JP2802244B2 - 内視鏡用シース - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、体腔内を観察す
るために内視鏡と組合わせて使用される内視鏡用シース
に関する。

【０００２】

【従来の技術】内視鏡の挿入部に外装されるシースとし
ては、その目的によって種々の構造のものが知られてい
る。例えば、生体内に空間が存在しない皮下組織等の任
意の部分の直接的な内視鏡観察を可能にするシースが特
公平４−１０３２８号公報に開示されている。このシー
スは、内視鏡を挿通して体内の目的部位まで案内する剛
性の案内管であり、その先端が閉塞され、その少なくと
も一部が光透過性の材料によって形成されている。この
ようなシースは、生体内に空間が存在しない皮下組織等
の生体部分に挿入されることによってこの生体部分を押
し退けてこの領域に積極的に空間を作り出す。したがっ
て、例えばシースを皮下組織に挿入した状態で、シース
内に内視鏡を挿通すれば、光透過性の案内管部位を通じ
て、皮下組織の内視鏡観察を行なうことができる。

【０００３】また、内視鏡の挿入部に嵌合されて内視鏡
を保護する管状の保護シースが実公平４−４３２０２号
公報に開示されている。このシースは、その先端の開口
部を通して内視鏡による観察を行なうことができ、内視
鏡の観察視野をケラないその先端側部位に、内視鏡の突
出を防止するストッパーが設けられている。このストッ
パーによって、内視鏡の観察視野がシースの先端縁等に
よってケラれることなく、同時に、シースの先端からの
内視鏡の突出が防止されるため、観察視野が十分に確保
され、内視鏡の先端部の破損が防止される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、内視鏡とと
もに使用されるこのようなシースは、内視鏡による観察
視野を妨げることなく観察対象組織の状態を正確に観察
把握でき、また、生体を傷付けることなく内視鏡ととも
に円滑に挿入されることが必要である。

【０００５】しかし、特公平４−１０３２８号公報で
は、シースが観察可能な光透過性の部位も含めて剛性体
として形成されているため、観察対象組織がシースによ
って圧迫され、観察対象組織の色や形状を正確に診断し
にくいという問題がある。また、出血が起きた場合に
は、シースによる観察対象組織の圧迫によってその出血
点が分からず、素早く適切な処置を行なうことができな
い場合がある。

【０００６】これに対して、実公平４−４３２０２号公
報では、シース先端の開口部を通じて内視鏡による組織
の観察を行なうことができるため、観察対象組織がシー
スによって圧迫されることはない。したがって、上記の
問題は生じない。しかし、内視鏡の視野内にシースが入
らないため、シースの先端部と生体組織との接触の程度
が分からず、生体組織をシースの先端部によってどの程
度圧迫しているかを認識することができない。したがっ
て、生体を傷付けないようにシースを挿入する挿入動作
を円滑に行なうことができない。

【０００７】本発明は上記事情に着目してなされたもの
であり、その目的とするところは、生体内に空間が存在
しない皮下組織等の任意の部分の直接的な内視鏡観察を
可能とし、且つ、内視鏡による観察視野を妨げることな
く観察対象部位の状態を正確に観察把握でき、また、生
体を傷付けることなく内視鏡とともに円滑に挿入できる
内視鏡用シースを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の内視鏡用シースは、少なくとも先端が開口
し且つ少なくとも先端部が透明材料によって形成される
とともに、観察手段を有する内視鏡の挿入部を挿通可能
な管状のシース部と、前記内視鏡の視野内に少なくとも
前記シース部の先端部の一部が入るように、前記内視鏡
の挿入部をシース部内に位置決めする手段とを具備して
いる。

【０００９】上記構成の内視鏡用シースによれば、管状
のシース部の先端開口部を通じて組織等を観察できるた
め、開口部を通じて観察される観察対象部位がシース部
によって圧迫されないで済む。したがって、生体組織の
状態（色や形状等）を正確に観察把握できる。

【００１０】また、内視鏡の視野内に少なくともシース
部の先端部の一部が入るため、シース部の先端部と生体
組織との接触具合を容易に確認できる。したがって、生
体を傷付けることなくシース部を内視鏡とともに円滑に
挿入でき、手術の安全性及び確実性を向上させることが
できる。

【００１１】さらに、上記構成では、内視鏡の視野内に
少なくともシース部の先端部が入ることによって内視鏡
の観察視野がケラれることを防止するために、内視鏡の
観察視野に入るシース部の少なくとも先端部を透明材料
によって形成している。したがって、シース部の先端部
が内視鏡の視野の中に入っても、その透明部分を通して
生体組織を観察できる。

【００１２】また、上記構成の内視鏡用シースは、生体
内に空間が存在しない皮下組織等の生体部分に挿入され
ることによってこの生体部分を押し退けてこの領域に積
極的に空間を作り出す。したがって、例えばシース部を
皮下組織に挿入した状態で、シース部内に内視鏡を挿通
すれば、シース部の先端開口部あるいはシース部の透明
部を通して、皮下組織の内視鏡観察を行なうことができ
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。図１ないし図１０は本
発明の第１の実施形態を示している。図１に示すよう
に、本実施形態に係る内視鏡用シース１は、生体内に挿
入可能な管状のシース部２を有している。このシース部
２は、シース本体２ａと、このシース本体２ａの先端部
に設けられた透明キャップ２ｂとから構成されている。
シース本体２ａは、例えばステンレスパイプのような硬
性の中空部材によって形成され、透明キャップ２ｂは、
例えばポリカーボネート等の透明材料によって形成され
ている。

【００１４】図２に示すように、透明キャップ２ｂは、
円筒状に形成され、その先端部の内周面に環状突部３が
一体に設けられている。シース本体２ａは、その先端が
環状突部３の側面に当接した状態で、環状突部３に接着
剤により固定され、もしくは、環状突部３と一体成形さ
れている。環状突部３はシース本体２ａの内面よりも内
側に突出しており、この突出した環状突部３の内側側面
は、シース本体２ａ内に挿通される硬性内視鏡１０の挿
入部１１の先端と当接して硬性内視鏡１０の先端側への
それ以上の突出を防止するストッパ４を形成している。
そして、このストッパ４すなわち環状突部３の内側側面
は、ここに硬性内視鏡１０の挿入部１１の先端が当接し
た状態で、少なくとも透明キャップ２ｂの先端部の一部
が硬性内視鏡１０の視野内に入るような位置に設けられ
ている。

【００１５】シース本体２ａの基端部にはネジ部５が設
けられている。このネジ部５にはグリップ６が着脱自在
に螺着可能となっている。グリップ６の内周面には環状
溝７が設けられている。この環状溝７内にはＯリング８
とバックアップリング９とが収納されている。

【００１６】この構成では、シース本体２ａ内に硬性内
視鏡１０の挿入部１１を挿入し、挿入部１１の先端部１
２をストッパ４に突き当てた状態で、シース本体２ａに
対してグリップ６をねじ込むと、Ｏリング８が、グリッ
プ６とバックアップリング９との間で挟持されて潰さ
れ、内側に突出する。その結果、Ｏリング８によって硬
性内視鏡１０の挿入部１１が締め付けられて、シース本
体２ａと硬性内視鏡１０の挿入部１１とがシール状態で
固定される。すなわち、ストッパ４とグリップ６とＯリ
ング８はそれぞれ、硬性内視鏡１０の視野内に少なくと
もシース部２の先端部（透明キャップ２ｂ）の一部が入
るように、硬性内視鏡１０の挿入部１１をシース部２内
に位置決めする手段を構成している。

【００１７】図３は、硬性内視鏡１０が接続されるモニ
ター１３を示している。図示するように、本実施形態で
は、シース本体２ａ内に硬性内視鏡１０の挿入部１１を
挿入して挿入部１１の先端部１２をストッパ４に突き当
てた状態において、内視鏡像を表示するモニター１３に
は、透明キャップ２ｂ の先端縁の全周が映し出され
る。すなわち、透明キャップ２ｂの先端の全周が硬性内
視鏡１０の視野１４内に入る。

【００１８】なお、本実施形態では、シース本体２ａ
と、これと別体である透明キャップ２ｂとが、互いに固
着されているが、シース本体２ａと透明キャップ２ｂと
を同材質によって一体に形成しても良い。

【００１９】次に、上記構成の内視鏡用シース１と硬性
内視鏡１０とを用いて腹膜外アプローチのヘルニア修復
術を行なう場合について説明する。図４および図５に示
すように、腹壁１５の臍部をメスにて切開し、腹膜１６
のみを残す。術者が切開部１７に手指を入れて用指的に
腹壁１５から腹膜１６を下方へ剥離させる。

【００２０】次に、切開部１７にトラカール組立体１８
を挿入し、このトラカール組立体１８の内孔を通じて硬
性内視鏡１０を体内に導く。この場合、硬性内視鏡１０
の挿入部１１に対して図２に示すように内視鏡用シース
１を外装し、内視鏡用シース１の透明キャップ２ｂとシ
ース本体２ａの先端部とをトラカール１８の先端開口か
ら突出させる。なお、硬性内視鏡１０は、ＴＶカメラ制
御装置１９および光源装置２０に接続され、トラカール
組立体１８は、これを通じて体腔内に送気できるよう
に、送気・吸引装置２１に接続されている。

【００２１】このような状態で、今度は、送気・吸引装
置２１からトラカール組立体１８を介して体腔内に送気
しながら、内視鏡用シース１が装着された硬性内視鏡１
０を左右に振ったり或いは前進させて、透明キャップ２
ｂにより腹壁１５から腹膜１６を鈍的に剥離させる。こ
の時、術者は、剥離部位に血管等がないかを硬性内視鏡
１０によって観察しながら、剥離を行なう。

【００２２】腹膜１６を剥離した部分はトラカール１８
からの送気によって膨らみ、これによって処置のための
空間が形成される。この空間内には腹壁１５の別の部位
から刺入された別のトラカールが導入され、このトラカ
ールを通じて処置具が空間内に挿入される。処置具を目
的部位にアプローチしたら、内視鏡観察下で処置具によ
るヘルニアサックの処理（結紮，切除）を行なう。後は
ラパ的ヘルニア（腹腔内からアプローチしてヘルニア修
復術を行うこと）と同じようにメッシュで覆い、ステー
プラ等で縫合固定する。

【００２３】なお、内視鏡用シース１が装着された硬性
内視鏡１０を背中側から生体内に導入し、皮膚と後腹膜
とを透明キャップ２ｂで剥離して腔を確保した後に、腎
臓や副腎等の後腹膜側にある臓器を摘出することもでき
る。

【００２４】次に、図６及び図７を参照しながら、上記
構成の内視鏡用シース１が装着された硬性内視鏡１０を
脊椎へアプローチする方法について説明する。図６に示
す人体２５０のＩーＩ線に沿う断面が図７に示されてい
る。図７に示すように、腹壁２５１の後側には、腹膜２
５３と後腹膜２５４とで囲まれた腹腔２５２が形成され
ており、腹腔２５２内には複数の臓器２５６が存在して
いる。また、その後側には、後腹膜２５４と筋肉２５５
とによって覆われるようにして椎間円板２５７と関節突
起２５８と棘突起２５９とが存在する。このように構成
されている人体２５０の脊椎に対して内視鏡用シース１
が装着された硬性内視鏡１０をアプローチするには、ま
ず、後側壁をメスにて切開する。そして、この切開した
部位から体内に向けて内視鏡用シース１が装着された硬
性内視鏡１０を導入する。この場合、透明キャップ２ｂ
によって後腹膜２５４と筋肉２５５とを剥離しながら硬
性内視鏡１０を椎間円板２５７へとアプローチしてい
く。その後は、内視鏡シース１に並走させた図示しない
処置具によって、椎間板ヘルニア修復術（Disc herrnia
tion) 、椎体固定術（Spinal Fusion)、神経根の除去
（Dscompre-ssion of Spinal Cord)等の処置を行なう。

【００２５】次に、上記構成の内視鏡用シース１が装着
された硬性内視鏡１０を用いて虫垂切除術を行なう場合
について図８を参照しながら説明する。図８に示すよう
に、腹部１５の臍部をメスにて小さく切開し、この切開
部１７から体内に硬性内視鏡１０の挿入部１１を導入す
る。この場合、硬性内視鏡１０は、鉗子を挿通可能なチ
ャンネルを有し、その挿入部１１に内視鏡用シース１が
外装されている。

【００２６】この状態で、送気・吸引装置２１からのエ
アーを送気チューブ２２と硬性内視鏡１０のチャンネル
とを介して腹腔内に送り、腹腔内の局所気腹を行なう。
これによって、内視鏡１０による観察視野が大きく確保
される。次に、内視鏡１０によって腹腔内の虫垂を見つ
け、内視鏡１０のチャンネルを介して腹腔内に導入され
た把持鉗子（図示しない）によって虫垂の基部を把持す
る。この状態で、硬性内視鏡１０ を切開部１７より抜
去して虫垂を腹腔外へ引き出し、虫垂を切除する。その
後、残余組織を縫合して腹腔内に戻し、切開部１７を縫
合する。なお、把持鉗子を硬性内視鏡１０のチャンネル
を介して体内に導入せず、内視鏡１０に並行させて体内
に導入しても良い。

【００２７】次に、上記構成の内視鏡用シース１が装着
された硬性内視鏡１０を用いて下肢の交通枝切除術を行
なう場合について図９を参照しながら説明する。図９に
示すように、まず、下腿中央部２４をメスにて小さく切
開する。そして、用指的に筋膜と筋とを剥離し、切開部
２５に硬性内視鏡１０の挿入部１１を挿入して、交通枝
の位置を確認する。この場合、硬性内視鏡１０は、鉗子
を挿通可能なチャンネルを有し、その挿入部１１に内視
鏡用シース１が外装されている。

【００２８】交通枝の位置が確認されたら、高周波電源
２６に接続された高周波電極２７を硬性内視鏡１０のチ
ャンネルに挿入し、この高周波電極２６によって交通枝
を焼灼して遮断する。その後、切開部２５を閉鎖する。

【００２９】なお、このような神経の切除だけでなく、
血管の移植のために下肢の血管を剥離するとともに、分
岐している小血管をクリッピングもしくは焼灼遮断し
て、前記血管を切除して取り出す術式を行なうこともで
きる。

【００３０】次に、上記構成の内視鏡用シース１が装着
された硬性内視鏡１０を用いて、足関節の骨折の整復に
使用されたボルトを抜く場合について、図１０及び図１
１を参照しながら説明する。図１０に示すように、ま
ず、足関節２８の付近をメスにて小さく切開する。切開
部２９に内視鏡用シース１が外装された硬性内視鏡１０
の挿入部１１を挿入するとともに、鉗子３０を硬性内視
鏡１０のチャンネル内に挿入する。そして、鉗子３０に
よって周囲組織を剥離しながら硬性内視鏡１０によって
ボルトの位置を確認する。

【００３１】ボルトの位置を確認したら、図１１に示す
ように、内視鏡用シース１の透明キャップ２ｂをボルト
３１の頭部に被せる。すなわち、透明キャップ２ｂ内に
ボルト３１の頭部が入るようにする。この状態で、硬性
内視鏡１０の挿入部１１をシース本体２ａから抜去し、
代わりにシース本体２ａ内にドライバー３２を挿入す
る。そして、ドライバー３２を用いてボルト３１を回転
させて取り付け部位から取り外す。その後、ボルト３１
とともに内視鏡用シース１を体内から抜去して切開部２
９を閉鎖する。

【００３２】次に、上記構成の内視鏡用シース１が装着
された硬性内視鏡１０を用いて、形成外科の豊胸術を行
なう場合について、図１２を参照しながら説明する。ま
ず、図１２に示すように、腋下をメスにて小さく切開す
る。内視鏡用シース１が装着された硬性内視鏡１０の挿
入部１１を切開部３３から体内に挿入し、視野を確保す
る。なお、シース本体２ａの手元側には取手３４が設け
られている。次に、硬性内視鏡１０のチャンネルを介し
て体内に高周波電極２７を導入し、この高周波電極２７
によって切開及び凝固を行ないながら組織の剥離を進め
ていく。その後、切開部３３から胸部内に生食バッグ等
のインプラントを挿入するとともに、この生食バッグ内
に生理食塩水を注入して膨らませる。このようにして生
理食塩水が注入された生食バッグを胸部内に留置させて
切開部３３を閉じれば豊胸術が完了する。

【００３３】以上説明したように、本実施形態の内視鏡
用シース１によれば、筒状の透明キャップ２ｂの先端開
口部を通じて組織等を観察できるため、開口部を通じて
観察される観察対象部位がシース部２によって圧迫され
ないで済む。したがって、生体組織の状態（色や形状
等）を正確に観察把握できる。

【００３４】従来、硬性内視鏡１０だけを生体内に挿入
した場合において生体内に腔が確保されていないと、組
織が硬性内視鏡１０の挿入部１１の観察窓等に当たって
覆った状態となり、実質的に盲目的な処置を行なう結果
となるが、本実施形態のように、シース本体２ａの先端
部に透明キャップ２ｂを取り付けて成る内視鏡用シース
１と硬性内視鏡１０とを組み合わせれば、硬性内視鏡１
０の視野内に透明キャップ２ｂが入り、硬性内視鏡１０
の観察窓等が組織によって覆われてその視野が妨げられ
るといったことがなくなるため、常に視野が確保されて
安全且つ確実に硬性内視鏡１０を目的部位にアプローチ
することができる。

【００３５】また、本実施形態の内視鏡用シース１で
は、内視鏡１０の視野内に少なくとも透明キャップ２ｂ
の先端部の一部が入るため、透明キャップ２ｂの先端部
と生体組織との接触具合を容易に確認できる。したがっ
て、生体を傷付けることなくシース部２を内視鏡１０と
ともに円滑に挿入でき、手術の安全性及び確実性を向上
させることができる。

【００３６】さらに、本実施形態の内視鏡用シース１で
は、内視鏡１０の視野内に少なくとも透明キャップ２ｂ
の先端部が入ることによって内視鏡１０の観察視野がケ
ラれることを防止するために、内視鏡１０の観察視野に
入る透明キャップ２ｂを透明材料によって形成してい
る。したがって、透明キャップ２ｂの先端部が内視鏡の
視野の中に入っても、その透明部分を通して生体組織を
観察できる。

【００３７】また、内視鏡用シース１は、生体内に空間
が存在しない皮下組織等の生体部分に挿入されることに
よってこの生体部分を押し退けてこの領域に積極的に空
間を作り出す。したがって、例えばシース部２を皮下組
織に挿入した状態で、シース部２内に内視鏡１０を挿通
すれば、透明キャップ２ｂの先端開口部あるいは透明キ
ャップ２ｂを通して、皮下組織の内視鏡観察を行なうこ
とができる。

【００３８】また、本実施形態の内視鏡用シース１は、
前述した各手術例で示したように、術式に応じて以下の
ような作用効果も有する。 （図５のヘルニア修復術） （ａ）透明キャップ２ｂを用いて腹膜１６等を鈍的に剥
離することができるため、手技が簡便になる。特に、ヘ
ルニアの場合、腹膜１６を剥離する際中に、腹膜１６を
通してその先が見えるため、透明キャップ２ｂによる鈍
的剥離を安全に行なえる。 （ｂ）Ｏリング８によって硬性内視鏡１０の挿入部１１
とシース本体２ａとの間がシールされているため、内視
鏡用シース１によって体内に対する送気あるいは吸引動
作を行なえる。 （図１１の骨折整復術）透明キャップ２ｂの内部にボル
ト３１等の部材を引き入れて処置・作業を行なうことが
できるため、他の周囲組織を傷つけることなく作業・処
置を行なえ、安全である。 （図１２の豊胸術）透明キャップ２ｂに取手３４を設け
れば、シース部２の前後動、左右動、上下動を行ない易
く、スムーズに処置を行なえる。

【００３９】図１３は本発明の第２の実施形態を示して
いる。本実施形態では、透明キャップ２ｂの先端部の全
周に亘って、先細りのテーパ部４２が設けられている。
その他の構成は第１の実施形態と同一である。このよう
な構成によれば、テーパ部４２によって、透明キャップ
４１の先端での剥離が一層容易となる。

【００４０】図１４は本発明の第３の実施形態を示して
いる。本実施形態では、透明キャップ２ｂの先端部の一
部が斜めにカットされ、斜面４４が形成されている。そ
の他の構成は第１の実施形態と同一である。このような
構成によれば、内視鏡１０の視野内に透明キャップ２ｂ
の先端の全周が入るため、常に組織と透明キャップ２ｂ
の先端との接触具合を確認でき安全である。また、一般
に、内視鏡１０は、内視鏡１０の中心と視野の中心とが
ずれているが、本実施形態のように透明キャップ２ｂの
先端部の一部を斜めにカットすることで、視野のケラレ
を最小にすることができる。さらに、本実施形態の構成
において、処置具を内視鏡１０のチャンネルを介して体
内に導入するようにすれば、処置具が内視鏡１０の視野
内でしか組織と接触しないため、安全である。

【００４１】図１５および図１６は本発明の第４の実施
形態を示している。図１５に示すように、本実施形態の
内視鏡用シース４５は、体内に挿入可能なシース部４６
を有している。シース部４６は、管状のシース本体４６
ａと、このシース本体４６ａの先端部に設けられた円筒
状の透明キャップ４６ｂとから構成されている。シース
本体４６ａの基端部にはグリップ４７が設けられてい
る。また、シース本体４６ａの先端部外周には透明キャ
ップ４６ｂに隣接してバルーン４８が装着されている。

【００４２】バルーン４８は、その両端部が糸によって
シース本体４６ａの外周に巻き付けられ、この巻き付け
られた部位に接着剤が塗布されることにより、シース本
体４６ａに対して固定されている。シース本体４６ａの
側壁にはバルーン４８に対向する開口部４９が設けられ
ている。グリップ４７にはルアー口金５０が設けられ、
ている。ルアー口金５０には送気・送水装置５１に接続
されたチューブ４１（図１６参照）を接続できるように
なっている。また、透明キャップ４６ｂとグリップ４７
のそれぞれの内面に設けられた溝にはＯリング５４，５
５が設けられている。したがって、内視鏡１０をシース
部４６内に挿入した状態では、Ｏリング５４，５５によ
って内視鏡１０の挿入部１１とシース本体４６ａとの間
がシールされる。

【００４３】透明キャップ４６ｂは、その先端部の内周
面に環状突部３が一体に設けられている。シース本体４
６ａは、その先端が環状突部３の側面に当接した状態
で、環状突部３に接着剤により固定され、もしくは、環
状突部 ３と一体成形されている。環状突部３はシース
本体４６ａの内面よりも内側に突出しており、この突出
した環状突部３の内側側面は、シース本体４６ａ内に挿
通される硬性内視鏡１０の挿入部１１の先端と当接して
硬性内視鏡１０の先端側へのそれ以上の突出を防止する
ストッパ４を形成している。そして、このストッパ４す
なわち環状突部３の内側側面は、ここに硬性内視鏡１０
の挿入部１１の先端が当接した状態で、少なくとも透明
キャップ４６ｂの先端部の一部が硬性内視鏡１０の視野
内に入るような位置に設けられている。

【００４４】以上の構成では、送気・送水装置５１から
チューブ４１を介してルアー口金５０に送気もしくは送
水すれば、内視鏡１０の挿入部１１とシース本体４６ａ
との間の隙間を通じてバルーン４８内に気体もしくは液
体が供給され、バルーン４８を膨らませることができる
（図１６参照）。したがって、例えば、図５に示したヘ
ルニア修復術を腹腔外から行なう場合には、透明キャッ
プ２ｂによって腹壁１５と腹膜１６とをある程度剥離し
た後、バルーン４８を膨らませて腹壁１５と腹膜１６と
を一度に広範囲に亘って剥離させることができる。

【００４５】このように、本実施形態の内視鏡用シース
４５によれば、第１の実施形態と同一の作用効果を有す
ることは勿論、一度に広範囲に亘って腹壁１５と腹膜１
６とを剥離できるため、手技が簡便になり、手術時間が
短縮される。また、腹腔内で使用する際には周囲組織の
圧排にも役立ち大きく術野の確保ができスムーズに処置
できる。

【００４６】図１７ないし図１９は本発明の第５の実施
形態を示している。図１７に示すように、本実施形態の
内視鏡用シース５６は、体内に挿入可能なシース部５７
を有している。シース部５７は、管状のシース本体５７
ａと、このシース本体５７ａの先端部に設けられた略筒
状の透明キャップ５７ｂとから成る。シース本体５７ａ
の基端部には略筒状の受け部材５８が設けられている。

【００４７】図１８に示すように、透明キャップ５７ｂ
は、シース部５７内に挿通される斜視型の硬性内視鏡６
２の視野と適合するように斜めに形成された先端開口６
０を有している。この先端開口６０は、直視型の内視鏡
をシース部５７内に挿通した場合でも、その視野をある
程度確保できるように形成されている。また、受け部材
５８の内面に形成された溝にはシール部材６１が設けら
れており、このシール部材６１によって硬性内視鏡６２
とシース本体５７ａとの間が気密に保持されるようにな
っている。

【００４８】図１７及び図１８に示すように、受け部材
５８には略Ｕ字形状のばね性を有するスナップフィット
６３が設けられている。このスナップフィット６３の内
側には山形の突起を有する一対の凸部６４，６４が対向
して設けられ、両凸部６４，６４の間の距離は硬性内視
鏡６２のライトガイド口金６５の外径よりも若干狭くな
っている。したがって、シース本体５７ａに硬性内視鏡
６２を挿入していくと、ライトガイド口金６５と凸部６
４，６４とが接触する。そして、さらに硬性内視鏡６２
を深くシース本体５７ａに挿入していくと、スナップフ
ィット６３が押し広げられて、ライトガイド口金６５が
凸部６４，６４の頂点を越える。この時、スナップフィ
ット６３がその付勢力によって初期位置に戻り、これに
よって、硬性内視鏡６２がシース本体５６に固定され
る。

【００４９】また、透明キャップ５７ｂの先端部内周面
には、斜視型の硬性内視鏡６２が当接する当接部４３が
設けられている。そして、スナップフィット６３によっ
て硬性内視鏡６２がシース本体５７ａに対して固定され
て当接部４３に硬性内視鏡６２の挿入部の先端が当接し
た状態では、少なくとも透明キャップ５７ｂの開口先端
部の一部が硬性内視鏡６２の視野内に入るようになって
いる。

【００５０】このような構成の内視鏡用シース５６を用
いて、額の弛みを取る術式を行なう場合について図１９
を参照しながら説明する。まず、患者の額付近の頭皮６
６をメスにて切開する。そして、剥離鉗子等の処置具６
７によって頭皮６６を頭蓋骨７０から鈍的に剥離しなが
ら、内視鏡用シース５６が挿入できる程度の大きさまで
切開部６８を開く。その後、内視鏡用シース５６が外装
された硬性内視鏡６２を切開部６８に挿入する一方、処
置具６７による鈍的な頭皮６６の剥離を眼球付近まで行
なう。次に、額の皮膚を挙上して弛んだ皮膚を切除する
とともに、残った額の皮膚と頭皮６６とを縫合する。な
お、前述した初期の作業を行なう場合には直視型の内視
鏡を用い、眉毛付近の窪んだ部分の剥離を行なう場合に
は斜視型の内視鏡を用いてもよい。

【００５１】以上説明したように、本実施形態の内視鏡
用シース５６によれば、第１の実施形態と同一の作用効
果を有するとともに、シース本体５６に対する硬性内視
鏡６２の固定がより簡単かつ確実に行なえるため、操作
性に優れ、スムーズな処置を行なうことができる。

【００５２】図２０ないし図３０は本発明の第６の実施
形態を示している。図２０に示すように、実施形態で
は、特に、硬性内視鏡７２と、この硬性内視鏡７２に外
装される内視鏡用シース７０と、硬性内視鏡７２に照明
光を供給する光源装置７４と、硬性内視鏡７２の本体部
７５に複数の方位で着脱自在に取り付けられるバルブユ
ニット７６と、このバルブユニット７６に接続された送
水チューブ７７と吸引チューブ７８とがそれぞれ接続さ
れる送水装置７９と吸引装置８０とによって内視鏡装置
７１が構成されている。

【００５３】硬性内視鏡７２は、細長の金属製のパイプ
等で形成された硬性の挿入部８１と、この挿入部８１の
基端部に設けられた太径の本体部７５と、本体部７５の
基端に設けられた接眼部８２とから構成されている。内
視鏡７２の挿入部８１の内部には照明光を伝送する図示
しないライトガイドが挿通されている。このライトガイ
ドの基端は本体部７５に設けられたライトガイド口金８
３に至っており、ライトガイド口金８３をライトガイド
ケーブル８４を介して光源装置７４に接続すると、光源
装置７４からの照明光が、ライトガイドケーブル８４と
硬性内視鏡７２内のライトガイドとによって伝送され
て、挿入部８１の先端面８１ａの図示しない照明窓に取
り付けられた先端出射面から前方に向けて出射されるよ
うになっている。この場合、照明光によって照明された
患部等の被写体からの物体光は、前記照明窓に隣接して
形成された観察窓に取り付けられた図示しない対物レン
ズによってその焦点面に結像される。この光学像は、内
視鏡７２の挿入部８１内に挿通された図示しないリレー
光学系等のイメージガイドによって基端側に伝送され、
接眼部８２ に設けられた図示しない接眼レンズを介し
て肉眼にて拡大観察可能となる。

【００５４】内視鏡７２の挿入部８１と本体部７５とに
着脱自在に被装される内視鏡用シース７０は、内視鏡７
２の挿入部８１を被装するシース部８６と、内視鏡７２
の本体部７５を被装するグリップ８７とから構成されて
いる。シース部８６は、管状のシース本体８６ａと、こ
のシース本体８６ａの先端に形成された筒状の透明キャ
ップ８６ｂとから構成されている。この構成では、グリ
ップ８７がシース本体８６ａの基端に形成されている。
また、透明キャップ８６ｂは、ポリカーボネート等の透
明材料によって形成されている。

【００５５】シース本体８６ａと内視鏡７２の挿入部８
１との間には管路８８が形成されている。この管路８８
の手元側では、グリップ８７と内視鏡７２の本体部７５
との間がＯリング８９によってシールされている。シー
ス本体８６ａの先端９０は、内側に略直角に折り曲げら
れた形状を成しており、内視鏡７２の先端面８１ａと共
働して管路８８の先端側にノズル９１を形成している。

【００５６】また、ノズル９１と対向するシース本体８
６ａの先端部位は内側に略直角に折り曲げられた形状を
成しており、その内側側面は、シース本体８６ａ内に挿
通される硬性内視鏡７２の挿入部８１の先端と当接して
硬性内視鏡７２の先端側へのそれ以上の突出を防止する
ストッパ７３を形成している。そして、このストッパ７
３に硬性内視鏡７２の挿入部８１の先端が当接した状態
では、少なくとも透明キャップ８６ｂの先端部の一部が
硬性内視鏡７２の視野内に入るようになっている。

【００５７】図２１に示すように、内視鏡用シース７０
内の管路８８の基端側は、Ｏリング８９の先端側近傍
で、グリップ８７に設けられた１個もしくは複数個の口
金９３，９４の内孔と連通している。口金９３には、バ
ルブユニット７６の取付部９５を介して送水チューブ７
７と吸引チューブ７８とが着脱自在に接続されている。
グリップ８７に設けられた口金９３，９４のうち、取付
部９５が取り付けられていない一方の口金９４には、そ
の開口部を塞ぐために、キャップ９６が取り付けられて
いる。なお、後述するように、バルブユニット７６に設
けられた送水ボタン９７と吸引ボタン９８の操作によっ
て、チューブ７７，７８に対する送水動作あるいは吸引
動作のＯＮ／ＯＦＦが行なわれるとともに、チューブ７
７，７８内を流れる水等の液体の流量調節を行なうこと
ができる。

【００５８】図２１および図２２に示すように、グリッ
プ８７には、略Ｕ字形の溝１０３と、細い溝１０４，１
０５とを交互に設けることによって、２本の爪部１０
６，１０７が形成されている。Ｕ字溝１０３は、硬性内
視鏡７２のライトガイド口金８３の直径よりもやや幅広
の幅広部１０１と、開口端にあってライトガイド口金８
３の直径よりもやや幅の小さい狭部１０２とから成る。
この構成では、シース本体８６ａ内に内視鏡７２の挿入
部８１を挿入すると、２つの爪部１０６，１０７によっ
て硬性内視鏡７２のライトガイド口金８３が挟持され
る。その結果、内視鏡用シース７０に対して硬性内視鏡
７２が回転したり、前後にずれたりすることがなくな
る。

【００５９】なお、略Ｕ字溝１０３と細い溝１０４，１
０５とによってグリップ８７に爪部１０６，１０７を形
成するのではなく、図２３の（ａ）および（ｂ）に示す
ように、グリップ８７の外側に略Ｕ字型の爪部材１０９
を設けるようにしても良い。

【００６０】図２６に示すように、内視鏡７２の本体部
７５に複数の向きで着脱可能に取り付けられるバルブユ
ニット７６は、送水ボタン９７と吸引ボタン９８とが設
けられた本体部７６ａと、硬性内視鏡７２の本体部７５
に着脱自在に取り付けられる略Ｕ字形の取り付け部７６
ｂとからなる。

【００６１】バルブユニット７６は、硬性内視鏡７２の
本体部７５に取り付けられた際に、内視鏡用シース７０
のグリップ８７によって位置決め固定される。すなわ
ち、図２４に示すように、グリップ８７の基端側の下部
には、バルブユニット７６を受ける受け部１１１が設け
られている。この受け部１１１は、バルブユニット７６
の取り付け位置を決定し、バルブユニット７６ の位置
がずれないように制限する。バルブユニット７６の取り
付け部７６ｂを内視鏡７２の本体部７５の外周に嵌合さ
せると、バルブユニット７６の取り付け開口部１１２の
両方の縁１１３，１１３が受け部１１１ に嵌まり込ん
で、バルブユニット７６の回転が制限される。なお、バ
ルブユニット７６の外形を分かりやすくするために、図
２４及び図２５では、バルブユニット７６が点線及びハ
ッチングで示されている。

【００６２】図２４に示すように、受け部１１１には左
右対称に一対の溝部１１４，１１４が設けられている。
また、図２６に示すように、バルブユニット７６の取り
付け部７６ｂのそれぞれの縁１１３ ，１１３の両端に
は、爪１１５が設けられている。この構成によれば、バ
ルブユニット７６を硬性内視鏡７２の本体部７５に取り
付けた際に、４つの爪１１５のうちの２つが溝部１１
４，１１４に嵌まり込み、硬性内視鏡７２に対するバル
ブユニット７６の軸方向のずれが制限される。

【００６３】図２７の（ａ）は、内視鏡７２の本体部７
５にバルブユニット７６を取り付けた状態を、内視鏡７
２の下側から見た図である。図２７の（ｂ）は、図２７
の（ａ）の取り付け状態とは逆に取り付けた様子を示し
ている。このように、内視鏡７２に対してバルブユニッ
ト７６を複数の方向で取り付けることができることか
ら、術者は、自分の操作しやすい取り付け方向を選択す
ることができる。

【００６４】なお、例えば、図２７において、左右一対
の溝部１１４，１１４を受け部１１１の長手方向の複数
箇所に設ければ、受け部１１１の長手方向の複数位置で
バルブユニット７６を着脱自在に取り付けることができ
る。これにより、操作し易い位置及び向きにバルブユニ
ット７６を取り付けて使用することができるため、操作
性の選択の自由度が広がる。

【００６５】次に、図２８ないし図３０を参照しなが
ら、バルブユニット７６の本体部７６ａと取付部９５の
それぞれの構造について説明する。図２８に示すよう
に、バルブ本体部７６ａは、送水孔１１６と吸引孔１１
７とを有している。送水孔１１６と吸引孔１１７は、水
平方向に貫通するように互いに上下に設けられている。
そして、送水孔１１６には送水チューブ７７が挿通さ
れ、吸引孔１１７には吸引チューブ７８が挿通されてい
る。

【００６６】また、バルブ本体部７６ａには、送水孔１
１６と吸引孔１１７とに対して垂直に連通状態で交差し
且つ互いに前後に並設された２つの縦穴１１８，１１９
が設けられている。

【００６７】第１の縦穴１１８には送水ボタン９７が上
下に移動可能に嵌入されている。送水ボタン９７は、第
１の縦穴１１８の内側に向けて突設された支持部１２０
に支持されたばね１２４によって、上方に向けて常時付
勢されている。図２９に示すように、送水ボタン９７
は、ボタン部９７ａと、ボタン部９７ａから下方に延び
且つ送水チューブ７７を支持部１２０に対して常時押し
付ける枠状の押し付け部９７ｂとから成る。送水チュー
ブ７７は、押し付け部９７ｂの枠内に挿通されており、
ボタン部９７ａが押し下げられていない通常の状態で
は、ばね１２４の付勢力に伴う押し付け部９７ｂの押し
上げ作用によって支持部１２０の下面に押し付けられて
潰され、その内孔（管路）１２６が閉塞される。

【００６８】一方、第２の縦穴１１９には吸引ボタン９
８が上下に移動可能に嵌入されている。吸引ボタン９８
は、第２の縦穴１１９の内側に向けて突設された支持部
１２２に支持されたばね１２４によって、上方に向けて
常時付勢されている。また、送水孔１１６よりも下側に
位置する第２の縦穴１１９の部位には内側に向けて突出
する突出部１２３が設けられている。図３０に示すよう
に、吸引ボタン９８は、ボタン部９８ａと、ボタン部９
８ａから下方に延び且つ吸引チューブ７８を突出部１２
３に対して常時押し付ける枠状の押し付け部９８ｂとか
ら成る。吸引チューブ７８は、押し付け部９８ｂの枠内
に挿通されており、ボタン部９８ａが押し下げられてい
ない通常の状態では、ばね１２４の付勢力に伴う押し付
け部９８ｂの押し上げ作用によって突出部１２３の下面
に押し付けられて潰され、その内孔（管路）１２７が閉
塞される。なお、この場合、送水チューブ７７も、押し
付け部９８ｂの枠内に挿通されているが、押し付け部９
８ｂの押し上げ作用によってはその内孔（管路）１２６
が閉塞されない。

【００６９】以上の構成では、送水ボタン９７をばね１
２４の付勢力に抗して押し下げると、図２９に示すよう
に、送水ボタン９７が２点鎖線で示す位置に移動する。
これにより、送水チューブ７７を支持部１２０の下面に
対して押し付ける力が弱まり、送水チューブ７７がそれ
自身の弾性によって元の管状に復元する。その結果、送
水チューブ７７の内孔１２６が開き、送水チューブ７７
を通じた送液が可能となる。なお、送水ボタン９７の押
し下げ量を変化させることにより、送水チューブ７７を
通じた送液量を調節することも可能である。

【００７０】一方、吸引ボタン９８をばね１２４の付勢
力に抗して押し下げると、図３０に示すように、吸引ボ
タン９８が２点鎖線で示す位置に移動する。これによ
り、吸引チューブ７８を突出部１２３の下面に対して押
し付ける力が弱まり、吸引チューブ７８がそれ自身の弾
性によって元の管状に復元する。その結果、吸引チュー
ブ７８の内孔１２７が開き、吸引チューブ７８を通じた
送液が可能となる。この場合も、吸引ボタン９８の押し
下げ量を変化させることにより、吸引チューブ７８を通
じた送液量を調節することも可能である。

【００７１】以上説明したように、本実施形態の内視鏡
用シース７０を含む内視鏡装置によれば、手術中、透明
キャップ８６ｂ内に血液等が侵入して内視鏡７２の対物
レンズが汚れ、視野が確保できない場合でも、チューブ
７７，７８と管路８８とノズル９１とからなる流路を通
じて送水・吸引動作を行なえば、対物レンズの表面を洗
浄することができる。従来、対物レンズが汚れた場合に
は、内視鏡シースの先端キャップとともに内視鏡を体外
へ抜去して、対物レンズの汚れを取り除いた後、再び元
の位置まで内視鏡をアプローチする必要があった（ＤＥ
３７４３０４２Ａ１など）が、本実施形態の構成によれ
ば、内視鏡を内視鏡シース７０から抜去せずに対物レン
ズの汚れを洗浄することができるため、手術時間の短縮
を図ることができる。

【００７２】また、本実施形態によれば、バルブユニッ
ト７６を内視鏡７２の本体部７５に着脱自在に取り付け
ることができるとともに、その取り付け状態（方向）を
任意に選択することができる（図２７の（ａ）（ｂ）参
照）。したがって、術者は、バルブユニット７６を操作
し易い向きに装着して操作することができる。その結
果、微妙な操作が要求される手術や長時間に及ぶ手術で
も内視鏡を楽に持つことができ、バルブユニット７６の
ボタン操作を容易に行なうことができるため、手術の進
行をスムーズに行なえ、また、術者の疲労を軽減させる
こともできる。

【００７３】図３１ないし図３３は本発明の第７の実施
形態を示している。図３１及び図３２に示すように、本
実施形態の内視鏡用シース１５０は、体内に挿入可能な
シース部１５１を有している。シース部１５１は、管状
のシース本体１５１ａと、このシース本体１５１ａの先
端部に設けられた筒状の透明キャップ１５１ｂとから成
る。シース本体１５１ａの基端部にはグリップ１５３が
設けられている。また、透明キャップ１５１ｂの基端部
にはアーム１５４が設けられている。

【００７４】なお、透明キャップ１５１ｂは、その先端
部の内周面に環状突部３が一体に設けられている。シー
ス本体１５１ａは、その先端が環状突部３の側面に当接
した状態で、環状突部３に接着剤により固定され、もし
くは、環状突部３と一体成形されている。環状突部３は
シース本体１５１ａの内面よりも内側に突出しており、
この突出した環状突部３の内側側面は、シース本体１５
１ａ内に挿通される内視鏡の挿入部の先端と当接して内
視鏡の先端側へのそれ以上の突出を防止するストッパ４
を形成している。そして、このストッパ４すなわち環状
突部３の内側側面は、ここに内視鏡の挿入部の先端が当
接した状態で、少なくとも透明キャップ１５１ｂの先端
部の一部が内視鏡の視野内に入るような位置に設けられ
ている。

【００７５】アーム１５４は、透明キャップ１５１ｂと
シース本体１５１ａとに接続固定される取付部１５９
と、略半円のループ形状をなしてシース本体１５１に対
して手元側へ傾くアーム本体１５８とからなる。図３１
に示すように、アーム本体１５８は、その断面が略楕円
形状をなしており、取付部１５９との間に開口１６０が
設けられている。シース本体１５１ａの手元側にはアー
ム本体１５８が位置する方向を示すマーキング１５６が
施されており、これによって、アーム本体１５８が位置
する方向を手元側で知ることができるようになってい
る。

【００７６】グリップ１５３は、シース本体１５１ａに
対して着脱自在に螺着されている。また、グリップ１５
３の内孔にはシリコンゴム等の弾性部材１６１が配設さ
れている。この構成では、グリップ１５３をシース本体
１５１ａに対して捩じ込むと、弾性部材１６１が押し潰
されて、内視鏡用シース１５０とこのシース１５０内に
挿入される内視鏡（図示しない）との間がシールされ
る。なお、グリップ１５３のねじ込み量を調整すること
によって、内視鏡用シース１５０と内視鏡との間のシー
ル状態を変化させることができる。

【００７７】次に、上記構成の内視鏡用シース１５０を
食道抜去術における食道剥離に使用する場合について図
３３を参照しつつ説明する。まず、図３３に示すよう
に、患者の頸部１６１をメスにて切開する。そして、切
開部１６２の周囲の食道１５７を用指的に剥離した後、
内視鏡用シース１５０が外装された内視鏡１６３を切開
部１６２に挿入する。この時、アーム１５４の開口１６
０を通じてアーム本体１５８ のループ内に剥離した食
道１５７を入れる。アーム本体１５８に食道１５７を引
っ掛けた状態で、内視鏡１６３のチャンネルを介して体
内に導入した鉗子１６４（もしくは電極やクリップ）に
よって索状物や血管等を切除あるいはクリッピングして
剥離を進める。したがって、アーム本体１５８には剥離
された食道１５７が常に引っ掛けられている。

【００７８】なお、以上の手術を行なっている間、腹部
では、別の術者が、食道抜去後の食道の代用となる胃管
を作成し、直視下にて食道１５７の下部の剥離を用指的
に行なう。食道１５７の剥離が完了して食道１５７の切
除と抜去とが終了したら、胃管と頸部１６１の切除端と
を吻合して、切開部１６２を閉鎖する。

【００７９】以上説明したように、本実施形態の内視鏡
用シース１５０によれば、第１の実施形態の作用効果を
有することは勿論、今まで盲目で用指的にしか行なえな
かった食道の剥離を内視鏡下で観察しながら行なえ、安
全かつ確実な手術が可能となる。

【００８０】また、内視鏡用シース１５０は、アーム１
５４を食道１５７に常時ガイドさせた状態で体内に導入
することが可能であるため、食道１５７を見失うことな
く食道１５７の周囲へのアプローチが容易となり、食道
の剥離を簡単に行なうことができる。したがって、安全
かつ確実な手術を行なうことができる。

【００８１】さらに、内視鏡用シース１５０は、アーム
本体１５８が手元側へ傾いているため、剥離された食道
１５７のみがアーム本体１５８に引掛かる。つまり、ア
ーム本体１５８のループ内には剥離された食道１５７の
みしか入り込むことができない。したがって、視野の外
で不注意に食道１５７やその周囲組織を損傷することが
なく、安全である。

【００８２】図３４および図３５は本発明の第８の実施
形態を示している。本実施形態の内視鏡用シース１７０
では、透明キャップ１７１の外面に軸方向に沿って滑ら
かな凹部１７２が設けられている。なお、それ以外の構
成は第７の実施形態と同一である。

【００８３】このような内視鏡用シース１７０を食道抜
去術における食道１５７の剥離に使用する場合には、食
道１５７に凹部１７２を沿わせながら切開部１６２（図
３３参照）から内視鏡用シース１７０を挿入し、シース
１７０に並走して体内に挿入した鉗子（もしくは、クリ
ップ等の処置具）によって索状物や血管の処理を行ない
ながら、透明キャップ１７１の先端部で食道１５７の剥
離を行なう。

【００８４】このように、本実施形態の内視鏡用シース
１７０は、透明キャップ１７１の凹部１７２によって食
道１５７にガイドされながら食道１５７の周囲へとアプ
ローチできるため、安全かつ確実に食道１５７の剥離を
行なうことができる。

【００８５】図３６ないし図４１は本発明の第９の実施
形態を示している。図３６に示すように、本実施形態の
内視鏡用シース２１０は、内視鏡２４４の挿入部２２５
（図３７参照）を挿通可能な内孔２１３を有する管状の
シース部２１１と、内視鏡２４４をシース部２１１に対
して位置決めする位置決め部材２１２とを有している。

【００８６】シース部２１１は、その略全体がポリカー
ボネートやポリスチレン等の透明なプラスチック素材に
よって形成されている。また、この透明シース部２１１
の手元側には凸部２２１が設けられている。この凸部２
２１には、断面が矩形の貫通孔２１４が、その軸方向に
沿って形成されている。また、凸部２２１の上面には、
貫通孔２１４に通じる２つのスリット２１６，２１６が
形成されている。このスリット２１６，２１６はそれぞ
れ、凸部２２１の一端から貫通孔２１４に沿って互いに
平行に形成され、凸部２２１の他端の近傍で終端してい
る。したがって、これら２つのスリット２１６，２１６
によって挟まれた凸部２２１の上面部位２２１ａは、片
持ち梁のように変形することができる。また、この上面
部位２２１ａには、貫通孔２１４に向けて突出して位置
決め部材２１２と係合する突起２２０が一体に形成され
ている。さらに、上面部位２２１ａには、突起２２０と
反対側すなわち上方に延びる押圧部材２１５が一体に形
成されている。この構成では、押圧部材２１５を先端側
へ押すと、突起２２０が上方へ浮き上がる。

【００８７】位置決め部材２１２は、内視鏡２２４のラ
イトガイドアダプター２２６（図３７参照）が嵌挿可能
な通孔２１９を中心に有する上面プレート２２２ａと、
上面プレート２２２ａの両側から下方へ垂直に延びる一
対の側面プレート２２２ｂ，２２２ｂとから成る略Ｕ字
形のプレート部２２２を有している。一対の側面プレー
ト２２２ｂ，２２２ｂは、内視鏡２２４のフランジ部２
２７（図３７参照）に嵌まって、位置決め部材２１２と
内視鏡２２４とを接続する。

【００８８】上面プレート２２２ａからは長尺な係合板
２１７が水平に延出している。この係合板２１７は、プ
レート部２２２の略中央から延び、その上面が上面プレ
ート２２２ａの上面と略面一となっている。係合板２１
７の幅と厚さは、凸部２２１の貫通孔２１４に挿入可能
な寸法に形成されている。また、係合板２１７の上面に
は、凸部２２１の突起２２０と噛み合う複数の溝２１８
…が長手方向に沿って形成されている。

【００８９】次に、上記構成の内視鏡用シース２１０と
内視鏡２２４とを組み合わせて使用する場合について説
明する。まず、図３７に示すように、内視鏡２２４のラ
イトガイドアダプタ２２６を位置決め部材２１２の孔２
１９内に嵌め入れ、側面プレート２２２ｂ，２２２ｂを
内視鏡２２４のフランジ部２２７に嵌め合わせることに
よって位置決め部材２１２を内視鏡２２４に取り付け
る。この時、係合板２１７が内視鏡２２４の先端側へ向
くようにする。この状態で、内視鏡２２４の挿入部２２
５を透明シース部２１１内に挿入するとともに、凸部２
２１の挿通孔２１４内に係合板２１７を挿通させる。こ
の場合、図３７に示すように、内視鏡２２４の視野内に
少なくともシース部２１１の先端部の一部が入るよう
に、位置決め部材２１２によって内視鏡２２４の先端を
透明シース部２１１内に位置決めする。この位置決め
は、内視鏡像を表示するモニタ２２８（図３８及び図３
９参照）を見ながら術者が位置決め部材２１２を進退さ
せて、係合板２１７の溝２１８と凸部２２１の突起２２
０との噛み合い位置を変化させることによって行なえ
る。溝２１８と突起２２０との噛み合い状態は、図４１
に示すように、押圧部材２１５を先端側に押圧して凸部
２２１の上面部位２２１ａを変形させることによって解
除される。これにより、係合板２１７を凸部２２１の貫
通孔２１４内で自由に進退させることができ、内視鏡２
２４の先端位置を容易に変化させることができる。図３
８は、内視鏡２２４の視野内に透明シース部２１１の先
端が入った状態のモニタ２２８の表示画面を示してい
る。なお、透明シース部２１１が不要になった場合に
は、図４０に示すように、内視鏡２２４の先端を透明シ
ース２１１の先端開口から突出させれば良い。この場
合、図３９に示すように、内視鏡２２４の視野内に透明
シース部２１１が入らず、したがって、モニタ２２８の
表示画面には透明シース部２１１が映らない。無論、透
明シース部２１１からの内視鏡２２４の突没状態は、係
合板２１７の溝２１８と凸部２２１の突起２２０との噛
み合いにより、固定される。

【００９０】以上説明したように、本実施形態の内視鏡
用シース２１０は、第１の実施形態と同一の作用効果を
有するとともに、内視鏡２２４の先端を透明シース部２
１１に対して任意の位置に保持することができるため、
操作性が良い。また、内視鏡用シース２１０は、キャッ
プのない単一の透明素材で形成されているため、安価に
製造することができる。

【００９１】図４２ないし図４４は内視鏡用シースの他
の構成を示すものである。図４２に示す内視鏡用シース
１８０は、体内に挿入可能なシース部１８１を有してい
る。シース部１８１は、管状のシース本体１８１ａと、
このシース本体１８１ａの先端部に固着され且つポリカ
ーボネート等の透明材質によって形成された筒状の透明
キャップ１８１ｂとから成る（図４４参照）。また、シ
ース本体１８１ａの基端部には筒状のグリップ１８３が
設けられている。

【００９２】図４３に示すように、グリップ１８３の内
孔には、２つのゴム弁１８５，１８５が、押え板１８６
ａ，１８６ｂ，１８６ｃによって押え付けられて固定さ
れている。これによって、内視鏡用シース１８０内に挿
通される内視鏡の気密が保持されるようになっている。
また、シース本体１８１ａには、人体の食道１５７の湾
曲に沿うような所定の曲率半径で曲り癖が付けられてい
る。

【００９３】このような構成の内視鏡用シース１８０と
軟性内視鏡（図示しない）とを組み合わせ使用して食道
の剥離を行なう場合は、軟性内視鏡の処置用チャンネル
を通じて軟性処置具を体内に導入し、この軟性処置具に
よって食道の剥離を行なう。この場合、内視鏡用シース
１８０の先端から軟性内視鏡を突出させた状態で処置す
ることもできる。

【００９４】以上説明した内視鏡用シース１８０は、シ
ース本体１８１ａが食道１５７の湾曲 に沿うように曲
がっているため，よりスムーズに食道剥離を行うことが
できる。また、この内視鏡用シース１８０によれば、軟
性内視鏡がシース１８０内で任意の位置を取ることがで
きるため、操作の自由度が向上する。

【００９５】図４５および図４６に示す内視鏡用シース
１９０は、シース本体１９１と、このシース本体１９１
の先端部に固着されたポリカーボネート、アクリル，ポ
リスチレン，ゼオネックス等の透明材質からなる透明キ
ャップ１９２と、シース本体１９１の基端部に設けられ
た固定部材１９７とから構成されている。

【００９６】図４６に示すように、内視鏡用シース１９
０にはシース本体１９１と固定部材１９７とにわたっ
て、処置用ルーメン２０１と内視鏡用ルーメン２０２と
が平行して設けられている。処置用ルーメン２０１と内
視鏡用ルーメン２０２は、透明キャップ１９２の内孔で
合流して１つのルーメンを形成している。さらに、処置
用ルーメン２０１にはその先端側から送水吸引管１９３
がスライド可能に挿入されて接続されている。内視鏡用
ルーメン２０２には処置具１９６を挿通可能な内視鏡１
９５が挿入されている。なお、処置用ルーメン２０１を
内視鏡用ルーメン２０２に対して傾けて形成してもよ
い。この場合、送水吸引管１９３を内視鏡１９５の視野
内に確実かつ素早く導入することができる。

【００９７】固定部材１９７には、処置用ルーメン２０
１の基端側に連通する２つの送水吸引チャンネル１９
４，１９４が斜め方向に設けられている。処置用ルーメ
ン２０１の基端は、固定部材１９７に取り付けられた第
１の押え部材２０３とＯリング２００とによって密閉さ
れている。なお、第２の押え部材１９８を固定部材１９
７から取り外すと、送水吸引管１９３を手元側（軸方
向）へ抜去できる。

【００９８】また、内視鏡用ルーメン２０２の基端で
は、内孔にＯリング１９９が配設された第２の押え部材
１９８が固定部材１９７に取り付けられている。この構
成では、第２の押え部材１９８を固定部材１９７に対し
てねじ込むことにより、Ｏリング１９９が押し潰され
て、内視鏡１９５が固定部材１９７に対してシール状態
で固定される。

【００９９】なお、送水吸引管１９３の基端側へのスラ
イドは、第１押え部材２０３と第２押え部材１９８とが
接触することにより規制され、また、送水吸引管１９３
の先端側へのスライドは、処置用ルーメン２０１より側
方へ突出して送水吸引管１９３に設けられた突出部２０
７とシース手元側端部２０６とが接触することにより規
制される。

【０１００】また、送水吸引管１９３の先端部には側孔
２０４が設けられている。また、側孔２０４よりも先端
側の送水吸引管１９３の部位は、その一部が絞られて内
径が小さくなった凹部２０５となっている。この凹部２
０５によって、側孔２０４からの送水量が大きくなり、
透明キャップ１９２内に大量に送水でき、内視鏡１９５
の対物レンズの洗浄が可能となる。

【０１０１】以上説明したように、上記構成の内視鏡用
シース１９０では、術中に血液等が透明キャップ１９２
内に入って内視鏡１９５の視野が妨げられた場合に、送
水吸引管１９３の側孔２０４から透明キャップ１９２内
に送水を行なって内視鏡１９５の対物レンズと透明キャ
ップとを洗浄することができる。したがって、常に視野
を確保でき、スムーズに処置を行なうことができる。

【０１０２】また、送水吸引管１９３の先端部に絞り２
０５を設け、側孔２０４からの送水量を増大させるよう
にしているため、確実且つ早急に内視鏡１９５の対物レ
ンズとキャップ１９２とを洗浄することができる。

【０１０３】さらに、上記構成の内視鏡用シース１９０
では、送水吸引管１９３等の処置具の進退および回動が
制限されるため、処置具が不必要な動きをすることがな
い。したがって、処置具によって組織を損傷させたり、
処置具の突出等によって手術の進行が妨げられるといっ
た不都合を回避することができ、安全に手術を行なうこ
とができる。

【０１０４】ところで、以上説明してきた実施態様によ
れば、以下のごとき構成が得られる。 （付記１）先端部に観察手段を有する内視鏡の挿入部に
外装されるシースにおいて、シース本体の少なくとも先
端部に透明部材からなるシース先端部を有し、前記内視
鏡の視野内に少なくとも前記シース先端部の一部が入る
ようにしたことを特徴とするシース。 （付記２）付記１において、シース先端部は、シース本
体の先端部に取り付けられた透明キャップであることを
特徴とするシース。 （付記３）付記１において、シース本体は、シース先端
部と同材質で形成されていることを特徴とするシース。 （付記４）付記１において、シース本体は、シース先端
部と同材質で、同シース先端部と一体に形成されている
ことを特徴とするシース。 （付記５）付記２において、透明キャップは、ポリカー
ボネート材料で形成されていることを特徴とするシー
ス。 （付記６）付記１において、シース本体は、基端部に内
視鏡の挿入部を把持するグリップを有していることを特
徴とするシース。 （付記７）付記１において、シース先端部は、その内腔
に内視鏡の挿入部の先端と当接するストッパを有してい
ることを特徴とするシース。 （付記８）付記１において、シース先端部は、その先端
部に生体組織を剥離するためのテーパ部を有しているこ
とを特徴とするシース。 （付記９）付記１において、シース先端部は、その先端
部に内視鏡の視野のケラレを最小にするために斜めにカ
ットされていることを特徴とするシース。 （付記１０）付記１において、シース先端部より後方の
シース本体の外周にバルーンが設けられていることを特
徴とするシース。 （付記１１）付記１において、シース先端部は、斜視内
視鏡の視野に合うように斜めの先端開口を有しているこ
とを特徴とするシース。 （付記１２）付記１において、シース先端部は、生体組
織をガイドする開口を有していることを特徴とするシー
ス。 （付記１３）付記１において、シース先端部は、生体組
織に滑り合う凹部を有していることを特徴とするシー
ス。 （付記１４）付記１において、シース本体は、軟性内視
鏡の挿入部を挿通可能に湾曲していることを特徴とする
シース。 （付記１５）付記１において、シース本体は、処置用ル
ーメンと内視鏡用ルーメンを有していることを特徴とす
るシース。 （付記１６）付記１において、内視鏡先端の対物レンズ
面を洗浄する洗浄手段を設けたことを特徴とするシー
ス。 （付記１７）付記１において、内視鏡とシースを任意の
軸方向位置に保持する保持手段を設けたことを特徴とす
るシース。 （付記１８）付記２において、シース本体は、シース先
端部と同様のポリカーボネート、ポリスチレン等の透明
材質で形成されていることを特徴とするシース。 （付記１９）透明キャップ付シースと内視鏡を用意する
工程と、人体の組織に小切開を加える工程と、透明キャ
ップ付シースと内視鏡の組立体を小切開部に導入する工
程と、透明キャップ付シースもしくは処置具で剥離を行
ない、腔を作る工程とからなる人体あるいは動物に腔を
確保する方法。 （付記２０）付記１９において、透明キャップ付シース
と内視鏡を用意する工程と、人体の腹壁に腹膜のみを残
して小切開を加える工程と、透明キャップ付シースと内
視鏡の組立体を小切開部に導入する工程と、透明キャッ
プ付シースもしくは処置具で腹壁と腹膜の剥離を行な
い、腔を作る工程とからなる腹壁と腹膜との間に腔を確
保する方法。 （付記２１）付記２０において、腹壁に腹膜のみを残し
て小切開を加える工程と、内視鏡、透明キャップ付シー
スの組立体を小切開部に導入する工程と、透明キャップ
付シースで鈍的剥離を行ない腹膜を腹壁から剥がす工程
と、腹壁と剥離した腹膜の間に送気して腔を確保する工
程と、ヘルニアサックを処理する工程とからなる腹膜外
アプローチのヘルニア修復を行なう方法。 （付記２２）付記１９において、透明キャップ付シース
と内視鏡を用意する工程と、人体の皮膚に後腹膜のみを
残して小切開を加える工程と、透明キャップ付シースと
内視鏡の組立体を小切開部に導入する工程と、透明キャ
ップ付シースもしくは処置具で後腹膜と周囲組織の剥離
を行ない、腔を作る工程とからなる後腹膜腔を確保する
方法。 （付記２３）付記２２の工程に加え、さらに、処置具に
て腎臓周囲を剥離するとともに、尿管、血管の結紮、切
離を行なう工程を有する後腹膜アプローチで腎臓を摘出
する方法。 （付記２４）付記２２の工程に加え、さらに、処置具に
て副腎周囲を剥離するとともに血管の結紮、切離を行な
う工程を有する後腹膜アプローチで副腎を摘出する方
法。 （付記２５）付記２２の工程に加え、さらに、脊椎の近
傍まで透明キャップ付シースを導入する工程と、処置具
にて処置を行なう工程とを有する後腹膜アプローチで脊
椎の処置を行なう方法。 （付記２６）付記１９において、透明キャップ付シース
と内視鏡を用意する工程と、人体の頸部に小切開を加え
る工程と、透明キャップ付シースと内視鏡の組立体を小
切開部に導入する工程と、透明キャップ付シースと内視
鏡の組立体を食道に沿って縦隔内の間に導入する工程と
からなる縦隔内を観察する方法。 （付記２７）付記２６において、透明キャップ付シース
と内視鏡を用意する工程と、人体の頸部に小切開を加え
る工程と、透明キャップ付シースと内視鏡の組立体を小
切開部に導入する工程と、内視鏡観察下において透明キ
ャップ付シース先端もしくは処置具で食道の周囲を下方
に剥離する工程と、食道の切除と抜去を行なう工程とか
らなる食道抜去を行なう方法。 （付記２８）付記１９において、透明キャップ付シース
と内視鏡を用意する工程と、人体の腹壁に小切開を加え
る工程と、透明キャップ付シースと内視鏡の組立体を小
切開部に導入し、腹腔内を観察する工程とからなる腹腔
内を観察する方法。 （付記２９）付記２８において、透明キャップ付シース
と内視鏡を用意する工程と、人体の腹壁に小切開を加え
る工程と、透明キャップ付シースと内視鏡の組立体を小
切開部に導入する工程と、内視鏡観察下にて透明キャッ
プ付シース先端もしくは処置具にて食道を噴門部から上
方へ剥離する工程と、食道の抜去を行なう工程とからな
る食道抜去を行なう方法。 （付記３０）付記２８において、透明キャップ付シース
と内視鏡を用意する工程と、人体の腹壁に小切開を加え
る工程と、透明キャップ付シースと内視鏡の組立体を小
切開部に導入する工程と、内視鏡から腹腔内へ送気し、
部分気腹を行ない視野を確保する工程と、透明キャップ
付シースと内視鏡の組立体を切開部より抜去し、虫垂を
腹腔外へ引き出すと、虫垂の処置を行なう工程とからな
る虫垂切除を行なう方法。 （付記３１）付記１９において、人体の皮膚に小切開を
加える工程と、透明キャップ付シースと内視鏡の組立体
を小切開部に導入する工程と、内視鏡観察下にて透明キ
ャップ付シース先端もしくは処置具にてインプラント留
置に必要な空間を剥離する工程と、透明キャップ付シー
スと内視鏡の組立体を小切開部より抜去する工程と、切
開部にインプラントを挿入後、留置する工程とからなる
豊胸を行なう方法。 （付記３２）付記１９において、人体の下肢の皮膚に小
切開を加える工程と、透明キャップ付シースと内視鏡の
組立体を小切開部に導入する工程と、透明キャップ付シ
ースと内視鏡の組立体を神経、血管とその周囲組織の間
に挿入する工程とからなる下肢の神経、血管を観察する
方法。 （付記３３）付記３２において、人体の下肢中央部に小
切開を加える工程と、透明キャップ付シースと内視鏡の
組立体を小切開部に導入する工程と、内視鏡観察下にて
神経、血管の位置を確認する工程と、処置具にて神経、
血管を焼灼し、遮断する工程とからなる下肢の神経、血
管の切除を行なう方法。 （付記３４）付記３２において、人体の下肢に小切開を
加える工程と、透明キャップ付シースと内視鏡の組立体
を小切開部に導入する工程と、内視鏡観察下にて透明キ
ャップ付シースもしくは処置具にて血管の周囲を剥離す
る工程と、剥離中、神経、血管を確認すると、処置具に
て神経、血管を結紮、切離し、遮断する工程と、血管を
取り出す工程とからなる下肢の血管の切除を行なう方
法。 （付記３５）付記１９において、人体の組織に小切開を
加える工程と、透明キャップ付シースと内視鏡の組立体
を小切開部に導入する工程と、内視鏡観察下にて処置具
で周囲組織を剥離し、組織と骨の間の固定部材の位置を
確認する工程と、透明キャップ付シース先端の開口内に
固定部材を入れる工程と、透明キャップ付シースから内
視鏡を抜去し、固定部材の取り外し処置具を挿入する工
程と、固定部材の取り外し処置具を用いて固定部材を外
す工程とからなる骨折における固定部材の抜去を行なう
方法。 （付記３６）付記１９において、人体の額付近の頭皮に
小切開を加える工程と、透明キャップ付シースと内視鏡
の組立体を小切開部に導入する工程と、内視鏡観察下に
て処置具で眼球付近まで剥離を行ない、頭皮と頭蓋骨の
剥離を行なう工程と、額の皮膚を挙上し、余った皮膚を
切除し、頭皮と縫合する工程とからなるフォアヘッドリ
フト（FOR HEAD LIFT)を行なう方法。

【０１０５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の内視鏡用
シースは、生体内に空間が存在しない皮下組織等の任意
の部分の直接的な内視鏡観察を可能とし、且つ、内視鏡
による観察視野を妨げることなく観察対象部位の状態を
正確に観察把握でき、また、生体を傷付けることなく内
視鏡とともに円滑に挿入できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１の実施形態を示す内視鏡用シー
スの斜視図。

【図２】図１の内視鏡用シースの縦断側面図。

【図３】図１の内視鏡用シースにセットされた内視鏡画
像のモニター表示例を示す正面図。

【図４】図１の内視鏡用シースを用いてヘルニア復修術
を行なう様子を示す図。

【図５】図１の内視鏡用シースを用いたヘルニア復修術
の様子を示す断面図。

【図６】人体の概略図。

【図７】図６のＩーＩ線に沿う断面図。

【図８】図１の内視鏡用シースを用いて虫垂切除術を行
なう様子を示す図。

【図９】図１の内視鏡用シースを用いて下肢の交通枝切
除術を行なう様子を示す図。

【図１０】図１の内視鏡用シースを用いて足関節の骨折
における抜釘術を行なう様子を示す図。

【図１１】図１０に示した抜釘術でボルトを外す作業を
行なう様子を示す断面図。

【図１２】図１の内視鏡用シースを用いて形成外科の豊
胸術を行なう様子を示す図。

【図１３】この発明の第２の実施形態を示す内視鏡用シ
ースの要部断面図。

【図１４】この発明の第３の実施形態を示す内視鏡用シ
ースの要部断面図。

【図１５】この発明の第４の実施形態を示す内視鏡用シ
ースの半断面図。

【図１６】図１５の内視鏡用シースの動作状態を示す斜
視図。

【図１７】この発明の第５の実施形態を示す内視鏡用シ
ースの斜視図。

【図１８】図１７の内視鏡用シースの縦断側面図。

【図１９】図１７の内視鏡用シースを用いて額のたるみ
を取る術を行なう様子を示す図。

【図２０】この発明の第６の実施形態を示す内視鏡用シ
ースの縦断側面図。

【図２１】図２０の内視鏡用シースを含む内視鏡装置の
手元側側面図。

【図２２】図２１のＢ−Ｂ′線に沿う拡大断面図。

【図２３】図２０の内視鏡用シースを含む内視鏡装置の
手元側取付構造の変形例を示し、（ａ）は平面図、
（ｂ）は（ａ）のＣ−Ｃ′線に沿う拡大断面図。

【図２４】図２０の内視鏡用シースのシース本体部の平
面図。

【図２５】図２４のＤ矢視図。

【図２６】図２０の内視鏡用シースを含む内視鏡装置の
バルブユニットの斜視図。

【図２７】図２６のバルブユニットの取り付け方法の２
つの例を示す平面図。

【図２８】図２６のバルブユニットの断面図。

【図２９】図２８のＥ−Ｅ′線に沿う拡大断面図。

【図３０】図２８のＦ−Ｆ′線に沿う拡大断面図。

【図３１】この発明の第７の実施形態を示す内視鏡用シ
ースの縦断側面図。

【図３２】図３１のＧ矢視図。

【図３３】図３１の内視鏡用シースを用いて食道抜去術
を行なう様子を示す図。

【図３４】この発明の第８の実施形態を示す内視鏡用シ
ースの縦断側面図。

【図３５】図３４のＨ矢視図。

【図３６】この発明の第９の実施形態を示す内視鏡用シ
ースの斜視図。

【図３７】図３６の内視鏡用シースの縦断側面図。

【図３８】図３６の内視鏡用シースにセットされた内視
鏡画像のモニター表示例を示す正面図。

【図３９】図３６の内視鏡用シースにセットされた内視
鏡画像の他のモニター表示例を示す正面図。

【図４０】図３６の内視鏡用シースの縦断側面図。

【図４１】図３６の内視鏡用シースの縦断側面図。

【図４２】湾曲可能な内視鏡用シースの一部断面した側
面図。

【図４３】図４２のＩ部を拡大した半断面図。

【図４４】図４２のＪ部を拡大した半断面図。

【図４５】処置用チャンネルと内視鏡用チャンネルとを
有する内視鏡用シースの側面図。

【図４６】図４５の内視鏡用シースの縦断側面図。

【符号の説明】

１…シース本体、２…透明キャップ、１０…硬性内視
鏡、１１…挿入部。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも先端が開口し且つ少なくとも
   先端部が透明材料によって形成されるとともに、観察手
   段を有する内視鏡の挿入部を挿通可能な管状のシース部
   と、 前記内視鏡の視野内に少なくとも前記シース部の先端部
   の一部が入るように、前記内視鏡の挿入部をシース部内
   に位置決めする手段と、 を具備することを特徴とする内視鏡用シース。