JP2794959B2 - 相分離母線用導体管及びその製造方法 - Google Patents

相分離母線用導体管及びその製造方法

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JP2794959B2 JP3021586A JP2158691A JP2794959B2 JP 2794959 B2 JP2794959 B2 JP 2794959B2 JP 3021586 A JP3021586 A JP 3021586A JP 2158691 A JP2158691 A JP 2158691A JP 2794959 B2 JP2794959 B2 JP 2794959B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、発電所において、発
電機と主変圧器との間を接続する場合などに用いる相分
離母線用導体管及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】相分離母線は導体として使用される複数
個の円筒状の導体管とこれらより大きな外径を有しこれ
らを内部に絶縁的に収容する外被として使用される円筒
状の導体管とから成る。導体にはたとえば20kV、数〜数
十kAの大電流が通電される。この電流によって発生する
漏れ磁束を相殺するために、接地された外被にも、導体
の電流と同じ大きさで180゜位相が異なる外被電流が流
される。
【0003】以上の大電流の交流通電とその表皮効果を
考慮しつつ所定の通電断面積を得るため、上記の導体及
外被として使用される導体管はいずれも一般に肉厚10
mm前後の工業用純アルミニウム又はアルミニウム合金に
よって製作される。次に図9に示した導体管(1)を例
に、その構造を説明する。円筒形に成形されたアルミニ
ウム板のあわせ目がとび溶接されて最長2m程度の
の導体単管(2a)(2b)(2c)が製作されている。この導体単
管の複数本が必要に応じて周溶接接続部(3)において溶
されて導体管(1)として使用される。
【0004】図10に上記周溶接接続部(3)の拡大断面を
示した。大電流通電に伴う溶接接続部の異常発熱及び接
続部の経年劣化を防止するため、上記の周溶接接続部は
素材肉厚方向の溶け込み深さが確実に100%となるよう
にV形開先(9a)(9b)で開先みぞ深さの深い突き合わせ溶
接構造としている(この溶接構造を以降略してV形溶接
と呼ぶ)。又導体単管(2a)(2b)間の接続を容易にするた
め、あらかじめ一方の導体単管(2a)の端に裏当てリング
(8)を図中矢印X方向(管の内側)からのとび溶接によ
り取り付けてある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来は導
体単管の端部にV字形の開先(9a)(9b)を設ける開先
施すことが必要であった。しかし導体単管が大口径
(通常400mm〜1500mm)であり、その材質(アルミ
ニウム)が軟弱であることに加えて、大型加工機械への
装着などに手間取るためV字形の開先加工の作業性が悪
かった。又V形溶接であるため、外面から見える溶接ビ
ート幅(図中Aで示す幅)は数値的には導体単管素材の
アルミニウム板の肉厚の約2倍程度と大きくなり、それ
に従ってビード部分が大きく盛り上がるので、外観の美
観を保つため導体単管外形と同じ高さになるように接続
部を研磨する要求がある場合もあった。また裏当てリン
グ(8)を一方の導体単管(2a)の端に溶接するに当って管
の内側に作業者が顔、体の一部、溶接トーチ等を入れて
無理な姿勢で溶接作業を行う必要があり作業性が悪かっ
た。
【0006】この発明は、上記のような問題点を解決す
るためになされたもので、周溶接のための開先加工が不
要であり、また裏当てリングの溶接の作業性が良く、更
に溶接ビード幅も小さく外観の美観を保つことが可能な
相分離母線用導体管及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る相分離母
線用導体管は、肉厚tを有する第1の導体単管、前記第
1の導体単管と同軸に、端部を互に対向させて、端部間
のギャップを0.7×tに選択して位置させた肉厚tを有
する第2の導体単管、前記ギャップを前記第1及び第2
の導体単管の内壁側から塞ぐ裏当てリング、前記第1及
び第2の導体単管の端部及び前記裏当てリングによって
囲まれた前記ギャップ全体に充満して形成された周溶接
ビード部分、を具備する。
【0008】この発明に係る相分離母線用導体管の製造
方法は、肉厚がtである第1の導体単管の端部に裏当て
リングの一部を挿入する工程、前記第1の導体単管の端
部と裏当てリングの外周面の接触部を溶接することによ
って第1の導体単管に裏当てリングを接続する工程、前
記第1の導体単管の端部と肉厚がtである第2の導体単
管の端部との間のギャップを0.7×tに選択しつつ、前
記裏当てリングを同第2の導体単管に挿入する工程、前
記第1及び第2の導体単管の端部及び前記裏当てリング
によって囲まれた前記ギャップ全体を充満するように、
ギャップから外に露出している裏当てリングの外面及び
導体単管の端面に対し外側から周溶接ビード部分を形成
する周溶接工程、を具備する。
【0009】
【作用】この発明において、肉厚tを有する第1及び第
2の導体単管の端部間のギャップが0.7tであるので、
第1及び第2の導体単管の端部及び裏当てリングによっ
て囲まれたギャップ全体に周溶接ビード部分が充満し、
裏当てリングに到達して形成される。更にこの発明の相
分離母線用導体管の製造工程において第1の導体単管と
裏当てリングの溶接接続が第1の導体単管の端部と裏当
てリングの外周面の接触部において行われる。
【0010】
【実施例】図2はこの一実施例による相分離母線用の導
体管(12)を構成する導体単管(12a)と導体単管(12b)の周
溶接接続部の溶接前の拡大断面を示す。図2に示すよう
に導体単管(12a)(12b)の端面(19a)(19b)は単管表面に対
して垂直である。つまりこの端面は導体単管用の製作材
料のアルミニウム板を切断した切断面のままである。ま
た一方の導体単管(12a)の内側に裏当てリング(18)があ
らかじめ図中矢印Yの方向からのとび溶接によって接続
されている。この裏当てリング(18)は一般に導体管(12)
と同様に工業用純アルミニウムやアルミニウム合金で製
作される。前記端面(19a)(19b)間の距離すなわちギャッ
プ幅Gの導体単管(12a)(12b)の肉厚tに対する比(この
比を以後ギャップ比g(=G/t)と呼ぶ。)は後述する
理由から0.7である。
【0011】図1に上記周溶接接続部の溶接後の拡大断
面を示す。導体単管の素材と溶接棒が溶けあって形成さ
れた周溶接ビード部(17)が十分裏当てリング(18)にまで
達し、溶け込み深さ100%の完璧な溶接接続が達成され
ていることが分る。以上の溶接は一般にミグ(MIG)
溶接(metal inert gas arc welding)やティグ(TI
G)溶接(tungsten inert gas arc welding)によって
行われる。又外面から観察される溶接ビード幅Bは前記
肉厚tの1.5倍程度で、従来の溶接ビード幅Aが肉厚t
の2倍程あるのに比較して小さく、それに伴い溶接ビー
ド部の盛り上がりも従来のV形溶接より少くなってい
る。従って外観上一般的な溶接部と同程度に見える。
【0012】前記ギャップ比gを各々0.5, 0.7, 1.0と
した3つの例のテストピースの溶接部の金属組織を示す
断面の写真を図3〜図5に示した。尚これらの例では導
体単管(12a)(12b)の肉厚tを10mmに統一して溶接を行な
った。ギャップ比g=0.5の場合、図3から明らかなよ
うに溶け込み深さが約60%であり、導体単管の内壁面ま
での残り約40%が非溶着部として残っており、裏当てリ
ング(18)も脱離してしまっている。すなわちg=0.5で
は溶け込み深さ100%の溶接は達成できない。ギャップ
比g=1.0の場合、図5から明らかなように、溶接ビー
ドも裏当てリング(18)に十分溶け込んで、溶け込み深さ
100%の溶接が達成されていることが分る。ところが本
例においては溶接完了に必要な溶接パス数がg=0.5や
g=0.7の場合の3回に比較して1回多い4回であっ
た。つまり他の例に比べて溶接作業時間が増加するとい
う欠点があった。更に外側より観察される溶接ビード幅
も約20mmと肉厚tの2倍にも達し、従来のV形溶接の際
の溶接ビード幅と同程度となっていた。従ってg=1.0
は作業時間や外観の点から適切なギャップ比とはいえな
い。ギャップ比g=0.7の場合、図4から明らかなよう
に、溶接ビードも裏当てリング(18)に十分溶け込んで、
溶け込み深さ100%の溶接が達成されていることが分
る。更に溶接完了に必要な溶接パス数も3回で、g=0.
5の例と同様であり、溶接作業時間も適当な範囲であ
る。又外観より観察される溶接ビード幅も約16mmと肉厚
tの1.6倍であり、従来のV形溶接の際の溶接ビード幅
より狭くなった。従って溶け込み深さ100%の溶接を適
当な溶接作業時間で達成でき、かつ従来例の溶接ビード
幅よりも狭い溶接ビード幅を得られるので、ギャップ比
g=0.7は最適なギャップ比である。
【0013】実際には図3〜図5に示した実験以外に、
肉厚10mm前後の導体用及び外被用の導体管について数多
くの実験を行った。それらの結果から前記ギャップ比g
=0.7近傍が最適であることが分った。つまりギャップ
比g=0.7の前後例えば0.6と0.8においてもほぼ良好な
溶接は可能であるが作業性、外観上からギャップ比gが
実質的に0.7の場合が最適であるということが確認され
た。次に図6〜図8に導体管(12)の製作工程を示した。
図6は導体単管(12a)の斜視図である。導体単管(12a)は
円筒形に成形したアルミニウム板のあわせ目(10)をとび
溶接して製作されている。次に図7に示すように導体単
管(12a)の内側に裏当てリング(18)を図中矢印Yの方向
すなわち外側からとび溶接によって取り付ける(詳細は
図2を合わせて参照。)。従来のV形溶接では図10のC
部分の突き合わせ部分を密着させる上で溶接ビードが障
害となるのでこのような図2及び図7に示したY方向か
らの溶接は不可能であった。これに対して図2より分る
ように本実施例の場合は密着部分を必要としない構造で
あるのでY方向からの溶接が可能となっている。このと
び溶接は図10に示した図中X方向(管の内側からの方
向)からの従来の裏当てリング(8)の溶接に比較して作
業性が良い。つまり従来は、作業者が顔、体の一部、溶
接トーチ等を導体単管(2a)端部からその内側に入り込ま
せて、無理な姿勢で溶接作業を行う必要があり作業性が
悪かった。これに対して図7より分るように、本実施例
の裏当てリング(18)の溶接では従来のような無理な姿勢
をとる必要がないので、溶接作業の作業性が良くなっ
た。図8に示すように裏当てリング(18)を取り付けた導
体単管(12a)(12b)(12c)複数本を以上に説明した周溶
接続部(3)によって接続して必要な長さlの導体管(12)
を得る。
【0014】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば第1及
び第2の導体単管の端部及び裏当てリングによって囲ま
れたギャップ全体に周溶接ビード部分が充満し、裏当て
リングに到達して形成されるので、導体単管の端部に格
別の開先加工を施す必要がなく、したがって外観上の溶
接ビード幅も小さい、溶け込み深さが100%の周溶接ビ
ード部分を有する相分離母線用導体管が得られる。更に
この発明の相分離母線用導体管の製造工程において第1
の導体単管と裏当てリングの溶接接続が第1の導体単管
の端部と裏当てリングの外周面の接触部において行われ
るので第1の導体単管内壁面と裏当てリングの端部の接
触部で溶接接続を行うのに比較して作業性が良いという
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の導体管(12)を構成する導
体単管(12a)と導体単管(12b)の周溶接接続部の溶接前の
拡大断面図。
【図2】この発明の一実施例の導体管(12)を構成する導
体単管(12a)と導体単管(12b)の周溶接接続部の溶接後の
拡大断面図。
【図3】ギャップ比g=0.5のテストピースの溶接部の
金属組織を示す断面の写真。
【図4】ギャップ比g=0.7のテストピースの溶接部の
金属組織を示す断面の写真。
【図5】ギャップ比g=1.0のテストピースの溶接部の
金属組織を示す断面の写真。
【図6】この発明の一実施例に使用する導体単管(12a)
の斜視図。
【図7】この発明の一実施例に使用する導体単管(12a)
と裏当てリング(18)の接続を示す断面図。
【図8】この発明の一実施例の導体管(12)の構成を示す
断面図。
【図9】従来の導体管(1)の構成を示す断面図。
【図10】従来の導体管(1)を構成する導体単管(2a)と
導体単管(2b)の周溶接接続部の溶接後の拡大断面図。
【符号の説明】
12 導体管 12a,12b 導体単管 17 周溶接ビード部 18 裏当てリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 9/00 B23K 9/02 - 9/38 H02G 5/00 - 5/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肉厚tを有する第1の導体単管、 前記第1の導体単管と同軸に、端部を互に対向させて、
    端部間のギャップを0.7×tに選択して位置させた肉厚
    tを有する第2の導体単管、 前記ギャップを前記第1及び第2の導体単管の内壁側か
    ら塞ぐ裏当てリング、 前記第1及び第2の導体単管の端部及び前記裏当てリン
    グによって囲まれた前記ギャップ全体に充満して形成さ
    れた周溶接ビード部分、 を具備する相分離母線用導体管。
  2. 【請求項2】 肉厚がtである第1の導体単管の端部に
    裏当てリングの一部を挿入する工程、 前記第1の導体単管の端部と裏当てリングの外周面の接
    触部を溶接することによって第1の導体単管に裏当てリ
    ングを接続する工程、 前記第1の導体単管の端部と肉厚がtである第2の導体
    単管の端部との間のギャップを0.7×tに選択しつつ、
    前記裏当てリングを同第2の導体単管に挿入する工程、 前記第1及び第2の導体単管の端部及び前記裏当てリン
    グによって囲まれた前記ギャップ全体を充満するよう
    に、ギャップから外に露出している裏当てリングの外面
    及び導体単管の端面に対し外側から周溶接ビード部分を
    形成する周溶接工程、 を具備する相分離母線用導体管の製造方法。
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PL121764B1 (en) * 1976-07-06 1982-05-31 Stocznia Szczecinska Method of making butt welds by hidden arc weldingedinenijj

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