JP2789928B2 - 抗菌性樹脂成型物 - Google Patents
抗菌性樹脂成型物Info
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- JP2789928B2 JP2789928B2 JP4099183A JP9918392A JP2789928B2 JP 2789928 B2 JP2789928 B2 JP 2789928B2 JP 4099183 A JP4099183 A JP 4099183A JP 9918392 A JP9918392 A JP 9918392A JP 2789928 B2 JP2789928 B2 JP 2789928B2
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性粒子を混入した
樹脂成型物に関するものである。
樹脂成型物に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】樹脂成型物に抗菌性粒子を混入して抗菌
作用を発揮させることは浴室などで用いられる容器や洗
い桶などに用いられてきている。これらは熱可塑性樹脂
のペレットに抗菌性粒子をあらかじめ混練しておき、射
出成型などによって成型したものである。一般に粒子を
含む樹脂成型物は表面に粒子が露頭することは少なく、
ほとんどが樹脂のスキン層によって覆われた状態となっ
ている。従って、抗菌性粒子を添加しても露頭を出すこ
とができずその抗菌作用も弱いものであった。
作用を発揮させることは浴室などで用いられる容器や洗
い桶などに用いられてきている。これらは熱可塑性樹脂
のペレットに抗菌性粒子をあらかじめ混練しておき、射
出成型などによって成型したものである。一般に粒子を
含む樹脂成型物は表面に粒子が露頭することは少なく、
ほとんどが樹脂のスキン層によって覆われた状態となっ
ている。従って、抗菌性粒子を添加しても露頭を出すこ
とができずその抗菌作用も弱いものであった。
【０００３】一方、抗菌性粒子を熱硬化性樹脂への適用
を図ろうとした場合に、上述同様表面は樹脂のスキン層
に覆われており抗菌特性が十分発揮できないものであ
り、しかも従来の、例えば銀イオンを担体に担持させた
抗菌性粒子を用いた場合は、樹脂を硬化させるために添
加する過酸化物によって容易に酸化を受けて着色した
り、抗菌作用が損なわれるものであって、これらの樹脂
に抗菌性粒子を混練して成型したものは未だみられな
い。
を図ろうとした場合に、上述同様表面は樹脂のスキン層
に覆われており抗菌特性が十分発揮できないものであ
り、しかも従来の、例えば銀イオンを担体に担持させた
抗菌性粒子を用いた場合は、樹脂を硬化させるために添
加する過酸化物によって容易に酸化を受けて着色した
り、抗菌作用が損なわれるものであって、これらの樹脂
に抗菌性粒子を混練して成型したものは未だみられな
い。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】樹脂成型物に抗菌性粒
子を混入しても、その成型時に表面が樹脂のスキン層に
よって覆われてしまうため抗菌作用を十分に発揮するこ
とができない状態となっていた。また、熱硬化性樹脂の
場合は同様に表面がスキン層に覆われるのみならず添加
する過酸化物によって酸化を受け抗菌作用をさらに逓減
させられていたと同時に、元の樹脂の色を損なうという
課題をも有していた。
子を混入しても、その成型時に表面が樹脂のスキン層に
よって覆われてしまうため抗菌作用を十分に発揮するこ
とができない状態となっていた。また、熱硬化性樹脂の
場合は同様に表面がスキン層に覆われるのみならず添加
する過酸化物によって酸化を受け抗菌作用をさらに逓減
させられていたと同時に、元の樹脂の色を損なうという
課題をも有していた。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、抗菌性粒子を混入した樹脂成型物の表面を粗面に粗
すことによって、抗菌性粒子を表面に露頭せしめ、その
抗菌作用を十分に発揮させることが可能となった。ま
た、抗菌性粒子が、シリカゲルにチオスルファト銀錯体
を担持させその表面をテトラアルコキシシランの加水分
解物で被覆した抗菌性粒子とすることによって、熱硬化
性樹脂に混入する場合、銀錯体が直接過酸化物に接触し
て反応を生じることを防止した。また、担体にシリカゲ
ルを使用したことにより、各樹脂に混入しても元の樹脂
の色を損なうことがない。
め、抗菌性粒子を混入した樹脂成型物の表面を粗面に粗
すことによって、抗菌性粒子を表面に露頭せしめ、その
抗菌作用を十分に発揮させることが可能となった。ま
た、抗菌性粒子が、シリカゲルにチオスルファト銀錯体
を担持させその表面をテトラアルコキシシランの加水分
解物で被覆した抗菌性粒子とすることによって、熱硬化
性樹脂に混入する場合、銀錯体が直接過酸化物に接触し
て反応を生じることを防止した。また、担体にシリカゲ
ルを使用したことにより、各樹脂に混入しても元の樹脂
の色を損なうことがない。
【０００６】
【作用】熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を問わず、抗菌性
粒子を混練した樹脂成型物の表面を粗面とすることで、
樹脂成型物の表面を覆っているスキン層を破壊して抗菌
性粒子の露頭を一面に生じさせ、抗菌作用を十分に発揮
させる。露頭が生じることによって、銀イオンが樹脂の
スキン層を透過する必要がなく直接、樹脂成型物の表面
で抗菌作用を発揮できるためである。さらに、表面を粗
とすることによって樹脂成型物の表面積が著しく増大
し、それにともなって抗菌性粒子の露頭も増加するので
抗菌作用が一段と強化される。
粒子を混練した樹脂成型物の表面を粗面とすることで、
樹脂成型物の表面を覆っているスキン層を破壊して抗菌
性粒子の露頭を一面に生じさせ、抗菌作用を十分に発揮
させる。露頭が生じることによって、銀イオンが樹脂の
スキン層を透過する必要がなく直接、樹脂成型物の表面
で抗菌作用を発揮できるためである。さらに、表面を粗
とすることによって樹脂成型物の表面積が著しく増大
し、それにともなって抗菌性粒子の露頭も増加するので
抗菌作用が一段と強化される。
【０００７】抗菌性粒子は、その表面がテトラアルコキ
シシランの加水分解物で被覆されており、そのため、熱
硬化性樹脂の硬化剤である過酸化物に銀錯体が直接接触
することがなく、過酸化物による銀の酸化も生じにくい
ので、抗菌作用を逓減させられることも、元の樹脂の色
を損なうこともない。担体がシリカゲルであり透明性も
高いので、各種樹脂に混入しても元の樹脂の色を損なう
ことがない。
シシランの加水分解物で被覆されており、そのため、熱
硬化性樹脂の硬化剤である過酸化物に銀錯体が直接接触
することがなく、過酸化物による銀の酸化も生じにくい
ので、抗菌作用を逓減させられることも、元の樹脂の色
を損なうこともない。担体がシリカゲルであり透明性も
高いので、各種樹脂に混入しても元の樹脂の色を損なう
ことがない。
【０００８】
【実施例】以下に本発明を厨房装置に適用した実施例を
述べる。
述べる。
【０００９】（実施例１） 図１において、１は厨房装置の流し台で、キャビネット
２の上面にワークトップ３を載置している。ワークトッ
プ３は木材合板の裏打ち材４で裏打ちされ、さらにワー
クトップ３にはシンク穴５が窄設され、樹脂製のシンク
６がワークトップ３の下方よりシンク穴５に固定されて
いる。さらにワークトップ３のシンク穴５の横後方には
別途成型したスポンジ受け７を有する洗剤入れ８が、ワ
ークトップ３に穿たれた穴に嵌合されている。この流し
台１は、背部を台所の壁に接して配設され、流し台１の
ワークトップ３より上部の壁は樹脂製のタイル９を貼り
付けてある。
２の上面にワークトップ３を載置している。ワークトッ
プ３は木材合板の裏打ち材４で裏打ちされ、さらにワー
クトップ３にはシンク穴５が窄設され、樹脂製のシンク
６がワークトップ３の下方よりシンク穴５に固定されて
いる。さらにワークトップ３のシンク穴５の横後方には
別途成型したスポンジ受け７を有する洗剤入れ８が、ワ
ークトップ３に穿たれた穴に嵌合されている。この流し
台１は、背部を台所の壁に接して配設され、流し台１の
ワークトップ３より上部の壁は樹脂製のタイル９を貼り
付けてある。
【００１０】ワークトップ３は熱硬化性樹脂である不飽
和ポリエステルでプレス成型されており、水酸化アルミ
ニウム、ガラスファイバーを添加してある強化プラスチ
ックである。不飽和ポリエステル樹脂を２０．５重量
％、水酸化アルミニウムを６５重量％、ガラスファイバ
ーを１４重量％、チオスルファト銀錯体を担持させて、
テトラアルコキシシランを加水分解してコーティングを
施したシリカゲルを０．５重量％に過酸化物であるｔ−
ブチルパーオキシラウレートを反応開始剤として添加し
て混練し、成型原料を作成する。これをプレス型に充填
して加熱しながらプレスを行ってワークトップ成型物を
作製した。
和ポリエステルでプレス成型されており、水酸化アルミ
ニウム、ガラスファイバーを添加してある強化プラスチ
ックである。不飽和ポリエステル樹脂を２０．５重量
％、水酸化アルミニウムを６５重量％、ガラスファイバ
ーを１４重量％、チオスルファト銀錯体を担持させて、
テトラアルコキシシランを加水分解してコーティングを
施したシリカゲルを０．５重量％に過酸化物であるｔ−
ブチルパーオキシラウレートを反応開始剤として添加し
て混練し、成型原料を作成する。これをプレス型に充填
して加熱しながらプレスを行ってワークトップ成型物を
作製した。
【００１１】ここで得られたワークトップ３は銀を含む
抗菌性粒子であるが、銀がチオスルファト銀錯体として
シリカゲルに担持され、さらにシリカゲルがテトラアル
コキシシランを加水分解した生成物で覆われているいる
ため、過酸化物による不飽和ポリエステルのラジカル重
合反応系に含まれていても、ラジカルによって影響され
ることはなく安定して存在する。また、シリカゲルの透
明性によって、樹脂に添加しても着色、変色を生じるこ
となく、ワークトップ３の透明感を損なうことは全くな
いことが認められた。
抗菌性粒子であるが、銀がチオスルファト銀錯体として
シリカゲルに担持され、さらにシリカゲルがテトラアル
コキシシランを加水分解した生成物で覆われているいる
ため、過酸化物による不飽和ポリエステルのラジカル重
合反応系に含まれていても、ラジカルによって影響され
ることはなく安定して存在する。また、シリカゲルの透
明性によって、樹脂に添加しても着色、変色を生じるこ
となく、ワークトップ３の透明感を損なうことは全くな
いことが認められた。
【００１２】しかし、プレス成型物を観察すると、図３
に成型物１０を図示したように樹脂１１の中に抗菌性粒
子１２が分散されており、表面付近では抗菌性粒子１２
を樹脂１１が覆う形でスキン層１３を形成している。従
って、抗菌性粒子１２は成型物１０の表面に露頭を現す
ことができず、わずかに銀イオンのマイグレーションに
よって抗菌作用を示しはするものの十分なものではなか
った。本発明はこの点を鑑み、図２に示したように抗菌
性粒子１２を覆っているスキン層１３を除去して抗菌性
粒子１２の露頭１４を樹脂の成型物１０の表面に出現さ
せ、その抗菌作用を十分に引き出すことができるよう構
成したものである。本発明ではスキン層１３の除去には
サンドペーパーをかける、液体ホーニング加工、サンド
ブラスト、ブラシ研磨、ベルト研磨などの方法がありい
ずれであってもよい。サンドペーパー仕上げの場合、３
００番〜１２００番相当の仕上げがワークトップ３の表
面仕上げとしては傷の目立ちにくさからも好ましい。一
方、ワークトップ３の表面を粗すことによって、スキン
層１３が除去されるとともに抗菌性粒子１２の表面も粗
となり、表面積が著しく増加するので銀イオンによる抗
菌作用活性点も増加し、抗菌作用を一段と効果的に発揮
させることができるものであった。
に成型物１０を図示したように樹脂１１の中に抗菌性粒
子１２が分散されており、表面付近では抗菌性粒子１２
を樹脂１１が覆う形でスキン層１３を形成している。従
って、抗菌性粒子１２は成型物１０の表面に露頭を現す
ことができず、わずかに銀イオンのマイグレーションに
よって抗菌作用を示しはするものの十分なものではなか
った。本発明はこの点を鑑み、図２に示したように抗菌
性粒子１２を覆っているスキン層１３を除去して抗菌性
粒子１２の露頭１４を樹脂の成型物１０の表面に出現さ
せ、その抗菌作用を十分に引き出すことができるよう構
成したものである。本発明ではスキン層１３の除去には
サンドペーパーをかける、液体ホーニング加工、サンド
ブラスト、ブラシ研磨、ベルト研磨などの方法がありい
ずれであってもよい。サンドペーパー仕上げの場合、３
００番〜１２００番相当の仕上げがワークトップ３の表
面仕上げとしては傷の目立ちにくさからも好ましい。一
方、ワークトップ３の表面を粗すことによって、スキン
層１３が除去されるとともに抗菌性粒子１２の表面も粗
となり、表面積が著しく増加するので銀イオンによる抗
菌作用活性点も増加し、抗菌作用を一段と効果的に発揮
させることができるものであった。
【００１３】（実施例２） 図１において、樹脂製のタイル９はワークトップ３と同
様に準不燃材料の、抗菌性粒子１２を含む不飽和ポリエ
ステル樹脂で、プレス成型されたものでありワークトッ
プ３同様に表面を粗にすることによってその抗菌作用を
向上させたものである。特にシンク６の向こう側に位置
するタイル９は、シンク６からの汚れを含んだ水はねに
よって汚れやすく、また湿度の高い場所でもあり、カビ
や菌の繁殖しやすく目立つ箇所であるが、壁のタイル９
に抗菌作用を持たせることによってカビや菌の繁殖を抑
制して常に衛生的な環境を創り出すことができるもので
ある。
様に準不燃材料の、抗菌性粒子１２を含む不飽和ポリエ
ステル樹脂で、プレス成型されたものでありワークトッ
プ３同様に表面を粗にすることによってその抗菌作用を
向上させたものである。特にシンク６の向こう側に位置
するタイル９は、シンク６からの汚れを含んだ水はねに
よって汚れやすく、また湿度の高い場所でもあり、カビ
や菌の繁殖しやすく目立つ箇所であるが、壁のタイル９
に抗菌作用を持たせることによってカビや菌の繁殖を抑
制して常に衛生的な環境を創り出すことができるもので
ある。
【００１４】（実施例３） 図１のワークトップ３に取りつけられた樹脂製のシンク
６は、アクリル樹脂で成形されたものである。アクリル
樹脂３４重量％にフィラーとして水酸化アルミニウムを
６５重量％、シリカゲルに担持させたチオスルファト銀
錯体抗菌性粒子１重量％を加え、過酸化物であるジメチ
ルジブチルパーオキシヘキサンを反応開始剤として添加
して成型した。
６は、アクリル樹脂で成形されたものである。アクリル
樹脂３４重量％にフィラーとして水酸化アルミニウムを
６５重量％、シリカゲルに担持させたチオスルファト銀
錯体抗菌性粒子１重量％を加え、過酸化物であるジメチ
ルジブチルパーオキシヘキサンを反応開始剤として添加
して成型した。
【００１５】成型物に添加したチオスルファト銀錯体を
担持したシリカゲルは上述の実施例同様テトラアルコキ
シシラン加水分解生成物で覆われているので、アクリル
樹脂を硬化させる過酸化物反応開始剤においても影響を
受けることはなかった。成型されたシンク６の内表面を
液体ホーニングによって粗面としてワークトップ３に取
りつけたものである。シンク６内は常に濡れた状態にな
っており、食べ物滓などが付着してカビの菌の温床とな
り易いところであるが、表面を粗としたことによってワ
ークトップ３と同様の効果によってその抗菌作用が十分
に発揮され、シンク６内をカビなどによる着色もなく清
潔に、衛生的に保つことができるものである。
担持したシリカゲルは上述の実施例同様テトラアルコキ
シシラン加水分解生成物で覆われているので、アクリル
樹脂を硬化させる過酸化物反応開始剤においても影響を
受けることはなかった。成型されたシンク６の内表面を
液体ホーニングによって粗面としてワークトップ３に取
りつけたものである。シンク６内は常に濡れた状態にな
っており、食べ物滓などが付着してカビの菌の温床とな
り易いところであるが、表面を粗としたことによってワ
ークトップ３と同様の効果によってその抗菌作用が十分
に発揮され、シンク６内をカビなどによる着色もなく清
潔に、衛生的に保つことができるものである。
【００１６】（実施例４） 図１のワークトップ３のシンク６近傍に取りつけられた
洗剤入れ８は、ポリプロピレン製の射出成型物である。
洗剤入れ８にはその開口部の半分を覆って浅いトレー型
の同材料のスポンジ受け７が載置されている。これら射
出成型物でも表面の抗菌性粒子はスキン層で覆われてお
り、十分な抗菌作用を得るため添加する抗菌性粒子の量
を増大させる必要があった。しかし、その表面を粗面と
することで上述の如く抗菌性粒子の露頭を出現させるこ
とができ、抗菌作用が向上し抗菌性粒子の添加量を減少
させることができた。ここで、洗剤入れ８、スポンジ受
け７には抗菌性粒子を１重量％添加してあるが、希釈さ
れた洗剤やスポンジからの食物滓などの汚れでカビ、菌
の栄養源に富み、しかも常に水で濡れた状態となってい
る環境にもかかわらずカビ、菌の繁殖が抑制され良好な
衛生状態が保たれていることが確認された。
洗剤入れ８は、ポリプロピレン製の射出成型物である。
洗剤入れ８にはその開口部の半分を覆って浅いトレー型
の同材料のスポンジ受け７が載置されている。これら射
出成型物でも表面の抗菌性粒子はスキン層で覆われてお
り、十分な抗菌作用を得るため添加する抗菌性粒子の量
を増大させる必要があった。しかし、その表面を粗面と
することで上述の如く抗菌性粒子の露頭を出現させるこ
とができ、抗菌作用が向上し抗菌性粒子の添加量を減少
させることができた。ここで、洗剤入れ８、スポンジ受
け７には抗菌性粒子を１重量％添加してあるが、希釈さ
れた洗剤やスポンジからの食物滓などの汚れでカビ、菌
の栄養源に富み、しかも常に水で濡れた状態となってい
る環境にもかかわらずカビ、菌の繁殖が抑制され良好な
衛生状態が保たれていることが確認された。
【００１７】（実施例５） 図４にプラスチックまな板１５を示す。このまな板１５
はポリプロピレンエラストマーで成型されている。この
まな板１５も上記実施例と同じく表面の抗菌性粒子はポ
リプロピレンエラストマーの薄いスキン層で覆われてお
り、十分な抗菌性能を発揮するためにはやはり表面を粗
として抗菌性粒子の露頭を現す必要があった。そこで、
サンドペーパー４００番相当のベルト研磨仕上げを長手
方向に施したところ、抗菌性能は上記実施例と同様著し
く向上し、さらに粗面であるので包丁で調理作業すると
きに滑りが抑制され、包丁の歯の止まりの感触が向上し
ていることがわかった。さらに、抗菌性粒子を混入して
いない場合、包丁による傷を中心にカビや細菌が繁殖し
てすぐに黒っぽく不衛生な感じを与えるものであった
が、シリカゲルに担持させたチオスルファト銀錯体抗菌
性粒子を混入したまな板１５では包丁による傷によって
常に新しい抗菌性粒子が露頭を現すので抗菌性能の低下
を招く事なく、むしろ銀イオン濃度の増加が観察され、
抗菌性能が向上していることがわかった。
はポリプロピレンエラストマーで成型されている。この
まな板１５も上記実施例と同じく表面の抗菌性粒子はポ
リプロピレンエラストマーの薄いスキン層で覆われてお
り、十分な抗菌性能を発揮するためにはやはり表面を粗
として抗菌性粒子の露頭を現す必要があった。そこで、
サンドペーパー４００番相当のベルト研磨仕上げを長手
方向に施したところ、抗菌性能は上記実施例と同様著し
く向上し、さらに粗面であるので包丁で調理作業すると
きに滑りが抑制され、包丁の歯の止まりの感触が向上し
ていることがわかった。さらに、抗菌性粒子を混入して
いない場合、包丁による傷を中心にカビや細菌が繁殖し
てすぐに黒っぽく不衛生な感じを与えるものであった
が、シリカゲルに担持させたチオスルファト銀錯体抗菌
性粒子を混入したまな板１５では包丁による傷によって
常に新しい抗菌性粒子が露頭を現すので抗菌性能の低下
を招く事なく、むしろ銀イオン濃度の増加が観察され、
抗菌性能が向上していることがわかった。
【００１８】
【発明の効果】本願発明において、各種樹脂に混入され
たシリカゲルに担持させたチオスルファト銀錯体抗菌性
粒子は、その成型物表面では樹脂のスキン層で覆われて
おり、ほとんど露頭を形成していない。従って抗菌作用
はスキン層をマイグレーションしてきたごく微量の銀イ
オンによってのみ発現していたが、成型物の表面を粗面
とすることで抗菌性粒子の露頭を表面に多数出現させて
いるから抗菌作用が向上した。さらに、成型物表面を粗
面とすると表面積の増大につれ抗菌性粒子の露頭は増加
し、さらにこの露頭も粗表面となるため、抗菌性粒子に
よる抗菌作用をも著しく増大させることができた。さら
に、担体であるシリカゲルの表面をテトラアルコオキシ
シランの加水分解生成物で被覆してあるために、各種の
樹脂、特に硬化性樹脂の反応開始剤として用いられる過
酸化物に対しても反応を受けにくく安定したものであ
り、硬化反応によって着色したり透明感を損なうような
現象も認められず、抗菌作用も安定して発揮することの
できる樹脂成型物を与えることができるものである。ま
た、担体がシリカゲルであり透明性も高いので、各種樹
脂に混入しても元の樹脂の色を損なうことがない。
たシリカゲルに担持させたチオスルファト銀錯体抗菌性
粒子は、その成型物表面では樹脂のスキン層で覆われて
おり、ほとんど露頭を形成していない。従って抗菌作用
はスキン層をマイグレーションしてきたごく微量の銀イ
オンによってのみ発現していたが、成型物の表面を粗面
とすることで抗菌性粒子の露頭を表面に多数出現させて
いるから抗菌作用が向上した。さらに、成型物表面を粗
面とすると表面積の増大につれ抗菌性粒子の露頭は増加
し、さらにこの露頭も粗表面となるため、抗菌性粒子に
よる抗菌作用をも著しく増大させることができた。さら
に、担体であるシリカゲルの表面をテトラアルコオキシ
シランの加水分解生成物で被覆してあるために、各種の
樹脂、特に硬化性樹脂の反応開始剤として用いられる過
酸化物に対しても反応を受けにくく安定したものであ
り、硬化反応によって着色したり透明感を損なうような
現象も認められず、抗菌作用も安定して発揮することの
できる樹脂成型物を与えることができるものである。ま
た、担体がシリカゲルであり透明性も高いので、各種樹
脂に混入しても元の樹脂の色を損なうことがない。
【図１】本発明の各種樹脂成型物で構成された厨房装置
の流し台の部分断面図
の流し台の部分断面図
【図２】同表面を粗とした樹脂成型物の部分拡大断面図
【図３】成型のままの樹脂成型物の部分拡大断面図
【図４】本発明のプラスチック製のまな板の全体斜視図
１ 流し台 ２ キャビネット ３ ワークトップ ４ 裏打ち材 ５ シンク穴 ６ シンク ７ スポンジ受け ８ 洗剤入れ ９ タイル １０ 成型物 １１ 樹脂 １２ 抗菌性粒子 １３ スキン層 １４ 露頭 １５ まな板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−295524（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−134033（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) C08J 5/00 C08J 3/20 C08K 5/56 C08L 101/00
Claims (1)
- 【請求項１】シリカゲルにチオスルファト銀錯体を担持
させた後、少なくともその表面の一部をテトラアルコキ
シシランの加水分解物で被覆した抗菌性粒子を混入した
樹脂成型物であって、その表面を粗面としてなる抗菌性
樹脂成型物。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4099183A JP2789928B2 (ja) | 1992-04-20 | 1992-04-20 | 抗菌性樹脂成型物 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4099183A JP2789928B2 (ja) | 1992-04-20 | 1992-04-20 | 抗菌性樹脂成型物 |
Related Child Applications (2)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8136208A Division JPH08299071A (ja) | 1996-05-30 | 1996-05-30 | 厨房装置 |
| JP13620796A Division JP3174268B2 (ja) | 1996-05-30 | 1996-05-30 | 厨房用アクリル樹脂成形体 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05295127A JPH05295127A (ja) | 1993-11-09 |
| JP2789928B2 true JP2789928B2 (ja) | 1998-08-27 |
Family
ID=14240543
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4099183A Expired - Fee Related JP2789928B2 (ja) | 1992-04-20 | 1992-04-20 | 抗菌性樹脂成型物 |
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| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2789928B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6663877B1 (en) | 1996-06-26 | 2003-12-16 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Antibacterial solid surface materials with restorable antibacterial effectiveness |
| JP5474443B2 (ja) * | 2009-08-10 | 2014-04-16 | 株式会社セラフト | 添加粒子及び添加粒子連結体 |
| JP5968964B2 (ja) * | 2014-09-03 | 2016-08-10 | 株式会社都市と生活社 | 抗菌及び／または抗ウイルス剤による物品の表面処理方法 |
| CN114341236A (zh) * | 2019-10-04 | 2022-04-12 | 株式会社吴羽 | 抗菌性成型体及其制造方法 |
| WO2023053820A1 (ja) * | 2021-09-29 | 2023-04-06 | ウシオ電機株式会社 | 抗菌性樹脂成形品の殺菌方法、抗菌性樹脂成形品のメンテナンス方法、および抗菌性樹脂で成形された便座のメンテナンス方法 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2784937B2 (ja) * | 1989-05-08 | 1998-08-13 | 品川燃料株式会社 | 無菌成型品 |
| JP2752465B2 (ja) * | 1989-10-20 | 1998-05-18 | 三菱化学株式会社 | 抗菌性ポリオレフィン系樹脂成形品の製造法 |
-
1992
- 1992-04-20 JP JP4099183A patent/JP2789928B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05295127A (ja) | 1993-11-09 |
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