JP2794687B2 - ポリエステルフイルム - Google Patents
ポリエステルフイルムInfo
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- JP2794687B2 JP2794687B2 JP61121764A JP12176486A JP2794687B2 JP 2794687 B2 JP2794687 B2 JP 2794687B2 JP 61121764 A JP61121764 A JP 61121764A JP 12176486 A JP12176486 A JP 12176486A JP 2794687 B2 JP2794687 B2 JP 2794687B2
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- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上絵の利用分野〕
本発明は難燃性配向ポリエステルフイルムに関する。
本発明の目的は配向ポリエステルフイルムがもつ外
観,透明性,機械的強度,電気的性質及び高次加工性な
どの特長を損うことなく,難燃性に優れた配向ポリエス
テルフイルムを提供することにある。 特に,印刷回路基板,メンブレンスイツチ,タツチキ
ーボード,家電機器の透明窓材など2軸延伸ポリエステ
ルフイルムが強度,耐熱性,寸法安定性,電気絶縁性,
透明性などの特長から汎用化されている用途で,難燃化
は社会的要求になつている。また,一方向に延伸された
透明な1軸配向ポリエステルフイルムが液晶デイスプレ
イ用途で使用され,同じく難燃化の必要がある。 〔従来技術〕 従来,一般にポリエステル成形体を難燃化する手段と
して臭素などのハロゲン含有化合物,リン含有化合物,
金属化合物などをポリエステルに添加混合し溶融押出成
形するか或いは成形体の表面にこれら難燃性化合物を塗
布する方法が用いられ,例えば特公昭49−45295,特公昭
55−50985号,特公昭60−21184,或いは特公昭59−42692
で知られている。 これらのうちでも種々の亜リン酸エステル,リン酸お
よびリン酸エステル,ホスホン酸エステル及びこれらの
ハロゲン原子を含有する誘導体は比較的良好な難燃性を
ポリエステルに付与する。 〔従来技術の問題点〕 しかし,これらリンを含む酸およびそのエステル類は
一般に重合時のリンの飛散,重合反応性の低下を生じ,3
官能性の化合物はポリマーのゲル化をともなう。また,
溶融押出成形性の悪化およびフイルムの耐熱性,耐加水
分解性の低下など生産上および実用上に問題点が多い。 また,臭素を含有する化合物はポリエステルの溶融押
出温度において臭化水素その他の腐蝕性,有毒性物質を
発生し臭気,環境汚染,設備腐蝕など安全,衛生上の問
題点が多い。 また,臭素化合物と三酸化アンチモンを添加する方法
はポリエステルフイルムの延伸が難しくなるとともに透
明性や機械的強度が低下する。 これらの従来技術に対して特開昭54−126278は特定の
リン化合物を特定量共重合したポリエステルフイルムを
提案している。しかしながら,該技術も原料乾燥時のチ
ツプの粘着,押出成形性の悪化などの加工性の低下,な
らびにフイルムの耐熱性,耐加水分解性の低下など生産
上および品質上の欠点がある。 本発明者らはこれらの欠点を解決するため鋭意研究の
結果,リン化合物の共重合ポリエステルおよびこれらを
配合したポリエステル組成物を用いてポリエステルフイ
ルムの優れた諸特性を保持しつつ難燃性を付与しうるこ
とを見出し本発明に到達した。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は,線状ポリエステルを主体とし,少なくとも
一方向に配向したポリエステルフイルムにおいて,該線
状ポリエステルは,主鎖にエステル結合したエステル成
形性官能基を2個有するリン化合物を含有し、該エステ
ル形成性官能基を2個有するリン化合物中のリン元素量
が該ポリエステルの重量に対し0.03〜0.48重量%である
ポリエステルフイルムを特徴とするものである。 本発明でいう線状ポリエステルとはポリエチレンテレ
フタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート等の芳香族ポリエステルであ
り,またその酸成分の一部またはそのグリコール成分の
一部が他のジカルボン酸成分,例えばイソフタル酸,5−
ナトリウムスルホインフタル酸,ジフエノキシエタンジ
カルボン酸,アジピン酸,セバシン酸成分等,あるいは
他のグリコール成分,例えばジエチレングリコール,プ
ロピレングリコール,トリメチレングリコール,テトラ
メチレングリコール,ネオペンチルグリコール,1,4−シ
クロヘキサンジメタノール,ポリエチレングリコール,
ビスフエノールA成分等で置換された共重合ポリエステ
ルフイルムであつてもよい。 該ポリエステルはエステル形成性官能基を2個有する
リン化合物を共重合することによりリン元素を全ポリエ
ステルに対して0.03〜0.48重量%含有せしめる必要があ
り,特に好ましくは0.1〜0.48重量%である。 リン元素が0.03重量%未満の場合は得られる配向ポリ
エステルフイルムの難燃性が不充分となり所期の目的が
達成できない。一方,ポリエステルフイルムのリン元素
量が0.48重量%より大きい場合はチツプの乾燥工程にお
いてチツプ同志がくつついて塊状になり乾燥機の器壁に
チツプが付着して乾燥およびチツプの排出が困難にな
る。 また,加熱溶融押出工程において重合度低下が著し
く,押出成形性の悪化によるフイルムの厚みムラの増
大,タテ延伸ロールへの粘着が発生するうえ,ポリエス
テルフイルムの耐熱性など実用上の性質が低下する。 本発明で使用する主鎖にエステル結合したエステル形
成性官能基を2個有するリン化合物とは、式(I)で示
されるホスホネート,式(II)で示されるホスフイネー
トあるいは式(III)で示されるホスフインオキシドが
である。 式中,R1,R5は夫々同じか又は異なる基であつて炭素数
が1〜18の炭化水素基を表し,R2,R3は夫々同じか又は異
なる基であつて炭素数が1〜18の炭化水素基又は水素原
子を表し,A1,A2は炭素数が2〜8の2価又は3価の有機
残基を表し,R4はカルボキシル基又はそのエステルを表
し,R6はカルボキシル基又はそのエステル,あるいは互
いに で示される基を介してA2と環を形成する2価のエステル
形成性官能基を表す。 式(I)で示されるリン化合物の好ましい例としては
フエニルホスホン酸ジメチル,フエニルホスホン酸ジフ
エニルなどが用いられる。 式(II)のリン化合物の好ましい例としては(2−カ
ルボキシエチル)メチルホスフイン酸,(2−メトキシ
カルボニルエチル)メチルホスフイン酸メチル,(2−
カルボキシエチル)フエニルホスフイン酸,(2−メト
キシカルボニルエチル)フエニルホスフイン酸メチル,
(4−メトキシカルボニルフエニル)フエニルホスフイ
ン酸メチル,(2−(β−ヒドロキシエトキシカルボニ
ル)エチル)メチルホスフイン酸のエチレングリコール
エステルなどが用いられる。 式(III)のリン化合物の好ましい例としては(1,2ジ
カルボキシエチル)ジメチルホスフインオキシド,(2,
3ジカルボキシプロピル)ジメチルホスフインオキシ
ド,(1,2ジメトキシカルボニルエチル)ジメチルホス
フインオキシド,(2,3ジメトキシカルボニルエチル)
ジメチルホスフインオキシド,(1,2ジ(β−ヒドロキ
シエトキシカルボニル)エチル)ジメチルホスフインオ
キシド,(2,3ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニ
ル)エチル)ジメチルホスフインオキシドなどが用いら
れる。 これらの化合物の中で特に式(II)の化合物がポリエ
ステルとの共重合反応性がよいことおよび重合反応時の
飛散が少ないことなどから好ましい。 上記リン化合物の添加方法は特に制約はないが予めエ
チレングリコールと混合したりあるいは反応させてから
添加してもよい。添加時期もエステル交換反応あるいは
エステル化反応前から重合反応終了までの任意の段階で
よいが,操作性がよいこと,副反応が少ないことなどか
らエステル化反応後,重合反応前が好ましい。 また,本発明におけるポリエステルは,主鎖にエステ
ル結合したエステル形成性官能基を2個有するリン化合
物が共重合されたポリエステルに,主鎖にエステル結合
したエステル形成性官能基を2個有するリン化合物の共
重合されないポリエステルを混合したものであつてもよ
い。この場合のリン元素の含有量は,主鎖にエステル結
合したエステル形成性官能基を2個有するリン化合物中
のリン元素量が上記混合したポリエステルの重量に対
し,0.03〜0.48重量%、(好ましくは0.1〜0.48重量%)
でなければならない。 なお本発明におけるポリエステルには従来公知の添加
剤が本発明の目的を損ねない程度に添加されていてもよ
い。例えばポリエステルフイルムに通常用いられている
顔料,安定化剤,可塑剤,制電剤,潤滑等々が添加され
ていてもよい。 本発明の少なくとも一方向に配向したポリエステルフ
イルムとは,上記ポリエステルを一方向または縦横2方
向に配向させたフイルムであつて,その配向度は特に限
定されないが,ポリエステルフイルムの特長が発揮され
るためには次式で定義される面配向の複屈折Δnpが0.1
以上であることが好ましい。 ここで,nは屈折率,添字α,β,γはフイルムの光学
的3主軸であり,nα≦nβ≦nγと定められている。配
向したポリエステルフイルムでは,αが厚さ方向,β,
γはフイルム面内にある。 3方向の屈折率は,アツベの屈折計と検光子を用いて
測定できる。 本発明のフイルムは,厚さは特に限定されないが1〜
500μmであることが好ましい。 以下,実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。 実施例中のポリマーの固有粘度(以下IVと称す)はオ
ルソクロルフエノール溶液の25℃における測定値であ
る。 またフイルムの難燃性の評価はアンダーライターラボ
ラトリーズ社発行のプラスチツク材料の難燃性試験規格
UL94の水平燃焼試験法により,UL94−HBの適否を判定し
た。ヘイズはASTM D1003にその他の試験はJIS−C−23
18に従つて行なつた。 各実施例および比較例で得られたフイルムの試験デー
タは,それぞれ表1にまとめて示す。 実施例1 テレフタル酸とエチレングリコールより直接エステル
化法でビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートおよ
びその低重合体を合成し,(2−カルボキシエチル)メ
チルホスフイン酸のエチレングリコールエステルを,リ
ン元素量がポリマに対して0.30重量%に相当する量添加
し,三酸化アンチモンをポリマに対して0.03%添加した
のち,30分間で反応系を250℃から285℃に昇温すると同
時に常圧から0.5mmHgに減圧し,150分間この温度と減圧
度を維持して所定の重合度に達するまで反応を行なつ
た。ポリマはシート状に吐出し,冷却,固化,裁断して
チツプにした。得られたポリエステルのIVは0.667,ポリ
マ中のリン元素量は0.29重量%である。 このチツプをスチームジヤケツトを有する回転式真空
乾燥機を用いて175℃で2時間真空乾燥した。チツプ相
互の粘着による塊状化はなく,乾燥機の器壁へのチツプ
の付着もほとんどなかつた。乾燥チツプを280℃でTダ
イから溶融押出して28℃の冷却ドラム面上でシート状に
成形したのち,低速の加熱ロール群と高速ロール群の間
で90℃で縦方向(MD)に3.2倍延伸し,次いでテンター
装置で125℃で横方向(TD)に3.3倍延伸し,225℃で熱処
理しつつ横方向に5.3%収縮させ,冷却して巻取り,厚
さ約100μの2軸延伸フイルムを得た。 得られたフイルムの性質は,主鎖にエステル結合した
エステル形成性官能基を2個有するリン化合物を添加せ
ずに重合し,同じ条件で製膜した比較例1のフイルムと
遜色なく,かつ難燃性が優れている。 以下の実施例,比較例の2軸延伸フイルムの厚さは,
すべて約100μである。 実施例2,3 実施例1と同じリン化合物の添加量を変え,重合時間
を僅かに調整して,ポリマ中のリン元素量が0.03重量
%,および0.45重量%の2種のポリエステルを得た。前
者(実施例2)では,実施例1と同条件で行なつた乾燥
および製膜工程に何ら問題はなく,フイルムの難燃性は
UL94−HBに適合した。後者(実施例3)では,同じ条件
で乾燥した結果,乾燥を終つてチツプを排出したのち乾
燥機の器壁に若干量のチツプの付着が認められたが,容
易に掻き落すことができた。また,実施例1と同じ条件
で製膜したとき,縦延伸工程で加熱ロールに粘着する傾
向を示したが,ロール温度を平均2℃下げることで安定
化した。実施例3のフイルムの性質は,2軸延伸ポリエス
テルフイルムの特性を保ち,難燃性は優れている。耐熱
性の促進試験のため,熱風循環式オーブン中に180℃で2
4時間入れたのち,引張試験を行なつた結果,伸び率はM
D26%,TD35%であり,また柔軟性を維持していた。 実施例4 実施例1で得たリン元素を0.29重量%含有するポリエ
ステルを,比較例1のポリエチレンテレフタレートで6
倍に稀釈,混合し,実施例1と同じ条件で乾燥,製膜し
た。フイルムの難燃性はUL94−HBに適合した。 実施例5 実施例1で得たポリエステルを比較例1のポリエチレ
ンテレフタレートで2倍に稀釈,混合し,乾燥して,厚
さ約100μの縦1軸延伸フイルムを製膜した。縦延伸条
件は実施例1と同じでありテンター装置で横延伸は行な
わず,185℃で熱処理した。 得られた1軸配向フイルムの燃焼性はUL94−HBに適合
した。このフイルムは偏光膜の被覆材など液晶デイスプ
レイ用途に有用である。 実施例6 主鎖にエステル結合したエステル形成性官能基を2個
有するリン化合物としてフエニルホスフイン酸ジフエニ
ルを,リン元素量がポリマに対して,0.30重量%に相当
する量添加したほかは,実施例1と同じ条件で重合し
て,リンを含有するポリエステルを調製した。ポリマ中
のリン元素量は0.20重量%であつた。実施例1と同じ条
件で乾燥,製膜し,何ら問題はなかつた。フイルムの燃
焼性はUL94−HBに適合した。 比較例1 主鎖にエステル結合したエステル形成性官能基を2個
有するリン化合物を加えることなく常法により重合した
ポリエチレンテレフタレートのチツプを,実施例1と同
じ条件で乾燥し,製膜した。このフイルムは従来技術の
ポリエステルフイルムに相当し,UL94−HBに適合しなか
つた。 比較例2,3 実施例1と同じ主鎖にエステル結合したエステル形成
性官能基を2個有するリン化合物の添加量を変えて,ポ
リマ中のリン添加量が0.70重量%および0.02重量%の2
種のポリエステルを重合した。前者(比較例2)は,乾
燥工程でチツプ相互の粘着による塊状化と器壁への付着
が著しく,もとのチツプへの解砕と,乾燥機器壁の清掃
に手間がかかつた。また,縦延伸工程で加熱ロールへの
粘着が著しく,ロールの温度を下げても粘着による表面
欠点の発生を防ぐことが困難であつた。 得られたフイルムはIVが低く,押出工程で重合度低下
が大きかつたことを示し,厚みむらが大きかつた。ま
た,180℃で24時間加熱したのちの引張試験で,伸び率が
MD4%,TD7%まで低下し,著しく脆化していた。 後者(比較例3)では,乾燥および製膜に何ら問題な
いが,フイルムの燃焼性はUL94−HBに適合しなかつた。 比較例4 実施例6と同じく,主鎖にエステル結合したエステル
形成性官能基を2個有するリン化合物としてフエニルホ
スフイン酸ジフエニルを用い,リン元素量がポリマに対
して0.05重量%に相当する量添加したほかは実施例1と
同じ条件で重合した。 ポリマ中のリン元素量は0.02重量%であつた。乾燥
性,製膜性は良好であつたが,フイルムの燃焼性はUL94
−HBに適合しなかつた。
観,透明性,機械的強度,電気的性質及び高次加工性な
どの特長を損うことなく,難燃性に優れた配向ポリエス
テルフイルムを提供することにある。 特に,印刷回路基板,メンブレンスイツチ,タツチキ
ーボード,家電機器の透明窓材など2軸延伸ポリエステ
ルフイルムが強度,耐熱性,寸法安定性,電気絶縁性,
透明性などの特長から汎用化されている用途で,難燃化
は社会的要求になつている。また,一方向に延伸された
透明な1軸配向ポリエステルフイルムが液晶デイスプレ
イ用途で使用され,同じく難燃化の必要がある。 〔従来技術〕 従来,一般にポリエステル成形体を難燃化する手段と
して臭素などのハロゲン含有化合物,リン含有化合物,
金属化合物などをポリエステルに添加混合し溶融押出成
形するか或いは成形体の表面にこれら難燃性化合物を塗
布する方法が用いられ,例えば特公昭49−45295,特公昭
55−50985号,特公昭60−21184,或いは特公昭59−42692
で知られている。 これらのうちでも種々の亜リン酸エステル,リン酸お
よびリン酸エステル,ホスホン酸エステル及びこれらの
ハロゲン原子を含有する誘導体は比較的良好な難燃性を
ポリエステルに付与する。 〔従来技術の問題点〕 しかし,これらリンを含む酸およびそのエステル類は
一般に重合時のリンの飛散,重合反応性の低下を生じ,3
官能性の化合物はポリマーのゲル化をともなう。また,
溶融押出成形性の悪化およびフイルムの耐熱性,耐加水
分解性の低下など生産上および実用上に問題点が多い。 また,臭素を含有する化合物はポリエステルの溶融押
出温度において臭化水素その他の腐蝕性,有毒性物質を
発生し臭気,環境汚染,設備腐蝕など安全,衛生上の問
題点が多い。 また,臭素化合物と三酸化アンチモンを添加する方法
はポリエステルフイルムの延伸が難しくなるとともに透
明性や機械的強度が低下する。 これらの従来技術に対して特開昭54−126278は特定の
リン化合物を特定量共重合したポリエステルフイルムを
提案している。しかしながら,該技術も原料乾燥時のチ
ツプの粘着,押出成形性の悪化などの加工性の低下,な
らびにフイルムの耐熱性,耐加水分解性の低下など生産
上および品質上の欠点がある。 本発明者らはこれらの欠点を解決するため鋭意研究の
結果,リン化合物の共重合ポリエステルおよびこれらを
配合したポリエステル組成物を用いてポリエステルフイ
ルムの優れた諸特性を保持しつつ難燃性を付与しうるこ
とを見出し本発明に到達した。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は,線状ポリエステルを主体とし,少なくとも
一方向に配向したポリエステルフイルムにおいて,該線
状ポリエステルは,主鎖にエステル結合したエステル成
形性官能基を2個有するリン化合物を含有し、該エステ
ル形成性官能基を2個有するリン化合物中のリン元素量
が該ポリエステルの重量に対し0.03〜0.48重量%である
ポリエステルフイルムを特徴とするものである。 本発明でいう線状ポリエステルとはポリエチレンテレ
フタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート等の芳香族ポリエステルであ
り,またその酸成分の一部またはそのグリコール成分の
一部が他のジカルボン酸成分,例えばイソフタル酸,5−
ナトリウムスルホインフタル酸,ジフエノキシエタンジ
カルボン酸,アジピン酸,セバシン酸成分等,あるいは
他のグリコール成分,例えばジエチレングリコール,プ
ロピレングリコール,トリメチレングリコール,テトラ
メチレングリコール,ネオペンチルグリコール,1,4−シ
クロヘキサンジメタノール,ポリエチレングリコール,
ビスフエノールA成分等で置換された共重合ポリエステ
ルフイルムであつてもよい。 該ポリエステルはエステル形成性官能基を2個有する
リン化合物を共重合することによりリン元素を全ポリエ
ステルに対して0.03〜0.48重量%含有せしめる必要があ
り,特に好ましくは0.1〜0.48重量%である。 リン元素が0.03重量%未満の場合は得られる配向ポリ
エステルフイルムの難燃性が不充分となり所期の目的が
達成できない。一方,ポリエステルフイルムのリン元素
量が0.48重量%より大きい場合はチツプの乾燥工程にお
いてチツプ同志がくつついて塊状になり乾燥機の器壁に
チツプが付着して乾燥およびチツプの排出が困難にな
る。 また,加熱溶融押出工程において重合度低下が著し
く,押出成形性の悪化によるフイルムの厚みムラの増
大,タテ延伸ロールへの粘着が発生するうえ,ポリエス
テルフイルムの耐熱性など実用上の性質が低下する。 本発明で使用する主鎖にエステル結合したエステル形
成性官能基を2個有するリン化合物とは、式(I)で示
されるホスホネート,式(II)で示されるホスフイネー
トあるいは式(III)で示されるホスフインオキシドが
である。 式中,R1,R5は夫々同じか又は異なる基であつて炭素数
が1〜18の炭化水素基を表し,R2,R3は夫々同じか又は異
なる基であつて炭素数が1〜18の炭化水素基又は水素原
子を表し,A1,A2は炭素数が2〜8の2価又は3価の有機
残基を表し,R4はカルボキシル基又はそのエステルを表
し,R6はカルボキシル基又はそのエステル,あるいは互
いに で示される基を介してA2と環を形成する2価のエステル
形成性官能基を表す。 式(I)で示されるリン化合物の好ましい例としては
フエニルホスホン酸ジメチル,フエニルホスホン酸ジフ
エニルなどが用いられる。 式(II)のリン化合物の好ましい例としては(2−カ
ルボキシエチル)メチルホスフイン酸,(2−メトキシ
カルボニルエチル)メチルホスフイン酸メチル,(2−
カルボキシエチル)フエニルホスフイン酸,(2−メト
キシカルボニルエチル)フエニルホスフイン酸メチル,
(4−メトキシカルボニルフエニル)フエニルホスフイ
ン酸メチル,(2−(β−ヒドロキシエトキシカルボニ
ル)エチル)メチルホスフイン酸のエチレングリコール
エステルなどが用いられる。 式(III)のリン化合物の好ましい例としては(1,2ジ
カルボキシエチル)ジメチルホスフインオキシド,(2,
3ジカルボキシプロピル)ジメチルホスフインオキシ
ド,(1,2ジメトキシカルボニルエチル)ジメチルホス
フインオキシド,(2,3ジメトキシカルボニルエチル)
ジメチルホスフインオキシド,(1,2ジ(β−ヒドロキ
シエトキシカルボニル)エチル)ジメチルホスフインオ
キシド,(2,3ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニ
ル)エチル)ジメチルホスフインオキシドなどが用いら
れる。 これらの化合物の中で特に式(II)の化合物がポリエ
ステルとの共重合反応性がよいことおよび重合反応時の
飛散が少ないことなどから好ましい。 上記リン化合物の添加方法は特に制約はないが予めエ
チレングリコールと混合したりあるいは反応させてから
添加してもよい。添加時期もエステル交換反応あるいは
エステル化反応前から重合反応終了までの任意の段階で
よいが,操作性がよいこと,副反応が少ないことなどか
らエステル化反応後,重合反応前が好ましい。 また,本発明におけるポリエステルは,主鎖にエステ
ル結合したエステル形成性官能基を2個有するリン化合
物が共重合されたポリエステルに,主鎖にエステル結合
したエステル形成性官能基を2個有するリン化合物の共
重合されないポリエステルを混合したものであつてもよ
い。この場合のリン元素の含有量は,主鎖にエステル結
合したエステル形成性官能基を2個有するリン化合物中
のリン元素量が上記混合したポリエステルの重量に対
し,0.03〜0.48重量%、(好ましくは0.1〜0.48重量%)
でなければならない。 なお本発明におけるポリエステルには従来公知の添加
剤が本発明の目的を損ねない程度に添加されていてもよ
い。例えばポリエステルフイルムに通常用いられている
顔料,安定化剤,可塑剤,制電剤,潤滑等々が添加され
ていてもよい。 本発明の少なくとも一方向に配向したポリエステルフ
イルムとは,上記ポリエステルを一方向または縦横2方
向に配向させたフイルムであつて,その配向度は特に限
定されないが,ポリエステルフイルムの特長が発揮され
るためには次式で定義される面配向の複屈折Δnpが0.1
以上であることが好ましい。 ここで,nは屈折率,添字α,β,γはフイルムの光学
的3主軸であり,nα≦nβ≦nγと定められている。配
向したポリエステルフイルムでは,αが厚さ方向,β,
γはフイルム面内にある。 3方向の屈折率は,アツベの屈折計と検光子を用いて
測定できる。 本発明のフイルムは,厚さは特に限定されないが1〜
500μmであることが好ましい。 以下,実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。 実施例中のポリマーの固有粘度(以下IVと称す)はオ
ルソクロルフエノール溶液の25℃における測定値であ
る。 またフイルムの難燃性の評価はアンダーライターラボ
ラトリーズ社発行のプラスチツク材料の難燃性試験規格
UL94の水平燃焼試験法により,UL94−HBの適否を判定し
た。ヘイズはASTM D1003にその他の試験はJIS−C−23
18に従つて行なつた。 各実施例および比較例で得られたフイルムの試験デー
タは,それぞれ表1にまとめて示す。 実施例1 テレフタル酸とエチレングリコールより直接エステル
化法でビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートおよ
びその低重合体を合成し,(2−カルボキシエチル)メ
チルホスフイン酸のエチレングリコールエステルを,リ
ン元素量がポリマに対して0.30重量%に相当する量添加
し,三酸化アンチモンをポリマに対して0.03%添加した
のち,30分間で反応系を250℃から285℃に昇温すると同
時に常圧から0.5mmHgに減圧し,150分間この温度と減圧
度を維持して所定の重合度に達するまで反応を行なつ
た。ポリマはシート状に吐出し,冷却,固化,裁断して
チツプにした。得られたポリエステルのIVは0.667,ポリ
マ中のリン元素量は0.29重量%である。 このチツプをスチームジヤケツトを有する回転式真空
乾燥機を用いて175℃で2時間真空乾燥した。チツプ相
互の粘着による塊状化はなく,乾燥機の器壁へのチツプ
の付着もほとんどなかつた。乾燥チツプを280℃でTダ
イから溶融押出して28℃の冷却ドラム面上でシート状に
成形したのち,低速の加熱ロール群と高速ロール群の間
で90℃で縦方向(MD)に3.2倍延伸し,次いでテンター
装置で125℃で横方向(TD)に3.3倍延伸し,225℃で熱処
理しつつ横方向に5.3%収縮させ,冷却して巻取り,厚
さ約100μの2軸延伸フイルムを得た。 得られたフイルムの性質は,主鎖にエステル結合した
エステル形成性官能基を2個有するリン化合物を添加せ
ずに重合し,同じ条件で製膜した比較例1のフイルムと
遜色なく,かつ難燃性が優れている。 以下の実施例,比較例の2軸延伸フイルムの厚さは,
すべて約100μである。 実施例2,3 実施例1と同じリン化合物の添加量を変え,重合時間
を僅かに調整して,ポリマ中のリン元素量が0.03重量
%,および0.45重量%の2種のポリエステルを得た。前
者(実施例2)では,実施例1と同条件で行なつた乾燥
および製膜工程に何ら問題はなく,フイルムの難燃性は
UL94−HBに適合した。後者(実施例3)では,同じ条件
で乾燥した結果,乾燥を終つてチツプを排出したのち乾
燥機の器壁に若干量のチツプの付着が認められたが,容
易に掻き落すことができた。また,実施例1と同じ条件
で製膜したとき,縦延伸工程で加熱ロールに粘着する傾
向を示したが,ロール温度を平均2℃下げることで安定
化した。実施例3のフイルムの性質は,2軸延伸ポリエス
テルフイルムの特性を保ち,難燃性は優れている。耐熱
性の促進試験のため,熱風循環式オーブン中に180℃で2
4時間入れたのち,引張試験を行なつた結果,伸び率はM
D26%,TD35%であり,また柔軟性を維持していた。 実施例4 実施例1で得たリン元素を0.29重量%含有するポリエ
ステルを,比較例1のポリエチレンテレフタレートで6
倍に稀釈,混合し,実施例1と同じ条件で乾燥,製膜し
た。フイルムの難燃性はUL94−HBに適合した。 実施例5 実施例1で得たポリエステルを比較例1のポリエチレ
ンテレフタレートで2倍に稀釈,混合し,乾燥して,厚
さ約100μの縦1軸延伸フイルムを製膜した。縦延伸条
件は実施例1と同じでありテンター装置で横延伸は行な
わず,185℃で熱処理した。 得られた1軸配向フイルムの燃焼性はUL94−HBに適合
した。このフイルムは偏光膜の被覆材など液晶デイスプ
レイ用途に有用である。 実施例6 主鎖にエステル結合したエステル形成性官能基を2個
有するリン化合物としてフエニルホスフイン酸ジフエニ
ルを,リン元素量がポリマに対して,0.30重量%に相当
する量添加したほかは,実施例1と同じ条件で重合し
て,リンを含有するポリエステルを調製した。ポリマ中
のリン元素量は0.20重量%であつた。実施例1と同じ条
件で乾燥,製膜し,何ら問題はなかつた。フイルムの燃
焼性はUL94−HBに適合した。 比較例1 主鎖にエステル結合したエステル形成性官能基を2個
有するリン化合物を加えることなく常法により重合した
ポリエチレンテレフタレートのチツプを,実施例1と同
じ条件で乾燥し,製膜した。このフイルムは従来技術の
ポリエステルフイルムに相当し,UL94−HBに適合しなか
つた。 比較例2,3 実施例1と同じ主鎖にエステル結合したエステル形成
性官能基を2個有するリン化合物の添加量を変えて,ポ
リマ中のリン添加量が0.70重量%および0.02重量%の2
種のポリエステルを重合した。前者(比較例2)は,乾
燥工程でチツプ相互の粘着による塊状化と器壁への付着
が著しく,もとのチツプへの解砕と,乾燥機器壁の清掃
に手間がかかつた。また,縦延伸工程で加熱ロールへの
粘着が著しく,ロールの温度を下げても粘着による表面
欠点の発生を防ぐことが困難であつた。 得られたフイルムはIVが低く,押出工程で重合度低下
が大きかつたことを示し,厚みむらが大きかつた。ま
た,180℃で24時間加熱したのちの引張試験で,伸び率が
MD4%,TD7%まで低下し,著しく脆化していた。 後者(比較例3)では,乾燥および製膜に何ら問題な
いが,フイルムの燃焼性はUL94−HBに適合しなかつた。 比較例4 実施例6と同じく,主鎖にエステル結合したエステル
形成性官能基を2個有するリン化合物としてフエニルホ
スフイン酸ジフエニルを用い,リン元素量がポリマに対
して0.05重量%に相当する量添加したほかは実施例1と
同じ条件で重合した。 ポリマ中のリン元素量は0.02重量%であつた。乾燥
性,製膜性は良好であつたが,フイルムの燃焼性はUL94
−HBに適合しなかつた。
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C08L 67:02
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.線状ポリエステルを主体とし、少なくとも一方向に
配向したポリエステルフイルムにおいて、該線状ポリエ
ステルは、主鎖にエステル結合したエステル形成性官能
基を2個有するリン化合物を含有し、該エステル形成性
官能基を2個有するリン化合物中のリン元素量が該ポリ
エステルの重量に対し0.03〜0.48重量%であることを特
徴とするポリエステルフイルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61121764A JP2794687B2 (ja) | 1986-05-26 | 1986-05-26 | ポリエステルフイルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61121764A JP2794687B2 (ja) | 1986-05-26 | 1986-05-26 | ポリエステルフイルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62277429A JPS62277429A (ja) | 1987-12-02 |
JP2794687B2 true JP2794687B2 (ja) | 1998-09-10 |
Family
ID=14819306
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61121764A Expired - Lifetime JP2794687B2 (ja) | 1986-05-26 | 1986-05-26 | ポリエステルフイルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2794687B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1347477A3 (de) * | 2002-03-06 | 2006-02-01 | Mitsubishi Polyester Film GmbH | Biaxial orientierte, flammhemmend ausgerüstete Folie aus einem kristallisierbaren Thermoplasten, Verfahren zu ihrer Herstellung und ihre Verwendung |
-
1986
- 1986-05-26 JP JP61121764A patent/JP2794687B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62277429A (ja) | 1987-12-02 |
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---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |