JP2796350B2 - セラミックスの成形方法 - Google Patents

セラミックスの成形方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はセラミックスの成形方法に関する。
〔従来の技術〕
従来、セラミックスの成形は、製品形状、要求される
機械的特性、物理的特性、コストなどを考慮して、泥漿
鋳込成形、金型プレス成形、静水圧成形、射出成形、押
出成形、ドクターブレード成形などが採用されていた。
これらの成形方法ではほとんどの場合、結合剤、可塑
剤、分散剤など成形性を付与する有機材料として熱可塑
性樹脂や低分子の有機化合物が使用されている。
しかし、熱可塑性樹脂や低分子の有機化合物を用いた
場合、特にこれらを多量に添加した場合には、脱バイン
ダー時の昇温に伴い、これらの有機材料が軟化すること
によって、成形体の形状が変化することが問題になって
いた。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は前記問題点を解決するためになされたもので
あり、脱バインダー時の昇温に伴う有機材料の軟化を抑
制して、成形体の形状の変化を小さくし、寸法精度の高
い製品を得ることができるセラミックスの成形方法を提
供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段と作用〕
本発明のセラミックスの成形方法は、セラミックス粉
体に成形性を付与する有機材料としてバインダーおよび
可塑剤並びに該有機材料の硬化剤としてイソシアナート
基をマスク剤でマスクしたブロックイソシアナートを加
え混合して成形する工程と、該成形体中の有機材料を加
熱硬化させる工程、該成形体を焼結して脱バインダーす
る工程とを具備したことを特徴とする。
本発明の他のセラミックスの成形方法は、セラミック
ス粉体に成形性を付与する有機材料としてバインダーお
よび可塑剤並びに該有機材料の硬化剤としてイソシアナ
ート基をマスク剤でマスクしたブロックイソシアナート
を加え混合して成形した後、乾燥する工程と、該成形体
をバインダーの貧溶媒に浸漬して可塑性を付与して再成
形する工程と、該成形体中の有機材料を加熱硬化させる
工程と、該成形体を焼結して脱バインダーする工程とを
具備したことを特徴とする。
本発明においては、セラミックス粉体に成形性を付与
する有機材料及び該有機材料の硬化剤を加え混合した
後、一段の成形工程で線材、板材、パイプ材などの単純
な形状の成形体や、より複雑な形状の成形体を成形する
ことができる。また、セラミックス粉体に成形性を付与
する有機材料及び該有機材料の硬化剤を加え混合した
後、最初の成形(一次成形)工程で線材、板材、パイプ
材などの単純な形状の成形体を成形し、連続的に再成形
(二次成形)を行って複雑な形状の成形体を成形しても
よい。
本発明においては、セラミックス粉体に成形性を付与
する有機材料及び該有機材料の硬化剤を加え混合した
後、最初の成形(一次成形)工程で線材、板材、パイプ
材などの単純な形状の成形体を成形し、これを一旦乾燥
し、更に一次成形体を適当な溶媒に浸漬して可塑性を付
与し、再成形(二次成形)を行って複雑な形状の製品を
成形してもよい。
本発明において、セラミックス粉体は、酸化物系セラ
ミックスでもよいし、非酸化物系セラミックスでもよ
い。
本発明において、添加される有機材料は、非可塑性原
料であるセラミックス粉体に可塑性、保形性を付与し、
しかも焼結により分解し、飛散して焼結体中に残渣とし
て残らないものであることが必要である。使用される有
機材料には結合剤、可塑剤、分散剤などがある。なお、
本発明においては、これらの有機材料の全てを含んで広
義に成形バインダーと呼ぶ場合がある。これらは一般的
に以下の機能を持つことが知られている。結合剤はグリ
ーン成形体の強度を保持する機能、可塑剤は可塑性、柔
軟性を付与する機能、分散剤はセラミックス粉体と有機
材料とを混合したときの均一分散及び有機材料の溶剤の
添加量を低減させる機能を持つ。これらの有機材料とし
ては、混合の際に用いられる溶媒に溶解するものが用い
られる。
結合剤としては、水溶性のものとして、例えばメチル
スルロース、ポリビニルアルコール、水溶性ウレタン、
メタクリル酸又はアクリル酸−メタクリル酸エステル共
重合体などが挙げられる。また、有機溶媒に溶解するも
のとして、例えばポリビニルブチラール、ポリアクリル
酸エステル、ポリメタクリル酸エステルなどが挙げられ
る。これらは硬化剤との反応が可能な官能基、例えば水
酸基、アミノ基などを有することが望ましい。可塑剤と
しては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコールなどの多価アルコールが挙げられる。
このような可塑剤のうちでも特に分子構造としてCH2C
H2O(ただし、nは1以上、より好ましくは4以
上)を有する両親媒性のもの、例えばポリエチレングル
コールが望ましい。また、ポリエチレングリコールの一
端又は両端を−OCH3、−COOCH3、−COOH、−NH2、−C
N、−NHCONH2などの親水基で置換したものでもよい。分
散剤としては、例えばポリカルボン酸アンモニウム塩な
どのポリカルボン酸塩、ステアリン酸エマルジョンなど
を挙げることができる。
本発明において、硬化剤としては、例えばイソシアナ
ート基をマスク剤でマスクしたブロックイソシアナート
が用いられる。ブロックイソシアナートのうちでも水溶
性のもの、例えば分子構造としてCH2CH2O(ただ
し、nは1以上、より好ましくは4以上)を有するウレ
タンプレポリマーが望ましい。イソシアナート基をマス
クするマスク剤としては、メチルエチルケトオキシム
(MEKオキシム)、フェノール、マロン酸ジエチルエス
テル、アセト酢酸エステル、アセチルアセトン、カプロ
ラクタム、青酸などが挙げられる。
ブロックイソシアナートの具体例を、第1表にプレポ
リマー(I)〜(V)として示す。
プレポリマー(I)は、ポリエチレングリコール(数
平均分子量400)に対してT−80(2,4−トリレンジイソ
シアナート(TDI):2,6−トリレンジイソシアナート(T
DI)=80:20(モル比))を反応させ、残存する末端の
イソシアナート基をMEKオキシムでマスクしたものであ
る。
プレポリマー(II)は、ポリエチレングリコール(数
平均分子量400)に対して4,4′−ジフェニルメタンジイ
ソシアナート(MDI)を反応させ、残存する末端のイソ
シアナート基をMEKオキシムでマスクしたものである。
プレポリマー(III)は、グリセリンにポリエチレン
グリコールを付加させたポリオール(数平均分子量60
0)に対してT−80を反応させ、残存する末端のイソシ
アナート基をMEKオキシムでマスクしたものである。
プレポリマー(IV)は、ポリプロピレングリコール
(数平均分子量400)に対してT−65(2,4−TDI:2,6−T
DI=65:35(モル比))を反応させ、残存する末端のイ
ソシアナート基をフェノールでマスクしたものである。
プレポリマー(V)は、ジエチレングリコールとアジ
ピン酸とを縮合させたポリエステルポリオールに対して
T−65を反応させ、残存する末端のイソシアナート基を
フェノールでマスクしたものである。
以上の各原料は適当な配合比で配合されて混合され
る。各原料は、セラミックス粉体100重量部に対して、
結合剤1〜20重量部(好ましくは3〜10重量部)、可塑
剤1〜25重量部(好ましくは5〜20重量部)、分散剤0
〜10重量部(好ましくは0.01〜3重量部)、硬化剤0.1
〜25重量部(好ましくは0.1〜20重量部)、適量の溶媒
という配合比で配合される。
この原料混合物は、ドクターブレード法、押出成形法
などにより所望形状の成形体に成形される。そして、こ
の成形体を加熱することにより、硬化剤からマスク剤が
解離して再生したイソシアナート基が、結合剤、可塑剤
などの有機材料の官能基と反応し、例えばウレタン結合
を形成し、更にアロファネート結合やビュレット結合を
形成して三次元的な架橋を生じて硬化する。
本発明において、一次成形体を一旦乾燥し乾燥収縮さ
せた後、溶媒に浸漬して可塑性を付与して再成形する場
合、この溶媒としては結合剤は軟化させるが溶解しにく
く(結合剤に対する貧溶媒)、可塑成分を溶解させる作
用を有するものが用いられる。この溶媒としては、表面
張力が小さく成形体に対するぬれ性が良好で、かつ成形
体表面からの蒸発速度を任意に調整することができ、有
機材料の軟化度合を調整できる有機系の混合溶媒が望ま
しい。成形体は乾燥した状態では塑性加工が困難である
が、これを溶媒に浸漬すれば、成形体表面の空孔などか
らセラミックス粉体粒子間の表面張力の小さい溶媒が入
り込み、可塑化効果及び有機材料の軟化により成形体に
可塑性を付与することができる。このように溶媒に浸漬
した後の成形体は充分な可塑性を有するので、肉薄のシ
ートや線径の小さい線材でも、良好な寸法精度で再成形
することができる。また、再成形後に溶媒を蒸発させて
も、乾燥収縮は非常に小さく、可塑成分の一部が溶出す
るので成形体の保形性が向上する。この場合も、再成形
された成形体を加熱することにより、硬化剤と有機材料
とが反応して硬化する。
本発明では、成形バインダーを硬化させるので、脱バ
インダー時の昇温過程で成形体中の成形バインダーが軟
化することがなく、成形体は良好な保形性を持つ。した
がって、焼結体の寸法精度が向上し、セラミックス製品
の歩留りも向上する。また、例えば成形バインダーを多
添加して良好な成形性を付与しても、寸法精度の高い焼
結体を得ることができる。これに対して、従来は成形バ
インダーを多添加した場合には、良好な成形性を付与す
ることができるものの、成形体の保形性は著しく悪かっ
た。
また、一次成形で単純形状の成形体を成形し、これを
一旦乾燥した後、一次成形体を適当な溶媒に浸漬して可
塑性を付与し、二次成形を行って複雑な形状の製品を成
形する方法では、単純形状の成形体を在庫として持ち、
必要に応じて溶媒に浸漬して可塑性を付与して二次成形
することができるので、多品種少量の製品を製造するの
に適している。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1(PSZコイルばねの製造) 部分安定化ジルコニア(PSZ)粉体100重量部、メチル
セルロース(結合剤)4重量部、グリセリン(可塑剤)
2重量部、プロピレングリコール(可塑剤)0.5重量
部、プレポリマー(I)(硬化剤)6重量部、ポリカル
ボン酸アンモニウム塩(分散剤)0.5重量部、水16重量
部を混合・混練した後、押出成形機により線径2.0mmの
線材を成形した。なお、硬化剤として含有されているプ
レポリマー(I)は、可塑剤としても作用する。この線
材を乾燥して充分に乾燥収縮させた。この線材をトリク
ロルエチレン50重量%+エチルアルコール50重量%から
なる混合溶媒に浸漬して可塑性を付与した。この線材を
30mm径の芯棒にコイリングし、前記混合溶媒を揮発させ
た後、120℃で60分間加熱した。この加熱により、プレ
ポリマー(I)のマスク剤であるMEKオキシムが解離し
て再生したイソシアナート基と、メチルセルロース、グ
リセリン、プロピレングリコールの末端水酸基とが反応
してこれらが硬化する。この成形体を脱バインダーした
後、1450℃で焼結して、第1図に示すようなPSZコイル
ばねを製造した。
前記加熱硬化後の成形体は成形バインダーが硬化して
おり、脱バインダー時に昇温しても成形バインダーが軟
化することはないので、成形体の保形性が著しく向上す
る。この結果、硬化剤を用いない場合と比較して、焼結
体の寸法精度が向上した。
実施例2(Si3N4コイルばねの製造) Si3N4粉体(焼結助剤含有)100重量部、メチルセルロ
ース(結合剤)7.5重量部、グリセリン(可塑剤)4重
量部、ジエチレングリコール(可塑剤)0.5重量部、プ
ロピレングリコール(可塑剤)0.5重量部、プレポリマ
ー(II)(硬化剤)12重量部、ポリカルボン酸アンモニ
ウム塩(分散剤)0.5重量部、水27重量部を混合・混練
した後、押出成形機により線径3.2mmの線材を成形し
た。なお、硬化剤として含有されているプレポリマー
(I)は、可塑剤としても作用する。この線材を乾燥し
て充分に乾燥収縮させた。この線材をトリクロルエチレ
ン60重量%+エチルアルコール35重量%+イソプロピル
アルコール5重量%からなる混合溶媒に浸漬して可塑性
を付与した。この線材を35mm径の芯棒にコイリングし、
前記混合溶媒を揮発させた後、130℃で60分間加熱し
た。この加熱により、プレポリマー(I)のマスク剤で
あるMEKオキシムが解離して再生したイソシアナート基
と、メチルセルロース、グリセリン、ジエチレングリコ
ール、プロピレングリコールの末端水酸基とが反応して
これらが硬化する。この成形体を脱バインダーした後、
窒素雰囲気下、1750℃で焼結してSi3N4コイルばねを製
造した。
実施例3(Si3N4コイルばねの製造) Si3N4粉体(焼結助剤含有)100重量部、メチルセルロ
ース(結合剤)9.5重量部、プレポリマー(I)(硬化
剤)10重量部、プレポリマー(III)(硬化剤)11重量
部、ポリカルボン酸アンモニウム塩(分散剤)0.5重量
部、水28重量部を混合・混練した後、押出成形機により
線径5mmの線材を成形した。なお、硬化剤として含有さ
れているプレポリマー(I)及びプレポリマー(III)
は、可塑剤としても作用する。この線材を乾燥して充分
に乾燥収縮させた。この線材は、可塑成分を多量に含有
しているため、乾燥状態でもコイリングできる程度に充
分な可塑性があった。この線材を45mm径の芯棒にコイリ
ングし、130℃で60分間加熱した。この加熱により、プ
レポリマー(I)及びプレポリマー(III)のマスク剤
であるMEKオキシムが解離して再生したイソシアナート
基と、メチルセルロースの末端水酸基とが反応してこれ
らが硬化する。この成形体を脱バインダーした後、窒素
雰囲気下、1750℃で焼結してSi3N4コイルばねを製造し
た。
実施例4(Al2O3波板の製造) Al2O3粉体100重量部、ポリビニルアルコール(結合
剤)4重量部、プレポリマー(I)(硬化剤)6重量
部、プレポリマー(III)(硬化剤)5重量部、ステア
リン酸エマルジョン(分散剤)1重量部、水28重量部を
混合・混練した後、押出成形機により板幅50mm、板厚2m
mの板材を成形した。なお、硬化剤として含有されてい
るプレポリマー(I)及びプレポリマー(III)は、可
塑剤としても作用する。この板材を乾燥して充分に乾燥
収縮させた。この板材は、乾燥状態でも充分な可塑性が
あった。この板材をプレスにより波形形状に保持した状
態で、130℃で60分間加熱した。この加熱により、プレ
ポリマー(I)及びプレポリマー(III)のマスク剤で
あるMEKオキシムが解離して再生したイソシアナート基
と、ポリビニルアルコールの水酸基とが反応してこれら
が硬化する。この成形体を脱バインダーした後、1600℃
で焼結して、第2図に示すように、幅42mm、長さ84mm、
波高さ5mm、板厚1.7mmのAl2O3波板を製造した。
実施例5(Al2O3薄板の製造) Al2O3粉体100重量部、ポリビニルアルコール(結合
剤)8重量部、グリセリン(可塑剤)3重量部、プレポ
リマー(I)(硬化剤)8重量部、ポリカルボン酸アン
モニウム塩(分散剤)0.5重量部、水48重量部を混合し
てスラリーを調製した後、ドクターブレード法により板
厚0.2mmの薄板を成形した。なお、硬化剤として含有さ
れているプレポリマー(I)は、可塑剤としても作用す
る。この薄板の上下を押え板で挟んで矯正した状態で、
130℃で60分間加熱した。この加熱により、プレポリマ
ー(I)のマスク剤であるMEKオキシムが解離して再生
したイソシアナート基と、ポリビニルアルコール、グリ
セリンの水酸基とが反応してこれらが硬化する。この成
形体を脱バインダーした後、1600℃で焼結してAl2O3
板を製造した。
実施例6(Al2O3時計皿の製造) 実施例5と同様にして、ドクターブレード法により板
厚1mmの薄板を成形した。この薄板は乾燥状態でも充分
な可塑性があった。この薄板を直径35mmの円板に打ち抜
いた。この円板をプレスにより時計皿形状となるように
保持した状態で、130℃で60分間加熱した。この成形体
を脱バインダーした後、1600℃で焼結して、第3図
(a)及び(b)に示すようなAl2O3時計皿を製造し
た。
実施例7(Si3N4ピストンリングの製造) Si3N4粉体(焼結助剤含有)100重量部、メチルセルロ
ース(結合剤)9重量部、プレポリマー(I)(硬化
剤)9重量部、プレポリマー(III)(硬化剤)9重量
部、ポリカルボン酸アンモニウム塩(分散剤)0.6重量
部、水29重量部を混合し、混練した後、押出成形機によ
り板幅50mm、板厚5.3mmの板材を成形した。なお、硬化
剤として含有されているプレポリマー(I)及びプレポ
リマー(III)は、可塑剤としても作用する。この板材
を充分に乾燥して乾燥収縮させた後、幅4.4mmに切断し
て角材を得た。この角材をトリクロルエチレン60重量%
+エチルアルコール35重量%+イソプロピルアルコール
5重量%からなる混合溶媒に浸漬して可塑性を付与し
た。この角材を40mm径の芯棒に巻いてピストンリング形
状の成形体を得た。この成形体を130℃で60分間加熱し
た。この加熱により、プレポリマー(I)及びプレポリ
マー(III)のマスク剤であるMEKオキシムが解離して再
生したイソシアナート基と、メチルセルロースの末端水
酸基とが反応してこれらが硬化する。この成形体を脱バ
インダーした後、窒素雰囲気下、1750℃で焼結して、第
4図(a)及び(b)に示すようなSi3N4ピストンリン
グを製造した。
実施例8(Al2O3波板の製造) Al2O3粉体100重量部、ポリビニルブチラール(結合
剤)6重量部、ジブチルフタレート(可塑剤)2重量
部、プレポリマー(IV)(硬化剤)8重量部、ポリカル
ボン酸塩(分散剤)0.5重量部、トリクロルエチレン40
重量部、エチルアルコール15重量部、を混合してスラリ
ーを調製した後、ドクターブレード法により板幅40mm、
板厚0.6mmの薄板を成形した。なお、硬化剤として含有
されているプレポリマー(IV)は、可塑剤としても作用
する。この薄板をプレスにより幅40mm、高さ40mm、1サ
イクルの長さ10mmの波板形状に成形した。その後、150
℃で40分間加熱した。この加熱により、プレポリマー
(IV)のマスク剤であるフェノールが解離して再生した
イソシアナート基と、ポリビニルブチラール中のブチラ
ール化されなかったポリビニルアルコールの水酸基とが
反応してこれらが硬化する。この成形体を脱バインダー
した後、1600℃で焼結して、第5図に示すような幅33m
m、高さ33mm、1サイクルの長さ8.25mmのAl2O3波板を製
造した。
なお、プレポリマー(IV)の代わりにポリプロピレン
グリコール(数平均分子量400)を使用し、波板を成形
して焼結した。しかし、脱バインダー時に成形体が軟化
して変形し、第5図に示すような波板を製造することは
できなかった。
実施例9(PSZコイルばねの製造) 部分安定化ジルコニア100重量部、ポリビニルブチラ
ール(結合剤)5重量部、ジブチルフタレート(可塑
剤)2重量部、プレポリマー(V)(硬化剤)4.5重量
部、トリクロルエチレン40重量部、エチルアルコール15
重量部をボールミルで混合し、スラリーを調製した。こ
のスラリーから溶媒量が10重量%以下になるまで溶媒を
揮発させた後、押出成形機で線径4.2mmの線材を成形し
た。この線材を直径40mmの芯棒にコイリングした後、15
0℃で60分間加熱した。この加熱により、プレポリマー
(V)のマスク剤であるフェノールが解離して再生した
イソシアナート基と、ポリビニルブチラールの水酸基と
が反応してこれらが硬化する。この成形体を脱バインダ
ーした後、1450℃で焼結して、PSZコイルばねを製造し
た。
〔発明の効果〕
以上詳述したように本発明では、セラミックス粉体に
成形性を付与する有機材料及び該有機材料の硬化剤を加
え混合して成形し、この成形体を加熱硬化させるので、
脱バインダー時の昇温過程で成形体中の成形バインダー
が軟化することがなく、成形体は良好な保形性を持つよ
うになる。したがって、成形体の寸法精度が向上し、セ
ラミック製品の歩留りも向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例1において製造されたセラミッ
クコイルばねの正面図、第2図は本発明の実施例4にお
いて製造されたセラミック波板の斜視図、第3図(a)
は本発明の実施例6において製造されたセラミック時計
皿の平面図、同図(b)は同図(a)の断面図、第4図
(a)は本発明の実施例7において製造されたセラミッ
クピストンリングの平面図、同図(b)は同図(a)の
断面図、第5図は本発明の実施例8において製造された
セラミック波板の斜視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 埜村 秀 長野県駒ケ根市赤穂1170番地の3 株式 会社日発グループ中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−36167(JP,A) 特開 昭61−232263(JP,A) 特開 昭59−190255(JP,A) 特開 昭60−72706(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/00 - 35/22 C04B 35/622 - 35/636

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックス粉体に成形性を付与する有機
    材料としてバインダーおよび可塑剤並びに該有機材料の
    硬化剤としてイソシアナート基をマスク剤でマスクした
    ブロックイソシアナートを加え混合して成形する工程
    と、該成形体中の有機材料を加熱硬化させる工程、該成
    形体を焼結して脱バインダーする工程とを具備したこと
    を特徴とするセラミックスの成形方法。
  2. 【請求項2】セラミックス粉体に成形性を付与する有機
    材料としてバインダーおよび可塑剤並びに該有機材料の
    硬化剤としてイソシアナート基をマスク剤でマスクした
    ブロックイソシアナートを加え混合して成形した後、乾
    燥する工程と、該成形体をバインダーの貧溶媒に浸漬し
    て可塑性を付与して再成形する工程と、該成形体中の有
    機材料を加熱硬化させる工程と、該成形体を焼結して脱
    バインダーする工程とを具備したことを特徴とするセラ
    ミックスの成形方法。
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