JP2792809B2 - 溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents
溶融亜鉛めっき鋼板Info
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Description
特にプレNiめっき法によって得られる加工部のめっき
密着性および耐蝕性の優れた溶融亜鉛めっき鋼板に関す
るものである。
めっき鋼板の製造方法については、例えば特公昭46−
19282号公報に、鋼板上に0.07〜1.0g/m
2 のNiを析出させた後、非酸化性または弱還元性雰囲
気中で200〜700℃に予熱し、大気に触れることな
くAlを0.15〜0.3%含む溶融亜鉛浴に浸漬して
亜鉛めっきすることにより表面光沢、密着性、加工性の
良好な溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができると開示し
ている。また同公報には予熱時の加熱速度として20〜
25℃/secを開示している。
建築用として溶融亜鉛めっき鋼板が使用される場合、種
々の複雑な形状を出すために厳しい加工を受けたのちに
腐食環境下で使用される場合が多くなってきた。そのた
めに、すぐれた表面外観を有するのは勿論のこと、加工
の際にめっき密着性に優れることおよび加工後の耐蝕性
に優れることが、溶融亜鉛めっき鋼板にとって具備すべ
き重要な性能となってきた。
公昭46−19282号公報に開示されている製造方法
(以下、従来法と略す)によって得られた溶融亜鉛めっ
き鋼板(以下、従来品と略す)は、加工の少ない状態で
は優れためっき密着性を有しているが、現在要求されて
いる厳しい加工を受けた際のめっき密着性、および加工
部の耐蝕性が確保されていないことが判明した。
上記要求を満足する加工部のめっき密着性および耐蝕性
に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を提供するものである。
である。
e合金層、第2層としてNi−Al−Zn合金層、第3
層としてAl 0.1〜1.0%含有するZn層を有し
てなることを特徴とする加工部のめっき密着性および耐
蝕性の優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
e合金層、第2層としてNi層、第3層としてNi−A
l−Zn合金層、第4層としてAl 0.1〜1.0%
のZn層を有してなることを特徴とする加工部のめっき
密着性および耐蝕性の優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
層のZn層がNi、Sb、Pbを単独あるいは複合で最
大0.2%含有することを特徴とする加工部のめっき密
着性および耐蝕性の優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
部のめっき密着性および耐蝕性を向上させる目的で従来
法を検討したところ、Niを析出後に、特公昭46−1
9282号公報に開示されていない、特定の加熱条件の
もとに溶融めっきを行うことにより、従来品にないめっ
き層構造を有して、加工部のめっき密着性および耐蝕性
が従来品よりも著しく向上した溶融亜鉛めっき鋼板を得
ることができることを見出した。
m)に0.5g/m2 のNiを析出させた後、H2 3%
雰囲気中で、予熱速度を種々変更(10〜100℃/s
ec)して450℃まで予熱し大気に触れることなくA
lを0.2%含む450℃の溶融亜鉛浴に3秒間浸漬し
て溶融めっきを行ない、めっき付着量135g/m2と
した溶融亜鉛めっき鋼板を得た。予熱速度と加工部のめ
っき密着性、耐蝕性との関係を調査すると共に、各種予
熱速度によって得られためっき層構造について調査し
た。その結果、従来法にない予熱速度30℃/sec以
上で得られためっき層構造は図1に示すように、鋼板地
鉄上に第1層としてZn−Fe合金層、第2層としてN
i−Al−Zn合金層、第3層としてAlを含むZn層
よりなる構造であった。一方、従来法の予熱速度30℃
/sec未満ではめっき層構造は図3に示すように、鋼
板地鉄上に第1層としてNiが地鉄中に拡散したFe−
Ni層、第2層としてZn−Fe合金層、第3層として
Alを0.1〜1.0%含むZn層よりなる構造であっ
た。また、図1のめっき層構造におけるZn−Fe合金
層は、図3のZn−Fe合金層に比べて薄かった。そし
て図5、図6に示すように予熱速度30℃/sec以上
で得られた図1に示すめっき層構造の鋼板が、従来法の
予熱速度30℃/sec未満で得られた図3に示すめっ
き層構造の鋼板(従来品)に比べて格段に優れた加工部
のめっき密着性、加工部の耐蝕性を示した。以上の試験
結果を表1にまとめて示す。
5mm張出しのカップ絞り成形を行ったのち、テープ剥
離テストを実施し、テープの黒化度で評価した。
試験片に、腐食サイクルテスト(CCT)を1週間実施
し、加工部の赤錆発生率を調査した。加工部のめっき密
着性、耐蝕性をそれぞれ5点法で評価した。3点以上を
合格とした。評価基準は表2の通りである。
公報に開示されていない30℃/sec以上の急速予熱
速度を採用することにより、上記公報に開示された30
℃/sec未満の予熱速度の場合と全く異なるめっき層
構造が得られ、極めて優れた加工部のめっき密着性、耐
蝕性が得られることが判明した。
した。すなわち上記溶融亜鉛めっき鋼板の製造条件にお
いて、予熱速度を70℃/sec一定、予熱温度を20
0〜700℃に種々変更して、溶融亜鉛めっき鋼板を
得、予熱温度と加工部のめっき密着性、耐蝕性との関
係、各種予熱温度によって得られためっき層構造につい
て調査した。その結果、430〜500℃の範囲で、図
1のめっき層構造が得られ、図7、図8に示すように優
れた加工部のめっき密着性、耐蝕性を示した。一方43
0℃未満では不めっきが生じ易く、不めっきでない部分
のめっき層構造は図12に示すように第1層がNi層、
第2層がZn層であり、図7、図8に示すように密着
性、耐蝕性が劣化した。また500℃を超えると、従来
材と同様な図3に示すめっき層構造となり、図7、図8
に示すような密着性、耐蝕性が劣化した。
囲で予熱温度が高い場合、予熱速度30℃/sec未満
では、めっき層構造は図3であり、予熱温度が低い場
合、不めっきが生じ易く、正常部は図4に示す第1層が
Fe−Ni合金層、第2層がNi層、第3層がZnより
なるめっき層構造であり、いずれも加工部のめっき密着
性、耐蝕性が劣化した。
予熱速度30℃/sec以上で図1のめっき層構造とな
り、予熱速度30℃/sec未満、予熱温度が200〜
700℃の範囲で高い従来法では図3のめっき層構造と
なる理由について調査した。まず予熱後のNi析出層の
状態を調査した。その結果、予熱後のNi析出層が、予
熱温度430〜500℃、予熱速度30℃以上の場合、
図9に示すようにNi析出層の地鉄中への拡散が殆ど見
られず、ほぼそのまま残存していた。一方予熱速度30
℃/sec未満で上記予熱温度範囲で高い場合には、予
熱過程でNi析出層が殆ど地鉄中に拡散し図10に示す
ようにFe−Ni合金層になっていた。なお予熱温度が
低い場合、図11に示すようにFe−Ni合金層に極薄
くNi層が残存していた。このように予熱後のNiの状
態が異なることが判明した。このように予熱後のNiの
状態が異なるために、溶融めっき後のめっき層構造に相
違が生じるものと考えられる。すなわち、予熱温度43
0〜500℃、予熱速度30℃/sec以上では、予熱
過程でほぼそのまま残存しNi析出層が溶融めっき時に
おいて、まずZn−Al結合してNi−Al−Zn合金
層を形成し、この合金層がバリヤーとなってZn−Fe
合金層の形成を抑制し相対的に薄いZn−Fe合金層を
形成するものと考えられる。一方従来法で予熱温度が高
い場合、Ni析出層が殆ど存在しないため溶融めっき
時、Zn−Fe合金層の形成を抑制するNi−Al−Z
n合金層が形成されず、Fe−Ni合金層上に相対的に
厚いFe−Zn合金層が形成されるものと考えられる。
査した。すなわち上記溶融亜鉛めっき鋼板の製造条件に
おいて、予熱速度を30℃/sec以上、予熱温度43
0〜500℃の範囲内でNi析出量のめっき層構造、密
着性、耐蝕性への影響を調査した。
満では不めっきが生じやすく、正常分のめっき層構造
は、従来材と同様な図3に示すめっき層構造で、密着
性、耐蝕性が劣化した。
ると、図13に示すように第1層がZn−Fe合金層、
第2層がNi層、第3層がNi−Zn合金層、第4層が
Alを含むZn層よりなるめっき層構造となり、密着
性、耐蝕性が劣化した。
囲で、少ない場合には、図1のめっき層構造となり、優
れた密着性、耐蝕性を示し、多い場合には、図2に示す
ように、第1層がZn−Fe合金層、第2層がNi層、
第3層がNi−Al−Zn合金層、第4層がAlを含む
Zn層よりなるめっき層構造となり、図1のめっき層構
造と同等の優れた密着性、耐蝕性を示した。
率の影響を調査した。すなわち上記溶融亜鉛めっき鋼板
の製造条件において、Ni析出量0.2〜2.0g/m
2 、予熱速度30℃/sec以上、430〜500℃の
範囲内で、Al含有率のめっき層構造、密着性、耐蝕性
への影響を調査した。
は、図14に示すように第1層としてNi層、第2層と
してZn−Fe合金層、第3層がAlを含むZn層より
なるめっき層構造となり、密着性、耐蝕性が劣化した。
に示すめっき層構造となるが、1.0%を超えると、図
1または図2で示すめっき層構造の最上層のZn層中に
Ni−Al相が偏在し、腐食環境下において局部電池を
構成して、Znが溶出する作用が生じるため耐蝕性が劣
化した。
の表面外観との関係を調査したところ、H2 1〜15%
で優れた表面外観が得られることも判明した。
っき層構造を有し、優れた加工部のめっき密着性、耐蝕
性を備えた、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板上に
0.2〜2.0g/m2 のNiを析出させた後、H2 1
〜15%のN2 雰囲気中で430〜500℃まで30℃
/sec以上で予熱し大気に触れることなくAlを0.
1〜1.0%含む溶融亜鉛浴に浸漬して溶融亜鉛めっき
することで製造できることが明らかである。
て、めっき付着量については特に制約はないが、耐蝕性
の観点から10g/m2 以上、加工性の観点からすると
350g/m2 以下であることが望ましい。
(Zn浴と略す)の場合についてのみ述べたが、Al以
外にさらに合金元素としてNi、Sb、Pbを単独ある
いは複合で最大0.2%含有したZnめっき浴により製
造される溶融亜鉛めっき鋼板の場合にも結果は同様であ
った。
てもZn浴に上記合金元素を含む場合であっても430
〜500℃程度の通常の条件が使用できる。
もに使用でき、Alキルド鋼板、Al−Siキルド鋼
板、極低炭素鋼板、高張力鋼板など種々のものが適用で
きる。
融亜鉛めっき鋼板(本発明材)は、図3のめっき層構造
を有する従来の溶融亜鉛めっき鋼板(従来材)に比べ
て、加工部のめっき密着性、耐蝕性が良好となる理由は
未だ明確ではないが、めっき密着性については、本発明
品にのみ存在するNi−Al−Zn合金層が作用してい
ると思われる。さらには、加工部の耐蝕性の向上につい
ては腐食過程においてのNi、AlによるZn腐食生成
物の安定化作用が寄与していると考えられる。
得られた溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層構造および性能
評価結果を示す。表3に示す本発明品、比較品、従来品
の共通製造条件は次の通りである。
酸洗材を用い、Ni析出は硫酸酸性浴中で電気めっきで
行った。予熱はH2 3%のN2 雰囲気中で行った。溶融
めっきはAlを含む450℃のZn浴に3秒浸漬し、N
2 ワイピングして付着量を135g/m2 とした。性能
評価は前述の評価基準に基づいて行った。
〜2.0g/m2 、予熱温度430〜500℃、予熱速
度30℃/sec以上、浴中のAl含有量0.1〜1.
0%の製造条件で得られた、図1または図2のめっき層
構造を有する溶融亜鉛めっき鋼板(本発明品)は、加工
部のめっき密着性および耐蝕性共に優れる。
sec未満の場合に得られた図3のめっき層構造を有す
る溶融亜鉛めっき鋼板(従来品)は加工部のめっき密着
性が劣る。
secでかつ予熱温度が200℃の場合に得られた不め
っきでない部分のめっき層構造が図14に示す如く第1
層がFe−Ni合金層、第2層がNi層、第3層がAl
を含むZn層よりなる従来品は、加工部のめっき密着
性、耐蝕性が劣る。
られた第1層がZn−Fe合金層、第2層がAlを含む
Zn層よりなる第15図に示すめっき層製造を有する溶
融亜鉛めっき鋼板(比較品)で、試料No.20はNi
析出量下限値以下の条件で製造された図3のめっき構造
を有する比較品で、試料No.21はNi析出量上限値
以上の条件で製造された図13のめっき層構造を有する
比較品で、各々加工部のめっき密着性およびまたは加工
部の耐蝕性が劣る。
件で製造された不めっきでない部分が図9のめっき層構
造を有する比較品で、試料No.24は予熱温度上限値
以下の条件で製造された図3のめっき層構造を有する比
較品で、各々加工部のめっき密着性およびまたは加工部
の耐蝕性が劣る。
条件で製造された図14のめっき相構造を有する比較品
で、試料No.27は浴中Al濃度上限値以上の条件で
製造された、最上層のZn層にAl−Ni相が偏在する
図1のめっき層構造を有する比較品で、各々加工部のめ
っき密着性およびまたは加工部の耐蝕性が劣る。
レNiめっき量0.5g/m2 、予熱温度450℃、予
熱速度70℃/secの共通製造条件で、且つ浴中のA
l、Ni含有量が0.22%、0.1%、浴中のAl、
Ni含有量が0.22%、0.15%、浴中のAl、P
b含有量が0.29%、0.05%のZn浴条件で製造
された、最上層のZn層がAlと上記合金元素を含む図
1のめっき層構造の溶融亜鉛めっき鋼板(本発明品)
は、加工部のめっき密着性および耐蝕性共に優れる。
工部のめっき密着性と耐蝕性を兼ね備えた溶融亜鉛めっ
き鋼板であり、自動車用あるいは建築用の構造材として
有用であり、その工業的価値は極めて大きい。
っき層構造図。
っき層構造図。
層構造図。
層構造図。
工部のめっき密着性、耐蝕性の関係図。
工部のめっき密着性、耐蝕性の関係図。
工部のめっき密着性、耐蝕性の関係図。
工部のめっき密着性、耐蝕性の関係図。
層の状況図。
図。
図。
層構造図。
層構造図。
層構造図。
層構造図。
Claims (3)
- 【請求項1】 鋼板地鉄上に第1層としてZn−Fe合
金層、第2層としてNi−Al−Zn合金層、第3層と
してAl 0.1〜1.0%含有するZn層を有してな
ることを特徴とする加工部のめっき密着性および耐蝕性
の優れた溶融亜鉛めっき鋼板。 - 【請求項2】 鋼板地鉄上に第1層としてZn−Fe合
金層、第2層としてNi層、第3層としてNi−Al−
Zn合金層、第4層としてAl 0.1〜1.0%のZ
n層を有してなることを特徴とする加工部のめっき密着
性および耐蝕性の優れた溶融亜鉛めっき鋼板。 - 【請求項3】 請求項1または2の最上層のZn層がN
i、Sb、Pbを単独あるいは複合で最大0.2%含有
することを特徴とする加工部のめっき密着性および耐蝕
性の優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5115813A JP2792809B2 (ja) | 1990-10-09 | 1993-05-18 | 溶融亜鉛めっき鋼板 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2271957A JP2517169B2 (ja) | 1990-10-09 | 1990-10-09 | 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
JP5115813A JP2792809B2 (ja) | 1990-10-09 | 1993-05-18 | 溶融亜鉛めっき鋼板 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2271957A Division JP2517169B2 (ja) | 1990-10-09 | 1990-10-09 | 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06136501A JPH06136501A (ja) | 1994-05-17 |
JP2792809B2 true JP2792809B2 (ja) | 1998-09-03 |
Family
ID=26454241
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5115813A Expired - Lifetime JP2792809B2 (ja) | 1990-10-09 | 1993-05-18 | 溶融亜鉛めっき鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2792809B2 (ja) |
-
1993
- 1993-05-18 JP JP5115813A patent/JP2792809B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06136501A (ja) | 1994-05-17 |
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