気室側に一体的
に形成され燃焼室100の内周径よりも小さな円筒状の
焼成室101と、焼成室101の排気室側に一体的に形
成され燃焼室100の内周径とほぼ等しい熱回収室10
2から構成される。回転窯96は図17に記載していな
い定速転送装置によって回転する。
【0158】次に実施例の動作及び効果について説明
する。
【0159】粉砕機で粉砕され調合されたスラリ状のセ
メント粉体の原料は、スラリ注入口97を介してスラリ
予熱器98へ供給され、燃焼排ガスとの接触によって予
熱される。スラリ予熱器98からオーバフローした原料
は、熱回収室102の内部に懸垂された金属製の鎖の蓄
熱によって更に加熱される。この後、焼成室101で焼
成された後に、熱焼室100に形成された火炎の輻射を
受けてより一層焼成される。この後、冷却棚94で燃焼
空気を利用して冷却された後、排出管93を介して製品
タンクへ搬送される。一方、図17に記載していない粉
砕機で微粉化された石炭は、気流搬送によってバーナ9
5へ供給される。また、燃焼用空気は、送風器93によ
り供給され、セメント粉体の冷却を行って加熱された後
にバーナ95へ供給される。
【0160】本実施例のバーナは、微粉炭の燃焼による
火炎を短炎化でき、更に排出されるNOx濃度を低減で
きる。焼成回転窯96に占める燃焼室100の割合を高
くできるので、相対的に焼成室101は長くなる。従っ
て、同一寸法におけるセメント粉体の原料の処理量を多
くすることができる。また、二段燃焼を用いることので
きない焼成用の燃焼炉においても、排ガスに含まれるN
Ox濃度を低くできるため、脱硝装置による低NOxへ
の環境対策を大幅に低減できる。
【0161】本実施例では、微粉炭ノズルの外周に同心
円状に燃焼用空気のノズルを備えたバーナを例にとって
説明したが、微粉炭ノズル内に設けた粒子分散調節器
(粒子流路調節器)の作用と効果は、微粉炭ノズル断面
の形状あるいは燃焼空気のノズルと微粉炭ノズルの位置
に関係なく発揮される。
【0162】
【発明の効果】微粉炭とこれを搬送するための一次空気
との混合流を噴出する微粉炭ノズル内に、混合流の中心
部に比べて外周部の微粉炭の濃度が高くなるように濃度
分布を調整する手段を設け、微粉炭ノズルの先端に衝突
板を有する保炎器を設け、微粉炭と一次空気との混合流
を直進流にて噴出するようにバーナを構成することによ
って、微粉炭のバーナ燃焼によるNOxの発生を抑制す
ることができる。また、負荷変動時にも高い燃焼効率を
保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による微粉炭ボイラシステムを示す概略
図。
【図2】本発明の一実施例による微粉炭バーナの断面
図。
【図3】本発明の一実施例による微粉炭バーナで燃焼し
たときの混合流の流れ方向の燃焼率とNOx濃度を示す
グラフ。
【図4】本発明の一実施例による微粉炭バーナで燃焼し
たときの混合流の流れ方向のガスの濃度を示すグラフ。
【図5】微粉炭バーナの断面の一部を示す斜視図。
【図6】他の実施例による微粉炭バーナの断面図。
【図7】二次空気流路と三次空気流路との間の隔壁の一
部を示す斜視図。
【図8】微粉炭バーナの微粉炭噴出口近傍の微粉炭の流
れと空気の流れを示した概念図。
【図9】一次空気の流れ方向の距離と一次空気の流速比
との関係を示すグラフ。
【図10】コーン7とバーナ中心軸のなす角度を示すた
めの微粉炭噴出ノズル部の概略図。
【図11】灰中未燃分量とNOx濃度との関係を示すグ
ラフ。
【図12】他の実施例の微粉炭バーナの概略断面図。
【図13】他の実施例の微粉炭バーナの概略断面図。
【図14】他の実施例の微粉炭バーナの断面図。
【図15】微粉炭粒径分布を計測制御する装置の構成を
示す概略図。
【図16】微粉炭粒径分布を計測制御する装置を用いて
微粉炭バーナを制御する時のシステム構成を示す概略
図。
【図17】微粉炭バーナをセメント製造用の回転窯へ適
用したときのシステム構成を示す概略図。1…一次空気
供給管、2…二次空気供給管、3…三次空気供給管、5
…液体燃料ノズル、30…一次空気流路、31…二次空
気流路、32…隔壁、33…三次空気流路、34…粒子
分散調節器、37…保炎器、38…二次レジスタ、39
…三次レジスタ、40…二次空気旋回器、42…火炉、
43…微粉炭バーナ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮寺 博 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 河野 豪 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 森田 茂樹 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日 立株式会社 呉工場内 (72)発明者 神保 正 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日 立株式会社 呉工場内 (72)発明者 程塚 国男 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日 立株式会社 呉工場内 (72)発明者 馬場 彰 広島県呉市宝町8番地 バブコック日立 株式会社 呉研究所内 (72)発明者 倉増 公治 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日 立株式会社 呉工場内 (56)参考文献 特開 昭63−21406(JP,A) 特開 昭63−65224(JP,A) 実開 昭62−142610(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F23C 11/00 F23D 14/70 - 14/74 F23D 1/00 - 1/06

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微粉炭を燃焼する火炉の側壁に微粉炭と空
    気の混合流を噴出して火炎を形成する複数本のバーナを
    備え、該火炉内の微粉炭燃焼熱によって水を加熱し蒸気
    を発生するようにした微粉炭ボイラにおいて、前記バー
    ナが微粉炭と微粉炭搬送用の一次空気との混合流を直進
    流にて噴出する単一環状の微粉炭噴出ノズルと、該微粉
    炭噴出ノズルの外側に同心的に設けられ着火用の二次空
    気を供給する二次空気ノズルと、該二次空気ノズルの外
    側に同心的に設けられ燃焼用の三次空気を噴出する三次
    空気ノズルと、前記微粉炭噴出ノズルと前記二次空気ノ
    ズルとを隔てる隔壁の先端に設けられ該微粉炭噴出ノズ
    ルから噴出された前記混合流により形成される火炎を保
    持する保炎器とを有し、該保炎器には火炉側に向かうに
    つれて外径が拡大する部分が設けられ、前記微粉炭噴出
    ノズル内には前記混合流の流れを一旦外周側に寄せる
    ともにその流れを保持する部分を有する粒子流路調整器
    が設けられ、該微粉炭噴出ノズルの口縁に外周部側に集
    められた微粉炭を衝突させる衝突板を有することを特徴
    とする微粉炭ボイラ。
  2. 【請求項2】微粉炭と微粉炭搬送用の一次空気との混合
    流を直進流にて噴出する単一環状の微粉炭噴出ノズル
    と、該微粉炭噴出ノズルの外側に同心的に設けられ着火
    用の二次空気を噴出する二次空気ノズルと、該二次空気
    ノズルの外側に同心的に設けられ燃焼用の三次空気を噴
    出する三次空気ノズルと、前記微粉炭噴出ノズルと前記
    二次空気ノズルとを隔てる隔壁の先端に設けられ該微粉
    炭噴出ノズルから噴出された前記混合流により形成され
    る火炎を保持する保炎器とを有し、該保炎器には火炉側
    に向かうにつれて外径が拡大する部分が設けられている
    微粉炭バーナにおいて、前記微粉炭噴出ノズル内に前記
    混合流の流れを一旦外周側に寄せるとともにその流れを
    保持する部分を有する粒子流路調整器が設けられ、該微
    粉炭噴出ノズルの口縁に該微粉炭噴出ノズル内の外周部
    側に集められた微粉炭を衝突させる衝突板を有すること
    を特徴とする微粉炭バーナ。
  3. 【請求項3】請求項に記載の微粉炭バーナにおいて、
    前記粒子流路調整器は、前記混合流 の流れを外周側に寄
    せる前に該混合流の流路を前記微粉炭噴出ノズルの軸か
    ら一定距離だけ遠ざけてその距離を保持する整流部を有
    することを特徴とする微粉炭バーナ。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の微粉炭バーナにおいて、
    前記粒子流路調整器は、前記混合流の流路を外周側に寄
    せるとともにその流れを保持する部分に続いて該流路を
    軸方向に拡大するコーンを有することを特徴とする微粉
    炭バーナ。
  5. 【請求項5】請求項に記載の微粉炭バーナにおいて、
    前記粒子流路調整器は、前記混合流の流路を軸方向に拡
    大するコーンに続いて拡大された流路を一定に保持する
    整流部を有することを特徴とする微粉炭バーナ。
  6. 【請求項6】請求項2ないし5のいずれか1つに記載の
    微粉炭バーナにおいて、前記衝突板は、前記微粉炭噴出
    ノズルの内周面に取り付けた複数枚の板からなることを
    特徴とする微粉炭バーナ。
  7. 【請求項7】請求項2ないしのいずれか1つに記載の
    微粉炭バーナにおいて、前記微粉炭噴出ノズル内の中央
    に油を噴霧するアトマイザを有し、該アトマイザの外周
    に環状体よりなる前記粒子流路調整器を備え、該環状体
    の外径を変えることによって前記混合流の流路が変えら
    れることを特徴とする微粉炭バーナ。
  8. 【請求項8】請求項2ないしのいずれか1つに記載の
    微粉炭バーナにおいて、前記二次空気ノズルと前記三次
    空気ノズルとを隔てる隔壁の端面に、該二空気ノズルの
    管径を火炉側に向かって拡大するスロートを有すること
    を特徴とする微粉炭バーナ。
  9. 【請求項9】請求項2ないしのいずれか1つに記載の
    微粉炭バーナにおいて、前記二次空気ノズルと前記三次
    空気ノズルとの間に両者の半径方向の距離を隔てて三次
    空気の混合を抑制する仕切り板を有し、該仕切り板の二
    次空気ノズル側先端に管径を火炉側に向かって拡大する
    スロートを有し、かつ該仕切り板の内部を二次空気が流
    通して前記二次空気ノズルから噴出されるようにしたこ
    とを特徴とする微粉炭バーナ。
  10. 【請求項10】請求項2ないしのいずれか1つに記載
    の微粉炭バーナにおいて、前記二次空気ノズルによって
    形成される二次空気流路の先端に、複数個の板を該板と
    板の隙間から二次空気が噴出して旋回流を形成するよう
    に重ねることによって構成された二次空気旋回器を有
    し、該二次空気旋回器を構成する前記板が前記保炎器に
    おける外径の拡大部分を兼ねるようにしたことを特徴と
    する微粉炭バーナ。
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