JP2797951B2 - 銀−パラジウム合金めっき方法およびめっき浴 - Google Patents

銀−パラジウム合金めっき方法およびめっき浴

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JP2797951B2 JP2441494A JP2441494A JP2797951B2 JP 2797951 B2 JP2797951 B2 JP 2797951B2 JP 2441494 A JP2441494 A JP 2441494A JP 2441494 A JP2441494 A JP 2441494A JP 2797951 B2 JP2797951 B2 JP 2797951B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銀−パラジウム合金め
っき用の合金めっき方法およびめっき浴に関する。特
に、電力、自動制御、情報伝達などの電気回路中のめっ
き接点を製造するための銀−パラジウム合金めっき方法
およびめっき浴に関する。
【0002】
【従来の技術】銀および銀合金は、優れた電気伝導性、
熱伝導性を有し接触抵抗も低いことから電気電子部品、
特に電気接点に多用されている。ところが、銀は、大気
中のSO2 ガス、H2S ガスにより容易に硫化され、表面に
Ag2Sから成る硫化物皮膜を生成する。この硫化物皮膜
は、接触抵抗を増加させ接触不良の原因となったり、ウ
ィスカーを生成し電気回路を短絡させたりする。
【0003】ところで、銀にパラジウムを合金化させる
と、合金中のパラジウム含有率の増加に従い、耐硫化性
が改善されることはよく知られており、冶金的方法によ
り作製した銀−パラジウム合金 (例えば、10%、30%、
40%、60%パラジウム−銀合金) は電気接点材料として
広く使用されている。
【0004】一方、めっき法による銀−パラジウム合金
皮膜の生成は、部分めっき、薄膜化などにより材料の使
用量を著しく低減し大幅なコストダウンが行える利点が
あるにもかかわらず文献上もその発表例は少ない。本発
明者らが調査した限りでは、例えば、(1) 「パラジウム
(合金) めっき浴組成物および方法」 (特公昭62−2027
9 号公報) 、(2) 「パラジウムおよびパラジウム合金の
電着方法」 (特公昭60−9116号公報) 、および(3) 「銀
−パラジウム合金の電気めっき液」 (特公昭57−55799
号公報) などがあるにすぎない。
【0005】この内、(1) 、(2) は、パラジウム−アン
モニア錯体を含むめっき浴からの純パラジウムめっきを
基本とし、わずかに合金元素としてニッケル、コバルト
とともに銀が単に列記されているにすぎない。しかも、
(1) においては、加える銀化合物の化学形、錯化剤につ
いて明記されていない。さらに、(1) 、(2) 共、得られ
る銀−パラジウムめっき皮膜の合金組成についてなんら
示されていない。(3)は、銀およびパラジウムのピロリ
ン酸錯体、チオシアン酸錯体を含む中性溶液からめっき
することを特徴とし、銀をシアン化銀カリウムの形で添
加した場合、5%パラジウム−銀合金が得られるとして
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来の合
金めっき浴を用いると、極微量 (数%以下) の銀を含む
パラジウム合金、または、極微量 (数%以下) のパラジ
ウムを含む銀合金のみが良好な表面を有するめっき皮膜
として得られるが、銀またはパラジウムの含有率が10%
程度を越えるとパラジウムまたは銀合金のめっき皮膜表
面は、金属光沢を失い、粉末状あるいは粗い突起状とな
り、基板との密着性も悪くなるのが一般的であった。
【0007】すなわち、従来の合金めっき浴からは、た
とえ合金めっき浴中の金属イオン濃度を変化させても合
金組成が0〜100 %の広範囲、特に10〜90%の範囲で
の、外観、密着性のよい銀−パラジウム合金めっき皮膜
の生成が困難であった。
【0008】一般に合金めっきにおいては、めっきしよ
うとする両金属の析出電位を近づけることが重要であ
る。析出電位が離れていると、どちらかの金属の析出速
度が金属イオンの拡散律速となるために、得られるめっ
き皮膜は粉末状となるか、あるいは粗い突起物を含み、
基板との密着性は悪くなる。
【0009】従来の銀−パラジウム合金めっき浴におい
ては、銀とパラジウムの析出する電位が大きく離れてお
り、銀或いはパラジウムの析出過程が金属イオンの拡散
支配となるために、良好な表面を有するめっき皮膜が得
られないものと思われる。わずかに合金元素が極微量の
場合のみ、良好な表面が得られるにすぎない。
【0010】しかし、前述のように冶金的方法による銀
−パラジウム合金においては、耐硫化性向上のため、10
〜60%のパラジウムを含む銀合金が実際に使用されてい
る例が多く、この合金のめっき法による製法の確立が期
待されている。
【0011】本発明の目的は、広い範囲に渡る合金組成
で、かつ良好な表面を有するめっき皮膜を生成するため
の銀−パラジウム合金めっき方法とそれに使用する銀−
パラジウム合金めっき浴を提供することにある。
【0012】より具体的には、本発明の目的は、銀とパ
ラジウムの析出する電位を近づけた銀−パラジウム合金
めっき方法とそれに利用する銀−パラジウム合金めっき
浴を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、銀の錯化剤と
して、アルカリ金属の臭化物塩を用い、パラジウムの錯
化剤として、アルカリ金属の亜硝酸塩を用いることによ
り、両金属の析出電位を近づけることができ、広い合金
組成に渡って、良好な銀−パラジウム合金めっき皮膜が
得られることを知り、本発明を完成した。
【0014】ここに本発明の要旨とするところは、 銀イオンが臭素イオンとの錯イオンの形態で、またパ
ラジウムイオンが亜硝酸イオンとの錯イオンの形態でそ
れぞれ存在するめっき浴を使って行う銀パラジウム合金
のめっき方法である。
【0015】 パラジウムイオン 3.0〜 30.0 g/l 銀イオン 2.0〜 16.0 g/l アルカリ金属の臭化物塩 300.0〜 800.0 g/l アルカリ金属の亜硝酸塩 1.0〜 50.0
g/l 残部水 の組成から成る銀−パラジウム合金めっき浴である。
【0016】本発明の好適態様によれば、添加剤とし
て、サッカリン、サッカリンナトリウム、芳香族スルホ
ン酸塩、芳香族スルフィン酸塩およびチオ硫酸塩のうち
1種以上を合計0.5 〜5.0 g/l含むことを特徴とす
る上記記載の合金めっき浴である。
【0017】本発明のさらなる好適態様によれば、p
H緩衝剤として、ホウ酸、クエン酸およびクエン酸塩の
うち1種以上を合計20.0〜100.0 g/l 含み、pHが、2.
0 〜10.5であることを特徴とする上記または記載の
合金めっき浴である。
【0018】本発明は別の面からは、上記〜に記
載の合金めっき浴を用いて行う銀−パラジウム合金めっ
き方法であって、電流密度1〜100 mA/cm2、陽極とし
て、銀−パラジウム合金または、銀とパラジウムの分離
陽極を用いることを特徴とする銀−パラジウム合金めっ
き方法である。
【0019】本発明は、また別の面からは、上記〜
に記載の合金めっき浴を用いて行う銀−パラジウム合
金めっきであって、電流密度1〜100 mA/cm2、不溶性陽
極を用い、陽極槽と陰極槽をイオン交換膜により隔離す
ることを特徴とする銀−パラジウム合金めっき方法であ
る。
【0020】本発明によれば、好ましくは膜厚0.1 〜20
μmの銀−パラジウム合金皮膜が得られ、これは合金組
成割合を適宜決めることでめっき接点として利用するこ
とができる。
【0021】
【作用】以下に本発明をその作用効果とともに詳述す
る。本発明によれば、銀およびパラジウムは合金めっき
浴中で主として以下の反応により錯イオンを形成する。
【0022】Ag+ +4Br- → AgBr4 3- Pd2 +4NO2 → Pd(NO2)4 2- これらの銀−臭素イオン錯体およびパラジウム−亜硝酸
イオン錯体という錯イオンの生成により、銀とパラジウ
ムの析出電位を一致させることができ、合金めっき浴中
のAg+ 濃度とPd2+濃度を適量に調整することにより、広
い合金組成範囲に渡って、銀−パラジウム合金めっきが
可能となる。
【0023】本発明の合金めっき浴を用いて測定した分
極曲線を図1に、比較のためにアンモニア錯塩溶液から
の分極曲線を図2に示す。各めっき浴の組成は次の通り
であった。
【0024】本発明例: パラジウムイオン 10.64 g/l 銀イオン 5.0 g/l 臭化カリウム 500.0 g/l 亜硝酸カリウム 17.0 g/l 比較例: パラジウムイオン 5.32 g/l 銀イオン 1.08 g/l 25%アンモニア水 100 ml/l。
【0025】図1、2ともに点線1は銀イオンのみのめ
っき浴から測定した電流密度/電位曲線、点線2はパラ
ジウムイオンのみのめっき浴からの電流密度/電位曲
線、実線は銀−パラジウム合金めっき浴からの電流密度
/電位曲線を示す。なお、横軸の電位は銀−塩化銀参照
電極に対しての電位である。
【0026】図2のアンモニア錯塩の合金めっき浴で
は、銀とパラジウムの析出電位は、約650 mV離れ、合金
の析出電流密度領域では、銀の析出は拡散支配となって
いる。これに対し、図1の本発明の合金めっき浴では、
銀とパラジウムの析出電位はほぼ一致している。
【0027】図2の合金めっき浴からは、突起物を含む
粉末状の粗悪な表面をしためっき皮膜が得られるのに対
し、図1の本発明の合金めっき浴からは、灰色半光沢ま
たは銀色光沢の良好な表面を有する合金めっき皮膜が得
られる。
【0028】合金めっき浴の組成は、前述の通りである
が、好ましくは、 パラジウムイオン 10.0〜 20.0 g/l 銀イオン 5.0〜 15.0 g/l アルカリ金属の臭化物塩 500.0〜 700.0 g/l アルカリ金属の亜硝酸塩 15.0〜 30.0 g/l である。
【0029】銀イオンの供給は、AgCl、AgBrなどのハロ
ゲン化銀、硝酸銀 (AgNO3)および硫酸銀 (Ag2SO4) によ
り行うことができる。また、パラジウムイオンの供給
は、PdCl2 、PdBr2 などのハロゲン化パラジウム、硝酸
パラジウム (Pd(NO3)2) 、硫酸パラジウム (PdSO4)、お
よび錯塩としては、K2PdCl4 、K2PdBr4 により行うこと
ができる。
【0030】本発明においては、合金めっき浴中の銀濃
度あるいはパラジウム濃度を調整することにより、任意
の組成の銀−パラジウム合金を得ることができる。した
がって、上述のパラジウムイオン濃度、銀イオン濃度以
外であっても、良好なめっきは可能であるが、従来は困
難な合金めっき組成を得る合金めっき浴組成を好ましい
ものとして挙げたのである。
【0031】アルカリ金属の臭化物塩およびアルカリ金
属の亜硝酸塩は、本発明の合金めっき浴を特徴づける最
も重要な物質である。上述のように、臭素イオンは銀
と、亜硝酸イオンはパラジウムと安定な錯イオンを生成
し、銀とパラジウムの析出電位を一致させることができ
る。アルカリ金属の臭化物塩は、例えば、KBr 、NaBrを
用いる。アルカリ金属の臭化物塩を300.0 〜 800.0g/
l、好ましくは500.0 〜700.0 g/lとしたのは、300 g/l
未満では銀が十分に溶解せず、800 g/l を超えてアル
カリ金属臭化物塩を溶解させることはできないからであ
る。また、500 〜700 g/l の時に、銀とパラジウムの析
出電位をより近づけることができるからである。アルカ
リ金属の亜硝酸塩は、例えばKNO2、NaNO2 を用いる。ア
ルカリ金属の亜硝酸塩を10.0〜50.0g/l、好ましくは1
5.0〜30.0g/lとしたのは、10g/l 未満では、パラジウ
ムが十分に Pd(NO2)4 2- 錯体を形成することができない
からであり、また50g/l 以下、好ましくは30g/l 以下の
時に銀とパラジウムの析出電位をより近づけることがで
きるからである。
【0032】本発明の合金めっき浴に、めっき皮膜の応
力除去、表面光沢度の向上の目的で、銀およびパラジウ
ムめっきに一般に用いられているサッカリン、サッカリ
ンナトリウム、芳香族スルホン酸塩 (例えば、ナフタレ
ンスルホン酸ナトリウム) 、芳香族スルフィン酸塩 (例
えば、パラ・トルエンスルフィン酸ナトリウム) および
チオ硫酸塩のうち1種以上を合計0.5 〜5.0 g/l添加す
るのが好ましい。
【0033】本発明の合金めっき浴では、2.0 〜10.5の
広い範囲のpHから、良好な表面の銀−パラジウムめっ
き皮膜を得ることができる。pH<2.0 では、めっき中
に陰極で水素が発生し、めっき皮膜性質に悪影響を与え
る。また、pH>10.5では、水酸化パラジウムの沈殿が
生じ、合金めっき浴を不安定にする。pHの調整は、硝
酸、硫酸、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの添
加により行うことができるが、pHを安定させるために
緩衝剤として、ホウ酸、クエン酸およびクエン酸塩のう
ち1種以上を合計20.0〜100.0 g/l加えることが好まし
い。
【0034】本発明の合金めっき浴は比較的安定で、建
浴後、室温で数カ月経過した後も建浴時とほとんど変わ
らない合金組成の良好なめっき皮膜が得られる。しか
し、さらに長期間に渡る場合は、合金めっき浴中の遊離
亜硝酸イオンが大気中の酸素により酸化、消費される可
能性がある。この時は、合金めっき浴に亜硝酸カリウム
または亜硝酸ナトリウムの形で亜硝酸イオンを添加すれ
ば良い。
【0035】次に、これまで説明してきためっき浴を用
いて行うパラジウム−銀合金のめっき方法を説明する。
【0036】本発明の合金めっき浴では、1〜100 mA/c
m2の広い範囲の電流密度でめっき可能であるが、好まし
くは5〜50mA/cm2が良い。電流密度が1〜10mA/cm2
は、微細な結晶粒で、表面が灰色で半光沢の皮膜が得ら
れ、10〜100 mA/cm2では、銀色光沢で滑らかな表面の皮
膜が得られる。
【0037】高電流密度側で高光沢な表面の合金めっき
皮膜が得られる理由は、めっき過電圧が大きくなること
により、析出する結晶粒が微細化するためと思われる。
ここで、電流密度が1mA/cm2未満では目的とするめっき
膜厚を得るために時間がかかり非効率的で工業上、好ま
しくない。また、電流密度が100 mA/cm2を越えると、析
出過程が金属イオンの拡散支配となり、めっき皮膜表面
に粉末状の析出物あるいは突起物が生じる。
【0038】めっき膜厚は、0.1 〜20μm 、好ましく
は、0.3 〜10μm である。めっき膜厚が20μm を越える
と内部応力により皮膜にクラックが生じ、皮膜が基板か
ら剥離する。また、めっき膜厚が0.1 μm 未満では、め
っき皮膜中のピンホールをなくすることが困難で、使用
環境中で素地金属が腐食される危険性が高く好ましくな
い。
【0039】めっき温度は、通常10〜80℃であれば十分
可能であるが、好ましくは30〜60℃である。めっき浴温
度が高い方が、高電流密度で、より良好な表面の合金め
っきが得られるが、あまり高温すぎると水の蒸発によ
り、めっき浴組成が変化する恐れがある。めっき中はめ
っき液を攪拌するのが好ましい。これは、めっき液を攪
拌すると、高電流密度で良好な合金めっき皮膜が得られ
るからである。
【0040】本発明の合金めっき浴を用いてめっきする
場合、陽極として、銀−パラジウム合金または、銀、パ
ラジウム分離陽極を用いることができる。この場合、め
っきしようとする合金皮膜と同じ組成の銀−パラジウム
合金または、銀、パラジウム分離陽極を用いるのが好ま
しい。このような陽極を使用すると、めっきするに従
い、陽極の銀、パラジウムが溶解し、合金めっき浴中に
めっきされた分の銀イオンおよびパラジウムイオンを順
次供給することができる。この場合、陽極で臭素イオン
および亜硝酸イオンの酸化はほとんど起こらず、合金め
っき浴組成および、めっき皮膜組成、性状になんら悪影
響をおよぼさない。
【0041】別法としては、陽極としては不溶性陽極、
具体的には白金、白金クラッドまたは炭素のような陽極
を用いてもよい。その場合、電解するに従い、陽極にお
いて遊離の臭素イオンおよび亜硝酸イオンが臭素ガスお
よび硝酸イオンあるいは窒素ガスに酸化される。臭素イ
オンおよび亜硝酸イオンの消耗に伴い、臭化カリウムま
たは臭化ナトリウム、亜硝酸カリウムまたは亜硝酸ナト
リウムを適量添加しても良いが、合金めっき浴組成をよ
り安定に保つためには、イオン交換膜を用いて、陽極槽
と陰極槽を分離することにより、臭素イオンおよび亜硝
酸イオンの陽極での酸化が防止できる。また、この時、
銀イオンおよびパラジウムイオンの供給は、上述したよ
うに銀イオンをハロゲン化物、硝酸塩および硫酸塩とし
て供給し、パラジウムイオンをハロゲン化物、硝酸塩、
硫酸塩およびパラジウム錯塩として供給してもよい。さ
らに、本発明の作用効果を実施例を用いて詳述するが、
これはあくまでも本発明の例示であり、これにより本発
明が限定されるものではない。
【0042】
【実施例】以下、本発明における実施例と比較例を説明
する。 (実施例1)下記の成分をもって銀−パラジウム合金めっ
き浴を調製した。 PdCl2 : 28.4 g/l (パラジウムイオ
ン 17.05 g/l) AgNO3 : 15.3 g/l (銀イオン
9.71 g/l) KBr : 590.0 g/l KNO2 : 23.4 g/l サッカリンナトリウム: 0.5 g/l pH=6.0 (HNO3およびNaOHにより調整) めっき条件は、以下の通りであった。
【0043】 陽極 : 30%Pd−Ag合金 陰極 : 下地としてAg (5μm )
めっきした銅板 浴温度 : 50℃ 電流密度: 5、10、20、50、100 m
A/cm2 得られた銀−パラジウム合金めっき皮膜の組成および表
面状態を表1に示す。本発明例においては、外観、合金
めっき組成共良好であった。
【0044】(実施例2)下記の成分をもって銀−パラジ
ウム合金めっき浴を調製した。 PdCl2 : 33.0 g/l (パラジウムイオ
ン 19.81 g/l) AgNO3 : 10.0 g/l (銀イオン
6.35 g/l) KBr : 590.0 g/l KNO2 : 15.0 g/l ホウ酸: 50.0 g/l ナフタレンスルホン酸ナトリウム: 1.0 g/l pH=9.0 (HNO3およびNaOHにより調整) めっき条件は、以下の通りであった。
【0045】陽極: Pt 陰極: 下地としてAg (5μm )
めっきした銅板 陽極槽と陰極槽をイオン交換膜により分離した。 浴温度: 30℃ 電流密度: 5、10、20、50、100 mA
/cm2 得られた銀−パラジウム合金めっき皮膜の組成および表
面状態を表2に示す。本発明例においては、外観、合金
めっき組成共良好であった。
【0046】(比較例1)比較のために、下記の成分をも
って銀−パラジウム合金めっき浴を調製した。この合金
めっき浴は、KBr 、KNO2等を使用しておらず、代わりに
従来使用例のあるアンモニア水を使用し、さらにAgNO3
濃度が低い点で本発明の範囲外である。
【0047】 PdCl2 : 25.5 g/l (パラジウムイオ
ン 15.31 g/l) AgNO3 : 1.5 g/l (銀イオン
0.95 g/l) 25%アンモニア水: 100.0 ml/l サッカリンナトリウム 1.0 g/l pH=10.0 めっき条件は、以下の通りであった。
【0048】陽極: Pt 陰極: 下地としてAg (5μm )
めっきした銅板 浴温度: 30℃ 電流密度: 10、20、50 mA/cm2 得られた銀−パラジウム合金めっき皮膜の組成および表
面状態を表3に示す。本発明の場合と比べ、表面が黒
色、粉末状化する電流密度が低下した。また、外観が良
好であっても本発明の目的とする、銀濃度の高い(10 %
以上の) 合金めっき組成は得られなかった。
【0049】(比較例2)比較のために、下記の成分をも
って銀−パラジウム合金めっき浴を調製した。この合金
めっき浴は、KBr 、KNO2等を使用しておらず、代わりに
従来使用例のあるアンモニア水を使用する点で本発明の
範囲外である。
【0050】PdCl2 : 25.5 g/l (パ
ラジウムイオン 15.31 g/l) AgNO3 : 15.0 g/l (銀イオン
9.52 g/l) 25%アンモニア水: 100.0 ml/l サッカリンナトリウム 1.0 g/l pH=10.0 めっき条件は、以下の通りであった。
【0051】陽極: Pt 陰極: 下地としてAg (5μm )
めっきした銅板 浴温度: 30℃ 電流密度: 10、20、50 mA/cm2 得られた銀−パラジウム合金めっき皮膜の組成および表
面状態を表4に示す。合金めっき組成はPd: 50〜75%と
することができたが、表面が粉末状化する欠点が生じ
た。
【0052】これらを総合すると、前述したように、本
発明の合金めっき浴からは、広い組成範囲に渡って良好
な表面を有する銀−パラジウム合金皮膜が得られた。比
較例のパラジウム−アンモニア錯塩の合金めっき浴から
は、極微量の銀を含むパラジウム合金においてのみ、良
好な表面を有するめっき皮膜が得られたが、必要とされ
る銀の含有率の多いめっき皮膜については、突起物を含
む粗悪な粉末状の表面となった。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】本発明によって、銀とパラジウムの析出
する電位を近づけた合金めっき浴を提供することがで
き、広い範囲に渡る合金組成で、かつ良好な表面を有す
る銀−パラジウム合金めっき皮膜を生成することができ
る。これにより、従来なかった耐硫化性、表面品質に優
れた銀−パラジウム合金めっき皮膜を生産することが可
能となり、いわゆる銀−パラジウム合金めっき接点が初
めて実用化できるなど、本発明の実用上の効果は著し
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかる合金めっき浴を用いて
測定した分極曲線のグラフである。
【図2】図2は、比較例としてのアンモニア錯塩溶液か
らなる合金めっき浴の分極曲線のグラフである。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀イオンが臭素イオンとの錯イオンの形
    態で、またパラジウムイオンが亜硝酸イオンとの錯イオ
    ンの形態でそれぞれ存在するめっき浴を使って行う銀−
    パラジウム合金めっき方法。
  2. 【請求項2】 パラジウムイオン 3.0〜 30.0 g/l 銀イオン 2.0〜 16.0 g/l アルカリ金属の臭化物塩 300.0〜 800.0 g/l アルカリ金属の亜硝酸塩 10.0〜 50.0 g/l 残部水 の組成から成る銀−パラジウム合金めっき浴。
  3. 【請求項3】 添加剤として、サッカリン、サッカリン
    ナトリウム、芳香族スルホン酸塩、芳香族スルフィン酸
    塩およびチオ硫酸塩のうち1種以上を合計0.5 〜5.0 g
    /l含むことを特徴とする請求項2記載のめっき浴。
  4. 【請求項4】 pH緩衝剤として、ホウ酸、クエン酸お
    よびクエン酸塩のうち1種以上を合計20.0〜100.0 g/l
    含み、pHが、2.0 〜10.5であることを特徴とする請求
    項2または3記載のめっき浴。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれかに記載のめっき
    浴を用いて行う銀−パラジウム合金めっき方法であっ
    て、電流密度1〜100 mA/cm2、そして陽極として、銀−
    パラジウム合金または、銀とパラジウムの分離陽極を用
    いることを特徴とする銀−パラジウム合金めっき方法。
  6. 【請求項6】 請求項2〜4のいずれかに記載の合金め
    っき浴を用いて行う銀−パラジウム合金めっき方法であ
    って、電流密度1〜100 mA/cm2、不溶性陽極を用い、陽
    極槽と陰極槽をイオン交換膜により隔離することを特徴
    とする銀−パラジウム合金めっき方法。
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