JP2803930B2 - 円形パターン識別方法および装置 - Google Patents

円形パターン識別方法および装置

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JP2803930B2
JP2803930B2 JP3307481A JP30748191A JP2803930B2 JP 2803930 B2 JP2803930 B2 JP 2803930B2 JP 3307481 A JP3307481 A JP 3307481A JP 30748191 A JP30748191 A JP 30748191A JP 2803930 B2 JP2803930 B2 JP 2803930B2
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保雄 小松
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株式会社三協精機製作所
グローリー工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は円形パターン識別方法
および装置に関する。この発明は例えば自動販売機等に
おける硬貨判別に利用できる。
【0002】
【従来の技術】硬貨等の真贋の識別等に関連して従来か
ら知られた円形パターン識別方法として特徴抽出法やパ
ターンマッチング法が知られている。
【0003】しかし、硬貨のように流通期間の長短によ
り表面状態に個体差があるものを識別対象とすると、取
り込んだパターンのデータは各識別対象の表面状態によ
りコントラストが異なるため、従来の特徴抽出法やパタ
ーンマッチング法では必ずしも良い識別率は得られな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上述の如
き事情に鑑みてなされたものであって、識別対象の表面
状態の個体差により取り込んだデータにコントラストの
差違があっても、なお且つ良好な識別率を実現できる新
規な円形パターン識別方法および、この方法を実施する
装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の方法は、硬貨
の模様のような円形パターンを識別する方法である。
【0006】この方法は以下の如く構成される。図1に
示すように、先ず識別対象となる円形パターンを読取
り、各画素の濃度をデジタルの信号として記憶する(入
力工程)。次いで、記憶されたデータに基づき上記円形
パターンの中心座標を検出し(中心座標検出工程)、記
憶された情報から上記円形パターンの「すくなくとも一
部」を、上記中心座標を中心とする円形状もしくはリン
グ状に切り出して「2次元の基礎データ」を得、この基
礎データに必要な処理を行なってテンプレートと同サイ
ズの「識別用データ配列」を得る(切り出し工程)。
【0007】更にこの識別用データ配列を、テンプレー
トのレベルを用いてレベル変換して「比較パターン」を
得(レベル変換工程)、この比較パターンとテンプレー
トとのマッチング演算を「円形パターンの角座標(上記
中心画像を原点とする)に関して0から2πまで」行な
い、比較パターンとテンプレートとの類似度もしくは非
類似度を検出し(演算工程)、検出された類似度もしく
は非類似度に基づき、上記円形パターンが「テンプレー
トに応じたパターンを含むか否か」を判定する(識別工
程)。上記基礎データから比較パターンを得るのは、以
下のように行われる。即ち、基礎データを比較すべきテ
ンプレートと同サイズの識別用データ配列とする。この
識別用データ配列の濃度レベルをテンプレートの濃度レ
ベルと対応付けできるように並べ替え、上記識別用デー
タ配列の濃度レベルを、対応付けられたレベルのテンプ
レートにおける濃度レベルで置き換えることによりレベ
ル変換して比較パターンを得る。この工程は、以下の各
請求項の発明においても同様である。
【0008】請求項2の方法は、識別するべき円形パタ
ーンが2種以上あり、これらの円形パターンの外形が互
いに異なる場合に、外形に応じて円形パターン識別を行
なう方法である。ここに円形パターンの外形とは、円形
パターンの「外形」および/または「孔の有無」および
/または「孔の径」である。
【0009】この請求項2の方法では、上述した請求項
1の方法において入力工程と切り出し工程の間に行なわ
れる中心座標検出工程が、図6に示すように「中心座標
・外形検出工程」と「切り出し形状・テンプレート選択
工程」に置き換えられる。
【0010】複数の識別パターンの個々に応じて、切り
出し工程で切り出すべき形状(各円形パターンの、少な
くとも1部で、円形もしくはリング状の形状)が定めら
れるとともに、各円形パターンに応じてテンプレートが
用意されている。
【0011】「中心座標・外形検出工程」では、入力工
程で記憶した円形パターンの中心座標と外形とが検出さ
れる。外形が検出されると、その外形を持つべき円形パ
ターンに応じた切り出し形状と、この円形パターンに対
応して容易された点プレートが選択される。これが「切
り出し形状・テンプレート選択工程」である。切り出し
形状・テンプレート選択工程」より後の工程は、図1に
即して説明した、請求項1の方法と同じである。
【0012】これら請求項1または2の方法において、
2次元の基礎データとして切り出されるリング状もしく
は円形状の情報は、読み取られた円形パターンの全体で
あっても良いが、「読み取られた円形パターンの特徴を
良く表す部分」としても良い(請求項3)。また請求項
1〜3の方法において、テンプレート(請求項2の方法
では、予め用意された各テンプレート)のサイズは「2
次元の基礎データ」と同サイズとすることもでき、その
場合は「基礎データ自体を識別用データ配列として用い
る」ことができる(請求項4)。また、2次元の基礎デ
ータから識別用データ配列を得るための処理が、微分絶
対値和作成処理及び/またはデータ圧縮処理を含むよう
にすることができる(請求項5)。
【0013】請求項6の装置は請求項1の方法を実施す
るための装置であって、入力部と、画像メモリー部と、
中心座標演算部と、画像切り出し部と、メモリー部と、
データ処理部と、演算部と、制御識別部とを有する。
【0014】「入力部」は、円形パターンを読取り、各
画素の濃度をデジタル信号化する。 「画像メモリー部」は、入力部から入力されるデジタル
信号を記憶する。 「中心座標演算部」は、画像メモリー部に記憶された円
形パターン情報に従い、円形パターンの中心を検出す
る。 「画像切り出し部」は、中心座標演算部により演算され
た中心座標を中心とする円形状もしくはリング状に切り
出して2次元の基礎データを得る。このとき、切り出さ
れるのは、画像メモリー部に記憶された円形パターン情
報の全体もしくは円形パターンの特徴を良く表す部分で
ある。 「メモリー部」はテンプレート情報を記憶する。 「データ処理部」は、画像切り出し部により得られた基
礎データに基づき、テンプレートと同サイズの識別用デ
ータ配列を得、この識別用データ配列を上記テンプレー
トのレベルを用いてレベル変換して「比較パターン」を
得る。
【0015】「演算部」は、データ処理部により得られ
る比較パターンとテンプレートのマッチング演算を、円
形パターンの角座標に関して0から2πまで行ない、比
較パターンとテンプレートとの類似度もしくは非類似度
を検出する。
【0016】「制御識別部」は、演算部で検出された類
似度もしくは非類似度に基づき、円形パターンが「テン
プレートに応じたパターンを含むか否か」を判定すると
ともに、各部を制御する。
【0017】上記装置の入力部を除く部分は、コンピュ
ーターあるいはコンピューターと付加的なメモリーとで
構成することができる。
【0018】請求項7の装置は請求項2の方法を実施す
るための装置であって、入力部と、画像メモリー部と、
中心座標・外形演算検出部と、メモリー部と、画像切り
出し部と、データ処理部と、演算部と、制御識別部とを
有する。これらのうちで、入力部と、画像メモリー部
と、画像切り出し部と、データ処理部と、演算部とは、
上述した請求項6の装置におけるものと同じである。
【0019】「中心座標・外形演算検出部」は、画像メ
モリー部に記憶された円形パターン情報に従い、円形パ
ターンの中心と外形とを演算・検出する。即ち、円形パ
ターンの中心を演算し、円形パターンの外形として、外
形および/または孔の有無および/または孔の径を演算
もしくは検出する。 「メモリー部」は、識別対象である複数種の円径パター
ンの個々に応じて予め定められた複数のテンプレートを
記憶する。
【0020】「制御識別部」は、各部を制御するが、そ
れとともに上記中心座標・外形演算検出部による演算・
検出結果に基づき、2次元の基礎データの切り出し形状
とテンプレートの選択を行なう。即ち、上記中心座標・
外形演算検出部により演算・検出された「外形」に基づ
き、記憶された円形パターン情報が、外形上どのテンプ
レートと照合されるべきかを決定し、上記選択を行な
う。この選択に基づき、画像切り出し部が、選択された
円形状もしくはリング状の情報を、演算された中心座標
を中心として切り出して2次元の基礎データとする。ま
たデータ処理部は、上記基礎データに基づき、制御識別
部により外形に応じて選択されたテンプレートと同サイ
ズの識別用データ配列を得、この識別用データ配列を上
記テンプレートのレベルを用いてレベル変換し、比較パ
ターンを得る。そして、演算部が比較パターンと上記テ
ンプレートのマッチング演算を、読み取られた円形パタ
ーンの角座標に関して0から2πまで行ない、比較パタ
ーンとテンプレートとの類似度もしくは非類似度を検出
する。
【0021】演算識別部はさらに、演算部で検出された
類似度もしくは非類似度に基づき、読み取った円形パタ
ーンが、上記選択されたテンプレートに応じたパターン
を含むか否かを判定する。
【0022】
【作用】この発明の特徴は、テンプレートと照合する
「比較パターン」がテンプレートのレベルを用いて形成
されることである。このようにすると、円形パターン自
体のコントラストの個体差に基づく識別誤差を有効に防
止できる。
【0023】「識別用データ配列」から「比較パター
ン」を得るプロセスは「レベル変換」と呼ばれるが、レ
ベル変換はこの発明の特徴の一端をなすものであるので
1例を具体的に説明する。説明の簡単のために、識別用
データ配列を4×4要素のマトリックス配列に単純化し
て説明する。また、データは簡単のために「濃度レベ
ル」であるとする。
【0024】図4において(E)はテンプレートを示し
ている。テンプレートは4×4の16要素の多値のデジ
タルデータ(テンプレートデータ)で構成される。この
テンプレートデータを濃度レベルの順に配列し直したの
が、図4(F−1)で「テンプレート濃度順テーブル」
である。このテンプレート濃度順番テーブルの各要素に
対応して、順番に0から15まで番号を配列させたもの
が同図(F−2)に示す「テンプレート濃度順番テーブ
ル」であり、これら図4(F−1)(F−2)は「テン
プレート濃度順データ」を構成する。テンプレート濃度
順番テーブル(F−2)は説明のために示したものであ
り、無くても良い。
【0025】図4において(A−1),(A−2)はそ
れぞれ、「識別用データ配列」と、そのアドレスとを示
している。この識別用データ配列とアドレスとを、濃度
レベルの濃い順に配列し直したのが、図4(B−1)の
「濃度順テーブル」と(B−2)の「濃度順アドレステ
ーブル」である。濃度順テーブルにおける各濃度レベル
を、濃度番号付与方式に従って濃度番号に置き換えたの
が図4(C)の「濃度番号テーブル」である。
【0026】「濃度番号」は、テンプレートの構成要素
数:16に従い、最大濃度を「15」として0から15
までが用意されている。今、濃度順アドレステーブルに
おける、第n番目(n=1〜16)のアドレスにある濃
度に対して濃度番号:i(i=0〜15)が与えられて
いるとし、第n番目の濃度順アドレステーブルから連続
してmアドレス分だけ、同じ濃度が続いているときは、
これらアドレス:n,n+1,n+2,..,n+m−
1にある同一濃度には、濃度番号:iを与え、アドレ
ス:n+mの濃度に対しては、濃度番号:i+mを与え
るのである。この事情は、スポーツのレースで同着の1
着が2人いるときに、1位が2人で2位が欠番になり、
次着は3位になるのと同様である。勿論、濃度番号の付
与方式はこの例に限らず、別の方式によっても良い。
【0027】このようにして作成された濃度番号テーブ
ル(C)の各要素は、比較パターン(図4(D))のア
ドレス指定と、この指定されたアドレスに書き込まれる
濃度レベルの選択に用いられる。以下、この濃度番号テ
ーブルに基づく比較パターンの作成を具体的に説明す
る。
【0028】図4(C)に示す濃度番号テーブルの左上
隅の要素に着目する。この要素は、濃度番号「0」を持
っている。この要素と同じアドレス(テーブルの左上
隅)を、濃度順画像アドレステーブル(B−2)に当て
嵌めると、濃度順画像アドレステーブルの上の同要素
は、アドレス:2をその内容としている。このアドレ
ス:2が比較アドレスにおけるアドレスを決定する。即
ち、濃度番号テーブルの左上隅の要素は、比較パターン
において、アドレス:2、即ち図4(D)のテーブルの
最上段の左から2番目の升を指定する。
【0029】次に、濃度番号テーブルの左上隅の要素の
濃度番号「0」を、テンプレート濃度順番テーブル上で
探すと、上記濃度番号「0」と同値の濃度順番{0}に
は、テンプレートの濃度値16が対応していることが分
かる(テンプレート濃度順テーブル(F−1)参照)。
【0030】そこで、図4(D)に示された比較パター
ンの、アドレス:2には、上記濃度値:16が書き込ま
れることになる。濃度番号テーブルの各要素に就いて、
上記のプロセスを繰り返して、比較パターンの書き込み
を行なうと、図4(D)に示すような比較パターンが作
成されることになる。
【0031】このように、レベル変換によって形成され
た比較パターンは、識別用データ配列と対応している
が、その各要素はテンプレートのレベル要素で構成され
ている。即ち、「レベル変換」とは次のような変換であ
ると言うことができる。
【0032】テンプレートのレベルとその出現度数をヒ
ストグラムとし、このヒストグラムの横軸に当たるレベ
ル値を用いて、識別用データ配列をヒストグラム化する
のが識別用データ配列のレベル変換である。
【0033】図7において、(a)はテンプレートのヒ
ストグラムで、横軸がテンプレートを構成する情報のレ
ベルであり、縦軸は各レベルの度数である。図7(b)
は識別用データ配列のヒストグラムであり、横軸はレベ
ル要素、縦軸はその度数である。「レベル変換」におい
て、識別用データ配列の各レベル要素は、そのレベル要
素の識別用データ配列におけるレベル順位(図7(b)
の横軸の配列順序)に従って、テンプレートのレベルと
対応付けられ、識別用データ配列の各レベル要素は、対
応付けられたレベルのテンプレートレベルで置き換えら
れるのである。このようにレベル変換を行なうと、図7
(b)に示す識別用データ配列のヒストグラムは、図7
(c)に示すようなヒストグラムに変換される。図7
(c)において、横軸はテンプレートのレベルであっ
て、図7(a)の横軸と同じである。そして、図7
(c)の縦軸は、識別用データ配列の各レベル要素を対
応するテンプレートのレベルで置き換えたものの度数を
表している。
【0034】このようにレベル変換により、識別用デー
タ配列のヒストグラムはテンプレートのヒストグラムと
横軸が共通化されるのである。
【0035】さて、硬貨の模様に代表されるように、一
般に円形パターンには、その一部に円形パターンの特徴
を最も良く表す部分が有る。従って、円形パターンの識
別に当っては、パターン全体をテンプレート化してパタ
ーン照合を行なう必要は必ずしもなく、請求項3の方法
のように「特徴ある部分」のみを対象としてパターン照
合を行うのみでも、良好な識別が可能である。この場合
には、上記特徴ある部分が円形パターンの中心座標から
どの距離に有るかに応じて、特徴ある部分を含む円形状
もしくはリング状の部分を切り出して、この部分をテン
プレートとの照合の対象とするのである。従ってテンプ
レート自体も、上記「特徴ある部分」に基づき作成され
る。
【0036】また、円形パターンではパターン形状の回
転対称性により、たとえ比較パターンとテンプレートと
が同一のものであっても、両者が互いに回転的にずれて
いるとマッチングによる類似度は低くなってしまう。そ
こでこの発明では、比較パターンとテンプレートのマッ
チング演算を、上記円形パターンの角座標に関して0か
ら2πまで、各座標を微小角ずつずらして繰返し行なう
のである。
【0037】
【実施例】以下、具体的な実施例を説明する。
【0038】図2は請求項1の方法の実施例を説明する
ための図である。図2(I)に示すように、識別するべ
き円形パターンは500円硬貨の模様である。図2(I
I)は(I)のパターンを読取り、各画素の濃度を多値
のデジタル信号として記憶した状態を示す。この状態で
円形パターンの中心座標の検出が行なわれる。
【0039】中心座標検出のアルゴリズムは公知の種々
の方法が可能である。例えば、円形パターンに接する
x,y方向の直線の接点位置として中心座標(x0
0)を求めても良いが、ここでは、図2(II)に示
すように、画像メモリー部に記憶された円形パターンの
x方向の接線座標x1,x2、y方向の接線座標y1,y2
を検出し、これらx1,x2,y1,y2を用い、演算:x
0=(x2−x1)/2,y=(y2−y1)/2により演
算する。
【0040】続いて、図2(III)に示すように、円
形パターンの中心座標から所定の距離にある同心円で囲
まれたリング状部分を切り出し、これを図2(IV)に
示すように、X,Y方向の2次元の配列に展開する。こ
の展開された状態が「2次元の基礎データ」である。こ
の例では、この基礎データはX方向に512のデータ、
Y方向22のデータで構成されている。Y方向は円径パ
ターンの半径方向に対応する。またX方向の両端は図2
(III)における基準線Z(その方向は、画像メモリ
ー部において適宜に設定されており、中心座標が定まる
と、この中心座標の位置と上記方向により一義的に定ま
る)に対応する。
【0041】このように切り出された2次元の基礎デー
タは、前述のように、これをそのまま「識別用データ配
列」として使用することもできるが(請求項3)、この
実施例では、更に微分絶対値和作成処理とデータ圧縮処
理とを行なう。従って、この実施例は請求項4の方法の
実施例でもある。
【0042】即ち、先ず図1(IV)に示す「2次元の
基礎データ」の個々の要素に就いて、その要素の周囲8
要素のデータとの差をX,Y各方向に就いて求める。図
2(V)は、図2(IV)に示す基礎データのうちの一
つの要素(黒く塗りつぶした要素)の周囲8要素に対す
るX方向の「差」を示す。また図1(VI)は同じ要素
の周囲8要素に就いてのY方向の差である。これらの差
を「微分値」と呼ぶ。X方向の微分値と、Y方向の微分
値は、それぞれの絶対値が9要素(黒く塗りつぶした要
素と、その周囲の8要素)に就いて加算され、さらにそ
の加算値が和演算され、その演算結果が当該要素(黒く
塗りつぶされた要素)についての微分絶対値和として記
憶される。
【0043】図2(VII)は、このように記憶された
微分絶対値和のデータ配列を示している。ξ方向は図1
(IV)のX方向に、η方向は同じくY方向に対応す
る。基礎データにおいて、Y方向両端の要素列は周囲要
素が5要素しかなく、微分値を算出できないため、図2
(VII)の微分絶対値和データではη方向の要素数が
20となっている。
【0044】また、ξ方向でも同様に先端、後端では周
囲要素が5要素になるが、切り出し前の画像は円環状で
先端と後端が隣接しているため、先端の微分絶対値和作
成処理では後端のデータを利用し、後端の処理では先端
のデータを使用する。従ってξ方向には512画素のデ
ータが得られる。
【0045】なお、予め、先端部分に後端部分のデータ
を取り込み、後端部分に先端部分のデータを取り込むこ
とにより、先・後端の使用部分を2重に取り込んでおけ
ば、ξ方向は514画素となり、特に先・後端のみ上記
の別処理を行なうことなく、512画素のデータが得ら
れる。このような微分絶対値和作成処理を行なうと、基
礎データにおける濃度変化分をデータ化できるためパタ
ーン画像の凹凸の変化を強調することができる。
【0046】次に、図2(VII)に示すデータ配列を
同図(VIII)に示すようなデータ群(その一つをハ
ッチを施して示す)に分け、各データ群におけるデータ
(微分絶対値和)の和を取ってこれを新たに「集約デー
タ」として、データ配列(図2(IX)を形成する。こ
のようにして得られた集約データのデータ配列が「識別
用データ配列」である。この実施例において上記データ
群は、ξ方向に4要素、η方向に2要素で形成され、従
って識別用データ配列は、上記ξ方向に対応する:u方
向に128要素、η方向に対応する:v方向に就いて1
0要素で構成されている。このようにデータ圧縮を行う
ことにより、マッチング演算に必要な時間を有効に短縮
できる。
【0047】テンプレートは、上記識別用データ配列と
同サイズであって、識別パターンである500円硬貨の
標準的なパターンから、上記「識別用データ配列」を形
成するのと同じ手順で予め形成されている。
【0048】このようにして形成された「識別用データ
配列」に対して次に、前述した「レベル変換の処理」を
施して「比較パターン」を形成する。比較パターンは上
記u,vを変数として:f(u,v)と表わすことがで
きる。一方のテンプレートもu,vを変数として:t
(u,v)と表せる。
【0049】続いて、比較パターンとテンプレートとの
類似度もしくは非類似度を演算する。図5に示すよう
に、例えば非類似度を演算する場合だと、演算式:ΣΣ
|f−t|やΣΣ(f−t)2、あるいは類似度を演算
する場合だと、ΣΣ(f・t)(和はアドレスu,vの
全域にわたって取る)を類非演算として利用できる。
【0050】この非類似度を算出するマッチング演算
は、円形パターンの角座標に関して0から2πまで行な
う。円形パターンに中心座標に対する回転対称性による
マッチング誤差を除くためである。これを行なうには、
比較パターンにおいて,u=i(i=0〜126)の要
素をu=i+1と変換し、u=127の要素をu=0と
変換して、新たな比較パターンを生成するプロセスを循
環的に合計128回繰り返せば良い。真の非類似度は、
この1連の非類似度演算の結果の最小値で与えられる。
また真の類似度は、この一連の演算の最大値で与えられ
る。
【0051】このようにして得られた非類似度は、予め
識別パターンに関して統計的に求められた非類似度の閾
値と比較され、非類似度が閾値よりも高ければ、読み取
った円形パターンはテンプレートに応じたパターンを含
んでいないと判定される。
【0052】図3に、請求項6の装置の1実施例を機能
図として示す。円形パターンは映像信号として画像入力
部1で読み取られ、A/D変換部2でデジタル信号に変
換される。従って、画像入力部1とA/D変換部2とは
「入力部」を構成する。
【0053】入力部から入力されたデータは画像メモリ
ー部3に記憶される。そして、記憶された円形パターン
の中心座標が中心座標演算部4で検出され、検出された
中心座標を中心とするリング状の領域が切り出し部5で
切り出される。この画像切り出し部5はまた、切り出さ
れた情報から2次元の基礎データを生成して、これを切
り出し部5の内蔵するメモリーに記憶する。このメモリ
ーの記憶内容に基づき、微分絶対値和作成部6が微分絶
対値和データ配列を形成し、その結果を画素集約処理部
7に出力する。
【0054】画素集約処理部7は、微分絶対値和データ
配列から「識別用データ配列」を形成して、画像集約処
理部7に内蔵されたメモリーに記憶する。このメモリー
の記憶内容に基づいて、濃度順テーブル作成部8で、上
述のレベル変換に必要な各種のテーブルが形成される。
【0055】そして、濃度変換部9では濃度順テーブル
作成部8で形成された各種テーブルと、メモリー部に記
憶されたテンプレート濃度順データに基づいて濃度変換
を行い比較パターンを生成する。従って、微分絶対値和
作成部6と画素集約部7と濃度順テーブル作成部8と濃
度変換部9とは「データ処理部」を構成する。
【0056】ついで、「演算部」としての非類似度演算
部10では、比較パターンとテンプレート(メモリー部
12に記憶されている)とのマッチング演算を円形パタ
ーンの角座標に関して0から2πまで行ない、比較パタ
ーンとテンプレートとの非類似度を検出する。
【0057】制御識別部11は、上記検出結果に基づき
「円形パターンが、テンプレートに応じたパターンを含
むか否か」を判定する。制御識別部11は、識別判定を
行うとともに、中心座標検出から非類似度演算にいたる
各プロセスが適正に行われるように各部を制御する。
【0058】第2の実施例として、請求項7の装置の1
実施例を図8に機能図として示す。煩雑を避けるため、
混同の虞れが無いと思われる物については、図3におけ
ると同一の符号を付した。
【0059】識別対象は、この例では500円硬貨と1
00円硬貨の模様である。従って、ここでは演算検出さ
れるべき「外形」は、「外径」である。円形パターンは
映像信号として画像入力部1で読み取られ、A/D変換
部2でデジタル信号に変換される。図3の装置と同様、
画像入力部1とA/D変換部2とは「入力部」を構成す
る。
【0060】入力部から入力されたデータは画像メモリ
ー部3に記憶される。記憶された円形パターンの中心座
標と外径とが中心座標・外形演算検出部4Aで演算され
る。この実施例では、中心座標は、図2(II)に即し
て説明したのと同様、画像メモリー部に記憶された円形
パターンのx方向の接線座標x1,x2、y方向の接線座
標y1,y2を検出し、これらx1,x2,y1,y2を用
い、演算:x0=(x2−x1)/2,y=(y2−y1
/2により演算される。外径:Rは、R=|x1−x2
もしくは、R=|y1−y2|により演算算出する。
【0061】中心座標・外径演算検出部4Aにより演算
・検出された中心座標と外径のデータは、制御識別部1
1Aに送られる。制御識別部11Aでは、このデータに
基づき、読み取られた円形パターンが、500円硬貨の
ものか100円硬貨のものかを判定する。この判定に
は、外径:Rを用い、例えばRが判別式(1)R>23
mm,(2)R<23mmの何れを満足するかを調べ
る。即ち、判別式(1)が満足される場合は読み取られ
た円形パターンは500円硬貨のものとし、判別式
(2)が満足される場合は、100円硬貨の円形パター
ンのものであるとする。
【0062】この判定に基づき、制御識別部11Aは画
像切り出し部5を制御して画像切り出しを行なう。判別
式(1)が満足されるときは、中心座標から例えば内径
9mm、幅3mmのリング状部分を画像を切り出し、判
別式(2)が満足されるときには、中心画像から例えば
6mmで幅3mmのリング状部分の画像を切り出す。メ
モリー部12Aには、500円硬貨と100円硬貨の、
上記切り出し部分に応じて、予め形成された2種のテン
プレートの情報が記憶されている。
【0063】画像切り出し部5は、上記のように切り出
された情報から2次元の基礎データを生成して、これを
切り出し部5の内蔵するメモリーに記憶し、その記憶内
容に基づき微分絶対値和作成部6が微分絶対値和データ
配列を形成し、その結果を画素集約処理部7に出力す
る。画素集約処理部7は、微分絶対値和データ配列から
「識別用データ配列」を形成して、画像集約処理部7に
内蔵されたメモリーに記憶する。このメモリーの記憶内
容に基づいて、濃度順テーブル作成部8で「レベル変
換」に必要な各種のテーブルが形成される。
【0064】そして、濃度変換部9では濃度順テーブル
作成部8で形成された各種テーブルと、メモリー部に記
憶され、検出された外径に応じて選択されたテンプレー
トのテンプレート濃度順データに基づいて濃度変換を行
い比較パターンを生成する。従って、微分絶対値和作成
部6と画素集約部7と濃度順テーブル作成部8と濃度変
換部9とが「データ処理部」を構成する。
【0065】次いで「演算部」としての非類似度演算部
10では、比較パターンと上記選択されたテンプレート
とのマッチング演算を円形パターンの角座標に関して0
から2πまで行ない、比較パターンとテンプレートとの
非類似度を検出する。
【0066】そして制御識別部11Aが上記検出結果に
基づき「読み取った円形パターンが、上記選択されたテ
ンプレートに応じたパターンを含むか否か」を判定す
る。制御識別部11Aは勿論、識別判定を行うとともに
中心座標・外径演算・検出から非類似度演算にいたる各
プロセスが適正に行われるように各部を制御する。なお
この例では、識別対象の種類は2種であるが、これを3
種以上にできることは言うまでもない。その場合に、外
形の検出対象として孔の有無(例えば50円硬貨)や、
孔の外径等を利用できる。
【0067】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば新規な
「円形パターン識別方法および装置」を提供できる。こ
の発明では、類非の判定が「テンプレートレベルを用い
てレベル変換した比較パターン」と「テンプレート」と
の間で行われるので、円形パターン個々の画像のコント
ラスト差の影響を受けにくい。さらに、請求項2や7の
装置では、外形が異なる複数種類の円形パターンの識別
を行なうことができる。
【0068】請求項3の方法では、円形パターンの全部
ではなく「特徴有る部分」のみを切り出して識別を行う
ので、類非の判定に必要なマッチング演算の演算時間を
有効に短縮することができる。また請求項5の方法のよ
うに、データ圧縮を行えば演算時間をより短縮できる。
また、この発明においては、円形パターンの中心座標
を、円形パターンを読取って記憶されたデータに基づき
検出するので、円形パターンの中心を所定の位置に位置
させる必要がなく、識別操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の方法を説明するための図である。
【図2】請求項1の方法の実施例の読取工程から識別用
データ配列まで説明するための図である。
【図3】請求項6の装置の1実施例を示す機能図であ
る。
【図4】レベル変換を説明するための図である。
【図5】類似・非類似演算を説明するための図である。
【図6】請求項2の方法の特徴部分を説明するための図
である。
【図7】レベル変換を説明するための図である。
【図8】請求項7の装置の1実施例を示す機能図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小坂 利寿 兵庫県姫路市下手野一丁目3番1号・グ ローリー工業株式会社内 (72)発明者 佐々木 友幸 兵庫県姫路市下手野一丁目3番1号・グ ローリー工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−197989(JP,A) 特開 昭59−9505(JP,A) 特開 昭61−123985(JP,A) 特開 平2−259982(JP,A) 特開 平3−41577(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G06T 7/00 G07D 5/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円形パターンを読取り、各画素の濃度をデ
    ジタルの信号として記憶し、 記憶されたデータに基づき、上記円形パターンの中心座
    標を検出し、 記憶された情報から、上記円形パターンの少なくとも一
    部を、上記中心座標を中心として円形状もしくはリング
    状に切り出して2次元の基礎データを得、この基礎デー
    を比較すべきテンプレートと同サイズの識別用データ
    配列とし、この識別用データ配列の濃度レベルをテンプ
    レートの濃度レベルと対応付けできるように並べ替え、
    上記識別用データ配列の濃度レベルを、対応付けられた
    レベルの上記テンプレートにおける濃度レベルで置き換
    えることによりレベル変換して比較パターンを得、 この比較パターンとテンプレートのマッチング演算を、
    上記円形パターンの角座標に関して0から2πまで行な
    い、比較パターンとテンプレートとの類似度もしくは非
    類似度を検出し、 検出された類似度もしくは非類似度に基づき、上記円形
    パターンが、上記テンプレートに応じたパターンを含む
    か否かを判定することを特徴とする、円形パターン識別
    方法。
  2. 【請求項2】外形(外径および/または孔の有無および
    /または孔の径)が互いに異なる複数種の円形パターン
    を識別する方法であって、 円形パターンを読取り、各画素の濃度をデジタルの信号
    として記憶し、 記憶されたデータに基づき、上記円形パターンの中心座
    標と外形とを検出し、 検出された外形に基づき、その外形を持つ円形パターン
    に対して予め決められた切り出し形状と、この切り出し
    形状に対応するテンプレートとを選択し、 記憶された情報から上記選択された切り出し形状を、上
    記中心座標を中心とする円形状もしくはリング状に切り
    出して2次元の基礎データを得、この基礎データを比較
    すべきテンプレートと同サイズの識別用データ配列と
    し、この識別用データ配列の濃度レベルをテンプレート
    の濃度レベルと対応付けできるように並べ替え、上記識
    別用データ配列の濃度レベルを、対応付けられたレベル
    の上記テン プレートにおける濃度レベルで置き換えるこ
    とによりレベル変換して比較パターンを得、 この比較パターンと上記テンプレートのマッチング演算
    を、上記円形パターンの角座標に関して0から2πまで
    行ない、比較パターンと上記テンプレートとの類似度も
    しくは非類似度を検出し、 検出された類似度もしくは非類似度に基づき、上記円形
    パターンが、上記テンプレートに応じたパターンを含む
    か否かを判定することを特徴とする、円形パターン識別
    方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、 記憶された情報から円形パターンの特徴を良く表す部分
    を、上記中心座標を中心とする円形状もしくはリング状
    に切り出して2次元の基礎データを得ることを特徴とす
    る、円形パターン識別方法。
  4. 【請求項4】請求項1または2または3において、 テンプレートが、これに対応する2次元の基礎データと
    同サイズであり、上記基礎データ自体が識別用データ配
    列として用いられることを特徴とする円形パターン識別
    方法。
  5. 【請求項5】請求項1または2または3または4におい
    て、 2次元の基礎データから識別用データ配列を得るための
    処理が、微分絶対値和作成処理および/またはデータ圧
    縮処理を含むことを特徴とする、円形パターン識別方
    法。
  6. 【請求項6】円形パターンを読取り、各画素の濃度をデ
    ジタル信号化する入力部と、 入力部から入力されるデジタル信号を記憶する画像メモ
    リー部と、 画像メモリー部に記憶された円形パターン情報に従い、
    円形パターンの中心を演算する、中心座標演算部と、 上記円形情報の少なくとも一部を、上記中心座標演算部
    により演算された中心座標を中心として円形状もしくは
    リング状に切り出して2次元の基礎データを得るための
    画像切り出し部と、 テンプレート情報を記憶するメモリー部と、 上記画像切り出し部により得られた基礎データを比較す
    べきテンプレートと同サイズの識別用データ配列とし、
    この識別用データ配列の濃度レベルをテンプレートの濃
    度レベルと対応付けできるように並べ替え、上記識別用
    データ配列の濃度レベルを、対応付けられたレベルの上
    記テンプレートにおける濃度レベルで置き換えることに
    よりレベル変換して比較パターンを得るデータ処理部
    と、 このデータ処理部により得られる比較パターンとテンプ
    レートのマッチング演算を、上記円形パターンの角座標
    に関して0から2πまで行ない、比較パターンとテンプ
    レートとの類似度もしくは非類似度を検出する演算部
    と、 この演算部で検出された類似度もしくは非類似度に基づ
    き、上記円形パターンが、上記テンプレートに応じたパ
    ターンを含むか否かを判定するとともに、各部を制御す
    る制御識別部とを有する、円形パターン識別装置。
  7. 【請求項7】外形(外径および/または孔の有無および
    /または孔の径)が互いに異なる複数種の円形パターン
    を識別する装置であって、 円形パターンを読取り、各画素の濃度をデジタル信号化
    する入力部と、 入力部から入力されるデジタル信号を記憶する画像メモ
    リー部と、 画像メモリー部に記憶された円形パターン情報に従い、
    円形パターンの中心と外形とを演算・検出する、中心座
    標・外形演算検出部と、 上記複数種の円径パターンの個々に応じて予め定められ
    た複数のテンプレートを記憶するメモリー部と、 この中心座標・外形演算検出部により演算・検出された
    外形に基づき選択された円形状もしくはリング状の情報
    を、演算された中心座標を中心として切り出して2次元
    の基礎データを得るための画像切り出し部と、 上記画像切り出し部により得られた基礎データを比較す
    べきテンプレートと同サイズの識別用データ配列とし、
    この識別用データ配列の濃度レベルをテンプレートの濃
    度レベルと対応付けできるように並べ替え、上記識別用
    データ配列の濃 度レベルを、対応付けられたレベルの上
    記テンプレートにおける濃度レベルで置き換えることに
    よりレベル変換して比較パターンを得るデータ処理部
    と、 このデータ処理部により得られる比較パターンと上記テ
    ンプレートのマッチング演算を、読み取られた円形パタ
    ーンの角座標に関して0から2πまで行ない、比較パタ
    ーンと上記テンプレートとの類似度もしくは非類似度を
    検出する演算部と、 この演算部で検出された類似度もしくは非類似度に基づ
    き、上記円形パターンが、上記テンプレートに応じたパ
    ターンを含むか否かを判定するとともに、各部を制御
    し、且つ、上記中心座標・外形演算検出部による演算・
    検出結果に基づき、2次元の基礎データの切り出し形状
    とテンプレートの選択を行なう制御識別部とを有する、
    円形パターン識別装置。
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