JP2791517B2 - フッ素樹脂積層物の製造方法 - Google Patents
フッ素樹脂積層物の製造方法Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、家庭用にも電気、化
学、機械などの工業用にも使用されるフッ素樹脂積層物
の製造方法に関する。
学、機械などの工業用にも使用されるフッ素樹脂積層物
の製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】近年、ポリテトラフルオルエチレンを代
表例とし、ポリクロルトリフルオルエチレン、ポリフッ
化ビニリデン、ポリフッ化ビニールならびにそれらと他
の高分子樹脂との共重合物などのフッ素樹脂は、強固な
Ｃ−Ｆ結合およびフッ素によってＣ−Ｃ結合が強化され
ているため極めて優れた熱的、化学的特性を有してお
り、また非粘着性、潤滑性、電気的特性などによって家
庭用から全ゆる方面の産業用に利用されている。そして
フッ素樹脂を表面に積層したものは、家庭用の電気器具
製品をとってみても、フライパン、電気炊飯器の鍋、ホ
ットプレート、アイロンなど実に様々なものに使用され
ている。しかしながら、これらのフッ素樹脂を積層した
ものへの表示構成および表示手段は次のようになってい
た。
表例とし、ポリクロルトリフルオルエチレン、ポリフッ
化ビニリデン、ポリフッ化ビニールならびにそれらと他
の高分子樹脂との共重合物などのフッ素樹脂は、強固な
Ｃ−Ｆ結合およびフッ素によってＣ−Ｃ結合が強化され
ているため極めて優れた熱的、化学的特性を有してお
り、また非粘着性、潤滑性、電気的特性などによって家
庭用から全ゆる方面の産業用に利用されている。そして
フッ素樹脂を表面に積層したものは、家庭用の電気器具
製品をとってみても、フライパン、電気炊飯器の鍋、ホ
ットプレート、アイロンなど実に様々なものに使用され
ている。しかしながら、これらのフッ素樹脂を積層した
ものへの表示構成および表示手段は次のようになってい
た。
【０００３】その一従来例を図面を参照して説明する。
図６において、６１は電気炊飯器の内鍋で、アルミニウ
ム基材６２に、アルミニウムとの接着を強くするための
プライマーと云われる樹脂の下塗り（以下プライマーと
云う）を焼付け、その上にポリテトラフルオルエチレン
のデイスパージョンを数回塗布焼成を施してフッ素樹脂
層６３を形成する。６４はアルミニウム基材６２に刻印
によって形成した凸部で、この凸部６４によって内鍋６
１の内側壁に注水する水位線６５を示している。使用者
はこの水位表示を見て炊飯の水加減を行うのである。こ
のようにフッ素樹脂積層物の従来の表示は凹凸表示のみ
であった。その理由は、フッ素樹脂は、とくに耐熱、耐
薬品性が優れており、かつ潤滑性が良いなどの理由によ
り、フッ素樹脂の表面にはインクなどの表示が付け難い
ことと、調理器のフッ素樹脂加工の場合には、フッ素樹
脂自体は無毒であるが、印刷インク中に含まれる有毒な
顔料または染料を調理面に溶出させることは出来ないと
云うことなどからである。使用者はこのような凹凸表示
のみでは表示内容がわかり難い欠点があった。また凹凸
表示のために、その製品を繰返し使用していると、フッ
素樹脂がその凸部で摩耗し、ついにはフッ素樹脂が刻印
部で剥離してしまうという問題点があった。
図６において、６１は電気炊飯器の内鍋で、アルミニウ
ム基材６２に、アルミニウムとの接着を強くするための
プライマーと云われる樹脂の下塗り（以下プライマーと
云う）を焼付け、その上にポリテトラフルオルエチレン
のデイスパージョンを数回塗布焼成を施してフッ素樹脂
層６３を形成する。６４はアルミニウム基材６２に刻印
によって形成した凸部で、この凸部６４によって内鍋６
１の内側壁に注水する水位線６５を示している。使用者
はこの水位表示を見て炊飯の水加減を行うのである。こ
のようにフッ素樹脂積層物の従来の表示は凹凸表示のみ
であった。その理由は、フッ素樹脂は、とくに耐熱、耐
薬品性が優れており、かつ潤滑性が良いなどの理由によ
り、フッ素樹脂の表面にはインクなどの表示が付け難い
ことと、調理器のフッ素樹脂加工の場合には、フッ素樹
脂自体は無毒であるが、印刷インク中に含まれる有毒な
顔料または染料を調理面に溶出させることは出来ないと
云うことなどからである。使用者はこのような凹凸表示
のみでは表示内容がわかり難い欠点があった。また凹凸
表示のために、その製品を繰返し使用していると、フッ
素樹脂がその凸部で摩耗し、ついにはフッ素樹脂が刻印
部で剥離してしまうという問題点があった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する従来の問題点は、刻印などにより凹凸のみによる表
示では、使用者が見づらいという点である。本発明はこ
の従来の問題点を解消して、使用者に見易い表示をつけ
たフッ素樹脂積層物の製造方法を提供して、その目的を
達成しようとするものである。
する従来の問題点は、刻印などにより凹凸のみによる表
示では、使用者が見づらいという点である。本発明はこ
の従来の問題点を解消して、使用者に見易い表示をつけ
たフッ素樹脂積層物の製造方法を提供して、その目的を
達成しようとするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材と、プラ
イマー層と、印刷表示層と、フッ素樹脂層とを順次積み
重ねた積層物であって、上記印刷表示層はフッ素樹脂の
融解温度よりも低い熱分解温度を有するバインダー樹脂
と、フッ素樹脂の熱分解温度における温度での耐熱性を
有するインクとを主体とし、前記バインダー樹脂はその
熱分解温度でガス化して未焼成のフッ素樹脂層を通して
揮散した後、昇温してフッ素樹脂層を焼成し強固な焼成
フッ素樹脂層で覆われたフッ素樹脂積層物を提供するも
のであり、さらに以上の印刷表示層を有するフッ素樹脂
積層物を、基材上にプライマーを塗布後、乾燥処理をし
た後に、印刷表示層を形成し、その上にフッ素樹脂を塗
布し、印刷表示層中のインクのバインダー樹脂の分解温
度近傍の温度で保持した後、フッ素樹脂を焼成して製造
する方法を実現したものである。
イマー層と、印刷表示層と、フッ素樹脂層とを順次積み
重ねた積層物であって、上記印刷表示層はフッ素樹脂の
融解温度よりも低い熱分解温度を有するバインダー樹脂
と、フッ素樹脂の熱分解温度における温度での耐熱性を
有するインクとを主体とし、前記バインダー樹脂はその
熱分解温度でガス化して未焼成のフッ素樹脂層を通して
揮散した後、昇温してフッ素樹脂層を焼成し強固な焼成
フッ素樹脂層で覆われたフッ素樹脂積層物を提供するも
のであり、さらに以上の印刷表示層を有するフッ素樹脂
積層物を、基材上にプライマーを塗布後、乾燥処理をし
た後に、印刷表示層を形成し、その上にフッ素樹脂を塗
布し、印刷表示層中のインクのバインダー樹脂の分解温
度近傍の温度で保持した後、フッ素樹脂を焼成して製造
する方法を実現したものである。
【０００６】
【作用】本発明は前記の製造方法であるから、基材上
に、プライマー層を形成しその後印刷表示層を設け、さ
らにその上にフッ素樹脂層を付着した後、印刷表示層中
のインクのバインダー樹脂の熱分解温度の近傍で一定時
間保持し、その後、所定の焼成温度で焼成して積層物を
製造するものであり、フッ素樹脂が溶融する前にインク
のバインダー樹脂が分解するため、その分解物によりフ
ッ素樹脂層にピンホールやふくれが発生し難く、緻密な
フッ素樹脂積層物が製造できるものである。
に、プライマー層を形成しその後印刷表示層を設け、さ
らにその上にフッ素樹脂層を付着した後、印刷表示層中
のインクのバインダー樹脂の熱分解温度の近傍で一定時
間保持し、その後、所定の焼成温度で焼成して積層物を
製造するものであり、フッ素樹脂が溶融する前にインク
のバインダー樹脂が分解するため、その分解物によりフ
ッ素樹脂層にピンホールやふくれが発生し難く、緻密な
フッ素樹脂積層物が製造できるものである。
【０００７】図形や文字を表示する印刷表示層の上にフ
ッ素樹脂層があるため、使用を繰り返してもフッ素樹脂
層がすべて摩滅するまでフッ素樹脂層によって被覆して
保護されている。従って印刷表示層は耐久性が高いもの
である。また、フッ素樹脂も刻印などによる凹凸が殆ん
ど無いため、使用中の摩擦に対する耐久性も高くなる。
ッ素樹脂層があるため、使用を繰り返してもフッ素樹脂
層がすべて摩滅するまでフッ素樹脂層によって被覆して
保護されている。従って印刷表示層は耐久性が高いもの
である。また、フッ素樹脂も刻印などによる凹凸が殆ん
ど無いため、使用中の摩擦に対する耐久性も高くなる。
【０００８】さらに、積層物を製造する過程で印刷表示
層中のバインダー樹脂はその熱分解温度がフッ素樹脂の
融解温度よりも低いため、フッ素樹脂が焼成される前の
段階で殆んど耐熱性のインクの主体となる粉体のみとな
り、この粉体とフッ素樹脂とが相互に拡散するため、フ
ッ素樹脂層とプライマー層とが、印刷表示層の部分にお
いても強固に密着しているのである。
層中のバインダー樹脂はその熱分解温度がフッ素樹脂の
融解温度よりも低いため、フッ素樹脂が焼成される前の
段階で殆んど耐熱性のインクの主体となる粉体のみとな
り、この粉体とフッ素樹脂とが相互に拡散するため、フ
ッ素樹脂層とプライマー層とが、印刷表示層の部分にお
いても強固に密着しているのである。
【０００９】また、フッ素樹脂層を形成する材料は、溶
剤中に分散したデイスパージョンを使用しないでフッ素
樹脂粉体を使用する場合には、その粉体を付着した後で
も焼成前には印刷表示層のなかのバインダー樹脂の分解
物は揮散し易い。
剤中に分散したデイスパージョンを使用しないでフッ素
樹脂粉体を使用する場合には、その粉体を付着した後で
も焼成前には印刷表示層のなかのバインダー樹脂の分解
物は揮散し易い。
【００１０】さらに、表示を連続した線状または面状に
することなく、２ミリメートル以下のドットによって形
成されるようにした場合には、印刷表示層の周辺がフッ
素樹脂層とプライマー層との接着部で囲まれるため、印
刷表示層付近の密着性が良い。
することなく、２ミリメートル以下のドットによって形
成されるようにした場合には、印刷表示層の周辺がフッ
素樹脂層とプライマー層との接着部で囲まれるため、印
刷表示層付近の密着性が良い。
【００１１】
【実施例】以下本発明の実施例について説明する。
【００１２】（実施例） まず、表面を有機溶剤で脱脂処理した３００４系アルミ
ニウム板を、粒度１００番のモランダム系ブラスト剤を
用い、空気圧５ｋｇ／ｃｍ2でブラスト処理により粗面
化後、ダイキン工業社製ポリアミドイミド系プライマー
ＥＫ−１９０９ＢＫを焼成後に８ミクロンの厚さとなる
ようにスプレー塗装し、１５０℃で１０分間乾燥した。
そしてその上に印刷表示層を形成するためのインクをタ
ンポ印刷し、さらにデュポン社製ＰＦＡ粉体塗料ＭＰ−
１０２を焼成後に２５ミクロンの厚さとなるように静電
塗装した。この塗装物を図１に示すように、３００℃で
１５分間保持し、その後３８０℃で２５分間焼成して積
層物を得た。そして使用したインクは、アクリロニトリ
ル樹脂をバインダーにした酸化チタン粉末を含むもので
ある。
ニウム板を、粒度１００番のモランダム系ブラスト剤を
用い、空気圧５ｋｇ／ｃｍ2でブラスト処理により粗面
化後、ダイキン工業社製ポリアミドイミド系プライマー
ＥＫ−１９０９ＢＫを焼成後に８ミクロンの厚さとなる
ようにスプレー塗装し、１５０℃で１０分間乾燥した。
そしてその上に印刷表示層を形成するためのインクをタ
ンポ印刷し、さらにデュポン社製ＰＦＡ粉体塗料ＭＰ−
１０２を焼成後に２５ミクロンの厚さとなるように静電
塗装した。この塗装物を図１に示すように、３００℃で
１５分間保持し、その後３８０℃で２５分間焼成して積
層物を得た。そして使用したインクは、アクリロニトリ
ル樹脂をバインダーにした酸化チタン粉末を含むもので
ある。
【００１３】アクリロニトリル樹脂の熱分解温度は、中
心値で約３００℃であり、３００℃で１５分間の処理
で、アクリロニトリル樹脂が分解し、ガス化して揮散す
る。従ってその後の３８０℃での焼成では殆んどガス化
が起こらず、フッ素樹脂層はガスによるピンホールやふ
くれがなく、緻密なフッ素樹脂層が得られた。
心値で約３００℃であり、３００℃で１５分間の処理
で、アクリロニトリル樹脂が分解し、ガス化して揮散す
る。従ってその後の３８０℃での焼成では殆んどガス化
が起こらず、フッ素樹脂層はガスによるピンホールやふ
くれがなく、緻密なフッ素樹脂層が得られた。
【００１４】なお、以上の実施例で用いた印刷表示層を
形成するインクのバインダーはエポキシ樹脂やアクリロ
ニトリル樹脂だけでなく、フッ素樹脂の融解温度よりも
低い熱分解温度を持つものであれば良い。また分散する
粉末もカーボンブラックや酸化チタンだけでなく、フッ
素樹脂の焼成温度で分解の起こり難いものであれば良
い。さらに基材はアルミニウムに限るものでなく銅また
は銅合金以外の金属材、セラミック材、木材樹脂など様
々な基材が使い得る。そしてプライマーの樹脂は基材と
の接着性がよいものであればよく、フッ素樹脂は強固な
Ｃ−Ｆ結合およびＣ−Ｃ結合をフッ素によって強化する
樹脂であればよい。このフッ素樹脂中にはポリテトラフ
ルオルエチレン、ポリクロルトリフルオルエチレン、ポ
リフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニールならびにそれ
らの樹脂と他の樹脂との共重合物が含まれる。
形成するインクのバインダーはエポキシ樹脂やアクリロ
ニトリル樹脂だけでなく、フッ素樹脂の融解温度よりも
低い熱分解温度を持つものであれば良い。また分散する
粉末もカーボンブラックや酸化チタンだけでなく、フッ
素樹脂の焼成温度で分解の起こり難いものであれば良
い。さらに基材はアルミニウムに限るものでなく銅また
は銅合金以外の金属材、セラミック材、木材樹脂など様
々な基材が使い得る。そしてプライマーの樹脂は基材と
の接着性がよいものであればよく、フッ素樹脂は強固な
Ｃ−Ｆ結合およびＣ−Ｃ結合をフッ素によって強化する
樹脂であればよい。このフッ素樹脂中にはポリテトラフ
ルオルエチレン、ポリクロルトリフルオルエチレン、ポ
リフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニールならびにそれ
らの樹脂と他の樹脂との共重合物が含まれる。
【００１５】そしてフッ素樹脂の形態も溶剤中に分散し
たデイスパージョンまたはエマルジョンであっても、ま
た粉体であっても使用出来る。
たデイスパージョンまたはエマルジョンであっても、ま
た粉体であっても使用出来る。
【００１６】本実施例により得たフッ素樹脂積層物は計
量器、ジェット機、航空機、無線機器、レーダー、また
電気炊飯器、フライパン、オーブン皿などの調理器なら
びに、ベアリング、光学窓、加工機、ポンプ、パイプの
ライニング、温室の天井など、フッ素樹脂の特性によっ
て各面に利用できるものである。
量器、ジェット機、航空機、無線機器、レーダー、また
電気炊飯器、フライパン、オーブン皿などの調理器なら
びに、ベアリング、光学窓、加工機、ポンプ、パイプの
ライニング、温室の天井など、フッ素樹脂の特性によっ
て各面に利用できるものである。
【００１７】（参考例１） 図２において、１はアルミニウム基材、２はプライマー
層、３は印刷表示層、４は最上部のフッ素樹脂層であ
る。
層、３は印刷表示層、４は最上部のフッ素樹脂層であ
る。
【００１８】本参考例１が前記する実施例と異るフッ素
樹脂積層物の材料および製造工程について記す。
樹脂積層物の材料および製造工程について記す。
【００１９】表面を有機溶剤で脱脂処理した３００４系
アルミニウム基材１を粒度１００番のモランダム系ブラ
スト剤を用い、空気圧５ｋｇ／ｃｍ2でブラスト処理に
より粗面化後、デュポン社製ＰＥＳ系プライマー４６２
−Ｚ−６８５０１を焼成後の厚さが８ミクロンとなるよ
うにスプレー塗装し、１５０℃で１０分間乾燥し、その
上に印刷表示層３を形成するためのインクをタンポ印刷
する。その印刷表示層３の上に、ダイキン工業社製ＰＦ
Ａ塗料ＡＤ−２ＣＲをフッ素樹脂層４として焼成後の厚
さが２５ミクロンになるようにスプレー塗装し、３８０
℃で２０分間焼成した。
アルミニウム基材１を粒度１００番のモランダム系ブラ
スト剤を用い、空気圧５ｋｇ／ｃｍ2でブラスト処理に
より粗面化後、デュポン社製ＰＥＳ系プライマー４６２
−Ｚ−６８５０１を焼成後の厚さが８ミクロンとなるよ
うにスプレー塗装し、１５０℃で１０分間乾燥し、その
上に印刷表示層３を形成するためのインクをタンポ印刷
する。その印刷表示層３の上に、ダイキン工業社製ＰＦ
Ａ塗料ＡＤ−２ＣＲをフッ素樹脂層４として焼成後の厚
さが２５ミクロンになるようにスプレー塗装し、３８０
℃で２０分間焼成した。
【００２０】なお、印刷表示層３は、アクリロニトリル
樹脂をバインダーとし、カーボンブラック粉末をインク
として分散したものである。
樹脂をバインダーとし、カーボンブラック粉末をインク
として分散したものである。
【００２１】本参考例１のフッ素樹脂積層物は印刷表示
層がその上部のフッ素樹脂で被覆されて保護されている
ため、印刷表示層の耐摩耗性、ならびに薬品やその他の
材料に対する耐久性が高く、かつフッ素樹脂層の表面も
耐摩擦性が高いものである。
層がその上部のフッ素樹脂で被覆されて保護されている
ため、印刷表示層の耐摩耗性、ならびに薬品やその他の
材料に対する耐久性が高く、かつフッ素樹脂層の表面も
耐摩擦性が高いものである。
【００２２】（参考例２） 図３において、２１はアルミニウム基材、２２はプライ
マー層、２３は印刷表示層、２４はフッ素樹脂層であ
る。
マー層、２３は印刷表示層、２４はフッ素樹脂層であ
る。
【００２３】この参考例２が実施例と異るフッ素樹脂積
層物の材料および製造工程を以下に示す。まず表面を有
機溶剤で脱脂処理した３００４系アルミニウム板を、粒
度１００番のモランダム系ブラスト剤を用い、空気圧５
ｋｇ／ｃｍ2でブラスト処理により粗面化した後、ダイ
キン工業社製ポリアミドイミド系プライマーＥＫ−１９
０９ＢＫを焼成後に８ミクロンの厚さとなるようにスプ
レー塗装し、１５０℃で１０分間乾燥した。
層物の材料および製造工程を以下に示す。まず表面を有
機溶剤で脱脂処理した３００４系アルミニウム板を、粒
度１００番のモランダム系ブラスト剤を用い、空気圧５
ｋｇ／ｃｍ2でブラスト処理により粗面化した後、ダイ
キン工業社製ポリアミドイミド系プライマーＥＫ−１９
０９ＢＫを焼成後に８ミクロンの厚さとなるようにスプ
レー塗装し、１５０℃で１０分間乾燥した。
【００２４】次に印刷表示層を形成するためのインクは
ビデオジェット社製インクジェット機エクセルシリーズ
１００を用いて印刷し、その上に、デュポン社製ＰＦＡ
粉体塗料ＭＰ−１０２を焼成後の厚さが２５ミクロンの
フッ素樹脂層となるように静電塗装し、３８０℃で２０
分間焼成して積層物を得た。なお、本参考例２に使用し
たインクは、エポキシ樹脂をバインダーとする酸化チタ
ン粉末である。
ビデオジェット社製インクジェット機エクセルシリーズ
１００を用いて印刷し、その上に、デュポン社製ＰＦＡ
粉体塗料ＭＰ−１０２を焼成後の厚さが２５ミクロンの
フッ素樹脂層となるように静電塗装し、３８０℃で２０
分間焼成して積層物を得た。なお、本参考例２に使用し
たインクは、エポキシ樹脂をバインダーとする酸化チタ
ン粉末である。
【００２５】本参考例２のフッ素樹脂積層物のフッ素樹
脂層を塗着した後の変化を図４に示す。図４において３
１はアルミニウム基材、３２はプライマー層、３３は印
刷表示層中のバインダー樹脂、３４は印刷表示層中の耐
熱性粉体、３５は最上部のフッ素樹脂層を形成するフッ
素樹脂粉体塗料である。バインダー樹脂３３は加熱によ
り熱分解し、ガス化して最上部のフッ素樹脂層を通過す
るが、本参考例２ではフッ素樹脂層を形成するのに粉体
塗料を使用しているためバインダー樹脂３３の分解ガス
がフッ素樹脂層３５を通過し易くなり、従ってフッ素樹
脂層のふくれやピンホールが極めて少ない。
脂層を塗着した後の変化を図４に示す。図４において３
１はアルミニウム基材、３２はプライマー層、３３は印
刷表示層中のバインダー樹脂、３４は印刷表示層中の耐
熱性粉体、３５は最上部のフッ素樹脂層を形成するフッ
素樹脂粉体塗料である。バインダー樹脂３３は加熱によ
り熱分解し、ガス化して最上部のフッ素樹脂層を通過す
るが、本参考例２ではフッ素樹脂層を形成するのに粉体
塗料を使用しているためバインダー樹脂３３の分解ガス
がフッ素樹脂層３５を通過し易くなり、従ってフッ素樹
脂層のふくれやピンホールが極めて少ない。
【００２６】（参考例３） 図５において、４１はアルミニウム基材、４２はプライ
マー層、４３はドット状の印刷表示層、４４はフッ素樹
脂層である。
マー層、４３はドット状の印刷表示層、４４はフッ素樹
脂層である。
【００２７】本参考例３が実施例と異るフッ素樹脂積層
物の材料および製造工程について以下に示す。表面を有
機溶剤で脱脂処理した３００４系アルミニウム基材４１
を粒度１００番のモランダム系ブラスト剤を用い、空気
圧５ｋｇ／ｃｍ2でブラスト処理により粗面化後、デュ
ポン社製ＰＥＳ系プライマー４６２−Ｚ−６８５０１を
焼成後に８ミクロンの厚さとなるようにスプレー塗装し
１５０℃で１０分間乾燥した。そしてその上に印刷表示
層４３を形成するためのインクを１ドットが１ミリメー
トルになるようにタンポ印刷し、その上にデュポン社製
ＰＦＡ粉体塗料ＭＰ−１０２を焼成後に５０ミクロンの
厚さのフッ素樹脂層４４になるように静電塗装し、３８
０℃で２０分間焼成して積層物を得た。
物の材料および製造工程について以下に示す。表面を有
機溶剤で脱脂処理した３００４系アルミニウム基材４１
を粒度１００番のモランダム系ブラスト剤を用い、空気
圧５ｋｇ／ｃｍ2でブラスト処理により粗面化後、デュ
ポン社製ＰＥＳ系プライマー４６２−Ｚ−６８５０１を
焼成後に８ミクロンの厚さとなるようにスプレー塗装し
１５０℃で１０分間乾燥した。そしてその上に印刷表示
層４３を形成するためのインクを１ドットが１ミリメー
トルになるようにタンポ印刷し、その上にデュポン社製
ＰＦＡ粉体塗料ＭＰ−１０２を焼成後に５０ミクロンの
厚さのフッ素樹脂層４４になるように静電塗装し、３８
０℃で２０分間焼成して積層物を得た。
【００２８】本参考例３では、印刷表示層４３を形成す
るドットが１ミリメートルで、そのドット間の間隔が
０．５ミリメートルであるため、印刷されたドットの周
囲がフッ素樹脂層４４とプライマー層４２との強固な接
着層で囲まれており、強固なものである。若し印刷表示
層４３がフッ素樹脂層４４およびプライマー層４２との
密着性が低くても、フッ素樹脂積層物として印刷表示層
４３が形成する印刷部分との密着性は高いものである。
るドットが１ミリメートルで、そのドット間の間隔が
０．５ミリメートルであるため、印刷されたドットの周
囲がフッ素樹脂層４４とプライマー層４２との強固な接
着層で囲まれており、強固なものである。若し印刷表示
層４３がフッ素樹脂層４４およびプライマー層４２との
密着性が低くても、フッ素樹脂積層物として印刷表示層
４３が形成する印刷部分との密着性は高いものである。
【００２９】
【発明の効果】以上の実施例で説明したように、本発明
の製造方法によるフッ素樹脂積層物は、使用者が判別し
易い印刷表示層をもったフッ素樹脂積層物であるため、
使用し易く、かつ印刷表示層は充分透視し得るフッ素樹
脂層により被覆されているため、摩耗などにより消える
ことがなく、また印刷表示層はプライマー層とフッ素樹
脂層との密着により両層に挟まれるものであるから積層
物全体は強固に一体となって積層されることになる。と
くに印刷表示層中の文字や図形を径が２ミリメートル以
下のドットで表示する場合にはプライマー層とフッ素樹
脂層とはドットの周囲で強固に接着がし易いものであ
り、またフッ素樹脂層を形成する樹脂に粉体を選択した
場合には印刷表示層中のバインダーの分解ガスが揮散し
易く、従ってフッ素樹脂層にピンホールやふくれが極め
て少ないなどの利点がある。加えて上記利点のあるフッ
素樹脂積層物を本発明は簡単な工程により製造し得る方
法を提供したもので、家庭用ならびに産業用の各面にフ
ッ素樹脂積層物が活用し易くなることが期待できる。
の製造方法によるフッ素樹脂積層物は、使用者が判別し
易い印刷表示層をもったフッ素樹脂積層物であるため、
使用し易く、かつ印刷表示層は充分透視し得るフッ素樹
脂層により被覆されているため、摩耗などにより消える
ことがなく、また印刷表示層はプライマー層とフッ素樹
脂層との密着により両層に挟まれるものであるから積層
物全体は強固に一体となって積層されることになる。と
くに印刷表示層中の文字や図形を径が２ミリメートル以
下のドットで表示する場合にはプライマー層とフッ素樹
脂層とはドットの周囲で強固に接着がし易いものであ
り、またフッ素樹脂層を形成する樹脂に粉体を選択した
場合には印刷表示層中のバインダーの分解ガスが揮散し
易く、従ってフッ素樹脂層にピンホールやふくれが極め
て少ないなどの利点がある。加えて上記利点のあるフッ
素樹脂積層物を本発明は簡単な工程により製造し得る方
法を提供したもので、家庭用ならびに産業用の各面にフ
ッ素樹脂積層物が活用し易くなることが期待できる。
【図１】本発明の実施例におけるフッ素樹脂積層物製造
時の焼成温度と焼成時間との関係を示す図
時の焼成温度と焼成時間との関係を示す図
【図２】本発明の参考例１におけるフッ素樹脂積層物の
要部断面図
要部断面図
【図３】本発明の参考例２におけるフッ素樹脂積層物の
要部断面図
要部断面図
【図４】（Ａ）同参考例２におけるフッ素樹脂積層物の
焼成中の要部断面図（Ｂ）同焼成後の要部断面図
焼成中の要部断面図（Ｂ）同焼成後の要部断面図
【図５】本発明の参考例３におけるフッ素樹脂積層物の
要部断面図
要部断面図
【図６】（Ａ）従来の側壁に凹凸表示の水位線を示した
電気炊飯器の内鍋の断面図（Ｂ）ＡにおけるＢ１−Ｂ２
線断面図
電気炊飯器の内鍋の断面図（Ｂ）ＡにおけるＢ１−Ｂ２
線断面図
１、２１、３１、４１ アルミニウム基材 ２、２２、３２、４２ プライマー層 ３、２３ 印刷表示層 ４、２４、３５、４４ フッ素樹脂層 ３３ バインダー樹脂 ３４ 耐熱性粉体 ４３ ドット状の印刷表示層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 秀行 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 延藤 吉保 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平３−227238（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−49541（ＪＰ，Ａ)
Claims (5)
- 【請求項１】 基材と、プライマー層と、フッ素樹脂の
融解温度よりも低い温度で熱分解するバインダー樹脂な
らびにフッ素樹脂の熱分解温度下で耐熱性を有するイン
クとにより構成される印刷表示層と、フッ素樹脂層とを
順次積層する積層工程と、前記積層工程の後に加熱によ
り前記印刷表示層中のバインダー樹脂を分解して生成す
るガスを未焼成のフッ素樹脂層中を通して揮散する揮散
工程と、前記揮散工程の保持によって前記する生成ガス
を揮散させた後に前記揮散工程における温度よりも高い
温度に加熱して前記インクによる表示を残存したまま前
記フッ素樹脂層を焼成する焼成工程を有することを特徴
とするフッ素樹脂積層物の製造方法。 - 【請求項２】 フッ素樹脂層は、フッ素樹脂粉体により
形成されたものであることを特徴とする請求項１記載の
フッ素樹脂積層物の製造方法。 - 【請求項３】 印刷表示層中の文字または図形が、直径
２ミリメートル以下のドットの組合せで形成した請求項
１または２記載のフッ素樹脂積層物の製造方法。 - 【請求項４】 フッ素樹脂層は、ポリテトラフルオルエ
チレン、ポリクロルトリフルオルエチレン、ポリフッ化
ビニリデン、ポリフッ化ビニールならびにそれらと他の
樹脂との共重合物からなる群のうちから選ばれたフッ素
樹脂層である請求項１、２または３記載のフッ素樹脂積
層物の製造方法。 - 【請求項５】 基材上にプライマーを塗布乾燥した後、
印刷表示層を塗布し、その上にフッ素樹脂を被覆する工
程を経過した後、印刷表示層中のインクのバインダー樹
脂の分解温度近傍の温度に保持し、バインダー樹脂の熱
分解により生成するガスを揮散させた後、フッ素樹脂の
所定焼成温度に昇温してフッ素樹脂を焼成する工程を有
するフッ素樹脂積層物の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3277968A JP2791517B2 (ja) | 1991-10-24 | 1991-10-24 | フッ素樹脂積層物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3277968A JP2791517B2 (ja) | 1991-10-24 | 1991-10-24 | フッ素樹脂積層物の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05116260A JPH05116260A (ja) | 1993-05-14 |
| JP2791517B2 true JP2791517B2 (ja) | 1998-08-27 |
Family
ID=17590780
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3277968A Expired - Lifetime JP2791517B2 (ja) | 1991-10-24 | 1991-10-24 | フッ素樹脂積層物の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2791517B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2013036283A1 (en) | 2011-09-09 | 2013-03-14 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | An ink composition for a non-stick coating and a coated substrate comprising the pattern therefrom |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0971747A (ja) * | 1995-07-03 | 1997-03-18 | Zojirushi Corp | 印刷用インキ及び該インキによる印刷構造 |
| FR2969533B1 (fr) * | 2010-12-23 | 2016-11-18 | Seb Sa | Article comprenant un revetement thermostable dote d'un decor au moins bichrome en tons continus et procede de fabrication d'un tel article. |
| FR3039091B1 (fr) * | 2015-07-20 | 2017-07-21 | Seb Sa | Inclusion d'oxydes de terres rares dans un revetement a base de resine fluorocarbonee |
Family Cites Families (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH07102655B2 (ja) * | 1990-01-31 | 1995-11-08 | 住友電気工業株式会社 | 目盛、模様、文字等を表示した弗素樹脂被覆物 |
| JPH054304A (ja) * | 1991-06-26 | 1993-01-14 | Asahi Glass Co Ltd | 弗素樹脂被覆物 |
| JP2605964B2 (ja) * | 1991-08-21 | 1997-04-30 | 松下電器産業株式会社 | フッ素樹脂積層物およびその製造方法、並びにフッ素樹脂積層物を有する容器 |
-
1991
- 1991-10-24 JP JP3277968A patent/JP2791517B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| WO2013036283A1 (en) | 2011-09-09 | 2013-03-14 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | An ink composition for a non-stick coating and a coated substrate comprising the pattern therefrom |
| EP3381990A1 (en) | 2011-09-09 | 2018-10-03 | The Chemours Company FC, LLC | An ink composition for a non-stick coating and a coated substrate comprising the pattern therefrom |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05116260A (ja) | 1993-05-14 |
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