JP2004110606A - 画像処理装置及び方法並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、画像処理装置に関し、処理対象画像のエントロピーを求めることによりその種類を識別することを目的とする。
【解決手段】画像処理装置は、個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求め、これに基づいて処理対象画像の種類を識別するエントロピー識別処理部5と、この識別の結果に基づいて、写真であると識別された処理対象画像については個々の画素が多値データで表された画像データとして保存し、写真ではないと識別された処理対象画像については個々の画素が2値データで表された画像データとして保存する画像データ処理部6とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】画像処理装置は、個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求め、これに基づいて処理対象画像の種類を識別するエントロピー識別処理部5と、この識別の結果に基づいて、写真であると識別された処理対象画像については個々の画素が多値データで表された画像データとして保存し、写真ではないと識別された処理対象画像については個々の画素が2値データで表された画像データとして保存する画像データ処理部6とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置及び方法並びにプログラムに関し、特に、処理対象画像のエントロピーを求めることによりその種類を識別する画像処理装置及び方法並びにプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャナ等の画像処理装置においては、読み取った画像データを格納する画像メモリの容量をできるだけ小さくすることが望ましい。そこで、読み取った画像データに着目し、写真である領域については多値データからなる画像データとして格納し、写真ではない領域については2値データからなる画像データとして格納している。多値データからなる画像データは、個々の画素が多値データで表された画像データであり、2値データからなる画像データは、個々の画素が2値データで表された画像データである。写真ではない領域としては、文字の領域の他に、図(線図を含む)の領域、表の領域が代表的である。
【0003】
そこで、写真の領域と図、表等の領域とを区別する必要がある。従来、写真、図、表等の領域を識別する手段として、ヒストグラムに基づいて求めた分散を用いている。例えば、写真の領域では、中間色が多いので、画素の(明度の)ばらつきが大きくなり、従って、分散値が大きくなると考えられている。一方、図、表等の領域では、画素の(明度の)ばらつきが小さくなり、従って、分散値が大きくなると考えられている。そこで、領域毎に画素の分散値を求め、これが大きければ写真の領域と判断し、小さければ図、表等の領域と判断している。
【0004】
なお、画像処理において、その種々の処理の過程でヒストグラムを用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−103399号公報(第5段落〜第22段落)
【特許文献2】
特開平7−168939号公報(第22段落〜第32段落)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、写真の領域と図、表等の領域とを区別するために画素の分散値を用いた場合、誤って判別してしまう場合があった。特に、本来は図、表等の領域であるにもにかかわらず、写真の領域であると誤って判別してしまう場合があった。この理由は、本発明者の検討によれば、以下の通りである。
【0007】
即ち、写真、表、線図の画像を読み取り、各々の画像について個々の画素を多値データで表してその分布(ヒストグラム)を求めると、図7に示すようになる。写真はモノクロ写真又はカラー写真であり、表及び線図は文字と同様に白黒の2色からなる。なお、各々のヒストグラムにおいて、縦軸は頻度(当該値をとる画素の個数)、横軸は多値データである画素の値(例えば、0〜255階調)、点線eは画素の値の平均値を示す。
【0008】
写真の画像のヒストグラムについてみると、画素値が広範囲に分布するので、分散値が大きくなり、写真の領域であると判断することができる。しかし、表の画像のヒストグラムについてみると、画素値はほぼ白及び黒の位置に存在し双璧を形成するが、平均値eからの距離が大きいので、分散値が大きくなってしまい、写真の領域であると誤って判断されてしまう。また、図(線図)の画像のヒストグラムの場合も同様である。
【0009】
この結果、本来は写真ではない領域として判別し、2値データからなる画像データとして格納すべき図、表等の領域を、写真の領域であると判別し、多値データからなる画像データを格納することになる。これが、読み取った画像データを格納する画像メモリの容量を小さくする妨げになっている。
【0010】
本発明は、処理対象画像のエントロピーを求めることによりその種類を識別する画像処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、処理対象画像のエントロピーを求めることによりその種類を識別する画像処理方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、処理対象画像のエントロピーを求めることによりその種類を識別する画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求め、これに基づいて当該処理対象画像の種類を識別するエントロピー識別処理部を備える。
【0014】
本発明の画像処理方法は、個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求め、これに基づいて当該処理対象画像の種類を識別する。
【0015】
本発明の画像処理装置及び方法によれば、写真の領域と図、表等の領域とを区別するために画素のエントロピーを用いるので、画素の分散値を用いた場合のように、本来は図、表等の領域であるにもにかかわらず、写真の領域であると誤って判別してしまうことがない。即ち、理由については後述するが、写真の画像のエントロピーは、画素値が広範囲に分布するので、多様性が大きくなり、写真の領域であると正しく判断することができる。また、表及び図(線図)の画像のエントロピーは、画素値はほぼ白及び黒の位置に集中して双璧を形成するように存在するので、多様性が小さくなり、写真ではない(表及び図である)と正しく判断することができる。この結果、2値データからなる画像データとして格納すべき図、表等の領域を、写真の領域と区別して正しく判別することができ、画像メモリの容量を小さくすることができる。
【0016】
本発明の画像処理プログラムは、画像処理装置において画像の種類を識別する画像処理プログラムであって、前記プログラムは、コンピュータに、個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求させ、これに基づいて当該処理対象画像の種類を識別させる。
【0017】
本発明の画像処理プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、CDR/W、DVD等の記録媒体に格納して、提供することができるので、容易に前述の画像処理装置及び方法を実現することができ、図、表等の領域を、写真の領域と区別して正しく判別することができ、当該画像処理装置の画像メモリの容量を小さくすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は画像処理装置構成図であり、本発明の画像処理装置の構成を示す。
【0019】
画像処理装置は、例えばスキャナ等からなり、画像読取処理部1、2値化処理部2、ラベリング処理部3、大矩形抽出処理部4、エントロピー識別処理部5、画像データ処理部6、画像データ格納部7を備える。なお、画像処理装置は、コピー機、ファクシミリ等の他の画像処理装置であってもよい。
【0020】
画像読取処理部1は、例えば画像の描かれた原稿等の媒体から周知の手段により当該画像を読み取ることにより、全体の画像データを取得する。全体の画像データは、例えば個々の画素が例えば24ビット(フルカラー)のデータで表されたカラー画像又は個々の画素が8ビットのデータで表された多値画像である。画像読取処理部1は、例えば周知のCCDからなる画像読取部、増幅器、AD(アナログ/デジタル)変換器等からなる。画像読取処理部1は、取得した全体の画像データを2値化処理部2(即ち、部分画像生成手段)及び画像データ処理部6に送る。
【0021】
なお、全体の画像データは、画像読取処理部1において読み取ったものでなく、他の画像読取装置により読み取って予め用意されたものであってもよい。この場合、2値化処理部2が当該全体の画像データを当該記憶領域から読み出せばよい。
【0022】
2値化処理部2は、ラベリング処理部3と共に部分画像生成手段を構成し、画像読取処理部1からの全体の画像データを、周知の2値化処理により2値化する。即ち、個々の画素は、「0(即ち白)」又は「1(即ち黒)」のいずれかとされる。これにより、個々の画素が2値データで表された2値画像データが生成される。2値化処理部2は、全体の画像データと共に、2値画像データをラベリング処理部3へ送る。
【0023】
ラベリング処理部3は、2値化処理部2と共に部分画像生成手段を構成し、周知のラベリング処理により、図2に示すように、2値化処理部2からの2値画像データにおいて黒画素の連続する領域を矩形(正方形又は長方形)に囲んだ領域とし、これに順番を付する。これにより、順番の付与された1又は複数の部分画像が生成される。ラベリング処理部3は、1又は複数の部分画像の生成を大矩形抽出処理部4に通知する。
【0024】
図2において、全体の画像データ100から生成される部分画像において、1個の写真、1個の表、1個の図(線図を含む)は、各々、1個の部分画像101、102、103とされる。これに対して、文字は、文章ではなく、個々の文字が各々1個又は複数の部分画像104とされる。例えば「イ」は図2に点線で示すように1個の部分画像104であるが、「い」は、図示しないが、黒画素が連続していないので、左右が別々の2個の部分画像とされる。部分画像の矩形は、当該連続する黒画素の座標(全体の画像データ100における座標、以下同じ)に依存する。例えば、当該連続する黒画素のx座標の最小値x1から所定の値aを引いた値x1−aが当該矩形の1辺のx座標とされ、x座標の最大値x2に前記所定の値aを加えた値x2+aが当該矩形の他の1辺のx座標とされる。y座標についても、同様に、最小値y1から所定の値aを引いた値y1−a、及び、最大値y2に前記所定の値aを加えた値y2+aが求まる。
【0025】
ラベリング処理部3は、例えば図3に示すような処理テーブル31を生成する。処理テーブル31は、ラベリングされた部分画像毎に、その番号、位置座標、格納アドレス、画素分布、エントロピー、識別結果を格納する。但し、処理テーブル31が作成された時点では、画素分布、エントロピー、識別結果は空である。位置座標は前述の座標により定まる位置A(x1−a,y1−a)及びB(x2+a,y2+a)である。これにより、当該矩形の対角の2頂点A及びBを示すことになり、当該矩形の位置を定めることができる。格納アドレスは、当該ラベリングされた部分画像の格納されるアドレスをポイントする。従って、当該ラベリングされた部分画像は他の格納領域(図示せず)に格納される。当該ラベリングされた部分画像は、全体の画像データ(原画像)100から、当該位置A(x1−a,y1−a)及びB(x2+a,y2+a)により定まる矩形に対応する部分を読み出すことにより得られる。
【0026】
なお、この例では、部分画像生成手段は、2値化処理部2とラベリング処理部3とからなるが、部分画像生成手段はこの例に限らない。部分画像生成手段は、全体の画像データにおいて画素の存在する領域を矩形に囲んだ1又は複数の部分画像を生成するものであればよい。また、部分画像は、他の画像処理装置において生成したものを利用するようにしてもよい。この場合、大矩形抽出処理部4が当該部分画像(の画像データ)を当該記憶領域から読み出せばよい。
【0027】
大矩形抽出処理部4は、ラベリング処理部3からの通知に応じて、1又は複数の部分画像(即ち、処理対象画像)について、所定の大きさ(面積)よりも大きい面積の(即ち、大矩形の)部分画像を抽出し、当該抽出したことをエントロピー識別処理部5に通知する。部分画像の面積は、処理テーブル31の当該位置座標から求まる。所定の面積は以下のように予め定められる。これにより、所定の大きさ以下の(小矩形の)部分画像については、後述するエントロピーの算出を行わない。図2から判るように、通常の文書(の全体の画像データ100)では、文字の領域は明らかに写真の領域よりも小さい。そこで、これを利用して、この例では、明らかに文字の大きさであろうと思われる領域については、エントロピーによる識別を行うことなく、これを文字の領域(即ち、写真ではない領域)と判断する。従って、所定の大きさは、例えば12〜14ポイント程度の活字の大きさの領域について、前述のように、矩形を定めた場合の大きさとされる。大矩形抽出処理部4は、小矩形の部分画像については、処理テーブル31の当該識別結果の欄に文字(の領域)であることを書き込む。小矩形の部分画像については、エントロピーの算出が不要であるので、処理テーブル31の画素分布及びエントロピーの欄は空のままである。
【0028】
エントロピー識別処理部5は、個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求め、これに基づいて当該処理対象画像の種類を識別し、当該識別したことを画像データ処理部6に通知する。処理対象画像は、大矩形抽出処理部4により大矩形であるとされた1又は複数の部分画像であり、処理テーブル31における当該識別結果が空の部分画像である。従って、エントロピー識別処理部5は、前述のように、明らかに文字である(と思われる)領域の部分画像を除いて、所定の大きさよりも大きい部分画像について、そのエントロピーを求めることにより、当該所定の大きさよりも大きい部分画像の種類を識別する。
【0029】
ここで、画素のエントロピーについて、及び、本発明におけるエントロピーの適用について、図4を参照して説明する。
【0030】
図4(A)に示すように、事象A1〜A6とその各々の発生確率P1〜P6が定義されており、発生確率P1〜P6の総和が1であるような事象系(完全事象系)を考える。この完全事象系におけるエントロピー(平均情報量)の値は、Σ〔Pi*LOG(1/Pi)〕
で与えられる。このエントロピーの値は、発生した場合に与えられる情報量の期待値を表している。当該値が大きいと言うことは、各事象が発生した場合に得られる情報量が大きいことが期待できる。即ち、この完全事象系の予測困難性及び多様性を示すことになる。
【0031】
このエントロピーの値により表される予測困難性及び多様性を本発明に適用するために、この完全事象系を画素の値の分布系であると考える。ここで、画素の値は、図4(B)に示すように、例えば明度を示す値であり、0〜255の256階調に分布するとする。この場合、1個の画素は、必ず0〜255のいずれかの階調(事象)に属し、その発生確率P0〜P255の総和は1である。従って、この系は完全事象系であり、そのエントロピーは前述の式により求めることができる。
【0032】
そこで、図5に示すように、エントロピー識別処理部5は、写真、表、線図の画像を読み取った各々について、個々の画素を多値データで表してその分布(ヒストグラム)を求める。写真はモノクロ写真又はカラー写真であり、表及び線図は文字と同様に白黒の2色からなる。なお、各々のヒストグラムにおいて、縦軸は頻度(当該値をとる画素の個数)、横軸は多値データである画素の値を示す。画素の値(明度)は、前述のように、例えば0〜255階調である(この処理までは図7と同様である)。
【0033】
この分布の結果に基づいて、エントロピー識別処理部5は、全体の画素の数を1として、個々の明度(事象)の発生確率を求める。写真の画像の場合、画素値が広範囲に分布するので、個々の明度の発生確率が小さくなり、前述の式からエントロピーの値が大きくなることが判る。従って、エントロピー識別処理部5は、当該画像は写真の領域であると判断する。
【0034】
表の画像の場合、画素値はほぼ白及び黒の位置に存在し双璧を形成し狭い分布となるので、個々の明度の発生確率が大きくなり、前述の式からエントロピーの値が小さくなることが判る。従って、エントロピー識別処理部5は、当該画像は写真の領域ではない(図表の領域)と判断する。また、図(線図)の画像の場合も、同様に、エントロピーの値が小さくなるので、エントロピー識別処理部5は、当該画像は写真の領域ではないと判断することができる。なお、この例では、実際には、通常の文字よりも明らかに大きい大矩形の部分画像についてエントロピーの値による識別を行なうので、写真の領域ではない領域は、表や図の領域であると判断することができる。
【0035】
但し、個々の画素の取り得る値(例えば0〜255)の各々を1個の事象としたのでは、当該値が1違うだけで異なる事象として処理することとなる。この結果、エントロピー値の増大を助長し、結果として、写真と表や図との識別性を低下させることになる。一方、周知のように、L* a* b* 色空間におけるユークリッド距離である色差が3.0〜6.0程度で、人間の眼で差異を感じるとされている。これを例えば0〜255階調で表される明度に換算すると、明度幅8〜16(階調)程度となる。
【0036】
そこで、エントロピー識別処理部5は、多値データの取り得る値を複数の範囲にグルーピングする。各々のグループの大きさは(この例では、明度の幅)等しくされる。例えば、個々の画素が8ビット(256階調)の多値データで表されている場合、この例では、明度幅8の32個のグループ(事象)に等分する。そして、エントロピー識別処理部5は、等分された複数の範囲の各々を1個の事象として、個々の画素が多値データで表された部分画像について、そのエントロピーを求める。
【0037】
なお、個々の画素が8ビットの多値データで表されている場合、明度幅16の16個のグループ(事象)に等分するようにしてもよい。また、個々の画素が他のビット数の多値データで表されている場合、明度幅を8又は16の複数のグループ(事象)に等分するようにしてもよい。
【0038】
実際には、エントロピー識別処理部5は、処理テーブル31を参照して当該識別結果の欄が空である部分画像を、先頭から順に、対応する格納アドレスを参照して読み出し、当該読み出した1又は複数の部分画像を多値化して、個々の画素が多値データで表された多値画像データを生成する。この例では、8ビット(0〜255の256階調)の多値データとされる。そして、エントロピー識別処理部5は、この8ビットの多値データからなる部分画像について、図5に示すように個々の画素の値の分布を求め、処理テーブル31の対応する画素分布の欄に書き込む。そして、エントロピー識別処理部5は、当該書き込んだ画素分布に基づいて、当該部分画像のエントロピーを求め、処理テーブル31の対応するエントロピーの欄に書き込む。この時、前述のように、明度幅8で等分した32個のグループの各々を1個の事象として当該事象の発生確率が求められ、これを用いてエントロピーが求められる。更に、エントロピー識別処理部5は、当該書き込んだエントロピーに基づいて、当該部分画像の種類を識別して、処理テーブル31の対応する識別結果の欄に書き込む。これにより、図5に示すように、写真の領域と、表や図の領域とを正しく識別することができる。
【0039】
画像データ処理部6は、画像読取処理部1からの全体の画像データ100を所定の格納領域(図示せず)に保持し、エントロピー識別処理部5からの通知に応じて、当該全体の画像データ100と部分画像の種類の識別の結果とに基づいて、処理対象である部分画像の種類に応じた処理により格納画像データを生成し、画像データ格納部7に格納する。即ち、画像データ処理部6は、処理テーブル31を参照して、当該識別結果が写真である部分画像については個々の画素が多値データで表された画像データとして保存し、当該識別結果が写真ではない(即ち、図表又は文字である)部分画像については個々の画素が2値データで表された画像データとして保存する。これにより、部分画像101以外の当該全体の画像データ100の大部分を2値データで格納できるので、画像データ格納部7の記憶容量を小さくすることができる。
【0040】
図6は画像処理フローであり、本発明の画像処理装置における画像処理の一例を示す。
【0041】
画像読取処理部1が画像から全体の画像データを読み取ると(ステップS1)、2値化処理部2が全体の画像データについて周知の2値化処理を行い(ステップS2)、ラベリング処理部3が2値化処理された画像データについて周知のラベリング処理を行い、処理テーブル31を作成する(ステップS3)。
【0042】
大矩形抽出処理部4が、処理テーブル31を参照して、ラベリングされた部分画像をそのラベルの順に1個取り出し(ステップS4)、当該部分画像が所定の大きさよりも大きい矩形(大矩形)であるか否かを調べる(ステップS5)。大矩形でない場合、大矩形抽出処理部4は、当該部分画像は文字の領域であり写真でない領域であると識別して、これを処理テーブル31の当該識別結果の欄に書き込み(ステップS6)、ステップS4以下を繰り返す。即ち、ラベリングされた部分画像の次の順の1個を取り出し、同様の処理を行なう。
【0043】
ステップS5において大矩形である場合、エントロピー識別処理部5が、処理テーブル31を参照して、当該格納アドレスから読み出した当該部分画像についての8ビット(256階調)の多値データを生成し(ステップS7)、当該多値データにおける画素値の分布を解析し(ステップS8)、この分布の解析結果に基づいて、明度幅8で等分した32個のグループの各々を1個の事象として当該事象の発生確率を求め、これを用いて画素のエントロピーを前述の演算により算出し(ステップS9)、このエントロピーに基づいて当該部分画像の種類を識別する(ステップS10)。即ち、当該エントロピーの値が大きければ写真の領域であると識別し、当該エントロピーの値が小さければ写真でない領域(即ち、表や図の領域)であると識別する。前述のように、画素の分布、エントロピー、識別結果は、処理テーブル31の当該位置に書き込まれる。
【0044】
この後、例えばエントロピー識別処理部5が、処理テーブル31を参照して、当該部分画像が最後の部分画像であるか否かを調べ(ステップS11)、最後の部分画像でない場合、ステップS4以下を繰り返す。即ち、大矩形抽出処理部4が、ラベリングされた部分画像の次の順の1個を取り出し、同様の処理を行なう。
【0045】
最後の部分画像である場合、画像データ処理部6が、処理テーブル31を参照して、エントロピー識別処理部5における部分画像の識別の結果に基づいて、画像読取処理部1で読み取った全体の画像データ100について画像処理を行い、当該画像処理の結果である格納画像データを、画像データ格納部7に格納する(ステップS12)。これにより、画像データ格納部7の記憶容量が大きくなることを防止することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像処理装置及び方法において、写真の領域と図、表等の領域とを区別するために画素のエントロピーを用いるので、画素の分散値を用いた場合のように、本来は図、表等の領域であるにもにかかわらず、写真の領域であると誤って判別してしまうことを防止することができる。即ち、写真の画像のエントロピーは、画素値が広範囲に分布するので、多様性が大きくなり、写真の領域であると正しく判断することができる。また、表及び図(線図)の画像のエントロピーは、画素値はほぼ白及び黒の位置に集中して双璧を形成するように存在するので、多様性が小さくなり、写真ではない(表及び図である)と正しく判断することができる。この結果、2値データからなる画像データとして格納すべき図、表等の領域を、写真の領域と区別して正しく判別することができ、画像メモリの容量を小さくすることができる。
【0047】
また、本発明によれば、画像処理プログラムをフレキシブルディスク、CD−ROM、CDR/W、DVD等の記録媒体に格納して提供することができるので、容易に前述の画像処理装置及び方法を実現することができ、図、表等の領域を、写真の領域と区別して正しく判別することができ、当該画像処理装置の画像メモリの容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像処理装置構成図であり、本発明の画像処理装置の構成を示す。
【図2】画像処理装置説明図であり、図1の画像処理装置における画像処理を示す。
【図3】画像処理装置説明図であり、図1の画像処理装置における画像処理を示す。
【図4】画像処理装置説明図であり、図1の画像処理装置における画像処理を示す。
【図5】画像処理装置説明図であり、図1の画像処理装置における画像処理を示す。
【図6】画像処理フローであり、図1の画像処理装置における画像処理を示す。
【図7】従来技術説明図である。
【符号の説明】
1 画像読取処理部
2 2値化処理部
3 ラベリング処理部
4 大矩形抽出処理部
5 エントロピー識別処理部
6 画像データ処理部
7 画像データ格納部
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置及び方法並びにプログラムに関し、特に、処理対象画像のエントロピーを求めることによりその種類を識別する画像処理装置及び方法並びにプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャナ等の画像処理装置においては、読み取った画像データを格納する画像メモリの容量をできるだけ小さくすることが望ましい。そこで、読み取った画像データに着目し、写真である領域については多値データからなる画像データとして格納し、写真ではない領域については2値データからなる画像データとして格納している。多値データからなる画像データは、個々の画素が多値データで表された画像データであり、2値データからなる画像データは、個々の画素が2値データで表された画像データである。写真ではない領域としては、文字の領域の他に、図(線図を含む)の領域、表の領域が代表的である。
【0003】
そこで、写真の領域と図、表等の領域とを区別する必要がある。従来、写真、図、表等の領域を識別する手段として、ヒストグラムに基づいて求めた分散を用いている。例えば、写真の領域では、中間色が多いので、画素の(明度の)ばらつきが大きくなり、従って、分散値が大きくなると考えられている。一方、図、表等の領域では、画素の(明度の)ばらつきが小さくなり、従って、分散値が大きくなると考えられている。そこで、領域毎に画素の分散値を求め、これが大きければ写真の領域と判断し、小さければ図、表等の領域と判断している。
【0004】
なお、画像処理において、その種々の処理の過程でヒストグラムを用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−103399号公報(第5段落〜第22段落)
【特許文献2】
特開平7−168939号公報(第22段落〜第32段落)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、写真の領域と図、表等の領域とを区別するために画素の分散値を用いた場合、誤って判別してしまう場合があった。特に、本来は図、表等の領域であるにもにかかわらず、写真の領域であると誤って判別してしまう場合があった。この理由は、本発明者の検討によれば、以下の通りである。
【0007】
即ち、写真、表、線図の画像を読み取り、各々の画像について個々の画素を多値データで表してその分布(ヒストグラム)を求めると、図7に示すようになる。写真はモノクロ写真又はカラー写真であり、表及び線図は文字と同様に白黒の2色からなる。なお、各々のヒストグラムにおいて、縦軸は頻度(当該値をとる画素の個数)、横軸は多値データである画素の値(例えば、0〜255階調)、点線eは画素の値の平均値を示す。
【0008】
写真の画像のヒストグラムについてみると、画素値が広範囲に分布するので、分散値が大きくなり、写真の領域であると判断することができる。しかし、表の画像のヒストグラムについてみると、画素値はほぼ白及び黒の位置に存在し双璧を形成するが、平均値eからの距離が大きいので、分散値が大きくなってしまい、写真の領域であると誤って判断されてしまう。また、図(線図)の画像のヒストグラムの場合も同様である。
【0009】
この結果、本来は写真ではない領域として判別し、2値データからなる画像データとして格納すべき図、表等の領域を、写真の領域であると判別し、多値データからなる画像データを格納することになる。これが、読み取った画像データを格納する画像メモリの容量を小さくする妨げになっている。
【0010】
本発明は、処理対象画像のエントロピーを求めることによりその種類を識別する画像処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、処理対象画像のエントロピーを求めることによりその種類を識別する画像処理方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、処理対象画像のエントロピーを求めることによりその種類を識別する画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求め、これに基づいて当該処理対象画像の種類を識別するエントロピー識別処理部を備える。
【0014】
本発明の画像処理方法は、個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求め、これに基づいて当該処理対象画像の種類を識別する。
【0015】
本発明の画像処理装置及び方法によれば、写真の領域と図、表等の領域とを区別するために画素のエントロピーを用いるので、画素の分散値を用いた場合のように、本来は図、表等の領域であるにもにかかわらず、写真の領域であると誤って判別してしまうことがない。即ち、理由については後述するが、写真の画像のエントロピーは、画素値が広範囲に分布するので、多様性が大きくなり、写真の領域であると正しく判断することができる。また、表及び図(線図)の画像のエントロピーは、画素値はほぼ白及び黒の位置に集中して双璧を形成するように存在するので、多様性が小さくなり、写真ではない(表及び図である)と正しく判断することができる。この結果、2値データからなる画像データとして格納すべき図、表等の領域を、写真の領域と区別して正しく判別することができ、画像メモリの容量を小さくすることができる。
【0016】
本発明の画像処理プログラムは、画像処理装置において画像の種類を識別する画像処理プログラムであって、前記プログラムは、コンピュータに、個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求させ、これに基づいて当該処理対象画像の種類を識別させる。
【0017】
本発明の画像処理プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、CDR/W、DVD等の記録媒体に格納して、提供することができるので、容易に前述の画像処理装置及び方法を実現することができ、図、表等の領域を、写真の領域と区別して正しく判別することができ、当該画像処理装置の画像メモリの容量を小さくすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は画像処理装置構成図であり、本発明の画像処理装置の構成を示す。
【0019】
画像処理装置は、例えばスキャナ等からなり、画像読取処理部1、2値化処理部2、ラベリング処理部3、大矩形抽出処理部4、エントロピー識別処理部5、画像データ処理部6、画像データ格納部7を備える。なお、画像処理装置は、コピー機、ファクシミリ等の他の画像処理装置であってもよい。
【0020】
画像読取処理部1は、例えば画像の描かれた原稿等の媒体から周知の手段により当該画像を読み取ることにより、全体の画像データを取得する。全体の画像データは、例えば個々の画素が例えば24ビット(フルカラー)のデータで表されたカラー画像又は個々の画素が8ビットのデータで表された多値画像である。画像読取処理部1は、例えば周知のCCDからなる画像読取部、増幅器、AD(アナログ/デジタル)変換器等からなる。画像読取処理部1は、取得した全体の画像データを2値化処理部2(即ち、部分画像生成手段)及び画像データ処理部6に送る。
【0021】
なお、全体の画像データは、画像読取処理部1において読み取ったものでなく、他の画像読取装置により読み取って予め用意されたものであってもよい。この場合、2値化処理部2が当該全体の画像データを当該記憶領域から読み出せばよい。
【0022】
2値化処理部2は、ラベリング処理部3と共に部分画像生成手段を構成し、画像読取処理部1からの全体の画像データを、周知の2値化処理により2値化する。即ち、個々の画素は、「0(即ち白)」又は「1(即ち黒)」のいずれかとされる。これにより、個々の画素が2値データで表された2値画像データが生成される。2値化処理部2は、全体の画像データと共に、2値画像データをラベリング処理部3へ送る。
【0023】
ラベリング処理部3は、2値化処理部2と共に部分画像生成手段を構成し、周知のラベリング処理により、図2に示すように、2値化処理部2からの2値画像データにおいて黒画素の連続する領域を矩形(正方形又は長方形)に囲んだ領域とし、これに順番を付する。これにより、順番の付与された1又は複数の部分画像が生成される。ラベリング処理部3は、1又は複数の部分画像の生成を大矩形抽出処理部4に通知する。
【0024】
図2において、全体の画像データ100から生成される部分画像において、1個の写真、1個の表、1個の図(線図を含む)は、各々、1個の部分画像101、102、103とされる。これに対して、文字は、文章ではなく、個々の文字が各々1個又は複数の部分画像104とされる。例えば「イ」は図2に点線で示すように1個の部分画像104であるが、「い」は、図示しないが、黒画素が連続していないので、左右が別々の2個の部分画像とされる。部分画像の矩形は、当該連続する黒画素の座標(全体の画像データ100における座標、以下同じ)に依存する。例えば、当該連続する黒画素のx座標の最小値x1から所定の値aを引いた値x1−aが当該矩形の1辺のx座標とされ、x座標の最大値x2に前記所定の値aを加えた値x2+aが当該矩形の他の1辺のx座標とされる。y座標についても、同様に、最小値y1から所定の値aを引いた値y1−a、及び、最大値y2に前記所定の値aを加えた値y2+aが求まる。
【0025】
ラベリング処理部3は、例えば図3に示すような処理テーブル31を生成する。処理テーブル31は、ラベリングされた部分画像毎に、その番号、位置座標、格納アドレス、画素分布、エントロピー、識別結果を格納する。但し、処理テーブル31が作成された時点では、画素分布、エントロピー、識別結果は空である。位置座標は前述の座標により定まる位置A(x1−a,y1−a)及びB(x2+a,y2+a)である。これにより、当該矩形の対角の2頂点A及びBを示すことになり、当該矩形の位置を定めることができる。格納アドレスは、当該ラベリングされた部分画像の格納されるアドレスをポイントする。従って、当該ラベリングされた部分画像は他の格納領域(図示せず)に格納される。当該ラベリングされた部分画像は、全体の画像データ(原画像)100から、当該位置A(x1−a,y1−a)及びB(x2+a,y2+a)により定まる矩形に対応する部分を読み出すことにより得られる。
【0026】
なお、この例では、部分画像生成手段は、2値化処理部2とラベリング処理部3とからなるが、部分画像生成手段はこの例に限らない。部分画像生成手段は、全体の画像データにおいて画素の存在する領域を矩形に囲んだ1又は複数の部分画像を生成するものであればよい。また、部分画像は、他の画像処理装置において生成したものを利用するようにしてもよい。この場合、大矩形抽出処理部4が当該部分画像(の画像データ)を当該記憶領域から読み出せばよい。
【0027】
大矩形抽出処理部4は、ラベリング処理部3からの通知に応じて、1又は複数の部分画像(即ち、処理対象画像)について、所定の大きさ(面積)よりも大きい面積の(即ち、大矩形の)部分画像を抽出し、当該抽出したことをエントロピー識別処理部5に通知する。部分画像の面積は、処理テーブル31の当該位置座標から求まる。所定の面積は以下のように予め定められる。これにより、所定の大きさ以下の(小矩形の)部分画像については、後述するエントロピーの算出を行わない。図2から判るように、通常の文書(の全体の画像データ100)では、文字の領域は明らかに写真の領域よりも小さい。そこで、これを利用して、この例では、明らかに文字の大きさであろうと思われる領域については、エントロピーによる識別を行うことなく、これを文字の領域(即ち、写真ではない領域)と判断する。従って、所定の大きさは、例えば12〜14ポイント程度の活字の大きさの領域について、前述のように、矩形を定めた場合の大きさとされる。大矩形抽出処理部4は、小矩形の部分画像については、処理テーブル31の当該識別結果の欄に文字(の領域)であることを書き込む。小矩形の部分画像については、エントロピーの算出が不要であるので、処理テーブル31の画素分布及びエントロピーの欄は空のままである。
【0028】
エントロピー識別処理部5は、個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求め、これに基づいて当該処理対象画像の種類を識別し、当該識別したことを画像データ処理部6に通知する。処理対象画像は、大矩形抽出処理部4により大矩形であるとされた1又は複数の部分画像であり、処理テーブル31における当該識別結果が空の部分画像である。従って、エントロピー識別処理部5は、前述のように、明らかに文字である(と思われる)領域の部分画像を除いて、所定の大きさよりも大きい部分画像について、そのエントロピーを求めることにより、当該所定の大きさよりも大きい部分画像の種類を識別する。
【0029】
ここで、画素のエントロピーについて、及び、本発明におけるエントロピーの適用について、図4を参照して説明する。
【0030】
図4(A)に示すように、事象A1〜A6とその各々の発生確率P1〜P6が定義されており、発生確率P1〜P6の総和が1であるような事象系(完全事象系)を考える。この完全事象系におけるエントロピー(平均情報量)の値は、Σ〔Pi*LOG(1/Pi)〕
で与えられる。このエントロピーの値は、発生した場合に与えられる情報量の期待値を表している。当該値が大きいと言うことは、各事象が発生した場合に得られる情報量が大きいことが期待できる。即ち、この完全事象系の予測困難性及び多様性を示すことになる。
【0031】
このエントロピーの値により表される予測困難性及び多様性を本発明に適用するために、この完全事象系を画素の値の分布系であると考える。ここで、画素の値は、図4(B)に示すように、例えば明度を示す値であり、0〜255の256階調に分布するとする。この場合、1個の画素は、必ず0〜255のいずれかの階調(事象)に属し、その発生確率P0〜P255の総和は1である。従って、この系は完全事象系であり、そのエントロピーは前述の式により求めることができる。
【0032】
そこで、図5に示すように、エントロピー識別処理部5は、写真、表、線図の画像を読み取った各々について、個々の画素を多値データで表してその分布(ヒストグラム)を求める。写真はモノクロ写真又はカラー写真であり、表及び線図は文字と同様に白黒の2色からなる。なお、各々のヒストグラムにおいて、縦軸は頻度(当該値をとる画素の個数)、横軸は多値データである画素の値を示す。画素の値(明度)は、前述のように、例えば0〜255階調である(この処理までは図7と同様である)。
【0033】
この分布の結果に基づいて、エントロピー識別処理部5は、全体の画素の数を1として、個々の明度(事象)の発生確率を求める。写真の画像の場合、画素値が広範囲に分布するので、個々の明度の発生確率が小さくなり、前述の式からエントロピーの値が大きくなることが判る。従って、エントロピー識別処理部5は、当該画像は写真の領域であると判断する。
【0034】
表の画像の場合、画素値はほぼ白及び黒の位置に存在し双璧を形成し狭い分布となるので、個々の明度の発生確率が大きくなり、前述の式からエントロピーの値が小さくなることが判る。従って、エントロピー識別処理部5は、当該画像は写真の領域ではない(図表の領域)と判断する。また、図(線図)の画像の場合も、同様に、エントロピーの値が小さくなるので、エントロピー識別処理部5は、当該画像は写真の領域ではないと判断することができる。なお、この例では、実際には、通常の文字よりも明らかに大きい大矩形の部分画像についてエントロピーの値による識別を行なうので、写真の領域ではない領域は、表や図の領域であると判断することができる。
【0035】
但し、個々の画素の取り得る値(例えば0〜255)の各々を1個の事象としたのでは、当該値が1違うだけで異なる事象として処理することとなる。この結果、エントロピー値の増大を助長し、結果として、写真と表や図との識別性を低下させることになる。一方、周知のように、L* a* b* 色空間におけるユークリッド距離である色差が3.0〜6.0程度で、人間の眼で差異を感じるとされている。これを例えば0〜255階調で表される明度に換算すると、明度幅8〜16(階調)程度となる。
【0036】
そこで、エントロピー識別処理部5は、多値データの取り得る値を複数の範囲にグルーピングする。各々のグループの大きさは(この例では、明度の幅)等しくされる。例えば、個々の画素が8ビット(256階調)の多値データで表されている場合、この例では、明度幅8の32個のグループ(事象)に等分する。そして、エントロピー識別処理部5は、等分された複数の範囲の各々を1個の事象として、個々の画素が多値データで表された部分画像について、そのエントロピーを求める。
【0037】
なお、個々の画素が8ビットの多値データで表されている場合、明度幅16の16個のグループ(事象)に等分するようにしてもよい。また、個々の画素が他のビット数の多値データで表されている場合、明度幅を8又は16の複数のグループ(事象)に等分するようにしてもよい。
【0038】
実際には、エントロピー識別処理部5は、処理テーブル31を参照して当該識別結果の欄が空である部分画像を、先頭から順に、対応する格納アドレスを参照して読み出し、当該読み出した1又は複数の部分画像を多値化して、個々の画素が多値データで表された多値画像データを生成する。この例では、8ビット(0〜255の256階調)の多値データとされる。そして、エントロピー識別処理部5は、この8ビットの多値データからなる部分画像について、図5に示すように個々の画素の値の分布を求め、処理テーブル31の対応する画素分布の欄に書き込む。そして、エントロピー識別処理部5は、当該書き込んだ画素分布に基づいて、当該部分画像のエントロピーを求め、処理テーブル31の対応するエントロピーの欄に書き込む。この時、前述のように、明度幅8で等分した32個のグループの各々を1個の事象として当該事象の発生確率が求められ、これを用いてエントロピーが求められる。更に、エントロピー識別処理部5は、当該書き込んだエントロピーに基づいて、当該部分画像の種類を識別して、処理テーブル31の対応する識別結果の欄に書き込む。これにより、図5に示すように、写真の領域と、表や図の領域とを正しく識別することができる。
【0039】
画像データ処理部6は、画像読取処理部1からの全体の画像データ100を所定の格納領域(図示せず)に保持し、エントロピー識別処理部5からの通知に応じて、当該全体の画像データ100と部分画像の種類の識別の結果とに基づいて、処理対象である部分画像の種類に応じた処理により格納画像データを生成し、画像データ格納部7に格納する。即ち、画像データ処理部6は、処理テーブル31を参照して、当該識別結果が写真である部分画像については個々の画素が多値データで表された画像データとして保存し、当該識別結果が写真ではない(即ち、図表又は文字である)部分画像については個々の画素が2値データで表された画像データとして保存する。これにより、部分画像101以外の当該全体の画像データ100の大部分を2値データで格納できるので、画像データ格納部7の記憶容量を小さくすることができる。
【0040】
図6は画像処理フローであり、本発明の画像処理装置における画像処理の一例を示す。
【0041】
画像読取処理部1が画像から全体の画像データを読み取ると(ステップS1)、2値化処理部2が全体の画像データについて周知の2値化処理を行い(ステップS2)、ラベリング処理部3が2値化処理された画像データについて周知のラベリング処理を行い、処理テーブル31を作成する(ステップS3)。
【0042】
大矩形抽出処理部4が、処理テーブル31を参照して、ラベリングされた部分画像をそのラベルの順に1個取り出し(ステップS4)、当該部分画像が所定の大きさよりも大きい矩形(大矩形)であるか否かを調べる(ステップS5)。大矩形でない場合、大矩形抽出処理部4は、当該部分画像は文字の領域であり写真でない領域であると識別して、これを処理テーブル31の当該識別結果の欄に書き込み(ステップS6)、ステップS4以下を繰り返す。即ち、ラベリングされた部分画像の次の順の1個を取り出し、同様の処理を行なう。
【0043】
ステップS5において大矩形である場合、エントロピー識別処理部5が、処理テーブル31を参照して、当該格納アドレスから読み出した当該部分画像についての8ビット(256階調)の多値データを生成し(ステップS7)、当該多値データにおける画素値の分布を解析し(ステップS8)、この分布の解析結果に基づいて、明度幅8で等分した32個のグループの各々を1個の事象として当該事象の発生確率を求め、これを用いて画素のエントロピーを前述の演算により算出し(ステップS9)、このエントロピーに基づいて当該部分画像の種類を識別する(ステップS10)。即ち、当該エントロピーの値が大きければ写真の領域であると識別し、当該エントロピーの値が小さければ写真でない領域(即ち、表や図の領域)であると識別する。前述のように、画素の分布、エントロピー、識別結果は、処理テーブル31の当該位置に書き込まれる。
【0044】
この後、例えばエントロピー識別処理部5が、処理テーブル31を参照して、当該部分画像が最後の部分画像であるか否かを調べ(ステップS11)、最後の部分画像でない場合、ステップS4以下を繰り返す。即ち、大矩形抽出処理部4が、ラベリングされた部分画像の次の順の1個を取り出し、同様の処理を行なう。
【0045】
最後の部分画像である場合、画像データ処理部6が、処理テーブル31を参照して、エントロピー識別処理部5における部分画像の識別の結果に基づいて、画像読取処理部1で読み取った全体の画像データ100について画像処理を行い、当該画像処理の結果である格納画像データを、画像データ格納部7に格納する(ステップS12)。これにより、画像データ格納部7の記憶容量が大きくなることを防止することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像処理装置及び方法において、写真の領域と図、表等の領域とを区別するために画素のエントロピーを用いるので、画素の分散値を用いた場合のように、本来は図、表等の領域であるにもにかかわらず、写真の領域であると誤って判別してしまうことを防止することができる。即ち、写真の画像のエントロピーは、画素値が広範囲に分布するので、多様性が大きくなり、写真の領域であると正しく判断することができる。また、表及び図(線図)の画像のエントロピーは、画素値はほぼ白及び黒の位置に集中して双璧を形成するように存在するので、多様性が小さくなり、写真ではない(表及び図である)と正しく判断することができる。この結果、2値データからなる画像データとして格納すべき図、表等の領域を、写真の領域と区別して正しく判別することができ、画像メモリの容量を小さくすることができる。
【0047】
また、本発明によれば、画像処理プログラムをフレキシブルディスク、CD−ROM、CDR/W、DVD等の記録媒体に格納して提供することができるので、容易に前述の画像処理装置及び方法を実現することができ、図、表等の領域を、写真の領域と区別して正しく判別することができ、当該画像処理装置の画像メモリの容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像処理装置構成図であり、本発明の画像処理装置の構成を示す。
【図2】画像処理装置説明図であり、図1の画像処理装置における画像処理を示す。
【図3】画像処理装置説明図であり、図1の画像処理装置における画像処理を示す。
【図4】画像処理装置説明図であり、図1の画像処理装置における画像処理を示す。
【図5】画像処理装置説明図であり、図1の画像処理装置における画像処理を示す。
【図6】画像処理フローであり、図1の画像処理装置における画像処理を示す。
【図7】従来技術説明図である。
【符号の説明】
1 画像読取処理部
2 2値化処理部
3 ラベリング処理部
4 大矩形抽出処理部
5 エントロピー識別処理部
6 画像データ処理部
7 画像データ格納部
Claims (9)
- 個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求め、これに基づいて当該処理対象画像の種類を識別するエントロピー識別処理部を備える
ことを特徴とする画像処理装置。 - 当該画像処理装置が、更に、
全体の画像データにおいて画素の存在する領域を矩形に囲んだ1又は複数の部分画像を生成する部分画像生成手段を備え、
前記エントロピー識別処理部が、前記部分画像の各々を処理対象画像として、そのエントロピーを求めることにより、当該部分画像の種類を識別する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。 - 前記部分画像生成手段は、
前記全体の画像データを2値化して、個々の画素が2値データで表された2値画像データを生成する2値化処理部と、
前記2値画像データにおいて黒画素の連続する領域を矩形に囲んだ領域として、1又は複数の部分画像を生成するラベリング処理部からなる
ことを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。 - 当該画像処理装置が、更に、
前記処理対象画像について、所定の大きさよりも大きい処理対象画像を抽出する抽出処理部を備え、
前記エントロピー識別処理部が、前記所定の大きさよりも大きい処理対象画像について、そのエントロピーを求めることにより、当該所定の大きさよりも大きい処理対象画像の種類を識別する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。 - 当該画像処理装置が、更に、
前記処理対象画像の種類の識別の結果に基づいて、写真であると識別された処理対象画像については個々の画素が多値データで表された画像データとして保存し、写真ではないと識別された処理対象画像については個々の画素が2値データで表された画像データとして保存する画像データ処理部を備える
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。 - 前記エントロピー識別処理部が、個々の画素が多値データで表された処理対象画像について、前記多値データの取り得る値を複数の範囲に等分し、前記等分された複数の範囲の各々を1個の事象として前記エントロピーを求める
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。 - 前記エントロピー識別処理部が、全体の画像データを多値化して、個々の画素が多値データで表された多値画像データを求め、前記多値画像データからなる処理対象画像について前記個々の画素の分布を求め、前記個々の画素の分布に基づいて前記エントロピーを求める
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。 - 個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求め、
これに基づいて当該処理対象画像の種類を識別する
ことを特徴とする画像処理方法。 - 画像処理装置において画像の種類を識別する画像処理プログラムであって、
前記プログラムは、コンピュータに、
個々の画素が多値データで表された処理対象画像についてそのエントロピーを求めさせ、
これに基づいて当該処理対象画像の種類を識別させる
ことを特徴とする画像処理プログラム。
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