JP2792391B2 - サーメット焼結体 - Google Patents
サーメット焼結体Info
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- JP2792391B2 JP2792391B2 JP5120253A JP12025393A JP2792391B2 JP 2792391 B2 JP2792391 B2 JP 2792391B2 JP 5120253 A JP5120253 A JP 5120253A JP 12025393 A JP12025393 A JP 12025393A JP 2792391 B2 JP2792391 B2 JP 2792391B2
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-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C29/00—Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides
- C22C29/02—Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides based on carbides or carbonitrides
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、切削工具等の素材とし
て有用なサーメット焼結体に関し、殊に高温での優れた
耐摩耗性、耐酸化性、靭性を有し、切削工具の素材とし
て用いた場合に、過酷な切削条件下でも十分な切削性能
を発揮するサーメット焼結体に関するものである。
て有用なサーメット焼結体に関し、殊に高温での優れた
耐摩耗性、耐酸化性、靭性を有し、切削工具の素材とし
て用いた場合に、過酷な切削条件下でも十分な切削性能
を発揮するサーメット焼結体に関するものである。
【０００２】セラミックスと金属を成分とするサーメッ
ト焼結体は、硬質分散相の主体となるＴｉＣに少量のＮ
ｉとＭｏを混合したＴｉＣ−Ｎｉ−Ｍｏ系から実用化が
始まったと言われるが、この系のサーメットは靭性が低
くまた高温での耐摩耗性や耐酸化性も低いことから、用
途が限定されていた。しかしながら、近年ではＮを添加
することによって、靭性に富み、且つ高温強度も高いサ
ーメット焼結体が開発され（例えばＴｉＣ−ＴｉＮ−Ｎ
ｉ−Ｍｏ系）、サーメット焼結体の切削工具としての用
途が大幅に広げられた。またサーメット焼結体の特性を
改善するという観点から、周期律表ＩＶａ，Ｖａ，ＶＩ
ａ族の元素の炭化物（但し、ＴｉＣは除く）や窒化物を
添加することも試みられている。尚サーメット焼結体に
Ｎを添加する手段としては、上記の如くＴｉＮとして添
加する他ＴａＮとして添加することもあるが、硬質分散
相の主体となるＴｉＣと共にまたはＴｉＮの代わりにＴ
ｉ（Ｃ，Ｎ）を用いることによっても達成されている。
ト焼結体は、硬質分散相の主体となるＴｉＣに少量のＮ
ｉとＭｏを混合したＴｉＣ−Ｎｉ−Ｍｏ系から実用化が
始まったと言われるが、この系のサーメットは靭性が低
くまた高温での耐摩耗性や耐酸化性も低いことから、用
途が限定されていた。しかしながら、近年ではＮを添加
することによって、靭性に富み、且つ高温強度も高いサ
ーメット焼結体が開発され（例えばＴｉＣ−ＴｉＮ−Ｎ
ｉ−Ｍｏ系）、サーメット焼結体の切削工具としての用
途が大幅に広げられた。またサーメット焼結体の特性を
改善するという観点から、周期律表ＩＶａ，Ｖａ，ＶＩ
ａ族の元素の炭化物（但し、ＴｉＣは除く）や窒化物を
添加することも試みられている。尚サーメット焼結体に
Ｎを添加する手段としては、上記の如くＴｉＮとして添
加する他ＴａＮとして添加することもあるが、硬質分散
相の主体となるＴｉＣと共にまたはＴｉＮの代わりにＴ
ｉ（Ｃ，Ｎ）を用いることによっても達成されている。
【０００３】ところで、これまで切削工具として用いら
れてきたサーメット焼結体は、ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，
Ｎ）の比較的大きな芯を有する有芯構造を多く含むもの
であることが知られている。この様な有芯構造は、
（ａ）ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構
造、（ｂ）ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）に他の固溶体成
分が固溶したものを芯とする有芯構造等が知られてい
る。尚走査型電子顕微鏡観察（ＳＥＭ観察）によって、
上記（ａ）の有芯構造は、黒色の有芯構造と呼ばれてお
り、また（ｂ）の有芯構造は、白色の有芯構造と呼ばれ
ている。
れてきたサーメット焼結体は、ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，
Ｎ）の比較的大きな芯を有する有芯構造を多く含むもの
であることが知られている。この様な有芯構造は、
（ａ）ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構
造、（ｂ）ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）に他の固溶体成
分が固溶したものを芯とする有芯構造等が知られてい
る。尚走査型電子顕微鏡観察（ＳＥＭ観察）によって、
上記（ａ）の有芯構造は、黒色の有芯構造と呼ばれてお
り、また（ｂ）の有芯構造は、白色の有芯構造と呼ばれ
ている。
【０００４】しかしながら、上記の様な有芯構造を多く
含む組織であると、サーメット焼結体の耐摩耗性、耐欠
損性、耐酸化性等の特性を低下させる原因となる。こう
したことから、特公昭６３−３５７０４号には、有芯構
造を有さないサーメット焼結体を製造する技術が提案さ
れている。この技術は複合金属炭窒化物固溶体粉末を用
いて有芯構造を有さないサーメット焼結体を製造するも
のであるが、一旦複合金属炭窒化物固溶体粉末を作成す
る必要があり、高温で固溶体を合成することになるの
で、得られる固溶体粉末は大きく粒成長する。従って、
この様な技術であると、上記固溶体粉末を粉砕する工程
が必要になる。しかしながら、この様な粉砕工程はコス
ト高につながるばかりか、粉砕をした粉末はその形状が
角張った不規則な形状を持つようになり、粒度分布も大
きくなり、このことが、靭性を却って低下させる原因に
なる。
含む組織であると、サーメット焼結体の耐摩耗性、耐欠
損性、耐酸化性等の特性を低下させる原因となる。こう
したことから、特公昭６３−３５７０４号には、有芯構
造を有さないサーメット焼結体を製造する技術が提案さ
れている。この技術は複合金属炭窒化物固溶体粉末を用
いて有芯構造を有さないサーメット焼結体を製造するも
のであるが、一旦複合金属炭窒化物固溶体粉末を作成す
る必要があり、高温で固溶体を合成することになるの
で、得られる固溶体粉末は大きく粒成長する。従って、
この様な技術であると、上記固溶体粉末を粉砕する工程
が必要になる。しかしながら、この様な粉砕工程はコス
ト高につながるばかりか、粉砕をした粉末はその形状が
角張った不規則な形状を持つようになり、粒度分布も大
きくなり、このことが、靭性を却って低下させる原因に
なる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした技術
的課題を解決するためになされたものであって、その目
的は、高温における耐摩耗性、耐酸化性および靭性に優
れ、切削工具の素材と最適なサーメット焼結体を提供す
ることにある。
的課題を解決するためになされたものであって、その目
的は、高温における耐摩耗性、耐酸化性および靭性に優
れ、切削工具の素材と最適なサーメット焼結体を提供す
ることにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成した本
発明とは、硬質分散相：７０〜９５重量％、および鉄族
金属の１種または２種以上を含む結合相：５〜３０重量
％からなるサーメット焼結体であって、ＴｉＣおよび／
またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末の平均粒径：１．０μ
ｍ以下とすると共に、これを周期律表第ＩＶａ，Ｖａ，
ＶＩａ族の元素よりなる群から選ばれる１種以上の元素
の炭化物（但し、ＴｉＣを除く）および／または窒化物
と焼結中に固溶させて硬質分散相とし、該硬質分散相
が、有芯構造を有さない固溶体を主体としたものであ
り、均一な組成分布を有する点に要旨を有するものであ
る。
発明とは、硬質分散相：７０〜９５重量％、および鉄族
金属の１種または２種以上を含む結合相：５〜３０重量
％からなるサーメット焼結体であって、ＴｉＣおよび／
またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末の平均粒径：１．０μ
ｍ以下とすると共に、これを周期律表第ＩＶａ，Ｖａ，
ＶＩａ族の元素よりなる群から選ばれる１種以上の元素
の炭化物（但し、ＴｉＣを除く）および／または窒化物
と焼結中に固溶させて硬質分散相とし、該硬質分散相
が、有芯構造を有さない固溶体を主体としたものであ
り、均一な組成分布を有する点に要旨を有するものであ
る。
【０００７】
【作用】本発明者らは、高温での耐摩耗性・耐酸化性・
靭性にすぐれたサーメットを作製するべく研究を重ね
た。その結果、ＴｉＣおよび／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の
原料粉末の平均粒径：１．０μｍ以下とし、これを周期
律表第ＩＶａ，Ｖａ，ＶＩａ族の元素よりなる群から選
ばれる１種以上の元素の炭化物（但し、ＴｉＣを除く）
および／または窒化物と焼結中に固溶させて硬質分散相
とすれば、該硬質分散相が、有芯構造を有さない固溶体
を主体とし、且つ均一な組成分布を有するものとなり、
この様な組成および組織構造を有するサーメット焼結体
は、高温での耐摩耗性、耐酸化性および靭性が著しく改
善されることを見出し、本発明を完成した。
靭性にすぐれたサーメットを作製するべく研究を重ね
た。その結果、ＴｉＣおよび／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の
原料粉末の平均粒径：１．０μｍ以下とし、これを周期
律表第ＩＶａ，Ｖａ，ＶＩａ族の元素よりなる群から選
ばれる１種以上の元素の炭化物（但し、ＴｉＣを除く）
および／または窒化物と焼結中に固溶させて硬質分散相
とすれば、該硬質分散相が、有芯構造を有さない固溶体
を主体とし、且つ均一な組成分布を有するものとなり、
この様な組成および組織構造を有するサーメット焼結体
は、高温での耐摩耗性、耐酸化性および靭性が著しく改
善されることを見出し、本発明を完成した。
【０００８】本発明のサーメット焼結体は、基本的に
は、上記の如く有芯構造を有さない固溶体を主体とし、
且つ均一な組成分布を有するものであるが、場合によっ
て硬質分散相の一部として、（１）ＴｉＣまたはＴｉ
（Ｃ，Ｎ）に他の固溶体成分が固溶したものを芯とする
有芯構造からなる組織、（２）ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，
Ｎ）を芯とする有芯組織からなり、且つ平均粒径が１μ
ｍ以下の微細な組織、のいずれかまたは双方を含むこと
がある。しかしながら、これらの組織の少量の混入は本
発明のサーメット焼結体の特性をそれほど劣化させるも
のではない。
は、上記の如く有芯構造を有さない固溶体を主体とし、
且つ均一な組成分布を有するものであるが、場合によっ
て硬質分散相の一部として、（１）ＴｉＣまたはＴｉ
（Ｃ，Ｎ）に他の固溶体成分が固溶したものを芯とする
有芯構造からなる組織、（２）ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，
Ｎ）を芯とする有芯組織からなり、且つ平均粒径が１μ
ｍ以下の微細な組織、のいずれかまたは双方を含むこと
がある。しかしながら、これらの組織の少量の混入は本
発明のサーメット焼結体の特性をそれほど劣化させるも
のではない。
【０００９】また硬質分散相：７０〜９５重量％、およ
び鉄族金属の１種または２種以上を含む結合相：５〜３
０重量％からなるサーメット焼結体において、ＴｉＣお
よび／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末の平均粒径：
０．３μｍ以下とし、これを周期律表第ＩＶａ，Ｖａ，
ＶＩａ族の元素よりなる群から選ばれる１種以上の元素
の炭化物（但し、ＴｉＣを除く）および／または窒化物
と焼結中に固溶させて硬質分散相とすれば、該硬質分散
相が、有芯構造を有さない固溶体を主体とし、均一な組
成分布を有するものとなり、且つ上記の様なＴｉＣまた
はＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構造を実質的に含まな
い組織となることもわかった。
び鉄族金属の１種または２種以上を含む結合相：５〜３
０重量％からなるサーメット焼結体において、ＴｉＣお
よび／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末の平均粒径：
０．３μｍ以下とし、これを周期律表第ＩＶａ，Ｖａ，
ＶＩａ族の元素よりなる群から選ばれる１種以上の元素
の炭化物（但し、ＴｉＣを除く）および／または窒化物
と焼結中に固溶させて硬質分散相とすれば、該硬質分散
相が、有芯構造を有さない固溶体を主体とし、均一な組
成分布を有するものとなり、且つ上記の様なＴｉＣまた
はＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構造を実質的に含まな
い組織となることもわかった。
【００１０】本発明のサーメット焼結体は、硬質分散
相：７０〜９５重量％、および鉄族元素の１種または２
種以上からなる結合相：５〜３０重量％のものを対象に
するが、この理由は下記の通りである。即ち、硬質分散
相が７０重量％未満（即ち、結合相が３０重量％超）で
は、結合相の含有量が多くなり過ぎて耐摩耗性を確保で
きなくなる。また硬質分散相が９５重量％を超えると
（即ち、結合相が５重量％未満）、結合相の含有量が少
なくなり過ぎて、靭性が低くなる。
相：７０〜９５重量％、および鉄族元素の１種または２
種以上からなる結合相：５〜３０重量％のものを対象に
するが、この理由は下記の通りである。即ち、硬質分散
相が７０重量％未満（即ち、結合相が３０重量％超）で
は、結合相の含有量が多くなり過ぎて耐摩耗性を確保で
きなくなる。また硬質分散相が９５重量％を超えると
（即ち、結合相が５重量％未満）、結合相の含有量が少
なくなり過ぎて、靭性が低くなる。
【００１１】尚本発明のサーメット焼結体においては、
焼結体の平均粒径を１μｍ以下とするのが好ましく、１
μｍを超えるとサーメット焼結体としての基本的な耐摩
耗性、耐酸化性、靭性が確保できず、本発明の効果が低
減する。また焼結体の平均粒径を１μｍ以下とする為に
は、ＴｉＣおよび／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末以
外の原料粉末の平均粒径も考慮する他、焼結温度や焼結
助剤等の条件を適切にするのが良い。
焼結体の平均粒径を１μｍ以下とするのが好ましく、１
μｍを超えるとサーメット焼結体としての基本的な耐摩
耗性、耐酸化性、靭性が確保できず、本発明の効果が低
減する。また焼結体の平均粒径を１μｍ以下とする為に
は、ＴｉＣおよび／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末以
外の原料粉末の平均粒径も考慮する他、焼結温度や焼結
助剤等の条件を適切にするのが良い。
【００１２】本発明のサーメット焼結体は、次のような
方法で製造することができる。まず平均粒径が１．０μ
ｍ以下のＴｉＣおよび／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉
末と、周期律表第ＩＶａ，Ｖａ，ＶＩａ族の元素の炭化
物および／または窒化物を湿式混合し、その後造粒・乾
燥、プレスおよび焼結を行う。
方法で製造することができる。まず平均粒径が１．０μ
ｍ以下のＴｉＣおよび／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉
末と、周期律表第ＩＶａ，Ｖａ，ＶＩａ族の元素の炭化
物および／または窒化物を湿式混合し、その後造粒・乾
燥、プレスおよび焼結を行う。
【００１３】この焼結時に、液相が出現する前の固相状
態で、ＴｉＣやＴｉ（Ｃ，Ｎ）に上記炭化物または窒化
物が固溶していく。その後、液相が出現すると溶解析出
が起こるため、ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の回りに周
辺組織が形成される。従来のサーメットでは、使用する
ＴｉＣやＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末の粒径が大きく、拡
散距離が長いため、炭化物や窒化物の固溶が、ＴｉＣま
たはＴｉ（Ｃ，Ｎ）粒に対して十分に生じなかった。発
明者らはＴｉＣおよびＴｉ（Ｃ，Ｎ）への炭化物や窒化
物の固溶に対して、結合相として添加されるＣｏやＮｉ
が触媒作用を果たすことを見いだした。尚本発明のサー
メット焼結体において、結合相を構成する元素としては
上記ＣｏやＮｉの他Ｆｅを添加しても良く、従って本発
明で結合相を構成する金属を鉄族金属（鉄族元素の金
属）とした。
態で、ＴｉＣやＴｉ（Ｃ，Ｎ）に上記炭化物または窒化
物が固溶していく。その後、液相が出現すると溶解析出
が起こるため、ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の回りに周
辺組織が形成される。従来のサーメットでは、使用する
ＴｉＣやＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末の粒径が大きく、拡
散距離が長いため、炭化物や窒化物の固溶が、ＴｉＣま
たはＴｉ（Ｃ，Ｎ）粒に対して十分に生じなかった。発
明者らはＴｉＣおよびＴｉ（Ｃ，Ｎ）への炭化物や窒化
物の固溶に対して、結合相として添加されるＣｏやＮｉ
が触媒作用を果たすことを見いだした。尚本発明のサー
メット焼結体において、結合相を構成する元素としては
上記ＣｏやＮｉの他Ｆｅを添加しても良く、従って本発
明で結合相を構成する金属を鉄族金属（鉄族元素の金
属）とした。
【００１４】平均粒径が１．０μｍ以下のＴｉＣおよび
／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末を用いて、ＣｏやＮ
ｉの触媒作用を利用すれば、焼結時・液相が出現する前
の固相状態で、ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）粒の中心近
くまたは粒全体に亘って上記炭化物または窒化物を均一
に固溶させることが可能である。
／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末を用いて、ＣｏやＮ
ｉの触媒作用を利用すれば、焼結時・液相が出現する前
の固相状態で、ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）粒の中心近
くまたは粒全体に亘って上記炭化物または窒化物を均一
に固溶させることが可能である。
【００１５】上記の様な方法で作ったサーメット焼結体
の硬質分散相は、前述した様に有芯構造を有さない固溶
体を主体としたものであり、均一な組成分布を有するも
のとなる。また上述した如く平均粒径が０．３μｍ以下
のＴｉＣおよび／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末を用
いれば上記の様な組織となる他、ＴｉＣまたはＴｉ
（Ｃ，Ｎ）のみを芯とする有芯構造粒を実質的に含まな
い組織ができる。これらのサーメット焼結体は、高温で
の耐摩耗性、耐酸化性、靭性等に著しく優れたものとな
る。
の硬質分散相は、前述した様に有芯構造を有さない固溶
体を主体としたものであり、均一な組成分布を有するも
のとなる。また上述した如く平均粒径が０．３μｍ以下
のＴｉＣおよび／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末を用
いれば上記の様な組織となる他、ＴｉＣまたはＴｉ
（Ｃ，Ｎ）のみを芯とする有芯構造粒を実質的に含まな
い組織ができる。これらのサーメット焼結体は、高温で
の耐摩耗性、耐酸化性、靭性等に著しく優れたものとな
る。
【００１６】尚、これまでＮ添加サーメット焼結体を中
心に説明してきたが、本発明で対象とするサーメット焼
結体は、Ｎ添加サーメット焼結体だけに限らず、Ｎ無添
加サーメット焼結体であっても有芯構造を有する場合が
あるので（例えばＴｉＣ−Ｍｏ２Ｃ−Ｎｉ系）、この様
なサーメット焼結体の特性改善という点からも本発明は
有用である。またサーメット焼結体を切削工具として用
いる場合には、ＴｉＮやＴｉＡＩＮ等の硬質皮膜をコー
ティングする場合もあるが、本発明のサーメット焼結体
においても、この様な技術的応用は可能である。
心に説明してきたが、本発明で対象とするサーメット焼
結体は、Ｎ添加サーメット焼結体だけに限らず、Ｎ無添
加サーメット焼結体であっても有芯構造を有する場合が
あるので（例えばＴｉＣ−Ｍｏ２Ｃ−Ｎｉ系）、この様
なサーメット焼結体の特性改善という点からも本発明は
有用である。またサーメット焼結体を切削工具として用
いる場合には、ＴｉＮやＴｉＡＩＮ等の硬質皮膜をコー
ティングする場合もあるが、本発明のサーメット焼結体
においても、この様な技術的応用は可能である。
【００１７】以下、本発明を実施例によって更に詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【００１８】
【実施例】下記表１に示す各種組成のサーメット焼結体
を用いてドリルを作製し、これらについて下記の切削条
件で穴あけテストを行なった。 （切削条件） ドリル径：８ｍｍφ 切削速度：８０ｍ／ｍｉｎ 送り：０．２ｍｍ／ｒｅｖ 被削材：Ｓ５０Ｃ（ＨＢ２４０〜２６０） 切削長：１６ｍｍ貫通 突き出し長さ：６５ｍｍ 切削油：クールＥ（水溶性）
を用いてドリルを作製し、これらについて下記の切削条
件で穴あけテストを行なった。 （切削条件） ドリル径：８ｍｍφ 切削速度：８０ｍ／ｍｉｎ 送り：０．２ｍｍ／ｒｅｖ 被削材：Ｓ５０Ｃ（ＨＢ２４０〜２６０） 切削長：１６ｍｍ貫通 突き出し長さ：６５ｍｍ 切削油：クールＥ（水溶性）
【００１９】
【表１】
【００２０】穴あけテストの結果を表２に示すが、表２
から明らかな様に、本発明のサーメット焼結体（Ｎｏ．
１〜１４）は、切削速度：８０ｍ／ｍｉｎという過酷な
条件の下であっても、切削長：４０ｍ以上の高性能を示
している。これに対し、従来のサーメット焼結体（Ｎ
ｏ．１５〜１８）では、焼結体の組織が粗いため、ある
いは大きなＴｉＣおよびＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯
構造粒を多く含んでいるため、摩耗やチッピングによ
り、早期に寿命に至っている。
から明らかな様に、本発明のサーメット焼結体（Ｎｏ．
１〜１４）は、切削速度：８０ｍ／ｍｉｎという過酷な
条件の下であっても、切削長：４０ｍ以上の高性能を示
している。これに対し、従来のサーメット焼結体（Ｎ
ｏ．１５〜１８）では、焼結体の組織が粗いため、ある
いは大きなＴｉＣおよびＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯
構造粒を多く含んでいるため、摩耗やチッピングによ
り、早期に寿命に至っている。
【００２１】
【表２】
【００２２】尚、表１，２に示したサーメット焼結体の
組織についてＳＥＭ観察によって調査したところ、Ｎo.
１〜３のものは、硬質分散相が、有芯構造を有さない固
溶体を主体としたものであり、均一な組成分布を有し、
且つＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構造を
実質的に含まない組織となっていた。またＮo.４〜１４
のものは、硬質分散相が、有芯構造を有さない固溶体を
主体としたものであり、均一な組成を有していたが、
（１）ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）に他の固溶体成分を
固溶したものを芯とする有芯構造からなる組織や、
（２）ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構造
ではあるが、平均粒径が１μｍ以下の微細な組織のいず
れかまたは双方を若干含んでいるものであった。これに
対し、Ｎo.１５〜１８のものは、硬質分散相が、ＴｉＣ
またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構造を多く含んで
おり、しかも平均粒径が比較的大きな組織からなってい
た。
組織についてＳＥＭ観察によって調査したところ、Ｎo.
１〜３のものは、硬質分散相が、有芯構造を有さない固
溶体を主体としたものであり、均一な組成分布を有し、
且つＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構造を
実質的に含まない組織となっていた。またＮo.４〜１４
のものは、硬質分散相が、有芯構造を有さない固溶体を
主体としたものであり、均一な組成を有していたが、
（１）ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）に他の固溶体成分を
固溶したものを芯とする有芯構造からなる組織や、
（２）ＴｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構造
ではあるが、平均粒径が１μｍ以下の微細な組織のいず
れかまたは双方を若干含んでいるものであった。これに
対し、Ｎo.１５〜１８のものは、硬質分散相が、ＴｉＣ
またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構造を多く含んで
おり、しかも平均粒径が比較的大きな組織からなってい
た。
【００２３】
【発明の効果】本発明は以上のごとく構成されており、
本発明のサーメット焼結体の組織は微細であり、且つＴ
ｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構造粒を含ん
でいないか、あるいは含んでいたとしてもそのサイズが
小さいため、非常に優れた耐摩耗性、耐酸化性、靭性を
示す。したがって、本発明のサーメット焼結体を切削工
具として使用した場合においては、過酷な切削条件の使
用においても、優れた性能を発揮する。
本発明のサーメット焼結体の組織は微細であり、且つＴ
ｉＣまたはＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構造粒を含ん
でいないか、あるいは含んでいたとしてもそのサイズが
小さいため、非常に優れた耐摩耗性、耐酸化性、靭性を
示す。したがって、本発明のサーメット焼結体を切削工
具として使用した場合においては、過酷な切削条件の使
用においても、優れた性能を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) C22C 29/02 C22C 29/04
Claims (3)
- 【請求項１】 硬質分散相：７０〜９５重量％、および
鉄族金属の１種または２種以上からなる結合相：５〜３
０重量％からなるサーメット焼結体であって、ＴｉＣお
よび／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末の平均粒径が
１．０μｍ以下であると共に、これを周期律表第ＩＶ
ａ，ＶａおよびＶＩａ族の元素よりなる群から選ばれる
１種以上の元素の炭化物（但し、ＴｉＣは除く）および
／または窒化物と焼結中に直接固溶させて硬質分散相と
し、該硬質分散相が、有芯構造を有さない固溶体を主体
としたものであり、均一な組成分布を有するものである
ことを特徴とするサーメット焼結体。 - 【請求項２】 硬質分散相の一部として、(1) ＴｉＣま
たはＴｉ（Ｃ，Ｎ）に他の固溶体成分が固溶したものを
芯とする有芯構造からなる組織、(2) ＴｉＣまたはＴｉ
（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構造からなり、且つ平均粒径
が１μｍ以下の微細な組織、のいずれかまたは双方を含
んでなる請求項１に記載のサーメット焼結体。 - 【請求項３】 硬質分散相：７０〜９５重量％，および
鉄族金属の１種または２種以上からなる結合相：５〜３
０重量％からなるサーメット焼結体であって、ＴｉＣお
よび／またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）の原料粉末の平均粒径が
０．３μｍ以下であると共に、これを周期律表第ＩＶ
ａ，ＶａおよびＶＩａ族の元素よりなる群から選ばれる
１種以上の元素の炭化物（但し、ＴｉＣは除く）および
／または窒化物と焼結中に直接固溶させて硬質分散相と
し、該硬質分散相が、有芯構造を有さない固溶体を主体
としたものであり、均一な組成分布を有し、且つＴｉＣ
またはＴｉ（Ｃ，Ｎ）を芯とする有芯構造を実質的に含
まない組織であることを特徴とするサーメット焼結体。
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