JP2793028B2 - 窒素酸化物低発生バーナ - Google Patents

窒素酸化物低発生バーナ

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、家庭用や小型業務用等の小型の燃焼装置に
使用する窒素酸化物低発生バーナに関するものである。
(従来の技術) 各種燃焼装置に於けるバーナの燃焼ガス中の窒素酸化
物(NOx)は、それ自体に毒性があるばかりか、酸性雨
や光化学スモッグの原因の一つとみられているため、燃
焼装置に使用するバーナには、このNOxの発生量を低減
するために種々の対策が開発され、講じられている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、従来これらの対策は、法的な規制があ
る産業用等の大型の燃焼装置に対して主になされてお
り、家庭用や小型業務用等の小型の燃焼装置では、騒音
等の問題があるため、必ずしも十分な対策が施されてい
るとはいえない。
即ち、大型の燃焼装置では、燃焼用ファンの静圧を大
きくとれるため、燃焼用ガスや空気の流れの制御が容易
であること、バーナのレイアウトに自由度が高いこと、
騒音対策も容易であること等の利点により、騒音に対し
ての対策条件が厳しくなく、また燃焼室が大きくとれる
ため、いわゆる緩慢燃焼によるNOx低減対策を施しても
完全燃焼させ易いという利点があるのに対して、小型の
燃焼装置ではこれらの利点がなく、従って小型の燃焼装
置では、大型の燃焼装置と比較してNOx低減対策が難し
い。
本発明は燃料濃厚な混合気の燃焼によるNOx抑制法
と、いわゆる混合促進によるNOx抑制法を小型の燃焼装
置に合理的に適用することにより、上述した従来の課題
を解決することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 上述した課題を解決するための手段を、実施例に対応
する図面を参照して説明すると、本発明の窒素酸化物低
発生バーナは、上部に急傾斜な山形状側壁部2を有し、
長さ方向に延びる第一の噴出体1の下部両側に、長さ方
向に延びる第二の噴出体3を間隙部4を介して設置し、
前記第一の噴出体1の上部中央には長さ方向に連続した
層流噴出部5を設けると共に該層流噴出部5の両側の側
壁部2には多数の噴出孔6を設け、また前記第二の噴出
体3には前記間隙部4内に対応して噴出孔7aを設け、該
第二の噴出体3には燃料濃厚な混合気を供給すると共
に、前記第一の噴出体1には空気を供給する構成とした
ものである。
上記の構成に於いて、第一の噴出体1には、空気に代
えて燃料希薄な混合気を供給する構成とすることもでき
る。
また、上記の第二の噴出体3には、間隙部4内に対応
した噴出孔7aに加えて、上端にも噴出孔7bを設けること
ができるし、この間隙部4内に対応した噴出孔7aに代え
て上端にのみ噴出孔7bを設けることもできる。更に、上
記の第一の噴出体1の側壁部2に設ける噴出孔6は幅方
向のスリットとして構成したり、多数の孔で構成したり
することができる。
そして上記のバーナは第一、第二の噴出体1、3を、
幅方向に適数を連続的に列設して構成するものである。
(作用) 以上の構成に於いて、第一の噴出体1に空気を供給
し、第二の噴出体3に燃料濃厚な混合気を供給すると、
空気は第一の噴出体1の上部に於いて、中央の層流噴出
部5及び傾斜側壁部2の噴出孔6から噴出すると共に、
燃料濃厚の混合気は、第二の噴出体3の噴出孔7aから間
隙部4内に噴出し、ここから上方に流出していく。
しかして燃料濃厚な混合気は、間隙部4から上方に流
出して、酸素分圧が低い状態で燃焼して上昇していく。
このように燃料濃厚な混合気は、初期燃料域に於いて酸
素分圧が低い状態で燃焼するので、この時点に於けるNO
xの発生量は少ない。
以上の如くして上昇した混合気は、第一の噴出体1の
傾斜側壁部2の噴出孔6からの空気の噴出により形成さ
れる負圧部により側壁部2方向に吸引されて、空気と急
速に良好に混合され未燃部分の燃焼が行われる。この燃
焼は、急速に良好に混合された状態で行われるため、部
分的な高温域の形成が抑制されると共に、全体として燃
焼温度も低下するためNOxの発生が抑制される。また、
この燃焼は第二の噴出体3の上方に於ける燃料濃厚な混
合気の安定した火炎を種火として安定的に行われる。
かかる際、本発明では、空気の噴出孔6を設けた側壁
部2は急傾斜としていて、緩傾斜のものと比較して上述
の混合そして燃焼に供される面積を広くしているので、
同量の空気の供給量に対して、その噴出速度を抑え、前
記燃料濃厚な混合気の過大な吸引、そして過大な混合を
抑えることができる。従って燃料濃厚な混合気は、側壁
部2に平均的に分散された状態で上述の燃焼に供され、
過冷却による燃焼反応の停止を防止することができる。
特に、燃焼量が少ない場合には、第二の噴出体3から噴
出する燃料濃厚な混合気の流速が遅くなるため、前記側
壁部2が緩傾斜であると、混合気は、その殆どが側壁部
2の下部において空気に吸引、混合されて燃焼してしま
うので、急激な過冷却により燃焼反応が停止し易いとい
う問題点があるのに対して、該側壁部2が急傾斜な本発
明では、上述したようにこのような問題は生じず、ター
ンダウン比を大きくすることができる。
以上に加えて本発明では、第一の噴出体1の上方に
は、層流噴出部5からの空気が層流状態で噴出している
ので、この空気は噴出孔6から噴出する空気による乱流
の伝播を遮断して火炎の振動を防止する作用をし、こう
して第一の噴出体1の上方の過剰空気の燃焼を安定化す
ることができる。従って火炎はリフトや振動燃焼をせ
ず、これによる騒音の発生が抑制される。
以上の動作は、第一の噴出体1に空気を供給した場合
であるが、空気に代えて燃料希薄な混合気を供給するこ
ともでき、この場合には、第一の噴出体1の側壁部2上
方に於ける燃焼の安定性を更に向上することができる。
また、上記の第二の噴出体3には、間隙部4内に対応
した噴出孔7aに加えて、上端にも噴出孔7bを設ければ、
ここから噴出する燃料濃厚な混合気の噴流への排ガス再
循環効果を期待することができる。また、このように第
二の噴出体3の上端から噴出する混合気も、前記側壁部
2方向に吸引されるので、場合によっては前記間隙部4
内に対応した噴出孔7aを省略することもできる。
(実施例) 次に本発明の実施例を図について説明する。
図に於いて、符号1は第一の噴出体であり、この第一
の噴出体1は上部に急傾斜な山形状側壁部2を有し、長
さ方向に延びる構成としている。符号3は長さ方向に延
びる第二の噴出体であり、この第二の噴出体3は、前記
第一の噴出体1の両側に間隙部4を介して設置してい
る。
前記第一の噴出体1の上部中央には長さ方向に連続し
た層流噴出部5を設けると共に該層流噴出部5の両側の
側壁部2には多数の噴出孔6を設けており、この噴出孔
6は、幅方向のスリットとして構成している。この噴出
孔6はスリットの他、多数の孔で構成することもできる
ものである。そして第1図の構成に於いては、前記第二
の噴出体3には前記間隙部4内に対応して噴出孔7aを設
けており、また第2図の構成に於いては、第二の噴出体
3には、間隙部4内に対応した噴出孔7aに加えて、上端
にも噴出孔7bを設けており、この噴出孔7bは、前記噴出
孔6としての各スリット間に対応させた位置にスリット
として構成している。第二の噴出体3には上端のみに噴
出孔7bを設けることもできる。
しかして、該第二の噴出体3には燃料濃厚な混合気を
供給すると共に、前記第一の噴出体1には空気または燃
料希薄な混合気を供給するように構成してバーナを構成
している。この際、第一及び第二の噴出体1,3は、幅方
向に適数を連続的に列設して所望の燃焼量のバーナを構
成することができる。
上記第一の噴出体1、また必要に応じて第二の噴出体
3に混合気を供給する構成は、図示を省略しているが、
例えば従来のブンゼンバーナと同様に、混合部のスロー
ト部に燃料ガスを噴出して、周囲の空気を吸引して混合
させることにより、夫々の噴出孔から燃料ガスと一次空
気の混合気を噴出させる構成とする等適宜である。そし
てそれらの混合部の調節により、前述したとおり、前記
第二の噴出体3には燃料濃厚な混合気、前記第一の噴出
体1には燃料希薄な混合気を供給し得る構成とすること
ができる。ここで第二の噴出体3に供給する混合気の空
気比は、理論空気量λ=1とすると、例えばλが約0.4
となるようにし、また第一の噴出体1に燃料希薄な混合
気を供給する場合には、λが約1.5〜2.5となるように供
給する構成とする。
(発明の効果) 本発明は以上の通り、燃料濃厚な混合気の燃焼による
NOx発生量の低減作用と、急速で良好な混合状態に於け
る燃焼によるNOx発生量の低減作用とを合理的に併存さ
せることにより、後者の燃焼に於ける火炎を安定的に行
わせて騒音の発生を抑制すると共に、前者の燃焼に於け
る不完全燃焼の発生を防止することができ、こうして騒
音に対しての対策が厳しい小型の燃焼装置に於いて、騒
音を増大させずにNOx低減の対策を施すことができると
いう効果がある。殊に本発明では、後者の燃焼を行わせ
る第一の噴出体の側壁部を急傾斜な山形状としたので、
燃焼量が少ない場合でも、この部分に於ける燃焼を安定
して行うことができ、ターンダウン比を大刻することが
できると共に、第一の噴出体に設けた層流噴出部により
火炎の安定性を更に向上し得るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)、(b)は本発明の第一の実施例を表し
た、夫々説明的縦断面図、説明的平面図であり、また第
2図(a)、(b)は本発明の他の実施例を表した、夫
々説明的縦断面図、説明的平面図である。 符号1……第一の噴出体、2……側壁部、3……第二の
噴出体、4……間隙部、5……層流噴出部、6,7a,7b…
…噴出孔。
フロントページの続き (72)発明者 高木 多佳雄 静岡県富士市西柏原新田201番地 高木 産業株式会社内 (72)発明者 望月 公雄 静岡県富士市西柏原新田201番地 高木 産業株式会社内 (72)発明者 秋山 茂俊 静岡県富士市西柏原新田201番地 高木 産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−263505(JP,A) 実開 平2−115627(JP,U) 特公 昭52−28251(JP,B2) 実公 昭60−30568(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F23D 14/02 F23D 14/08 F23C 11/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上部に急傾斜な山形状側壁部を有し、長さ
    方向に延びる第一の噴出体の下部両側に、長さ方向に延
    びる第二の噴出体を間隙部を介して設置し、前記第一の
    噴出体の上部中央には長さ方向に連続した層流噴出部を
    設けると共に該層流噴出部の両側の側壁部には多数の噴
    出孔を設け、また前記第二の噴出体には前記間隙部内に
    対応して噴出孔を設け、該第二の噴出体には燃料濃厚な
    混合気を供給すると共に、前記第一の噴出体には空気を
    供給する構成としたことを特徴とする窒素酸化物低発生
    バーナ
  2. 【請求項2】請求項1の第一の噴出体には、空気に代え
    て燃料希薄な混合気を供給する構成としたことを特徴と
    する窒素酸化物低発生バーナ
  3. 【請求項3】請求項1の第二の噴出体には、間隙部内に
    対応した噴出孔に加えて、上端にも噴出孔を設けたこと
    を特徴とする窒素酸化物低発生バーナ
  4. 【請求項4】請求項1の第二の噴出体には、間隙部内に
    対応した噴出孔に代えて、上端にのみ噴出孔を設けたこ
    とを特徴とする窒素酸化物低発生バーナ
  5. 【請求項5】請求項1の第一の噴出体の側壁部に設ける
    噴出孔は幅方向のスリットとして構成したことを特徴と
    する窒素酸化物低発生バーナ
  6. 【請求項6】請求項2または3の、第二の噴出体の上端
    に設ける噴出孔は幅方向のスリットとして構成したこと
    を特徴とする窒素酸化物低発生バーナ
  7. 【請求項7】請求項1の第一及び第二の噴出体は、幅方
    向に適数を連続的に列設して構成していることを特徴と
    する窒素酸化物低発生バーナ
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