JP2796731B2 - 不活性ガスの精製方法 - Google Patents

不活性ガスの精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、不活性ガスの精製方法に関し、詳しくは、
窒素等の不活性ガス中に含有する微量な酸素ガスを除去
して精製する方法に関する。
〔従来の技術〕
一般に、窒素等の不活性ガス中に含有される微量酸素
を除去して乾燥した精製ガスを得る方法としては、該不
活性ガスを銅及び/又はニッケル系の触媒と接触させて
触媒中の金属元素と酸素とを反応させて吸収除去する方
法、あるいは不活性ガスに水素を混合してパラジウム系
触媒に接触させ、水素と酸素とを反応させて水分とし、
この水分を乾燥器により除去する方法が用いられてい
る。
上記銅及び/又はニッケル系の触媒を用いて不活性ガ
ス中の微量酸素を除去する方法では、通常、上記触媒を
充填した2塔切替え式の触媒塔を使用し、原料不活性ガ
スを一方の触媒塔に導入して常温あるいは高温で触媒と
接触させて微量酸素を除去するとともに、他方の触媒塔
に水素を導入して高温で触媒に接触させ、触媒に吸収さ
れた酸素を水素で水分に変換して触媒の再生を行ってい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
このような従来法において、銅及び/又はニッケル系
の触媒を使用して常温精製,高温再生する方法では、精
製と再生との間に触媒塔の温度を上下させるためのエネ
ルギーが多く必要となるという問題がある。
また銅及び/又はニッケル系の触媒を使用して高温精
製,高温再生する方法では、熱交換器を設置して熱回収
することにより、加温するためのエネルギーを少なくで
きるが、再生で使用した水素の一部が触媒中に吸収され
て残留し、これが精製ガス中に混入するという問題があ
る。
一方、パラジウム系の触媒を用いる方法では、理論量
以上の水素を原料不活性ガスに混合するため、精製ガス
中に水素が残留するという問題や、生成した水分を除去
するための乾燥器が必要になり、装置が複雑になるとい
う問題がある。さらに、パラジウム系の触媒を使う場合
において、精製ガス中の残留水素を除去するために、パ
ラジウム系触媒の後に銅及び/又はニッケル系の触媒を
設置して、その再生には酸素を使い、精製ガス中に含ま
れる水素と銅及び/又はニッケル系の触媒に吸収されて
いる酸素とを反応させて水分とし、これを乾燥器により
除去する方法もあるが、装置がさらに複雑になるという
問題がある。
そこで本発明は、不活性ガス中の微量酸素や残留水素
を効率よく除去し、乾燥した精製ガスを容易に得ること
のできる不活性ガスの精製方法を提供することを目的と
している。
〔課題を解決するための手段〕
上記した目的を達成するために、本発明の不活性ガス
の精製方法は、第1の構成として、微量酸素を含有する
不活性ガスを、銅及び/又はニッケル系の触媒を充填し
た触媒塔を通して、前記微量酸素を該触媒に吸収させて
除去する不活性ガスの精製方法において、原料不活性ガ
スを常温よりも高い温度で触媒と接触させる精製工程で
精製ガスを得るとともに、前記触媒塔の再生工程は、該
精製ガスの一部あるいは精製ガスの一部と前記原料不活
性ガスの一部とを切替えて再生ガスとし、再生工程の触
媒再生ステップの前段では該再生ガスに水素を混入して
高温で触媒と接触させて触媒を再生し、再生工程の後段
のパージステップでは前記再生ガスを用いて、触媒塔内
に残留する水素,水分及び触媒中に吸収された水素をパ
ージすることを特徴としている。
また本発明の第2の構成は、上記第1の構成におい
て、前記触媒塔の再生工程に使用するガスとして、触媒
再生ステップおよびページステップに前記精製ガスの一
部を使用することを特徴としている。
第3の構成は、上記第1の構成において、前記触媒塔
の再生工程に使用するガスとして、触媒再生ステップお
よびパージステップの前段に原料不活性ガスの一部を、
パージステップの後段に前記精製ガスの一部を使用する
ことを特徴としている。
第4の構成は、上記第1の構成において、前記触媒塔
の再生工程に使用するガスとして、触媒再生ステップお
よびパージステップの後段に前記精製ガスの一部を、パ
ージステップの前段に原料不活性ガスの一部を使用する
ことを特徴としている。
第5の構成は、上記第1の構成において、前記原料不
活性ガスの流量と該原料不活性ガスの酸素濃度とを測定
して触媒に吸収された酸素量または触媒に吸収された酸
素量および触媒再生ステップにおける再生ガス中の酸素
量を算出し、該酸素量をもとにして前記再生ガスに混入
する水素の混入量を制御することを特徴としている。
さらに第6の構成は、上記第1の構成において、前記
再生工程中のパージステップは、該触媒塔の温度を一時
的に、精製時の温度よりも30〜100℃高くしてパージを
行い、次いで精製時の温度まで降温してパージを行うこ
とを特徴としている。
〔作 用〕
上記第1の構成のごとく、精製ガスの一部あるいは精
製ガスの一部と前記原料不活性ガスの一部とを切替えて
再生ガスとして触媒を再生し、この再生ガスを用いて再
生後に触媒塔内に残留する水素,水分及び触媒中に吸収
された水素をパージすることにより、精製ガスへの水素
の混入量を低減できる。
第2の構成では、再生工程を全て精製ガスの一部を用
いて行うので操作が簡易になる。
第3の構成では、再生工程のほとんどを原料不活性ガ
スを用いて行うので、再生効率が良く触媒の負荷が軽く
なる。
さらに第4の構成では、パージステップの前段で微量
酸素を含有する原料不活性ガスの一部をパージガスとし
て使用するから、触媒から放出された水素が酸素と結合
するので、これらの水素が再び触媒に吸収されることを
防止できる。またパージステップの後段には前記精製ガ
スの一部を使用するので水分も確実にパージすることが
できる。
また第5の構成のごとく、触媒に吸収された酸素量を
算出して前記再生ガスに混入する水素の混入量を制御す
ることにより、触媒の再生を確実に行えるとともに、残
留水素量を低減することができる。
第6の構成においては、パージステップ中の触媒塔の
温度を一時的に高くするから、触媒に吸収されている水
素の放出を促進して、より確実な水素のパージを行うこ
とができる。
従って、触媒と接触させて精製した精製ガス中に混入
する水素や水分の量を低減でき、良質な不活性ガスを得
ることができる。
〔実施例〕
次に、この発明を図示の系統図に基づいて説明する。
図は本発明の方法を適用した精製装置の一例を示すも
のであり、酸素が100ppm含まれている原料不活性ガスを
20Nm3/hの流量で導入して精製する場合について説明す
る。また、切替え使用する触媒塔3a,3bについては、一
方の触媒塔3aが精製工程,他方の触媒塔3bが再生工程の
場合で説明する。
原料不活性ガスGは、原料ガス供給管1を通り、加熱
器2で精製温度、例えば200〜300℃まで加熱された後に
弁21aと通り、切替え使用される触媒塔3aに導入され
る。各触媒塔3a,3bには、銅及び/又はニッケル系の触
媒が充填されており、原料不活性ガス中の微量酸素は、
触媒金属に吸収されて1ppm以下まで除去される。精製ガ
スFは、弁22aを通って精製ガス供給管4から導出され
る。
上記触媒塔3a,3bは、例えば12時間の切替え式になっ
ており、一方の触媒塔3aに原料不活性ガスGが流れて精
製を行っている場合には、他方の触媒塔3bでは再生工程
が行われる。この触媒塔の再生工程は、減圧ステップ,
触媒再生ステップ,パージステップ,加圧ステップの4
ステップにより行われる。
精製工程が終了した触媒塔3bの減圧ステップにおいて
は、弁21b,22bを閉じ、弁23bを開いて触媒塔3b内の圧力
を再生ガス排出管5を通して大気圧まで減圧する。
次に触媒再生ステップでは、弁24,25bを開け、前記触
媒筒3aから精製ガス供給管4に導出されている精製ガス
Fの一部、1Nm3/hを再生ガスRとして再生ガス供給管6a
を介して取出すとともに、これに弁26を開けた水素ガス
供給管7より水素Hを0.016Nm3/h添加し、さらに加熱器
8で所定の再生温度まで加熱して触媒塔3bに導入する。
水素Hは、触媒に吸収された酸素と反応して水素を生成
し、該水分や未反応の水素Hを伴った再生後のガスは、
弁23bを通って再生ガス排出管5より排出される。
また、上記原料ガス供給管1には、流量計9,及び酸素
計10が設置されており、記憶・演算器11で触媒塔3a,3b
に流入する酸素量を計算,記憶し、再生に必要な水素添
加量となるように調節器12及び調節弁13で水素量を調節
する。例えば、パージガスとして精製ガスFのみを使用
し、精製工程で触媒塔3a,3bに導入された原料不活性ガ
スGの流量が20Nm3/h,その酸素濃度が100ppmで一定とす
ると、触媒に吸収されている酸素量は、 20Nm3/h×100ppm×12h =0.024Nm3 となる。この酸素を水に変換させるために触媒再生ステ
ップで必要となる水素の量は、 0.024Nm2×2×K=0.048Nm3×K (但し、式中のKは1以上の定数である。) となる。
さらにこの水素量を再生時間の3時間で加えるには、
K=1とすれば、 0.048Nm3÷3h=0.016Nm3/h となる。
従って、上記のごとく水素流量が0.016Nm3/hとなるよ
うに調節弁13の開度を調節することにより、酸素を水に
変換するのに必要十分な水素を供給することができ、過
剰な水素の添加による不都合や、過少な水素の添加によ
る触媒の再生を十分に行えない等の問題を防止できる。
尚、一般的には、上記定数Kは1より大きく設定され、
僅かに多く水素を混入することで触媒の再生を確実に行
うようにすべきである。
上記触媒再生ステップを3時間かけて行った後のパー
ジステップは、弁26を閉じて水素Hの導入を停止し、触
媒塔3b内に残留する水分や水素を前記精製ガスからなる
再生ガスR1 Nm3/hでパージする。
パージステップの前段では、加熱器8の加熱温度を精
製温度よりも30〜100℃高くして触媒塔3bを高温に加熱
することにより、触媒に吸収された水素を放出しやすく
することができる。
触媒に吸収された水素を放出させるのに十分な時間、
この場合は3時間加熱パージした後は、加熱器8の加熱
温度を触媒塔3bがもとの精製時と同じ温度になるように
戻して、触媒塔3bの温度を降温させながらパージを続け
る。
再生効率をさらに向上させる場合には、このパージス
テップの前段で上記精製ガスFの代わりに、弁27を開け
て再生ガス供給管6bより原料不活性ガスGの一部を再生
ガスRとして触媒塔3bに導入する。これにより、触媒か
ら放出された水素が原料不活性ガスG中の酸素と結合す
るので、これらの水素が再び触媒に吸収されることを防
止することができる。この原料不活性ガスGによるパー
ジを終えた後には、弁27を閉じ、弁24を開いて再生ガス
供給管6aより前記同様に精製ガスFの一部1Nm3/hを再生
ガスRとして導入し、触媒塔3bをパージする。また再生
工程の最初から、即ち触媒再生ステップからパージステ
ップの前段迄原料不活性ガスを使用することにより、再
生効率が向上するとともに操作が簡略化される。
パージステップ終了後は、弁23bを閉じて加圧ステッ
プを行い、触媒塔3bの圧力が精製時の圧力になるまで再
生ガスR(精製ガスF)で加圧する。
以上の操作を、触媒塔3a,3b及び各弁21a〜27を切替え
て繰り返すことにより、酸素1ppm以下、水素1ppm以下の
乾燥した不活性ガスを連続して得ることができる。ま
た、上記再生工程中、弁23a,25aは閉じ状態である。
尚、本発明の方法は、上記実施例に示す系統に限ら
ず、不活性ガスの種類や処理量等により適宜に構成され
た精製装置に適用することが可能である。
〔発明の効果〕
以上の説明で明らかなように、本発明の不活性ガスの
精製方法は、含有する微量酸素を銅及び/又はニッケル
系の触媒に吸収させて除去した後、精製ガスの一部ある
いは精製ガスの一部と前記原料不活性ガスの一部とを切
替えて再生ガスとし、この再生ガスを用いて触媒の再生
を行うとともに、触媒の再生後に触媒塔内に残留する水
素,水分及び触媒中に吸収された水素をパージするか
ら、精製ガスへの水素等の混入量を低減できる。
また触媒に吸収された酸素量を算出して前記再生ガス
に混入する水素の混入量を制御することにより、触媒を
再生するのに必要十分な水素を供給することができ、触
媒の再生を確実に行えるとともに、触媒塔内に残留する
水素量を低減することができる。
さらにパージステップ中の触媒塔の温度を一時的に高
くすることにより、触媒に吸収されている水素の放出を
促進して、より確実な水素のパージを行うことができ
る。
加えてパージステップの前段で微量酸素を含有する原
料不活性ガスをパージガスとして使用することにより、
触媒から放出された水素を酸素と結合させて、これらの
水素が再び触媒に吸収されることを防止できる。またパ
ージステップの後段には前記精製ガスの一部を使用する
ので生成した水分も確実にパージすることができる。
従って、本発明によれば、微量酸素を含有する原料不
活性ガスを触媒と接触させて精製した精製ガス中に混入
する水素や水分の量を低減でき、水素、酸素がそれぞれ
許容濃度以下の乾燥した精製ガスが安定して連続的に得
られる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明を適用した精製装置の系統図である。 1……原料ガス供給管、3a,3b……触媒塔、4……精製
ガス供給管、5……再生ガス排出管、6a,6b……再生ガ
ス供給管、7……水素ガス供給管、9……流量計、10…
…酸素計、11……記憶・演算器、12……調節器、13……
調節弁、G……原料不活性ガス、F……精製ガス、R…
…再生ガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01B 21/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微量酸素を含有する不活性ガスを、銅及び
    /又はニッケル系の触媒を充填した触媒塔を通して、前
    記微量酸素を該触媒に吸収させて除去する不活性ガスの
    精製方法において、原料不活性ガスを常温よりも高い温
    度で触媒と接触させる精製工程で精製ガスを得るととも
    に、前記触媒塔の再生工程は、該精製ガスの一部あるい
    は精製ガスの一部と前記原料不活性ガスの一部とを切替
    えて再生ガスとし、再生工程の触媒再生ステップの前段
    では該再生ガスに水素を混入して高温で触媒と接触させ
    て触媒を再生し、再生工程の後段のパージステップでは
    前記再生ガスを用いて、触媒塔内に残留する水素,水分
    及び触媒中に吸収された水素をパージすることを特徴と
    する不活性ガスの精製方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の不活性ガスの精製方法にお
    いて、前記触媒塔の再生工程に使用するガスとして、触
    媒再生ステップおよびパージステップに前記精製ガスの
    一部を使用することを特徴とする不活性ガスの精製方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の不活性ガスの精製方法にお
    いて、前記触媒塔の再生工程に使用するガスとして、触
    媒再生ステップおよびパージステップの前段に原料不活
    性ガスの一部を、パージステップの後段に前記精製ガス
    の一部を使用することを特徴とする不活性ガスの精製方
    法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の不活性ガスの精製方法にお
    いて、前記触媒塔の再生工程に使用するガスとして、触
    媒再生ステップおよびパージステップの後段に前記精製
    ガスの一部を、パージステップの前段に原料不活性ガス
    の一部を使用することを特徴とする不活性ガスの精製方
    法。
  5. 【請求項5】請求項1記載の不活性ガスの精製方法にお
    いて、前記原料不活性ガスの流量と該原料不活性ガス中
    の酸素濃度とを測定して触媒に吸収された酸素量または
    触媒に吸収された酸素量および触媒再生ステップにおけ
    る再生ガス中の酸素量を算出し、該酸素量をもとにして
    前記再生ガスに混入する水素の混入量を制御することを
    特徴とする不活性ガスの精製方法。
  6. 【請求項6】請求項1記載の不活性ガスの精製方法にお
    いて、前記再生工程中のパージステップは、該触媒塔の
    温度を一時的に、精製時の温度よりも30〜100℃高くし
    てパージを行い、次いで精製時の温度まで降温してパー
    ジを行うことを特徴とする不活性ガスの精製方法。
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