JP2796599B2 - 固相タンパク質配列決定用膜 - Google Patents

固相タンパク質配列決定用膜

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    • C07K17/02Peptides being immobilised on, or in, an organic carrier
    • C07K17/08Peptides being immobilised on, or in, an organic carrier the carrier being a synthetic polymer

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は化学的或は酵素的分解によってペプチド及び
タンパク質の配列決定を可能にするためのペプチド及び
タンパク質を固定化する材料に関する。本発明の材料は
ペプチド及びタンパク質と共有結合し、タンパク質を配
列決定するのに最適な適当な物理的性質及び化学的官能
性を示す。
従来の技術 タンパク質のアミノ酸配列を決定することは最近の分
子生物学にとって非常に重要である。タンパク質及びペ
プチドは全ての生細胞の必須成分であり、細胞壁及び細
胞膜の構造要素、酵素、免疫グロブリン/抗体、輸送分
子、ほとんどのホルモンである。タンパク質の構築ブロ
ックは20個の天然アミノ酸がアミド結合により一本に共
有結合され、こうして線状タンパク鎖を形成したもので
ある。アミノ酸配列(1次構造)はタンパク質の生物学
的機能を負う極めて複雑な2次及び3次構造を決定す
る。
タンパク質或はペプチドの配列は、大体において、ア
ミノ−(N−)或はカルボキシル−(C−)のいずれか
の末端から段階的に化学的或は酵素的に分解して判読す
ることができる。ポリペプチド鎖から単一アミノ酸を一
つずつ取り、分離して同定する。段階的に化学或は酵素
分解する方法がいくつか考案された(エリジンガ(Eliz
inga),M,編集、メンズインプロティンシークエンシン
グ,ヒューマンプレス,クリフトン,ニュージャージ
ー,1982年参照)が、好ましい方法はエドマン(Edman)
により導入された(Acta Chem.Scand.,4:283頁(1950
年))。
エドマンが記載する方法では、ポリペプチド鎖から1
個のアミノ酸残基を取り去る化学的手順は3段階から成
る。初めに、ポリペプチドのアミノ末端をイソチオシア
ネート(ITC)、例えばフェニルイソチオシアネート(P
ITC)と溶媒中、塩基性或は無水条件下で反応させてフ
ェニルチオカルバメート(PTC)を生成する。この段階
は通常「カップリング」と呼ばれる。第2に、無水酸
(例えば、トリフルオロ酢酸、TFA)の影響下で、PTCは
環化してアニリノチアゾリノン(ATZ)になり、ポリペ
プチド鎖からの最後のN−末端アミノ酸の開裂が相伴
う。この段階は通常「開裂」と呼ばれる。これはポリペ
プチド鎖中の次の隣接するアミノ酸のアミノ基を次の反
応サイクルのために暴露させる。ATZ誘導体は相対的に
不安定であり、よって、第3段階で、水性酸(例えばTF
A)によって処理して安定なフェニルチオヒダントイン
(PTH)に転化させる。この段階は通常「転化」と呼ば
れる。1つのサイクルのケミストリーを下記の反応で示
す。
天然アミノ酸の20種類のPTH誘導体を分離する条件を
高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって求め
た。20PTHアミノ酸誘導体の保持時間が特異なことによ
り、各々それぞれのサイクルによって取り出されるアミ
ノ酸を同定することができる。
アミノ酸を1個だけ短くしたポリペプチドに次の分解
サイクルを行って配列中に第2のアミノ酸誘導体を与え
る。ポリペプチド鎖中のアミノ酸の各々について前述の
段階を繰り返して配列を決定する。
エドマンケミストリーのいくつかの変法が提案され
た:上記の「液相法」は「スピニングカック自動シーク
エンサー」として自動化された(エドマン,P及びベッグ
(Begg),G,Eur.J.Biochem.,1巻:80頁(1967年)及び米
国特許3,725,010号)。
エドマンペプチド配列決定において固体支持体を初め
て用いることをシュレーダー(Schroeder)がメソッズ
インエンザイモロジー,11巻455頁(1967年)に記載し
た。この方法では、ペプチド或はタンパク質を紙スリッ
プに適用した。その物質は、配列決定プロセス中、共有
結合を形成しないで、紙に吸着されたままであった。紙
ストリップ及び吸着されたポリペプチドを気相試薬に暴
露させてカップリング及び開裂を行った。それ故に、こ
のプロセスは気相配列決定と呼ばれる。そのプロセスは
ヒューイック(Hewick),R.M.等がJ.Biol,Chem.,256巻;
7990頁(1981年)に記載する通りに自動化された。残念
なことに、この方法は配列決定反応の間、紙ストリップ
の表面に不溶性のままのタンパク質についてのみ満足に
働いただけであった。よって、その方法は極めて制限さ
れた条件下で実施しなければならなかった。
上記の制限の結果、配列決定に用いる溶媒は揮発性で
ありかつカップリング段階の後に試薬を定量的に除くこ
とを可能にするように注意深く選ばなければならない。
シグナルを最大にするために、ATZ誘導体の開裂及びト
ランスファーは、固体支持体からタンパク質を何ら溶離
させずに行わなければならない。加えて、使用する溶媒
及び試薬は全て乾燥/蒸発によって紙表面から除き得る
にすぎないので、それらは純度が非常に高くなければな
らない。不揮発性不純物がいくらかでも残ると次のPTH
誘導体の決定を妨げる。
残念なことに、気相における反応は遅いので、配列決
定のためのサイクル時間はしばしば長くなる。これは、
試薬とタンパク質との接触が対流によってのみ行われる
にすぎないからである。プロセスが気相試薬を用いるこ
とにより、速い反応速度、試薬の完全な抽出及びATZ誘
導体の除去を促進する攪拌及び/又は液体溶媒の使用は
可能でない。加えて、20種類のATZ及びPTH誘導体の溶解
度は、20の異なるアミノ酸側鎖の性質が異なることによ
り、相当に異なる。よって固体支持体から誘導体を非共
有に結合したタンパク質を失なわずに効率的に取り去る
ことは困難である。
こうして、配列データは反応条件を折衷して得ること
ができるだけである。これが反応時間を長くし、かつま
た反応及び溶媒抽出を非効率にする。従って、この方法
によって配列決定することができるのは比較的短かいタ
ンパク質だけである。その上、気相配列決定法は少量
(ピコモルの範囲)のタンパク質を高感度に配列決定す
るためには適していない。
気相配列決定法はタンパク質をポリブレン被覆した
(ポリブレンはアボットラボラトリーズの商標である)
グラスファイバーフィルターに吸着させることによって
相当に改善された(ヒューイック、R.M.等、J.Biol.Che
m.,256巻:7990頁(1981年)及びタール(Tarr),G.E.
等、Anal.Biochem.,84巻:622頁(1978年))が、依然重
大な欠点がある。例えば、ポリブレン被覆したグラスフ
ァイバーフィルターは、サンプル適用する前に3〜5分
解サイクルを行って抽出しなければならない。このプリ
サイクリングはいくつかの不純物のバックグラウンドを
実用的なレベルに減少させるが、いくつかのUV吸収性汚
染物が残ってHPLC分離及び同定する間にPTH誘導体を共
溶離する(coeluting)のを妨げる。これは初期収率を
予測し得ない、相対的に低いものにする:例えば、くじ
ら精子ミオグロビンについて、初期収率25%(エシュ
(Esch)、F.S.Anal.Biochem.,136巻:39頁(1984年)及
び78%(ホーク(Hawke)、D.H.等、Anal.Biochem.,147
巻:315頁(1985年))が報告された。これに加えて、上
述した他の不利益が依然あてはまる。これらの不利益は
非共有的に捕捉されたポリペプチドの流出を防止するた
めの折衷から生じる。溶媒及び試薬を除くドライダウン
段階が多数あることにより、不純物は表面に濃縮され、
超純粋な(ultrapure)試薬及び溶媒を使用することが
必要となる。
3−アミノプロピル或はN,N,N−トリメチルアンモニ
ウムプロピル基をグラスファイバーフィルターに共有結
合させることにより、プリサイクリングが必要でなく、
かつPTHアミノ酸誘導体の初期収率が高くなる点で、事
情をある程度改善した(エイバーソルド(Aebersol
d)、R.H.等、J.Biol.Chem.,261巻:4229頁(1986
年))。タンパク質をグラスファイバー表面に強く静電
固定することにより、バックグラウンドレベルもまた相
当に減少させた。
前述した問題の内のいくつかを解決する液−固アフィ
ニティクロマトグラフィーが最近の特許(米国特許4,66
5,037号)に記載されている。しかし、その方法の使用
効果を立証するタンパク質配列決定結果は挙げられてい
ない。加えて、種々の親和性支持体及び試薬を合成する
のが難かしく、このプロセスを自動化するのは難かしい
と思われる。その上、上述したプロセスでは、ペプチド
及びタンパク質を配列決定プロセスの前に化学的に改質
していくつかの側鎖官能価をブロックしなければなら
ず、さもないと親和性試薬を妨げることになる。
先の方法及び物質の欠点のほとんどはポリペプチドの
固体支持体への固定が非共有性であることから生じる。
タンパク質及びポリペプチドを固体支持体に共有結合さ
せるならば、優れた配列決定手順を用いることが可能に
なる。この手順を固相配列決定と呼ぶ。
固相配列決定を実用的にするためには、二組の問題を
処理しなければならない: (1)ポリマー支持体の選択、及び (2)支持体への共有固定化法。
種々の支持体がエドマンタンパク質配列決定ケミスト
リーに関して使用されてきた。
例えば、何種類かの多孔質固体支持体は機能化したフ
ェニル基を有するポリスチレン主鎖をベースにしてき
た。フェニル基含有物質を有用な固相配列決定用支持体
に転化させる代表的な反応を下記に挙げる: 上記の初めの反応で、フェニル基を有するポリスチレ
ンをクロロメチルで機能化して物質(1)を形成した。
これを次いでエチレンジアミンで処理して(2−アミノ
エチル)−アミノメチルポリスチレン(樹脂(2)と表
示する)に変換する。(ローセン(Laursen)、R.A.,Eu
r.J.Biochem.,20巻:89頁(1971年))。ペプチドをこの
支持体に高い収率で結合させることができたが、酸の疎
水性ポリマーへの浸透が不良なためにTFA段階における
開裂が不完全なことにより、配列の重なりが重大であっ
た。アミノ基を主鎖フェニル環に付加して樹脂(3)と
して、TFAの膨潤性は大きく向上するに至った(ローセ
ン、R.A.等、FEBS Letters,21巻:67頁(1972年))。TF
Aがもたらす酸性条件下で、アミノ基はプロトン付加さ
れ、これより、樹脂の極性は増大される。
ジイソチオシアネート結合法のそれ以上の発展は、ロ
ーセン等がFEBS Lett.,21巻:67頁(1972年))に記載し
ている。アミノポリスチレン樹脂(4)は、ペプチド結
合の場合の樹脂(3)と同等に満足すべきものであるこ
とが立証された。(4)の製法は(3)よりもずっと容
易であり、それで(4)は急速にこの結合法についての
えり抜きの樹脂になった。しかし、アミノポリスチレン
樹脂は、アリールアミンの求核性が比較的乏しいため所
定のカルボキシル活性化ケミストリーによってペプチド
を固定化するにはそれ程効率的でないことがわかった。
ホーン(Horn)及びローセンはFEBS Letters,36巻:28
5頁(1973年)においてトリエチレンテトラミン(TET
A)樹脂(5)を開発した。該樹脂は樹脂(3)の望ま
しい性質の多くを示し、加えて合成がずっと簡単である
という魅力を有するものであった。長鎖脂肪族アミノ基
は、また、試薬、並びにペプチド及びタンパク質にずっ
と接近容易性であった。しかし、冷凍下でさえ、数カ月
貯蔵した後に、安定性にいくつか問題のあることがわか
った。
ポリスチレンベースの樹脂は、固相タンパク質配列の
初期作業の多くで用いられて良い結果を得たが、製造及
び使用の両方の困難性を増大する固有の性質をいくつか
示す。例えば、置換及び架橋の両方の度合を注意深く調
節しなければならない。良好な結果を得る樹脂のほとん
どはジビニルベンゼン1〜2%を架橋させた樹脂(メリ
ーフィールド(Merrifield)樹脂)から誘導された。樹
脂の架橋度が大きくなる程、試薬の透過度は著しく低下
した。およそ15%のクロロメチレン置換が最も実用的で
あることがわかった。このレベルを上げても単にメチレ
ンブリッジの架橋を増大するだけであった(パターソン
(Patterson),J.A.,「バイオケミカルアスペクツオブ
リアクションズオンリッドサポーツ」、スターク(Star
k),G.R.,編集、アカデミックプレス,ニューヨーク,19
71年,189頁)。
代表的なエドマン分解サイクルの間に、所定の溶媒
(例えばピリジン或はTFA)中で樹脂が溶媒誘起膨潤し
た後に、他の溶媒(例えばメタノール)中で収縮するこ
とは、樹脂を直接反応塔に充填した場合に閉塞や溶媒チ
ャンネリングによる問題を相当に生じた。ローセンはこ
の問題を、樹脂に50倍過剰のガラスビーズを混合して塔
に充填することによって一部解決した(ローセン、Eur.
J.Biochem,20巻:89頁(1971年)参照)。これは、ビー
ズの間の隙間で膨潤を起こさせて害を与えないようにす
るものであった。インマン(Inman)等はその問題を一
層直接に挙げて、架橋度の高いポリスチレンから誘導し
た樹脂を作った(「ソリッドフェースメソッズインプロ
ラインシーケンスアナラシス」、プレビエロ(Previer
o),A.及びコレッチ(Coletti)−プレビエロ,M.A.,編
集,ノースホランドプレス,アムステルダム,1978年,81
頁)。生成した物質は極めて非圧縮性であり、極めて耐
溶媒誘起化容積変化性であり、大きい試薬接近容易な表
面積を保持していた。
初期のポリスチレン樹脂のそれ以上の1つの欠点は、
マトリックスが大きいタンパク質或はペプチドを透過さ
せないことであった。効率的な結合についての実用限界
は一般に長さがほんの30〜50残基のペプチドにあると考
えられた(ローセン、R.A.及びマクレイト(Machleid
t),W.,「メソッズオブバイオケミカルアナラシス」、
グリック(Glick),D.,編集,26巻,201頁(1980年))。
ポリスチレン樹脂に加えて、ポリアクリルアミド樹脂
もまた固相酸配列決定用に用いられてきた。ポリアクリ
ルアミドとの代表的な反応を下記に挙げる: 初期の実験は、ポリアクリルアミドビーズ(Bio−Gel
P,バイオ−ラドラボラトリーズ)及びエチレンジアミン
から親水性配列決定用樹脂(6)を作るに終った。カバ
ドー(Cavadou)等、FEBS Letters,66巻:155頁(1976
年)は、Bio−Rex 70(弱カチオン交換体)から酸クロ
リドに転化した後にエチレンジアミンを反応させて
(6)と同様の樹脂を作って使用した。カバドー及びバ
レット(Vallet),Anal.Biochem.,84巻:402頁(1978
年)は、1,4−ジアミノベンゼンスルホン酸をポリアク
リルクロリドにカップリングして別の親水性活性ポリア
クリルアミド(8)を作った。次いで、遊離のアリール
アミノ基を現場でイソチオシアネートに転化させた。ス
ルホン残基は親水特性を樹脂に付与し、イオン交換によ
って非共有性タンパク質結合を増大させた。
アサートン(Atherton)等,FEBS Letters,64巻:173頁
(1976年)はまたベーターアラニルヘキサメチレンジア
ミン側鎖を有するポリアクリルアミド支持体(7)を作
り、これをガラスビーズと混合して配列決定用支持体と
して用いて流れの問題を克服した。
ポリアクリルアミドベースの樹脂は、初期のポリスチ
レン支持体に比べて一層大きいペプチド及びタンパク質
を結合することができるが、依然重大な流れの問題に会
った。これらは、支持体の溶媒誘起膨潤及び収縮が流体
流路の閉塞を引き起こすことから生じた。樹脂はTFAに
長期に繰り返し暴露されることに敏感であり、いくつか
の配列決定サイクルの後に塔から溶出する汚染物のレベ
ルが増大するに至った。初期にある程度関心が持たれた
後、上記のポリアクリルアミド樹脂の内で広く配列決定
において用いられるものは無くなった(ローセン,R.A.
及びマクレイト,W.,「メソッズオブバイオケミカルアナ
ラシス」,グリック(Glick),D.,編集,26巻,201頁(19
80年))。
大部分、上述したポリマー支持体の性質が不良であり
かつ接近容易な表面積が限られていることから、固相配
列決定用のはるかに最も良好な結果を得られる支持体
が、制御細孔グラス(CPG)をアルキルシランで誘導化
して作られてきた(マクレイト,W及びワヒター(Wachte
r),E.,Methods in Enzymol.,47巻,263頁(1977年)参
照)。これらの材料をベースにした種々の支持体を下記
に示す: 2つのタイプのCPG支持体が広く用いられてきた:CPGと
3−アミノプロピルトリエトキシシランとを反応させて
作る3−アミノプロピルガラス(APG)((9)と表示
する)(ロビンソン(Robinson),P.J.,等、Biochem.Bi
ophys.Acta,242巻:659頁(1971年);ワヒター,E.等、F
EBS Letters,35巻:97頁(1973年)及びCPGと対応するト
リメトキシシランとを反応させて得られるN−(2−ア
ミノエチル)−3−アミノプロピルガラス(AEAPG)(1
0)、(ブリッジェン(Bridgen),J.,FEBS Letters,50
巻:159頁(1975年))。称呼細孔寸法Åを有する制御細
孔ガラスがほとんどの固相配列決定用途に適していると
考えられた(上記ローゼン,R.A.及びマクレイト,W.(19
80年)参照)が、清浄剤の存在において一層大きい(約
30,000ダルトンより大きい)タンパク質の一層効率的な
結合を、称呼細孔寸法500ÅまでのCPG支持体を用いて達
成することができた(例えば、ブリッジェン,J.,Method
s in Enzymol.,47巻:321頁(1977年))。
固相タンパク質配列決定が原理的に優れているのは、
主に、配列決定ケミストリーについての条件を選定する
際に、融通性が大きいことから来る。しかし、過去の固
相タンパク質配列決定は、ペプチド及びタンパク質を固
体支持体上に固定させる効率的な方法が、特に極めて少
量で作業する場合に、利用し得なかったことから、ひど
く限られた。
数多くの方法が用いられてきた:ホーン及びローセ
ン、FEBS Letters,36巻:285頁(1973年)はタンパク質
を臭化シアノゲン開裂した後に得られたホモセリンラク
トンを末端基とする断片をアミノ支持体に固定化した。
リタリアン(L′Italien)及びストリックラー(Stric
kler),Anal.Biochem.,127巻:198頁(1982年)は水溶性
カルボジイミドを用いてペプチドをアルファーカルボキ
シル基によりアミノ支持体に選択的に共有結合させた。
チャン(Chang)等、FEBS Letters,84巻:187頁(1977
年)はジアゾフェニル支持体を用いてペプチドをチロシ
ン側鎖を通して結合させることを研究した。2つのアミ
ノ官能性支持体APG(9)及びAEAPG(10)はまたペプチ
ド或はタンパク質をシスティン残基のスルフヒドリル基
を経て固体支持体へ結合する前駆体として働いた。これ
は、APGとヨード酢酸とをジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(DCCI)の存在において反応させてヨード−ガラス
支持体(13)を製造することによって達成された。セリ
ン、トリオニン及びチロシンのヒドロキシル基との或は
メチオニンとの併発反応はほとんど或は何ら観察されな
かった(チャン,J.Y.等、FEBS Letters,78巻:147頁(19
77年))。アリールアミノ支持体(14)が、APG(9)
と塩化p−ニトベンゾイルとを反応させた後に、アリー
ルアミンをナトリウムジチオナイトで還元して作られた
(ウィートール(Weetall),H.H.,Biochim.Biophys.Act
a,212巻:1頁(1970年))。この支持体はカルボキシル
機能をカルボジイミドで活性化した後にペプチドを結合
するのに特に適していることがわかった。種々の結合方
法が一層詳細にレビューに載っている(ローセン及びマ
クレイト,「メソッズオブバイオケミカルアナラシ
ス」,グリック,D.,編集、26巻、201頁(1980年))。
ペプチド及びタンパク質を固体支持体に結合させる断
然最も広く用いられている方法はリジン残基のイプシロ
ンアミノ基と活性化イソチオシアネート支持体との結
合。例えば(11)或は(12)に関係する。これらの支持
体はAPG(9)か或はAEAPG(10)のいずれかとp−フェ
ニレン−1,4−ジイソチオシアネートとを反応させて作
られる(ワヒター,E.等(1973年))。タンパク質のア
ミノ基とイソチオシアネート部分との反応は、温和な塩
基性水溶液(pH8)中で、温度25〜55℃において容易に
達成される。清浄剤(例えば、ナトリウムドデシルスル
フェート(SDS))、或はカオトロピズム(chaotropi
c)剤、例えばSM尿素或は飽和グアニジニウム塩化水素
の存在することは結合ケミストリーに有意な効果を与え
ない(マクレイト,W.等、「アドバンストメソッズイン
プロティンシークエンスアナラシス」、ウイットマン−
リーボルド(Wittmann−Liebold),B.,サルニコフ(Sal
nikow),J.及びアードマン(Erdmann),V.A.,編集、ス
プリンガー−バーラグ、バーリン、ハイデルベルグ,91
頁(1986年)。よって、タンパク質或はペプチドのDITC
支持体への結合は一般に固相配列分析の選り抜きの方法
と認められている。
初期のポリマー樹脂を越えるCPG支持体の利点は多数
ある。単位重量当りの非常に大きい表面積(代表的に
は、称呼平均細孔寸法200Åの200〜400メッシュCPGの場
合、100m2/g)はタンパク質及びペプチドについての結
合容量を大きく向上させる(容量0.2ミリモルアミン/g
支持体が代表的であり;シュミット(Schmitt),H.W.及
びウォーカー(Walker),J.E.,FEBS Letters,81巻:403
頁(1977年))。多孔質ガラス支持体上の官能基は全て
の種類の溶媒に接近容易性であり、硬質無機マトリック
スは全ての実用的な目的について非圧縮性である。200
〜400メッシュCPGビーズから作った支持体は連続流れ反
応塔の効率的なパッキングとなり、流体背圧は非常に小
さい。
カップリング用媒体はペプチド及びタンパク質の溶解
度及びカップリングケミストリーの要求に従って自由に
選ぶことができる:例えば、ミトコンドリアのATPaseの
疎水性DCCD結合サブユニットをクロロホルムとメタノー
ルとの混合物中でDITC活性化APG(11)に結合させた
(ワヒター,E.及びウイアハーン(Weerhahn),R.,「ソ
リッド−フェースメソッズインプロティンシークエンス
アナラシス」、プレビエロ,A.及びコレッチ−プレビエ
ロ,M.A.,編集、1−2ホランドプレス,アムステルダ
ム,185頁(1978年))。
多孔質ガラスビーズは反応塔において水性、並びに無
水有機溶媒と共に用いることができる。ガラスビーズの
物理的安定性が効率的なエドマン分解ケミストリーをデ
ザインするのを容易にし、速度及びそれぞれの段階収率
を有意に向上させた(ウォーカー,J.E.,等、Biochem.
J.,237巻:73頁(1986年))。
代表的なエドマン分解の部分について必要とする高温
(56℃まで)及び塩基性条件(pH10−11)において表面
シロキサン基ののろい加水分解的損失(おそらく、サイ
クル当り、0.5%までの結合ペプチドを失う)に関する
わずかな問題は別として、ガラスビーズを固相配列分析
用に用いる主たる不利益はサンプル調製(ペプチド或は
タンパク質のカップリング)及び取扱いの主たる問題に
関係する。
サンプル調製に関する代表的な一連の工程は下記の通
りである: (1)タンパク質或いペプチドを50mM重炭酸ナトリウム
緩衝液(pH8.0)(おそらく、溶解性を助けるためSDS1
〜2%W/vを含有する)0.2−0.8mlに溶解し、溶液を10
−100mgDITC APG(11)に加える。
(2)40〜50℃で2〜4時間培養した後に、n−プロピ
ルアミン0.2mlを加えて支持体上の過剰のイソチオシア
ネート基をブロックする。
(3)次いで、ガラス/タンパク質懸濁液を遠心分離
し、上澄み液(すべての未結合ペプチドを含有する)を
回収する。
(4)ガラスビーズを次いで小さいフリッテドフィルタ
ー漏斗に移し、重炭酸塩及びメタノール(微量のトリエ
チルアミン、TEAを含有する)で洗浄する。
(5)洗浄した支持体を次いで軽い減圧を数分間かけて
乾燥し、シークエンサー反応塔に乾燥状態で充填する。
同様の技法を上述したポリスチレンベースの支持体に
ついて用いる。各々の場合、これらの手順は注意深い注
意及び熟練技術を要し、少量のビーズ(代表的には10mg
より少ない)で作業する場合は、特にそうである。
ビーズ(beaded)支持体(CPGか或はポリスチレン樹
脂のいずれか)を用いることは、また、タンパク質をSD
Sポリアクリルアミドゲルから回収し、シート或は膜支
持体に移すことを要するエレクトロブロッチング技術を
用いることを排除する。
ペプチド及びタンパク質を配列決定するための上記物
質及び方法は極めて有益であったが、それらの内の多く
は分子生物学における現行の要求を満足することができ
ない。この分野における最近の発展はタンパク質及びペ
プチド配列をピコモル範囲及びそれ以下で決定すること
を要する。これは、生物学的に大きな関心のあるタンパ
ク質の多くはこれらの少量で得られ得るにすぎないから
である。タンパク質のN−末端における短いペプチド配
列を確立すれば、対応する遺伝子を同定し、DNA配列を
決定することによって全タンパク質配列を生じるのに向
けた実験を開示することが可能になる。正常な細胞或は
種々の疾患の有る組織(例えば、がん、変性神経疾患
(ハリントン(Harrinton,M.G.及びメリル(Merrill),
C.K.,Clinical Chemistry,30巻:1933頁(1984年)、遺
伝病)に由来する細胞からの複雑なタンパク質パターン
を、2Dポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて1〜10
ナノグラム量のタンパク質を分離することによって視覚
化することができる(オファレル(O′Farell),P.H.,
J.Biol.Chem.,250巻:4007頁(1975年))。このような
希なタンパク質から配列情報を得ることは、ビード支持
体について上述したサンプル操作のタイプを可能にしな
い。1D及び2Dポリアクリルアミドゲル電気泳動の後にそ
れぞれのタンパク質を直接ブロットすることができるフ
ラット支持体を利用し得ることが必要である。加えて、
これらの極めて少量のタンパク質をブロッチングプロセ
スの間にフラット支持体に共有的に固定化させる効率的
な方法も同様に必要とする。こうして、ポリアクリルア
ミドゲル片から電気溶出により或はHPLC法(骨が折れか
つ回収率が非常に小さくなることが極めてしばしばであ
る)によるタンパク質の分離を回避することができる。
エイバーソルド等、J.Biol.Chem.,261巻:4229頁(198
6年);ケント(Kent),S.等,BioTechniques,5巻:314頁
(1987年);バンデカークホウブ(Vandekerckhove),
J.等,Eur.J.Biochem.,152巻:9頁(1985年)はグラスフ
ァイバーシートの表面を3−アミノプロピルトリメトキ
シシランで誘導体化し、これからDITC類似体と反応させ
て活性化イソチオシアネート表面を作ってグラスファイ
バー(11)を形成した。DITCグラスファイバーを用いて
SDSポリアクリルアミドゲルから直接エレクトロブロッ
トしたタンパク質を共有結合して配列決定して良い結果
を得た(上記エイバーソルド等(1986年)参照)。グラ
スファイバー紙の重大な欠点は、染色するための慣用の
クーマシーブルーを用いてタンパク質を検出するのが困
難なこと(上記エイバーソルド等(1986年)参照)、非
最適な織物がブロッチングプロセスの間、物質の緊密な
接触及び非変形の移動をもたらさないこと、タンパク質
を結合する容量が非常に小さいこと(7〜10μg/cm2
範囲)、及びグラスファイバーシートにエレクトロブロ
ットしたタンパク質をカップリングする反復収率及び初
期収率の両方が、タンパク質の存在する量が小ない程、
減少することである(ユーエン(Yuen),S.等、アプラ
イドバイオシスラムズユーザーブリチン、24巻ホスター
シティー,カリフォルニア(1986年))。
ペプチド或はタンパク質とグラスファイバー紙の表面
上のITC基との間のカップリング反応が遅くなるにつれ
て、ペプチド或はタンパク質の捕捉プロセスはカップリ
ングの効率を増し、DITC−グラスファイバー紙は、DITC
と反応した後に残されるアミノ基と静電的に相互作用す
ることによってのみこれをもたらすことができる。グラ
スファイバー表面上のアンモニウム基とペプチド或はタ
ンパク質の表面上の同様に荷電した基との間にも反発作
動があり得るので、これは予期し得ない、変動し得る非
能率なプロセスである。DITC−グラスファイバーシート
が特に小さいペプチドをカップリングするのに非能率で
あり、ピコモル範囲及びそれ以下のタンパク質の配列に
明らかに適していないことは自明である。
タンパク質の一層効率的なエレクトロブロッチングを
もたらすその他のフラット材料はニトロセルロース(ト
ウビン(Towbin),H.等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76巻:
4350頁(1979年))、ジアゾフェニル紙(リナート(Re
nart),J.等、Proc.Nat.Acad.Sci.USA,76巻:3116頁(19
79年)、電荷改質されたナイロンシート(ガーショニ
(Gershoni),J.M.及びパラド(Palade),G.E.,Anal.Bi
ochem.,124巻:396頁(1982年))である。ニトロセルロ
ースはタンパク質の共有結合をもたらすようには機能化
されなかったし、加えて、種々の配列決定反応の間に溶
解する。エドマン分解ケミストリーにかけた際に、電荷
改質ナイロンはつぶれて固体ペレットになり、ジアゾフ
ェニル紙は配列決定法に伴う繰り返しのサイクリングに
耐える程に十分に物理的或は化学的に安定ではない。ジ
アゾフェニル紙は、また、タンパク質の結合を、比較的
希なチロシン残基が存在する場合に限る。
最近、ポリ二フッ化ビニリデン(PVDF;当分野でまた
ポリフッ化ビニルデン(PVF)としても知られている)
膜が効率的なエレクトロブロッチング及び気相配列決定
用に用いられるようになった(マツダイラ,P.,J.Biol.C
hem.,262巻:10035頁(1987年);プラスカル(pluska
l),M.G.等,BioTechniques,4巻:272頁(1986年))。PV
DF膜がタンパク質を結合する容量は、アンモニウム基で
誘導体化にしたグラスファイバーシートに比べて相当に
良好である(PVDFの場合170μg/cm2であるのに対し、誘
導体化グラスファイバーシートの場合7〜25μg/cm2
マツダイラ,1987年参照)。グラスファイバーシートに
エレクトロブロットしたタンパク質について得た初期収
率15〜25%に比べて、PVDFに吸着したタンパク質につい
ての初期の配列決定収率(76〜97%)もまた有利であっ
た(上記マツダイラ。1987年参照)。
タンパク質についてPVDF膜の極めて効率的かつ高い吸
着特性は他のいくつかの利点を有する。タンパク質溶液
は、膜表面にドットブロットし、水で洗浄して緩衝塩を
除くことによって迅速に脱塩することができる。これに
加えて、希釈タンパク質サンプルは、複数のローディン
グにより膜表面上で何倍かに濃厚され得る。
PVDFは直接気相タンパク質配列決定用に用いられてき
た(マツダイラ,J.Biol.Chem.,262巻:10035頁(1987
年))。タンパク質がPVDFに吸着する機構は知られてい
ないが、タンパク質とポリマー表面との間の疎水性或は
双極子相互作用から生じるのであろう。これより、ペプ
チド及びタンパク質が固体支持体に非共有結合すること
から生じる上述した不利益はPVDFにも同様に当てはま
る。
米国特許4,340,482号は予備成形したPVDF膜の表面に
高塩基性条件下でアミノ酸分子をグラフトするプロセス
を記載している。強塩基性条件下で(特に相転移触媒の
存在において)、フッ化水素が除かれ、炭素二重結合が
もっぱらPVDF膜の表面上で形成されることは明らかであ
る(ディーアス(Dias),A.J.,等,Macromobcules,17巻:
2529頁(1984年)。アミンとフルオロカーボンポリマー
との反応もまたブロ(Bro)がJ.Appl.Polymer Sci.,1
巻:30頁(1959年))に記載した)。ブロは、アミンの
影響下で、フッ化水素(HF)が除かれた後に、アミンが
二重結合に付加されることを提案する。いくつかの反応
は架橋し及び第1アミンの付加部位における別のHF分子
の排除を含んでイミノ構造を形成し、これが互変異性化
してエナミン構造になり得る結果として起こり得る(ス
ミス,J.R.等,J.Appl.Polymer Sci.,5巻:460頁(1961
年))。水性KOHがアミンに比べてHFを除く反応性に相
当に劣ることは明らかである(チャンバーズ,R.D.等,Te
trahedron Letters,10巻:629頁(1963年))。
米国特許4,340,482号に記載されているプロセスによ
り、アミノ酸は明らかにアミノ機能を経てPVDFの表面に
共有的に結合され、該プロセスは疎水性PVDF表面を親水
性にする。ポリマー表面の性質を改質する異なる方法が
米国特許4,618,533号に記載されている。この特許で
は、適当なモノマーを微孔質構造の溶媒接近容易な全て
の表面積に共重合させることによって、恒久のコーティ
ングを膜の表面にグラフトし及び/又は付着させる。ヒ
ドロキシプロピルアクレートのようなモノマーをコーテ
ィングとして用いるならば、疎水性表面を親水性表面に
変換することができる。
1987年9月4日に出願した同時係属米国特許出願第09
3,011号(ケスター(Koester),H.及びクール(Coul
l),J.H.,名称「メンブレンズウイズバウンドオリゴヌ
クレオチズアンドペプチズ」)に、保護ヌクレオシド或
はアミノ酸に結合した化学的に誘導体化した膜を記載し
ている。これらの膜は核酸及びペプチドを合成するのに
有用である。
発明の構成 本発明は、ペプチド及びタンパク質を効率的に共有結
合させるのに及び固相タンパク質配列決定するのに適し
たポリマー支持体に関する。ポリマー支持体は微孔質膜
形成性の薄い、フラットな軟質性シートであり、該シー
トは均一な連続多孔質構造及び溶媒接近容易な表面積上
にペプチド及びタンパク質と反応して共有結合を形成す
ることができる官能基を有する。膜表面は単一タイプの
官能価或は異なる官能価の混合物を保持してペプチド及
びタンパク質のアミノ酸側鎖における1つ或はいくつか
の異なる官能基の方に向いた化学反応性を有する膜表面
にすることができる。膜表面の官能価に応じて、タンパ
ク質上の特異な官能基に対する膜の反応性を規定するこ
とができる。
誘導体化した膜の総括の化学的性質は、ポリマーの特
有のタイプ、コーティング材料の存在、膜表面の官能基
に応じて、疎水性か或は親水性のいずれかになることが
できる。
本発明の誘導体化膜は、従来固相タンパク質配列決定
用に用いられた固体支持体と異なる利点を数多く提供す
る。例えば、膜表面の多孔質構造から生じる大きい表面
積により、タンパク質及びペプチドを固相に極めて効率
的に共有結合させるのを可能にする。
加えて、材料がフラットな軟質性膜であるため、タン
パク質或はペプチドを分離用ゲル(例えば、一−或は二
−次元のポリアクリルアミド電気泳動ゲル)から直接膜
表面に移動させるブロッティングの間に、共有カップリ
ングを行うことができる。よって、配列決定プロセス用
の結合タンパク質或はペプチドを作るのに、それ以上の
取扱い、分離或は精製が必要でない。追加の処理加工工
程を排除することによって、ブロットした材料の損失を
相当に排除することができる。
その上、膜の構造がフラットで軟質性であることによ
り、種々の形状に形成することができ(例えば、ロール
掛けにより)或は事実上任意の形状に切断することがで
きる。加えて、本膜は固定化プロセスを簡単にしかつ物
理的及び化学的に多能であることから、自動化配列決定
システムにおいて用いるのによく適している。
膜に移したタンパク質バンド或はスポットを、例えば
クマシーブルー、銀染色或は放射線標識を用いる慣用の
染色手順によって検出することができる。ブロットした
後に、膜のタンパク質含有領域を簡単に切り取って直接
配列決定手順にかけることができる。或は、精製したペ
プチド或はタンパク質の利用し得る量が多ければ、材料
を直接膜にスポットすることができる。
ペプチド或はタンパク質を共有結合によって膜に結合
させるので、種々の溶媒或は試薬条件を配列決定反応に
用いることができる。これらは不純物を最少にしかつ膜
上のバックグラウンドシグナルを減少させるための強い
サイクル間洗浄並びに試薬のフロースルーによる速い反
応条件を含む。こうして、本誘導体化膜は固相タンパク
質配列決定系が速いサイクル時間及び高い感度を達成す
るのを可能にする。これは、タンパク質がピコモルの量
で存在する場合でさえ、極めて効率的なタンパク質と膜
とのカップリングから生じる。本発明の膜は、酸性及び
塩基性の両方の条件に耐性の材料を選ぶことにより、特
定のタンパク質配列決定プロセスにおいて用いるのに限
られず、むしろ広範囲の種々の化学的或は酵素的配列決
定プロセスについて実用性を有する。これらのプロセス
は固相、液相或は気相で或はこれらを組合わせた多相で
実施することができ、かつ溶媒及び試薬を広いpH値の範
囲で使用することができる。
好ましい実施態様の説明 本発明のポリマー膜は多孔質構造を有する薄い、フラ
ットな、極めて軟質性の膜である。該膜はペプチド及び
タンパク質を共有結合することができ、かつ化学的及び
酵素的タンパク質配列決定プロセスに耐えることができ
る。ポリマー膜は種々の方法によって作ることができ
る。
最も広い実施態様では、膜はペプチド及びタンパク質
を共有結合することができる表面を有するフラットな軟
質性ポリマー組成物である。
本明細書中で用いる通りのポリマー組成物なる用語は
1種或はそれ以上のモノマー種から作った材料を言う。
代表的な材料は下記を含む:ポリオレフィン、例えばポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、
等;ポリスチレン或は置換ポリスギレン;フッ素化ポリ
マー、例えばポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ二
フッ化ビニリデン、等;ポリスルホン、例えばポリスル
ホン、ポリエーテルスルホン、等;ポリエステル、例え
ばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート、等;ポリアクリレート及びポリカーボネート;
ビニルポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリアクリロ
ニトリル。加えて、コポリマー例えばブタジエンとスチ
レンとのコポリマー、フッ素化エチレン−プロピレンコ
ポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポ
リマー、等を適したポリマー材料として用いることがで
きる。好ましいポリマー材料はポリマーフルオロカーボ
ン、例えばポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)である。
ポリマー材料は多孔質構造を持つべきである。好まし
い実施態様では、膜は平均細孔寸法約0.001〜約10.0ミ
クロンを有し、平均細孔寸法約0.1〜約5.0ミクロンが最
も好ましい。加えて、膜の少なくとも1つのセクション
は連続して多孔質にすべきであり、それにより流体が膜
を通って及び/又は膜を横切って流れるのを可能にす
る。
膜は被覆するか或は未被覆のいずれかにすることがで
きる。膜を被覆する場合、コーティングは好ましくは実
質的に膜の溶媒接近容易な表面積全体をおおうポリマー
である。
フリーラジカルによって重合を開始することができる
ならば及びモノマーの内の1つがペプチド及びタンパク
質を膜支持体上のコーティングに共有結合するのに直接
或は次に化学変換した後に用いることができる官能価を
保持するならば、膜を被覆する任意のモノマー或はモノ
マーの組合せを使用することができる。コーティングの
重合は、コーティング付着の前、間或は後に実施するこ
とができる。好ましい実施態様では、コーティングを架
橋し、架橋はコーティング付着の間か或は後のいずれか
に行う。
膜コーティングとして用いるのに適した代表的なモノ
マーは下記を含む:ヒドロキシアルキルアクリレート或
はメタクリレート、例えば1−ヒドロキシプロピル−2
−アクリレート、2−ヒドロキシプロピル−1−アクリ
レート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキ
シエチルメタクリレート、2−アミノエチルメタクリレ
ート、等或はこれらの混合物。その他の適した重合性モ
ノマーは下記のようなものを含む:アクリル/メタクリ
ル酸、アクリル/メタクリル酸エステル(例えばペンタ
フルオロフェニル−或は4−ニトロフェニルエステ
ル)、2−N−N−ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、スルホエチルメタクリレート、等、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、エタクリルアミド、等。
適した重合開始剤及び薬剤は当分野でよく知られてい
る。これらの詳細な検討及びコーテッドポリマーに関す
るそれ以上の検討については、上述した米国特許4,618,
533号を参照。
ペプチド及びタンパク質を共有結合する膜の能力は、
膜の表面に或は膜上のコーティングにかつまたペプチド
或はタンパク質それ自体に結合することができる求核試
薬によってもたらす。好ましい実施態様において、疎水
性ポリマーフルオロカーボン、例えば好ましいPVDFの方
に向いた疎水性求核試薬の反応性を利用する。
広範囲の疎水性求核試薬がポリマーフルオロカーボン
を誘導体化する際に用いるのに適している。最も広い実
施態様において、本発明で用いる求核試薬は下記の構造
を有する: X−N−Y ここで、Xは膜或は膜上のコーティングに結合すること
ができる官能基であり、Yはペプチド或はタンパク質と
共有結合することができる或はペプチド或はタンパク質
と共有結合するように誘導体化することができる官能基
であり、NはX及びYを結合する働きをする結合ラジカ
ルである。結合配位子はアルキルラジカル、置換された
或は未置換のいずれかのフェニル環を有するアラルキル
ラジカル、或は置換された或は未置換のフェニル環を有
するアリールラジカルであるのが好ましい。後者の2つ
の場合において、フェニル環のオルト及び/又はメタ位
において水素置換が行なわれることができる。窒素、ハ
ロゲン及びシアノゲンが水素置換に適した種の例である
が、このリストはこれらに限るつもりのものではない。
満足すべき求核試薬の1つのクラスは下記式を有する
アルファ、オメガ置換されたアミノ及び/又はチオアル
カンである: X−(CH2)n−Y ここでn=2−20、X及びYは下記に示す通りである: X Y NH2 NH2 NH2 SH NH2 OH NH2 COOH SH SH SH OH SH COOH 。
このタイプの好ましい求核試薬は1,2−ジアミノエタ
ン、1,10−ジアミノデカン、ジチオール1,6−ジチオヘ
キサンのジアミン類を含む。
満足すべき求核試薬の第2のクラスは下記式のアラル
キルアミン及びアラルキルチオールである: ここで、アリール基は未置換であるか或は置換されてい
るかのいずれかであり、N=1−20、m=1−3、X及
びYは下記に示す通りである: X Y NH2 NH2 NH2 SH NH2 OH NH2 COOH SH SH SH NH2 SH OH SH COOH OH SH OH NH2 COOH SH COOH NH2
このタイプの好ましい求核試薬は2−(4−アミノフェ
ニル)エチルアミン、2−(4−アミノフェニル)フェ
ネチルアミン、6−(4−アミノフェニル)ヘキシルア
ミン、1−チオ−(4−チオフェニル)エタンを含む。
満足すべき求核試薬の第3のクラスは下記式の第一或
は第二アリールアミン及びアリールチオールである: ここで、アリール基は未置換であるか或は置換されてい
るかのいずれかであり、m=1−3、X及びYは下記に
示す通りである: X Y NH2 NH2 NH2 SH NH2 OH NH2 COOH SH SH SH OH SH COOH 。
このタイプの好ましい求核試薬は1,4−ジアミノベンゼ
ン、1,4−ジチオベンゼンを含む。
しかし、誘導体化する求核試薬は上に挙げたものに限
るつもりではない。むしろ、求核試薬は広い範囲のもの
を用いることができ、下記を含み、これらに限定されな
い:アミノ基を含有するポリマー、例えばポリビニルア
ミン、第二及び/又は第一アミノ官能基をいくつか有す
る化合物、例えばスペルミン、スペルミジン、ポリエチ
レンイミン。上に示した通りに、アルキル、アラルキル
或はアリール結合配位子上に混合アミノ及びチオール官
能基を有する化合物もまた適している。これらの化合物
の例は2−アミノ−1−チオエタン(システアミン)、
2−(4−チオフェニル)エチルアミン、2−チオ(4
−アミノフェニル)エタン、4−アミノチオフェノール
を含む。また、アルキル、アラルキル或はアリール結合
配位子を有する二官能性化合物は1つの官能基として第
一或は第二アミノ基か或はチオール基のいずれかを有
し、かつ他の官能基としてOH基か或はカルボキシル基の
いずれかを有することができる。よって、OH或はカルボ
キシル官能基を膜の表面上において、直接ペプチド或は
タンパク質を共有結合するのに用いることができるか、
或は官能基を規定された第二誘導体化に用いた後にペプ
チド或はタンパク質結合することができる。
上に挙げた例の多くは二官能性化合物のみを示すが、
ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン等の化合物がオ
リゴ−或はポリ−官能価を膜に付与し得ることを指摘し
なければならない。
上記の求核試薬を用いてPVDF等の材料を誘導体化する
場合、反応は多くのタイプにすることができる。例え
ば、誘導体化は無機塩基を使用して強アルカリ性条件下
で行なうことができる。別法として、反応は相転移触媒
を利用することができ、或は好ましい実施態様におい
て、反応はアミノ−或はチオール置換された化合物をそ
れ自体を用いて膜のカラーリゼーション(colorizatio
n)及び脆性を回避するか或は最小にすることができ
る。求核試薬を疎水性或は双極子/双極子相互作用によ
って膜表面に付着させるならば、反応は通常温和な条件
下で進行する。
アミノ及びチオールの両官能基を有する求核基とPVDF
とを接触させる場合、チオール官能基が反応して求核試
薬を膜表面に結合させ、それでアミノ官能基を自由なま
まにしてペプチド或はタンパク質を膜にカップリングす
ることができる。このカップリングは種々の方法を用い
て達成することができる。第1の方法では、ペプチド或
はタンパク質内のカルボキシル基を、カルボジイミド
(好ましくは水溶性のもの)を用いてアミノ基と反応さ
せることができる。別法として、カルボキシル基をオメ
ガ−チオール置換されたカルボン酸、例えばチオグリコ
ール酸との反応を経て膜の表面に導入することができ
る。この場合、ペプチド或はタンパク質内のアミノ基
を、カルボジイミドを用いてカルボキシル置換された膜
に反応させる。
発明の最も好ましい実施態様では、イソチオシアネー
ト官能基を用いてアミノ官能価を有する膜を誘導体化
し、それでペプチド或はタンパク質内のアミノ官能基を
膜上のアミノ官能基に共有結合させる膜にする。これ
は、アミノ官能化膜にジイソチオシアネートを反応させ
て容易に行なうことができる。種々のジイソチオシアネ
ートを用いることができ、下記を含み、これらに限定さ
れない:アルキル鎖中に炭素原子2〜10を有するアルフ
ァ、オメガ−アルキルジイソチオシアネート(例えば、
1,6−ジイソチオシアナトヘキサン);アルキル鎖中に
炭素原子1〜10を有しかつ3個までのフェニル環を結合
させたアラルキルジイソチオシアネート(例えば、2−
イソチオシアナト−(4−イソチオシアナト−フェニ
ル)エタン);可変数の水素原子を窒素、ハロゲン、シ
アノゲンで置換させたアリールジイソチオシアネート。
代表的なアリールジイソチオシアネートは1,4−フェニ
レンジイソチオシアネート、2、5−ジクロロ−1,4−
フェニレンジイソチオシアネートを含む。
上述したタイプの種々の代表的な反応を下記のスキー
ムI(a)〜I(e)に示す。
スキームI(a)では、第1ポリ二フッ化ビニリデン
(PVDF)膜に、アルキル鎖上に炭素原子2〜20を有する
アルキルジアミンを反応させる。反応生成物に、次いで
ジイソチオシアネート、例えば1,4−フェニレンジイソ
チオシアネートを反応させてペプチド及びタンパク質を
共有結合するための第1の完全に誘導体化されたPVDF膜
にする。1,4−フェニレンジイソチオシアネートはR1、R
2、R3及びR4基を有し、R1、R2、R3、R4基は各々独立に
水素、窒素、ハロゲン及びシアノゲンから成る群より選
ぶ。
スキーム1(b)では、第2のPVDF膜にアルキル鎖上
に炭素原子2〜20を有するチオアルミノアルカンを反応
させる。反応生成物にスキーム1(a)のジイソチオシ
アネートを反応させてペプチド及びタンパク質を共有結
合するための第2の完全に誘導体化されたPVDF膜にす
る。
スキーム1(c)では、第3のPVDF膜にチオアミノベ
ンゼンを反応させる。反応生成物はペプチド及びタンパ
ク質を直接共有結合するのに有用であり、或は代って、
更にスキーム1(a)のジイソチオシアネートを反応さ
せてペプチド及びタンパク質を共有結合するための第3
の完全に誘導体化されたPVDF膜にすることができる。
スキーム1(d)では第4のPVDF膜にポリビニルアミ
ンを反応させる。反応生成物にスキーム1(a)のジイ
ソチオシアネートを反応させてペプチド及びタンパク質
を共有結合するための第4の完全に誘導体化された膜に
する。
スキーム1(e)では、第5のPVDF膜にアルキル鎖上
に炭素原子1〜20及び1〜3のフェニレン基を有するジ
アミノアラルカンを反応させる。反応生成物はペプチド
及びタンパク質を直接共有結合するのに有用であり、或
は代って、更にスキーム1(a)のジイソチオシアネー
トを反応させてペプチド及びタンパク質を共有結合する
ための第5の完全に誘導体化されたPVDF膜にすることが
できる。
ペプチド及びタンパク質を共有結合するのに適した官
能基は種々の方法によって被覆膜の表面に導入すること
ができる。下記にスキーム2で表わす通りの好ましい実
施態様では、コーティングをヒドロキシル化し、それで
膜の表面上に−OH官能基を与える。ヒドロキシル化コー
ティングを次いで1,1′−カルボニルジイミダゾール(C
DI)等の材料で活性化した後に、前述の通りにして誘導
体を合成する。前の通りに、広範囲の求核試薬が誘導体
合成段階用に適しており、上述したアミノ及び/又はチ
オアルカン、アラルキルアミン、アラルキルチオール、
アリールアミン、アリールチオールを含む。
好ましい実施態様では、膜表面上の−OH官能基を、ア
ミノ官能価を与えるやり方で誘導体化する。次いで、こ
のアミノ官能基を用いてペプチド及びタンパク質を、カ
ルボジイミドを用いてカルボキシル基を経て膜表面に共
有結合することができる。しかし、最も好ましい実施態
様では、ジイソチオシアネートを用いて更に膜表面を誘
導体化する。これは表面にイソチオシアネート官能価を
付与し、これは膜表面を、アミノ基を経てペプチド及び
タンパク質に共有結合することができる。
代表的な膜誘導体化反応をスキーム2(a)−2
(c)に表わす: スキーム2(a)では、第1のヒドロキシル化膜表面
をCDIで活性化する。このCDIで活性化した表面に1−3
フェニレン基を有するアリールジアミンを反応させる。
フェニレン基をオルト及び/又はメタ位置で置換するか
或は未置換のいずれかにすることができる。生成した表
面はペプチド及びタンパク質を直接共有結合するのに有
用であり、或は代って、更にスキーム1(a)に示す通
りにジイソチオシアネートを反応させてペプチド及びタ
ンパク質を共有結合するための第1の完全に誘導体化さ
れた被覆膜にすることができる。
スキーム2(b)では、第2のヒドロキシル化膜表面
をスキーム2(a)のようにCDIで活性にする。CDIで活
性化した表面に、次いで、アルキルキ鎖上に炭素原子1
〜20及び1〜3フェニレン基を有するジアミノアラルカ
ンを反応させる。フェニレン基をオルト及び/又はメタ
位置に置換するか或は未置換のいずれかにすることがで
きる。生成した表面はペプチド及びタンパク質を直接共
有結合するのに有用であり、或は代って、更にスキーム
1(a)に示す通りにしてジイソチオシアネートを反応
させてタンパク質及びペプチドを共有結合するための第
2の完全に誘導体化された被覆膜にすることができる。
スキーム2(c)では、第3のヒドロキシル化膜表面
をスキーム2(a)に示す通りにしてCDIで活性化す
る。このCDIで活性化した表面に、次いで、アルキル鎖
上に炭素原子2〜20を有するアルキルジアミンを反応さ
せる。反応生成物に、次いで、スキーム1(a)に示す
通りにしてジイソチオシアネートを反応させてペプチド
及びタンパク質を共有結合するための第3の完全に誘導
体化された被覆膜にする。
本明細書中に記載する誘導体化膜はペプチド及びタン
パク質を手作業で或は自動化固相配列決定するのに有用
である。ペプチド或はタンパク質の配列は、N−末端か
或はC−末端のいずれかから段階的に化学或は酵素分解
して決定することができる。
配列決定するタンパク質を分離用ゲルから移して膜
に、直接ブロットするか或は電気ブロットし、次いで一
或いは二次元電気泳動するかのいずれかによって膜に共
有結合することができる。いずれの場合でも、タンパク
質或はペプチドの任意の化学的或は酵素的断片化及び精
製を管理条件下で直接膜表面上に行うことができる。こ
れは配列決定手順用に適した共有結合した断片(直接か
つ簡便なプロセスで固定されたもの)をもたらす。直接
の固定化は自動化配列決定法によく適したプロセスを与
える。
配列決定する間にタンパク質及びペプチドを膜表面に
共有結合することによって、数多くの利点を達成するこ
とができる。配列決定する間の表面からのタンパク質損
失を最少にし、それで配列決定サイクルが繰り返される
にもかかわらず、決定を極めて有効なままにさせること
ができる。加えて、共有結合は効率的な化学処理及び配
列決定サイクルの間の厳重な洗浄段階を用いることを可
能にし、それで全配列決定時間を短縮させる。厳重な洗
浄は、また、高感度の配列決定法を用いることを可能に
し、PTHアミノ酸のHPLC分析を妨げ得る化学不純物の量
を減少させる。
官能基を用いてペプチド及びタンパク質を固体基質に
共有結合することを、何ら特定の配列決定法に限るつも
りはない。それと反対に、種々の異なる固相配列決定法
が当分野で提案されてきた。本発明は、ペプチド及びタ
ンパク質を固体支持体マトリックスに共有結合すること
が望まれる全ての固相、液相、気相或は多相配列決定法
に実用性を有する意図である。
しかしながら、好ましい実施態様では、好ましい配列
決定プロセスは前述したエドマン配列決定プロセスであ
る。本材料は、エドマン法の間に用いられる化学試薬が
苛酷であるにもかかわらず、物理的及び化学的の両方の
性質を保つことができるので、この方法にとって特に有
用である。
発明をここで、下記の例において、一層特別に示す。
例 例1 ポリ二フッ化ビニリデン膜とアミンとの反応 A.マサチューセッツ,ベドフォード在ミリポアコーポレ
ーションからImmobilon Pトランスファー膜として市販
されているポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)膜(13×13
cm、細孔寸法0.45μ)5シートにメタノール300mlを湿
潤させた。メタノール湿潤材料を脱イオン水(500mL)
の皿に入れて膜の表面からのメタノール除去を行った。
皿中の水を流し、2分間隔で全5回フレッシュな脱イオ
ン水に取り代えた。水湿潤膜シートを次いで1,10−ジア
ミノデカンの0.1M水溶液400ml中に浸漬して75℃に保っ
た。膜のシートをジアミン溶液に浸漬した後2.5、4.0、
8.0、12.0及び24.0分の間隔で取り出した。膜を、メタ
ノール500mlを収容する皿に入れた。皿中にメタノール
を流し、5分間隔で全4回フレッシュメタノール(250m
L)に取り代えた。次いで、膜シートを減圧乾燥した。
ピクリン酸結合アセイを用いて膜表面上に存在するアミ
ノ基の量を求めた。ピクリン酸結合アセイは、膜の片
(5mg)を精確に計り分け、それをジクロロメタン中の
ピクリン酸0.2M溶液で処理することによって行った。膜
断片をジクロロメタンで洗浄し、新しく調製したジクロ
ロメタン中4%のトリエチルアミン10.0ml中に20分間入
れた。脱着したトリエチルアンモニウムピクレートの吸
光度を358nm(E358=14,500)において記録した。結果
を下記の表Iに挙げる: 表I 反応時間(分) uモルNH2/g膜 2.5 5.8 4.0 6.6 8.0 6.8 12.0 7.0 24.0 7.5 B.マサチューセッツ,ベドフォード在ミリポアコーポレ
ーションからImmobilon Pトランスファー膜として市販
されているポリ二フッ化ビニリデン膜のシート(13×13
cm、細孔0.45μ)にメタノール100mlを湿潤させて脱イ
オン水(500mL)の皿に入れた。皿中の水を流し、2分
ごとに全5回取り代えた。次いで膜シートを2−(4−
アミノフェニル)エチルアミンの0.1M水溶液100ml中に2
4時間浸漬し、55℃に保った。シートをアミン溶液から
取り出してメタノール100mlを収容する皿に入れた。メ
タノールを流して5分毎に全4回フレッシュメタノール
に取り代えた。最後のメタノール洗浄の後に、シートを
減圧で乾燥した。例1、パートAに記載するピクリン酸
結合アセイはその材料が乾燥膜1グラム当り約2.4μモ
ルのアミノ基を含有することを示した。
C.マサチューセッツ,ベドフォード、ミリポアコーポレ
ーションからImmobilon Pトランスファー膜として市販
されているポリ二フッ化ビニリデン膜のシート(13×13
cm、細孔寸法0.45μ)5つにメタノール300mlを湿潤さ
せた。メタノール湿潤材料を脱イオン水(500ml)の皿
に入れて膜の表面からのメタノールの除去を行った。皿
中の水を流し、2分間隔で全5回フレッシュな脱イオン
水に取り代えた。水湿潤膜シートを次いで5%(w/v)
の水性炭酸ナトリウム中ポリビニルアミンの2%(w/
v)溶液200ml中に浸漬して90℃に保った。シートを10分
後に取り出してメタノール500mlを収容する皿に入れ
た。皿中のメタノールを流し、5分間隔で全4回フレッ
シュメタノール(250ml)に取り代えた。次いで、膜シ
ートを減圧で乾燥した。例1、パートAに記載するピク
リン酸結合アセイを用いて膜表面上に存在するアミノ基
の量を求めた。材料は乾燥膜1グラム当り約10.7μモル
のアミノ基を含有した。
D.マサチューセッツ,ベドフォード在ミリポアコーポレ
ーションからImmobilon Pトランスファー膜として市販
されているポリ二フッ化ビニリデンのシート(10×30c
m、細孔寸法0.45μ)3つにメタノールを湿潤させた。
メタノール湿潤材料を脱イオン水(500ml)の皿に入れ
て膜の表面からのメタノールの除去を行った。次いで、
水湿潤膜シートを、55%の水性水酸化テトラブチルアン
モニウム1%(v/v)を含有する30%(v/v)の水性エチ
レンジアミン200ml中に5分間浸漬した。シートをエチ
レンジアミン溶液から取り出し、ロータリーフィルム乾
燥機で85℃において1、2或は3分の間隔の間加熱し
た。加熱した後に、シートを脱イオン水で長く洗浄し、
減圧で乾燥した。例1、パートAに記載するピクリン酸
結合アセイを用いて膜表面上に存在するアミノ基の量を
求めた。結果を下記の表IIに挙げる: 表II 加熱時間(分) uモルNH2/g膜 1 8.0 2 11.0 3 13.5 例2 ポリ二フッ化ビニリデン膜とチオールとの反応 A.マサチューセッツ,ベドフォード在ミリポアコーポレ
ーションからImmobilon Pとして市販されているポリ二
フッ化ビニリデン膜(細孔0.45μ)の3×1cm片にメタ
ノールを湿潤させて脱イオン水25mlを収容する皿に入れ
た。脱イオン水を2分毎に全5回取り代えた。脱イオン
水4.0ml中に4−アミノチオフェノール2.0ミリモル及び
トリエチルアミン2.5ミリモルを含有する溶液中に膜片
を65℃において35分間浸漬した。膜をメタノールで洗浄
して減圧で乾燥した。ピクリン酸アセイ(例1、パート
Aに記載する)は、膜が乾燥膜1グラム当り約4.1μモ
ルのアミノ基を含有することを示した。
B.ミリポアコーポレーションからImmobilon Pとして市
販されているポリ二フッ化ビニリデン膜(細孔寸法0.45
μ)の1cm×4cm片7つにメタノールを湿潤させて脱イオ
ン水25mlを収容する皿に入れた。脱イオン水を2分毎に
全5回取り代えた。膜片を40%の水性エタノール10.5ml
中水酸化ナトリウム2.0g及び2−アミノ−1−チオエタ
ンハイドロクロリド2.5gの室温溶液に浸漬した。膜片を
種々の時間に溶液から取り出して脱イオン水で洗浄し
た。片をメタノールで洗浄した後に、減圧で乾燥した。
各々の片のピクリン酸結合容量(例1、パートAに記載
する)を求め、結果を下記の表IIIに挙げる: 表III 反応時間(分) uモルNH2/g膜 16 3.7 33 4.4 48 4.5 110 6.1 169 8.3 212 8.7 251 10.3 例3 アミン改質親水性膜の合成 A.先に検討した米国特許4,618,533号に記載されかつミ
リポアコーポレーションからDVPP膜として入手し得る2
−ヒドロキシプロピルアクリレート被覆したポリ二フッ
化ビニリデンの15.5cm×19cm片8つを、1,1′−カルボ
ニルジイミダゾール2.0gを含有するアセトン40mlに室温
において16時間入れた。次いで、膜をアセトンで洗浄し
て減圧で乾燥した。
B.上記の活性化した膜の15.5cm×19cm(例3、パートA
に記載する)3つをアセトン中0.5M1,4−フェニレンジ
アミンの溶液20ml中に室温において16時間入れた。膜片
をアセトンで洗浄して減圧で乾燥した。ピクリン酸結合
アセイ(例1、パートAに記載する)は、材料が乾燥膜
1グラム当り139μモルのアミノ基を含有することを示
した。
C.上記の活性化した膜の15.5cm×19cm(例3、パートA
に記載する)3つをアセトン中0.5M2−(4−アミノフ
ェニル)エチルアミンの溶液20ml中に室温において16時
間入れた。膜片をアセトンで洗浄して減圧で乾燥した。
ピクリン酸結合アセイ(例1、パートAに記載する)
は、材料が乾燥膜1グラム当り約130μモルのアミノ基
を含有することを示した。
D.上記の活性化した膜の15.5cm×19cm片(例3、パート
Aに記載する)2つをアセトン中0.5M1,3−ジアミノプ
ロパンの溶液20ml中に室温において16時間入れた。膜片
をアセトンで洗浄して減圧で乾燥した。ピクリン酸結合
アセイ(例1、パートAに記載する)は、材料が乾燥膜
1グラム当り約132μモルのアミノ基を含有することを
示した。
例4 イソチオシアネート機能化膜の合成 例1、パートA、C、D;例2、パートB;例3、パート
Dにおいて誘導体合成した通りのアミノ機能化PVDF膜の
シートを、乾燥テトラヒドロフラン(THF)中の1,3−フ
ェニレンジイソチオシアネート(DITC)或は2,5−ジク
ロロ−1,4−フェニレンジイソチオシアネート(DCDIT
C)の0.5M溶液中に室温において浸漬した。3時間の後
に、シートを乾燥THFで、次いでメタノールで洗浄し
た。膜を減圧で乾燥し、水分を排除して−20℃で貯蔵し
た。前述したピクリン酸結合アセイを用いて種々の膜の
サンプルをアミノ基の存在についてアセイした。反応の
収率を、膜表面上のアセイ可能なアミノ基の損失から計
算した。結果を下記の表IVに挙げる: 例5 イソチオシアネート機能化膜に共有結合したタン
パク質の配列分析 A.例4(G)に挙げる通りの膜ディスク(直径11.5cm)
にメタノールを湿潤させ、脱イオン水で洗浄した。次い
で、水湿潤させたディスクを、0.25%(w/v)ナトリウ
ムドデシルスルフェート及び馬の心臓ミオグロビン(タ
イプIII;ミズーリ、セントルイス在シグマケミカルカン
パニー)200pモルを含有する0.2Mリン酸ナトリウム緩衝
液(pH8.8)0.2ml中に浸漬した。ディスクをこの溶液中
で(アルゴン下)55℃において30分間インキュベート
し、次いでn−プロピルアミン0.05%(v/v)を含有す
る脱イオン水で洗浄した。
次いで、膜ディスクを直接自動化固相シークエンサー
(モデル8500、マサチューセッツ、ベドホード在ミリポ
アコーポレーションのミリゲン、ディビジョン)の反応
室に入れて本質的にR.A.ローセンがEur.J.Biochem.,20
巻:89頁(1971年)に記載する通りにして30サイクルの
固相エドマン分解にかけた。エドマン分解ケミストリー
をこうして遂行することの重要な特徴は、開裂酸(TF
A)を含む全ての試薬及び溶媒を液体溶液として反応室
に送出することである。イソチオシアネート誘導化膜に
共有結合しなかった全てのタンパク質或はペプチド物質
は反応室から溶出して廃棄物になる。
開裂したアニリノチアゾリノン(ATZ)アミノ酸を30
%(v/v)水性トリフルオロ酢酸(TFA)中で70℃におい
て16時間インキュベートして、対応するフェニルチオヒ
ダントイン(PTH)誘導体に転化させた。ジマーマン(Z
immerman)等、Analyt.Biochem.,77巻:569頁(1977年)
に由来する方法を用いて、30cm×3.9mm5ミクロン「Reso
lve」C−18カラム(マサチューセッツ、ミルホード在
ミリポアコーポレーション、ウォーターズクロマトグラ
フィーディビジョン)の逆転相高圧液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)によってPTHアミノ酸を同定した。クロマ
トグラフィー装置はウォータズ(Waters)600E流体ポン
ピング系、ウォーターズモデル712Dオートサンプラー、
ウォーターズモデル490UV/Vis検出器から成るものであ
った。ウォーターズ820クロマトグラフィーワークステ
ーション及び「マキシマ(Maxima)」データ分析ソフト
ウェアを使用してPTHアミノ酸を269nmにおいて定量し
た。セリン及びトレオニン残基を、それらのベータ脱離
生成物の出現を313nmにおいてモニターすることによっ
て確認した。
配列データをログ[PTH収量]対サイクル数のセミロ
グプロットに変え、線を回帰分析によって合わせた。結
果を第1(a)図に示す。このサンプルについて、初期
配列決定収量は97.6pmol(初期サンプルの48%に相当す
る)であり、平均反復配列決定収率(合わせた線の傾配
から引き出す)は94.8%であった。
B.例4(E)に挙げる通りの膜ディスク(直径11.5cm)
にメタノールを湿潤させ、脱イオン水で洗浄した。水湿
潤させたディスクを次いでワットマン(Whatman)4番
紙(英国メイトストーン在ワットマンリミテッド)の
二重層の上にのせ、紙表面に軽くプレスして過剰の水を
除いた。次いで、ナトリウムドデシルスルフェート0.25
%(w/v)を含有する0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH
8.8)15μl中の細菌モノオキシゲナーゼカンマサブユ
ニット300pモルを直接ピペットで膜表面に移し、液滴を
毛管作用によって約10〜15秒かけて膜ディスクに通して
ブロットさせた。この「ドットブロット」プロセスはベ
ースPVDF膜のタンパク質結合特性を利用して、タンパク
質が膜を通過するにつれて、水溶液からタンパク質を非
共有に吸着する(N.ルジャンドル(LeGendre)及びP.マ
ツダイラ,Biotechniques,6巻:154頁,1988年参照)。次
いで、膜ディスクを50℃に20分間暖めてタンパク質をイ
ソチオシアネート基と共有に反応させ、直接配列反応室
に入れ、上述した通りにして30サイクルについて配列決
定した。未加工のHPLCトレースの例は第2(a)〜
(f)図に示し、各々のサイクルにおいてPTHアミノ酸
の同定を妨げ得るUV吸収材料のバックグラウンドレベル
が非常に小さいことを明瞭に立証している。
第2(a)〜(f)図はDITC活性化PVDFに共有結合し
た細菌モノオキシゲナーゼガンマサブユニットの固相配
列分析からの代表的なシークエンサーサイクルデータを
示す。第2(a)図:シークエンサーサイクル3;ロイシ
ン、141pモル。第2(b)図:シークエンサーサイクル
9;アスパラギン酸、101pモル。第2(c)図:シークエ
ンサーサイクル13;アラニン、77pモル。第2(d)図:
シークエンサーサイクル19;アラニン、55pモル。第2
(e)図:シークエンサーサイクル25;グルタミン酸、4
8pモル。第2(f)図:シークエンサーサイクル28:ア
ラニン、50pモル。示したHPLC分析は回収した全PTH留分
の62.5%を構成する。また、ログ[PTH収量]対サイク
ル数のセミログプロットを第1(b)図に示す。初期配
列決定収量は207pモル(初期サンプルの69%に相当す
る)であり、平均反復配列決定収率は95.9%であった。
C.馬心臓ミオグロビン(タイプIII;シグマケミカルコー
ポレーション)2mgを、ベータメルカプトエタノール1
%(v/v)を含有する10mMトリスグリシン緩衝液(pH8.
3)2ml中に溶解し、2分間沸騰させた。次いで、小アリ
コート(10μl)を勾配SDSポリアクリルアミドゲル電
気泳動にかけた(16cm×12cm×0.15cmゲル;10〜20%ア
クリルアミド勾配;25mMトリス、192mMグリシン、0.1%
(w/v)SDSを含む緩衝液を流す;70ミリアンペア定電流
で4時間電気泳動する;タンク緩衝液を20℃に冷却し
た)。トランスファー(Transphor)エレクトロブロッ
ト装置(カリフォルニア、サンフランシスコ在ホウファ
ー(Hoefer)サイエンティフィックインストルーメン
ツ)を使用して例4(E)の通りにしてDITC活性化PVDF
シート(10cm×10cm)にエレクトロブロットしてSDSゲ
ルからタンパク質サンプルを回収した。SDSゲルを初め
にトランスファー緩衝液(25mMトリス、192mMグリシ
ン、10%(v/v)メタノール)中で15分間予備平衡さ
せ、次いで60Vにおいて1.25時間エレクトロブロット
し、タンク緩衝液を20℃に冷却した。膜をM.R.グリーン
(Green)等のAnalyt.Biochem.,58巻:43頁(1973年)の
方法に従ってステインソール(stainsall)(着色カチ
オン系染料)で膜を染色してブロットしたタンパク質を
可視化させた。染色されたタンパク質バンドを含む11.5
mmディスクを膜シートから切り取り、直接シークエンサ
ー反応室に入れ、上述した通りにして30サイクルの自動
化固相エドマン分解にかけた。ログ[PTH収率]対サイ
クル数のセミログプロットを第1(c)図に示す。初期
配列決定収量は73pモルであり、平均反復配列決定収率
は93.8%であった。
例5(A)〜5(C)に記載しかつ第1(a)〜
(c)に示すサンプルの各々について、配列データをロ
グ[PTH収量]対サイクル数のセミログプロットに変
え、線を回帰分析によって合わせた。カップリング手順
或はATZのPTHへの転化手順(Ser、Thr、Trp、Cys、Ly
s)によって一部破壊された或は低い収率で回収されたP
THアミノ酸残基を回帰分析に入れなかった(▲)。初期
配列収量をY軸との切片から誘導した。平均反復配列決
定収量は適合した線の勾配の真数をとって得た。
(D)例4(A)の通りの膜ディスク(直径11.5cm)に
メタノールを湿潤させ、脱イオン水で洗浄した。次い
で、ディスクを、SDS0.25%(w/v)及び馬心臓ミオグロ
ビン(タイプIII;シグマケミカルコーポレーション)30
0pモルを含有する0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH10.5)
0.3ml中に浸漬した。ディスクを溶液中で(アルゴン
下)55℃において30分間インキュベートし、次いでn−
プロピルアミン0.05%(v/v)を含有する水で洗浄し
た。次いで、膜ディスクを直接シークエンサー反応室に
入れ、上述した通りにして16サイクルの自動化固相エド
マン分解にかけた。初期配列決定収量は98pモル(初期
サンプルの33%に相当する)であり、反復収率は93.5%
であった。
均等 当業者ならばせいぜい日常の実験を用いて、本明細書
に記載する特定の実施態様の多くの均等物を認める或は
突きとめることができよう。このような均等物は特許請
求の範囲に含むつもりである。
【図面の簡単な説明】
第1(a)〜(c)図は発明の代表的な膜に固定化した
タンパク質を配列決定するために配列データをログ(PT
H収量)対サイクル数のセミログプロットの形で示す。 第2(a)〜(f)図は発明の代表的な膜に共有結合し
たタンパク質の固相配列分析からの代表的な配列サイク
ルデータを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12Q 1/00 (72)発明者 マルコム・ジー・プラスカル 米国マサチューセッツ州ベドフォード、 ヒルサイド・アベニュー53 (72)発明者 マイケル・ジェイ・ステューク 米国マサチューセッツ州ノース・リーデ ィング、セントラル・ストリート89 (72)発明者 アレクス・ジー・ボナー 米国マサチューセッツ州レクシントン、 ウィンスロップ・ストリート37 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/26

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ペプチド及びタンパク質を膜表面に共有結
    合させる官能基を有する、固相タンパク質配列決定法に
    用いるのに適した軟質性ポリマー多孔質膜。
  2. 【請求項2】前記官能基を−NH2、−SH、−OH、−COO
    H、イソチオシアネート及びこれらの組合せから成る群
    より選ぶ特許請求の範囲第1項記載の膜。
  3. 【請求項3】−NH2官能基をジイソチオシアネートと反
    応させ、それによりペプチド及びタンパク質を共有結合
    することができる誘導体化膜を与える特許請求の範囲第
    1項記載の膜。
  4. 【請求項4】ポリマーフルオロカーボンを含む特許請求
    の範囲第1項記載の膜。
  5. 【請求項5】ポリマーフルオロカーボンがポリ二フッ化
    ビニリデンを含む特許請求の範囲第4項記載の膜。
  6. 【請求項6】ペプチド及びタンパク質を直接か或は更に
    化学誘導体化した後のいずれかで共有結合するのに適し
    た架橋ポリマーを被覆したプラスチック材料を含む特許
    請求の範囲第1項記載の膜。
  7. 【請求項7】架橋ポリマーが−OH官能価を有する特許請
    求の範囲第6項記載の膜。
  8. 【請求項8】官能基が求核試薬によってもたらされ、求
    核試薬は膜表面或はその上のコーティングに結合するこ
    とができる第1官能基、ペプチド及びタンパク質を共有
    結合することができる或はペプチド及びタンパク質を共
    有結合するように誘導体化することができる第2官能基
    並びに第1及び第2官能基を結合する有機結合ラジカル
    を有する特許請求の範囲第1項記載の膜。
  9. 【請求項9】第1官能基を−NH2、−SH、−OH及び−COO
    Hから成る群より選ぶ特許請求の範囲第8項記載の膜。
  10. 【請求項10】第2官能基を−NH2、−SH、−OH、−COO
    H及びイソチオシアネートから成る群より選ぶ特許請求
    の範囲第8項記載の膜。
  11. 【請求項11】有機結合ラジカルをアルキルラジカル、
    アラルキルラジカル及びアリールラジカルから成る群よ
    り選ぶ特許請求の範囲第8項記載の膜。
  12. 【請求項12】求核試薬が官能基を2個より多く含有す
    る特許請求の範囲第8項記載の膜。
  13. 【請求項13】求核試薬を、1,2−ジアミノエタン、1,1
    0−ジアミノデカン、2−(4−アミノフェニル)エチ
    ルアミン、2−(4−アミノフェニル)フェネチルアミ
    ン、6−(4−アミノフェニル)ヘキシルアミン、1,4
    −ジアミノベンゼン、1,6−ジチオヘキサン、2−チオ
    (4−チオフェニル)エタン、1,4−ジチオベンゼン、
    2−アミノ−1−チオエタン、2−(4−チオフェニ
    ル)エチルアミン、2−チオ(4−アミノフェニル)エ
    タン、4−アミノチオフェノール、ポリビニルアミン及
    びポリエチレンイミンから成る群より選ぶ特許請求の範
    囲第8項記載の膜。
  14. 【請求項14】ペプチド或はタンパク質を膜上に固定さ
    せて有し、該ペプチド或はタンパク質が官能基によって
    膜に共有結合している特許請求の範囲第1項記載の膜。
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