JP2803058B2 - 淋菌piタンパク質およびワクチンの製造 - Google Patents

淋菌piタンパク質およびワクチンの製造

Info

Publication number
JP2803058B2
JP2803058B2 JP1500595A JP50059589A JP2803058B2 JP 2803058 B2 JP2803058 B2 JP 2803058B2 JP 1500595 A JP1500595 A JP 1500595A JP 50059589 A JP50059589 A JP 50059589A JP 2803058 B2 JP2803058 B2 JP 2803058B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
gene
pia
plasmid
dna
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1500595A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03502881A (ja
Inventor
カルボネッティ,ニコラス,エィチ
スパーリング,ピー,フレデリック
Original Assignee
ザ ユニバーシティ オブ ノースカロライナ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ザ ユニバーシティ オブ ノースカロライナ filed Critical ザ ユニバーシティ オブ ノースカロライナ
Publication of JPH03502881A publication Critical patent/JPH03502881A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2803058B2 publication Critical patent/JP2803058B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/195Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • C07K14/22Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Neisseriaceae (F)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/02Bacterial antigens
    • A61K39/095Neisseria
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/11DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 1.序論 現在、淋疾は世界で最も広がった性病の1つであり、
米国では毎年数百万例が発生している。この疾患の病原
菌は淋菌ナイセリア・ゴノロエアエ(Neisseria gonorr
hoeae)であり、この細菌はその歴史を通して伝統的な
抗生物質治療に対する耐性およびある程度までの正常ヒ
ト血清の抗菌活性に対する耐性の両方を発達させてき
た。伝統的手段による感染の防御が不可能であるため
に、この感染を効果的に阻止しうるワクチンの開発が極
めて重要となっている。本発明は、特定のナイセリア・
ゴノロエアエ外層膜タンパク質をコードするDNA配列を
提供し、またこの特定DNA配列のクローン化産物は前記
ワクチンの適当な主成分を提供する。また、本発明は淋
菌感染を検出するための診断用プローブとして有用な種
−特異的オリゴヌクレオチド配列をも提供する。
2.発明の背景 脊椎動物における任意の特定の感染因子に対する防御
免疫応答の発生は、初めに宿主免疫系に適当な刺激が与
えられるか否かの如何による。感染性生物自体は一般
に、またはその細胞膜組成の性質によるか、またはそれ
が宿主体内に放出する代謝産物により、多数の刺激性化
合物(すなわち、抗原)を抵抗する。これらの物質(通
常、タンパク質、リポ多糖類、糖タンパクのような比較
的大きい分子)は免疫系によって異物として認識され、
そして侵入生物を排除または無力にしようとして宿主か
ら1種またはそれ以上の異なる種類の反応をひき出す。
この抗原は細胞性免疫を与える感作リンパ球(T細胞)
の生産を惹起しうる。あるいはまた、抗原は遊離抗体の
合成および血液または他の体液中の遊離抗体の放出を刺
激することができる(体液性免疫)。身体の防御免疫応
答の発生はこれらの系の一方または両方の刺激閾値に達
するか否かの如何によっている。
感染に対する一時的免疫は、多くの場合同種または異
種の別の個体から前以て産生された抗体を与えることに
よって付与されうる。これは受動免疫として知られてい
る。このような免疫の例としては、母親の抗体の胎盤移
入および母乳を通しての抗体の移入により胎児や新生児
に与えられる防御がある。その他の例としては、はし
か、水ぼうそう、肝炎、天然痘および破傷風にさらされ
た際のその作用を阻止もしくは軽減するためにしばしば
用いられるプールされた成人γ−グロブリンがある。し
かしながら、これら獲得抗体は抗原との相互作用により
徐々に利用されるか、または生体により異化作用を受
け、その結果終局的には防御が失われる。
より永続的な形態の防御は能動免疫により与えられ
る。ワクチン接種では免疫系に対する一次刺激として無
害のまたは毒性のない形の抗原(例えば、死滅したまた
は遺伝学的に変えられた細菌、もしくは細胞壁から単離
した糖タンパク)を使用することにより能動防御免疫が
賦与される。これは最高に達しその後減少する抗体産生
においてやや遅い応答を引き起こす。しかしながら、身
体は抗原の存在を警戒しており、その次に、恐らくは生
きた毒性の強い生物にさらされると、より一層速やかで
豊富な抗体産生を伴う二次応答が観察される。この二次
応答は一般に微生物が全面的な感染を引き起こすに足る
ほどに定着するのを阻止するに十分であろう。
ワクチンはいろいろな形をとることができ、そのうち
のあるものは所望の防御効果を賦与するのに他のものよ
りも有効である。歴史的にみると、多くのワクチンは対
象の疾患を起こす微生物を死滅または不活性化し、その
死滅細胞を能動免疫原として用いることにより製造され
てきた。この種のワクチンは陽チフス、コレラおよびポ
リオ(ソークワクチン)に対して使用されている。この
種のワクチンがかかえる問題は、微生物を殺すのに必要
な処理(例えば、ホルムアルデヒド)が往々にして微生
物の有用な抗原を変性または破壊し、従って不完全な弱
い免疫しか得られない場合があるということである。
ワクチンの別の形は弱毒化微生物を使用するものであ
る。弱毒化微生物はまだ生きていて投与後体内で増殖で
きるが、無発病性となすために何らかの方法で改変され
ているものであるか、あるいは他の生物には発病力があ
るがヒトには無毒の株である。弱毒化生物を使用するこ
との利点は、弱毒化が通常の抗原性に影響を及ぼさず、
従って免疫系により効果的な刺激を与えることである。
はしか、風疹およびポリオ(セービンワクチン)の弱毒
化ワクチンが広く用いられている。弱毒化は代表的には
微生物の増殖条件を変えるか、または、最近では微生物
の毒性を遺伝子的に修飾することにより達成される。大
体において、弱毒化ワクチンは死滅ワクチンよりも効果
的であるが、生存微生物が毒性状態に戻って病気の症状
を引き起こす可能性があるという危険が存在する。
微生物全体使用ワクチンに関連した諸問題のために、
近年ではワクチン組成物中における活性物質として個々
の感染防御抗原を使用することがより一般的になってき
ている。感染防御性応答を刺激する生物の特定抗原の分
離および同定は必ずしも単純ではないが、ひとたび同定
されると、この方法は欠点が付随することのない、微生
物全体使用ワクチンに代わるべき有効な代替物を提供す
ものである。
この目的に使用しうる代表的な抗原の種類の例をあげ
れば、精製された細胞またはカプシド成分、例えばバク
テリアトキシン(トキソイドを生成させるには解毒され
ねばならない)、細菌またはウイルスのトキシンサブユ
ニット、細胞壁多糖類、もしくはカプシド糖タンパクで
ある。これらの成分は免疫性を賦与するのにはしばしば
非常に効果的であるが、実際の精製の点で困難が生ず
る。対象の抗原を無関係の細胞物質(これらの存在は往
々にして所望免疫生成反応と同時に不利な免疫学的また
は代謝上の応答を引き起こしうる)から多かれ少なかれ
完全に単離することが決定的に重要である。必要とされ
る精製方法はしばしば複雑で、退屈で、しかも費用が莫
大にかかり、その結果を必ずしも完全に予想できるわけ
ではない。この問題は、ある場合には、微生物抗原上の
エピトープに相当する小型ペプチド配列の合成によって
回避できる。いくつかの状況においては、アミノ酸配列
が天然のエピトープ配列に一致するが、そのコンホメー
ションが適切な免疫応答を誘起させるに足るほど親抗原
のそれに類似していないかもしれないという欠点がこの
技術には存在する。
これらの種類の前記ワクチンに付随する欠点の多くは
組換えDNA技術の使用により回避できる。重要な微生物
抗原の全部または一部をコードする遺伝子をクローニン
グすることができれば、実質的に夾雑するタンパク性ま
たは遺伝子物質を含まない比較的大量の必要な免疫原性
物質のより経済的で便利で供給源が得られる。簡単に説
明すると、精製抗原を得るためのこの方法は、抗原をコ
ードする特定DNA配列をDNAベクターに挿入して、宿主細
胞内で複製しうる組換えDNA分子を生成させることを包
含する。現在、組換えDNA分子を作製しうる方法は数多
く存在する。より優れた既知技術の1つは、Cohenおよ
びBoyerによって米国特許第4237224号に開示されたもの
である(この特許の教示内容は参照としてここにとり込
まれるものとする)。この方法では制限酵素および連結
反応を用いて組換えプラスミドを作製し、次に得られた
プラスミドを単細胞宿主細胞に挿入し、これにより形質
転換された宿主細胞が外来DNAの複製を開始する。バク
テリオファージベクターを利用する別法は米国特許第43
04863号に開示されている(これも参照としてここにと
り込まれる)。クローニング法はすぐに利用できるワク
チン製造のための経済的で、都合のよい供給源を提供す
る可能性が最も大きい。しかしながら、免疫原性をもつ
ことが知られている抗原の適当な遺伝子を初めに単離
し、その塩基配列を決定し、適切な複製、転写および翻
訳が可能なようにプラスミドに挿入し、その後適合性の
宿主細胞に挿入せねばならない点で困難がないわけでは
ない。
もしも遺伝子の転写、RNAの翻訳、またはポリペプチ
ドの翻訳後プロセッシングおよび区画化のいずれか1つ
が正しく行われないならば、所望の遺伝子産物の発現が
失敗する可能性は非常に大きい。クローン化挿入物が転
写されるためには、宿主RNAポリメラーゼが認識できる
プロモーターの存在が必要である。適正な翻訳にはRNA
がリボソーム結合部位を有することが必要である。タン
パク質の翻訳後修飾にはしばしばタンパク質を細胞膜を
通ってその外へ導く機能をするシグナル配列の切断が包
含される。また、タンパク質の立体配置やアミノ酸配列
が宿主の細胞内のプロテアーゼの作用から保護されない
場合には、生産された外来タンパク質の宿主微生物によ
る分解が起こりうる。従って、ナイセリア(Neisseri
a)ワクチンを最終的に製造する理想的な方法であると
は考えられるが、これらの技術が以前に淋疾のワクチ製
造に応用されたことはない。
2.2.淋菌抗原 ナイセリア・ゴノロエアエのいくつかの抗原は広く研
究され分類されている。例えば、淋菌のピリ(線毛)は
分子量が約20000のタンパクサブユニットから主に成っ
ており、抗原性を有することが判明している(Buchanan
等、J.Clin.Invest. 52:2896−2909,1973)。この物質
の合成物はワクチンとして製剤化された(Schoolnik
等、Prog.Allergy 33:314−331,1983)。また、ナイセ
リア・ゴノロエアエのリポ多糖類も抗原性があり、β−
1,4−結合ガラクトース−グルコース残基が主要な抗原
決定基である。しかしながら、近年この分野における研
究の最大の関心は恐らく、タンパク質複合体である外層
膜タンパク(このタンパク質の免疫原性における役割は
まだ十分に理解されていない)に集中している。外層膜
タンパク質の組成は株によってやや変化することが知ら
れており、これに基づいて少なくとも16種類の異なる血
清型が同定されている(Johnston等、J.Exp.Med. 143:74
1−758,1976)。淋菌の膜部分を用いた数多くのワクチ
ン組成物が以前に、例えば米国特許第4203971号、同第4
288557号および同第4681761号に記載されている。しか
しならあ、これらの組成物の大部分はタンパク質と他の
物質との混合物を含有しており、細菌細胞から活性成分
を単離および分離するにはかなり手の込んだ精製操作を
必要とする。従って、これらのワクチンは希望する免疫
特異性を有しない可能性があり、しかも商業的量のワク
チンを製造するためには大変な量の微生物原料が必要で
ある。
2.2.1.淋菌プロテインI プロテインIまたはP Iとして知られる特定の外層膜
タンパク質もワクチン組成物主成分として使用可能な候
補者として提案される。P Iはポーリン(porin)として
機能するナイセリア・ゴノロエアエの主要な外層膜タン
パク質であり(Douglas等、FEMS Microbiology Letters
12:305−309,1981)、このタンパク質は細胞において
低分子量物質を疎水性脂質外層膜を横切って通過させる
ように作用すると考えられている。P Iが関心を集める
多くの特徴が存在する:第一に、それがナイセリアの血
清型特異性に少なくとも幾分かは関与しており、比較的
少数の抗原性プロテインI血清型が存在する。また、特
定のP I血清型を保有する多数の淋菌が複雑な淋菌感染
に関係している。さらに、それは天然の状態で表面に露
出していると思われ、また、オプソニンの生産を刺激す
ると思われる(Sarafian等、J.Infect.Dis. 148,1025
〜1032,1983)。オプソニンは感染性微生物の表面に結
合して食細胞による微生物の飲み込みを促進する抗体で
ある。その免疫原性はワクチン接種マウスにおいてすで
に立証されている(Jiskoot等、Infect.Immun.54:333−
338,1986。) 主要な2種類のP I分子であるPIAおよびPIB(Barrera
等、Infect.Immun. 44:565〜568,1984)がペプチドマ
ッピングおよびタンパク質加水分解に対する感受性に基
づいて淋菌において証明されている(Blake等、Infect.
Immun. 33:212−222,1981)。この分類は血清群パター
ン(Sandstrum等、Infect.Immun. 35:229−239,1982:S
andstrum等、Infect.Immun. 38:462−470,1982)およ
び病因と関連のあることが分かった。タンパク質I Aを
発現する淋菌は全身感染に関係しており、一方タンパク
質IBを発現するのは局所感染と関係している(Buchanan
等、Infect.Immun. 32:985〜994,1981;Hildebrandt
等、Infect.Immun. 20:267−273,1978)。
可能性のあるワクチン候補としてのP Iの開発に払わ
れたあらゆる注意にもかかわらず、まだP Iに基づく有
効なワクチンはつくられていない。さらに、その生産を
制御する遺伝子配列もまだ何ら解明されておらず、この
タンパク質の構造についてはほとんど知られていない。
本発明は完全なP I遺伝子配列、PIA構造遺伝子、および
クローン化遺伝子産物について初めて説明するものであ
る。さらに、新規なPIB遺伝子配列と、これらの配列か
ら誘導された特異なPIA−PIBキメラについても説明す
る。後者のキメラはエピトープマッピングの際に有用で
あり、ワクチン開発の基礎となるものである。
2.3.診断用プローブ この疾患に関して広範囲にゆきわたったもう一つの面
は早期検出および診断の重要性である。淋疾の診断に利
用できる標準的な細菌学的試験法はもちろんあるが、か
かる試験法は培養下のバクテリアの増殖を当てにしてお
り、時間がかかり、しかも一般にあまり特異的でない。
ナイセリア・ゴノロエアエは種々の血清型を有すること
が知られており、このことは前節で説明したように、こ
の疾患の非常に明確なパターンを示すものでありうる。
この疾患の適切な治療を行うためには、診断が迅速であ
るばかりでなく、できるだけ正確であることが決定的に
重要である。
DNA−およびRNA−プローブ技術の発達により、診断に
おける多くのかかる問題に対する解答が与えられた。プ
ローブは代表的には対象となる特定遺伝子の全部または
一部と相補性であるDNAまたはRNAの放射性標識された一
本鎖であり、従って、相補性核酸の一本鎖にさらされる
と、それにハイブリダイズするであろう。プローブはサ
ザンブロッティングとして知られる技法で用いられ、そ
の場合対象遺伝子を含有する疑いのある検体からのDNA
断片をアガロースゲルで分離し、変性させて一本鎖を生
成させ、次にニトロセルロースフィルターで移行させ
る。ここでそれらを予め選択された標識されたプローブ
とインキュベートすると、そのものは相補鎖にハイブリ
ダイズして、その標識により目的遺伝子の存在が確認さ
れよう。この種のプローブはまた、宿主細胞中の全ゲノ
ムのDNA断片をクローニングすることにより確立された
ゲノムライブラリーから、対象遺伝子を含有する特定ク
ローンを同定する際にも有利に使用できる。
ナイセリア・ゴノロエアエに関連して開発された便利
で、高度に正確なプローブ系はこれまで存在していな
い。しかしながら、本発明によりN.ゴノロエアエの数種
類のオリゴヌクレオチドプローブが最初に提供され、そ
れらのうちのあるものは一般にN.ゴノロエアエのプロテ
インIにハイブリダイズするが、他のバクテリアはハイ
ブリダイズせず、そして他のものはPIA抗原のみを発現
するN.ゴノロエアエ血清型に特異的である。こうして、
淋菌感染を検出するための信頼できる診断方法が抵抗さ
れるばかりでなく、個人が感染している可能性のある特
定のカテゴリーの確認方法も提供される。
3.発明の要約 ナイセリア・ゴノロエアエのプロテイI Aおよびプロ
テインI Bの完全なヌクレオリド配列、並びにそれらの
予測されるアミノ酸配列が開示される。また、単細胞宿
主生物中でPIAおよびPIB遺伝子をクローニングして発現
させるための、並びにPIA−PIBキメラタンパク質産物を
クローニングして発現させるための方法および組成物を
開示される。さらに、新規な宿主生物を培養して遺伝子
産物を生産させる方法も開示される。用いられた組換え
DAN法の生産物は、淋疾を予防するためのワクチン組成
物において免疫原として全体または抗原部分を使用する
のに適している。
PIAおよびPIB遺伝子は新規なオリゴヌクレオチドプロ
ーブとDNA断片とのハイブリダイゼーションにより細菌
ゲノムから単離された。一旦特定のDNAセグメントがつ
きとめられたそのヌクレオチド配列を決定しそしてアミ
ノ酸配列が予測された。次にそれぞれの遺伝子を、その
遺伝子の複製単位として作用するプラスミドクローニン
グベクターに挿入した。次にこの組換えプラスミドを用
いて適合性宿主細胞を形質転換し、それにより遺伝子産
物が発現される。また、発現された産物の単離方法およ
びワクチン組成物への各産物の製剤化法もここに開示さ
れる。特に、ハイブリッドPIA/PIBタンパク質を包含す
るワクチン組成物が提唱される。さらに、PIAおよびPIB
遺伝子のヌクレオチド配列の決定に基づいて、本発明は
淋菌感染の検出および診断に有用なオリゴヌクレオチド
プローブの配列をも提供するものである。これに関し
て、本発明はまた、ここに記載のオリゴヌクレオチドプ
ローブの1種またはそれ以上を含有する診断試験キット
をも提供する。
4.図面の説明 第1図:R10株のP Iの残基1−12のアミノ酸配列、縮重
残基を含むコード化mRNA、および合成されたオリゴヌク
レオチド。縮重が存在する場合は、塩基配列の決定がな
された他の淋菌遺伝子からのコドン利用データに基づい
て塩基配列を選択した。
第2図:P I遺伝子部分を含むFA19ゲノムDANのSau3A Iお
よびTaq I断片。この断片をベクタープラスミドpGEM−
2にクローン化して、ここに示す名称の組換えプラスミ
ドを得た。ゲノム上のP Iコード領域の相対的な位置は
断片の上の空白ボックスで示し(斜線ボックスはN末端
シグナル配列に相当する)、オリゴヌクレオチドプロー
ブの相対的位置を断片の下に示す。
第3図:FA19のP I遺伝子のDNA配列。予測されるアミノ
酸配列をDNA配列の上に示し、そしてリボソーム結合部
位(RBS)、およびpUNC7の作製に用いられるTaq Iおよ
びSau3A I部位、およびHae III部位(−35および−10)
が示される。各行の最後の塩基の番号を右側に示す。
第4図:N.ゴノロエアエの主要な外層膜タンパク質、P
I、P IIおよびP III、並びに大腸菌ポーリンOmpFおよび
OmpCのハイドロパシー(hydropathy)パターン;sp−シ
グナルペプチド;a.a.−アミノ酸残基。
第5図:pUNC7の作製工程図。P I遺伝子プロモーターの
−35および−10領域間の好都合なHae III部位により−3
5領域および上流配列を除去でき、次にP I遺伝子をファ
ージT7プロモーターの制御下にベクタープラスミドpGEM
−2に挿入した。太い線はpGEM−2DNAを、そして細い線
はFA19DNAを表す。P I′−P I遺伝子部分(点線はこの
遺伝子の欠失セグメントの方向を示す);PT7−ファージ
T7プロモータ;MCS−多重クローニング部位;制限酵素部
位:S−Sau3A I、H−Hae III、B−BamH I、(H)−Ha
e III/Hinc II接合点(部位は存在せず)、T−Taq I。
第6図:BL21(DE3)におけるpUNC7上のP I遺伝子の発
現。A:全細胞溶解物の15%ゲル上におけるNaDodSO4−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動、クーマシーブルーで染
色。マーカータンパク質の寸法を左側に示す。P Iが示
されており、そして中央の矢印はレーン4では明らかに
失われているタンパク質を示す。B:6種類のPIA MAbを用
いて検索したAにおけるゲルのウエスターンブロットの
オートラジオグラフ。レーン1:FA19;レーン2:IPTGなし
で16時間増殖させたBL21(DE3)pUNC7;レーン3:IPTGを
用いて3時間増殖させたPL21(DE3)pUNC7;レーン4:IPT
Gを用いて16時間増殖させたBL21(DE3)pUNC7;レーン5;
IPTGなしで16時間増殖させたBL21(DE3)pGEM−2;レー
ン6:IPTGを用いて16時間増殖させたBL21(DE3)pGEM−
2。
第7図:FA19のP I構造遺伝子に隣接したmTn3−CAT(▲
CAT ▼)の挿入。太い線はベクターpHSS6DNAを表す。m
Tn3−CATは長さが1.66kbであり、尺度に応じて描かれて
いない。FA19 CAT D1のゲノム上のP I遺伝子の位置は線
上の空白ボックスで示され、斜線ボックスはシグナル配
列を示す。P I′:クローン化構築物中に存在するP I遺
伝子部分。制限酵素部位:N−Not I;B−BamH I;S−Sau3A
I。
第8図:P I遺伝子の配列決定のためにクローン化したMS
11 DNAの断片。P I遺伝子の位置は線上の空白ボックス
で示され、斜線ボックスはシグナル配列を示す。オリゴ
ヌクレオチドNC1およびNC12の配列の位置が示してあ
る。大きい方の断片はベクタープラスミドpGEM−3にク
ローン化され、小さい方の断片はλgt11中にクローン化
して、表示した名称の構築物となした。制限酵素部位:H
f−Hinf I;K−Kpn I;S−Sau3A I;HC−Hinc II。
第9図;MS11のPIB遺伝子のDNA配列。予測されるアミノ
酸配列はDNA配列の上に示してあり、シグナルペプチド
も示される。推定プロモーター配列(−35および−10)
およびリボソーム結合部位(RBS)も示され、関連する
制限酵素部位も同様に示される。各行の最後の塩基の番
号を右側に示す。R10のPIB配列(Gotschlich等、PNAS
USA 84:8135−8139,1987)との相違を示すために、塩
基(制限酵素部位を抗生するものを除く)には下線が引
いてあり、アミノ酸は丸で囲ってある。
第10図:FA19 PIAおよびMS11 PIBのアミノ酸配列の比
較、並びにハイブリッドP I遺伝子の構造。PIA遺伝子配
列は白の棒で、そしてPIBは黒の棒で示す。P I遺伝子類
の上と下はアミノ酸配列の比較であり、垂直線は1個の
相違に相当し、黒のブロックは連続して広がった相違に
相当する。アミノ酸残基の数は上の目盛で示され、そし
て塩基対の数は下の目盛で示される。ハイブリドを分析
するのに使用されたオリゴヌクレオチドはこれらの遺伝
子の間に示してあり、点線は他の遺伝子上の等しい位置
を示す。ハイブリッド遺伝子構造(クラス1−9)を下
に示し。交差が起こったオリゴヌクレオチド配列間の領
域を傾斜域で表す。種々のハイブリッドクラスのP I血
清型を第1表に示す。
第11図:全細胞溶解物の15%ゲル上でのSDS−ポリアリ
ルアミドゲル電気泳動およびクーマシーブルー染色を用
いて検出した、BL21(DE3)中におけるpUNCH25上のPIB
遺伝子の発現。P Iタンパク質バンドが示してある。レ
ーン1:MS11;レーン2:ITPGなしで増殖させたBL21(DE3)
pUNCH25;レーン3−5:IPTGを用いて増殖させたBL21(DE
3)pUNCH25。IPTG(50μg/ml)は下記細胞密度すなわち
レーン3:5×108細胞/ml;レーン4:109細胞/ml;レーン5:2
×109細胞/mlで増殖培地に加えた。P Iの発現は生長周
期の早期に培養物が誘導された場合に最大である。
5.発明の説明 本発明は、淋疾感染予防用のワクチン組成物の製造に
有用なN.ゴノロエアエPIA、PIB、およびキメラPIA/PIB
タンパク質の使用に関する。これらのタンパク質は組換
えDNA技術または化学的合成法により製造できる。以前
には適当なN.ゴノロエアエ株からの化学的単離法を使用
することが可能であったが、この方法はワクチン接種後
に阻止(抗防御)抗体を惹起するある種の他の淋菌タン
パク質による汚染を生じうる。P Iタンパク質は抗体の
生成を刺激することが知られているので、N.ゴノロエア
エによる感染から被接種者を効果的に防御する免疫原と
して、そのタンパク質全体またはその免疫原部分を使用
することができる。
ここに記載の組換えプラスミドにより、安定で宿主細
胞による分解に対し抵抗性を有する大量のP Iタンパク
質を宿主細胞中に産生させことができ、その結果ワクチ
ン組成物に適する物質の豊富な供給原が得られる。この
ワクチン製剤は他の抗防御性淋菌タンパク質による汚染
がない。本発明を説明するために、本発明にいくつかの
工程に分けて以下に論ずる、すなわち:1)PIA遺伝子ま
たは遺伝子断片の同定および単離;2)適合性宿主細胞の
形質転換に用いられる適当なクローニングベクターへの
遺伝子または遺伝子断片の挿入;3)その遺伝子を複製さ
せ発現させる形質転換宿主細胞の同定および増殖;およ
び4)遺伝子生産物の同定および精製。
本発明によれば、P Iタンパク質は第3図または第9
図のクローン化配列、もしくはそのハイブリッドを適切
なクローニング/発現ベクターに挿入し、適当な宿主細
胞を形質転換し、次に遺伝子産物を同定および精製する
ことにより生産されるうる。あるいはまた、第3図また
は第9図の推定アミノ酸配列部分、またはそのハイブリ
ッドは当分野でよく知られた化学的合成技術を用いて合
成することもできる。また、PIAおよびPIB配列に基づく
オリゴヌクレオチドもここに開示され、これらのオリゴ
ヌクレオチドはサザンブロット、ドットブロット、スロ
ットブロットなどのハイブリダイゼーションの技術によ
るN.ゴノロエアエ感染の確認および診断に有用である。
5.1.PIA遺伝子の同定、単離、および配列決定 PIAタンパク質のヌクレオチドコード配列は第3図に
示される。すでに述べたように、PIAタンパク質はすべ
てのN.ゴノロエアエによて生産されるわけではない;任
意の所定の株はPIAまたはPIBのいずれかを生産するが両
方は生産しないであろう。PIAの存在は淋菌血清群I、
血清型1−3、と関係があり、従って血清型1−3と関
連のある淋菌株はどれもPIA DNA源として使用できる。
既知のN.ゴノロエアエ株の中で、PIAにより特徴づけら
れる株はFA19、FA130、W−Ue、B−2、G−7、502
9、R−11、E−5、D−4、V−15である(Knapp等、
J.Inf.Dis. 150:44−48.1984)。本発明の実施におい
て、第3図に示す配列は種々の方法で得ることができ
る。例えば、ひとたび適当なPIA含有株が定められた
ら、その生物のDNAを単離し、DNA断片を生成させ、そし
てPIA遺伝子配列を含有する断片を同定することが必要
である。あるいはまた、その遺伝子または遺伝子セグメ
ントは合成することができよう。
N.ゴノロエアエDNAは多くの異なる方法で断片化しう
る;最も好ましい方法はDNAを特定の配列で切断する制
限酵素での処理である。その他の方法にはマグネシウム
の存在下でのDNaseによるDNAの処理、または音波処理の
ような物理的破壊が含まれる。制限酵素を用いる場合、
DNAを処理するのに1種類の酵素または酵素類の組合せ
を用いることができる。唯一の必要条件は、核酸の消化
がPIAの抗原部位をコードする領域を破壊しないという
ことである。断片化後、線状DNAの個々の断片を、ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、アガロースゲ
ル、またはカラムクロマトグラフィーのような多数の既
知技法の任意のものを用いて、大きさに基づいて分離す
る。分離した断片によりプラスミド作製および形質転換
のための遺伝子物質が提供される。
対象となる遺伝子配列を含有するDNA断片の同定は多
くの方法により達成できる。例えば、モノクローナル抗
体のような免疫試薬が使用されうる。PIAに対するモノ
クローナル抗体は数多く誘導されており(Tam等、Infec
t.Immuno. 36:1042−1053,1982)、そしてこれらは種
々のDNA断片により形質転換されたそれぞれの宿主細胞
から生産された産物を検査するのに使用されうる、すな
わちPIAモノクローナル抗体と反応する産物により、P I
遺伝子を含有する断片で形質転換された細胞が同定され
る。また、DNA断片の塩基配列決定によりそれぞれのア
ミノ酸配列を予測でき、次に既知の任意の部分アミノ酸
配列と比較して、相当するDNA配列を含有する断片を同
定することができる。もう1つの一般的技法はサザンブ
ロッティングである(Southern,J.Mol.Bio78:503,197
5)。この方法では、制限断片をゲル上の適所で変性
し、そしてブロッティングにより固形基質代表的にはニ
トロセルロースフィルターに移す。次に、フィルターを
このタンパク質の既知のまたは仮定した部分DNA配列を
含有する放射性標識オリゴヌクレオチドにさらす。選択
されたオリゴヌクレオチドと相補性であるブロットされ
たDNAがそれにハイブリダイズしてそれによりP I遺伝子
を含有するDNA断片の大きさが確認されよう。
以下に詳述する実施例において、PIAをコードする遺
伝子は2種の新規なオリゴヌクレオチドとのハイブリダ
イゼーションにより同定および単離された。PIBのN末
端アミノ酸部分の既知配列(Blake等、InfectImmun.
36:277−285,1982;Blake,The Pathogenic Neisseria,
G.Schoolnik編、251−258,1985,ASM)、および既知DNA
配列を有する種々の他の淋菌タンパク質に伴うコドン使
用規則に基づいて、有用なオリゴヌクレオチドを推定す
る試みがなされた。特に、次のようなNC1およびNC2と呼
ばれる2つの配列が作製された: サザンブロットハイブリダイゼーションで用いられる場
合、上記のオリゴマーは淋菌ゲノムから得られたDNA制
限断片をスクリーニングするのに使用された;両方のプ
ローブともPIA遺伝子を含有するDNA断片を同定すること
に成功した。同定された遺伝子がPIA遺伝子であること
の証明は、遺伝子産物の分子量と天然タンパク質の分子
量との比較、およびPIA特異的モノクローナル抗体のそ
の免疫反応性により行われた。しかしながら、この有用
性のほかに、これらのオリゴヌクレオチドはそれぞれ淋
菌のPIAおよびPIB株の両方とハイブリダイズしうること
も確認された。従って、これらの正常な化合物は悩める
個体のN.ゴノロエアエ感染の検出および同定に、サザン
ブロットハイブリダイゼーションにおいて診断用プロー
ブとして使用することもできる。
PA遺伝子を含有する断片の同定に続いてSanger(PNAS
USA 74:5463−5467,1977)の方法に従って関連部分の
塩基配列が決定される。Sangerの方法はDNA鋳型からの
相補性DNA鎖の酵素による合成を利用するものである。
相補鎖の合成はデオキシヌクレオチド(ddNTP)の取込
みにより停止される。4つの別々の反応(それぞれddAT
P、ddCTP、ddGTP、またはddTTPを含有)が行われ、その
結果4組のDNA断片が形成され、所定の組の各断片はそ
の末端に特定のジデオキシヌクレオチドをもつであろ
う。次にDNA断片をポリアクリルアミドゲル上で分離
し、各断片の末端ヌクレオチドの同一性の知識よりその
塩基配列を決定しそして最短断片から最長断片までを読
み取る。
鋳型として用いられる一本鎖DNAは、二本鎖DNAをエキ
ソヌクレアーゼで化学的に処理すると得られる。しかし
ながら、Messing等(Nucleic Acids Res.9:309,1981)
がクローニングベクターとして開発したM13mpクローニ
ングベクターを使用することがより効果的である。M13
は一本(+)鎖DNAを含有する大腸菌の雄菌特異的線維
状バクテリオファージである。この(+)鎖は相補性
(−)鎖合作用の鋳型として使用される。二本鎖型のDN
Aが複製型すなわちRF型であり、細胞あたり約200コピー
に増殖する。この二本鋳型を細胞から分離してクローニ
ングベクターとして使用できる。いったん増殖が止まる
と、2本の鎖のうち一方のみが産生され続け、そして一
本鎖がファージ粒子に組み込まれる。M13の利点は、粒
子がクローン化した鎖の一方に相同な一本鎖DNAを有し
ており、それ故にSanger法における鋳型として使用でき
る点にある。350塩基までの塩基配列を単一クローンか
ら決定でき、これよりも長い断片の塩基配列決定は重複
する断片の塩基配列を解析することにより達成できる。
前記技法を使用するすることにより、第3図に示した
PIA遺伝子のヌクレオチド配列が得られた。第3図には
推定アミノ酸配列も示してある。
PIA遺伝子の塩基配列決定(重複する断片の塩基配列
を別々に決定することにより達成された)によりさらに
2つの他のオリゴヌクレオチドプローブの同定および作
製ができた。両プローブは次の配列を有する17ヌクレオ
チドオリゴマーである: および これらのプローブは両方ともPIA遺伝子のみに特異的
であって、PIB DNA配列にはハイブリダイズしない。従
って、これらのプローブは共に感染にPIA生物による
か、PIB生物によるのかを判断する診断試験において有
用である。先に述べたように、これらのタンパク質の各
々は全身的かまたは局所的の淋菌感染の特定パターンを
示し、従って感染患者の治療プログラムを計画する上で
非常に重要でありうる。
単離した遺伝子または化学的に合成したDNA配列は形
質転換宿主細胞の増殖、形質転換細胞からの組換えDAN
の単離、および単離した組換えDANからの挿入遺伝子の
回収により、さらに遺伝子コピーを生成されるのに使用
されうる。
5.2.PIB遺伝子の同定、単離および配列決定 PIBタンパク質のヌクレオチド配列を第9図に示す。
この配列はN.ゴノロエアエMS11株から単離された。PIB
の存在は血清群4−9と関係しており、これらの血清群
と関連した株はどれもPIB DNAの供給源として使用でき
る。既知の淋菌株中で、PIBの存在により特等づけられ
る株はMS11、FA6140、F62およびR10である。PIBタンパ
ク質の調製、同定、および配列決定の技術は前記5.1節
で説明したPIAタンパク質に適用した手法と実質的に同
じである。PIB遺伝子の詳細な同定は、MC1およびNC12プ
ローブ(5′−GATACGGCGAAGGCATC−3′)の使用、並
びにハイブリッドP Iタンパク質のPIB部分にあるKpn I
制限部位の同定(Danielsson等、Infect.Immun.52:52
9−533,1986)により助けられた。PIAと同様にこの遺伝
子のクローニングはクローニングベクターに重複配列を
別々にクローニングすることにより達成された。
5.3.組換えDAN技術によるPIA、PIBまたはPIA/PIBハイブ
リッドの生成 PIAのヌクレオチドコード配列を第3図に示す。PIBの
ヌクレオチドコード配列を第9図に示す。本発明の実施
において、ヌクレオチド配列またはその機能上の同等物
がPIAまたはPIB生成物の発現を指示する組換え分子中に
組み込まれる。また、第3図および第9図から誘導され
たハイブリッド配列を作製してハイブリッドPIA/PIBタ
ンパク質を生産させることもできる。
ヌクレオチドコード配列の縮重ゆえに、第3図または
第9図に示したと実質的に同じアミノ酸配列をコードす
る他のDNA配列も、PIAまたはPIBをクローニングおよび
発現させるために本発明の実施においてそれぞれ使用す
ることができる。第3図または第9図のヌクレオチド配
列のかかる変更には種々のヌクレオチド残基の欠失、付
加または置換が包含され、同一のまたは機能的に等価の
遺伝子生成物をコードする配列が生成される。その遺伝
子産物はアミノ酸残基の欠失、付加または置換を含有で
きる。置換は関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水
性、親水性および/または両親媒性の類似性に基づいて
行われうる。例えば、負に電荷したアミノ酸にはアスパ
ラギン酸およびグルタミン酸が包含され、正に電荷した
アミノ酸にはリジンおよびアルギニンが包含される。同
様の親水値を有する非荷電極性ヘッド基または非極性ヘ
ッド基をもつアミノ酸には次のものが包含される、すな
わちロイシン、イソロイシン、バリン;グリシン、アラ
ニン;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニ
ン;フェニルアラニン、チロシン。
5.3.1.P I遺伝子クローニング/発現ベクターの作製 第3図に示すPIA遺伝子配列、第9図に示すPIB遺伝子
配列、およびハイブリッドPIA/PIB配列、もしくはこれ
らの機能的同等物は適当なクローニング発現ベクターに
挿入できる。
終局的に挿入遺伝子の転写および翻訳を達成するため
には、その遺伝子は選ばれた宿主細胞と適合するプロモ
ーターの制御下に置かねばならない。プロモーターとは
RNAポリメラーゼが結合して転写を開始するDNAの領域で
ある。選ばれるプロモーターは宿主細胞生物から単離さ
れたいずれのものでもよい。例えば、宿主系として通常
用いられる大腸菌は菌それ自体と、またはそのバクテリ
オファージと、もしくはそのプラスミドと関連した。1a
cまたはrecAプロモーターのような多数のプロモーター
を有する。またラムダファージPLおよびPRプロモーター
のような、合成的にまたは組換えにより作られたプロモ
ーターを使用して、それに隣接するDNAセグメントの高
レベル生産を誘導することもできる。
遺伝子を効率よく転写および翻訳させるには、開始シ
グナルも必要である。例えば大腸菌のmRNAでは、リボソ
ーム結合物には翻訳開始コドン(AUGまたはGUG)および
16SリボソームRNAの3′末端の塩基と相補性であるもう
1つの配列が包含される。後者の配列(シャイン−ダル
ガルノまたはS−D配列)のいくつかは大腸菌や他の適
当な種類の宿主細胞において確認されている。宿主細胞
系と適合しうる任意のSD−ATG配列が使用できる。これ
らには大腸菌ファージラムダのcro遺伝子またはN遺伝
子、あるいは大腸菌のトリプトファンE、D、C、Bま
たはA遺伝子が含まれるが、それらに限定されるわけで
はない。
インビトロでDNA断片をクローニングベクターに挿入
する方法は数多く存在する。DNAリガーゼは二重DNA鎖中
の隣接ヌクレオチド間の一本鎖ニックを閉じる酵素であ
る;従って、この酵素はある種の制限酵素により生成さ
れた付着末端同士を公有結合で連結させるのに使用する
ことができる。また、DANリガーゼを使用して平滑末端
間のホスホジエステル結合の形成を触媒することもでき
る。最後に、酵素ターミナルデオキシヌクレオチジルト
ランスフェラーゼを用いて断片の末端で3′ホモポリマ
ー一本鎖尾部を形成させることができる。すなわち第一
の分子の3′末端にオリゴ(dA)配列を、そして第二の
分子の3′末端にオリゴ(dT)配列を付加することによ
り、2種類の分子がアニーリングして環状ダイマーを形
成させることができる。これらの方法のどれを使って
も、遺伝子セグメントプロモーターおよび他の制御エレ
メントをベクターの特定部位に連結することが可能であ
る。こうして、P Iタンパク質をコードする遺伝子がベ
クタープロモーターおよび制御エレメントに対して特別
の関係で所定のベクターに連結され、その結果前記配列
はベクターATG配列に関して正しい読み枠で挿入され
る。使用されるベクターは形質転換細胞を同定しうるよ
う代表的にはアンピシリン耐性またはテトラサイクリン
耐性のようなマーカー機能を有していよう。使用するベ
クターは既知の発現ベクターまたはそれらの誘導体のい
ずれであってもよい。最も頻繁に用いられるベクターは
プラスミドベクター(例.pBR322、pAC105、pVA5、pACYC
177、pKH47、pACYC184、pUB110、pmB9、pBR325、Co1 E
1、pSC101、pBR313、pML21、RSF2124、pCR1またはRP
4);バクテリオファージベクター(例.ラムダgt11、
ラムダgt−WES−ラムダB、Charon 28、Charon4A、ラム
ダgt−1−ラムダBC、ラムダ−gt−1−ラムダB、M13m
p7、M13mp8、M13mp9);SV40およびアデノウイルスベク
ター、並びに酵母ベクターである。
5.4.PIAおよびPIB遺伝子生成物の同定および精製 先に述べたように、PIAおよびPIBをコードする遺伝子
セグメントは本来は上記の新規なオリゴヌクレオチド配
列とのハイブリダイゼーションにより同定された。選択
された断片がPIAをコードする構造遺伝子であるという
同一性は、天然PIAとの分子量比較により、およびコロ
ニーラジオイムノアッセイで試験された6種類すべての
PIAモノクローナル抗体との反応性により証明された。P
IB生成物の同一性もPIB特異的モノクローナル抗体との
反応により証明された。クローン化PIAまたはPIB遺伝子
を発現する大腸菌宿主細胞は、適切なモノクローナル抗
体と反応するP Iタンパク質を豊富に産生する。PIAタン
パク質の精製操作はTeerlink等(The Pathogenic Neiss
eria,G.Schoolnik編、259−264,1985,ASM)に詳細に記
載されている。
5.5.PIA/Bハイブリッドの作製 本発明に関連して、多数のハイブリッドPIA/B遺伝子
配列およびタンパク質が作られた。ハイブリッド遺伝子
はSeifert等(Genetic Engineering,Principles and Me
thods,Vol.8,p.123−134,Settin等編、Plenum Press,19
86;PNAS USA 83:735−739,1986)に従って改良された
シャトル突然変異誘発法を用いて、PIA産生株にP I遺伝
子に隣接して選択マーカーを挿入することにより作製さ
れた。この場合、選択マーカーは選択可能なクロラムフ
ェニコール耐性(Cmr)を付与するクロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子であっ
た。次にCAT DNAを含有するPIA株をPIB含有受容株を形
質転換するためにDNA供与株として使用した。相互交雑
(reciprocal cross)も行われた。推定上のハイブリッ
ドはCmrで選択し、イムノブロッティングでP Iについて
調べて同定した。次の形質転換体すべてが観察された:
(1)供与株DNAが存在した、または(2)受容株DNAが
保持されていた、または(3)そのDNAがどちらの親のD
NAとも相違していた。真のハイブリッドPIA/B株は程良
く高い頻度で両方の種類の交雑において発生し、多くの
異なる血清型が同定可能であった。これらのハイブリッ
ド遺伝子およびタンパク質を入手できることにより、既
知モノクローナル抗体のエピトープの位置を解明するこ
とができ、また防御抗体の生産を誘導することが知られ
ているエピトープ(従って、有用なワクチンの開発にお
いて最も重要なエピトープである)を含有するPIA/Bハ
イブリッドタンパク質の同定、そして最終的にはその合
成による構築が可能となった。これらのハイブリッドの
作製および同定の細部については以下の7節で述べるこ
とにする。
5.6.合成法によるPIA、PIBおよびハイブリッドタンパク
質の製造 もう一つの態様においては、第3図および第9図に示
した遺伝子配列によりコードされるタンパク質並びにそ
れぞれの一部を含有するキメラタンパク質を当分野でよ
く知られた技法を使って化学的に容易に合成できる(J.
Chem.Soc.Perkin Trans. :361,1986)。最終実施にお
いては、タンパク質配列内部の防御エピトープが同定さ
れると、その分子の単離された活性領域のペプイド合成
によりワクチン製造用の基本物質の単純で比較的安価な
製造方法が提供される。ペプチド合成の使用はまた、ハ
イブリッドPIA/PIBタンパク質の、または、好ましくはP
IAとPIBタンパク質の両方の防御エピトープを含有する
合成ペプチドの便利な構築手段を提供するものである。
従って、本発明は開示した配列による、遺伝子組換えに
より製造されたタンパク質および合成的に製造されたタ
ンパク質の両方を包含するものである。また、完全なタ
ンパク質の断片、好ましくは親タンパク質分子の抗原性
を保持する断片、そして最も好ましくは防御抗体の生産
を惹起するエピトープを含有する断片も本発明に包含さ
れる。さらに、配列内の1個またはそれ以上のアミノ酸
残基を化学的に同等のアミノ酸で置き換えることによっ
て、完全なタンパク質およびペプチド断片配列内で置換
を行うことが可能であることも認識されよう;例えば、
アスパラギン酸およびグルタミン酸のような負に荷電し
た残基は相互交換でき、リジンやアルギニンのような正
に帯電した残基も同様に交換できる。疎水性残基にはト
リプトファン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイ
シン、バリンおよびアラニンが包含される。既知配列か
らのある種の欠失または既知配列への付加を行い、しか
もまだ所望の抗原活性を保持させることも可能である。
これらの2種のタンパク質の配列に関する本情報が与え
られたことにより、分子を適当に改変しかつ活性が保持
されているかどうか判定することは当分野の技術の範囲
内である。従って本発明はさらに、クローン化したもの
であろうと合成的に製造したものであろうと、親分子の
抗原性が実質的に保持されている請求したタンパク質の
相同物、類似物、および断片を包含するものである。
5.7.ワクチンの製剤 精製された形態の遺伝子産物または合成によるPIAペ
プチドは淋菌感染予防用のワクチン組成物を調製するの
に有用である。完全なPIAタンパク質またはその任意の
活性断片がこの種の組成物中で免疫源物質として使用で
きる。遺伝子生成物が融合タンパク質の一部分として発
現された場合には、そのタンパク質を全体として使用で
きるしあるいは宿主細胞タンパク質を切断して非融合PI
Aタンパク質を生成させることもできる。
組換えDNA技術により作られたPIAタンパク質は標準的
なタンパク質分離法を用いて宿主細胞から分離できる。
次に精製タンパクを通常使用される任意の医薬上許容し
うる担体例えば水、生理食塩水、エタノール、ポリオー
ル(例.グリセロール、プロピレングリコール)、また
は植物油、並びに当分野で知られた任意のワクチンアジ
ュバントと組み合わせる。PIA産物はまたワクチン製剤
に使用するためにリボソーム内に取り込ませることもで
きる。ここで用いる“医薬上許容しうる担体”とはあら
ゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌
剤、等張剤、吸収遅延剤などを包含する。医薬上活性な
物質に対するかかる作用剤の使用は当分野図え知られて
いる。慣用媒体が活性成分と不適合でない限り、治療組
成物中におけるその使用が意図される。補助的な活性成
分も混入できる。
本発明の特に有用な実施態様は、活性免疫原としてハ
イブリドPIA/PIBタンパク質を用いたワクチンである。P
IAとPIBの両方のエピトープを発現する。実験的に誘導
された淋菌は文献(Danielsson,Inf.Immun. 52:529−5
33)に報告されているが、キメラタンパク質の構造は同
定されず、そのタンパク質をワクチンに使用する可能性
については全く触れられていない。かかるワクチンによ
り両方の種類の淋菌感染(すなわち、プロテインI A含
有株に関連した全身感染およびプロテインI Aまたはプ
ロテインI B含有株に関連した局所感染)に対して個体
を免疫できるという利点が得られる。本発明に関連して
述べた特定プローブの入手可能性が示されたことによ
り、かかる適当なハイブリッドタンパク質は当分野技術
者に知られた技法を使って容易に得ることができる。
原則的には、キメラ遺伝子は個々のタンパクの遺伝子
を初めに単離することにより作製できる。本発明のPIA
特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いたPIA遺伝子
の単離方法はすでに上で説明した。同様の操作がPIB遺
伝子の単離および同定に使用できる。PIBタンパク質の
みを産生する菌株例えばMS11、R10、FA6140、F62などが
多数同定されている。上記の非PIA特異的DNA配列は、PI
B特異的菌株由来のP I配列を含有する制限断片をPIB菌
株の遺伝子ライブラリーから単離するのに好都合に使用
できる。正しい産物が発現されたことの証明は、推定PI
B断片による宿主微生物の形質転換および発現、そして
任意の既知PIB特異的モノクローナル抗体(R.C.Nowinsk
i,Knapp,J.S.,Tam,mM.R.,and Sandstrom J.Infect.Di
s.,150:44−48,1984)との反応による発現産物の同定か
ら得られる。ひとたび個々の遺伝子断片が単離された
ら、それらは当業上知られた任意の方法を用いて容易に
クローン化され、組み立てられる。次にPIA配列部分
を、キメラタンパク質が転写および翻訳可能な形態(例
えば、翻訳終止配列により中断されてない形態)でコー
ドされるように、PIB配列部分に連結させる。次に、全
キメラ配列を選択マーカーおよび制御エレメントを含有
するベクターに連結させることができる。次にこのベク
ターを用いて、回収可能な量の遺伝子生成物を発現しう
る宿主微生物を形質転換する。もちろん別法として出発
点でPIA遺伝子をすでに含有するベクター(例えば、大
腸菌NRRL B−18263に含有されるプラスミド)を使用し
てもよい。PIB配列を上記のようにして単離し、その全
部または一部をプラスミド中のPIA遺伝子に隣接してま
たはPIA遺伝子の内部に連結させて目的とするキメラ遺
伝子の転写および翻訳を行わせることもできる。しかし
ながら好ましくはPIA/PIBハイブリッドは5.6節で説明し
たようにして作製し、ハイブリッド遺伝子をそこから単
離して形質転換用のベクターを作製する。このようにし
て作製したベクターを使って再度宿主微生物を形質転換
する。このようにして、遺伝子生成物の発現によりキメ
ラタンパク質の供給源が提供され、このキメラタンパク
質PIAまたはPIBタンパク単独と同じ方法でワクチン製剤
中に容易に配合できる。
また別の実施態様においては、ワクチン製剤に有用な
ハイブリッドタンパク質は今や配列が明らかとなったタ
ンパク質の防御エピトープを単離および同定することに
より合成的によって製造することもできる。先に述べた
ように、組換えキメラタンパク質が容易に入手しうるこ
とにより、問題のエピトープをより容易に同定でき、そ
れにより最終的には免疫を賦与するのに必要なハイブリ
ッドタンパク質のその部分のみを含有する“簡素化され
た”ハイブリッドを合成方法により構築することができ
る。
6.実施例1:PIA遺伝子の同定、単離および発現 本発明の方法にしたがって、淋菌DNAの断片を得、個
々の断片を別々にクローニングし、次いで外来の誘導可
能プロモーターとともに遺伝子を再構築することによ
り、PIA遺伝子配列を決定した。前述のように、オリゴ
ヌクレオチドNC1とのハイブリッド形成により、PIA遺伝
子配列の部分を有する2個の推定断片を同定した。次に
関連する制限フラグメントをそれぞれpGEM−2プラスミ
ドベクターに結合し、適当な宿主に形質転換した。オリ
ゴNC1とハイブリッド形成した形質転換体を単離した。
これらのクローンからプラスミドDNAを調製し、適当な
制限酵素で消化し、再びNC2をプローブとして探査し
た。NC1とハイブリッド形成した個々の断片を、次いで
別々にpGEM−2プラスミドに再連結して、2つの別個の
プラスミド、pUNC3およびpUNC11を得た。
750bp断片のDNA配列の同一性は、それに由来するより
小さな制限断片をM13 mpRF DNAにサブクローニングし、
次いでサンガー法(PNAS USA 74,5463−5467,1977)に
したがって配列決定することにより決定された。この配
列から、新規オリゴヌクレオチドを合成した。NC8と命
名したこの新規オリゴヌクレオチドを、すでにクローニ
ングされた900bp断片に隣接する850bp断片を同定するた
めに使用し、この断片をpGEM−2にクローニグしてpUNC
15を生成させ、サンガー法(上記)により配列決定し
た。プラスミド調製、配列決定、ハイブリッド形成およ
び形質転換に関する操作法の詳細を以下に述べる。
6.1.プラスミドの調製に用いられる一般的操作法 以下の小節には、DNA単離、酵素反応、断片の単離お
よび結合反応に用いられる一般的操作法が記載される。
6.1.1.制限酵素に関する条件 この実験に用いられる制限酵素は、特に指示しない限
りNew England Biolabs,Inc.,Beverly,Massachusettsか
ら入手される。N.ゴノロエアエ培養物は、ケロッグの添
加物(Kellogg′s supplement)IおよびII(J.Bacteri
al. 85:1274−1279,1863)を含有するGC基礎培地(DIF
CO)中で5%CO2雰囲気下で増殖させる。Manessら(J.I
nfect.Dis128:321−330)に記載された淋菌株FA19か
ら、Sternら(Cell 37:447−456,1984)の方法にした
がって、消化に必要なDNAを単離した。この菌株はプロ
テインI Aを生産することが知られている。
下記の条件下で全ての消化を行った。約20μのDNA
試料を、2−10倍過剰の制限酵素通で37℃で1−3時間
インキュベートした。この条件の例外は、Taq Iに関し
て温度65℃、Sma Iに関して30℃である。
6.1.2.制限酵素緩衝液 Acc I、Msp IおよびRsa I消化に用いた緩衝液は、50m
Mトリス−HC1および10mM MgCl2からなり、pH8である。
Ava I、Hind IIIおよびTaq I消化に用いた緩衝液は、
50mMトリス−HC1、10mM MgCl2および50mM NaClからな
り、pH8である。
BamH I、EcoR IおよびSal I消化に用いた緩衝液は、5
0mMトリス−HC1、10mM MgCl2および100mM NaClからな
り、pH8である。
Hinc II、Sau3A IおよびSma I消化に用いた緩衝液
は、20mMトリス−HCl、5mM MgCl2および50mM KC1からな
り、pH7.4である。
0.5M EDTA(pH7.5)を最終濃度10mMとなるように添加
して反応を停止させる。
6.1.3.関連する制限断片の同定 大腸菌株HB101(Maniatisら、Molecular Cloning,Col
d Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY,1
982)において、pBR322のPIAを他のベクタープラスミド
上にクローニングする初期の試みは、否定的な結果の繰
り返しであった。したがって、PIA遺伝子またはそのタ
ンパク質を含有する断片を、オリゴヌクレオチドプロー
ブとのハイブリット形成によって同定することを試みる
ことにした。N.ゴノロエアエ菌株R10のPIBの公知のN−
末端アミノ酸配列(Blakeら、Infect.Immun36:277−2
85,1982)に基づいて、2つのプローブを設計した。2
つの他の淋菌タンパク質であるピリンMeyerら、PNAS US
A 81:6110−6114,1984)およびP IIの遺伝子配列から
得られた限られた量のコドン使用データとともに、この
情報をNC1およびNC2と命名された第2図に示す1対のオ
リゴヌクレオチドを構築した。NC1はただ一つの配列で
あり、NC2は正しい配列を同定する確率を高めることを
意図したヌクレオチドの混合集団である。コロニーハイ
ブリッド形成アッセイにおいて、これら両方のオリゴヌ
クレオチドはFA19とハイブリッド形成したが、pBR322ま
たはpGEM−2のいずれか一方を含有するHB101とはハイ
ブリッド形成しなかった。
制限エンドヌクレアーゼ消化されたDNAをアガロース
ゲルで操作し、Southernのブロット法(J.Mol.Biol9
8:503−517,1978)によりゲルからニトロセルロースフ
ィルターへ移した。NC1およびNC2オリゴプローブをMani
atisらの方法(上記)にしたがってポリヌクレオチドキ
ナーゼを用いてγ−P32ATP(ICN Radiochemicals,Irvin
e,Calif.)で標識した。下記の緩衝液中で末端標識を行
った。トリス−HCl(pH7.6)、10mM MgCl2、5mM DTT
(ジチオトレイトール)、0.1mMスペルミジンおよび0.1
mM EDTA。ニトロセルロースフィルター上のDNAに対する
標識オリゴヌクレオチドのハイブリッド形成は、4×SS
PE(0.18M NaCl,10mM NaH2PO4[pH7.4]、1mM EDTA)、
2×Denhardtの溶液(1×=0.02%ウシ血清アルブミ
ン、0.02%Ficoll、0.02%ポリビニルピロリジン)、20
mMピロリン酸ナトリウム、0.2%ドデシル硫酸ナトリウ
ムおよび50μg/mlサケ精液DNA中で、ハイブリッド形成
反応液1ml当り106cpmの標識オリゴヌクレオチドを用い
て一晩行った。フィルターを1×SSC(0.15M NaCl、0.0
15Mクエン酸ナトリウム)、5mMピロリン酸ナトリウムお
よび0.1%ドデシル硫酸ナトリウム中で洗浄した。ハイ
ブリッド形成および洗浄の温度は、NC1およびNC2につい
てそれぞれ46℃および40℃であった。フィルターを5×
SSC中で洗浄し、乾燥し、Kodak X線フィルムに暴露し
た。1個のフラグメトに対するハイブリッド形成が個々
の場合に起こった。関連する断片はEcoR I−10kb、Sal
I−5.5kb、Sau3A I−900bpおよびTaq I−750bpであっ
た。NC1およびNC2の両者について同一の結果が観察され
た。
6.1.4.断片のクローニング pBR322にクローニングされたEcoR IまたはSal I消化D
NAを含有するHB101のコロニーライブラリーを、コロニ
ーハイブリッド形成法によってオリゴヌクレオチドNC1
をプローブとして探査すると、陽性のコロニーは観察さ
れなかった。このことはP Iが大腸菌に対して致命的で
あることを示唆する先の観察を支持した。FA19 DNAのよ
り小さな断片、すなわちオリゴヌクレオチドとハイブリ
ッド形成したSau3A IおよひTaq I消化物は、全P I遺伝
子を含有していないと推定され、クローニングのための
候補として選択された。
各断片について、本格的に同じ操作にしたがった。Sa
u3A I断片については、全FA19 DNAをSau3A Iで完全に消
化した。プラスミドpGEM−2(Promega Biotec Madiso
n,Wis.より入手)DNAをBamH Iで消化し、Sau3A I断片に
結合した。DNA断片の結合はT4リガーゼ(New England B
iolabs.Beverley,Mass.)を用い4℃で16時間、次のバ
ッファー中で行った。50mMトリス−HCl(pH7.6)、10mM
MgCl2、5%(w/v)ポリエチレングリコール8000、1mM
ATP、1mM DTT。MandelおよびHigaの塩化カルシウム法
J.Mol,Biol53:154,1970)により、この組換えプラ
スミドで大腸菌HB101を形質転換した。これについて概
説すると、細菌細胞を50mM CaCl2および10mMトリス−HC
l、pH8、の氷冷滅菌溶液に懸濁し、次いで結合緩衝液中
でプラスミドDNAと混合する。
約2000個の形質転換が回収された。細菌コロニーを、
GrunsteinおよびHognessの方法(PNAS USA 82:3961−3
965,1975)にしたがってハイブリッド形成により調製さ
れたニトロセルロースフィルタ上に移し、オリゴNC1と
のハイブリッド形成を観察した。1個のコロニーが実際
にこのオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成した。プ
ラスミドDNAを増幅し、集め、Sau3A Iで消化し、すでに
述べたサザンハイブリッド形成法によってオリゴNC1を
プローブとして探査した。900bpの1個の断片がこのオ
リゴヌクレオチドとハイブリッド形成し、これは先のサ
ザンハイブリッド形成によって同定されたFA19のSau3A
Iゲノム断片と同じ大きさであった。この断片を切り取
り、アガロースゲルから電気的に溶出し(electroelut
e)、BamH1消化pGEM−2プラスミドに再び結合させて、
組換えプラスミドpUNC3を作成した(第2図)。
オリゴNC1とハイブリッド形成したFA19の750bpのTaq
I断片を用いて実質的に前記と同じ操作を行った。しか
し、Taq I断片はpGEM−2のAcc I消化部位に結合して、
組換えプラスミドpUNC11を得た(第2図)。
6.1.5.サブクローニングおよび断片の配列決定 配列決定に先立って750bpのTaq I断片を酵素Rsa Iお
よびMsp Iを用いて消化して、300bp以下のより小さな制
限断片とした。次いで断片の末端を修復し、Norrander
ら(Gene 26:101−106,1983)により記載されたように
して、M13 mp18 RF DNAのSma I部位に結合した。次い
で、このクローニングベクターによって作成された1本
鎖DNAは、Sangerらの方法(PNAS USA 74:5463−5467,1
977)によって配列決定するための鋳型として用いられ
る。
Sanger(上記)およびそれに含まれる参考文献(BRL,
Gaithersburg,Md.)に記載の方法にしたがって、ジデオ
キシヌクレオチドを調製することができる。各DNA試料
につき4個のウェル、すなわちジデオキシヌクレオチド
ddA、ddT、ddCおよびddGのそれぞれについて1個のウェ
ルを用意する。各ウェルに、鋳型DNA2μ、ならびにプ
ライマー混合物(BRL由来の11μの(22ng)M13 17塩
基プライマー、11μのTM(100mM トリス+50mM MgC
l2、pH8.5)および66μのH2O(10クローンにつき)か
らなる)2μを添加する。これらを回転させ、プラス
チックラップでおおい、56℃で55〜60分間インキュベー
トする。
インキュベートした後、2μの適当なNTP混合液を
各ウェルに添加する。各混合液は10〜500μMのddNTPお
よび各6.25μMの通常のdNTPを含有する。NTP混合液の
添加後、2μのクレノウ混合液を各ウェルに添加し
た。このクレノウ混合液は、11μのクレノウ(1U/μ
に希釈)、11μの0.1Mジチオスレイトール、4.4μ
の35S−dATPおよび61.6μのH2Oからなる。この混合
物を回転させ、プラスチックラップでおおい、30℃で15
分間再度インキュベートする。各ウェルに2μの追跡
用混合液(4種の全てのdNTP0.25mM)を加え、回転さ
せ、30℃で15分間再度インキュベートする。次いで2μ
のホルムアミド色素を各ウェルに加えた後、おおいを
せずに80℃で15分間インキュベートする。
この時点で、これらの混合物をゲルにすぐ負荷でき、
あるいはラップして−80℃で保存することができる。こ
の操作法で使用したゲルは下記の組成を有する。
展開ゲル(80%) 40%アクリルアミド 16ml 尿 素 40g 10×TBE 8ml H2O 24ml 10%APS(過硫酸アンモニウム) 1ml TEMED(テトラメチルエチレンジアミン) 20μ * トリスほう酸電気泳動緩衝液;89mMトリス+89mMほ
う酸 ゲルを60ワットの定出力で3−4時間操作し、次いで
10%酢酸および10%メタノール中で15分間固定したの
ち、これらを紙の上で乾燥し、Kodak X線フィルムに暴
露する。
Taq I断片について決定された配列に基づいて、新規
オリゴヌクレオチドであるNC8を作成した。5′GCGTTAA
AACCGCTACC3′の配列を有するこの新規オリゴヌクレオ
チドは、前もってクローニングされた900bpの断片に隣
接する850bpのSau3A I断片を同定するためにサザンハイ
ブリッド形成に用いられ、この850bpはpGEM−2にクロ
ーニグされてプラスミドpUNC15(第2図)を生成し、前
記の手法で配列決定された。P I遺伝子の全配列を第3
図に示す。この配列の唯一の大きな読みとり枠は塩基84
と1062の間に存在しており、これは326個アミノ酸タン
パク質に相当する。種々のP Iタンパク質の刊行された
N−末端アミノ酸配列(Blake,上記)から、成熟タンパ
ク質の最初の残基はおそらく塩基141のアスパラギン酸
であった。このことは307アミノ酸の成熟タンパク質お
よび19アミノ酸のシグナルペプチドを与える。このタン
パク質の推定の大きさは33,786ダルトンであり、これは
FA19におけるP Iの見かけの分子量35,000に近い。この
シグナルペプチドは、このような配列に関連した共通の
特性を有すると思われ(Von Heijne,J.Mol.Biol.184:99
−105,1985)、一続きの疎水性アミノ酸、豊富なアラニ
ン残基およびAla−X−Ala切断部位を有する。また推定
−35および−10プロモーター配列、およびシグナル配列
の最初の残基のすぐ上流にShine−Dalgarnoリボゾーム
結合部位も存在していた。上記プロモーター配列は配列
および分離に関して大腸菌におけるこれらの配列に関す
るコンセンサスに近い(Harleyら、NuclAcid Res1
5:2343−2361,1987)。予想されるN−末端アミノ酸配
列は、推定PIAタンパク質のアミノ酸配列決定により決
定されたものに合致し、(Blake,The Pathogenic Neise
eria,G.K.Schoolnik編、Amer.Soc.Microbiol.,Was
h.)、R10のPIBタンパク質のそれときわめて類似してい
た。予想されるタンパク質のヒドロパシープロフィール
は、外層膜ポーリンタンパク質のそれに典型的であ、大
腸菌OmpFおよびOmpCの主要ポーリンと比較して優れてお
り(第4図)、実質的に疎水性伸長部をまっとく持たな
い長い親水性領域によって特色付けられた。他の配列決
定された淋菌外層膜タンパク質のヒドロパシープロフィ
ールとの相関はほとんど存在しなかった。
6.2.遺伝子発現 完全なP I遺伝子クローンを、pUNC3およびpUNC15のSa
u3A I断片の遺伝子の2つの部分を結合させることによ
って回収する試みは、繰り返し失敗に終わり、淋菌P I
は大腸菌にとって致命的であるという結論に至った。し
たがって、P I遺伝子プロモーターの一部分を除去し、P
I遺伝子がpGEM−2上でファージT7プロモーターの下流
に位置するように、組換えプラスミドを構築した。大腸
菌細胞は普通はT7プロモーターから下流の遺伝子を転写
するT7ポリメラーゼを含有しないため、このプラスミド
は安定に保持される。
このようにして構築されたプラスミドがpUNC7であ
り、第5図に示したスキームにしたがって調製された。
P I遺伝子プロモーターの−35と−10領域の間の従来のH
ae III部位により、−35領域およびその上流配列が容易
に除去できた、次に遺伝子の残りの部分をT7プロモータ
ーの制御下でpGEM−2に挿入した。pUNC7で形質転換さ
れたHB101は、コロニーラジオイムノアッセイで検出可
能なP Iを発現しなかった。次に、ファージT7ポリメラ
ーゼ遺伝子を有するがLac UV5プロモーター(Studier
ら、J.Mol,Biol189:113−130,1986)の制御下にある
溶原菌である。大腸菌BL21(DE3)を、プラスミドpUNC7
で形質転換した。イソプロピル−β−D−チオガラクト
ピラノシド(IPTG)を含まない培地で生育させると、プ
ラスミドpUNC7を有するBL21(DE3)は検出可能なP Iを
生産しなかったが、培地中にT7ポリメラーゼ生産を誘導
するPITGが存在すると、PI遺伝子生産物はコロニーブロ
ットラジオイムノアッセイでPIAコノクローナル抗体に
よって検出された。
発現されたタンパク質は、生産物が細胞を溶解するこ
となくコロニーラジオイムノアッセイで検出されうるこ
とから、大腸菌クローンの内層膜を通って有効に運び出
されると思われる。このタンパク質は、SDS−PAGE(第
6図A)およびウェスタンブロッティング(第6B)によ
って検出されたFA19と比較して、同等の見かけの分子量
を有し、IPTG存在仕下で一晩生育させる間にクローンに
よって産生される最も大量のタンパク質であるとも思わ
れる。このタンパク質生産は特にこの大腸菌株に致死的
であり、安定な細胞を回収することはできない。しかし
IPTG含有培地での生育によって発現が誘導されないなら
ば、P I遺伝子を包含するプラスミドpUNC7を有する菌株
中に安定に保持することができる。プラスミドpUNC7を
有する菌株BL21(DE3)の生物学的に純粋な培養物は、1
987年11月13日に、the Northen Regional Research Lab
oratory(NRRL)に受託番号NRRL #B−19263のもとに
寄託された。
7.実施例2:PIB遺伝子の同定、単離、配列決定および発
現ならひにPIA/Bハイブリッドの構築および発現 nmp遺伝子座がP I構造遺伝子であること、そしてPIA
およひPIBタンパク質が対立遺伝子であることを示そう
とする試みの結果として、PIB遺伝子およひPIA/Bハイブ
リッドの両者が同定および単離された。順次行われる手
順はPIA含有菌株への選択可能なマーカーの挿入、それ
に続くPIB生産菌株の形質転換を包含する。これらの操
作法の輪郭を以下に詳細に述べる。
7.1.P I遺伝子への選択可能なマーカーの挿入 FA19(PIA生産菌株)のP I遺伝子の最初の45コドンお
よび上流配列を含む、上記pUNC3の900bpのSau3A I断片
を、BamH I消化pHSS6に結合してプラスミドpNCS2を作成
した(第7図)。次にこのプラスミドをシャトル突然変
異誘発に付した。シャトル突然変異誘発はSaifertら
(上記)の方法の変法を用いて行った。標的のDNAをpHS
S6にサブクローニングし、大腸菌株RDP146(pTCA)に形
質転換により導入し、続いて接合によりpOX38::mTn3Cm
−3(大腸菌 W311 polA由来)を導入した。トランス
接合体を30℃で一夜生育させて転位を起こさせ、続いて
数時間37℃で生育させた。トランス接合体の「プール」
(約1000コロニー)を再懸濁し、大腸菌NS2114Smとの接
合に際してドナーとして使用した。その場合、標的のプ
ラスミドへ転位する際に中間体として生じたプラスミド
同時組込み体が分解する(Seifertら、上記)。こうし
て挿入されたトランスポゾンは、プラスミドpTCA上でト
ランスに与えられるトランスポーゼ機能がもはや存在し
ないため安定である。この場合に用いられたミニトラン
スポゾンは、Tn3のbla遺伝子がクロムフェニルコールア
セチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子により置き換
えられたmTn3Cm−3である。
pNCS2の900bpのSau3A I断片内のmTn3Cm−3挿入部位
をマッピングした後、種々の部位にmTn3Cm−3を有する
5種のこのような構築物を、全挿入物を線状断片として
放出させNot Iで消化して、FA19を形質転換するのに使
用した。消化されたプラスミドであるpNCS32(第7図)
だけが、約1×10-7の頻度でFA19をCmrに形質転換し
た。pNCS32におけるmTn3Cm−3の挿入部位はPIA遺伝子
プロモーター配列の約300bp上流であったが、他の4つ
のプラスミドの挿入部位はすべて、P I遺伝子内ではな
いがより近接していた。形質転換体FA19 CAT D1(第7
図)のゲノム中のmTn3Cm−3の位置をサザンハイブリッ
ド形成によって確認した。
先行する研究(Cannonら、J.Bacteriol143:847−85
1,1980;Infect.Immun32:547−552,1981)はP Iの分子
量および抗原性に影響を与えるnpm遺伝子座が淋菌ゲノ
ム上で抗生物質耐性マーカーstrおよびspcと、strspc
と、nmpの順で近接して結合しており、同時形質転換頻
度はstrおよびnmpについて5%、spcおよびnmpについて
は約23%であることを示している。P I構造遺伝子に隣
接するFA19 CAT D1のCATマーカーがnmp遺伝子座と同じ
リンケージパターンを示したかどうかを調べるために、
菌株FA130(StrrSpcrCms)Sarubbiら、J.Bacteriol12
0:1284−1292,1974)とFA19 CAT D1(StrsSpcsCmr)の
間で相互乗り換えを行った。FA130 DNAをFA19 CAT D1の
形質転換に用いた場合に、StrrまたはSpcrのいずれか一
方を選択すると、同時形質転換頻度はspcおよびCATにつ
いて26%(99/383)、strおよびCATについて7.5%(40/
537)であった。相互乗り換えにおいて、Cmrを選択する
と、同時形質転換頻度はspcおよびCATについて10%(11
/111)、strおよびCATについて1%(1/111)であっ
た。乗り換え程度の分析により、遺伝子の順序がstrs
pc…CATであることが確認された。これらのデータはCAT
遺伝子がnmp遺伝子座と同じ要旨でstrおよびspcマーカ
ーと結合していることを実証した。このことはnmp遺伝
子座がP Iの構造遺伝子であることの強力な証拠を与え
る。
もう一つの乗り換えに際しては、PIB菌株MS11を形質
転換するためにFA19 CAT D1 DNAを用い、Cmrを選択し
た。45個の形質転換体のうち、24個は供与株のPIAを獲
得し、13個は受容株PIBを保持し、そして8個は新規ハ
イブリッドPIA/PIBタンパク質を発現した。これはコロ
ニーイムノブロッティングにより検出された。近接して
結合したCAT遺伝子を選択するときの供与株PIAによる受
容株PIBの置換は、これらの遺伝子の対立遺伝子として
の性質を確証するものであり、そしてハイブリッドタン
パク質が高頻度に出現することは、2つの対立遺伝子間
の配列相同性により遺伝子内組換えが起こることを示唆
した、これらのP Iハイブリッド菌株の詳細な分析はMS1
1のPIB配列に関する知識の如何に左右されるので、この
配列をクローニングして配列決定した。
7.2.PIB遺伝子のクローニング、配列決定及び発現 完全無欠な淋菌P I遺伝子を大腸菌にクローニングす
ることはできないと思われるため、一緒になって完全な
遺伝子配列を含有するものであるPIAについて上記した
クローニング断片の方法を、MS11 P I遺伝子に採用し
た。予めハイブリッドPIを牛するとして特性決定された
菌株FA6149(Danielsonら、InfectImmun. 52:529−5
33,1986)のP I遺伝子内からのDNA断片を、クローニン
グして配列決定し、そして配列のPIB部分、遺伝子の開
始点から約300bp、にKpn I部位が存在することが判明し
た。Kpn I部位下流のPIB遺伝子配列から誘導されたオリ
ゴヌクレオチドNC12(第8図)、およびこのタンパク質
のN−末端に対応する遺伝子配列から誘導されたNC1
(第1図)を、サザンハイブリッド形成でのプローブと
して用い、MS11 P I遺伝子にKpn I部位が存在すること
を確認した。ベクタープラスミドpGEM−3にクローニン
グされたKpn I/Hinc II−消化MS11 DNAを含有するHB101
コロニーを、これらのオリゴヌクレオチドをプローブと
して探査し、NC12とハイブリッド形成するコロニーを検
出し、そしてこれらのコロニーがNC12とハイブリッド形
成した1.8kbのKpn I/Hinc II断片を有するプラスミドを
含有することを見いだした。このプラスミドをpUNCH22
(第8図)と命名した。しかし繰り返し試みても、NC1
とハイブリッド形成するコロニーは検出されなかった。
NC1はサザンハイブリッド形成でMS11ゲノムDNAの750bp
Kpn I/Hinc II断片とハイブリッド形成したため、問
題点は大きさにあるのではなく、コピー数の多いベクタ
ーにおいては、HB101に対して致命的であるこの断片のP
I遺伝子部分の発現の問題である可能性が高いと思われ
た。この理由から、プローブとしてオリゴヌクレオチド
NC1を用いて、MS11P I遺伝子の残りの部分をλgt11にお
ける540bpのHinf I断片として単離した。このクローン
をλgt11.NC1(第8図)と命名した。λgt11.NC1の540b
pのHinf I断片およびpUNCH22のKpn I−Sau3A Iフラグメ
ントをさらに消化し、サブクローニングし、配列決定し
た。この配列を第9図に示す。この配列から350アミノ
酸のタンパク質が予想され、そのうち最初の19は推定シ
グナルペプチドである、FA19およびMS11のP I遺伝子の
比較は、80%のヌクレオチド配列相同性を示す。PIA(F
A19)およびPIB(MS11)の予想アミノ酸配列の比較を第
10図に示す。これは長い相同領域が散在する数多くの有
意に相違する領域を示す。淋菌細胞全体に対して生じる
P I−特異的モノクローナル抗体はPIAとPIBとの間で全
く交差反応性ではないので(Knappら、J.Infect.Dis1
50:44−48,1984)、相違領域の一部はおそらくタンパク
質の表面に露出した抗原性の部分に相当する。
PIAの場合と同じ方法を用いて完全なPIB遺伝子の発現
を達成した(6.2節)。PIB遺伝子プロモーターの−35お
よび−10領域間のNci I部位から遺伝子内のKpn I部位ま
でのλgt11.NC1挿入DNAの断片を、Hinc IIおよひBamH I
で消化されたベクターpGEM−2内にpUNCH22の750bpのKp
n I−Sau3A I断片と一緒に連結させた。この結果、それ
自身のプロモーターを持たないがプラスミドベクター上
のT7プロモーターのすぐ下流に完全なPIBコード配列を
生じた。この構築物(pUNCH25)をBL21(DE3)に導入
し、IPTG存在下に生育させると、PIBの発現を検出する
ことができた(第11図)。
プラスミドpUNCH25を有する生物学的に純粋な大腸菌B
L21(DE3)培養物は、the American Type Culture Coll
ection,Rockville,Marylandに受託番号67775のもとに寄
託されている。
7.3.PIA/Bハイブリッド菌株の構築および分析 さらに、MS11をFA19 CAT D1 DNAで形質転換し(Biswa
sら、J.Bacteriol. 129:983−992,1977)、Cmrを選択
し、イムノブロッティグによりP Iを検出することによ
り、PIA/Bハイブリッドを構築した。相互乗り換えにお
いて、PIBを保持しているMS11のCmr形質転換体由来のDN
AをFA19の形質転換に使用し、Cmrで選択し前記のように
P Iを検出した。抗生物質耐性を表現型として発現させ
るために、細胞をGC基礎ブロス中で、あるいは抗生物質
を含有する軟寒天上層を添加した。GC基礎寒天培地中で
5時間インキュベートした。受容株としてFA19を用い、
Cmrで選択するときは1μg/mlの抗生物質を使用した
が、MS11を受容株であるときは10μg/mlを用いた。Cann
onらの方法の変法を用いてモノクローナル抗体の結合に
ついて細菌株をアッセイした。GC基礎ブロス中の高濃度
細胞懸濁液を濾過マニホルドを用いてニトロセルロース
に移し、クロロホルム蒸気中で溶解させた。このフィル
ターを5%粉乳を含有するTBS(10mMトリス−HCl、pH7.
5、150mM NaCl2)に浸漬し、適当な抗体を含有するTBS
中でインキュベートし、つぎにTBS中で洗浄した。二次
抗体と接合した抗マウスIgC−アルカリフォスファター
ゼ(Sigma)中でインキュベートし、さらに洗浄した
後、フィルターをニトロブルーテトラゾリウムおよひ5
−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート
(Bethesda ResearchLaboratories)を用いて製造業者
の指示にしたがって展開した。使用したモノクローナル
抗体は、4A12,4G5,2F12,6D9,5G9,5D1(10),1D3(26)
およびSM101(27)(これらは全てPIA特異的である)、
ならびに1F5,3C8,2D4および2H1(10)(これらはPIBH特
異的である)であった。SM101以外の全ての抗体はM.Tam
(GeneticSystems)の厚意により腹水中で供給され、1:
2000ないし1:10000の希釈で用いられた。SM101はJ.Heck
els(Southampton大学)の厚意により抵抗された。
受容株としてFA19を用いた300個の形質転換体のう
ち、3個がハイブリッドP Iを有した。13個のハイブリ
ッド菌株のうち、5個の異なるハイブリッドP I血清型
が同定された(第I表)。次にハイブリッドP I遺伝子
のどの部分がP I配列であるか、そしてどれがPIB配列で
あるかを評価するために、多数のPIA−及びPIB−特異的
オリゴヌクレオチド(第II表および第10図)を用いるコ
ロニーハイブリッド形成によりハイブリッド菌株を分析
し、この方法により9個の異なるクラスが検出された
(第10図)構造を既知のハイブリッドP Iの血清型の分
析により、これらのモノクローナル抗体についてのエピ
トープのおよその位置を決定することができた。
クラス1ハイブリットと反応するPIA特異的モノクロ
ーナル抗体4G5、2F12およびSM101のエピトープは、タン
パク質のN−末端の近く、最初の60残基以内に存在する
はずである。ハイブリッドクラス1、5および6の比較
は、SM101に対するエピトープが少なくとも部分的には
残基34と60の間の領域に存在することが示唆される。N
−末端60残基はPIAおよびPIB間で有意な相違を含み(第
3図、第9図、第10図)、これはこれらの抗体の特異性
の説明となりうる。ハイブリッドクラス6−9と反応す
る6D9(PIA特異的)のエピトープは、残基187から250ま
でのタンパク質領域に存在し、この領域もまたPIAおよ
びPIBの間で有意に異なる領域を含む。4A12,5G9,5D1お
よび1D3(すべてPIA特異的)のエピトープは、クラス9
のハイブリッドタンパク質においてのみ検出され、した
がっておそらくタンパク質のN−末端およびC−末端部
分の両方を含む複合エピトープである。このことは、タ
ンパク質が比較的に変性されるウェスタンブロットでは
P Iとよく反応しないという観察によって支持される。
MS11のPIBと反応する4個の抗体のうち、ハイブリッ
ドクラス7および8と反応する7F5のエピトープはN−
末端60残基内に位置するが、3C8,2D4および2H1のエピト
ープは分岐配列を含有するタンパク質の中央部、残基15
0から270までの間に存在すると思われ、この部分は長く
伸びたクラス9ハイブリッドタンパク質が3D8とのみ反
応することから、3C8のエピトープは2D4および2H1のエ
ピトープのわずかに上流に位置する。しかし、2D4およ
び2H1がウエスタンブロットではPIBと反応しないことか
ら、これらのエピトープは比較的複雑でありうる。ハイ
ブリットPIA/B遺伝子を含有してハイブリッドPIA/Bタン
パク質を発現する形質転換微生物FA6248の生物学的に純
粋な培養物は、the American Type Culture Collectio
n,Rockville,MDに受託番号53808のもとに寄託されてい
る。
7.4.考察 リポーター遺伝子をP I構造遺伝子の近くに挿入した
本研究は、PIAおよびPIB構造遺伝子が同じ遺伝子座の対
立遺伝子であることを実証するものであり、この遺伝子
座はすでにnmpとして同定された(Cannonら、J.Bacteri
ol. 143:847−851,1980)。淋菌ゲノム上の1個のP I遺
伝子の存在は、天然に存在する菌株がPIAまたはPIBタン
パク質のいずれか一方を有し両方を持つことは決してな
く、そしてPI血清型が安定に保持されるとの観察に符号
する。PIAおよびPIB遺伝子と推定アミノ酸配列の比較は
高度の相同性を示したが、有意に配列の異なる領域が確
認された。P Iハイブリッドは天然には生じないが、本
発明者らが構築したP Iハイブリッドはインビトロで安
定に生存した。しかし、PIB N−末端とのハイブリッドP
Iの形成頻度が比較的低く、P I遺伝子内で多重乗り換
えの起こる頻度が驚異的に高いことは、ある種のクラス
のハイブリッドP Iをインビトロ生育した淋菌が好むの
かも知れない。
P Iハイブリッドの構築および分析によって、本発明
者らはタンパク質のいくつかの表面露出部分のおよその
位置を決定することができ、二次および四次構造の可能
性に対する知見が与えられた。PIAおよびPIBの両方のN
−末端領域は、各タンパク質の中央部にある少なくとも
1つの別の領域とともに表面に露出しているとと思われ
る。多くのPIA特異的モノクローナル抗体のエピトープ
はN−末端およびC−末端部分の両方がハイブリッドP
I内に存在するときにのみ同定されたことから、外層膜
内でのPIAの折り畳み状態はN−末端およびC−末端部
分が表面上で密接に関連しているような状態かもしれな
い。外層膜内でのPAのコンフォーメーションに関するこ
のようなモデルは、非橇の淋菌内でのP Iのタンパク質
加水分解的切断に基づく先行モデルのいくつかの態様と
一致するが(Blakeら、Infect.Immun. 33:212:222,1981;
Juddら、Infect.Immun. 54:408−414,1986)、PIAのN−
末端およびPIBの中央部分のみが表面に露出している(B
lakeら、上記;Teerlink,J.Exp.Med.166:63−76,1987)
との既報の示唆とは異なる。
8.微生物の寄託 列挙したプラスミドを有する下記の大腸菌株は、the
Agricltural Research Culture Collection(NRRL),Pe
oria,ILまたはthe American Type Culture Collection,
Rockville,MDに寄託され、表記の受託番号が付与されて
いる。
本発明は寄託された菌株により範囲を限定されるもの
ではない。なぜならば各菌株は本発明の一態様の一つの
説明として意図されるからであり、機能的に同等な全て
の細胞系は本発明の範囲を包含される。実際、ここに示
されかつ記載されたことに加えて本発明を種々変更する
ことは、前記記載から当業者に明らかになるであろう。
このような変更は添付の請求の範囲内に包含されるもの
とする。
また、ヌクレオチドについて与えられた全ての塩基対
の大きさは概数であり、説明の目的で用いられることは
当然のことである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) 微生物の受託番号 NRRL B−18263 微生物の受託番号 ATTC 53808 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/31 BIOSIS(DIALOG) DDBJ/Genbank/EMBL

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ナイセリア・ゴノロエアエ(Neisseria go
    norrhoeae)のプロテインI Aの全長のアミノ酸配列をコ
    ードする、実質的に精製された核酸分子であって、該ア
    ミノ酸配列が図3に示される核酸分子。
  2. 【請求項2】図3に示されるヌクレオチド配列を有する
    ナイセリア・ゴノロエアエのプロテインI Aの実質的に
    精製されたcDNA。
  3. 【請求項3】ナイセリア・ゴノロエアエのプロテインI
    Aの少なくとも一部のアミノ酸配列をコードする請求の
    範囲第1又は2項の核酸分子を含む組換えベクターであ
    って、該ベクターは宿主細胞中で安定に保持され、か
    つ、タンパク質発現は誘導可能なプロモーターによって
    制御されているベクター。
  4. 【請求項4】プラスミドである請求の範囲第3項の組換
    えベクター。
  5. 【請求項5】プラスミドpGEM−2から誘導される請求の
    範囲第3項の組換えベクター。
  6. 【請求項6】プラスミドが、図3に示されるヌクレオチ
    ド配列を有し、下記の制限地図で示されるpUNC−3であ
    る請求の範囲第5項の組換えベクター。
  7. 【請求項7】プラスミドが、図3に示されるヌクレオチ
    ド配列を有し、下記の制限地図で示されるpUNC−7であ
    る請求の範囲第5項の組換えベクター。
  8. 【請求項8】プラスミドが、図3に示されるヌクレオチ
    ド配列を有し、下記の制限地図で示されるpUNC−15であ
    る請求の範囲第5項の組換えベクター。
  9. 【請求項9】請求の範囲第3項のベクターを含有する形
    質転換体。
  10. 【請求項10】請求の範囲第3項のベクターを含有する
    単細胞生物。
  11. 【請求項11】請求の範囲第4項のベクターを含有する
    単細胞生物。
  12. 【請求項12】請求の範囲第8項のベクターを含有する
    単細胞生物。
  13. 【請求項13】図3に示されるアミノ酸配列を有するナ
    イセリア・ゴノロエアエのプロテインI Aの生産方法で
    あって、 (a)プロテインI AをコードするDNA配列を有する複製
    可能な組換えベクターを含む宿主細胞を、インデューサ
    ーの非存在下で培養し、 (b)それに続いて、プロテインI Aが選択的に発現さ
    れるようにインデューサーの存在下に宿主細胞を培養す
    る、 ことを含む方法。
  14. 【請求項14】プロテインI AをコードするDNA配列を有
    する複製可能な組換えベクターを含む宿主細胞を、イン
    デューサーの非存在下で培養するが、配列は誘導可能な
    プロモーターによって制御され、宿主細胞内で安定に保
    持される請求の範囲第13項の方法。
  15. 【請求項15】ベクターがプラスミドである請求の範囲
    第13項又は第14項の方法。
  16. 【請求項16】プラスミドが、図1に示された配列、又
    は免疫反応性及び/又は抗原性を有するポリペプチドも
    しくはタンパク質をコードするそれらの一部分、突然変
    異体若しくは組換え体を含むものである請求の範囲第15
    の方法。
  17. 【請求項17】プラスミドが、T7ファージプロモーター
    を含むpGEM−2から誘導される請求の範囲第16項の方
    法。
  18. 【請求項18】プラスミドが、図3に示されるヌクレオ
    チド配列を有し、下記の制限地図で示されるpUNC−7で
    ある請求の範囲第17項の方法。
  19. 【請求項19】ナイセリア・ゴノロエアエの実質的に精
    製されたPIAポリペプチドであって、図3に示されるア
    ミノ酸配列を有し、実質的に他のナイセリア・ゴノロエ
    アエタンパク質を含まない前記ポリペプチド。
  20. 【請求項20】請求の範囲第13、14、15、16、17又は18
    項の方法によって生産されるポリペプチドであって、実
    質的に他のナイセリラ・ゴノロエアエタンパク質を含ま
    ない前記ポリペプチド。
  21. 【請求項21】請求の範囲第13又は14項の方法によって
    生産される実質的に精製されたポリペプチドであって、
    PIAポリペプチドをコードする核酸配列が、図3に示さ
    れた核酸配列又はその相補配列と選択的にハイブリダイ
    ズし、該DNAはFA19株から得られ、ハイブリダイゼーシ
    ョンは、サザンブロット法を用いて、ガンマ−P32−ATP
    で標識したオリゴプローブにより、常法に従ってポリヌ
    クレオチドキナーゼを用いて行われた、前記ポリペプチ
    ド。
JP1500595A 1987-11-24 1988-11-23 淋菌piタンパク質およびワクチンの製造 Expired - Lifetime JP2803058B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US12472787A 1987-11-24 1987-11-24
US124,727 1987-11-24
US24275888A 1988-09-09 1988-09-09
US242,758 1988-09-09

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04415498A Division JP3388171B2 (ja) 1987-11-24 1998-01-22 淋菌piタンパク質およびワクチンの製造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03502881A JPH03502881A (ja) 1991-07-04
JP2803058B2 true JP2803058B2 (ja) 1998-09-24

Family

ID=26822891

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1500595A Expired - Lifetime JP2803058B2 (ja) 1987-11-24 1988-11-23 淋菌piタンパク質およびワクチンの製造
JP04415498A Expired - Lifetime JP3388171B2 (ja) 1987-11-24 1998-01-22 淋菌piタンパク質およびワクチンの製造

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04415498A Expired - Lifetime JP3388171B2 (ja) 1987-11-24 1998-01-22 淋菌piタンパク質およびワクチンの製造

Country Status (12)

Country Link
US (2) US5736361A (ja)
EP (2) EP0869133A1 (ja)
JP (2) JP2803058B2 (ja)
KR (1) KR970011309B1 (ja)
AT (1) ATE169958T1 (ja)
AU (1) AU629807B2 (ja)
CA (1) CA1340506C (ja)
DE (1) DE3856240T2 (ja)
DK (1) DK175831B1 (ja)
FI (1) FI102189B (ja)
NO (1) NO302622B1 (ja)
WO (1) WO1989004873A1 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA1340506C (en) * 1987-11-24 1999-04-20 Nicholas H. Carbonetti Production of gonorrheal pi proteins and vaccines
US7118757B1 (en) * 1988-12-19 2006-10-10 Wyeth Holdings Corporation Meningococcal class 1 outer-membrane protein vaccine
ATE174625T1 (de) * 1991-03-14 1999-01-15 Imclone Systems Inc Rekombinante hybride porinepitope
CA2167938A1 (en) * 1993-07-30 1995-02-09 Christopher Elkins Production of gonorrheal pi proteins and vaccines in e. coli and salmonella
US7252828B2 (en) 1998-07-15 2007-08-07 The Brigham And Women's Hospital, Inc. Polysaccharide vaccine for staphylococcal infections
GEP20053446B (en) 1999-05-13 2005-02-25 Wyeth Corp Adjuvant Combination Formulations
WO2001022994A2 (en) * 1999-09-30 2001-04-05 Isis Innovation Limited Vaccines against neisseria infection
BR0108711A (pt) * 2000-02-28 2004-06-22 Chiron Spa Expressão heteróloga de proteìnas de neisseria
EP1343527A2 (en) * 2000-11-10 2003-09-17 American Cyanamid Company Adjuvant combination formulations
AU2003290867A1 (en) 2002-11-12 2004-06-03 The Brigham And Women's Hospital, Inc. Methods and products for treating staphylococcal infections
CN100351260C (zh) 2002-11-12 2007-11-28 布赖汉姆妇女医院 葡萄球菌感染的多糖疫苗
EP2439213B1 (en) 2004-04-21 2018-12-12 The Brigham and Women's Hospital, Inc. Poly-N-acetyl glucosamine (PNAG/DPNAG)-binding antibodies and methods of use thereof
US7037698B2 (en) 2004-05-19 2006-05-02 Amano Enzyme Inc. Pyrroloquinoline quinone-dependent glucose dehydrogenase
BRPI0916365A2 (pt) 2008-07-21 2018-05-02 Brigham & Womens Hospital Inc métodos e composições relacionados aos oligossacarídeos de glicosina beta-1,6 sintéticos

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4237224A (en) * 1974-11-04 1980-12-02 Board Of Trustees Of The Leland Stanford Jr. University Process for producing biologically functional molecular chimeras
US4203971A (en) * 1978-03-23 1980-05-20 Government Of The United States Neisseria gonorrhoeae vaccine
DE2814039C3 (de) * 1978-03-31 1981-02-19 Gesellschaft Fuer Biotechnologische Forschung Mbh (Gbf), 3300 Braunschweig Verfahren zur Herstellung von Hybrid-Bakterien
US4351761A (en) * 1978-05-15 1982-09-28 Research Corporation Purified antigen to test for Neisseria gonorrhoeae antibodies
US4288557A (en) * 1978-10-12 1981-09-08 Merck & Co., Inc. Antigenic complex from N. gonorrhoeae
US4220638A (en) * 1978-10-12 1980-09-02 Merck & Co., Inc. Antigenic complex from N. Gonorrhoeae
US4239749A (en) * 1979-09-27 1980-12-16 United States Of America Neisseria gonorrhoeae vaccine
FI63596C (fi) * 1981-10-16 1983-07-11 Orion Yhtymae Oy Mikrobdiagnostiskt foerfarande som grundar sig pao skiktshybridisering av nukleinsyror och vid foerfarandet anvaenda kombinationer av reagenser
WO1983003354A1 (en) * 1982-03-30 1983-10-13 Us Army Neisseria gonorrhoeae vaccine
EP0178863A1 (en) * 1984-10-15 1986-04-23 Schering Corporation Novel expression systems utilizing bacteriophage T7 promoters and gene sequences
US4681761A (en) * 1985-10-24 1987-07-21 State Of Oregon, Acting By And Through The Oregon State Board Of Higher Education, Acting For And On Behalf Of The Oregon Health Sciences University Major iron-regulated protein of Neisseria gonorrhoeae and its use as vaccine
US4786592A (en) * 1986-06-18 1988-11-22 Scripps Clinic And Research Foundation Neisseria gonorrhoeae lectin useful as a vaccine and diagnostic marker and means for producing this lectin
CA1340506C (en) * 1987-11-24 1999-04-20 Nicholas H. Carbonetti Production of gonorrheal pi proteins and vaccines

Also Published As

Publication number Publication date
JP3388171B2 (ja) 2003-03-17
DK175831B1 (da) 2005-03-14
US5736361A (en) 1998-04-07
CA1340506C (en) 1999-04-20
DK128490D0 (da) 1990-05-23
KR970011309B1 (ko) 1997-07-09
EP0395706B1 (en) 1998-08-19
JPH10234388A (ja) 1998-09-08
AU2795989A (en) 1989-06-14
EP0395706A1 (en) 1990-11-07
EP0395706A4 (en) 1991-11-13
AU629807B2 (en) 1992-10-15
EP0869133A1 (en) 1998-10-07
DE3856240D1 (de) 1998-09-24
FI902569A0 (fi) 1990-05-23
FI102189B1 (fi) 1998-10-30
NO902251D0 (no) 1990-05-22
NO302622B1 (no) 1998-03-30
ATE169958T1 (de) 1998-09-15
US6068992A (en) 2000-05-30
DE3856240T2 (de) 1999-05-06
NO902251L (no) 1990-07-18
FI102189B (fi) 1998-10-30
WO1989004873A1 (en) 1989-06-01
DK128490A (da) 1990-07-06
KR890701750A (ko) 1989-12-21
JPH03502881A (ja) 1991-07-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100188323B1 (ko) 비타입성 헤모필루스 인플렌자에 대한 백신
JP4283872B2 (ja) 微生物蛋白質と、この蛋白質を産生する微生物と、該蛋白質のワクチンおよび結核検出での利用
JP3242106B2 (ja) 組換えdna由来コレラトキシンサブユニット類似体
JP2685442B2 (ja) ボルデテラ・パータツシス染色体DNAのEcoRIフラグメント
JP2803058B2 (ja) 淋菌piタンパク質およびワクチンの製造
CA1335655C (en) Vaccines and diagnostic assays for haemophilus influenzae
EP0815236B1 (en) Haemophilus adhesion proteins
KR0170752B1 (ko) 혈호균속 인플루엔자용 백신과 진단검사법
US6348332B1 (en) DNA molecule encoding gonorrhoeal hybrid PIA/PIB protein
US5196338A (en) Recombinant vectors for Haemophilus influenzae peptides and proteins
WO1992016223A1 (en) Production of gonorrheal pi proteins and vaccines
WO1994006911A2 (en) Mycoplasma pulmonis antigens and methods and compositions for use in cloning and vaccination

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080717

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090717

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090717

Year of fee payment: 11