JP2803693B2 - アクチユエータ固定解除方法及びその装置 - Google Patents

アクチユエータ固定解除方法及びその装置

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  • Supporting Of Heads In Record-Carrier Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、変換ヘツドを記録媒
体上で動かすためのアクチユエータを非動作時に磁気吸
引力により固定して装置の破損を防ぐタイプのデイスク
記憶装置において、動作開始時にアクチユエータを磁気
吸引力から切り離すアクチユエータ固定解除装置及びそ
の方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】デイスク記憶装置では、変換ヘツドを記
録媒体上で動かすためのアクチユエータ（ボイス・コイ
ル・モータ（ＶＣＭ）等）を非動作時に固定して外力に
よりアクチユエータが動いて記録面上のデータやアクチ
ユエータ自身を損傷しないようにすることが必要であ
る。小型のデイスク記憶装置では永久磁石の磁気吸引力
を用いてアクチユエータを固定することが行われてい
る。
【０００３】これは、永久磁石の磁気吸引力を用いるの
で、動作開始時に固定を解除する時以外は電力を消費し
ない。また、機構的に可動部がないので寸法的に小さく
する事ができる。固定を解除するのにアクチユエータの
動力を用いるので固定解除のための専用の電気回路を要
しない。さらに、構成部品としては永久磁石とその取り
つけ部材なので部品点数が少なくコストを安くすること
ができるという利点を有するので広く採用されている。
この発明はこの磁石によりアクチユエータを固定するデ
イスク記憶装置の固定解除装置に関する。
【０００４】従来においては、アクチユエータを永久磁
石から切り離す操作の制御のため、デイスク記録媒体上
のアクチユエータの固定される領域（パーキング・ゾー
ン）とデータが記録される領域（データ・ゾーン）との
間に位置情報（サーボ情報）を書き込み、通常のシーク
操作により切り離していた。すなわち、切り離し操作中
にアクチユエータの位置を位置情報を読むことで確認し
てアクチユエータに加える電力を制御し、移動不足で切
り離しできなかつたり、あるいは移動過剰でアクチユエ
ータがクラツシユ・ストツプに衝突したりするようなこ
となく、確実にアクチユエータを永久磁石から切り離し
てデータ領域に移すことができるようにしている。
【０００５】しかしながら、このようにパーキング・ゾ
ーンとデータ・ゾーンとの間にサーボ情報を書き込む
と、パーキング・ゾーンはアクチユエータに取付けられ
た変換ヘツドがデイスクの回転速度が所定以下の時に滑
走(コンタクト・スタート・ストツプ）する領域なの
で、アクチユエータを多数回にわたつて固定・切り離し
すると磨耗によりサーボ情報が消えるおそれがある。一
旦、サーボ情報が失われてしまうと、切り離しのための
位置情報が得られなくなるため、もはや切り離しができ
なくなるなる。このため信頼性の点で問題を有する。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は変換
ヘツドのコンタクト・スタート・ストツプにより位置
（サーボ）情報が消滅して、磁石により固定されたアク
チユエータの固定を解除することができなくなるよう
な、従来のデイスク記憶装置の固定解除装置の問題を解
決することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明では、永久磁石の
吸引力に抗して切り離すために必要なアクチユエータに
加えられるべき加速電流と加速時間及び切り離したアク
チユエータをデータ領域の所定位置に停止するために必
要なアクチユエータに加えられるべき減速電流と減速時
間とを予めデイスク記憶装置に与えておく。アクチユエ
ータを固定解除する時、この予め記憶されている加速電
流と加速時間及び減速電流と減速時間に従ってアクチユ
エータを駆動する。従って、本発明ではアクチユエータ
を切り離すためにアクチユエータの位置情報（サーボ情
報）をパーキング・ゾーンとデータ・ゾーンとの間に書
き込むことを必要としない。この結果、本発明の固定解
除装置又は方法は信頼性を増すことができる。以下、本
発明を一実施例に基づいて説明する。
【０００８】
【実施例】図１は、本発明の一実施例のデイスク記憶装
置のアクチユエータ固定解除装置を示すものである。デ
イスク記憶装置１はハウジング２の中に収納された磁気
デイスク記録媒体３と、この記録媒体３を回転駆動する
ためのスピン・モータ４と、変換ヘツド５をデイスク記
録媒体３の所望の位置に位置づけるためのアクチユエー
タ６と、を有する。アクチユエータ６はロータリ式のボ
イス・コイル・モータ（ＶＣＭ）であり、回転軸７回り
に回転可能に取付けられたアクチユエータ・アーム８を
有する。アクチユエータ・アーム８の一端には変換ヘツ
ド５が取付けられており、他端にはコイル９が取付けら
れている。アクチユエータ・アーム８はアルミニウム製
であり、他端側に一体的に設けられた突起１０には鉄片
１１が取付けられている。鉄片１１に対向してハウジン
グ２には永久磁石１２が固定されている。アクチユエー
タ６のコイル９の移動範囲内にはＶＣＭの永久磁石１３
がハウジング２に取付けられていてコイル９と相互作用
をしてアクチユエータ・アーム８を回転軸７の回りに回
転する。コイル９には駆動回路１４から駆動電流ｉが供
給される。駆動回路１４からの駆動電流はコントローラ
１５により制御される。
【０００９】アクチユエータ・アーム８はデイスク記憶
装置１の停止時に磁気デイスク３の回転が落ちると内周
側に設けられたパーキング・ゾーンに移動される。する
と鉄片１１が磁石１２に吸引されるので、アクチユエー
タ・アーム８が記録媒体３の内周方向に移動して固定さ
れる。変換ヘツド５はパーキング・ゾーンに着陸して停
止する。この状態では外力が加わってもアクチユエータ
・アーム８は磁気吸引力により固定されているので動く
ことなく、記録媒体３上のデータ・ゾーンのデータやア
クチユエータ６は変換ヘツド５やアクチユエータ・アー
ム８の不用意な動きから保護される。
【００１０】デイスク記憶装置１の動作開始時にアクチ
ユエータ・アーム８を永久磁石１２から切り離すことが
必要である。このために、コントローラ１５には切り離
しのために磁石１２の吸引力に打ち勝つに必要な、記録
媒体３の外周方向にアクチユエータ・アーム８を加速駆
動するためコイル９に加えられる加速駆動電流値Ｉａと
加速駆動時間Ｔａが予め記憶されている。さらに、コン
トローラ１５には磁石１２から切り離されたアクチユエ
ータ・アーム８をデータ・ゾーンの適当な位置ｍ（例え
ば、データ・ゾーンの中間点）で停止するために必要な
減速する方向の減速駆動電流Ｉｄと減速駆動時間Ｔｄも
予め記憶させておく。
【００１１】図１乃至図３に示すように、アクチユエー
タ６のコイル９にコントローラ１５及び駆動回路１４か
ら予め記憶された駆動電流Ｉａ、Ｉｄがそれぞれ時間Ｔ
ａ、Ｔｄの間順次供給されると、アクチユエータ・アー
ム８は磁石１２から切り離され、磁石の吸引力の領域か
ら外され、データ・ゾーンの領域に移され、データ領域
の中間点ｍで停止される。なお、変換ヘツド５が減速期
間Ｔｄ中にデータ領域に入ったならばデータ領域にある
サーボ情報を読んでアクチユエータ・アーム８を所定位
置に停止させるようにしてもよい。
【００１２】加速駆動電流Ｉａと加速時間Ｔａ及び減速
駆動電流Ｉｄと減速時間Ｔｄは、アクチユエータ・アー
ム８の運動方程式を解くことで得られる。
【００１３】運動方程式 Ｍ＊ａ＝Ｋ＊ｉ−Ｆｍ−Ｆｆ−Ｆｐ 但し、Ｍはアクチユエータ・アーム８の回転慣性能率 ａはアクチユエータ・アーム８の角加速度 ＫはＶＣＭのトルク定数 ｉはＶＣＭの駆動電流 Ｆｍは永久磁石１２の吸引トルク Ｆｆはコイル９に電流を供給するフレキシブル・ケーブ
ルのトルク Ｆｐは回転軸７の摩擦力である。
【００１４】なお、Ｋ、Ｆｍ、Ｆｆはそれぞれ図４、図
５、図６に示すように位置（角度）に依存するのでこの
運動方程式は、周知の計算機による近似計算を行う方法
により解くことになる。すなわち、図４に示されるＫは
高次の多項式に近似すると Ｋ＝ａ1＊ｘ＋ａ2＊ｘ2＋・・・・＋ａn1＊ｘn1 となる。図５に示されるＦｍは高次の多項式に近似する
と Ｆｍ＝ｂ1＊ｘ＋ｂ2＊ｘ2＋・・・・＋ｂn2＊ｘn2 または Ｆｍ＝１／（ｘ＋ｂ1）＋ｂ2 となる。図６に示されるＦｆは高次の多項式に近似する
と Ｆｆ＝ｃ1＊ｘ＋ｃ2＊ｘ2＋・・・・＋ｃn3＊ｘn3 となる。 これから運動方程式は、 Ｍ＊ｄ2ｘ／ｄｔ2＝（ａ1＊ｘ＋ａ2＊ｘ2＋・・・・＋ａn1ｘn1）＊ｉ −（ｂ1＊ｘ＋ｂ2＊ｘ2＋・・・・＋ｂn2＊ｘn2） −（ｃ1＊ｘ＋ｃ2＊ｘ2＋・・・・＋ｃn3＊ｘn3） −Ｆｐ この微分方程式を計算機で近似的に解く。但し、ｘはア
クチユエータ・アーム８の回転角度であり、角加速度ａ
はｄ2ｘ／ｄｔ2である。
【００１５】この式からアクチユエータ・アーム８が適
当な角加速度ａを発生するために必要な加速駆動電流Ｉ
ａをもとめ、図２に示すような適当な速度及び位置に来
るまでの時間Ｔａ加速する。そしてその後、アクチユエ
ータ・アーム８を図３に示すような所定位置ｍに停止す
るに必要な減速角加速度ａを求め、この減加速度ａに必
要な減速駆動電流Ｉｄと減速時間Ｔｄを求める。このよ
うに求められた値、Ｉａ、Ｉｄ、Ｔａ、Ｔｄをデイスク
記憶装置１に記憶させておき動作開始時にアクチユエー
タ・アーム８の固定解除をする際にこれらの値、Ｉａ、
Ｉｄ、Ｔａ、Ｔｄに基づいてコントローラ１５及び駆動
回路１４制御する。
【００１６】なお、本発明はロータリ式のアクチユエー
タに限らず、リニア式のアクチユエータにも適用できる
ことは明らかである。また、ＶＣＭ以外のアクチユエー
タ、例えばステツプ・モータにも適用できることは明ら
かである。さらに、本発明は磁気デイスク記憶装置のみ
ならず光記憶又は光磁気記憶装置にも適用できることは
明らかである。
【００１７】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、予
め記憶された加速駆動電流と加速時間及び減速駆動電流
と減速時間でアクチユエータを永久磁石からの固定解除
するので、従来技術のように変換ヘツドが滑走して磨耗
により消滅するおそれのある記録媒体のパーキング・ゾ
ーンに位置情報を書かなくても、アクチュエータの固定
離脱を行うことができる。従って、本発明は従来技術に
比べて信頼性の高い固定解除装置を提供する事ができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例の固定解除装置が適用される
磁気デイスク記憶装置を説明する平面図、
【図２】この実施例の固定解除装置の動作を示す、縦軸
にアクチユエータ・アームの角速度、横軸に時間を示す
図、
【図３】この実施例の固定解除装置の動作を示す、縦軸
にアクチユエータ・アームの角度、横軸に時間を示す
図、
【図４】この実施例のアクチユエータであるボイス・コ
イル・モータのトルク定数Ｋを縦軸にアクチユエータ・
アームの固定位置からの回転角度を横軸に取って示す
図、
【図５】この実施例の永久磁石の磁気力Ｆｍを縦軸にア
クチユエータ・アームの固定位置からの回転角度を横軸
に取って示す図、
【図６】この実施例のアクチユエータ・アームに接続さ
れるフレキシブル・ケーブルがアクチユエータ・アーム
におよぼす力Ｆｆを縦軸にアクチユエータ・アームの固
定位置からの回転角度を横軸に取って示す図である。
【符号の説明】
１ 磁気デイスク記憶装置 ５ 変換ヘツド ６ アクチユエータ ８ アクチユエータ・アーム ９ コイル １１ 鉄片 １２ 永久磁石 １４ 駆動回路 １５ コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−137481（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−5154（ＪＰ，Ｕ) 実開 平３−5266（ＪＰ，Ｕ)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】デイスク記憶媒体と、該記憶媒体と情報の
    やりとりを行う変換ヘッドと、該変換ヘッドを該記憶媒
    体上の所定位置に移動するためのアクチュエータと、該
    アクチュエータに付設されたコイルに対する駆動電流を
    制御する装置と、前記記憶媒体の非回転時に前記アクチ
    ュエータを磁気力により吸引して固定する永久磁石から
    構成される固定装置とを備えたデイスク記憶装置におい
    て、 前記固定装置による固定を解除するため、前記制御する
    装置が前記アクチュエータに付設されたコイルに前記磁
    気力に対抗する方向のあらかじめ設定された第一の駆動
    電流を与え、その後に第一の駆動電流と逆方向のあらか
    じめ設定された第二の駆動電流であって、前記アクチュ
    エータを前記デイスク記憶媒体のデータ領域の所定位置
    に停止させるように設定された値の駆動電流を前記コイ
    ルに与える手段を有することを特徴とするアクチュエー
    タの固定解除装置。
  2. 【請求項２】デイスク記憶媒体と、該記憶媒体と情報の
    やりとりを行う変換ヘッドと、該変換ヘッドを該記憶媒
    体上の所定位置に移動するためのアクチュエータと、該
    アクチュエータに付設されたコイルに対する駆動電流を
    制御する装置と、前記記憶媒体の非回転時に前記アクチ
    ュエータを磁気力により吸引して固定する永久磁石から
    構成される固定装置とを備えたデイスク記憶装置におい
    て、 前記固定装置による固定を解除するため、前記制御する
    装置が前記アクチュエータに付設されたコイルに前記磁
    気力に対抗する方向のあらかじめ設定された第一の所定
    時間、前記磁気力の吸引力に対抗する方向の第一の駆動
    電流を与え、その後にあらかじめ設定された第二の所定
    時間、第一の駆動電流と逆方向の第二の駆動電流であっ
    て、前記アクチュエータを前記デイスク記憶媒体のデー
    タ領域の所定位置に停止させるように設定された値の駆
    動電流を前記コイルに与える手段を有することを特徴と
    するアクチュエータの固定解除装置。
  3. 【請求項３】記憶媒体上の所定位置に変換ヘッドを移動
    するためのアクチユエータを、非動作時に永久磁石の磁
    気力により吸引して固定する記憶装置の前記固定を解除
    する方法において、 動作開始時に、前記アクチュエータに付設されたコイル
    に、前記磁気力に対抗する方向に前記アクチユエータを
    動作させるあらかじめ設定された第一の駆動電流を与
    え、その後に第一の駆動電流と逆方向のあらかじめ設定
    された第二の駆動電流であって、前記アクチュエータを
    前記デイスク記憶媒体のデータ領域の所定位置に停止さ
    せるように設定された値の駆動電流を前記コイルに与え
    ることを特徴とするアクチュエータの固定解除方法。
  4. 【請求項４】前記アクチユエータを前記永久磁石の磁気
    力から切り離した後、前記記憶媒体の所定位置に前記ア
    クチユエータを移動することを含む請求項第３記載の方
    法。
  5. 【請求項５】前記第一および第二の駆動電流の大きさを
    前記永久磁石の磁気力と前記アクチユエータの慣性質量
    を考慮してあらかじめ設定することを特徴とする請求項
    第３記載の方法。
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